Coolier - 新生・東方創想話

罪の波紋は罰へ広がる

2004/06/21 08:16:07
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暗い。
その部屋にはほとんど何もない。
何とも言えない殺風景な部屋。
部屋にあるのは、ベット・タンス・鏡
そして
骨だ。
部屋の割合の半分は白く、原型の留めていない骨である。
そんな牢獄やら墓場なのか見分けがつかない中で一つの影が動いていた。
その影がぐるりと部屋を見渡す。
笑ってしまう。そんな部屋に私は住んでいるんだから。
その部屋の住民、フランドール・スカーレットはそう言い捨てた。















 



 今は夜中。普通なら寝る時間にフランは起きていた。
 
 何時からだろう、お姉様がほとんど私の部屋に来なくなったのは?
 何年もの月日が流れていくたびに、お姉様は来てくれなくなった。ここ最近は一度も来てない。
 前はご飯を一緒に食べたりしてたのに・・・・・
 紅魔館で私が知っているのは、お姉様以外に三人いる。
 一人は紅魔館のメイド長である十六夜 咲夜。彼女が主に食事を運んでくれる。
 たまに玩具も持って来てくれるんだけど、全部脆すぎてすぐ壊れちゃうのが難点だけど。
 そういえばそのせいで部屋が骨だらけになっちゃったんだっけ。
 次は紅魔館の図書館の管理者であるパチュリー・ノーレッジ。
 お姉様の友達で火+水+木+金+土+日+月を操る程度の能力を持っている。
 魔法力はすごいんだけど、喘息持ちという欠点がある。
 いくら魔法力があっても、使いこなせないんじゃ宝の持ち腐れだね。
 外に出ようとしたら雨が急に降り出してくるのは、彼女のせいだ。
 最後に紅魔館の門番である紅 美鈴。
 咲夜が忙しかったり、体調不良の時は彼女が食事を運ぶ。
 そもそも、並大抵の者なら私の部屋に入ることさえ不可能である。
 なぜなら、私が放つ邪気に晒されるからだ。
 そのため、私の部屋に入って来れるのは、上の三人とお姉様だけ。
 正直上の三人はどうだっていい。
 私が心からずっと一緒にいたいのはお姉様だけなのに。
 お姉様が羨ましい。
 私と違って、頭もいいし、綺麗だし、そして・・・・・・・・
 外に出ることができる。
 そういえば、ここ最近よく博麗神社とか言う場所に、出かけるって咲夜が言ってたっけ。
 もしかしてそのせい?全然会いに来てくれないのは。
 それとも、私はあ姉様に捨てられたの?
 嫌だ!
 そんなの絶対に嫌だ!!
 どうしたらまた私の所に来てくれるの?
 考えなくちゃ。
 どうしたらまた私の所に来てくれるのか・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 わかった。
 なんだ、考えてみればすごく簡単だった。
 思えば、至極当然のこと。
 壊しちゃえばいいんだ。
 私の邪魔をする奴全部。
 そうすればまたお姉様は私だけを見てくれる。
 あっ、それよりお姉様を壊すのもいいかもしれない。
 外に出れないようにしちゃえば、ずっと一緒だ。
 でもそうすると、お姉様を傷つけることになるのか。
 やっぱりこの案は却下。邪魔者を壊すことにしよ~と。
 それじゃあ早速壊しに行こっと!
 え?なんで今からって?
 そんなの決まってるじゃん。
 膳は急げってね!



















「妹様が部屋を出た?」

 広い図書館内に声が響く。
 声の主はパチュリーである。
 パチュリーはフランが外に出ないよう、扉に探査魔術をかけている。
 これにより、フランが部屋から出てもすぐにわかるし、外に出る前に雨を降らすこともできる。

