Coolier - 新生・東方創想話

あるブン屋のそこはかとなく退廃とした一日

2008/03/01 03:07:53
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注意:キャラが壊れてるというか死んでるというかこれはひどい、あとオリキャラ注意


「ん……もう、朝ですか…」
幻想郷のブン屋の一人、射命丸文が目を覚ます。時刻は朝の五時といったところである。
「さて、急いでご飯にしましょう。何時もより早く起きた筈ですし」
台所へ向かい朝食の準備に取掛る、しかしブン屋はネタが命。
食事に多くの時間を割けないため普段は握り飯、良くて沢庵が付く程度、昼食もまた然り。夜は酒(二升程と鬼)付き。
「さて…行きましょうか」
握り飯を頬張り、弁当を抱えながら家を出る。食事の時間を惜しんで今日も今日とてネタ探し。


 ―――――


「さて……先ずは」
文は紅魔館に向かった、とりあえず門番のヘタレっぷりの理由でも調べようと思ったからである。
と、当の門番は器用に立ったまま眠っていた。
「おはようございまーす」
「うをわわわわわ!?ぶ、ブン屋さんですか……」
「ええ、門番のえーと……唐さん?のヘタレっぷりを取材しに来ました」
「唐!?よりによって古いほうの呼び名!?お願いですから名前を憶えて下さいよ!」
「そんなことはどうでもいいです、で何でそこまで無能なんですか?最悪体術で魔理沙さんを叩き落せばいいじゃないですか」
「どーでもよくない!!あとヘタレでもない!私だってプライドぐらいありますよ!?武人ですよ!?
 そんなルールに反するような卑怯な真似できるわけ無いじゃないですか!!!」
「えーと……弱いのはヘタレ特有の妙なプライドのせい、と」
「だから違ーーーう!!」
と口論を続けていると、いきなり警鐘の喧しい音が響き渡る。
「敵襲、敵しゅーーう!!白黒、白黒接近!!」
「あややややや噂をすれば」
「うを!?早!!」
急スピードで接近した魔理沙は何故か門の手前でブレーキをかける。その際何名かの妖精が轢かれたが誰一人として気にしちゃ居ない、
最早お約束の域となっている。
「今日は早めに邪魔するぜ」
「いや、早いとかそういうレベルじゃないでしょ!最悪の朝だ……」
「こりゃ負けられませんね」
「はい?」
「負けたら記念すべき500敗目の写真を撮って、色々と脚色してばら撒きますから」
「えぇぇぇ!!ちょ、そんなに多くない、せいぜい468敗ですよ!?」
「あー、そろそろいいか?」
突っ込む所が違う、という取り巻きの心の叫びを無視して魔理沙が口を開ける。
「辞世の句は読んだか中国?」
「誰が詠むか!あと名前で呼んで!!」
「今日でお前との腐れ縁を切りたいんだ、とっとと倒されてくれ」
「倒されてたまるか………アンタを倒せば毎食の食事がコッペパン一欠片から半分になるんだからね!!」
「うわ少な……」
こうして美鈴はやたら冷遇されているという事実を改めて目の当たりにする文であった、そしてこれはネタ帖の1ページに刻まれた。
「さて、とっておきでケリをつけるぜ!!」
すかさずスカートの下からだしたのはスペルカード―恋符「マスタースパーク」―
そして宣言しようとしたその時、
「いきます、私の切り札……使いたくなかったけど」
と、美鈴もまたスペルカードを取り出す。
「―黄緑『双頭龍』―発動」
「は、多少素早いぐらいじゃコイツは避けきれねぇぜ!!―恋符『マスター」
「テトラクテュス・グラマトン……」
そう呟くと共に胸部解放、まぁ俗に言う勝利者の余裕の見せつけ。普通ならあられもない行為に面食らったり憎しみを覚えるが、
ギャラリーはビビッていた。それもその筈、
「中……ごく?」
「む、胸に顔……ありますよ?」
そう、美鈴の両胸に顔がついていたという訳の解らない事態が発生していたからである。
「行きますよーー!右ちっちーさん、左ちっちーさん!!」
「あいさ、積年の恨みを晴らすでぇ!!」
「我等日陰者の怒りを見るがいい!!」
「「「受けよ、我等三妖怪が最大奥義!!!」」」
言うや否や胸を形成していた妖怪が恐ろしい勢いで伸び、魔理沙に迫る。
「――ハッ、しま」
時既に遅し、二つの妖怪はそれぞれ魔理沙の腕に噛み付く。
「い!?いっだーーーい!!」
「これで終わりです!」
美鈴は腰を深く落とし、踏ん張りの利く体制を作った。そして二つの妖怪は螺旋を形成しながら凄まじい勢いで天へと昇ってゆく。
それはさながら、二つの龍が互いに絡まりながら天へ還る光景にも似ていた――
「「「うををを!!大・○・山・おろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉし!!!」」」
そして魔理沙は遥か上空へと吹き飛ばされたのであった………
「――ふぅ、やっと終わりました」
「あ、あの……お二方は」
「紹介が遅れましたね、私は彼女の左胸に擬態している左ちっちーこと左龍と申します」
「んで、ワイが右胸担当の右龍。通称右ちっちーや」
「は、はぁ……」
作り物でもなんでもない顔がちゃんと喋っている、まぁそれ以前に伸びた事を考えるとあんまり驚かないが。
ただ、文は自らがブン屋であることすら忘れる程に、完膚なきまで圧倒されていた。
いまだに頭が事態の2割も収拾できていないつーかこんな馬鹿な事理解してたまるか。
ちなみに顔立ちは左が二枚目、右が三枚目となっている。
「なぁ、嬢ちゃんブン屋やろ?頼むからワイらの事秘密にしといてーな?な?」
「え、あ、はい……」
「感謝いたします、天狗殿」
「あ、いえ……」
「有難う御座います、いやーこの事お嬢様にも咲夜さんにも秘密にしてたんですよ~」
「……えーと、何故?」
「それはやっぱり引かれると付き合いづらいというかなんというか、まぁそういう事です」
「……えーと、ソノヨウナオカラダヲナサレテイルノハナゼ」
「それは今から2、300年程前からですかね~……その頃はまだ私そんなに強くなかったんですよ、ただ身体が頑丈だったぐらいで」
「私達は元々双頭龍の一族だったのですが、人間の手によって退治されかかりましてね。
 人間達が苦戦の末首を切り落とした、と見せかけて自ら首を切り落とされる事で人間を欺いたのですが」
「やっぱりその状態で生きるのなんてムリがあるわな、そこでめーりん嬢ちゃんとワイらが会った。っつーわけや」
「当時さほど力が無かった私は共生することを条件に、お二人の「気を操る力」で私を助けて下さるよう頼んみました。
そして今に至るわけです。あ、お二人の頭の形はもとからこーじゃありませんよ?わざわざ私のためにこの形をして下さっているんです」
「ヘエ……ソーナノカー」
「しかし、さくやんもワイらを鷲掴みにするの勘弁してくれんかなぁ。ちっこいの気にしてるからってあんまりやー」
「まぁ、確かに。力を入れられると流石に痛いもので。美鈴嬢、どうにか」
「いや、私もお願いしているんですけど……ってあれ?もうお帰りになられるんですか?」
「オジャマシマシタ」
「もし今度いらっしゃるならご一緒にお茶でも楽しみましょう」
「おう、めーりん嬢ちゃんは中々、茶に五月蝿いからな」
「ハイソノトキハゴイッショニ」
そして文は紅魔館の上空へ昇り、
「あれは夢、そう夢。ユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメ
 ユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメ
 ユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメ
 ユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメユメ」
必死に自己暗示をかけ続け、そして
「あれ、私ここに何しに来たんでしたっけ?まぁいっか、あははははははははははは」
文は紅魔館を後にした――
「嘘……」
咲夜はある一点を見つめ続けていた、それは美鈴の両胸である。偶然門の付近で『普通に』掃除をしていた時にそれを聞いてしまった。
「ウソ……よ、わたし、あんな気味の悪いの」
迂闊に話の内容を理解してしまったがために精神が異常をきたしかけている。
そりゃもう普段から憎しみやら妬みやら羨望やら怒りやら悲しみその他諸々の感情をない交ぜにした状態で引っ張ったりしていたからである。
しかも質感は本物と同じだから質が悪い。
「あは、は……もうだめだなんであんなのにしっとしていたんだろうおかしいなわたしあんなきもちわるいのさわってきもちわるいのきもちわるいのきもちわるいきもちわるい」
壊れた。
「しんじてたのにめーりんもきもくないってしんじてたのにうふふあははっははは」
あまりの驚きにレミリアのカリスマが復活したり、パチュリーの喘息が治ると同時に大魔法図書館に火を着けたり、
小悪魔がルシフェルクラスの魔力を持つようになったり、メイド長が最終的に彗星談義をしたりと、
後に『紅魔騒動』と呼ばれる事態に発展するのをまだ文は知らない。


