Coolier - 新生・東方創想話

主と従者Ⅰ

2008/03/17 10:54:33
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春を迎えたことを意味するリリーホワイトも目撃され、見事に桜の咲き誇る博麗神社では年明け後初の花見が行われていた。
幻想郷中から人妖問わずいろいろな者達が集まってくる為多いに盛り上がっているのはいつもの事。
そんないつもの事の中で起きた異変もいつもの事に含まれるのだから、今回もそんないつもの事であるのだろう。そんな日常の話。







「ゆかりんいい事を思いついたわ!」
と、唐突に言ったのは紫。
酔いが回っているらしく口調が少々変な気がするが、恐らくそんなことは関係ない。
「なによ紫。まさか私を酔わせてあんなことはこんなことを!」
聞いた幽々子はよよよ、と反応するがこんな事を言っている時点でもう酔っている気がする。
「しないわよー。もっと面白そうな事。」
「あら、何かしら。」
二人は何やらこそこそと話し始めた。
幽々子も紫もにや~っと笑い始めた。どうやらこの「面白い事」を実行するつもりらしい。


十分程話あった後、紫はスキマを開くと手を入れごそごそと探りだした。
よいしょっ、と言って手を出すと・・・掴まれていたのはレミリアであった。
「・・・なんのつもり」
見るからに不機嫌そうである。当たり前だ。
しかし紫はそんなことお構い無く、近くにいた永琳を呼び寄せる。永琳は興味なさ気にやってきた。
「何かしら面白いことって。 ドウセツマラナインダロスキマ」
何か毒づいたようなのが聞こえたがスルースルー。

どうやらこれで目的の者達は全ての様だ。
「やあねえ。そう睨まないの。ま、さて置き。面白そうな事ってのはねえ・・・。従者を一週間交換してみないかって事よ!」
誇らしげに紫が言う。
「従者を?何で私を呼ぶのよ。そういう事は姫さ・・・」
と反応したのは永琳。返したは良いのだが横を見ると輝夜はどこぞの燃える蓬莱人とバトルの真っ最中であった。永琳は見なかったことにした。
「まあ、内容を聞いてからね。」
手のひらを返した。
もう一人強制的に呼び出され不愉快そうでであったレミリアもこの話には興味ありげな様だ。結局暇なので特に断る要素も無い為である。

「内容と言っても、そのまんまよ。いつもの生活も良いけど、従者を交換してみたら面白いんじゃないかって。」
「そんな事は分かってるわ。どうやって交換するのかしら?」
「くじ引きかなんかでいいんじゃない。」
紫と永琳が言う。退屈でくじ引きによって主を交換される従者に色々と権利は無いようだ。悲惨である。
「えーっと、八雲家は藍、西行寺家は妖夢、紅魔館はメイド長、永遠亭は・・・そうね、あの・・・ウドン?でいいかしら。」
「うちがウドンゲね。分かったわ。」
「妖夢ね。うちは妖夢しかいないわぁ。」
「咲夜ね、心配だけど・・・まあいいわ。」



と話が進んでいる一方、従者達も何処からか危機を感じ取り木の陰から主たちの様子を観察していた。
「こ、交換ですって!冗談じゃうっぷ」
「馬鹿、聞こえちゃうでしょうが。」
「す、すみませんつい・・・」
と叫びかけたのはウドンゲ。後ろから咲夜に口を塞がれた。
咲夜はレミリアが心配だ、と言ったのを聞いて内心ほっとしている様だ。
「でも、ウドンゲさんじゃないですけど本当に冗談じゃないです・・・」
「紫様は良いとして一週間橙に会えないなんて・・・。そうだ、橙も連れて行っちゃおうかなー。」
妖夢の方はかなり困った様子だが藍の方はもう慣れている様だ。紫が主だし。
「四人とも結構乗り気だし、残念だけど恐らく実行されるでしょうね。」
「「そんなぁ~。」」
ウドンゲと妖夢の言葉が被った。

