※注 このお話は、原作が原作だけに、少々残酷な描写や弱冠スプラッタな表現が
含まれておるやもしれません。その手のが苦手な方は、読まない方がいいのかなあ?
むか~しあるところに、ヤギの一家が住んでおりました。
一家は、父親が単身赴任。
七人の子供たちを、母親一人で切り盛りしてました。
ミスティア「ぼえ~~~!!」
チルノ「あ~もう!五月蝿い!」
ルーミア「そーなのかー。」
リグル「あ、お母さん。綺麗な水持ってきて。」
レティ「私は冷たい氷。」
橙「鰹節~。」
子ヤギたち達は育ち盛りで、大変元気です。
藍「・・・・・・何が悲しくて、こんな沢山の子供の世話、しなきゃいけないのよ。」
お母さんヤギの気苦労は絶えません。
藍「私は保母さんか・・・。」
魔理沙「おう、お母さん。私は白米と味噌汁でいいぜ。」
藍「・・・・・あんたが子ヤギってツラか?」
何か、気になることもあるそうですが。
ミスティア「ヴォエ~~~~!!!」
藍「ええい!五月蝿いと言ってるだろ、次女!」
ミスティア「え?私、次女なの?」
藍「何となくだ。ついでに、お前が長女。」
レティ「はい?」
藍「三女。」
魔理沙「半端だな。」
藍「ペットのゴキブリ。」
リグル「何でよ!!」
藍「もとい、四女。で、お前が五女だ。」
ルーミア「そーなのかー。」
藍「で、脳の足りない六女。」
チルノ「余計なお世話よ!」
藍「そして、うちの可愛い橙が、末っ子。」
橙「は~い。」
まあ、序列はこんなもんらしいです。
藍「それじゃ、私は出かけてくるけど、ちゃんと留守番してるんだよ。」
レティ「大丈夫。いざとなったら、全員冬眠させるから。」
藍「よろしい。それと、私以外の誰かが来ても、絶対にドアを開けるんじゃないぞ。」
チルノ「何でよ?」
藍「最近この辺には、それはもう恐ろしいオオカミがうろついているんだよ。」
チルノ「お、恐ろしいって・・・?」
藍「食われる。」
チルノ「ひええ・・・・。」
リグル「それ、私の台詞。」
藍「とにかく、誰かが来ても、ドアは開けたら駄目よ。」
お母さんヤギは、出かけて行きました。
子ヤギたちは、お留守番です。
魔理沙「しかし、何で私が、こんな雑魚の寄せ集め集団の一員にされにゃならん?」
チルノ「雑魚って何よ!」
魔理沙「ああすまん。魚は居なかったな。しかし、何でだ?」
ルーミア「そりゃ、あんたも雑魚の一員だからでしょ?」
レティ「そうそう。」
魔理沙「酷いぜ。」
ミスティア「否定しないの?」
子ヤギたちは、お母さんヤギが居なくなった後も、賑やかです。
と、そのとき、
コンコン
魔理沙「あ~?」
ドアを叩く音が、聞こえました。
橙「お母さんが帰ってきた?」
レティ「まさか。出て行ってから、五分経ってないわ。」
コンコン
ミスティア「留守ですよ~。」
リグル「居るのがバレるって。」
子ヤギたちは、お母さんヤギの言い付けを守り、ドアを開けようとしません。
コンコン
?「お母さんだよ~。今帰ったよ~。」
ドアを叩いているのは、お母さんのようですが・・・。
魔理沙「あ~?馬鹿いうな。」
レティ「お母さんは、そんな口調じゃ無かったわ。」
橙「もっとこう、凛々しかったよね~。」
ルーミア「そんな、間の抜けた口調じゃなかったと思うよ。」
魔理沙「まあ、そんな古めかしい手段に引っかかる馬鹿たれが・・・・。」
ガチャ
チルノ「おかえり~。」
どて!