 ―――――


「さて、次は何所へ行きましょうか」
無縁塚付近を漂い、次の取材先を思案する。と、そこで急接近する何かが――
「うわ、危な!」
その物体はやたらとサボりが目立つ死神、小野塚小町だった。
「それはこちらのセリフです!!……あれ、どうしたんですか小町さん?血相変えて」
「取材は移動しながらにしてくれるかい、一刻も早く無縁塚から離れたいんだよ!」
「解りました!なら私に掴まって」
「へ……あいよ、こうかい?」
「手を離さないで下さいね」
「え?ちょ」
と文字通り韋駄天の速度で駆け抜けた。文ンベよ、今が駆け抜けるとき!………そして適当な所で文は降りた。
「着きましたよ……ってあやや、大丈夫ですか」
と腕を押さえている小町を見て、少し文は心配した。
「だ、大丈夫なわけあるか………腕が千切れるかと思ったよ」
「この様子なら大丈夫そうですね、で何があったんですか」
「ま、約束は約束か。あいよ答えてやるさ」
「で、一体何が」
心なしか文の眼は異常なまでに輝いている。それも蛍光灯クラスが小町に向けら……って、うおっまぶし。
「ああ、クビになっちまったんだよ」
「はい?」
「いや、だから、アタイ……死神の職、クビになっちまったのさ」
「うわ……つまんね」
もの凄い嫌な表情を浮かべ、文は呟いた。まぁそれもこれもニート三号候補
(ちなみに一号は輝夜、二号は妹紅)と天狗その他に罵られていたからである。
「おいコラ、他人様の不幸を『つまんね』の一言で済ますな!」
「いや、確かに酷い事を言ったのは謝りますよ?でもいずれなると解り切っていた事じゃ……」
「……いや、その事に反論はしないけどさ、言い返せないし。でもな………当の本人に対してその反応はないだろぉぉぉぉぉぉ!!!」
文のシャツの襟を掴みガクガク揺さぶって、地味にビミョーなダメージを文の頭に蓄積させつつ怒りを晴らそうとする。
とそこである人物が偶然小町の目に入る。
「あれは……まさか」
「うぷ……気持ち悪、ってあれ――誰でしょうか?」
白髪で少し痩せこけた顔立ち、赤のジャージを着て鞄を片手にしていた人物がそこに佇んでいた。
「し……四季、様………?」
「はい?いや、あんな顔立ちしてましたっけ?」
「いや、アタイには解る!……絶対に説教させられる……あ、あたいをシバきに来たんだ!!」
「いや、でも、あれー……あんな格好だったかなー、少なくともジャージなんか着ていなかった筈ですけど」
「へ?――あ、ホントだ。でも一体どうして」
と、映姫を見ると鞄から剃刀を取り出し、そして――
「さらば、我が生」
「タンマぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁ!!!」
すかさず小町が止めに入り、剃刀を取り上げる。
「わ、私の兄さんがぁぁぁぁぁ!!」
「落ち着いてください四季様!こんな物騒なものを兄呼ばわりするんじゃありません!!あと自殺はめー」
「いや、ツッ込むところの順序がが逆でしょ」
と、文も遅れて映姫の側に駆け寄る。
「だって、だって………ヒック、エグ」
「一体何があったんですか、あたいでよければ相談に乗りますよ」
「ヒック……ほんとう、ですか?」
「任せてください。不肖小野塚小町、四季様のためならば」
「グス――わかり、ました。実は」
「「実は?」」
「閻魔を、閻魔をクビに……」
場が凍る、なんかもう、チルノを直に触る方がまだあったかいってくらいというかそんな感じの冷たさが今ここに。
「――はい?」
「あちゃー……」
「おいコラそこのブン屋、他人様を侮蔑の眼差しで見るんじゃないよ。で、一体何が原因ですか?言って下さい、そいつを殴りに行きますんで」
「……小町が、サボりすぎたせいです」
「なんだって!?あ、あたいが原因……そ、そんな」
「いや、あなた私が取材に来た時堂々とサボッてませんでしたっけ?」
「そんなこたぁない、だって一日に一人のペースで魂を四季様の許へ送ってたし」
文はいたたまれない気持ちになったのでとりあえず小町にドロップキックをぶちかました。反省はしていない。
「がふぅ!?な、何をするだぁぁーーー!?」
「そ・れ・が・原・因でしょうがぁぁ!!っていうかなんでクビにならなかったんじゃーーーー!!」
「無問題だからにきまってるだろぉぉぉ!!」
「威張るなぁぁぁぁぁ!!」
「えーと、妹の地球はかいばくだんは」
「「やめんかぁぁぁぁぁぁ!!!」」
小町は再び映姫からクソ物騒なブツを、文はそれら自殺に使える道具の入っていると思われる鞄を取り上げた。
「いもうとが~、あったかいわがやが~……もってかないで~」
「頼むからこんな物騒なもん捨てて、マトモに戻ってください四季様!!」
「とにかく、元・閻魔なんですから自殺なんか考えないで下さいよ!情けなくてこっちが泣きたくなります」
「だって……私、死んでるんですよ?閻魔を辞めさせられた時から」
