□月×日
買出しに里を訪れると八雲藍とばったり出会った。
向こうも買出しのようだった、相変わらず苦労しているというか何というか。
大変ね、あなたも、と言ったら
お互い様さ、と返されてしまった。
お互い同時に溜め息をついてしまったのは内緒よ。
まぁそれが妙におかしくて私が笑うと丁度向こうも笑った。
それから料理の事やら八雲家のことやら紅魔館のことやら話し合いながら一緒に買い物をする事に。
八雲家では和食が多い、八雲紫は梅干しが苦手などなど中々に面白い事が聞けた。
買い物を終えて茶店で一息ついた後お互いこれからも頑張っていこうと誓い、別れた。
充実した買い物ができてよかったとか思いながら帰った私を待っていたものは、
半壊した紅魔館とでかいサボテンが暴れている光景だった・・・・
あーもうこっから先書くの止めとこう、胃が痛くなってきたわ。
とりあえず犯人2名は現在逃亡中、後で必ずとっ捕まえておく事を誓う。
えぇ、最初目の前の光景が信じられなかったわよ本当に。
眩暈で袋を落としてしまい卵が2個ほど割れていた事を知ったのは事が終わってからだった。
まさか紅魔館に帰ったらでっかいサボテンが暴れてるなんて誰が思う?
一瞬気を失いかけたがそこは完璧で瀟洒なメイド、なんとか持ち堪えた。
急いで現場に駆けつけると美鈴が立ち向かっているがあまり相手にはダメージが無いようだ。
その少し後ろに魔理沙とパチュリー様と小悪魔を見つけたので事情を聞いた。
「いやそれがよぉ、物を成長させる実験てことで試薬をサボテンにかけたらあんな感じになっちまったんだ」
「だから言ったのよ、あの薬の材料にアレはいらないって・・・」
「いーや、お前の入れたあの粉が原因だ」
「私が失敗するわけないじゃない、あなたのせいよ」
「そんなことはない、絶対にお前のせいだ」
目の前でぎゃーぎゃーと言い争いに発展した。
小悪魔はおろおろと止めようとしているが止める事はできなそうだ。
はぁっ、と痛む頭と胃をできるだけ考えないようにしながら言い争いしている二人に
ナイフをちらつかせて止めさせ、お嬢様と妹様の安否とどうすればあのでかいサボテンを止められるのかを聞く。
今日は快晴だったのだ。
「レミリアとフランなら無事よ、今は地下にいるわ。
それと止める手段だけど中の薬の効力を中和する魔法をかければ元に戻るはず。
でも魔理沙と二人でやっても少し時間がいるわ」
つまりそれまで足止めをしろということですか。
はぁっ、と溜め息をついてわかりました、と言って巨大サボテンに向かう。
美鈴と合流し、ナイフで攻撃してみるがあまり効いていない様子。
しかも反撃なのか針を飛ばして攻撃してきた。
避ける、地面に刺さった、刺さった箇所の地面が溶け出した。
「待て、ちょっと待て」
なんだあのサボテンは、というか本当にサボテンなのかあれは。
ただでさえ人間サイズの針なのに刺さったら溶かされるとかいったいどういう原理なのか・・・
こんなのが幻想郷を蹂躙したら何も残らないのではないか?
