注)このお話はさくやにっき7、◇月#日の裏話となります。
先にその辺をお読みになっていただけると幸いです。
◇月#日
「咲夜とフランは行ったわね・・・」
窓から彼女達を窺う。
うん、紅魔館を出て行ったのを自分の目で確認した。
さて、こちらも準備しないとならないわね。
私はいつもは咲夜に持たせている日傘を持つ。
「あら、どこへ行くのかしら?」
「出たなスキマ妖怪、もう全部わかってる癖にそういう事は言わないで欲しいわね」
振り返る必要は無い、それよりも、見失う前に行動を起こさないといけないし。
「そりゃあなたのところのメイドから今回の事は聞かされてるし。
ってちょっと、待ちなさいってば」
無視して紅魔館内を歩き、そして玄関から出る。
今日も冬真っ盛りだというのに憎らしい陽光だ、腹が立つ。
その上で寒いとは嫌がらせか、砕きたくなるわ本当に。
門には美鈴の代わりに風見幽香が立っていた。
咲夜が頼んだのだろう、まぁこんな門番いたらさすがにあの魔理沙も侵入しには来ないわね。
「うおっと、何やってんだ幽香、それにレミリアに紫まで」
と思った矢先に急降下してやってくる白黒魔法使い。
前言撤回、こいつはそんなの関係ないやつだ。
むしろ困難な程燃えるぜ、とか言い出す奴だった。
「・・・・・・あんた咲夜から相談受けてたんじゃないの?」
「おかげで守りが手薄そうで・・・悪い、頼むからその傘を向けないでくれ、槍をしまってくれ。
私だってまだ死にたくは無い」
馬鹿は死なないとわからないというか何というかだ。
「ていうか魔理沙、あんたこの前私に叩き落されたのにまだ懲りてないの?」
そういえばそんな事を咲夜が言ってたわね、おかげで少しだけ楽になったと喜んでた。
あの子、紅魔館のこと何でもやってるからね・・・まぁそうじゃないと紅魔館がどうにもならないのも事実だけど。
「あの時はたまたまお前の目の前に出ちまったからな。
今回はお前の前に出る前に済ませる予定だったんだが・・・とんだ予想外だぜ」
「とりあえず、人が真面目に相談しに行ったのにそれを利用しての暴挙。
本来だったら消し炭にしてやるところよ、感謝なさい」
「へいへい、御寛容な紅魔館の主様には本当に感謝しております、だ。
今日はやけに厳しいな・・・んで、これからレミリアは二人の後でも追う気か?」
「当たり前よ、何かあったら紅魔館の恥どころじゃ済まないじゃない」
「あら?それだけかしら?」
何が言いたいスキマ妖怪。
私が睨むとあら怖い、とニヤニヤ笑っていた。
何か全部見通してますみたいであの顔ぶん殴りたくなった。
「まったく、魔理沙のおかげで時間くっちゃったわ、急いで追わないと・・・」
「はいじゃあスキマで御招待~」
見れば目の前にスキマが一丁。
「何のつもり?」
相談されたとはいえこいつの意図がちょっと読めない。
「んーあのメイドには借りが結構あるからねー
そのご主人様を助けるのもその借りを返すいい機会だと思ってねー」
「・・・感謝はするけど、返すなら咲夜自身に返してあげてね。
魔理沙、あなたも来なさい、せっかくだしあなたにも見張っててもらうわ」
「まぁ何かあったら困るし、図書館には行けなそうだし、了解だぜ」
風見幽香にじゃあ後は頼むわと言ったらいかにも行きたそうな顔をされた。
面白そうだ、と思ってる感じがぷんぷんする、メイドになってもそう本質は変わらないか。
「それじゃあそうねぇ~藍~代わりやっといてあげなさーい」
別のスキマから彼女の式が出てきた。
見ればどう見ても掃除中のようなはたきを持ってだ。
「え、あの、紫様?」
「それじゃあよろしくねー、はい、皆いきましょー」
「ゆ、紫様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
自分の館の為とはいえちょっとあの式に同情した。
「これが・・・昼間の外の世界・・・」
「妹様、如何ですか?初めて見る人間の暮らしというのは」
無事何事も無く人間の里に二人はついた、今のところ問題という問題はなさそうね・・・
建物の影から二人を窺ってみたがうん、大丈夫そうだ。
「何かこうしてみると怪しい奴の後をつけているようで探偵みたいな気分だぜ」
「いいわねぇ、何かいけない事してるみたいでちょっと快感」
「でもあれね、何かつまんだりしたいものね」
「貴様ら真面目にいる気がないなら帰れ」
咲夜、あなたの人選は間違いだわ。