「どうするんですかこのワーカーホリック、そこのプータローさん」
「無職言うな、まぁこうなったのもあたいが原因だし、どっか雇ってくれるトコ探すさ」
「閻魔様ならともかく、少なくともあなたは無理でしょ」
「ふ、この小野塚小町を嘗めちゃいかんぜよ、あたいの職歴は百八式だ」
「ま、どうせ数日程度で辞めたと思いますけど」
「いや、どれもざっと十数年以上勤めてたね。それもそこそこ偉いトコに就いてたし。
 結局あたいはこの職は向いてなかったんだな、と毎度遅く気付いては辞めるを繰り返して今に至るのさ」
「えーと、七輪に練炭……睡眠薬、ダイナマイト………えーと何々『戦国最強砲制作キット』と
 『ヒーローじゃなくてもできる!ファイナルクルセイド』……と、刃物が全然ありませんね」
「他人様の話を無視するんじゃない」
「嘘吐きは閻魔様に舌引っこ抜かれるって言いますから、とりあえず閻魔様に代わってその二枚の舌をチョン切ってやろうと思いまして」
「あたいはスズメじゃない!!」
「小町の言うことは本当です」
「ゑ?」
嗚咽が収まってきたのか、そこで映姫が口を挟む。相変わらず弱音○クにジャージ着せたままに見えるが。
「小町は様々な職業を務めていたという事が私が採用した理由です。転々としていたというのは些か問題がありますが、
 彼女なら死者の心を解きほぐして私の許へ連れてきてくれる、と」
「全然務まってませんね」
「いやー、意外と死神の仕事ってハードなんだよ」
「今の一連の作業のどこが?」
背後に鬼が見えるくらいのオーラを発しながら文は小町を見る。
「まぁそんな怖い顔しないでくれって、頼むから」
「怒っていませんよ、あなたを見てると何故か殺意が湧いてくるだけです」
「だからそれを静めてくれって……そっちじゃなくて、ついでに頼まれた四季様の私生活のサポートさ」
「聞いた感じだと全然キツそうに思えないんですが」
「まぁ、黙って聞いてくれ。
 まず朝の5時半に四季様とあたいの朝食と弁当を作る。で、その後は結構広い家をついでに掃除。
 次に四季様を起こしに行く、いやさ寝顔が可愛いから起こすのを躊躇われるけどね。でも心を鬼にして起こさにゃならん。
 んで起こしたら朝食、やたら四季様味とか栄養バランスにうるさいからその愚痴を聞くのに大体30分かかったりする。
 で、四季様が愚痴を垂らして歯磨きが終わって出かけたら風呂掃除。
『黒海』とやらぐらいの大きさだ、って昔聞いたんだけども閻魔の中じゃ結構狭いらしい。
 後はあたい達が帰ってきてからだね。んで夕食、そういやいつも夕食時は四季様甘えてきたりするねぇ。
 で食べ終わったら四季様は瞑想、あたいは風呂焚き。風呂に入るとさ、四季様っていつも体洗って、髪洗って、ってせがむんだよね。
 風呂入り終わったら四季様は就寝。寝るまで子守唄歌ってくれって頼まれてるから四季様が寝るまで歌い続ける……ってどうしたんだい?」
「うぐぐぐ……羨ましい、椛にはたまに抱き枕になってもらうよう頼んだり、一緒に御飯を食べるぐらいしかしてないというのに……って、
そうじゃなくて………ツッ込み所が多すぎるわぁぁあぁぁあ!!!」
とりあえず文は小町に渾身のストレートを叩き込んだ、後悔はしていないむしろ清々している。
「ぐはぁ!?またぶった、巫女にもぶたれたこと無いのに!!」
「サポートどころか普通に母親やってんでしょうが!!っていうかアンタら同居か、同居なんだな!?」
「いや片道2時間のご近所さん」
「近くないでしょ!どこをどうやったら言いはれるワケ!?」
「いや、実際近いよ?障害無ければ歩いて数分なんだけど少しでも浮いてるとどんな大妖怪も一撃でたたき落とす大玉をブッ放ってくる使い魔がいるから
歩いてでしか入れないし、 歩いたなら歩いたで四季様ファンクラブのSSS(セクシーコ○ンドー外伝すごいよ四季様)とやらが全力で妨害してくるから
そいつらを叩きのめすとそんぐらいかかんだよ」
「何頼んでんだアンタはぁぁぁぁぁ!!」
「はひゃいいい!?」
プライベート暴露で真っ赤になっていた映姫に別の意味で顔を真っ赤にした文が矛先を向ける。
「だって……だって、料理まともにできないから、小町がいてくれなきゃ点滴をずっと打たないと………」
「あー、もう………なんでそんな無茶引き受けたんですか」
半ば呆れつつ小町に尋ねると、
「上目遣いで目を潤ませて『駄目、ですか……?』って言われたら誰でも引き受けると思うけどねぇ」
文は頭にきてダブルラリアットをかました、遠慮はしていない。
「がふぅ!?」
「げぼはぁ!?」
「あーもう、このダメ妖怪どもめ!!……なんでこんなのに説教されたんだろ」
心底疲れた様子で二人を見ると、踵を返して空へ飛ぶ。
「あ、おいコラ、逃げるな!仕返しぐらいさせろ!!」
「もう沢山です、もう関り合いたくないんで来ないで下さい」
そう言い残し、文はこの場を後にした。尚この件は原型をほぼ留めない形でネタ帳に書き込まれた―――


