ある日の博麗神社の縁側。
霊夢はいつものようにお茶を飲んでいます。
そしてその隣には、緑の長い髪の女性が一人。
そんな二人の何気ない会話を聞いてみましょう。
「ふぅ、お茶がおいしいわぁ。」
「ほんと、お茶がおいしいねぇ。」
「春一番が心地よくて、いい日和だわ。」
「ぽかぽかとしてて暖かいねぇ。」
「ところで勝手にお茶請けが減ってるのは何でかしら?」
「この煎餅もおいしいねぇ。」
「ほんとおいしいわね。また買ってこようかしら。」
「買ってきたらまたお茶に肖ろうかねぇ。」
「で、何で勝手に人の煎餅食べてるのよこの馬鹿祟り神。」
「ひどい言い草じゃないか。それがこの神社の神様に対する礼儀かい?」
「祟り神でしょうがあんたは。」
「祟り神でも神には違いないさね。あぁ、お茶のお代わりはまだかい?」
「この状況でお代わりを要求するあんたの図々しさに感服するわ。」
「でも霊夢は入れてくれるということを私は毎日見てたし、いいじゃないか。」
「それは魔理沙のことじゃない。」
「私には入れてくれないのかい?」
「分かったわよ。代わりにお賽銭入れなさい。」
「自分の神社にお賽銭入れる神がいたら見てみたいものだねぇ。」
「あんたが史上初になればいいのよ。」
「それは謹んで辞退しておくわ。」
そしてお代わりのお茶を二人ですする。
「で、いまさら何の用事よ。」
「様子を見に来ただけだけど。」
「じゃあお茶飲んだらさっさと帰りなさいよ。」
「帰るってもここの神だし、どこに帰れというんだい。」
「とりあえず要石を用意してあげるから封印してあげるわよ。」
「まぁたまには姿を見せたっていいじゃないか。
最近新しい神も来たようだし、ここいらでひとつ姿を見せておこうかとね。」
「別に見せなくていいわよ。」
「つれないねぇ。」
「つれないわよ。」
そう言うと、また二人は仲良くお茶をすする。
「しかしまぁ、魔理沙もよくやってるみたいじゃないか。」
「えぇ、そうね。私の仕事をよく取っていくようになったわ。
まぁ手間が省けるからちょうどいいんだけど。」
「それでも巫女なのかい。」
「それでも巫女なのよ。むしろ博麗の巫女はそのぐらいで丁度いいのよ。」
「だから参拝者も来ないんじゃないのかい。」
「それは、ここに集まる妖怪に言ってほしいわね。」
「夢想封印でいいじゃないか。」
「あんたもまとめて吹き飛ばしてあげようかしら。」
「神社が吹き飛ぶからやめときな。」
「それもそうね。」
「納得するのかい。」
そう言うと、二人はぼりぼりと煎餅を食べる。
「しかしあんたも丸くなったわね。」
「年を重ねれば落ち着くものさね。」
「年を重ねても落ち着かない連中ばかりなんだけど。」
「それは人妖の違いだろう。」
「幽霊にも適用されるのかしら。」
「私は元々人間だよ。」
「魔法使いの間違いじゃないの。」
「最強の悪霊とは呼んでくれないのかい。」
「悪霊なら成仏しなさいよ。」
「残念ながら今は神様でね。」
「残念どころか迷惑よ。」
「なら追い出すかい?」
「そうもいかないじゃない。」
「信仰対象にされるのはむずがゆいんだけどねぇ。」
「神なんだから大人しく信仰されてなさいよ。」
「祟り神を信仰するのはよっぽどの物好きだろうに。」
「いない神よりいる神よ。」
一息ついて、二人はお茶をすする。
「そういえばあの亀はどうしたんだい。」
「玄爺? 亀鍋にしたわよ。」
「食ったのかい。」
「冗談よ。」
「別段食われてても不思議じゃないと思えるんだがね。」
