Coolier - 新生・東方創想話

割と怖い東方童話 『オオカミと七匹の子ヤギ』

2004/06/24 06:52:37
最終更新
サイズ
13.54KB
ページ数
1
閲覧数
1017
評価数
3/29
POINT
1190
Rate
8.10

 ※注   このお話は、原作が原作だけに、少々残酷な描写や弱冠スプラッタな表現が
      含まれておるやもしれません。その手のが苦手な方は、読まない方がいいのかなあ?

      

むか~しあるところに、ヤギの一家が住んでおりました。
一家は、父親が単身赴任。
七人の子供たちを、母親一人で切り盛りしてました。

   ミスティア「ぼえ~~~!!」
     チルノ「あ~もう!五月蝿い!」
    ルーミア「そーなのかー。」
     リグル「あ、お母さん。綺麗な水持ってきて。」
     レティ「私は冷たい氷。」
       橙「鰹節~。」

子ヤギたち達は育ち盛りで、大変元気です。

       藍「・・・・・・何が悲しくて、こんな沢山の子供の世話、しなきゃいけないのよ。」

お母さんヤギの気苦労は絶えません。

       藍「私は保母さんか・・・。」
     魔理沙「おう、お母さん。私は白米と味噌汁でいいぜ。」
       藍「・・・・・あんたが子ヤギってツラか?」

何か、気になることもあるそうですが。

   ミスティア「ヴォエ~~~~!!!」
       藍「ええい!五月蝿いと言ってるだろ、次女!」
   ミスティア「え?私、次女なの?」
       藍「何となくだ。ついでに、お前が長女。」
     レティ「はい?」
       藍「三女。」
     魔理沙「半端だな。」
       藍「ペットのゴキブリ。」
     リグル「何でよ!!」
       藍「もとい、四女。で、お前が五女だ。」
    ルーミア「そーなのかー。」
       藍「で、脳の足りない六女。」
     チルノ「余計なお世話よ!」
       藍「そして、うちの可愛い橙が、末っ子。」
       橙「は~い。」

まあ、序列はこんなもんらしいです。

       藍「それじゃ、私は出かけてくるけど、ちゃんと留守番してるんだよ。」
     レティ「大丈夫。いざとなったら、全員冬眠させるから。」
       藍「よろしい。それと、私以外の誰かが来ても、絶対にドアを開けるんじゃないぞ。」
     チルノ「何でよ?」
       藍「最近この辺には、それはもう恐ろしいオオカミがうろついているんだよ。」
     チルノ「お、恐ろしいって・・・?」
       藍「食われる。」
     チルノ「ひええ・・・・。」
     リグル「それ、私の台詞。」
       藍「とにかく、誰かが来ても、ドアは開けたら駄目よ。」

お母さんヤギは、出かけて行きました。
子ヤギたちは、お留守番です。
     
     魔理沙「しかし、何で私が、こんな雑魚の寄せ集め集団の一員にされにゃならん?」
     チルノ「雑魚って何よ!」
     魔理沙「ああすまん。魚は居なかったな。しかし、何でだ?」
    ルーミア「そりゃ、あんたも雑魚の一員だからでしょ?」
     レティ「そうそう。」
     魔理沙「酷いぜ。」
   ミスティア「否定しないの?」

子ヤギたちは、お母さんヤギが居なくなった後も、賑やかです。
と、そのとき、

 コンコン

     魔理沙「あ~?」

ドアを叩く音が、聞こえました。

       橙「お母さんが帰ってきた?」
     レティ「まさか。出て行ってから、五分経ってないわ。」

 コンコン

   ミスティア「留守ですよ~。」
     リグル「居るのがバレるって。」
 
子ヤギたちは、お母さんヤギの言い付けを守り、ドアを開けようとしません。

 コンコン

       ?「お母さんだよ~。今帰ったよ~。」

ドアを叩いているのは、お母さんのようですが・・・。

     魔理沙「あ~?馬鹿いうな。」
     レティ「お母さんは、そんな口調じゃ無かったわ。」
       橙「もっとこう、凛々しかったよね~。」
    ルーミア「そんな、間の抜けた口調じゃなかったと思うよ。」
     魔理沙「まあ、そんな古めかしい手段に引っかかる馬鹿たれが・・・・。」

 ガチャ

     チルノ「おかえり~。」

 どて!

脳の足りない六女が、古めかしい手段に引っかかってしまったようです。
ずっこける、子ヤギたち(の一部)。

     リグル「な、なんでそんな手に引っかかれるのよ~?」
   ミスティア「同じ二面ボスとして、恥ずかしい限りだわ・・・。」
       橙「右に同じ。」

脳の足りない六女は、そうとも気付かず、目の前の自称お母さんに話しかけます。

     チルノ「早かったわね。」
     幽々子「お出迎え、ご苦労様。」
     チルノ「それより、極上の蛙、持ってきてくれ・・・・・・?」

目の前に居たのは、何とオオカミでした!