 ―――――


「どこかにマトモなネタはありませんかね………正直色物に来られるとロクな目に遭いませんし」
と、適当に空を漂っていると――
「て、天狐でーーーーす!!!」
「ほぎゃーーーー!?」
唐突に鼻血を噴出した八雲藍が現れる。
「な、なあ……すまないが、私と共に新たな道を歩まないか」
「い、嫌です!何が悲しくて生まれたときの姿にならなきゃいけないんですか!?」
「スッパ……否!私は正気に返ったのだ、スッパなど愚物のやることだとな!!」
「え!?じゃ、じゃあ一体………」
「スッパでは受け入れられるものも受け入れない!故に私は!!」
と自分の服を掴み、上に投げ捨てた。
「うぉわ!?……って、またぜんr」
「違う!時代はニーソだ!!」
と改めてよく見るとオーバーニーソックスのみ身につけ、後光を放つ変態狐が文の目に映った。
「(゜Д゜)」
「見るがいい、スッパの時代には無かったこの肌の瑞々しさ、そして神々しさを!!さぁ、私と共に――」
「残念ながらあややは僕のものだよ、変態狐」
振り向くとそこには香霖堂店主、森近霖之助こと通称こーりんがそこにいた。
「ば、バカな……妖怪にも人間にもなれない貴様が空を飛んでいるだと!?」
「生憎、僕も褌は古いと思ってね……新たな道を模索し、新たな境地にたどり着いた。だから空を飛ぶことぐらい朝飯前なんだよ」
そして服の襟を掴み、投げ捨てる。すると――
「そう――時代はメガネ、プラス地下足袋だとね!!」
純粋にその二つのみ身につけている変態店主からは禍々しきオーラ(犯罪者的な意味で)が漂っていた。
「さぁ、あやや!僕と共にメガネ地下足袋スタイルを世に浸透させようじゃないか!!」
「ク………天狗よ!私と共にニーソオンリーの覇道を貫こうではないか!!」
「死ね」
ヤバさ全開の二人を消し飛ばすべく、文は懐からスペルカードを取り出す。
「吹き飛べ―――疾風『風神少女』」
宣言すると同時に風が唸りを上げ、文を包む一つの球体となり、そしてその球体を中心に縦横無尽に弾幕がセットされる。
「ほう……この僕に刃向うとはね」
「貴様なら私を理解してくれると信じていた………裏切った罪は重いぞ」
そして変態共も突っ込んでくる。
「消え失せろ」
そして球体から多頭龍のように無数の竜巻がうねりをあげて二人目がけて突撃し、遅れてセットされた弾幕が起動した。
「ふはははは!!この程度の風で僕を倒せると……なにぃ!?」
「この程度の風で私は止まらぬ、止まらぬy――なんとぉぉぉぉ!?」
幾つもの竜巻があらゆる方向から絡み合い、変態共の動きを封じる。そして本命の弾幕は二人目がけて突っ込んでいく。
「お、おのれ……メガネ地下足袋に栄光あれぇえぇぇぇぇえええぇ!!!」
「私のニーソオンリーが負ける、だと……馬鹿な、バカなぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁああ!!!」
そして見事すぎるまでの噛ませ犬な台詞を吐き捨て、変態共は爆発の光に呑まれていった――
「もう嫌………早く仕事終わらせてもみちゃんのしっぽもふもふしたい……」
涙を流しつつ、不憫な少女はこの場を去った――


