※下のSS『友』愛の魔理沙視点です。
少し百合的表現があるかもしれません。
霧雨魔理沙。
努力はするけどそれを他人に見せるのは嫌なただの負け嫌い。
そんな、どこにでもいるようなただの普通の魔法使いだ。
少なくとも、霧雨魔理沙自身はそういう認識だった。
だけど。
最近になって霧雨魔理沙はもしかしたら自分が普通じゃないんじゃないかと思えてきた。
いや、きっと霧雨魔理沙は普通じゃない。
だって、普通の、普通の魔法使いの『女の子』なら、
同性を相手に、恋い焦がれるなんてことは、しないから。
いつからあの紅白を『好き』に、『愛して』しまったのだろうか。
きっとそれは日常の延長線で、明確にいつ。というのは無いのかも知れない。
もしかしたら、あの紅白と出会ったその瞬間から、霧雨魔理沙は恋に落ちていたのかもしれない。
同じ恋い焦がれるなら、古い付き合いだというのなら、香霖にでも恋をしていればそれは普通なのに。
なんでまた霧雨魔理沙は、よりによって同性を、女性を愛してしまったのか。
さらに言えば、世間的に言えば霧雨魔理沙の『親友』に値する彼女を。
そんな、倫理的にも、感情的にも問題のある恋をしてしまったのか。
そんな事を考えていると、霧雨魔理沙は目的地に着いていたことに気づき、自前のホウキをストップさせた。
博麗神社。それが目的地。
その主である紅白の親友、博麗霊夢はなにか上の空という感じで庭を掃いていた。
一瞬だけドキリと弾む胸を押さえて、霧雨魔理沙は、私は霊夢の前に降り立った。
「待たせたな」
霊夢はいつも通りの顔で、私を見ている。
私もいつも通りに笑顔でいれているだろうか。
「……じゃあとりあえず、お茶でも飲む?」
そういうと、霊夢は持っていた竹ぼうきを木に立てかけてさっさと台所に歩いて行った。
残った私は、まだ少し弾む胸を押さえながら、いつもみたいに縁側へと歩いて行った。
友『愛』
「相変わらず霊夢のお茶はおいしいな」
「その辺に売っているただのパックだけどね」
「いや、うまいようまい。霊夢が淹れると違うなー」
少しだけ本音を混ぜながら、チラリと霊夢を横目で見てみた。
満更でもない顔をしているのでホッとした。引かれていたらどうしようかと思った。
そんな些細な事も気になるなんて、すっかり恋する乙女だなと、少し自嘲する。
「それはそうと、今日はどんな魔法の実験台にしてくれるのかしら?」
「じ、実験台だなんて人聞きが悪いな。これはただの手合せだぜ?」
どうだか。と呟いて霊夢はお茶をひとすすりした。
ちょっとだけショックだった。霊夢にとってこの毎週の行事は迷惑なもの。そんなニュアンスな気がしたからだ。
確かに霊夢に会いたいから毎週来ているんだけど、霊夢に近づきたいというのも本音だ。
いつもの異変の時に、私がおいつけない勢いで全てを解決させていく霊夢に、少しでも近づきたいから。
まるでそうすることで、霊夢と対等の存在になって、そうしたらもしかしたら霊夢は私を見てくれるんじゃないかと。そんな稚拙な妄想。
分かっている。霊夢にとっては私は友人レベルだって事は理解しているのに。
そんな事を考えていると、なにを考えていたのか霊夢は小さくため息を漏らした。
そのため息にもドキリとする。ダメな方にしか意識が向かわない。
慌てて私はいつもの『霧雨魔理沙』がするように言葉を紡ぎ出した。
「ため息をすると幸せが逃げるって言うぜ?」
「逃げるほど幸せなんてないわよ」
「暗い奴だな。まぁいいや。じゃ、そろそろやるか?」
だめだ。これ以上は、私がもたない。
私は慌ててお茶をグイッと飲みこむと、傍らに立てかけていたホウキを手にとって広い場所まで歩いて行った。
すでに霊夢によって神社周辺には結界が張ってあるから、辺りに被害はでることもない。
侵入者もいなければ、この短い時間は私と霊夢の2人っきりだ。
2人っきり……だ、だめだだめだ。そんな考えは無くせ私!!