この幻想郷で他の奴を頼りにするのは間違いだわ。
「そうは言ってもなレミリア」
「何よ?」
「ちょっと小腹が空いたり喉が渇いたぜ」
咲夜、何で私こんなの気に入ったのかわからなくなったわ。
昔の自分に本当に何故か問いたくなった。
「しょうがないわね、じゃあ何かスキマからお取り寄せー・・・あ、間違えた」
スキマ妖怪のスキマから出てきたのは・・・・・・・・・霊夢だった。
その手には湯呑がある、どう見ても縁側でいつも通りにのんびりしてましたという感じだ。
どこをどう間違えたらできるのか、説明を求めたいわ。
「・・・・・・とりあえず状況を説明しなさい紫」
言わないと暴れるぞ、という感じになった、さすが霊夢だ。
「あなたのところにも十六夜咲夜がフランドール・スカーレットの事で相談に行ってるでしょ?」
「えぇ、何かあった時は頼むとか・・・あぁ、今日なんだっけ」
「お前、忘れてたのかよ・・・」
咲夜ぁ~やっぱり駄目だわ幻想郷。
「何かあったら動けばいいやだったし、どうせ半獣とかが最初に動くと思ってたし。
それまで動かなくても何にも問題無いじゃないの」
さすが博麗霊夢、怠惰に関しても幻想郷最強の一角だわ。
というか幻想郷の守護者という立場を理解しているのかしら。
そりゃうちの咲夜が色々と苦労と背負い込んだり相談受けるわけだわ・・・
「騒々しいね・・・でも、皆楽しそう・・・」
「そうかもしれませんね、ここはハクタクや霊夢のおかげで平和ですから。
妹様は紅魔館にいるのは暇でお嫌ですか?」
「っ・・・!」
咲夜の言葉に私は振り向いた。
あまり妹の口から聞きたくない言葉が出てきそうな気がして私の表情は強張った。
「え・・・?」
「い、いえ、忘れてください」
「咲夜・・・考えてる事、わかるよ。
私は紅魔館が好きじゃないとか思ってるんでしょ?」
昔の事を思い出す、私が妹にしてきたことを。
あの子の為と思ってしてきた事はあの子の気持ちを無視してやってきた。
あの子が紅魔館を、そして私を恨んでいるであろうことは十分にわかっている事だった。
今は慕ってくれている、でも、必ずどこかであの子は私への恨みが忘れられていない、そんな気がする。
「前だったらそうだったよ、ずっと地下室にいたんだもの」
「妹様・・・」
「・・・・・・」
フラン・・・
「でもね・・・・・・今は違うよ。
地下室から出れたし、色んな奴に会えた。
お姉様への恨みも無くなったしこうして咲夜にも会えた。
紅魔館が嫌だなんて今じゃ全く思ってないよ?ちょっと壊れすぎとは思うけど」
あの子ったら・・・言うじゃないのよ。
「レミリア?泣い「しーっ、今は何も言わないの霊夢」」
感謝するわスキマ妖怪。
ちょっとだけ、そう、ちょっと目にゴミが入っただけなんだから。
買い物中もフランは咲夜にべったりとついて色々と聞いて回っている。
まるで本当に姉妹か、場合によっては親子かしら。
「んー今のところ問題起きるとは思えないんだが?」
「そうよねぇ、あなたと咲夜が心配しすぎなんじゃないの?」
まぁ確かに今の状態を見れば誰しもそう思うかもしれない。
私だってそう思いたいけど、けどね。
「スキマ妖怪だったら知ってるかもしれないけど、
昔のフランは何かある度に破壊してたのよ、何でもよ?生き物でも何でも」
「わがままに育っちゃってたのね、自分の思い通りにならなければ壊す。
まさに見たまんまの子供ね」
風見幽香の辛言に苦笑してそうね、と答える。
「ここ1年くらいは咲夜やあなた達のおかげで安定してるけど・・・
それでもあの子はまだまだ子供なのよ、何かのきっかけで自分の能力を相手に使わないとは限らない。
つまらない事で、って思うような事でもあの子は、相手を殺しかねないわ」
無論そうでないと思いたい、そんな事をしないくらいに成長していると思いたい。
だからこそ、今回どうなるのか見定めなくてはいけないわ。
あの子が外の世界に出ても大丈夫なのか、どうか・・・
「過保護って思ってたけどそうでもないのね。
詳しい事情知らなきゃ何かあった時私はぶっ飛ばすじゃ済まなかったかもね」
「まったくだぜ、霊夢、お茶」
「あんたら真面目に聞く気無いでしょ・・・?」
見れば何時の間にかちゃぶ台まである。
まとめてグングニル喰らわしてやろうかと思ったけど我慢我慢。
ここで騒ぎを起こしたら全てが台無しだ。
「何こんなところでお茶飲んでるんだお前達・・・」
「あら、里の守護者様の御登場ね」