 ―――――


「うん……なんかこのおにぎり、腋の汗の味がする」
向日葵畑で一旦休憩するついでに食事をとっていた文の脳裏には、少し前に遭った変態共の姿が浮かぶ。
「あんなのと遭う前にご飯食べればよかった……」
と心底後悔している所である少女が目の前を通り過ぎる、蟲の女王リグル・ナイトバグだった。
「幽香ー………どこだろ、人を呼び出しといて迎えに来てくれないなんて酷いなぁ……」
「取材させろぉおぉぉぉぉぉぉお!!」
「ヒィィ!!ブン屋と目が合った!」
「憂さを晴らさせろー、鬱憤晴らしに取材させろー」
軽く文の目が逝っていたが、それを指摘できるほどリグルは勇敢ではなかった。
「は、はい……な、何なりとおっしゃってください」
「ををををを――ハッ、いけないいけない、取材しなくちゃ。という訳で、あなたと幽香さんの馴れ初めを是非!!」
とりあえず正気に戻った文はそれなりに関心を集めそうな事を聞くことに。
「あー、その事……まぁ、いいか」
そしてリグルはかつての事を語りだす――

「うぅ……痛い、痛い………」
今命からがら友達(自称)のミスティアとあの大食い亡霊から逃げ回っている僕は幻想郷にいる普通の妖怪。
しいて違うところを挙げるとするなら弾幕ごっこが微妙に弱いってとこかナー。名前はリグル・ナイトバグ。
そんなわけでがむしゃらに逃げてきて向日葵畑を歩いていたのだ。ふと見ると視線の先に一人の妖怪が立っていた、ウホッ、いい妖怪……
ハッ……そう思っていると突然胸元からスペルカードを取り出したのだ。
「弾らないか」
そういえばここは洒落にならないほど強い妖怪が居る事で有名だった、こうして僕は仕方なしに弾幕ごっこに巻き込まれたのであったアッー!!
「く……仕方ない、ここで負けるわけには」
「仕掛けてこないのね?ならアタシから行くわ」
胸元から取り出したスペルカード―魔朧「マスタースパーク」―を宣言する。
「さて、行くわ。耐えきって見せてよ」
傘を前に振るといきなり幽香がもう一人――分身が現れる。そして一方は斜め上空へ、もう一方は姿勢を低くして駆け抜けた。
「ゲェ!?よ、避け――」
「「遅いわね」」
幽香の声が重なって聞こえたと思うと、既に前後に幽香が一人ずつ立っている。そして傘を持っていない左手を突き出し、
「「これで終わり」」
そして左手から無数の弾が打ち出されていく――
「ごわぶらぶべらばぁ!?」
前後から打ち出される無数の弾を喰らった痛みで動きを封じられ、成すがままにされる。
そして弾が消えると同時に傘を突き出し、2対の極太の光がリグルを襲う。
「うが……あ?――うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そしてリグルの意識はそこで途切れた―――
「あ……?」
「気がついたみたいね」
と自分の方を見ると蔦に四肢を絡めとられ、動きが取れないでいた。
「あんなの……かわせないって」
「外ではどうだか知らないけれど、生憎この向日葵畑じゃ私がルールだから。
 まぁ最近イジメる相手がいなかったから捕獲した反省はしていない、ってだけなんだけど」
「無茶苦茶だよ……」
「そんなの負けたアナタが悪いのよ、それじゃどうしようか」
獲物を狙う猛禽類の眼差しでリグルを見つめる幽香、そして空を見上げて思案する。と
「さて、じゃあネットリといじめて――」
「それなら容赦無しでいこうか」
「――え?」
ふとリグルの方を見るといつの間にやらいなくなっている、と気配を探ると背後に――
「悪いけど、僕の仲間のカミキリムシに蔦を切らせてもらったから」
「な――!?だけど近接なら……ひぃ!?」
と足下や太ももに気持ち悪い感覚が走ったのを見ると、そこにはGの群れが――
「やぁ!嫌ぁ!!」
そこら辺は乙女だったのか、本気で嫌悪感を感じていた。思わず腰を抜かして無防備になってしまう。
「ふぅん、結構可愛く啼くんだね……」
「嫌ぁ!入ってこないで……あぁぁ、気持ち、悪い……」
服の中にゴキ○リ以外にも百足などが這いまわって侵入してくる。
「僕がこれまで生き残ってきた理由はね、相手が油断したところをこうやって蟲達を使ってね、動きを封じた後でフフフ……」
「あ、あぁぁ……」
いつの間にやら形勢逆転、完膚なきまで怯える幽香。そして
「蟲を舐めちゃいけないよ……じゃあ、やろうか。徹底的に、ね」
「い、いやぁぁぁぁぁ!!!!」