脳の足りない六女が、古めかしい手段に引っかかってしまったようです。
ずっこける、子ヤギたち(の一部)。
リグル「な、なんでそんな手に引っかかれるのよ~?」
ミスティア「同じ二面ボスとして、恥ずかしい限りだわ・・・。」
橙「右に同じ。」
脳の足りない六女は、そうとも気付かず、目の前の自称お母さんに話しかけます。
チルノ「早かったわね。」
幽々子「お出迎え、ご苦労様。」
チルノ「それより、極上の蛙、持ってきてくれ・・・・・・?」
目の前に居たのは、何とオオカミでした!
チルノ「で、出たぁ~~!!」
幽々子「ひゅ~どろどろどろ・・・。」
魔理沙「待て、今のあんたはオオカミだ。幽霊じゃない。」
幽々子「それじゃ、がお~。」
魔理沙「うむ、それでいい。」
驚く子ヤギたち。
幽々子「ふふふ・・・。美味しそうな有象無象・・・・。」
魔理沙「具体的には?」
幽々子「ん~・・・・、人肉。」
魔理沙「おう。」
幽々子「フライドチキン。」
ミスティア「ふ、フライはフライドに変化しないって言ってた・・・・。」
幽々子「猫の丸焼き。」
橙「あ、熱いのは勘弁して・・・。私、猫舌だし・・・。」
幽々子「蟲の佃煮。」
リグル「ひええ・・・・。私は筋張ってて、美味しくないってば・・・・。」
幽々子「・・・・・踊り食い。」
ルーミア「わ、私は丸呑みなのか、そーなのかー・・・・。」
幽々子「デザートに、雪見大福とカキ氷。」
チルノ「け、削られちゃうの・・・?」
レティ「雪見大福?」
幽々子「・・・・じゅるり・・・・・・。」
オオカミは、美味そうな子ヤギたちを目の前に、舌なめずりをします。
そして、
幽々子「いただきま~す。」
子ヤギたちに襲い掛かりました。
・
・
・
藍「ただいま~。」
ガチャ
お母さんヤギが、帰ってきました。
しかし、
藍「な・・・・、何があったんだ・・・?」
家の中は荒れていて、子ヤギたちも居ません。
藍「まさか、オオカミが!?」
お母さんヤギの脳裏を、最悪の展開がよぎります。
藍「誰か、誰かいないのか!?」
お母さんヤギは子ヤギたちを呼びます。
と、そのとき
?「だれか~・・・。助けて~・・・。」
藍「む?」
何処からともなく、誰かの声が聞こえてきます。
?「らんさま~・・・。」
藍「橙!?橙か!?」
ドタドタドタ!
お母さんヤギは、急いで声のする方へ向かいます。
藍「何処だ!何処に居る!」
?「ここだよ~・・・・。」
声は、とある部屋にある時計の中から聞こえてきます。
藍「おお、そこか!今開けるぞ!」
パカ!
お母さんヤギは時計を取り外しました。
すると、時計の裏から、
魔理沙「あ~、やっと出られたぜ。」
三女が。
藍「・・・・・・・・・・・・・。」
魔理沙「よう、助かったぜお母さん。こんな所に隠れたら、出ようにも出られなくなってな。」
藍「・・・・・・・・おい。」
魔理沙「ああ、突然オオカミが入ってきてな。脳の無い六女が、ついうっかり騙されて・・・。」
藍「・・・・・・・・おいこら。」
魔理沙「あ~?」
藍「何が、『助けて~・・・。』だ。何が、『らんさま~・・・・。』だ。」
魔理沙「似てたか?」
藍「本物の橙はどうした!?何処に行ったんだ!」
魔理沙「オオカミの胃袋の中だ。」
藍「食われたの!?」
魔理沙「私以外、全員な。」
なんと、三女以外の子ヤギたちは、みんなオオカミに食べられてしまったようです。
藍「あああああ・・・・・。なんてこった・・・・・。」
魔理沙「まあまあ。ここは、私だけでも無事だったことを喜ぶべきだぜ。」
藍「何であんたが無事なんだ!何で橙が食われなきゃならないのよ!!」
魔理沙「おいおい、取り乱すなって。」
藍「返して!橙を返してよ!!」
魔理沙「勘違いするな。食ったのは私じゃあない。」
藍「原作では、末っ子が無事なはずじゃない!何で!何でよぉ!!」
魔理沙「知らん。」
藍「お~いおいおいおい・・・・。」
魔理沙「他の連中は、どうでもいいのかよ。」
藍「いいのよ・・・。しくしく・・・。」
お母さんのショックは、大変なものです。
藍「単身赴任中のお父さん・・・。この状況、いかにするべきでしょうか・・・。」
魔理沙「誰だよ?そのお父さんってのは?」
紫「ぐ~・・・・・・。」 ←コレ
藍「お~いおいおいおい・・・・・。しくしくしく・・・・・。」
お母さんヤギは、泣いてばかりです。
魔理沙「まあ、とりあえず私が無事なのを喜べ。」
藍「今だから言うけど、あんたは私の本当の子供じゃないのよ~・・・・・。」
魔理沙「な・・・・・?」
突然、衝撃の事実が!
