×月○日
「厄を貰いにきましたー」と厄神がやってきた。
まぁ邪険にする理由も無いので適当に集めていきなさいと言うとまじまじと私を見出した。
何よ、と言うと
「あなたの厄にはかなり年期を感じます、これは集めがいがありそうです」
この時、一気に自分が老け込んだ気がした。
何よ年期って・・・私はまだ十代なのに・・・
今日の錠剤の味は心なしかしょっぱかった。
×月◎日
今日はお嬢様と一緒に博麗神社へ。
珍しく霊夢の他に閻魔がいた。
何でもまた死神がサボってるらしく幻想郷内を探しながら善行を積んでるか見て回っているようだ。
私とお嬢様は回れ右をして帰ろうと思ったが案の定閻魔は逃がしてくれなかった。
それから二人で計1時間の説教を受けた。
主にお嬢様の件で、なのだが。
「十六夜咲夜、あなたは少し部下に罰を与えすぎる。
もう少し部下達には思いやりを持って接しなさい」
毎度サボってる死神に天誅を下してるあなたに言われたくないと言おうかと思ったがややこしくなるので止めた。
「しかししっかりと善行を積んではいるようですね。
はぁっ、小町もこれぐらいとは言わないけれどもう少し真面目にやってくれれば・・・」
溜め息をつきながら閻魔は飛んでいった、少しだけ同情した。
×月☆日
パパラッチがやってきた。
あまり話したくない相手だったが無視するとさらにやかましいので相手をしてやることにした。
最近いい記事が中々書けないらしくネタを探してるとの事。
私が知っている限りじゃ特には無いわね、と無難に答えた。
こういうのは魔理沙辺りのほうがわかるんじゃない?と言うと
「あの人の言う事は信用できるか否か半々ですからねー」
と返された、なるほど納得である。
それじゃ八雲紫は?と言うと
「信用できません、あの人の言う事は九分九厘嘘だと思ってます」
酷い物言いだがたぶん幻想郷中の者が頷いてしまうから仕方ない。
確か幻想郷信用できない奴ナンバー1を獲得しまくってたような気がする。
まぁ前の梅干しの件で私は少しだけ考えを改めたけど。
「んーしょうがないですね、また今度来ます」
2度と来るなと言ったが全く聞く耳持たないだろう。
こいつはそういう奴だ。
「あ、そうだ・・・何かまたぶっ壊れたとか紅魔館壊れそうとかありませんかー?」
「・・・・・・」
メイド式ドロップキックで門の外へ蹴り出した。
いくら足が速かろうが時間を止めてしまえば関係無い。
紅魔館では毎日物が壊れるとか思っているような言い方だった、失礼極まりない。
そんなに毎回壊れてないわよ!・・・・・・たぶん。
「いったいです!いきなり蹴るなんて酷いじゃないですか!」
中々しぶとい鴉天狗だ。
「蹴られるような事を言うのが悪い、いい事?そんなまいに「おー邪魔するぜ咲夜ー!」・・・・・・」
人が誤解を解こうとした矢先にこれだ。
魔理沙は既に門と扉をぶっ壊して中に入って行き、美鈴を見ればこれまたいなかった。
「うわっ、何時の間にか門と扉壊れてます!な、何が・・・あ、咲夜さん、やばっ」
壊された扉から今日作ったシュークリームを3つ持って美鈴が出てきた。
もう休憩時間はとっくに終わっている時間なのにだ。
おかしいわね・・・ここまで書いた瞬間ペンが砕けちゃったわ。力を入れすぎたのかしらね。
「ふむふむ、紅魔館またまたまたまたまたまた扉と門を白黒魔法使いに破壊され、侵入される。
ザル門番と定評のある門番は相変わらずのお気楽行動、と」
そして私の後ろで鴉天狗はよろしくない事をメモに書いたりカメラを撮ったりしていた。
もう何か全てが嫌になりそうな瞬間だった。
この日記を書いている間、ビンの半分くらいは入っていた錠剤が全部無くなった。
ちなみにパパラッチの原稿は下手な事書くと焼き鳥にするぞとその場で脅して止めさせ、
美鈴は地下のお仕置き部屋だ、ついでに明日の朝食と昼食抜きだ。