「なんでまたこんな時間に。」

 とりあえず雨を降らせておこう。どうせ何時ものことだと思い。
 しかし、それは無意味だった。
 フランの真の目的にパチュリーは気付かなかった。

 コツ   コツ   コツ   コツ   コツ   コツ

 図書館から誰かが歩いている音が聞こえる。

「こんな夜中に誰かしら?ご苦労なことね。出来ることならあんまり音立てて欲しくないんだけど。」
 
 まあ夜中の見回りをしているメイドだろうと思い、また本を読み始める。

 コツ   コツ   コツ   コツ   ・・・・・

 しかし予想外な事に、足音は図書館前で止まった。
 
「・・・・・・誰?」

 その一言に扉が開く。そこに居たのは・・・

「妹様?」
「ヤッホー、パチュリー。元気?」

 こんな夜中に迷惑もいいところだ。

「はぁー、どうしたんですか妹様?とりあえず今は元気ですが・・・。」
「んーちょっと暇でね。」
「そんなことで私の所に来たんですか?残念ですがここには本しかありません。夜も遅いですし早く寝たらどうで
すか?妹様の退屈凌ぎになる物など皆無です。」
「ちょっと考え事をしてたら眠れなくなっちゃってね。それにあるじゃない。退屈凌ぎになるものなら。」
「それはいったい何で{チッ}・・・す・・か・・・?」

 パチュリーの頬をエネルギー弾が掠めた。

「な、何をなさるんですか、妹様!?」
「だーかーらー、退屈凌ぎになる者ならあるって言ったでしょ?パチュリー、あなたがね!」

(殺気!)

 パチュリーが素早く横に転がり込む。その上をエネルギー弾が通っていく。
 もし動いていなかったら、今ごろ死んでいただろう。

「どうゆうつもりですか、妹様!冗談にも程があります!!」
「・・・あなたって以外と頭悪いのね。私は最初っから殺すつもりでやってるんだけど。」
「っっな・・、なぜ私を・・・・。」
「報復。」
「ほっ、報復?」
「ええ、そうよ。今まで散々外に出ようとしたのを邪魔してくれたし。てゆうか、存在そのものが邪魔だから。」
「!!なぜ私が・・・!」
「だってお姉様と仲良くするんだもん。お姉様は私だけの物なんだから。絶対誰にも渡さない。だからパチュリーには
消えてもらう。禁忌『クランベリートラップ』!」
「なっ!」

 完璧な不意打ちだった。
 殺す気であったのはさっきの攻撃で分かっていたはず。
 だけど、何処か冗談であると信じていた部分があったのかもしれない。
 だが、そんな部分、今一瞬にして砕け散った。
 そんな隙があった者に、突然の攻撃を回避できるわけがない。

(避けられないのなら迎撃するしかない!でも間に合う?・・・・いや、間に合わすしかない!)

「日符『ロイヤルフレア』!」

 素早くスペルを唱える。
 その瞬間、眩い光が満ち、激しい爆発音が鳴り響く。

「ふ~~ん。まあ合格と言ったとこかな。あの攻撃を防ぐとは思わなかった。」
「ぐっ・・っつ・!」

 否。防いだのではない、耐え凌いだのだ。
 スペルは完璧に唱え終わる前に発動した。
 発動させたと言った方が正しい。
 もし完璧に唱え終わるのを待っていたら、発動する前に殺されていたからだ。
 だから未完成のまま発動させるしかなかった。
 結果、何とか致命傷を避けることには成功した。

「でも、大分ボロボロになったわね。その状態で私に勝てるかな?」
「舐めないでください。」

 パチュリーが立ち上がる。

「私だって只で殺されるつもりはありません。まだまだこれか・・ら・・!?」
 
       バタッ

 パチュリーが再び倒れる。

「う・・こんな時に・・・。」
「・・・・・・・すっごい惨め。かっこよく立ち上がっといてオチに貧血?なんか同情しちゃいそう。」
「・・・・だったら助けてください。」
「イ・ヤ。」

 容赦なしである。

「まあこっちのほうが都合がいいし。下手に逃げ回れてあっさり殺しちゃったら面白くないし。それよりパチュリー、
あんたってほんと肌白いわね。外に出て少しは焼いた方がいいんじゃない?」
「・・・遠慮させて頂きます。肌にも悪いですし。」
「そう、残念だな。じゃあ・・・・・」

そう言ってフランは『レーヴァテイン』を装備する。

「!!な、何を・・!?」
「私が無理矢理焼いて上げようと思って。その方が、少しは健康そうに見えるかもよ。」
「い、いや。お願いです、止めてください!!」
「クスクス。可愛いな。そんな態度取られちゃうと、余計苛めたくなっちゃった。もちろん却下。」