「さあ、くじを引いて頂戴。」
従者達が話し合っている間にもくじが始まる様だ。固唾を飲む。最初に引くのは幽々子の様だ。
「それっ、これね~。えーっと・・・ウドンゲ。」
「あら、いきなりウドンゲ出たわね。」
永琳が面白そうに見ていた。一方木の影では、
「幽々子様かあ・・・妖夢さん、幽々子様ってどんな感じですかね?」
「うーん・・・どうと言っても・・・。あ、そうですね、ご飯はよく食べます。」
「そ、そうですか。」
幽々子の大食は幻想郷では有名である。
しかし妖夢がこれしか言わないと言うことは取り敢えずは安心なのだろうか。だが。
「ウサギの肉って美味しいのよね~。」
と幽々子が言ったのを、哀れにもウドンゲは聞いてしまった。南無。


そうこうしている内に、次のくじを引くのは・・・レミリアだ。従者達も再び緊張する。
「さて誰かしら。うーんと、妖夢。妖夢ってどうなの?」
「どうって言われてもねぇ。真面目よー、あの子は。あんまり苛めちゃだめよ~。」
「分かってるわよ・・・他人の従者を苛めたりする様な趣味はないわ。」


「紅魔館か・・・。うーん。やっぱり大変なんでしょうか?」
「私は慣れているけど。まあ私はメイド長だしそれなりに大変ね。と言ってもお嬢様も鬼じゃないし大丈夫よ。・・・きっと。
 私はお嬢様の方が心配だわ。」
「成る程。」
自分を心配しているのかレミリアを心配しているのか分からないが、取り敢えず安心・・・出来ない。きっとってなんですか、と妖夢は思う。口には出さない。みょん。
「えーっと次に引くのは・・・って。」
妖夢は気がついた様だ。


「あら、決まっちゃったわね。私が藍じゃ駄目だし、永琳のところに藍ね。うちがレミリアのとこのメイド長かしら。
 うちの藍こき使っても大丈夫よ~。大分タフだから。」
「あらそう?ウドンゲよりも頼りになりそうねぇ。良かったら永遠に交換でも良いわよ?」
「考えておくわ。」


「考えないで下さい紫様っ!」
と小さく藍が木の後ろで突っ込んだ。しかし誰にも相手にされなかったのが残念なところだ。つーかこき使われるのは良いのか。
「私が・・・スキマ妖怪のところね。」
「紫様は基本的に自分で動かないから、時々ムカッっと来る位だな。」
「そ、そう。」
藍が突っ込みモードから復帰した様だ。
「そもそも紫様はだな・・・」
「分かります分かります!うちの師匠もですね・・・」
「幽々子様も・・・」
どうやら色々別の方向にスイッチが入ってしまった。
従者達は日頃の愚痴を肴に酒を盛り始めた。


一方主達のほうは。


「善は急げよ。明日からで良いかしらね?」
「いいわ~。」「分かったわ。」「明日ね。」
どの辺が善なのかは分からないが、ともかく明日から。一通り話が纏まったようで、四人こちらでも再び酒を飲み始めた。








夜も更け、大分人々も帰り始めた頃。霊夢が早く帰れと言っている。
「霊夢も五月蝿いし、私たちもそろそろお開き・・・そうだわ、一応その前に。
 分かってると思うけど、殺しちゃったり壊しちゃうのだけは駄目よ。」














おまけ


「紫。他の奴らを帰らせたのは良いけどね。」
「なによ霊夢」
「お前もはよ帰れ!」
「あらぁ。バレちゃったわぁ~。しょうがないわね。藍、先に帰ってて。」
「だからお前もだ!」

お初にお目にかかりますだいそんと申します。
こちらに投稿させて頂くのは初めてなのですが、皆さんの作品が素晴らしくて自分の作品に自信が持てない・・・w

一応連作の予定です。また書き終わったら2作目投稿させて頂きます。
それでは~。



日本語訂正しておきました。ご指摘ありがとうございます。
だいそん
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コメント