魔理沙は帰り際にお土産を持たせた、特製激辛クッキーだ。
今頃ヒーヒーしながら悶えているかもしれないわね。
×月★日
小悪魔に料理を教えてる最中、妖夢がやってきた。
何でも料理のレパートリーを増やす為に昨日八雲藍に相談しに行き、教えを受け、
その八雲藍が私の所にも行って教えてもらうといいと言ったそうだ。
断る理由は特に無いので了承した。
私には洋食で何か教えて欲しいと言ってきたので妖夢と小悪魔一緒に教えてあげる事にした。
何か二人して師を見るような眼差しで見るのだけは勘弁してほしかったが。
さすが白玉楼で料理を作っているだけのことはあり、妖夢の腕は中々のものだった。
出来上がった物を皆で試食した、お店に出せるくらい上出来だ、これならほとんどの輩を満足させられるだろう。
そして日頃あまりできない料理の雑談に。
「そういえば白玉楼は和食が多いのかしら?」
「えぇ、ですから洋食を覚えるには咲夜に聞けと、藍さんが。
おかげで勉強になりました」
「咲夜さんは本当にお料理上手ですからねぇ」
褒められて悪い気はしなかったが正直まだまだだと思っている自分がいたりする。
上には上がいる、それが世の中の常だ。
私よりも美味い料理を作れる者は山ほどいるだろう、まだ私は高みに達しているほどのものではない。
そんな事言うと謙遜しないでくださいとか二人は言うと思ったから言わなかったけどね。
「そういえばあなたのところのお姫様は何でも食べてるわよねぇ、好き嫌いとか無いの?」
本当だったら作る前に聞くべきだったのだがあの西行寺幽々子だ。
何でも食べられるのが当たり前のように思えてしまう。
「いえ・・・それが・・・」
妖夢の表情が曇った。
「え?幽々子さんって好き嫌いあるんですか?」
初耳だ、あの西行寺幽々子に好き嫌いがあるとは。
「決定的に嫌いな物が一つ・・・・・・梅干しが駄目なんです」
「え・・・?梅干し?」
なんたる偶然か、八雲紫の友も梅干しが駄目という。
「前は大丈夫だったんですが梅干しを種までお食べになるので、
種ごと食べるとお腹から梅の木が生えると冗談で言ったら信じてしまって・・・」
「「は?」」
小悪魔と二人でぽかーんと口を開けて呆けてしまった。
あの亡霊何でそんな事を信じるのか、常識で考えてありえないだろうに。
「それ以来梅干しは見るのも嫌らしいんです。
いくら嘘だと言っても信じてもらえないし困ったものです」
さすが八雲紫の友人といったところかしら。
あっちは知ったら消そうとするしこっちじゃそんな世迷言信じるし。
梅干しって凄いわね・・・いつか梅干しのせいで幻想郷が揺れたりするんじゃないの?とか
この時思った。
それがいけなかったのかもしれない。
「あぁ、他言はしないで下さい。
誰かに言ったーなんて知られると何をされるか・・・」
「困った亡霊の姫君ねぇ・・・あ、そうだ・・・じゃあ・・・」
帰り際に妖夢にある物をお土産として渡した。
それと料理のメモを、妖夢は大層感謝していった。
しかしこの時まさかあんな大事になるとは私は思わなかった。
眠気が襲ってきたので続きは明日書くとしよう。
×月@日
紅魔館修復率80%
なぜ紅魔館が壊れる被害があったのか、それは昨日、私が妖夢に持たせたお土産が原因だった。
中身は前に八雲紫に出した梅干しを使ったパウンドケーキ。
それとメモには梅肉を使ったパスタのレシピが書いてあった。
梅干しの種さえ無ければいいんだからこういうのなら問題無いだろうと思っていたのだ。
そして食べさせた後に妖夢が説明して種が入ってなければ大丈夫でしょう?とか言って
食わず嫌いをとりあえず止めさせようという計画だったのだ。
しかし私の考えが甘かったのか想像以上に西行寺幽々子が【アレ】なのか・・・
事は昨日の夜7時くらいに起こった。