 言い終わるとそのまま・・・・・

「イ、イヤアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーー!」

『レーヴァテイン』を優しくパチュリーの体に触れさせる。

「あ、熱い!や・・・やめて・・!ひっ・・・ぐ・・」

『レーヴァテイン』によって触れているパチュリーの体の部分の服が燃え、皮が熔け、肉を焼く。
 ジューーと、何とも言えない香ばしい音を立てながら。

「う・・・う・・お願い・・・もう・・ひくっ・・・止めて・・ください・・・。」

 目元からは涙が浮かんでいる。
 だが、決してフランは攻撃の手を緩めない。

「どう、苦しいでしょ?でもね、まだまだ足りない。私が・私が受けて苦しみはこんな生易しい物じゃない!!」

さらに強く『レーヴァテイン』を押し付ける。

「イヤアアァァァァーーーーーー・・・・ァ・・・・」

 そのまま、パチュリーの意識は闇へと飲み込まれていった。




















「!!?悲鳴!?」

 門番の交代を済ませた美鈴は思わず走った。

「今の声はパチュリー様!まさか侵入者!?」

 今の声、明らかに絶叫に近い物だった。
 いったい何処から?
 だが今はそんな事どうでもいい
 走る、走る、走る、走る、走る!、走る!!
 声が聞こえてきたのは図書館、ここからならそう遠くない。

「いったい何が・・・くっ!パチュリー様、どうかご無事で!」

 そして図書館前の扉に着く。
 走って来た勢いのままいっきに扉を開ける。
 そこには・・・・・・

「パチュリー様!?」

 体を火傷だらけにしたパチュリーが倒れていた。
 すぐさま駆け寄り、容態を調べる。

「よかった、まだ生きている!」

 全身火傷により気絶をしているだけのようだ。だからと言って、このままにして置くのは危険である。

「ここじゃあ応急処置もできない。早く咲夜さんの所に・・・・」
「困るんだけどなぁ。そんな事されると。」
「!!!?」

 思わず声の方に振り向く。

「い、妹様!?なぜここに!?」
「さあ?何でだと思う?」

 全身火傷をしているパチュリー様。
 それを平然と眺める妹様。
 それにさっきのセリフ。

「ま、まさか妹様が・・・・」
「その通りよ。」
「な、何でこんな酷い事を!」
「どうだっていいじゃん、そんな事。それよりも、この有様を見られた以上、美鈴もここで壊れてもらわなくっちゃ。
まあこの後美鈴も壊すつもりだったし、手間が省けた!」
「なっ!?」

 本気だ。
 そんなの目を見ればすぐに分かる。

「いったい華人小娘ごときがどこまでやれるか見ものね。まあ、美鈴なんかじゃあ小指一本でも勝てると思うけど。」
「・・っく!」
「あら、癪に障った?だったらかかってきたら。自分の力証明してみなさいよ。」

 挑発。
 分かっていても、やはり今のは相当頭にきた。
 ・・・・ならば。

「ハッ!!」

 私は勢いよく駆ける。


 パチュリーを抱え、出口へと。


(勝てない。いくら挑発されても、それが現実。ならば逃げて助けを呼ぶしかない!)

 無謀と勇気は違う。
 パチュリーの容態と、自分の力量を考えての行動だ。

「へぇ~、結構クールなんだ、美鈴って。挑発したのに。なかなか賢い選択だね。」

 フランの言葉を聞きながら出口に向かって走る。
 後もう少しで着く。

「たいしたもんだよ。それは褒めて上げる。でも残念。だって・・・・・・・


                         逃げ場はないよ

 ゾクッ
 美鈴の体が竦み上がる。
 次の瞬間

「そ、そんな!」

 辺り一面に弾幕の檻に閉じ込められてしまった。
 フランが禁忌『カゴメカゴメ』を発動させたのだ。

「アハハ、逃げ切れると思った?でも人生そんなに甘くないよ。まあ良い線までいったからね。残念賞としてコイン
一個上げる。さあ、始まりだよ!」

 そしてフランからエネルギー弾が放たれる。

「これくらいなら!」

 パチュリーを抱えながら自分に向かって来たエネルギー弾を避ける。

「お見事。でもね、ここからがこのスペルの本領発揮だよ!」
「え?」

 それで気がついた。
 最初のエネルギー弾は自分を倒すための物じゃあないことに。
 エネルギー弾によって活を受けた弾幕の檻が、不規則に動いていた。
 自分の周りは、すでに弾幕だらけだ。