「残念ながら本人の抵抗が激しくて食べれなかったわ。」
「仙術使える亀だしねぇ。」
「突っ込みなさいよ。」
「どこか突っ込むところがあったのかい。」
「もういいわ。」
そうしてまた二人はお茶をすする。
「ところであんたを信仰したらお賽銭入るのかしら?」
「信仰したら祟りがあるかもしれないね。」
「祟りって厄と違うのかしら。」
「厄と祟りは似てるけど違うんじゃないかい。」
「残念ね。一応厄神の知り合いがいるから、それを利用して信仰を集めようかと思ったのに。」
「退治しただけのは知り合いというのかい。」
「知り合いなのよ。」
「それは新しい説だね。じゃあ霊夢には知り合いはいっぱいいるわけだ。」
「そこまで知り合いが多いわけでもないけれど。」
「じゃあ友人かい?」
「頭に厄介な、が付くけどね。」
「一味違う、でいいじゃないか。」
「一味どころか一回転して地獄車しても足りないぐらい違うから困るのよ。」
「煮ても焼いても食えないのかい。」
「食えないわね。」
「刺身にしても食えないのかい。」
「食えないわね。」
「突込みが無いと寂しいんだけど。」
「さっきのお返しよ。」
そして霊夢がお茶のお代わりをいれ、またお茶をすする。
「ここも随分にぎやかになったねぇ。」
「うちに対するあてつけかしら?」
「いやいや、幻想郷だよ。前に比べたら随分騒がしくなったもんだね、と。」
「変なやつらが増えたとも言うわね。」
「それだけ異変も起こったって事だろうねぇ。」
「あんたも昔起こしたくせに何を言ってるのかしら。」
「はて、最近聞こえが悪くてね。」
「まぁ過ぎたことだし、どうでもいいわね。」
「それで片付けられるとそれはそれで悲しいもんだね。」
「そういうもんかしら。」
「そういうもんさね。」
そして二人で煎餅をぼりぼりと咀嚼する。
「そろそろ夕方ね。」
「夕方だね。」
「どうするの。今日はこのまま実体化するつもり?」
「気が向いたときにまた実体化するさ。」
「魔理沙をからかうんじゃないのね。」
「あの子は立派になったさ。残念なのは女口調が直ったことだね。」
「そういえばあの笑い方をしなくなったわね。」
「私から巣立ったつもりなんだろうさ。」
「あんたからすればそうなんでしょうね。」
「魔理沙はいつまでも私の可愛い弟子なのさ。」
「はいはい。美しい師弟愛だことで。」
「甘美な師弟愛と言ってほしいね。」
「何が違うのよ。」
「微妙なニュアンスが違うよ。」
「あ、そう。」
「だからそっけないって言われるんだよ。」
「これぐらいが丁度いいのよ。」
「あ、そう。」
そして最後に二人でお茶をすする。
「また来るよ。」
「いきなり現れるのだけは止めなさい。」
「幽霊だからそれが仕事だし、そこは大目に見てちょうだいな。」
「それは仕事とは言わないのよ。」
「じゃあ趣味にするわね。」
「性質の悪い神様ね。」
「一応祟り神だしね。」
「一応じゃないでしょうに。」
「立派な祟り神ってのも性に会わないのさ。」
「あんたらしいけれどなんかむかつくわね。」
「まぁ、しばらくは幻想郷を観光してみるさ。」
「適当に戻りなさいよ。」
「適当に戻るよ。」
「まぁいってらっしゃい、魅魔。」
「いってくるよ、霊夢。」
そんな幻想郷のとある一幕。
今日も幻想郷は平和です。
霊夢はいつものようにお茶を飲んでいます。
そしてその隣には、緑の長い髪の女性が一人。
そんな二人の何気ない会話を聞いてみましょう。
「ふぅ、お茶がおいしいわぁ。」
「ほんと、お茶がおいしいねぇ。」