お嬢様と妹様のお夕飯を作りつつ、今日はどの野菜を出そうか考えていたところだった。
「十六夜咲夜はどこだあああああああああああああ!!!」
という大声と爆発音と共に紅魔館が揺れた。
「きゃっ!?ちょ、ちょっといったい何事よ・・・!?」
慌てて庭に出ると屋敷の中央に穴が出来ているではないか。
いったい何があったのか周囲を見渡していると
「咲夜さぁぁぁん、上!上!」
美鈴の声がしたので上を見た、すると・・・
「見つけたわよぉ・・・いざよいさくやあぁぁぁぁぁぁ」
何か見たこと無い顔した西行寺幽々子がいた、蝶の弾幕を周囲に侍らせて。
しかも左手で美鈴、右手で妖夢を持って。
何か妖夢がぐったりしているのは気のせいだろうか・・・
その光景は今でもちょっと震えるくらいだ。
頭の中はこの状況に追いつけていなかったが、とりあえずお怒りの西行寺幽々子を宥めることにした。
「いったい何なのよー!私が何かしたのかしらー!?」
返答はいきなりの美鈴&妖夢のダブルミサイルだった。
「いきなりぃ!?」
慌てて避けた。
哀れ、美鈴は地面に埋まり、妖夢は塀に突っ込んだ。
「何かした?何かしただとおぉぉぉぉぉぉ!?」
何かお怒りのボルテージが上がってしまった。
「貴様が、貴様が妖夢を誑かして私にあれを食べさせたんだろうがあぁぁぁぁぁ!!!」
西行寺幽々子お得意の蝶の形をした弾幕が降り注いでくる。
「ちょ・・・待ちなさいてぇ!」
鬼のような弾幕に私は時を止める能力を使って上空に非難した。
何か美鈴が吹っ飛んでたような気がしたけど気のせいだろう。
「待ちなさいよ!あれってたぶん梅干しでしょ?
でもあれは梅肉だけで種なんか入ってないわよ!」
「2度も、2度も食べてしまった。
私を題材に幽々子と梅の木でも童話で書く気!?」
「聞けよ人の話!ていうか意味がわからないわよ!」
どうやら嫌いになるあまり、梅肉にまで種があるような考えになってしまっていたようだ。
まぁ梅肉の中といえば中だけど・・・
その暴走っぷりは八雲紫以上のものだった。
「妖夢を使ってあの忌まわしい物が入ったお菓子を私に食べさせ、
さらには夕飯にまで・・・食べ終わってから妖夢が言ってくれなきゃわからなかったわよ・・・」
わからなかったのかよ・・・とまず心の中でツッコミを入れていた。
それで妖夢が私に自分が梅干し嫌いな事を言った事や、
それを知った私が梅干しを使ったお菓子と梅干しを使った料理のレシピを渡した事を知ったというわけか。
彼女の頭の中じゃ私がさも悪女のようになっているんでしょうねぇ。
まぁ理由とか知らないと喧嘩売ってるようにも思えるわね確かに、今更だったけど。
妖夢が全てを話す前に暴走したわけか。
「ふふふふふ・・・その罪、万死に値するわ。
私の妖夢を利用しての此度のあなたの計略、冥府に送るなんて言わない、塵一つ残さず消滅させてやるぅ」
何か遂には涙目になって怒り始めた。
何か私が本当に酷い事したみたいになってきていた。
つうか小声で、二回も食べちゃった二回も食べちゃったとか言わないでくれる、怖いから。
「「咲夜!」」
私を呼ぶ声に振り向くとお嬢様と妹様がいらっしゃった。
「お嬢様、妹様・・・申し訳ありません。
私がいらぬ火種を生んでしまったようで・・・」
私の要らなかったかもしれないおせっかいが招いた結果だ、私にも責任がある。
「いいのよ、事情は下の半霊から聞いたわ。
亡霊がそんな世迷言を信じるなんて馬鹿じゃないの?」
「なんですって・・・?」
西行寺幽々子の眉が危険なカーブを描いた。
周囲の空気がさらにピリピリしてきたのを感じた。
「今時そんな事を信じるなんて馬鹿みたいって言ったのよ。
伝統ある西行寺家の姫君が聞いて呆れるわ・・・」
「言うわね・・・ちびっ子吸血鬼が・・・」
「背丈だけで物を判断するのは驕っている証拠よ?