     チルノ「で、出たぁ~~!!」
     幽々子「ひゅ~どろどろどろ・・・。」
     魔理沙「待て、今のあんたはオオカミだ。幽霊じゃない。」
     幽々子「それじゃ、がお~。」
     魔理沙「うむ、それでいい。」
       
驚く子ヤギたち。

     幽々子「ふふふ・・・。美味しそうな有象無象・・・・。」
     魔理沙「具体的には?」
     幽々子「ん~・・・・、人肉。」
     魔理沙「おう。」
     幽々子「フライドチキン。」
   ミスティア「ふ、フライはフライドに変化しないって言ってた・・・・。」
     幽々子「猫の丸焼き。」
       橙「あ、熱いのは勘弁して・・・。私、猫舌だし・・・。」
     幽々子「蟲の佃煮。」
     リグル「ひええ・・・・。私は筋張ってて、美味しくないってば・・・・。」
     幽々子「・・・・・踊り食い。」
    ルーミア「わ、私は丸呑みなのか、そーなのかー・・・・。」
     幽々子「デザートに、雪見大福とカキ氷。」
     チルノ「け、削られちゃうの・・・?」
     レティ「雪見大福?」
     幽々子「・・・・じゅるり・・・・・・。」

オオカミは、美味そうな子ヤギたちを目の前に、舌なめずりをします。
そして、

     幽々子「いただきま~す。」

子ヤギたちに襲い掛かりました。

 ・
 ・
 ・

       藍「ただいま~。」

 ガチャ

お母さんヤギが、帰ってきました。
しかし、

       藍「な・・・・、何があったんだ・・・?」

家の中は荒れていて、子ヤギたちも居ません。

       藍「まさか、オオカミが!?」

お母さんヤギの脳裏を、最悪の展開がよぎります。

       藍「誰か、誰かいないのか!?」

お母さんヤギは子ヤギたちを呼びます。
と、そのとき

       ?「だれか~・・・。助けて~・・・。」
       藍「む?」

何処からともなく、誰かの声が聞こえてきます。

       ?「らんさま~・・・。」
       藍「橙!?橙か!?」

 ドタドタドタ!

お母さんヤギは、急いで声のする方へ向かいます。

       藍「何処だ!何処に居る!」
       ?「ここだよ~・・・・。」

声は、とある部屋にある時計の中から聞こえてきます。

       藍「おお、そこか!今開けるぞ!」

 パカ!

お母さんヤギは時計を取り外しました。
すると、時計の裏から、

    魔理沙「あ~、やっと出られたぜ。」

三女が。

      藍「・・・・・・・・・・・・・。」
    魔理沙「よう、助かったぜお母さん。こんな所に隠れたら、出ようにも出られなくなってな。」
      藍「・・・・・・・・おい。」
    魔理沙「ああ、突然オオカミが入ってきてな。脳の無い六女が、ついうっかり騙されて・・・。」
      藍「・・・・・・・・おいこら。」
    魔理沙「あ~?」
      藍「何が、『助けて~・・・。』だ。何が、『らんさま~・・・・。』だ。」
    魔理沙「似てたか?」
      藍「本物の橙はどうした!?何処に行ったんだ!」
    魔理沙「オオカミの胃袋の中だ。」
      藍「食われたの!?」
    魔理沙「私以外、全員な。」

なんと、三女以外の子ヤギたちは、みんなオオカミに食べられてしまったようです。

      藍「あああああ・・・・・。なんてこった・・・・・。」
    魔理沙「まあまあ。ここは、私だけでも無事だったことを喜ぶべきだぜ。」
      藍「何であんたが無事なんだ!何で橙が食われなきゃならないのよ!!」
    魔理沙「おいおい、取り乱すなって。」
      藍「返して!橙を返してよ!!」
    魔理沙「勘違いするな。食ったのは私じゃあない。」
      藍「原作では、末っ子が無事なはずじゃない!何で!何でよぉ!!」
    魔理沙「知らん。」
      藍「お~いおいおいおい・・・・。」
    魔理沙「他の連中は、どうでもいいのかよ。」
      藍「いいのよ・・・。しくしく・・・。」

お母さんのショックは、大変なものです。

      藍「単身赴任中のお父さん・・・。この状況、いかにするべきでしょうか・・・。」
    魔理沙「誰だよ?そのお父さんってのは?」

      紫「ぐ~・・・・・・。」 ←コレ

      藍「お~いおいおいおい・・・・・。しくしくしく・・・・・。」

お母さんヤギは、泣いてばかりです。

    魔理沙「まあ、とりあえず私が無事なのを喜べ。」
      藍「今だから言うけど、あんたは私の本当の子供じゃないのよ~・・・・・。」
    魔理沙「な・・・・・?」

突然、衝撃の事実が!

