スタスタガシャーン!
河童も歩けば機械に当たる。
鉄くずだらけで泣き顔の少女が一人。
「うわぁっちゃぁ!! へるぷみーだよー!」
そこへほよよほよよと通りがかったのは、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉。
「…………」
ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉は無言で少女を見ている。
思わず、『仲間にしますか?』と尋ねたくなるほどだ。
「そこのふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉、私を助けろ!」
無理を承知で、少女はふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に言い放つ。
ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉はただただ無言で少女を見ている。
哀れむわけでもない、蔑むわけでもない。
ただ見つめるだけの永久中立国的な眼差し。
やがて少女はふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に小馬鹿にされてるような気がしてきて、一気に沸騰、思わず怒鳴り散らす。
「黙って見てないで少しは何か言えよ! うんでもすんでもいいから何か言ったらどうなんだよっ!」
うんともすんとも言わずに、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉はただ少女を見つめている。
動じる様子は無い。ふぉさふぉさと、ただふぉさふぉさと、まるで羽毛布団の中の羽毛のような毛をふぉさふぉさとさせている。
「あー……もういいよ。どっかいけよ……毛玉に何かを期待するなんて、河童に塩をあつらえるようなものよね」
少女は、怒りを通り越して諦めの様相でふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉を見つめていた。
見つめあう二人(?)
やがて突然少女はハッとする。
さしずめ、赤い実はじけた。
そのふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉の目力は、彼女の胸の奥の小宇宙の奥の宇宙までを貫いていたのだ。
少女は無言でふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉を見ている。
やがて少女はふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉へ両手を伸ばす。
もしも、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に人格があったなら
もしも、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉がピアノが弾けたなら
もしも、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に手足が生えたらなら
……いやそれは流石に気持ち悪いか。
そんな事を真剣に考えながら、無意識にゆっくりとゆっくりと手を伸ばす少女。
そして、あと少しで手が届くという所で少女は思わずその手を止める。
少女の手のひらは、崩れた鉄くずの潤滑油がかかって、ぬるぬるになっていたのだ。
今、この手でつかまえたら、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉が汚れてしまう。
ぬるぬるとした真ん丸い汚らわしい玉になってしまう。
だからと言って手を洗いに離れた隙に、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉がいなくなってしまうかもしれない。
手に入れたくても手に入れられない。そんなジレンマが彼女を襲う。
それを知るか否か、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉は、ただただ少女を見ている。
再び見つめあう二人。
その時、一筋の風が駆け抜ける。
春ですよー。
微かにそう聞こえた気がした。
思わず少女は辺りを見回す。
誰もいない。
そして少女は元の方を向く。
「あ……」
ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉は居なくなっていた。
ふと、上を見上げると、突き抜けたような青空の中にふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉の残像が残っていた。
河童も歩けば機械に当たる。
鉄くずだらけで泣き顔の少女が一人。
「うわぁっちゃぁ!! へるぷみーだよー!」
そこへほよよほよよと通りがかったのは、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉。
「…………」
ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉は無言で少女を見ている。
思わず、『仲間にしますか?』と尋ねたくなるほどだ。
「そこのふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉、私を助けろ!」
無理を承知で、少女はふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に言い放つ。
ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉はただただ無言で少女を見ている。
哀れむわけでもない、蔑むわけでもない。
ただ見つめるだけの永久中立国的な眼差し。
やがて少女はふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に小馬鹿にされてるような気がしてきて、一気に沸騰、思わず怒鳴り散らす。
「黙って見てないで少しは何か言えよ! うんでもすんでもいいから何か言ったらどうなんだよっ!」
うんともすんとも言わずに、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉はただ少女を見つめている。
動じる様子は無い。ふぉさふぉさと、ただふぉさふぉさと、まるで羽毛布団の中の羽毛のような毛をふぉさふぉさとさせている。
「あー……もういいよ。どっかいけよ……毛玉に何かを期待するなんて、河童に塩をあつらえるようなものよね」
少女は、怒りを通り越して諦めの様相でふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉を見つめていた。
見つめあう二人(?)
やがて突然少女はハッとする。
さしずめ、赤い実はじけた。
そのふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉の目力は、彼女の胸の奥の小宇宙の奥の宇宙までを貫いていたのだ。
少女は無言でふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉を見ている。
やがて少女はふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉へ両手を伸ばす。
もしも、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に人格があったなら
もしも、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉がピアノが弾けたなら
もしも、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉に手足が生えたらなら
……いやそれは流石に気持ち悪いか。
そんな事を真剣に考えながら、無意識にゆっくりとゆっくりと手を伸ばす少女。
そして、あと少しで手が届くという所で少女は思わずその手を止める。
少女の手のひらは、崩れた鉄くずの潤滑油がかかって、ぬるぬるになっていたのだ。
今、この手でつかまえたら、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉が汚れてしまう。
ぬるぬるとした真ん丸い汚らわしい玉になってしまう。
だからと言って手を洗いに離れた隙に、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉がいなくなってしまうかもしれない。
手に入れたくても手に入れられない。そんなジレンマが彼女を襲う。
それを知るか否か、ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉は、ただただ少女を見ている。
再び見つめあう二人。
その時、一筋の風が駆け抜ける。
春ですよー。
微かにそう聞こえた気がした。
思わず少女は辺りを見回す。
誰もいない。
そして少女は元の方を向く。
「あ……」
ふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉は居なくなっていた。
ふと、上を見上げると、突き抜けたような青空の中にふぉさふぉさとした真ん丸い毛玉の残像が残っていた。
作者からのメッセージ。シュール。
俺の頭、意識をふぉさふぉさと占領する作品でした。
頭が春になりそうだ
なんだろう、不思議と和んでしまった。