霊夢も最後にお茶を飲み干したみたいで、縁側を降りてこっちまで歩いてきた。
ここまできたら、もう後は思考をチェンジするだけだ。
異変を解決する時みたいな、戦闘モードだ。
「言うの忘れたが、さっきの私のお茶に茶柱が立ってたぜ。幸先いいな」
戦闘モードに切り替われば、そんな軽口も瞬時に出てくれる。
この時だけが、私の心にモヤモヤを広がらせない安息の時間だ。
……霊夢の事が好きなのに、それを考えていない時の方が安息だなんて、おかしな話だけど。
「そう。私も言うの忘れてたけど、茶柱立ってたのよ」
霊夢は私に合わせるように、無表情でそう言った。
こういう部分が、霊夢のいところだ。こんな事にまでつきあってくれる。
……そう、『こんな事まで』。
きっと自然と笑みを浮かばていたであろう私は、慌ててホウキにまたがって飛びあがった。
こんな顔、霊夢に見せたくない。
私の放ったマスタースパークが霊夢をかすめる。
これで2発目か。
スペカ宣言は4枚だから、あと2回しか撃てない……か。
となると『愛符』はどちらに残していこうか。最後に残して外したらお笑いだな。
なぜか霊夢はしかめっ面をしている。胸がズキリとする。
いや、今は弾幕ごっこの最中だ。イリュージョンレーザーを放つ。
と同時にこっちにも霊夢の放った札が向かってきた。グレイズ。
グレイズ。
そして続けさまにホーミング性の札が飛んできた。
いつもの気迫は無い。難なく避けれる。
と、同時に霊夢の声が聞こえた。
「霊符『夢想封印 散』」
2発目の、スペルカード!! 札はおとりか!
だがそれも避けて見せた。おかしい。今日はいつもに増して霊夢に気迫が無い。やっぱり……
いや、考えるのは止めよう。今は弾幕ごっこだ。さっきも言ったじゃないか。
再びイリュージョンレーザーを放つ。
スレスレを避ける霊夢だけど、服の端が焦げ落ちているのが見える。
そして続いて霊夢の封魔針が3連続で飛んでくる。
ギリギリ……避けれたっ!
そして同時に、私は『愛符』の準備をする。うまい位置に設置できた。
そして、霊夢はうまい位置に移動してくれた。これで、決まるはずだ。
慌てて私は宣言する。
「ボーっとすんなよ! あ、愛符…『H・マスタースパーク』!!」
ハクレイ。と言いたかったが何故か急に出てきた恥ずかしさで思わず『H』と言ってしまった。
霊夢が私の意図を測りかねているのが目に見える。
でも、これも作戦と言えば作戦。このマスタースパークは普通に見えるけど普通じゃない。そう思わせれば私の勝ち。
……普通に見えるけど普通じゃない。まるで、私みたいだ。
なんて考えていると、霊夢は案の定ただそれを避け、距離をとった。
そして、その位置は―――反射した際にちょうど向う位置だ。
霊夢がスペルカードを取り出すが、私はそれを一瞬でも遅れさすために、叫んだ。
「神霊『夢想封……」
「かかったな!」
え? と言いたげな顔の霊夢の向かって、私の放ったH・マスタースパークは折れ曲がった。
完璧だ。どうだ霊夢。これはお前みたいに追尾するマスタースパークだ! お前と同じ。同じだ。
だけど、背後にマスタースパークが迫っているというのに、霊夢は動かない。
そして緩やかに振り向くと目の前に迫るマスタースパークと対峙した。
な、なにしてんだ霊夢! いつものお前なら簡単に避けれ―――……
次の瞬間、私の目の前は真っ白になった。そして、霊夢が地面に落ちて行くのが見えた。
バカ野郎! だからため息なんてつくなって言っただろ!!