    魔理沙「なんだ、そんなこと知ってるぜ。つーか、全員あんたの子じゃないだろ。」
      藍「まあ、それは置いといて。」

衝撃の事実は、端っこに捨てられました。

    魔理沙「うむ。」
      藍「他の六人を、助けに行くぞ。」
    魔理沙「おう。腹を割いて、取り出すんだよな。」
      藍「そのとおり。いざ、出陣!」

お母さんヤギは、はさみと針と糸とその他色々を持って、オオカミの元へ向かいました。

 ・
 ・
 ・

    幽々子「・・・・・げふぅ。」

子ヤギを食べたオオカミは、お腹いっぱいご満悦です。

    幽々子「ふあぁ~~・・・・・。眠い。」

満腹になったオオカミは、眠くなったので、寝ることにしました。
ごろん、と芝生に寝ころがります。

    幽々子「ぐ~・・・・・。」

オオカミは眠ってしまいました。
そこに忍び寄る、二つの影が。

    魔理沙「あれだ。」
      藍「食った後、すぐに寝たら、牛になるぞ・・・。」
    魔理沙「迷信だ。あれは、太らない体質なんだろ、多分。」
      藍「羨ましい話ねえ・・・。」

まったく。
 
    幽々子「ぐ~・・・・・・。」
      藍「よく寝てる。麻酔は・・・・、必要ないか。」
    魔理沙「そうだな。」
      藍「それでは、オペを開始する。はさみ。」
    魔理沙「ほい。」

お母さんヤギは、はさみでオオカミのお腹を切り裂き、子ヤギたちを助け出そうとしました。

      藍「あ~・・・。はさみでは、いささかやりづらい。メス。」
    魔理沙「ほい。」

 す~・・・

はさみからメスに持ち替えて、オオカミのお腹を切り裂きました。

      藍「でっぷり太った胃袋発見。消化はされてないらしいな・・・。」
    魔理沙「ああ。腸に行けばお終いだ。さっさと仕上げるぞ。」
      藍「わかってる。」

お母さんヤギは、胃袋を切り裂こうとしました。

 ガキィン!

      藍「ん?」

 ガキィン!

 ガキィン!

      藍「な、なんなんだ・・・?この胃袋は!?」
    魔理沙「メスで斬れない・・・、だと?」

メスが、金属音とともに、はじかれてしまいます。

    魔理沙「これが噂の、鋼鉄の胃袋・・・・・。何でも食べれるはずだ。」
      藍「難儀な。・・・・・楼観剣。」
    魔理沙「ほい。」

メスから楼観剣に持ち替えて、鋼鉄の胃袋を斬り裂こうとしました。

      藍「むぅん!」

 ブン!

お母さんヤギ、渾身の一刀!
     
 ガキィィィ~ン!!

      藍「・・・・~~~~~~!!!!~~~~~~!!!」
    魔理沙「斬れぬものなど殆ど無いとか言ってたが・・・・。コレか。」
      藍「むはぁ~~・・・・・!痛かった~・・・・・。」

弾かれてしまいました。
こうなれば、お手上げです。

    魔理沙「さて、どうするね?」
      藍「仕方ない・・・・。これ、持って帰る。」
    魔理沙「オオカミか?」
      藍「胃袋だよ。家に持って帰って、頑張って解体する。」

しかたなく二人は、オオカミから胃袋を摘出しました。

    魔理沙「よっこらせ・・・と。重いな。」
    幽々子「すやすや・・・・・・。」
      藍「じゃ、何事も無かったかのように、塞ぐとするか。」
    魔理沙「待て。満腹感が無くなるんじゃあ、怪しまれる。何か入れておくべきだ。」
      藍「そうねえ。それじゃあ、こいつの脳みそとか。」
    魔理沙「いや、無いだろ。」
      藍「試してみなきゃ、わからん。よいしょ。」

 ぱか!