「くっ、そう簡単には・・・!」

 避ける。
 自分に迫って来る弾幕を一つ一つ確実に避けていく。
 だが、それも最初のうちだけ。
 元より、美鈴にはパチュリーと言うハンデを背負っている。
 そのため、いつもの動きができず、疲れも溜まり易い。
 気付いた時には

「チェックメイト。」

 逃げ場はなかった。

「まだです!彩符『極彩颱風』!」

 スペルにて相殺を試みる美鈴。
 しかし

「そんな!」

 美鈴の放った弾幕はあっさりフランの弾幕に消されてしまった。
 それどころか勢いすらまったく衰えていない。
 決定的にパワーが違いすぎる。

「・・・なら!」

 今度は弾幕を数十個一斉に一つの弾幕に殺到させる。
 そして、今度こそ相殺に成功した。

「なるほど。威力の分を個数でカバーしたんだ。でもそれが何時もで持つかな?」
「こっちは背水の陣です!そう簡単にはやられません!」
「だったら見せてもらおうかしら、背水の陣とやらを!!」

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

「ジャスト十秒。もうちょっと持つかと思ったけど・・・・。」

 目の前には力を使い果たし、体中に弾幕を受け気絶している美鈴がいた。

「まあいっか。食前酒ぐらいにはなったし。前菜は咲夜、メインはお姉様といきたいわね。」

 さあ、お姉様の部屋に行こう。




















「なんでしょうお嬢様、さっきの音は・・・・。」
「・・・・・わからないわ。」

 ここはレミリアの一室。
 そこにはメイド長の咲夜と紅魔館の主レミリア・スカーレットの姿があった。
 今、二人の体には得体のしれない恐怖が取り巻いていた。

「何がどうしたんでしょう。先程から爆発音みたいなのがしてますが。」
「おそらく、誰か戦っているわね。何度か力の波動を感じたから。」
「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 お互い沈黙。
 その理由は音が止んだからだ。
 もし本当に誰かが戦っているのであれば、恐らくどちらかが倒されたはず。
 それが味方なのか、敵なのか。

「・・・・こっちに向かって来てるわね。恐らく敵ね。強烈な殺気を感じるわ。」

 コツ   コツ   コツ   コツ   コツ   コツ
 ズル   ズル   ズル   ズル   ズル   ズル
 
 足音。それと奇妙な音が聞こえる。
 咲夜がナイフを構える。
 そして

 コツ   コツ   コツ   コツ   ・・・・・
 ズル   ズル   ズル   ズル   ・・・・・

 扉の前で足音が止まる。奇妙な音も同時に止まった
 そのまま、扉が少しずつ開いていく。
 そして二人の目の前に

「フラン!?」
「妹様!?」

 フランドール・スカーレットが姿を現した。

「久しぶりだね、お姉さま。」

 ニッコリと笑みを浮かべて話しかけるフラン。
 だが二人の表情は険しい。

「どうしてここにいるのフラン。いえ、それ以前に何をしていたの。」
「何言ってるのお姉様。ここは私の家なんだから居て当たり前でしょ?」

 そう言う意味ではない。

「あ、それと何をしていたかと言うと・・・・・・」

 フランがずるずると何かを引っ張ってくる。

「!!パチェ!?」
「!!美鈴!?」

 二人が思わず驚きの声を上げる。
 無理もない話しだ。
 二人ともボロボロの姿だったのだから。

「いったい、どうゆうお積もりですか!二人をこんな姿にして!!」

 咲夜がフランを睨みつける。

「別に、邪魔だからちょっと壊れてもらっただけ。それと咲夜、あなたにもね。」
「!!」
「禁弾『過去を刻む時計』!」
「う・・こ・これは・・。」

 咲夜の頭に何か直接ビジョンと声が入ってくる。
 いや、違う。入ってきているのではない。
 掘り起こされているんだ。私の中を。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――見てよあの女
 これは
――――――――――――――――――――――――――――――――知ってるか?あいつ変な能力持ってるらしいぞ
 私の
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――うわ、近づくな変人!
 生きてきた中で
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――あいつ人間じゃあないらしいぞ
 もっとも
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――近くにいたらうつっちゃいそう
 汚くて
――――――――――――――――――――――――――――――――――――うわー、獲って食べられちゃうかもよ
 よごれた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――絶対妖怪の子供だって
 最悪の
――――――――――――――――――――――――――――――――あなたなんて生まれてこなければよかった!!
 過去