少女猫格闘中……

「ふぅ……以外と呆気なかったな」
「グス……ヒック、エグ………うぅぅ」
リグルの着衣は少し乱れていたが、幽香は上半身が露になっており、横たわって泣いていた。
ただまぁ上半身の大事なとこは蔦が隠してくれていたり。
「初心なのも、悪くないかな」
「――てよ」
「うん?」
「責任、取ってよ」
「へ!?」
「責任取ってよぉぉおぉ!!」
幽香は勢いよくリグルに抱きつき、押し倒す。
「え、ちょ、待った!」
「うるさい!私の(以降の発言はとてもKESIKARANので削除されました)」
「し、仕掛けてきたのはそっちの方でしょ!?理不尽にも程があるよ!!」
「うるさい……うるさ、い………う、うぇぇ……」
「えーと………俗に言う年貢の納め時、ってこと?ハァ……ただ死にたく無かっただけだってのに何でこんな目に……どうしよ」
幾ら何でもリグルだって良心ぐらいは存在する、幽香のために仕方無し(後、命が惜しい)に付き合うことにした。

「とまぁ、こんな感じで」
「載せられるかぁぁぁぁ!!」
半ばブチギレ状態で文は絶叫する。
「えぇ!?聞いてきたのはそっちでしょ!?」
「こんなヤバい代物だとは思わなかったんじゃーーー!!」
「濡れ衣だぁぁ!!」
「脚色するにしたって………ああ、もう!ピンクな言葉しか浮かんでこない!!」
「そう、良かったじゃない」
「「……はい?」」
二人が振り向くとそこには大層ご立腹な様子の幽香様が立っておられました。
「ゆ、幽香!?いつの間に!?」
「ゲェー!本人!!」
「リグル、後でお仕置きね。あとそこのブン屋は死になさい」
「死刑宣告!?に、逃げないと」
「逃がすか」
と、握りつぶされたスペルカード―魔朧「マスタースパーク」―を宣言する。そして幽香の姿が鏡合わせのように二つに別れる。
「一度聞いた代物なら逃げ切れます!」
「「出来るかしら、まぁ逃がさないわ!!」」
すかさず文は左に逃げるが、そこで無数の弾幕が上下左右どれも目測六尺に広がる。後をチラッと見ると前同様弾幕が張られていたが――
「結構密度が濃いですが……真ん中がガラ空きですよ!!」
と駆け抜けようとしたその時、視界に突き出された幽香の傘が真っ先に入った。
「さよなら」
「生きていたらまた会いましょう」
そして極太の光――元祖マスタースパークの光に視界が覆われていった。
「ぬぎゃぁあああぁああぁ!?」
そして後ろ側からもマスタースパークが迫り、二つの光に文は飲み込まれてしまう。
(お、終わった………もみちゃんに好きだって、言え、ば、よか)
そして前方にいた幽香の姿が波打つようにして消えた後、後ろから放たれたマスタースパークにフッ飛ばされていった。
「さて………邪魔者はいなくなったことだし、リグル?」
「ここで死ねるか!先手必昇!!」
「え、あ、しま――キャーーーー!!」
この後二人がネコサ○ベル同士の喧嘩、もといキャットファイトに発展したのは、黒焦げアフロじゃ流石に助かりそうにないブン屋は知らない。


