「こんにちわー」
「おお、博麗さん。今月はちょっと早かったな。」
「まぁね。何か色々あって、ウチのお茶を略奪しに来る人間以外が多かったのよ。」
「それで早めに来た、と?」
「そういうこと。では早速―」
私はそう言って、空を見上げた。
「こいつらを何とかしなければならないわね。」
そこには、沢山の妖怪と使い魔が溢れていた。
* * *
幻想郷の、どことなく丘の上。空気は新鮮、水は澄み切っている。正に緑茶の天堂、そして茶飲みの楽園である。霖之助さんとこのお茶も美味しいけど、ここのお茶は独特の香りがあって捨てがたい。
毎月ここの茶園でお茶を分けて貰ってるから、まぁ感謝の気持ちぐらいは持ってると思う。だから、こうやって妖怪退治を手伝ってるじゃない。にしても、毎度来るたびに襲われてるのは如何なものか。ここは年中無休で妖怪に襲われてるのかしら?
…ちょっと、羨ましい。
「落ちなさい!!」
針がザコ妖精達に命中、あっけなく撃破。でも死なない程度に抑えた。だって、茶園のド真中に死体が腐ったらお茶がマズくなるでしょう?だから、一応生かせておけば、あとは何とかなるはず。うん、なるはずだわ。
「あー!!お前は!!?」
そして敵を倒し続けると、なにやらリーダー格な妖怪発見。にしても…
「ちょっと、いくら妖怪でも初対面の人をお前呼ばわりは無いと思うけど?」
「初対面じゃない!もう三度もやられたのよ!」
そうだったっけ?
「で、その三度やられたさんは私に何の用?言っておくけど、復讐はめんどいから受け付けないわ。」
「いや、勝てないからやめとく。」
さいですか。
「それにあたしはただ久しぶりにまともな食事がしたいだけだから。っていうか、仕掛けてきたのはそっちでしょ。」
「まともな食事ができなかったの?」
「冬は人間もあまり外に出なかったのよ…」
「あぁ、あのやたらと長かった冬のせいね。なら黒幕は知ってるから、紹介するわ。」
「いや、何でそうなるかな。って、紹介するというのに何で札を取り出してるかな?」
「黒幕に会う一番簡単な方法だわ」
「…はい?」
「まぁ、要するに」
札に霊力を注いで、
「死ねっということよ。」
* * *
戦闘は40秒ぐらいで終わった。1面ボスにしてはなかなかの奮戦ぶりだと思う。最初から決め二重打ってたし。
「博麗さん―そっち終わりましたか―?」
「ええ、終わったわ。あとこれよろしく。」
私は四度やられたさんをぽい、と查元さんに投げ付けた。
「ととと…いや、こんなのをヨロシクと言われても…」
律儀に受け止めてるくせに文句を言ってくる。まぁ、彼のことだから、どうせ生かしたまま帰すでしょうね。妖怪は人間を喰らうけど、人間は妖怪を喰らわないから。
「あれ?博麗さん、そのペンダントは確かにこの子が飾ってた…」
略奪はするけどね。
* * *
「死ねっということよ。」
ギーーン!!!!
うわこいつ滅茶苦茶だ!!いきなりスペルを撃ってくるやついるか!!
「この…風符『タイフーンミンドリ』!!」
でも同じ技は何度でもマトモに喰らわない!三度やられて判ったけど、このスペルの弱点はつばり、射程が短いこと!あたしは風を前方に集中し、そのまま反動力に乗って後ろに吹き飛んだ!
グゴォォォォォォン……
よしゃ回避成功!紅白はちょっと驚いた顔して、眉間にシワを寄せた。ふふふ、いい気味ね。そしてあたしは次に来るはずの攻撃を備えて、魔力を更に増幅しー
ビュビュビュビュビュビュビュ!!