額に手を当てながら苦虫を潰したような顔で半獣が現れた。
「里に妙な集団がいるからと聞いて来てみれば・・・監視するなら目立たないようにしろ」
「ごめんなさいね半獣、あんたのところで厄介な事させてもらってるわ」
「話は聞いている、里の者にも少し根回しはしてある。
ふむ・・・今のところ異常は無いようだな」
私の後ろから二人を見る半獣。
どうでもいいがそこのスキマ妖怪と花の妖怪、酒出すな飲むな。
特に花のほう、あんたはまだ勤務中でしょうが。
「いいのか、あいつら」
後ろの馬鹿連中を指差す半獣に私は溜め息をつきながら
何か起きたらやってくれるわよ、きっと・・・としか言えなかった。
というか半獣、全員に頭突きしてやって。
以降人里では問題は起きなかった。
途中神と睨み合いになったが咲夜と巫女のおかげで事なきを得た。
背か・・・確かに主としてこの背はちょっと考えるけど・・・
ところで自分の事ながら吸血鬼って成長するのかしら?今度パチェに聞いてみよう。
するならば咲夜に手伝ってもらおう、月の薬師くらいにはなりたいものね。
「ここが香霖堂です、妹様。
珍しい品がいっぱいありますよ、大体は外から流れてきた物です」
次の目的地は香霖堂のようだ。
何を買うのかしら、咲夜珍しいものを集める趣味があるみたいだし何か外の世界のものかしら。
「ふむ、噂に聞いてるよりは安定しているようじゃないか、これなら大丈夫かもしれないな」
「そうであってほしいんだけど・・・」
「清々しい顔でよくいうぜ・・・いって・・・虐待だぞ、こいつは」
後ろで半獣の頭突きを喰らって頭を抱えてる奴らがいるが無視。
誰が道端で飲み会をしろと言った、という感じだ。
やるなら夜の紅魔館か博麗神社で、しかも私も混ぜろ。
「店の中まではわからんな・・・」
「はーい、こんな事もあろうかとースキマからの映像をご覧あれ」
便利ね本当に、あぁ、だからぐーたらなわけか。
「こんにちは御主人、頼んでいた品は出来ているかしら?」
「あぁ、しっかりと。ちょっと待っててくれ、持って来る」
あら、ばっちり見えるわね。
これでばれないっていうんだからスキマ恐るべし。
というかこれでいつも色んなところを覗き見してるんじゃないでしょうね?
「おっ、フランが何か見てるぜ、ありゃ・・・指輪か?」
見ればさっきまであっちこっち興味津々で見ていたフランが一心不乱に一箇所を見ている。
その先にあるものはルビーの指輪。
あの子が装飾品に興味を示すなんてねぇ・・・
「それが気に入ったのですか?妹様」
「え!?あ・・・ちょっとだけ」
さすが咲夜、直ぐに気づいたわね。
「はい、頼まれてた品、持ってきたよ」
見ればテーブルの上にはナイフがずらーり。
どうやら得物の調達に来たようね。
入念にチェックをする咲夜の目は真剣そのもの。
「なぁ霊夢」
「何よ魔理沙」
「お前、わかるか?どういう事をチェックしてるのか」
「わかるわけないじゃないの、私は刃物なんて包丁しか握った事ないわよ」
ちなみに私にもわからない。
「うん、どれもいい品ね、ありがとう御主人」
「いや、『しっかり』と買い物してくれるお客には当然さ」
「「「「・・・・・・」」」」
スキマから見ていた私も含めた4人が残りの2人を見る。
無論、誰と誰を見たのかなど説明する理由もあるまい。
2人して素知らぬ顔しているところがまた呆れるところだ。
・・・ていうかこっちサイドのスキマ、あんたはどこからでもかっぱらってるでしょうが。
「それと、御主人、これもいいかしら?」
咲夜がフランが見ていたルビーの指輪を手に取った。
やっぱりか、優しい咲夜はそうすると思った。
むぅ、咲夜からのプレゼント・・・・・・我が妹ながら羨ましいわね・・・
「あら、お姉様が嫉妬しているわね」
ちっ、花の妖怪め、気づきやがった。
というかそれほどの顔をしていたのか私。
「う、うるさいわね!私はそんな心の狭い姉じゃないわ!」
周囲の目が耐えられなくなってそっぽを向いた。
べ、別にフランに嫉妬なんて・・・嫉妬なんて・・・
くっ・・・自分の心が落ち着かない。
それほどに咲夜が大事だっていうことかしらね。
あーあ、情けない、妹が大事でこんな事してるっていうのに私は・・・
咲夜が指輪をフランの中指に入れるのも、
フランがそれを見て咲夜に抱きつくのも、
少しだけ苦々しく思う自分がいた。
「いらっしゃーい、おっ、初めてだね、妹さんがこっちに来るの」