「イヤアアアアァアアアアアァァァァァーーーーーーーーーーーー!!!!」
「咲夜!?しっかりして!!」

 レミリアが咲夜に駆け寄る。

「フラン、いったい何をしたの!!!」
「何って・・・・・」

 フランがレミリアの気迫に怯える。

「ただちょっと咲夜の過去を一時的に思う起こしただけだよ。私、お姉様と二人っきりで話がしたかったから。だから
邪魔な奴らを・・・・・・・」
「そんなことどうでもいい!すぐに解除しなさい!!」
「い、嫌だよ!やっとお姉様と二人っきりになれたのに。私ずっと寂しかった。ここ最近お姉様がまったく私に会いに
来てくれなくなったから、私、お姉様に嫌われたのかと思って。」
「・・!それは・・・。」

 先程までの気迫はどこに行ってしまったのか。
 レミリアは思わず押し黙ってしまった。
 フランが自分を慕ってくれているのは知っている。
 自分だってフランのことは大好きだ。
 だが、それをちゃんと示さなければ、そんな気持ち伝わるはずがない。

「ごめんね、フラン。確かにここ最近私はフランに会っていなかった。フランが一人で暗い部屋で私を待っていてくれ
たのに、私はそんなの気付きもしなかった。ほんとにごめんなさい。だからもうこんなこと止めて、フラン。私からも
みんなに謝るから、だから・・・・」
「嫌だよ。」

 予想外の答えだった。
 このまま行けば、確実に今まで通りの生活ができると思ったのに。

「ど、どうしてよ、フラン。今日した事だってちゃんと全部許してあげる。怒ったりなんかしない。だから・・・・」
「そう言う問題じゃないよ!こいつらがいれば、きっとまたお姉様を取られる。そしたらまた私は、暗い部屋で一人で
過ごさなくちゃいけない。そんなのもう沢山!!」
「そんな事ない!もうフランに寂しい思いなんて決してさせない!」
「・・・嘘だよ。私にはわかる。だって一度裏切られてるんだもん。私がどれだけお姉様を好きかしっていて裏切った
んだから、そう思われてもしかたがないでしょ?」
「フラン・・・・。」
「だから壊してやる。私の物にならないなら壊してでもお姉さまを手に入れてやる!!」
「!!」

エネルギー弾がレミリアを襲い掛かる。

「フラン、いい加減にしなさい!そんなに私の言葉が信用できないの!?」
「信用できない。あ、そうだ、いい事思い付いた。さっきの前言撤回する。やっぱお姉様要らないや。
代わりに・・・・・・・・・・・・代わりに私が受けた苦しみ、全部味わってもらを!」
「私も前言を撤回するは。少しお仕置きが必要ね。いくわよ、呪詛『ブラド・ツェペシュの呪い』!」

 レミリアが自分の掌に傷を付ける。溢れて来る血をナイフに具現化して放つ。
 放たれたナイフが綺麗な曲線を描き、通った軌跡にレミリアの血を残す。
 それが弾幕へと変貌していく。

「ならこっちもいくよ!禁弾『スターボウブレイク』!」

 多種様々な色の弾幕が横一列に放たれ、レミリアを襲う。
 弾幕の数、そして威力ともに遥かにレミリアを勝っている。
 次々とレミリアの弾幕が消されていき、追い詰められる。

「どうしたのお姉様、もしかしてこれでお仕舞い?」
「そう言っていられるのも今のうちよ。それに私は・・・・・」
「それに私はまだ全力を出していない、でしょ?茶番はいいからさっさと本気だしたら?お姉様。」
「(ムカッ)ええそうね。妹だから手加減してあげたけど、要らぬお節介だったわね。だったらこれできめる!
『紅色の幻想郷』!!」