針来た!でもそれももう攻略済み!あたしは大きく横に避けると、全身の魔力で弾幕を展開する!完全前方集中の高密度弾、おまけにレーザー付き。そう、その針は正面にある敵しか撃てないのだ!だから、こうして見失わないように撃ていけば針は食わない。ああ、なんで賢いでしょあたしは。
「セコイ手を使ってくるわね…」
弾を避けながら、紅白が愚痴ってきた。針撃ちはもうやめている。
「大体、そんな攻撃じゃ私に当るわけないでしょう。どうやって勝つつもりなの?」
「事故に期待!」
「あのね…」
「それに普通に弾ばら撒きしても当たらなかったじゃない。とにかくお前の針が無くなるまでやるつもりだよ、って…念のために聞くけど、その針、無限じゃないよね?」
「当たり前よ、どこかのメイドじゃあるまいし、ウチの針は撃てばなくなるのよ。」
ハァ、とため息をつく。
…こっちがこれでも一生懸命に撃ち込んでいるのに、その態度は何よ。もう少しこう、焦った表情を見せてもいいのに。これじゃあたしがピエロみたいじゃないの。
「仕方ないわね。1面で2ボムも使うのは腹立つけど、早く帰ってお茶が飲みたいから。」
紅白はそう言って、札を取り出した。今まで見た事の無い、対応法も知らない新しい札だ。
「安心して、二重結界程痛くは無いから。」
そして、十字を描いて、
「封魔陣!!」
* * *
すすー
「お、このお茶いけるぜ。」
「苦労して手に入れたんだから、感謝して飲みなさいよ。」
「はいはい、と…」
すすー
「あー美味しいな。霊夢、もう一杯頼むぜ。」
「そんなに気に入れてるなら自分で貰いに行きなさいよ。多分、年中無休で襲われてるから。」
「どういう茶園だ、あそこは…」
「私に聞かないで頂戴。」
すすー
「なぁ、霊夢。」
「何?」
「そのペンダントは何だ?」
「戦利品。」
「そうか。」
すすー
「で、フォンというのか、被害者は。」
「製作者の名前かもしれないけどね。」
「そうか。」
すすー
「じゃそろそろ暇するか。霊夢、人のそういうものを奪ったときはちゃんと名前を消さなきゃだめだぜ?」
「どうでもいいでしょう、そんなの。」
「どうでもいいだぜ。二杯目のお茶が微妙に血臭かったのと同じように、な。」
そう言って、魔理沙は博麗神社を後にした。
「おお、博麗さん。今月はちょっと早かったな。」
「まぁね。何か色々あって、ウチのお茶を略奪しに来る人間以外が多かったのよ。」
「それで早めに来た、と?」
「そういうこと。では早速―」
私はそう言って、空を見上げた。
「こいつらを何とかしなければならないわね。」
そこには、沢山の妖怪と使い魔が溢れていた。
* * *
幻想郷の、どことなく丘の上。空気は新鮮、水は澄み切っている。正に緑茶の天堂、そして茶飲みの楽園である。霖之助さんとこのお茶も美味しいけど、ここのお茶は独特の香りがあって捨てがたい。
毎月ここの茶園でお茶を分けて貰ってるから、まぁ感謝の気持ちぐらいは持ってると思う。だから、こうやって妖怪退治を手伝ってるじゃない。にしても、毎度来るたびに襲われてるのは如何なものか。ここは年中無休で妖怪に襲われてるのかしら?
…ちょっと、羨ましい。
「落ちなさい!!」
針がザコ妖精達に命中、あっけなく撃破。でも死なない程度に抑えた。だって、茶園のド真中に死体が腐ったらお茶がマズくなるでしょう?だから、一応生かせておけば、あとは何とかなるはず。うん、なるはずだわ。
「あー!!お前は!!?」
そして敵を倒し続けると、なにやらリーダー格な妖怪発見。にしても…
「ちょっと、いくら妖怪でも初対面の人をお前呼ばわりは無いと思うけど?」
「初対面じゃない!もう三度もやられたのよ!」
そうだったっけ?
「で、その三度やられたさんは私に何の用?言っておくけど、復讐はめんどいから受け付けないわ。」
「いや、勝てないからやめとく。」
さいですか。
「それにあたしはただ久しぶりにまともな食事がしたいだけだから。っていうか、仕掛けてきたのはそっちでしょ。」
「まともな食事ができなかったの?」
「冬は人間もあまり外に出なかったのよ…」
「あぁ、あのやたらと長かった冬のせいね。なら黒幕は知ってるから、紹介するわ。」
「いや、何でそうなるかな。って、紹介するというのに何で札を取り出してるかな?」
「黒幕に会う一番簡単な方法だわ」
「…はい?」
「まぁ、要するに」
札に霊力を注いで、
「死ねっということよ。」
* * *
戦闘は40秒ぐらいで終わった。1面ボスにしてはなかなかの奮戦ぶりだと思う。最初から決め二重打ってたし。
「博麗さん―そっち終わりましたか―?」
「ええ、終わったわ。あとこれよろしく。」
私は四度やられたさんをぽい、と查元さんに投げ付けた。
「ととと…いや、こんなのをヨロシクと言われても…」
律儀に受け止めてるくせに文句を言ってくる。まぁ、彼のことだから、どうせ生かしたまま帰すでしょうね。妖怪は人間を喰らうけど、人間は妖怪を喰らわないから。
「あれ?博麗さん、そのペンダントは確かにこの子が飾ってた…」
略奪はするけどね。
* * *
「死ねっということよ。」
ギーーン!!!!
うわこいつ滅茶苦茶だ!!いきなりスペルを撃ってくるやついるか!!