うっすらと目が開いている霊夢に、私は全速力でホウキを飛ばした。
霊夢には、私にはどう見えるだろうか。
この目に溜まって、風で後ろに流れていく涙が見えていないことを祈ることにしておく。
なんとか地面に着く前に霊夢を助けることに成功した。
服がところどころ焼け焦げているが、他は特に別状はなさそうだ。
いや、でももし今のがヤバい場所に当たっていたら。
そう考えると、私は居ても立ってもいられずにそのまま霊夢の部屋に向かっていた。
まさか、こんな事になるなんて。私はただ、あれで霊夢の鼻を明かしたかったんだ。
ただ、「すごいわね魔理沙」って、言ってほしかっただけなのに―――……。
そんな、子どもみたいな、幼稚な考えで霊夢を傷つけてしまった。私の胸は、チクリと痛んだ。
とりあえず布団をひいて寝かせておいた。
……しかし、この服は拙い気がする。所々焼き切れていて、その、下着とかが……。
こ、これはやましい気持ちがあるわけじゃなくて、霊夢が心配だからやるだけだ。
そんな、勝手に立てた大義名分を背負って、私はただただ無心で霊夢のいつもの脇全開の巫女服を着替えさせた。
途中、何度霊夢が目を覚ましてしまうか。何度自分がおかしくなってしまうかと戦いながら、なんとか服を着替えさせることに成功した。
ほっと胸をなでおろすと、途端に霊夢は目を覚ました。
まるで着替えをずっと耐えていたかのようなタイミングに、私は胸がチクリと痛み、同時にひどく自己嫌悪した。
「……ん」
「あ!! れ、霊夢大丈夫か!? なにか異変ないか!? 記憶無くなってないか!? 血とか出てないか!?」
「……いきなりそんなに言われても、頭がおいつかないわよ」
そんな気持ちを隠したくて、私は矢継ぎ早に霊夢に質問攻めをした。
霊夢は迷惑そうな顔をしていたので、私はさらに胸が痛んだ。あぁ、最悪だ。私は。
「そ、それもそうだな。とりあえず、大丈夫か?」
それでも、霊夢が心配なのは本音だ。記憶が無くなっているなんて事はないみたいだけど、不安なのだ。
霊夢は腕を回したり肩を回したりしながら、「大丈夫……みたいね」と呟いた。
その後に自分の衣服をマジマジと見ている時はドキリと特大の心臓音がしたけど、霊夢はなにか納得した顔でふむと呟いていた。
……もしかしたら、あの途中だったスペルカードでちゃんと防げているなとか考えているのかもしれない。また胸が痛む。自業自得だけど。
ボーっと外を見ていた霊夢が、ゆるやかに私の顔に目を向けた。
「それにしても、あれが今回の見せたかったもの?」
「え?」
「愛符……H・マスタースパークだっけ?」
「あ、あぁ」
霊夢の口から『愛符』という言葉が出てきて、ドキリとした。あぁ、もう。さっきからドキリとかチクリとか。きっと今日だけで私の心臓はオーバーダメージだ。
きっと霊夢のことだから恋符の上位だから愛符なのか。とか思っているのだろうけど。
そこに含まれている、私の本音はきっと、知られていないだろう。
「よくもあんなもの曲げれたわね。しかも私の方に向けて」
「いや、曲がった方向に霊夢がいたのは偶然だ。ただ私は空中に新しい魔法を仕掛けただけさ」
これは本音だ。
むしろあまりにもうまくいきすぎてびっくりしているくらいだ。
「新しい魔法?」
「そう。簡単に言うと魔法を反射する鏡を設置したようなもんだ」
その後、私は軽く魔法の説明をしてやるが霊夢はあまり理解してないみたいだった。
まぁ仕方ないと言えば仕方ないのだけど。
ようは私の魔法にしか反応しない、反射鏡だよと言ったらあぁ、と納得してくれた。
「始めは失敗作だと思ったんだけどな。よく考えたらなにかに利用できると思って使ってみたんだ」
「で、見事成功したと。すごいじゃない」
すごいじゃない。
霊夢が、私に向かってすごいじゃない。と。
あ、やばい。なんか顔にやける。どうしよう。
「いや、それほどでもないって。この魔法使うまでけっこう集中しなきゃいけないし、どこに設置したか見にくいからなー」
恥ずかしさも相まって、私は早口でそこまで捲くし立てる。
でも霊夢はあんまり聞いてる様子は無かった。なんだかさみしいよ。
「はぁ……なんだか差をつけられたわね」
そして、霊夢はもらしたその言葉に、私は今日一番の心臓音を聞いた。
……え?
「はぁ?なに言ってんだ急に」
なんだか、嫌な予感がする。とても嫌な予感が。
「私はまだ1枚スペルカード残っていたのに、意識を失って負けたのよ? しかもその前の1枚もあなたの新しいスペルカードの相殺に使った。ぼろ負けもいいとこじゃない」
まるで自虐するように笑う霊夢。
なんだこれは。今日はいったいどうしたんだよ霊夢!?