お母さんヤギは、オオカミの頭を開けました。

    魔理沙「割と簡単に、開くもんだな。」
      藍「そんなもんさ。どれ、味噌はどの程度か・・・・・?」

二人は、オオカミの頭の中を観察します。

      藍「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
    魔理沙「どうした?」
      藍「・・・・・・・・・無い。」

オオカミには、脳が無いそうです。

    魔理沙「ほらみろ。」
      藍「中は真っ暗・・・・。なんなんだ、一体?」
    魔理沙「案外奥の方に、何か入ってるんじゃないのか?どれ・・・・。」

子ヤギは、オオカミの頭の中に手を突っ込みます。

    幽々子「むにゅ~・・・・・・。」
    魔理沙「ん~・・・。何も無い・・・・。おや、何だコレは?」
      藍「どした?」
    魔理沙「え~と、スイッチか?・・・・ぽちっとな。」

子ヤギが、そう言った瞬間、

 ごおおおおおおおおおお!!

    魔理沙「うおおおおおお!!?」
      藍「な、何だ何だ!?」
    魔理沙「す、吸われる!?うわあああああ・・・・・・・・・!!!!」

 すぽん!

子ヤギは、オオカミの頭の闇に、吸いこまれてしまいました。

    幽々子「ぐ~・・・・・・・。」
      藍「・・・・・・・・・・・。」

あまりのことに、呆然とするお母さんヤギ。

      藍「と、とりあえず、何事も無かったかのように・・・。」

 きゅ!

お母さんヤギは、何事も無かったかのように、オオカミの頭にしっかり蓋をしておきました。

      藍「ええと・・・。脳みそが無いんだから、胃袋くらい無くても気付かないわよね・・・。」
  
 ちくちく

そして何事も無かったかのように、オオカミのお腹を上手く縫合しました。

      藍「・・・・さて、帰るか。」

こうしてお母さんヤギは、尊い犠牲を払いながらも、
オオカミに食べられた子ヤギたちを救出することに成功しました。
全員が、無事に原型を留めて救出されたかどうかは、わかりませんが・・・・。
一方、オオカミは、

    幽々子「・・・・ふあ~・・・・。よく寝た~。」

何事も無かったかのように、
 
    幽々子「あ、ちょっと小腹が空いたわね。」

次の獲物をもとめるのでした。


 めでたし めでたし

 
 キャスト

お母さんヤギ  ・・・ 八雲 藍
子ヤギ 長女  ・・・ レティ・ホワイトロック
子ヤギ 次女  ・・・ ミスティア・ローレライ
子ヤギ 三女  ・・・ 霧雨 魔理沙
子ヤギ 四女  ・・・ リグル・ナイトバグ
子ヤギ 五女  ・・・ ルーミア
子ヤギ 六女  ・・・ チルノ
子ヤギ 末っ子 ・・・ 橙
オオカミ    ・・・ 西行寺 幽々子
  
単身赴任中の父 ・・・ 八雲 紫      
    
      
久しぶりに、こういうのを。
あ~、落ち着く。

なんせ子ヤギの数が多いので、とりあえず雑魚の寄せ集めで。・・・あれ?何か混ざってるような気が・・・。

昔話とかも含めて、ここまで滅茶苦茶やったのは始めてかも知れんです、はい・・・。藍の子煩悩具合とか、衝撃の事実とか。
でもその中で、特にオオカミが・・・・。鋼鉄の胃袋と、ブラックホールな頭・・・。
書いた本人が申すのもアレですが、幽々子様がわからない・・・・。

追記:
誤字修正しました。ご指摘感謝いたします。『やむえん』は普通に使われてると思ったんですが・・・。もしくは、使い方が正しくなかったか?
ちゃんと調べておきます。ひとまずその部分は、『仕方ない』に変更。
Piko
[email protected]
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1060簡易評価
3.30名前が無い程度の能力削除
それでも何となくゆゆ様ははまってるような希g(亡我
5.50いち読者削除
>藍「原作では、末っ子が無事なはずじゃない!何で!何でよぉ!!」
すんません、この一文めっちゃツボでした。ミもフタもないあたりが。
『脳みそが無いんだから、胃袋くらい無くても気付かないわよね』などの小ネタも私好みです。
……ですが、ちょっとオチが弱いかな、と思いました。まあ、「めでたしめでたしって、魔理沙はどうしたよ」と思わずツッコミ入れたくなる終わり方もまた面白いですが。う~ん、どうだろう。

あと、誤字指摘を。
『子ヤたち達は』、『やむえん』の2点。
9.50に読者削除
「やむえん」ではなく「やむをえん」ではないでしょうか?
元は「止むを得ない」のような形で使われますね。

それはともかく、永夜抄以降ゆゆ様=食いしん坊のイメージが・・・。(w
10.無評価峰下翔吾(仮)削除
配役のマッチ具合が絶妙で、なんとも言えません(笑)
いち読者さんと同じく「末っ子が無事なはず」の辺りがツボでした。素敵です。

<s>個人的には猫は猫鍋だと思った。</s>(謎)