フラン、あなたもそう思うわよねぇ?」
妹様はそれに答えるかのように西行寺幽々子にあっかんべーをなさった。
ちょっとはしたないですよ妹様。
「ふふふ・・・いいわ、あなた達姉妹も纏めて消滅させてやるわ!」
「舐めた事をぬかしてるんじゃないわよ?
私達を相手にしてただで帰れると思うな、亡霊ごときが!」
まさに双方ぶつかることは免れなくなった時だった。
「はーい幽々子、あ~ん」
「え?・・・むぐっ!?」
暢気な声と共に西行寺幽々子の口におにぎりが入れられた。
もぐもぐと見る見る内におにぎりは口の中に入って行き、
「・・・・・・しゃけ」
と西行寺幽々子が言った瞬間に私達3人はがくっ、と地面に落ちそうになった。
「まったく、幽々子ったら駄目よ、こんなに暴れちゃ・・・」
「むぅ・・・だってだってぇ」
「だってじゃないの、まったく、あなたはお嬢様でしょ?
いくらなんでもこれははしたないの度を越えているわ」
門の外で説教が行われていた。
西行寺幽々子を止めたのはその友人にして同じ梅干し嫌いの八雲紫だった。
ようやく落ち着いたのか渋々八雲紫の説教を受けていた。
妹様は不満気だったがこの後夕飯を直ぐに用意します、と言ったら機嫌を直していただけた。
「何よ何よぉ、紫だって梅干し死ぬほど嫌いだったくせにそういう事を言うわけ?
妖夢が出した時のあの顔を忘れないわよ?」
「うっ・・・言えるわよ、今私は目下梅干しを食べられるように努力している最中なんだから!」
えっへんと胸を張る八雲紫。
前に私を消そうとしていた事は言うべきだろうか否か・・・
横の八雲藍を見るとしーっとジェスチャーされた、言わないでくれ、ってことだったのだろう。
「大体あなたが嫌なのは梅干しの種でしょう?あなたが食べたものには種なんて入ってないでしょうに」
「え?そうなの?」
「・・・二つとも種なんて入れてないわよ」
梅干しを使う場合、使うのは梅肉だけだ、種を使うなんて話は聞いたことがないし、たぶん無いだろう。
梅の種というは毒物で、梅干しにすると毒素はほとんど無くなるらしいが食べていいかというとお勧めはしない。
好みで食べる人はいるらしいけど。
「ほっ、じゃあ食べても大丈夫なのね」
「何かよかったよかったで終わりそうだけどこの落とし前、どうしてくれるのかしら?」
お嬢様が指差す先は穴が開いた紅魔館と庭。
戦争でも起きたような後だ、幸い花壇に被害は無かった。
また直すなんて事になっていたらもう風見幽香には頼めないだろう。
「藍、手伝ってやりなさい」
「妖夢ー任せたわー」
やっぱり従者に任せるかこいつらは・・・
それじゃ悪かったわね、と西行寺幽々子は妖夢を引っ張りながら八雲紫のスキマで帰っていった。
先ほどまでの事など全く覚えてないかのようで、神経の図太さに呆れて物も言えなかった。
お嬢様もはぁっ、と溜め息をついて呆れていた。
「ごめんなさいね、騒がせてしまって」
八雲紫は静かに、八雲藍は頭を下げまくりながらスキマで帰った。
後に残された私達がこの惨状に溜め息をついたのは言うまでも無い。
まぁこういう終わり方が幻想郷らしいのかもしれないわね。
そして今日、約束通り八雲藍と妖夢が手伝いに来てくれた。
何度も何度も妖夢が謝っていたがあなたが気にする必要は無いわ、と言っておいた。
言ってもしばらくは自分のせいだと引きずっていそうだけど。
この分だと予想よりは早く修理は終わりそうだ・・・
そういえば吹っ飛ばされた美鈴の事を皆すっかり忘れていた。
今日ズタボロな姿を発見した、謝罪の意味も込めて今日はいつもより豪勢な夜食を用意しておいた。
今頃しっかりと夜勤の当番を働いてくれているだろう、きっと。
・・・・・・・・・・・・・・
心配になったので見に行った。
門では鼻提灯ふかした美鈴が寝ていた。