「……いや、あれは不意打ちみたいなもんだったしな。実戦向きじゃないし、もう使わない」
慌てて、私は前言を撤回した。もしかしたら、さっきの言葉が霊夢の癇に障ったのかもしれない。
いや、もしかするとこんな気持ちすらも癇に障っているのかもしれない。
なんという悪循環。だれか私の口を止めてくれ。
いやだ。霊夢に嫌われるなんて、世界で一番嫌だ。
「……どっちにしろ、もう十分でしょ? 私じゃもうあなたの相手は無理よ。アリスあたりにでも」
その言葉で、私の中のなにかは崩壊してしまったのかもしれない。
霊夢が、私を拒否している。
『それはそうと、今日はどんな魔法の実験台にしてくれるのかしら?』
『おかしい。今日はいつもに増して霊夢に気迫が無い』
『な、なにしてんだ霊夢! いつものお前なら簡単に避けれ―――……』
『……いきなりそんなに言われても、頭がおいつかないわよ』
『はぁ……なんだか差をつけられたわね』
『私はまだ1枚スペルカード残っていたのに、意識を失って負けたのよ? しかもその前の1枚もあなたの新しいスペルカードの相殺に使った。ぼろ負けもいいとこじゃない』
『……どっちにしろ、もう十分でしょ? 私じゃもうあなたの相手は無理よ。アリスあたりにでも』
「なっ!! も、もしかして怒ってるのか!? なにに怒って……ってあぁ直撃させちゃたしなぁ。でもあれは霊夢にどうしても見せたくて……あぁ!」
やばい。涙が出てきた気がする。嫌われた。霊夢に嫌われた。
どうしよう、霊夢の顔が見れない。あわあわと私は辺りをキョロキョロと見回している。
霊夢はきっと、変なものを見る目で見ているのだろうな。
「ちょ、ちょっと。なによ急に」
「だ、だって霊夢が……もう、私の相手をするのは嫌なの?」
思い切って、聞いてみた。
どうせ嫌われるのなら、もういっそ。なんて気持ちじゃなくて、それは暴走に近い。
霊夢は、はぁ? と言いたげな顔で私を見ている。
「いや、逆じゃない? 魔理沙と私なんかじゃ力に差がありすぎるから、魔理沙が迷惑じゃないかって私は」
一瞬だけ、嫌われているわけじゃない。とホッとしたけど、霊夢の誤解はむしろそれ以上だった。
私が、霊夢を嫌いになるだなんて。
「迷惑じゃない!!全ッ然迷惑じゃない!!!」
思わず、立ちあがって熱弁してしまっていた。
霊夢は唖然と私を見上げている。
「今までだって、今日のだって全部霊夢と手合せしてて思いついたり、どうやったら霊夢に勝てるかを考えて、考え抜いてできたものなんだ!
それに今日のあ、愛符だって、霊夢のホーミングする弾幕見て思いついたスペルカードだし! あ、後はえっと……
むしろこれが1週間の楽しみで昨日は寝れなかっ、じゃなくて、今日も朝早くに目が覚め、でもなくて!! あぁっと、もう!!!」
暴走すると、止まらなかった。
私の中の冷静な私は、目の前の霊夢がほぼ放心状態であまり自分の言葉を理解してないようなのを見て少しだけほっとしていた。
そして、私の口は止まらない。
「それに、霊夢の力と私の力に差があるなんてあるわけない! 霊夢はちゃんとした異変の時はすごいのに、こういう遊びの弾幕ごっこの時は本気だしてないからで!!
あ、今のは非難してるわけじゃないくてね!? とにかく、私にとって霊夢は目標なんだ! 霊夢を見てるから私はがんばれるんだよ!!」
一部嘘だけど、本音だ。霊夢は目標で、私の最終目的はその隣にいることだ。
ずっと。そう、ずっと。
「『H・マスタースパーク』だって、えっと、その、これは霊夢のスペカを参考にしたから名前を借りたスペルカードだし……」
「私、の?」
やっと意識が戻ったらしい霊夢が、呟くように言った。
な、なんでこんな言いにくいところだけ聞いてるんだとちょっと責めてみる。
「そ、そう。その……ハ、『ハクレイ・マスタースパーク』って……」
自分にとっては、もうほぼ告白に近い発言のつもりだった。
愛符で、しかもハクレイ・マスタースパークって!!!
真っ赤になっているのが自覚できる顔で、私はそのままぺたりと床に座り込んだ。
あぁ―――恥ずかしい。
「……いいの?」
一瞬、霊夢が何を言っているのか分らなかった。
でも、その声に顔を向けると、霊夢は、泣いていた。
「え?」
「いいの? 私は、平等じゃなくていいの?
昔みたいな博麗霊夢じゃなくても、いいの?