「春一番が心地よくて、いい日和だわ。」
「ぽかぽかとしてて暖かいねぇ。」
「ところで勝手にお茶請けが減ってるのは何でかしら?」
「この煎餅もおいしいねぇ。」
「ほんとおいしいわね。また買ってこようかしら。」
「買ってきたらまたお茶に肖ろうかねぇ。」
「で、何で勝手に人の煎餅食べてるのよこの馬鹿祟り神。」
「ひどい言い草じゃないか。それがこの神社の神様に対する礼儀かい?」
「祟り神でしょうがあんたは。」
「祟り神でも神には違いないさね。あぁ、お茶のお代わりはまだかい?」
「この状況でお代わりを要求するあんたの図々しさに感服するわ。」
「でも霊夢は入れてくれるということを私は毎日見てたし、いいじゃないか。」
「それは魔理沙のことじゃない。」
「私には入れてくれないのかい?」
「分かったわよ。代わりにお賽銭入れなさい。」
「自分の神社にお賽銭入れる神がいたら見てみたいものだねぇ。」
「あんたが史上初になればいいのよ。」
「それは謹んで辞退しておくわ。」
そしてお代わりのお茶を二人ですする。
「で、いまさら何の用事よ。」
「様子を見に来ただけだけど。」
「じゃあお茶飲んだらさっさと帰りなさいよ。」
「帰るってもここの神だし、どこに帰れというんだい。」
「とりあえず要石を用意してあげるから封印してあげるわよ。」
「まぁたまには姿を見せたっていいじゃないか。
最近新しい神も来たようだし、ここいらでひとつ姿を見せておこうかとね。」
「別に見せなくていいわよ。」
「つれないねぇ。」
「つれないわよ。」
そう言うと、また二人は仲良くお茶をすする。
「しかしまぁ、魔理沙もよくやってるみたいじゃないか。」
「えぇ、そうね。私の仕事をよく取っていくようになったわ。
まぁ手間が省けるからちょうどいいんだけど。」
「それでも巫女なのかい。」
「それでも巫女なのよ。むしろ博麗の巫女はそのぐらいで丁度いいのよ。」
「だから参拝者も来ないんじゃないのかい。」
「それは、ここに集まる妖怪に言ってほしいわね。」
「夢想封印でいいじゃないか。」
「あんたもまとめて吹き飛ばしてあげようかしら。」
「神社が吹き飛ぶからやめときな。」
「それもそうね。」
「納得するのかい。」
そう言うと、二人はぼりぼりと煎餅を食べる。
「しかしあんたも丸くなったわね。」
「年を重ねれば落ち着くものさね。」
「年を重ねても落ち着かない連中ばかりなんだけど。」
「それは人妖の違いだろう。」
「幽霊にも適用されるのかしら。」
「私は元々人間だよ。」
「魔法使いの間違いじゃないの。」
「最強の悪霊とは呼んでくれないのかい。」
「悪霊なら成仏しなさいよ。」
「残念ながら今は神様でね。」
「残念どころか迷惑よ。」
「なら追い出すかい?」
「そうもいかないじゃない。」
「信仰対象にされるのはむずがゆいんだけどねぇ。」
「神なんだから大人しく信仰されてなさいよ。」
「祟り神を信仰するのはよっぽどの物好きだろうに。」
「いない神よりいる神よ。」
一息ついて、二人はお茶をすする。
「そういえばあの亀はどうしたんだい。」
「玄爺? 亀鍋にしたわよ。」
「食ったのかい。」
「冗談よ。」
「別段食われてても不思議じゃないと思えるんだがね。」
「残念ながら本人の抵抗が激しくて食べれなかったわ。」
「仙術使える亀だしねぇ。」
「突っ込みなさいよ。」
「どこか突っ込むところがあったのかい。」
「もういいわ。」
そうしてまた二人はお茶をすする。
「ところであんたを信仰したらお賽銭入るのかしら?」