魔理沙「なんだ、そんなこと知ってるぜ。つーか、全員あんたの子じゃないだろ。」
藍「まあ、それは置いといて。」
衝撃の事実は、端っこに捨てられました。
魔理沙「うむ。」
藍「他の六人を、助けに行くぞ。」
魔理沙「おう。腹を割いて、取り出すんだよな。」
藍「そのとおり。いざ、出陣!」
お母さんヤギは、はさみと針と糸とその他色々を持って、オオカミの元へ向かいました。
・
・
・
幽々子「・・・・・げふぅ。」
子ヤギを食べたオオカミは、お腹いっぱいご満悦です。
幽々子「ふあぁ~~・・・・・。眠い。」
満腹になったオオカミは、眠くなったので、寝ることにしました。
ごろん、と芝生に寝ころがります。
幽々子「ぐ~・・・・・。」
オオカミは眠ってしまいました。
そこに忍び寄る、二つの影が。
魔理沙「あれだ。」
藍「食った後、すぐに寝たら、牛になるぞ・・・。」
魔理沙「迷信だ。あれは、太らない体質なんだろ、多分。」
藍「羨ましい話ねえ・・・。」
まったく。
幽々子「ぐ~・・・・・・。」
藍「よく寝てる。麻酔は・・・・、必要ないか。」
魔理沙「そうだな。」
藍「それでは、オペを開始する。はさみ。」
魔理沙「ほい。」
お母さんヤギは、はさみでオオカミのお腹を切り裂き、子ヤギたちを助け出そうとしました。
藍「あ~・・・。はさみでは、いささかやりづらい。メス。」
魔理沙「ほい。」
す~・・・
はさみからメスに持ち替えて、オオカミのお腹を切り裂きました。
藍「でっぷり太った胃袋発見。消化はされてないらしいな・・・。」
魔理沙「ああ。腸に行けばお終いだ。さっさと仕上げるぞ。」
藍「わかってる。」
お母さんヤギは、胃袋を切り裂こうとしました。
ガキィン!
藍「ん?」
ガキィン!
ガキィン!
藍「な、なんなんだ・・・?この胃袋は!?」
魔理沙「メスで斬れない・・・、だと?」
メスが、金属音とともに、はじかれてしまいます。
魔理沙「これが噂の、鋼鉄の胃袋・・・・・。何でも食べれるはずだ。」
藍「難儀な。・・・・・楼観剣。」
魔理沙「ほい。」
メスから楼観剣に持ち替えて、鋼鉄の胃袋を斬り裂こうとしました。
藍「むぅん!」
ブン!
お母さんヤギ、渾身の一刀!
ガキィィィ~ン!!
藍「・・・・~~~~~~!!!!~~~~~~!!!」
魔理沙「斬れぬものなど殆ど無いとか言ってたが・・・・。コレか。」
藍「むはぁ~~・・・・・!痛かった~・・・・・。」
弾かれてしまいました。
こうなれば、お手上げです。
魔理沙「さて、どうするね?」
藍「仕方ない・・・・。これ、持って帰る。」
魔理沙「オオカミか?」
藍「胃袋だよ。家に持って帰って、頑張って解体する。」
しかたなく二人は、オオカミから胃袋を摘出しました。
魔理沙「よっこらせ・・・と。重いな。」
幽々子「すやすや・・・・・・。」
藍「じゃ、何事も無かったかのように、塞ぐとするか。」
魔理沙「待て。満腹感が無くなるんじゃあ、怪しまれる。何か入れておくべきだ。」
藍「そうねえ。それじゃあ、こいつの脳みそとか。」
魔理沙「いや、無いだろ。」
藍「試してみなきゃ、わからん。よいしょ。」
ぱか!