「ここで何とかするしか無いってことね・・・」
また頭痛がしたが気にしないようにした。
時を止めながら相手の針を避けつつ、注意を館やパチュリー様達に向けないように必死にナイフで牽制をする。
幸い相手の動きが単調かつ遅い。
美鈴と交互に相手に牽制し、なんとかパチュリー様達の魔法の時間は稼ぐことができた。
サボテンは元の普通のサボテンに戻った。
しばらくサボテンを見ると反射的に警戒してしまいそうだわ・・・
被害は館、塀の3分の1を残して壊れ、庭にいたっては見る影もなくなっている。
とりあえずパチュリー様と魔理沙に説教をしようと思ったら二人ともいなくなっていた。
小悪魔に聞いても行方はわからないと言われた。
頭痛と胃痛が酷くなった・・・
□月○日
紅魔館修復率40%
状況はあまり芳しくない、というのもサボテンの棘を抜くのが結構大変。
お嬢様達は今は霊夢の所に泊まらせてもらっている。
今回はちょっと派手に壊れすぎてるから仕方なし。
食事は毎度作りに行くことに、ちょっと大変だけどこれも仕方なし。
うーん、ちょっと肩も痛いかしら、でもまだ仕事残ってるのよねぇ。
とりあえず未だ2人の行方は判明せず、どこへ逃げたのかしらパチュリー様。
メイド達の朝食を作り、仕事を任せて一時博麗神社へ。
昨日の件でお嬢様と妹様を一時的に霊夢の所に泊まらせてもらうことにしたからだ。
当ては他にもあったのだがお嬢様と妹様のご意見が一致した為である。
無論、最初霊夢は断ったが賽銭箱に一番高いお札を入れたら喜んで承諾した。
最近巫女という職業がどういうものだったのか忘れそうになる。
それと朝昼晩、私が料理を作りに来る事になっている。
お嬢様達の食事を考えると私が作るしかないと考えたからだ。
というか霊夢が3人分の貯えなどあるか!とその後言い出したからなのだが。
「おはようございます、お嬢様、妹様」
「おはよ~さくや~ふわぁぁぁ~」
「さくや~ごはん~」
二人とも本当に眠そうである。
吸血鬼が朝に強いなんてことはあるわけがない。
お二人とも、見た目相応な幼さだった。
「あら?霊夢はまだ寝ているのですか? 」
「うん、おねぇさま~かおあらってこよ~」
「フラン、歯磨きも忘れちゃ駄目よ」
お嬢様は覚醒し始めたようだ、妹様もその内覚醒するだろう。
さて、家主はどうしたのかしら。
「ぐがぁぁぁ~~~ぐおぉぉぉぉ~」
部屋に行ったらいびきかいて寝ていた、しかもかなりショッキングな感じに。
たとえるならば酔って帰ってそのまま布団の中にダイブした中年男性というところか。
なんだか無性に腹が立った、でもお嬢様と妹様を泊まらせてもらっているから目を瞑らないといけないわよね・・・
「うふふふふふ~金、金よぉ~うふふふふふ
あ~ら、咲夜、悔しい?悔しい?おほほほほほほほ」
「・・・・・・」
気がついたらメイド式ジャンピングエルボーをかましていた。
しかも時を操っての加速付きだ。
霊夢は「へぶぉ!」とか言った後、泡を吹いてピクピクと痙攣し始めた。
・・・ちょっとやりすぎたかしら。
台所を借りてお嬢様と妹様の朝食を。
お嬢様達が食べ始めた頃に霊夢が起き出して来た、腹を抑えながら。
さすが幻想郷最強の巫女、恐ろしい回復力ね。
「霊夢、どうしたの?」
「いや・・・なんでもないわ、何か起きたら凄い腹が痛かったのよ」
「あー霊夢、お腹出して寝てたんでしょ、だめだよーそういうの」
「そうだったのかな・・・?」
「・・・・・・」
霊夢の分は用意しておいたのでさっさと退散した。
3人で食事をしていたほうがお嬢様と妹様も楽しいだろう、決して他意は無い、無いったら無い。
その後は修復作業しつつ、時間を見ながら神社へ行ったり来たりをし、
夜中12時に作業は中止、皆テントに寝てもらい私は神社へ。
神社では伊吹萃香もおり、4人で酒盛りをしていた。
終わったのは4時、片付け終えたら5時。
正直な話、時間を止める能力無かったら今頃死んでいたような気がする。
□月☆日
紅魔館修復率70%
結局寝れたのは2時間、まだ少し疲れが残っている気がするが気にしていられない。
今日も昨日と同じように館と神社を往復する状態。
修復中、アリス・マーガトロイドが訪ねてきた。
何の用か聞いたらパチュリー様の事だった。
「今は魔理沙の家にいるわよ。
二人でまた何かやってるみたい」
とのこと。
本当に懲りないわねあの二人は・・・
まぁあの家が吹っ飛んでも私には何ら問題は無い、今は好きにさせておこう。
とりあえず、
「おもてなしをしたいところだけど生憎紅魔館はこの状態。
ごめんなさいね、せっかく訪ねてくれたのに」
と言ってみたら、
「いいのよ、状況はわかってたし。
今度来た時、おいしい紅茶とお菓子を貰えるだけで十分よ」
と返された。
私は約束するわと言った後、アリスは帰っていった。