「信仰したら祟りがあるかもしれないね。」
「祟りって厄と違うのかしら。」
「厄と祟りは似てるけど違うんじゃないかい。」
「残念ね。一応厄神の知り合いがいるから、それを利用して信仰を集めようかと思ったのに。」
「退治しただけのは知り合いというのかい。」
「知り合いなのよ。」
「それは新しい説だね。じゃあ霊夢には知り合いはいっぱいいるわけだ。」
「そこまで知り合いが多いわけでもないけれど。」
「じゃあ友人かい?」
「頭に厄介な、が付くけどね。」
「一味違う、でいいじゃないか。」
「一味どころか一回転して地獄車しても足りないぐらい違うから困るのよ。」
「煮ても焼いても食えないのかい。」
「食えないわね。」
「刺身にしても食えないのかい。」
「食えないわね。」
「突込みが無いと寂しいんだけど。」
「さっきのお返しよ。」
そして霊夢がお茶のお代わりをいれ、またお茶をすする。
「ここも随分にぎやかになったねぇ。」
「うちに対するあてつけかしら?」
「いやいや、幻想郷だよ。前に比べたら随分騒がしくなったもんだね、と。」
「変なやつらが増えたとも言うわね。」
「それだけ異変も起こったって事だろうねぇ。」
「あんたも昔起こしたくせに何を言ってるのかしら。」
「はて、最近聞こえが悪くてね。」
「まぁ過ぎたことだし、どうでもいいわね。」
「それで片付けられるとそれはそれで悲しいもんだね。」
「そういうもんかしら。」
「そういうもんさね。」
そして二人で煎餅をぼりぼりと咀嚼する。
「そろそろ夕方ね。」
「夕方だね。」
「どうするの。今日はこのまま実体化するつもり?」
「気が向いたときにまた実体化するさ。」
「魔理沙をからかうんじゃないのね。」
「あの子は立派になったさ。残念なのは女口調が直ったことだね。」
「そういえばあの笑い方をしなくなったわね。」
「私から巣立ったつもりなんだろうさ。」
「あんたからすればそうなんでしょうね。」
「魔理沙はいつまでも私の可愛い弟子なのさ。」
「はいはい。美しい師弟愛だことで。」
「甘美な師弟愛と言ってほしいね。」
「何が違うのよ。」
「微妙なニュアンスが違うよ。」
「あ、そう。」
「だからそっけないって言われるんだよ。」
「これぐらいが丁度いいのよ。」
「あ、そう。」
そして最後に二人でお茶をすする。
「また来るよ。」
「いきなり現れるのだけは止めなさい。」
「幽霊だからそれが仕事だし、そこは大目に見てちょうだいな。」
「それは仕事とは言わないのよ。」
「じゃあ趣味にするわね。」
「性質の悪い神様ね。」
「一応祟り神だしね。」
「一応じゃないでしょうに。」
「立派な祟り神ってのも性に会わないのさ。」
「あんたらしいけれどなんかむかつくわね。」
「まぁ、しばらくは幻想郷を観光してみるさ。」
「適当に戻りなさいよ。」
「適当に戻るよ。」
「まぁいってらっしゃい、魅魔。」
「いってくるよ、霊夢。」
そんな幻想郷のとある一幕。
今日も幻想郷は平和です。
あと、小春日和は晩秋から初冬のころに訪れる、
暖かな春のような陽気のことですよ。
>「そういうもんかい。」
ここが逆じゃないかなと
こういうまったりした空気は大好きですよ。二人の皮肉と冗談の応酬も素敵
情景の描写を会話に盛り込む事で不要な地文を挟まずにすみ、
落ち着いたテンポを損ねていない所が凄いと思いました。
『ド肝』は感服するのではなく抜かれるものですよ、この場合図々しい態度が適切化と。
ごめんなさい魅魔様。