「・・・・・・この駄目門番があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
メイド式ジャイアントスイングで湖に向かってほん投げた。
いい音と共に湖に沈んでいった。
×月$日
紅魔館修復完了。
八雲藍と妖夢には感謝を込めてちょっと時間が早かったが昼ご飯をご馳走し、
困った主人達のお土産も渡しておいた、さすがに今回は梅干し系ではない。
しかし本当に梅干しでこれだけの大騒ぎになるとはね・・・
でもこんな事他には喋れないわよねぇとか思ってたら
「新聞でーーーす!」
とパパラッチからの空爆がきた。
こりゃ人気も出ないわよねぇとか思いながら拾いにいった。
庭にいてよかったわ、と私は周囲を見て思った。
室内にいたら間違いなく窓ガラス割って入れてきただろう。
やれやれ、どんな嘘っぱちな話かと見出しを見ると
『西行寺幽々子、紅魔館を襲撃す。原因は幽々子の嫌いなもの!?』
・・・・・・やりやがったわね、あのパパラッチ。
どっから撮ったのか西行寺幽々子と対峙する私やお嬢様、妹様が写っていた。
内容を読み進めていくと
『驚いた事にあの西行寺幽々子に嫌いなものがあったらしい、何かまでは不明だが。
それを魂魄妖夢辺りから聞き出した紅魔館のメイド長、十六夜咲夜が挑戦状の如く送りつけたに違いない。
送りつけられた西行寺幽々子は完全に我を失い紅魔館を襲撃、十六夜咲夜の名を叫びながら紅魔館を攻撃した。
これに対して紅魔館はスカーレット姉妹と十六夜咲夜が止めに入り、一触即発の状態に。
あわや死闘かと思われたその時、事態を重く見た八雲紫の止めが入り、なんとか今回は激突は避けられたようだ。
今後、両者の溝にこれからは注目しなくてはなるまい』
「あんの腐れ天狗が・・・」
まったく余計な記事を書いてくれたものだ・・・
やはり前の時に焼き鳥にしておくべきだったかしらと思った。
「まるで私が喧嘩売ったように書いてあるじゃないの!」
これには抗議をしに行こう、と思った矢先、
縛り上げられた新聞を書いた奴を持って妖夢と西行寺幽々子が現れた。
行く手間が省けたといえば省けたがまさか昨日の続きかとちょっと緊張した。
「こちらが原因でさらに迷惑をかけてしまい本当に申し訳ありません・・・」
妖夢が土下座する勢いだったので止める。
喧嘩売ったわけじゃないけど私のおせっかいで昨日の事は起こったのは事実だ。
白玉楼側が謝罪するような事は無い。
「謝る必要は無いわ、謝るべきなのは断片的な情報だけでこんな記事を書いたこいつだけよ」
鴉天狗を睨みつける。
「あうあうあうあう・・・」
「それでこの子どうするのかしら?どうもしないならここで私がおいしく頂くんだけど・・・」
紅魔館のまん前でそんな事されるとさらに世間の目が痛くなるでしょうが、やるんだったら白玉楼でやれ。
「そうね・・・とりあえず記事をどうにかしないと。
全部回収して間違いがあったと新聞投げたところ全部に言って誤解を解いてもらうくらいかしら」
それぐらいはしてもらわないと困る。
「そ、そんな・・・せっかく書いた新聞を回収するんですか・・・?」
「「「当然だ!!!」」」
綺麗に3者ハモった。
「わひゃぁ!?うぅぅ・・・わかった、わかりましたよ。
その代わり真実を教えてくださいよぉ
幽々子さんが紅魔館にカチコミに来たのも咲夜さんが何かしたのも事実なんですからぁ」
確かに事実ではあった。
困ったわね・・・ありのままの真実を話すのは西行寺幽々子の手前憚れるし・・・
「私の嫌いなものがあったのは真実、それをよくないと思っていた妖夢に助言をしたのがこの十六夜咲夜。
私はそれを勘違いしただけよ、決して白玉楼と紅魔館の全面対決なんてもんじゃないわ。
私が子供だった、それだけのことよ」
あっさり西行寺幽々子が答えた。
これには私も妖夢も驚きを隠せなかった。
しかも自分の非を認めてだ、どういう心境の変化かしら?