「咲夜ーこれなぁにー?」
「これは八目鰻ですよ、串焼きと天ぷらを少し妹様にお願いできるかしら」
彼女達は夜雀の屋台に。
もう辺りは夕方だ、もう時期完全に夜になるだろう。
そういえばここに連れてきたがっていたわね、咲夜。
丁度いいという感じで連れてきたのかしら。
ちなみにこの時点で半獣と花の妖怪が撤収した。
片方は人里に戻り、もう片方は仕事の為に紅魔館に戻った。
中々メイドっぷりが板についてきている感じね。
「くそう、腹が減ってきやがったぜ・・・この匂いは犯罪だ・・・」
「あの子達が帰ったら食べに行けばいいじゃない」
「そうさせてもらう、霊夢、無論付き合うよな?」
「当たり前よ」
うむ、と握手する巫女と魔法使いは置いといて、と。
果たしてあの子はどういう反応をするか、ちょっと楽しみね。
「そういえば新メニューが出たとかで評判がまた上がってるらしいじゃない。
私も混ぜてもらおうかしら、藍、その時になったら橙を連れてきなさい」
「・・・畏まりました」
酷く憔悴している狐は見なかったことにする。
後で咲夜から礼として何か貰えるだろうからそれで勘弁しなさい。
「妹様、熱いですからねー」
「んー・・・あつっ!あ・・・おいしい!」
反応は上々、これなら大丈夫そうね。
これからは3人で来れそうで今から楽しみだ。
「あら、妹様、タレがついてますよー」
「んーありがと、咲夜」
「いえいえ」
フランの口を何時の間にかどこから出したのかわからないハンカチで拭く咲夜。
んーあれね、この光景見てるとあの2人・・・
「こうしてみるとメイドと主人というよりお母さんと娘って感じに見えるね」
夜雀が私の思っている通りの事を言った。
そう、メイド服がちょっと違うが母親とその娘に見える。
・・・・・・・・・・・・・・悔しいほどに。
「あー確かに見えるぜ、ありゃ」
「まぁ困った主人2人もいちゃ咲夜も苦労から年季も感じるし、そう見えるわね」
「あらあら、私と橙みたいね」
「紫様、本気でおっしゃってます?というか姉では無く母親に見えるとはな・・・」
皆同じだった。
それほどに彼女達の光景はそれに近い、それを思わす光景だった。
私と咲夜だったら・・・駄目ね、私じゃできない。
フランが羨ましいわ・・・素直に咲夜に甘えられて。
何か当初の目的から外れてしまっている気がする。
いけないいけない、今日はフランの監視で来てるんだから。
余計な事は考えないようにしないと。
とはいうものの見た所問題はないし、後は紅魔館に帰るくらいだろう。
ここらで戻っておいたほうがよさそうだ。
「どうやら心配無いみたいだし、私は紅魔館に戻るわ」
「そう、スキマは開けてあげるわ・・・・・・・・・・レミリア・スカーレット」
スキマが薄く笑った。
「何よ?」
「妹に嫉妬するのも結構だけどあなたも少しくらいは素直になりなさい。
あなた達2人の従者なんでしょ?それくらいやっても罰は当たらないわよ」
相変わらずくえない妖怪だ。
私はわかってるわよ、と言ってスキマの中に入っていった。
「紫ー今のどういうことよ?」
「ん?あそこの従者がさらに苦労するってだけのことよ」
「・・・・・・頑張れ十六夜咲夜、私には応援しかできん」
スキマから抜けるとそこは紅魔館の門前だった。
しっかりと花の妖怪が門番として立っている。
「お帰りなさいませ、レミリア様」
中だとしっかりメイドやってるのは凄いわね・・・
普段見ている彼女とは全く違う。
まさに別人を見ているかのようだ。
「ただいま、何か問題起きてた?」
「いえ、大きな問題は。
ただパチュリー様が人がいないのをいい事に何か大きな実験をやろうとしていたようですが
小悪魔とたまたま来ていたアリスによって事無きを得ました、物理的に」
最後がちょっと引っかかるがまぁ病弱と言いながらも意外と丈夫なパチェだ、大丈夫だろう。
というか毎度毎度館壊すような実験ばかりしないで欲しい。
私とフランは日の光に当たる訳にはいかないのに館を半壊するような事をされると本当に困る。
我が友人ながら困った魔女だ・・・
「さて、ここで待とうかしら、あの子達が帰ってくるのを」
「では私も門番としての責務も果たしながら待たせていただきましょう」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
少しの間静寂に、しかし私はそれが物足りない。
2人っきりになったことが無い奴だからだろうか?