向上心もない、冷たい私が、あなたを『友達』だなんて、呼んでいいの?」
絶句だった。
私は、いままでの私を絞め殺したくなった。
私が一方的に感じていた霊夢との『友情』は、まだ霊夢には確証のあるものじゃなかった。
……思えば、そうだ。博麗霊夢とは、妖怪にも人間にも平等で、誰にも心を開かない、それこそ本当に『空を飛んでいる』ような人間だった。
それでも、最近になって霊夢も私も、親しい妖怪、人間が増えてきている。それこそ、神様だってその中にはいる。
もしかしたら、霊夢はずっとそのことを気にしていたいのかもしれない。
今まで宙を浮かんでいるような存在だった自分が、こんな人がいい妖怪、いや、妖怪がいい妖怪たちと仲良くなって、いいのだろうかと。
誰かが自分を非難するんじゃないだろうかと。
……でもそれは、私にとって失恋と同等だった。
理解はしていたけど、完璧な、1人相撲だったのだ。
なんだか泣きたくなってきた。
でも、私はそれをグッと堪えた。
いいんだ。失恋したって構わない。それでも私は霊夢が好きだし、まだ、全ての道が閉ざされたわけじゃない。
だって、霊夢はそんな悩みを私に打ち明けてくれたのだから。
「……バカ言うなよ」
そう考えると、私は自然と笑みを浮かべていた。と、思う。
そして、右手を差し出した。
霊夢は恐る恐るといった様子で、私の顔を見た。
「私達は、その……」
……一瞬、ここでもし告白したらどうなるんだろうと。考えてしまった。
傷心(?)の相手に、つけこむように。もしかしたら、霊夢はいい返事をくれるかもしれない。
……でも、それは違う。絶対に違う。と、私の理性が叫んだ。
「……うん。『親友』じゃなかったのか?」
それでも、『友人』から『親友』へとステップアップくらいは、いいでしょ?
「『親友』……」
霊夢は変な顔をしていた。
もどかしそうな、そんな顔だ。
きっと、彼女もなんらかの答えを見つけたんじゃないかと。そう思った。
「……また、これからも邪魔していいか? その、『手合せ』、したいから」
恐る恐る、私は聞いてみた。
数時間前に交わした会話を、もう1回してみた。
「…………」
そして少しの間の後―――霊夢は、笑った。
「『手合せ』じゃなくて、『実験』じゃないの?」
完全に数時間前と一緒のセリフを言う霊夢に、思わず私もつられて笑ってしまった。
「……実験なんて人聞きが悪いな。これは、ただの弾幕ごっこだぜ?」
「……どうだか」
そう言って霊夢は、私の差し出している右手を、ガッチリと、固く固く握りしめた。
きっと私のこの恋は不毛で、他人からは祝福されるものじゃないだろうけど。
きっとこの恋は前途多難で、誰かに相談できるようなものじゃないだろうけど。
もしかしたら、それを告白したら最後、霊夢との関係が全て壊れてしまうかもしれないけど。
それでも、私は霊夢を好きでいようと思った。
『親友』という、他のみんなとは一歩抜きでているこの関係でも満足なんだけど。
今なら、私は声に出して言えるかもしれない。
それでも、台所で今日ご馳走になる夕飯を作っている霊夢には聞こえないように、私は呟いた。
「……愛してるぜ、博麗霊夢」
ニヤニヤがとまらないじゃないですか 勘弁してください
無論文句なしの100点です
A面を読んでからのB面は、お互いの感情の食い違いが少し切ないですね。
それはさておき、親友から次へのステップアップはいつですか?wktk
なので、少し誤字脱字の部分を書き出しておきます。
なんだまた→なんでまた
こんな気持ちするも癇に障って→こんな気持ちも癇に障って
A面を先に読んだので、どう頑張っても想いが報われないだろう魔理沙が気の毒に思えてしまった。
……続きは、無理そうですね。この二人の関係はこれぐらいがちょうどいい気もしますけど、ここは頑張って霊夢を落としてあげて欲しい処(笑)
マリサがもう乙女すぎて、にやにやが止まらなかったですw
誤字らしきモノ「魔理沙なんかと私じゃ~」→「魔理沙と私なんかじゃ~」ではないでしょうか。A面B面両方なってます。
誤字
最初の方
チャンジ→チェンジ
まあ、あれです。乙女万歳!
葛藤している霊夢も乙女な魔理沙もよかったです。
誤字指摘もAB両面直させてもらいました。ありがとうございます。
続きについては、考えて無いこともないんですけど、とりあえず保留で。
誤字?報告をば。
他人に見せるのは嫌なただの負け嫌い。
↓
負けず嫌い。
ではないでしょうか?違ってたらごめんなさい…。
この魔理沙にはがんばってもらいたいものです。博麗さんを葛藤から救ってあげてくれ!
布団は敷くものです。