0.500簡易評価
1.無評価yms削除
次回が楽しみですね。

東方は主と従者の組み合わせが豊富ですよね。
ようは5面ボスと6面ボスとか、
エクストラの中ボスと大ボスとかなんだけど><

怠惰極まりない紫と瀟洒な咲夜さんの組み合わせが気になる・・・・・・。
2.80yms削除
始めてレスつけるから点数忘れたwww

よく見るのに自分は気づかない俺のバカw
3.70名前が無い程度の能力削除
とりあえず次回を期待します。
支援しえんー
4.70yoru削除
今後を楽しみにしてますw
5.100☆月柳☆削除
きましたねこれ。誰かがやってくれることを信じてた。
ちゃんとした感想は完結したときにでも書くことにしますね。
今後に期待を込めて点数入れておきます。
6.100てるる削除
だれかやってくれるとは思ってましたが・・・・
期待してます!!待ってますよ~

今後に期待してますです。
7.80ゴウテン削除
ぐはっ!!先を越されましたwww
自分も主従ネタは考えていたもんですからw
今後の展開が気になるところです。
楽しみにしています!
9.60名前が無い程度の能力削除
続きに期待しています。

誤字報告。
>博霊神社 → 博麗神社
11.無評価だいそん削除
誤字訂正致しました。ご指摘ありがとうございます。

>ymsさん
主従ネタは色々と妄想できるので書いてて面白いですねw
ただ組み合わせ次第で書くのが難しい・・・紫&咲夜とか(ぉ
12.無評価名前が無い程度の能力削除
これは期待をせざるをえない
13.70名前が無い程度の能力削除
>お嬢様も鬼じゃないし大丈夫よ
だが残念
お嬢様は吸血『鬼』w
BAD END確定か!?
15.90名前が無い程度の能力削除
これは良いネタ!
期待して続きを待ってます。
幻想郷って主従関係が多いからな。
パチェと小悪魔とか早苗と神奈子も主従関係だな
16.80名前が無い程度の能力削除
これは面白そうだと思ったら
「次回へ続く」だなんて酷いZE☆
19.70名前が無い程度の能力削除
永琳こわーい

>パチェと小悪魔とか早苗と神奈子も主従関係だな
小悪魔はそうとは限らんけどね
20.30近藤@紫削除
うーーーーーん?

正直「またこんなネタか」というのが第一感想だったりします。
今のままだと残念ながら結果があまりにも予想できてしまうので、ならばこそここからどんなビックリドッキリメカが飛び出してくるのやら。

コレ系のネタは勢いが大事だと思うのであれこれ言うつもりもないのですが、
だからこそもっとキャラクターを「活かして」ほしいなぁと。
どうにも素人の舞台劇を見ているように思えてしまうので。
小粋なキャラクター、イカした台詞回し、そういったものでぐいぐい引っ張る事が出来たなら、もっと面白くなりそうだなぁとは思います。

それと
>不愉快であったレミリアも
意味は解りますが、日本語として激しく間違っている気がします。
この場合だと、不愉快そうな~になるかと。
22.70名前が無い程度の熊力削除
一つ言うならば、もう少したくさん書いて投稿した方が良いかと。
丁度始まったところで切れているので、起承転結で分けているのでしょうか。
なんにせよ次回からも期待していますよ。
23.70名前が無い程度の能力削除
いい所で切れてたので続きを楽しみにしてます。
24.100じう削除
すっげ面白かった。
めっちゃくちゃ面白かったwww。次回に期待!
26.30名前が無い程度の能力削除
1ってことは、少なくとも前後編ではないですよね?
できれば、前後編ぐらいの長さが良かったです。
面白そうなのですが、短く感じました。
27.60名前が無い程度の能力削除
発想が面白く、文章構成もよいと思うのですが、それだけに「話が始まったと思ったら終わった」感が強いです。どこか一組の主従の話を書いた辺りで切ってみてもよかったのでは。

いずれにせよ、とても面白かったことには変わりありませんので、続きを楽しみに待たせていただきます。
31.100名前が無い程度の能力削除