「この…風符『タイフーンミンドリ』!!」
でも同じ技は何度でもマトモに喰らわない!三度やられて判ったけど、このスペルの弱点はつばり、射程が短いこと!あたしは風を前方に集中し、そのまま反動力に乗って後ろに吹き飛んだ!
グゴォォォォォォン……
よしゃ回避成功!紅白はちょっと驚いた顔して、眉間にシワを寄せた。ふふふ、いい気味ね。そしてあたしは次に来るはずの攻撃を備えて、魔力を更に増幅しー
ビュビュビュビュビュビュビュ!!
針来た!でもそれももう攻略済み!あたしは大きく横に避けると、全身の魔力で弾幕を展開する!完全前方集中の高密度弾、おまけにレーザー付き。そう、その針は正面にある敵しか撃てないのだ!だから、こうして見失わないように撃ていけば針は食わない。ああ、なんで賢いでしょあたしは。
「セコイ手を使ってくるわね…」
弾を避けながら、紅白が愚痴ってきた。針撃ちはもうやめている。
「大体、そんな攻撃じゃ私に当るわけないでしょう。どうやって勝つつもりなの?」
「事故に期待!」
「あのね…」
「それに普通に弾ばら撒きしても当たらなかったじゃない。とにかくお前の針が無くなるまでやるつもりだよ、って…念のために聞くけど、その針、無限じゃないよね?」
「当たり前よ、どこかのメイドじゃあるまいし、ウチの針は撃てばなくなるのよ。」
ハァ、とため息をつく。
…こっちがこれでも一生懸命に撃ち込んでいるのに、その態度は何よ。もう少しこう、焦った表情を見せてもいいのに。これじゃあたしがピエロみたいじゃないの。
「仕方ないわね。1面で2ボムも使うのは腹立つけど、早く帰ってお茶が飲みたいから。」
紅白はそう言って、札を取り出した。今まで見た事の無い、対応法も知らない新しい札だ。
「安心して、二重結界程痛くは無いから。」
そして、十字を描いて、
「封魔陣!!」
* * *
すすー
「お、このお茶いけるぜ。」
「苦労して手に入れたんだから、感謝して飲みなさいよ。」
「はいはい、と…」
すすー
「あー美味しいな。霊夢、もう一杯頼むぜ。」
「そんなに気に入れてるなら自分で貰いに行きなさいよ。多分、年中無休で襲われてるから。」
「どういう茶園だ、あそこは…」
「私に聞かないで頂戴。」
すすー
「なぁ、霊夢。」
「何?」
「そのペンダントは何だ?」
「戦利品。」
「そうか。」
すすー
「で、フォンというのか、被害者は。」
「製作者の名前かもしれないけどね。」
「そうか。」
すすー
「じゃそろそろ暇するか。霊夢、人のそういうものを奪ったときはちゃんと名前を消さなきゃだめだぜ?」
「どうでもいいでしょう、そんなの。」
「どうでもいいだぜ。二杯目のお茶が微妙に血臭かったのと同じように、な。」
そう言って、魔理沙は博麗神社を後にした。
まあそれはさておき、がんばってる一ボスって雰囲気が上手く出てると思います。
ちょこっと気になったのは、霊夢が死ねとか言うかなぁと。まぁ、軽く冗談めかして言ってるのかもしれませんけど。
けど冥界には死なないといけないしなぁ。普通は。
気楽な私の戯言だと思ってくださいな。
あと、「略奪はするけどね」のところで、「彼」が霊夢からペンダントを取ろうとしてるように読んじゃったのは私だけかなぁ。
いい感じの作品でした。おつかれさまです~。
返事ありがとうございます。初投稿です、はい。
死ねについでですけど、まぁ軽く冗談めかしてということで。私が霊夢に言わせたいだけなんじゃありませんよ、はい絶対にこれぽっちも(ぉ
「略奪はするけどね」…あれれ、そういえばそう見えるかも。難しいですね、これ(汗)
ちょっと頭悪そうで必死な1面ボスが面白くていいですね。こう、何だかチルノっぽくて(オイ)。
霊夢にとっては略奪も日常の一コマなのかと思うと、恐ろしい…。
内容以外で私が気になったのは、会話文において発言者が誰だか分かりづらかった事ですね。
例えば、「っていうか、仕掛けてきたのはそっち~」のくだり。
初読の段階では、仕掛けてきたのは妖怪側だと思っていたので、この発言は霊夢のものだと判断してしまいました。
要は、その思考や行動の主体は「誰」なのか、文面や内容から読み取れるようにした方がいいという事です。
略奪の部分に関しても、同じような事が言えるかと思います。
それでは、SS書きも感想書きもがんばってください。
やはりこういう語境の感覚は難しいですね orz
==
話すたび発言者を説明するや発言者「blah blah」というのもいやですし…
魔理沙だったら楽かも。語調でイヤでも判るしw