今度来た時はとっておきのものをご馳走しよう。
それと修復中に問題が発生した、庭の花だ。
一日二日で花は咲くわけが無い、まして里では手に入らないような花もあった。
どうしたものか・・・
□月★日
紅魔館修復率90%
ようやく館も元に戻りつつある、明日にはお嬢様と妹様をお迎えできるだろう。
とりあえず問題となっていた庭だが、予想外なところの助力を得る事ができた、花の妖怪だ。
あの妖怪の力のおかげで庭の花はみーんな元通りというわけじゃないけど咲いてくれている。
尤も、咲いているのは前に咲いていた子達ってわけじゃないんだけど、ね。
とりあえずあの妖怪は迷惑がるだろうけど感謝している。
でも、今度来た時はしっかりあがってもらいたいわね。
花を見に来るのも結構だけどね。
大体修理は完了してきているものの、どうしてもどうにもならないところがある。
庭の花だ、こればっかりはどうにもならない。
土はあっても・・・ねぇ。
と庭の花壇の前で難儀していると。
「お困りかしら? 」
振り返ってみるとそこにいたのは風見幽香だった。
何用か、事を知って笑いに来たのかと聞くと
「あら、せっかく庭の花を成長させてあげようと思ったのに
そんな事言われるのなら帰ろうかしら」
「え・・・? 」
信じられない事をこの花の妖怪は言うではないか。
あの風見幽香が助けてくれるというの?
「勘違いしないでね、別に助けてやろうってわけじゃないのよ。ここの花達の為よ」
「花達の為? 」
「そう、 あなた達がよく世話をしていたからか咲いていた花達は感謝していたわ。
だから、ここの花達はここにまた花が咲く事を望んでいる、それがわかるのよ」
「もう花は咲いてないわよ? 」
「わかるのよ、花達が残したメッセージが。
花びら一枚となっても花は私に語ってくれる、そして私は相手がいるなら伝える義務がある」
おそらく一昨日散った花の花びらだろう、それを拾い、風見幽香は微笑んだ。
花の感情は私にはわからない。
でも、そう思われていたって言うんだったら悪い気はしないわね・・・
何だか頬が少しむず痒い気がした。
「そう・・・悪かったわね。
それじゃあお願いするわ、花達の為にも」
「了解よ、種を頂戴
中々いないわよ?ここまで感謝されるなんて。
これからも花達を慈しみなさい、花はそれに答えてくれるわ」
言われなくてもわかってるわよ、と言ってやった。
庭で咲いていた花達の位置を教えようとしたら「わかってるから大丈夫」と返された。
どうしてかと聞こうと思ったら、
「咲夜さぁん助けてくださ~~~い」
情けない門番の声がした。
「行ってあげなさいな、大丈夫、妙な事はしないわよ」
「わかってるわよ、よろしくお願いするわ」
頭を下げると少し驚いた顔をしたが微笑した後、庭の花壇に向かっていった。
私はそれを見送り、泣きそうな顔で待っている門番のところへ向かった。
庭の花はどうなったか見に行くと既に風見幽香はいなかった。
しかし、前と変わらぬように、元気に、花達は咲いていた。
心の中で礼を言い、私はさっそく花の世話を始めた。
そういえば前に風見幽香が庭にいたとメイドが言っていたのを思い出した。
何よ、あなただって世話してたんじゃないのよ。
□月!日
紅魔館完全修復完了。
お嬢様と妹様を迎えに博麗神社へ。
お二人は名残惜しそうだったが霊夢はやっと帰ってくれるかという感じだった。
お二人とも楽しかったようで何よりである。
お二人を館までお送りした後、今度は魔理沙の家へ。
無論、パチュリー様と魔理沙へ説教を。
二人はかなり抵抗してきた、それこそ何でそんな抵抗してんのよと言いたいぐらい。
いい加減にしないと図書館の本とこの家燃やすぞ、と脅しをかけたらようやく降参してくれた。
いつも本当にてこずらせるというか往生際が悪いというか・・・
2時間くらい説教してパチュリー様と共に紅魔館へ帰った。
そして修復費用を見て私はまた錠剤を噛み砕きながら頭と胃を痛めている。
今回は特大とも言えるほどの費用だった。
はぁっ、内職増やさないといけなそうね。
□月#日
珍しい客が来た、というかいつの間にかいた。
そんな奴は私は一人しか知らない。
そう、スキマ妖怪こと八雲紫が来た。
というか、今回、来たというよりは襲撃ね、ほんと。
あの妖怪、本当に困った奴だわ、まさかあんな事で怒り狂うなんて。
詳細はズタボロだった八雲藍の為に書かないでおくがこういうのはもう勘弁ね。
「それで何の用かしら? 」
お嬢様ならまだしも、この妖怪が私に用とは何事か。
目の前の客は幻想郷では知らない者はいないだろう八雲紫、通称すきま妖怪だ。
何かまた厄介事のような気がして自然と頭が痛くなる。
そろそろ病気かもしれないわね、本当に。
「大した事じゃないわよ、単なる口封じだから」
その瞬間、私は何もしてないけど時が止まった。
は?口封じ?私が何かした?