 レミリア最強のスペルが展開される。
 あたり一面紅、紅、紅、紅、紅一色。
 まるで血の海を漂っているようだ。

「く、流石はお姉様だね。これはちょっと・・・・。」
「負けを認める、フラン?」
「そんなの絶対にしないよ。」
「そう、だけどこれで終わりよ!」

 さらにスペルに力を込める。
 その名に恥じぬ紅さ。幻想郷全てが紅で統一されたようにも見える。
 それが次第にフランを包んでいく。

「き、きゃあああああ!!」

 フランの悲鳴。その声を最後にフランの気配が消えた。

「ヤバ、ちょっとやり過ぎたかな・・・・・・。フラン、大丈夫!?」

 返事はない。
 それどころか、弾幕が多すぎて姿すら確認できない

「まさか死んだ・・・!いえ、そんな事はないはず!早くフランを探さないと!!」

 フランの姿を探すために、スペルの力を解こうとした時・・・・

「・・・え?」

 スペルが独りでに解けてしまった。

「これはいったい・・・・!?」

 そこで気付いた。
 今本当に捕らえられているのは、自分であることに。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――クスクス

 笑い声

―――――――――――――――――クスクス    クスクス

 何ともまあ

   ウフフ   アハハハハ    アハハハハハハハハ

 愉快そうな声だ

 辺り一面黒の部屋。先程レミリアによって紅くされた部屋が今や真っ黒。見えない見えない見えない見えない見えな
い、いくら目を凝らそうと見えるのは無。何もない何もない何もない何もない何もない何もない、初めから何もない。
そう錯覚しても可笑しくない空間。

 アハハハハ   クフフ     アーッハッハッハッハッ!!!

 聞こえる聞こえる聞こえる聞こえる聞こえる最高の笑い声が。この世にある罪と言う罪、罰と言う罰全てを嘲笑い・
貶し・可愛がり・称え・苛め・犯し・求め・哀れみ・壊し・褒め・抱いて・呪い・媚びる、まさに感情と言う感情全て
が入っている笑い声。

「くっ!何処に居るの!?フラン!!」

 キャハハハハ         可笑しなこと言うんだねお姉様。私はすぐ傍に居るのに――――――――――――

 ゾクリと、体が触れられている感覚。
 すぐさま振り解こうとするがそこには何もない。

                      そんなの無意味だよお姉様。――――――――――――――――――

 ハアハアハア

                     大分苦しそうだね。でも大丈夫――――――――――――――――――

 ハアハアハアハアハア

                       すぐ楽になれるから―――――――――――――――――――――

 ハアハアハアハアハアハアハアハア

                 だってこの空間は何もあっちゃいけないんだもん――――――――――――――

 ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア

                      私だけの一人と言う空間――――――――――――――――――――

 ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア
 
                        私以外の者は全て―――――――――――――――――――――

 ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア

                       壊れちゃうんだから―――――――――――――――――――――

 可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい何が可笑しい?
 そんなの決まっている。私自身が。
 ないないない、何もない。
 それはきっとこの空間ではなくてフラン自身。
 この空間はフランの心の中を具現化した物。
 見事なまでカラッポ。
 自分がフランをこんな状態にしてしまったんだ。
 たった一人の自分の肉親にして最愛の妹。
 あ~~~、何か考えるのも疲れた。
 思考回路が変になってるし、自分がわからない。さっきから意味不明な事ばっか言ってるし、穴ぼこだらけで矛盾し
まくっている気がする。でもきっとこのままいけば何もかも壊れ、そして





―――――――――――――――――――――――そして誰もいなくなるか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






