お母さんヤギは、オオカミの頭を開けました。
魔理沙「割と簡単に、開くもんだな。」
藍「そんなもんさ。どれ、味噌はどの程度か・・・・・?」
二人は、オオカミの頭の中を観察します。
藍「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
魔理沙「どうした?」
藍「・・・・・・・・・無い。」
オオカミには、脳が無いそうです。
魔理沙「ほらみろ。」
藍「中は真っ暗・・・・。なんなんだ、一体?」
魔理沙「案外奥の方に、何か入ってるんじゃないのか?どれ・・・・。」
子ヤギは、オオカミの頭の中に手を突っ込みます。
幽々子「むにゅ~・・・・・・。」
魔理沙「ん~・・・。何も無い・・・・。おや、何だコレは?」
藍「どした?」
魔理沙「え~と、スイッチか?・・・・ぽちっとな。」
子ヤギが、そう言った瞬間、
ごおおおおおおおおおお!!
魔理沙「うおおおおおお!!?」
藍「な、何だ何だ!?」
魔理沙「す、吸われる!?うわあああああ・・・・・・・・・!!!!」
すぽん!
子ヤギは、オオカミの頭の闇に、吸いこまれてしまいました。
幽々子「ぐ~・・・・・・・。」
藍「・・・・・・・・・・・。」
あまりのことに、呆然とするお母さんヤギ。
藍「と、とりあえず、何事も無かったかのように・・・。」
きゅ!
お母さんヤギは、何事も無かったかのように、オオカミの頭にしっかり蓋をしておきました。
藍「ええと・・・。脳みそが無いんだから、胃袋くらい無くても気付かないわよね・・・。」
ちくちく
そして何事も無かったかのように、オオカミのお腹を上手く縫合しました。
藍「・・・・さて、帰るか。」
こうしてお母さんヤギは、尊い犠牲を払いながらも、
オオカミに食べられた子ヤギたちを救出することに成功しました。
全員が、無事に原型を留めて救出されたかどうかは、わかりませんが・・・・。
一方、オオカミは、
幽々子「・・・・ふあ~・・・・。よく寝た~。」
何事も無かったかのように、
幽々子「あ、ちょっと小腹が空いたわね。」
次の獲物をもとめるのでした。
めでたし めでたし
キャスト
お母さんヤギ ・・・ 八雲 藍
子ヤギ 長女 ・・・ レティ・ホワイトロック
子ヤギ 次女 ・・・ ミスティア・ローレライ
子ヤギ 三女 ・・・ 霧雨 魔理沙
子ヤギ 四女 ・・・ リグル・ナイトバグ
子ヤギ 五女 ・・・ ルーミア
子ヤギ 六女 ・・・ チルノ
子ヤギ 末っ子 ・・・ 橙
オオカミ ・・・ 西行寺 幽々子
単身赴任中の父 ・・・ 八雲 紫
すんません、この一文めっちゃツボでした。ミもフタもないあたりが。
『脳みそが無いんだから、胃袋くらい無くても気付かないわよね』などの小ネタも私好みです。
……ですが、ちょっとオチが弱いかな、と思いました。まあ、「めでたしめでたしって、魔理沙はどうしたよ」と思わずツッコミ入れたくなる終わり方もまた面白いですが。う~ん、どうだろう。
あと、誤字指摘を。
『子ヤたち達は』、『やむえん』の2点。
元は「止むを得ない」のような形で使われますね。
それはともかく、永夜抄以降ゆゆ様=食いしん坊のイメージが・・・。(w
いち読者さんと同じく「末っ子が無事なはず」の辺りがツボでした。素敵です。
<s>個人的には猫は猫鍋だと思った。</s>(謎)