「なるほどなるほど・・・ちなみにその嫌いなものとは?」
「教えないわ、今はもう喜んで食べられるし」
もう梅干しは大丈夫なのか。
というかようやく妖夢の冗談を冗談とわかったのか。
「むぅ・・・この事実は記事にしては・・・」
「駄目よ?やったらどうなるかわかるわよねぇ?」
西行寺幽々子の目が妖しく光る。
食う気だ、あの目は絶対に食う気だ、と全員思ったに違いない。
「ひぃぃぃぃぃ、わ、わかりましたぁ」
妖夢が縄を解いた。
あ、そういえば
「何で見てたのに内容が間違ってるのよ」
写真の私達は鮮明に写っていた。
でも内容は重要な要点を間違えていたり、幽々子の嫌いなものはわからないとある。
写真が撮れてこれはちょっとおかしかった。
「私がいたのは途中からだったんです、幽々子さんが『あの忌まわしいものを・・・』とか言ってた時からで、
それから紫さんが登場するまではいたんですが何が嫌いなのかは誰も言いませんでしたし、
紫さんがこちらを見たのでばれたと思って退散しました。」
内容が間違っていた理由はそれか。
そういえばあの時八雲紫が近くの茂みを一度見たわね。
なるほど、あの時はこの鴉天狗を見ていたわけか。
「で、では私は回収しに行ってきます!」
これ以上はいられないといった感じで鴉天狗は飛んで行った。
とりあえずこれで記事に関しては大丈夫だと思われる。
現に今のところ問題は無い。
その後、西行寺幽々子がお腹が空いたと言い出したので、お礼としてお茶菓子をお土産として渡した。
これでお互い遺恨も貸し借りも無しということで全ては終わった。
お嬢様にも念のため此度の件は説明した。
「あら、私はそのままでもよかったのに」
「そうなると霊夢が動き出して理由も聞かずに喧嘩両成敗しそうですが」
「それもそうね」
ふふっとお嬢様は笑みを浮かべて答えた。
「それにしても今でも笑えるわ、あの西行寺幽々子がねぇ。
あの大食い亡霊にまで好き嫌いがあるなんて」
「ですが此度の一件でどうやら梅干し自体は食べられるようになったようです。
種に関してはまぁ気にしなくなったでしょう」
これで西行寺幽々子の嫌いなものは無くなったということかしらね。
まったく、閻魔から前に他の者に優しくしろーとか言われたけどこれじゃ優しくするほうが損だわ。
「そう、それじゃあ私も嫌いなものを減らさないとね。
咲夜、夕飯お願いね」
「かしこまりました、お嬢様。
では、妹様を呼んで参ります」
これが幻想郷を騒がせた紅魔館対白玉楼事件の全てである。
事の発端が梅干しな辺り、これが幻想郷らしいのかもしれない、と私は記しておく。
私は日記を書き終え、ぐっと腕を伸ばした。
今回も館が壊れるほどの騒ぎが起きたが費用はさほどかかってない。
おかげで錠剤も少なくすんだ。
「ふぅ・・・」
こった左肩を叩く。
また湿布を張らなきゃ駄目そうね。
戸棚から湿布を取り出そうとすると
「咲夜さーん、いらっしゃいますかー」
美鈴の声がノックと共に聞こえてきた。
私は時間を止めて日記をしまった。
「いるわよ、入ってらっしゃい」
「では失礼しまーす、あ、お休み前でしたか」
「えぇ、で、何か用?」
「あ、はい、この前の館の修理に掛かった費用のまとめを持ってきました」
むっ、その仕事は確か・・・
「明日でいいと言ってあったはずだけど?」
「いえ、皆がさっさとまとめてくれたおかげで早々と私のところに回ってきたので
予定よりも早く出来上がったわけです」
さっさとって・・・
「そう・・・じゃあ書類に不備が無いか確認しないとね」
私は受け取った書類に目を通す、ふむ、妖精メイドたちにしてはしっかりとまとまっている。
「だ、駄目ですよ咲夜さん、お休み出来る時に休んでおかないと」
「いいのよ、仕事を残したまま寝るなんてできないし」
どうにも気になってしまうのはおそらく私の性分だろう。
「いーえ駄目です、お休み下さい。
最近咲夜さんは働きすぎです、お休み下さい!