 ―――――


「ここは……あ痛たた!?」
「やっと目を覚ましたみたいね」
辺りを見渡すと畳に襖、そして傍らに銀髪の女性と見慣れない光景が眼前に広がっていた。
「何があったか知らないけれど、とりあえず治療はしておいたわ」
「わざわざどうもありがとうございます、お代は――」
「いらないわよ」
「へ?」
「ちょうど試したい傷薬があったものだから実験ついでに貴女に塗らせてもらったもの」
「あ、あのー……」
もの凄い嫌な汗をかきつつ、自分に塗られた薬について問いただそうとすると、
「あぁ、薬のこと?大丈夫、ちゃんと人体に影響のないよう作ってあるし、動物実験は済んでいるもの」
「は、はぁ……」
動物実験に使われた動物って自分のことなんだろうか、と考えたが口に出したらどんな目に遭うか解ったもんじゃないから文は黙っていた。
とりあえず自身を落ち着かせ、事態を整理する。とそこでふとある事に思い至る。
「そうだ、カメラは!?私の商売道具!!」
「カメラ?生憎見かけてないわね、でも貴女の怪我の程度から言って無事じゃないでしょうね」
「そ、そんな………」
「貴女は新聞記者なのでしょう?なら泣いては駄目、新聞記者ならメモ帳と筆記具があれば少なくとも食いつないでいけるじゃない。
 カメラに頼っては駄目という天からのお告げとでも考えればいいと思うけれど……なんか柄じゃないわね」
「うぅ………はい」
涙を堪え、文は返事をする。とそこで慌ただしい足音が聞こえてくる、と襖が勢いよく開けられる。
「えー……師匠、患者さんは!?」
「あらあら、ウドンゲ。慌てなくても大丈夫よ、貴女の薬のお陰で怪我程度で済んだわ」
「あ、どうもです……」
と文も会釈をするが、どこか違和感を感じ、これはネタになるだろうと考えた。
「あのー、ウドンゲさん、さっき何を言おうとしたんですか」
「な、何でもありませんにょ!?」
「何かありますよね、包み隠さずさぁ!!」
「うちのウドンゲは狂気を操る力を持ってるからあまり怒らせてはいけませんよ?」
「ごめんなさい」
「あはは、まぁしつこく追及しなければ構いませんよ。あ、あはは」
この発言で何かあると文は確信したが、今は動くべきではないとも考えた。
「あー、コホン……傷の方は?」
「あ、もう大丈夫です」
「なら問題無いわね、身体は大切にね」
「はい」
と、とりあえず布団から出て体を見るが特に傷らしいものは見当たらない、とりあえずその場を後にする。
「さて……張るとするなら風呂場、でしょうかね」
何故にこんな唐突な事を考えたかというと、決して全裸の写真を撮ってヨダレ垂らしてハァハァしながら見たいからではない。
風呂場では、安心して胸の内を明かす事があるだろうと踏んだからであり、
その時にネタになる爆弾発言が一つや二つ出るに違いないと考えていた。
「えーと、風呂場は……ここ、ですね」
とそこで湯気が立ち上りキャッキャウフフな感じの声が聞こえる場所を見つける、と見間違えたかどうか確かめるため、
危険を冒して覗き見ると、兎達が浴槽に浸かっていたり、(以下検閲済)を見受けられたため、間違いないと確信した。
そしてすぐさま見つからないよう竹藪に身を隠す。
「さて……来ないかな、あの二人……グヘヘヘ」
軽くオヤジ入った状態で待つ事2時間――
「姫様と永琳様と鈴仙さんが来られたぞー、お前たちー、早く上がれーー」
「「「「「「了解ウサ!!」」」」」」
「五月蝿!?……っと、来た来た。でも何で他の兎達まで……まぁ、いいです。好都合ですし」
と足音を立てないよう僅かに浮いて接近し、そして壁に耳を近づけて全神経を耳に集中する。
「――いいわよ、2人共。もう誰も居ないわ」
「姫様、わざわざこのような事をしなくても」
「喧騒の中で湯浴みするよりも、静かに貴女達と一緒に浸かっていたいのよ」
「私はやっぱり他の兎達と一緒に入っていたいのですけどね」
「毎度毎度静かに湯浴みもどうかと思いますが」
「こんな所で立ち話もアレだから早く入りましょう因幡、鈴仙」
「……はい?」
あからさまに不自然な台詞、因幡とは兎即ちニセモノ臭い耳を生やした鈴仙を指すのではないかと考えたがどうも違う様子。
と、上を見上げると木の柵に覆われた窓が見えたため、文は急遽そこから三人を覗く事にした。
「解りました、それでは」
と鈴仙はあからさまに取り外し可能にしか見えない耳を外す。
「あ、結局外れるんですねアレ……って、まさか」
「やっとですね、ん……」
と永琳が帽子をとるとそこから可愛らしいウサ耳がピョコンと出てきた。
「マジ……?」
「ふぅ……師匠、疲れました。抱きしめて下さい」
「飽きもせず毎日やるのね永琳、流石に私だって呆れるわよ」
「兎は構ってくれないと死んでしまうんですよ?ですから構ってください」
「あーはいはい、もう仕方ないなぁ……」
「んにゅ……師匠、好きです」
「鈴仙、私にも因幡を抱きしめさせなさい。いやむしろ2人共抱きしめるわ」
なんか百合臭いと言えば百合臭いふいんき(なんか変換させたくない)が漂っているが、
文は生憎それを見て椛とイチャつきたいという考えには至らなかった。
「………えーと、つまり実は師弟関係は逆で、あの銀髪の人は実際甘えんぼとかそういうオチ?」
「いいと思うけれど?」
「え……?あれ、何かいやーな予感が」
と、振り向くと三人が何時の間にやら先程の姿でそこに居た、ただ永琳は帽子を被って俯いてうーうー言っているが。
「他人の私事を覗くのは感心しないわね、天狗さん」
「よくも……よくも見てくれたわね!!恥ずかしいのに、恥ずかしいのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「あーもう永琳、そんな事言ってる場合じゃないでしょ。さて……この秘密を知られたからにはどうしてくれようか」
「あ、あはは……貝のように口を噤むという選択肢は?」
「天狗の新聞は尾びれ背びれが付くのが普通と鈴仙から聞いたわ、その事から口が堅いとは思えないわね」
「私の秘密を見たんだ、絶対に許さない!!」
「んー、悪いけど永琳を泣かせたんだから許さない。まぁでも最後に聞きたい事でもあったなら言ってみて、可能な範囲で答えてあげるわ」
「どうやって瞬時に私の背後に立つ事ができたのですか?魔術の類でもないと説明がつきません」
「それは私の『永遠と須臾を操る程度の能力』、簡単に言ってしまえば時間の尺を自在に変えられると言う事よ」
「確かに………それなら逃げる事ができなかったのも納得できます」
「他には?」
「……私が無事逃げ延びる方法は?」
「無いわ」
「無いわね」
「あってたまるかぁぁぁぁぁ!!」
とりあえず記者人生(いやまぁ妖怪だけど)終わったな、と文は確信した。
生憎椛に会うことも許されない事になってしまった事を文は悔やんだ。
「流石に命まで奪うのは非道にも程があるわね、なら鈴仙の薬の実験台にでもなってもらおうかしら、まぁ劇物以外渡す気は無いわよ?」
「それなら永琳が新しく創った蓬莱の薬の実験台にでも」
「えーと、それはどう足掻いても死ねなくなるんですよね?冗談抜きで嫌なんですけど。できることならもみちゃんと一緒に死にたいし」
「その相手が誰だか知らないけれど、まぁ観念してね」
といい終わった頃には輝夜と鈴仙に取り押さえられ、永琳が注射器片手にヒタヒタと文の許へ寄ってきた。
「私の人生の汚点……封印させてもらうわ」
「は、放して!お願いまだ私にはやりたいことが」
「さよなら、哀れみを以って貴女を送るわ」
「ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
かくして今宵の竹林に一人の天狗の叫びが木霊したのであった………