理由はわからなかったが・・・あ、一つ思い当たった。
「もしかして・・・この前八雲藍が言ってた・・・」
「そう、私の苦手なものを知るものは八雲家以外にいてはいけないのよ」
ちょっと待て、たかが好き嫌いを知っただけで私は消されなきゃいけないのか。
それはあんまりというか酷過ぎるわよ。
「落ち着きなさいよ、別に誰に話すわけでもないし話しても無いわよ」
というか話してもさほどの事じゃないでしょうに。
「信用ならないわ、うっかり話したなんて事が起こるかもしれないし」
「そんなに嫌いなの?梅干し」
「えぇ、嫌いよ。これを知られたら皆節分の時の萃香みたいに私に梅をぶつけてくるに違いない。
そう思うと怖くて夜も眠れないわ」
何だろうか、このスキマ妖怪大丈夫かとか本気で思い始めた。
ん・・・?そういえば・・・
「とりあえずちょっと落ち着きなさい、大妖怪が聞いて呆れるわ」
時を止めて急いで紅茶とこの前試しに作ってみたものを持ってくる。
「いい紅茶よ、それにこっちのパウンドケーキも食べてみては如何? 」
「ふん、食べ物でこの私を釣ろうなんて舐められたものね。
でもいいわ、あなたの最後のおもてなしを受けてあげる」
まだ私を消す気かこのスキマ妖怪は・・・
まぁいいわ、とりあえず食べてくれそうだし。
「ん・・・あら、おいしいわね、これ。
ほのかな酸味と果物の甘味がいいわ」
「そう、よかったわ」
どうやら好評のようだ。
そろそろネタ晴らしといこうかしら。
「ちなみにそれ梅干しが入ってるのよ」
「ぶっ! 」
危ない、危うく紅茶を吹きかけられるところだった。
「けほっ、けほっ、なんて物を食べさせるのよ! 」
涙目で咽てる大妖怪見るのなんてこれが最初で最後かもね。
ちなみに食べさせたパウンドケーキの生地に梅干しが使われている。
バターの風味も相まって中々に癖になると思う一品だ。
「でも美味しかったんでしょ? 」
「う・・・ま、まぁね」
「梅干しだって色々と使い道があるのよ。
嫌いでもそれだったらおいしく食べられるでしょ? 」
「た、確かに」
「ならこういうので少しでもいいから慣れてみて、そしてから普通の梅干しを食べてみたら?
そうすれば食べられるようになるかもしれないわよ?というか少しくらい食べられるくらいになりなさい。
あなたの式の式ならまだしも、あなたが好き嫌い一つでそんなんじゃ主に式二人に示しがつかないでしょうに」
「ぐ・・・ぐむぅ」
どうやら考え直してもらえたようだ。
紅茶を一口飲むと、八雲紫は隣にスキマを出した。
中からボロボロな八雲藍が出てきた。
うわっ、もしかして今までずっとその中に入れてたわけ?