ほーら、肩だってこんなに・・・こんなにこってるじゃないですか!?」
美鈴に肩を揉まれると今度は掴まれた。
そこまでこってたかしら、私。
「いいわよ、湿布張るから」
「いやいや、ここは私にお任せを
この紅美鈴の肩揉みは凄いんですから」
と言って肩揉みを再開された。
むっ、言うだけの事はあるわね。
「咲夜さんは働きすぎなんですよーもう少し休んだほうがいいんです
妖精メイド達も心配してましたよ?色々と働きすぎだって」
「だったらまずは仕事を増やすな、って言っておきなさい。
それにどこぞの門番はすーぐサボるのも問題なのよ」
「あぅぅ」
ふふっ、と意地の悪い笑みを今私は浮かべているだろう。
そんな風に思われていたのはちょっと意外だ。
陰口たたいてるくらいだから私の事は嫌ってるもんだと思ってたんだけどね。
「私を休ませるんだったらあなた達がもっと働いてくれないと無理よねぇ」
「それは脅しですか!?もしくは新手のスパルタ!?」
「意味がわからないわよ、ほら、もういいわ。
あなたも休む時間でしょ?これで明日昼寝ぶっこいてたらその顔面、ナイフで埋め尽くすわよ?」
「そ、それは勘弁してください・・・
では、ちゃんと休んでくださいよ?咲夜さん」
心配性な子だ。
「わかってるわよ、さっさと戻りなさい」
まぁこうも言われたからには今日はもう寝るとしよう。
本来明日の仕事だ、余裕はある。
「では、お休みなさい咲夜さん」
「えぇ、お休み、美鈴」
美鈴が退出したのを見て、私は隠した日記を取り出した。
さっきまで書いていた文の下にちょっと書き足すためだ。
追記:美鈴とメイドたちを少しだけ見直した。
明日は何かやらかしたりサボってたりしててもあまり怒らないでおこう。
「こんなもんかしらね」
私は再び日記をしまい、ベッドの中へ入る。
すぐに眠気が襲ってきた、疲れが溜まっていたみたいだ。
ふわぁっとあくびをした後、明日の朝食をどうするか考えながら眠りについた。
次は早苗か、けーね先生あたりでしょうかねw
しかも妖夢に嘘を教えられてとはw
あなたの作る話は面白すぎるw
楽しみでなりませんね。
今回も面白かったです。
って言おうと思ったけど、今回はあんまり悲惨なことになってないや。
そのかわりみょんが可哀想なことに・・・
さり気ない咲夜と美鈴の気遣い合いが良いですねぇ♪
普通にSSって感じで、描写が日記っぽいわけでもないですし。
って、ラムネの元ネタってあのドラマかwww
咲夜さんも苦労人ですよね……ファイトです。
面白い作品を読んで楽しめました。
次回作も楽しみにしています。
九分九厘嘘→9.9%嘘→90.1%本当なのに信じてもらえないなんて
紫はよっぽど文から信用されてないんですね。(笑)
4が出るのを期待してしまいます。
日記としてはどうなんだ、みたいな感じがありますが
日記風SSと思っていただければ幸いです・・・
というか、こんな感じにしか書けない私が未熟なだけなんですがね。
面白かったです。
「梅干と幻想郷」もしくは「梅干大戦争」で!
美鈴・・・・君の睡眠時間は一体いかほどなんだい?
点数入れ忘れていたのを半年以上にもなって気付くとは!?
な、なんたることか・・・っ!
何度か読み返していたはずなのに・・・なんで今まで・・・。
と、いうことで点数入れてきます。