 暗い。
 その部屋にはほとんど何もない。
 何とも言えない殺風景な部屋。
 部屋にあるのは、美鈴・パチュリー・咲夜
 そして
 私、レミリア。

「・・・う・・こ・ここは?」

 私の近くに美鈴・パチュリー・咲夜の三人がいる。三人とも気を失っているようだ。
 いったいなぜこんな事に。
 わからない。
 それに何をしていた?確か・・・・

「!そうだ、フラン!!」
「何か呼んだ?」

 フランが自分の目の前に現れる。

「・・・・随分元気そうね。」
「おかげさまでね。」

 レミリアが体を動かそうとする。しかし見えない何かによって縛られているため、動かすことができない。

「動かそうとしても無駄だよ。」
「何故かしら?」
「今、美鈴・パチュリー・咲夜、そしてお姉様を縛っているのは罪だから。」
「罪?」
「そう。ここにいるみんなが、私にし犯した罪と言う鎖で縛り付けているの。そして、この空間はみんなへの罰で作ら
れている。495年間の罪と罰、その身に受けてもらうためにね。この技はね、さっきみたいな声とか聞かせて、精神
を攻撃するんだ。時間が経つにつれて少しずつ威力も上がっていくよ。」
「・・・・・やめなさい。」
「嫌よ。」
「だったら美鈴・パチェ・咲夜は逃がしてあげて!あなたを一人にしたのは私でしょ!?彼女たちは関係ないわ!!」
「あるよ。私からあ姉様を取った奴らなんだから。後、助けを呼んでも無駄だよ。紅魔館内の生存者はここに居る人た
ちだけだから。まあ、誰か来てもこの空間だけ隔離されてるから、他の者には見えないけど。」
「!!」
「じゃあ私行くね。パチュリーが気絶したら雨も止んだし。まず博麗神社って所に行ってみよ~と!あ、それとお姉様
、がんばって私が受けた495年の苦しみ味わってね!!名前は・・・・495年の波紋でいいかな。」
「・・・なんで波紋なの?」
「波紋って、水面に広がる波の模様って意味でしょ?私が受けた苦しみも、時間が経つにつれて広がっていったから、
ピッタリだと思ってね。」
「そう。・・・・それで、これを解く気は・・・・・」
「もちろんなし。そんな気があったら、最初からこんな事しないし。それじゃ頑張ってね~~!」
「こんな・・・こんな事して楽しいの!?」
「楽しい?う~ん、どうなんだろう。そんな気持ち今の私には分かんないんだ。だって・・・・・




          





                   だって私自分の心壊しちゃったんだから



 その時レミリアは見た。
 それは今まで私が見た中で
 子供のように純粋で
 すごく美しく
 一遍の悔いもない

 ――――――――――――――――――極上の笑みだった








     She broke her mind and then there were none.
お粗末様です。
なんでこんな文が考えついたのか不明です。(つかなんで書いたんだろ?)
おまけに下手ですし・・・・。
いわゆる下手の横好きですね(笑)
一応暗めに仕上げましたが、おかしいですね。
英文間違ってると思うし。
文章もタイトルも私も。
もうちょっと真面目に生きないとなぁー。

何かかったるい文章ばっか書いてますね。
テストが近づいてるのに書くこと自体間違ってるし。
といっても三週間きったぐらいですが。
次はギャグ文でも書こうかなぁ・・・。

読んでくれて、ありがとうございます。
MSC
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コメント



0.910簡易評価
4.80斑鳩削除
やべぇ、いや、こりゃあ……(言葉を捜して右往左往)
下手じゃないですってこりゃあ!
すいません、この続きが書きたいのですが……
8.30峰下翔吾(仮)削除
骨の部分は面白いです。……ちょっと肉付けが足りないのかな、所々唐突な印象を受けてしまいました。
ふぁいとです。
10.40ミタニ削除
狂気の表現がいいです。このフランのイメージには共感できます。
ただ、強く伝わってくるものがあるだけに誤字や表記の揺れが惜しいです。
たかが誤字ですが、作品世界に浸っている読者をそこから追い出すには
十分なマイナス要素です。それを踏まえてこの点数で。
11.無評価いち読者削除
自分の心を壊したフランが、いかにも狂ってていい感じです。自分のものにならないなら壊してでも手に入れる、なんて発想が何とも言えず、イカレてて。
ただ、その狂ったフランが強すぎて、そのせいで展開があっさりし過ぎているのが難点かも。
相手が妹とは言え、レミリアならもっと冷静に対処して、そう簡単にやられはしないのでは、と思いました。
……で、この話、続きます? 何だか先が気になってしまうのですが。

誤字などについて。
「今までどうりの」→「今までどおりの(or 通りの)」
ほか、恐らく間違いであろう箇所が9つあります。
やはり、完成したら1日くらい置いて、2,3度ゆっくりと読み返すことをおすすめします。
別に締め切りがあるとか、そういう訳ではないので慌てずに。