 ―――――


「あややー、お酒飲もーー!」
文の自宅に来たのは伊吹萃香、文の酒飲み仲間である。
「あややー、どうしたのー?」
いつもなら宙をすべるようにして萃香のもとに来て、取り留めの無い事を話しながら居間に向かうのだが、未だに現れない。
「……どうしたの?あややーー!!出てきてよーー!」
と、ここで文とは違った気配を感じ取る。
「誰……?」
良く知る霊夢や紫でもない存在への敵意を滾らせ、それのいる場所へと向かう。そこは……
「ここは……」
よく二人で酒を飲む居間、萃香は戸に手をかける。
「誰!?」
勢いよく戸を引くとそこには黒い





































プ○ニーがいた(文の身に付けている帽子装備)。

「……本気でアンタ誰?」
さしもの萃香も本気で毒気が抜かれた、何せやたらと汗をダラダラ流して萃香と対峙していたからである。
「ど、どーも……文さんの知り合いでs…じゃなくって知り合いッス」
手(手?)に握っていたカンペガン見で喋るソレ、どう考えても怪しさ全開です本当にありがとうございます。
「ぜ、全然怪しいモノじゃないッスよ!別に投げても何も起こらないッスから!!爆発なんてもっての他ッス!」
「ふ、ふーん……」
怪しさ全開のソレの必死さに押され、とりあえずそうだということにしといた。
「…で、アンタ文知らない?」
「ししししし知らないッスよ!?ま、まだ家に帰っていいいいないみたいッス!!」
「そ、そっか……じゃ、じゃあ文によろしく伝えといて」
「わ、わかりましたでございますです……もとい、わかったッス!」
ビシッと敬礼をし、黒プリ○ーは萃香を見送った……
「うぅ……なんで、なんでこんな目に……もみちゃーん、霊夢さーん、誰でもいいから助けてー………
 バレてほしくないけどたすけてー……うわぁあぁぁぁぁぁぁん!!」
あられもない姿になってしまった文はただただその場で泣きじゃくっていたのであった。

「ウガァァァァァ!!!!」
「も、椛が反乱を起こしたーー!?」
「アヤ、サマ……ドコ?ドコニツレテイッタ?」
「し、知らん!私は知らん、だからこっちにくるうわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
天狗の里で椛が人狼化して暴れまわっているのもまた、文は知らなかったりする………
本日の教訓 好奇心って猫どころか蛇も殺せそう、あと無知って意外と幸せかも。

どうも、この作品を執筆中に自分でもどこからツッ込めばいいか解らなくなった等品 骸です。
ここまでくるとカオスっていうよりむしろコスモス(秩序的な意味で)?な気がしなくも無いです。
とりあえず、○にモって入れたそこのトレパンは自重、あと中盤辺りで力尽きたとか言わないで。
メッチャキニシテンネンorz
等品 骸
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コメント



0.280簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
え、ちょ、右チッチーとか左チッチーとかってまさかストプラ!?
さらにプ〇ニーとか………
ネタのカオスっぷりがすげぇwwwwww
5.80bobu削除
笑いすぎで喉をやられましたw
この幻想郷はもうだめかもしれないねw
ありがとうございました
6.90桶屋削除
右チッチーと左チッチーが苦しいくらいヒットしましたw
いやぁ、こういうギャグは良いですねぇ♪
7.無評価等品 骸削除
私の作品を見て頂いた桶屋さん、bobuさん、名前が無い程度の能力さん、
真に感謝いたします。しかしストプラネタ(一応古い)を存じてる方が居られるとは思わなんだww
誤字を発見したので修正しておきました
8.100西行妖削除
なんというカオスな文ちゃんの一日……。
9.60名前が無い程度の能力削除
右チッチーと左チッチーの喋り方がストプラじゃなくてサっちゃんとキーやんに見えた自分はどうすれば…orz
11.60名前が無い程度の能力削除
カオス!
キャラ崩壊の危機だ…
この歴史を無かったことにっ!!
13.90名前が無い程度の能力削除
ヤバいよ、コレ。
キャラ崩壊してるよ。

あとリグルさんの一人称は「僕」じゃなくて、「私」だよ。
喋り方も女の子らしい喋り方だし。
14.90名前が無い程度の能力削除
ヤバいよ、コレ。
キャラ崩壊してるよ。

あとリグルさんの一人称は「僕」じゃなくて、「私」だよ。
喋り方も女の子らしい喋り方だし。
16.70名前が無い程度の能力削除
ここまで来ると、逆にオーケーじゃないかとww
19.無評価名前が無い程度の能力削除
スッパテンコーとこーりん出してりゃ取り敢えずギャグとして受け入れられるとか
思ってません?元キャラのイメージ残してお話書けるように頑張ってください。