「そういえばあなた、ここでバイトしている理由がプレゼントの為らしいわね」
「えぇ、1ヶ月ほどの予定ですが」
「誰に送るのかなんて聞かないけどどうしてあげようと思ったのよ?
言っちゃあ何だけどあんたがプレゼントあげるなんて誰でもびっくりするような事だわ」
振り返る、風見幽香は少し考えていた。
やがて考えが終わったのかこちらを見た。
「気紛れなのかどうなのか私にもわからないわ。
ただね、何かをあげたくなった、それだけ、本当に他意はないわ。
こんな風に思ったのは久々、もう何十年以来かしら。
自分でも驚いてるわ、まさか自主的に贈り物しようなんて」
昔を思うような顔で風見幽香は湖へ顔を向けていた。
私はそう・・・とだけ答えて同じように湖を見た。
いつもと変わらない静寂、だけれども、いつもとは違う。
何が違うのかは私にもわからない。
「たぶんだけれど・・・」
え?と私は再び風見幽香を見た。
「友人とはいえないし、単なる知り合いなだけかもしれないけど、
変わっていく幻想郷でこれからもよろしく、って言いたいだけなのかもしれないわね」
これからも・・・か。
「あら、帰って来ましたわ、レミリア様」
口調が戻った、見れば歩いてくる咲夜とフランが見えた。
程なくして彼女達は私の目の前にまで。
フランの顔は笑顔だ、楽しかったというのが見ただけで判る。
その顔を見ていると今日外出させてよかった、と本当に思う。
「お帰りなさい二人とも」
2人を出迎えた。
「ただいまーお姉様ー」
「ただいま戻りました」
フランは笑顔ながらに今日は楽しかった、また咲夜と一緒にどこかへ行きたいと言い出した。
私はよかったわね、と言ってあげた。
「今日は本当に楽しかった!ありがとう咲夜!」
フランは咲夜にお礼を言って先に紅魔館の中に入っていった。
本当に元気な子だ。
指につけている指輪が手を振る時に存在感をアピールする。
「これはもう心配無いのかしら・・・ね」
たぶん無いだろう、あの子はもう私が思っているほど弱くは無い。
「かもしれませんね」
咲夜が同意した。
一番近くで見ていた咲夜が言うのだ、もうフランの事は置いておこう。
それよりも問題は・・・
「ところで咲夜、あの子の指にある指輪なんだけど・・・」
咲夜がびっくりしたような顔で私を見た。
何よその反応、私が気づいてないわけ無いでしょう?
まぁ買うところもばっちり見てたわけだけど。
「あの子にだけプレゼントして私には無いのかしら・・・?」
「・・・・・・・」
私の問いに咲夜は困ったような顔をしていた。
こう言っておけば優しい咲夜は必ず私にプレゼントをするのをわかっていて、だ。
「あの子だけの咲夜じゃないんだからね、私にも何かプレゼントをしなさいよ?」
「・・・それがお嬢様の御要望とあれば」
「よろしい」
私も紅魔館の中へ入る。
これでいい、私は。
少なくとも今はこれが精一杯の甘え方。
フランのようにはできないけれど、私もあの子が大切だ。
フランの姉として紅魔館の主人として咲夜の主として、色んな柵もあるけれど。
私は咲夜が大好きだ、これからも、ずっと。
咲「だから、私はまだ十代…」w
作者様GCBプレイヤーだったんですか…
それはそうと、1がア○ロ、2がガ○ー、3がギレ○、4がソ○ネンですね?
お嬢様理想高すぎw
レミリア視点も面白かったです。他の人妖視点も読みたくなった。
正解ですwww奴とか貴様とか思い出してたらその辺の方々が
頭に浮かんだのでやってみました。
何が起こるのかドキドキしながら見てたけど、ほのぼのしてましたねぇ。
こういうのもなかなかおつなものです。
紅魔館には押し入りたくないですガクガク
これは良いほのぼのですな
咲夜(メイド服)ではなく、咲夜(割烹着)を想像しましたw