八雲藍に同情せざるおえない。
「藍、命令よ。
これからご飯の時は梅干しを使った料理を入れて頂戴」
「ゆ、紫様・・・よろしいので? 」
「えぇ、このメイドにこうも言われてこのままだなんてプライドが許さないわ。
梅干しが何よ、絶対食べられるようにしてやるわ! 」
「ゆ、ゆかりさまぁ」
八雲藍は感激の余りに涙を流していた。
こっちがあなたの状況を見て涙を流しそうではあるんだけどね。
その後、先に八雲紫は帰り、八雲藍には私が知りうる限りの梅干しを使った料理のレシピを書いて渡した。
八雲藍は何度もお礼を言いながら帰っていった。
考えてみれば結局私が知っているのには変わりないが近いうちに八雲紫は克服するだろう。
それにしても好き嫌いか・・・むっ、そういえば紅魔館には好き嫌いが多いのが結構いる。
メイド達は皆5種類くらいは駄目なのがあるし、
パチュリー様は辛い物が駄目、小悪魔は苦い物が駄目。
お嬢様と妹様においてはその2種類に野菜類の半数、貝類が駄目という状況。
美鈴くらいね、好き嫌いなく何でも食べてるのは。
そろそろ紅魔館も好き嫌いを克服させる時期かもしれない・・・
それにお嬢様と妹様、お二人には少し頑張ってもらいませんと。
その一歩としてはこれはいいかもしれないわね。
でもとりあえず、今日の日記に詳細は書かないでおこう・・・
ズタボロにされた八雲藍に免じて、ね。
□月*日
鈴蘭畑へ鈴蘭を摘みに出かけた。
そこの主ともいうべきか、毒人形のメディスン・メランコリーがいたが、最近ご無沙汰だったからかどうしたのかと心配された。
いい子になったものだ、うちのメイド達に見習わしたい。
鈴蘭を摘ませてもらい、少し離れたところで幻想郷の事などの世間話を聞かせた。
外を知ろうと頑張っているようだがまだあまり慣れないらしい。
頑張れ、と頭を撫でて帰宅。
門ではやっぱり美鈴が寝て、館内ではメイドがサボってた。
一通りお仕置きしまくった、そろそろクビでもちらつかせないと駄目みたいね。
□月$日
あのお2人の為だもの、仕方ないわ・・・
こうでもしなければお嬢様達は苦手な物に向かってくれませんでした。
お嬢様達は自分が苦手とするものには全く向き合おうとしないところがありました。
望めるならば常に高みにいてほしいという私の馬鹿な望みでの独断ではありますが、
お嬢様達程の方が何時までもそれではいけないと思いました。
その第一歩が大変多い好き嫌いの改善でした。
これで私はお二人から嫌われるかもしれない。
でも私はそれでもいい、お嬢様達が立派な方になられる為だと思えば大丈夫だ。
・・・嘘です、辛いです。
本当はしなきゃよかったと後悔してます。
この日記をお二人が見たら許してくださるだろうか?
一昨日の日記を思い出して紅魔館の好き嫌いについてだが行動を始めることにした。
まずは少量で攻め、時を見てメインでどん、と出す予定だ。
妹様やお嬢様がステーキの付け合せの人参のグラッセとカリフラワーを残したのを見て
「いけませんよお二人とも、少しなんですから食べてください」
「や~!食べられないもん! 」
「そんな事を言わないでください妹様。
・・・お嬢様、どこへ行かれるのですか? 」
逃げようとしていたお嬢様の前に立ちふさがる。
本来ならばこのような事、したくはないのですが、これもお嬢様達の為、この咲夜、鬼となります。
「さ、咲夜・・・えっと・・・その・・・」
「いいですかお二人とも、今まではお二人の好き嫌いの多さに目を瞑ってまいりました。
ですがそろそろ少しは改善をしてもらいませんと困ります」
「いいもーん、咲夜が困ったって私には関係ないもん! 」
「フ、フラン止めなさい、咲夜は本気よ! 」
「では妹様には今後お食事を御用意いたしませんがよろしいですね? 」
「え・・・? 」
妹様が一瞬ぽかんと呆けてしまったが直ぐに泣きそうな顔になった。
食料関係は私の管轄だ、その私が作らないとなるとどういうことになるのか、妹様は御理解なさったようだ。
「フラン、我慢して食べるわよ、ほら、少しだけじゃない。
スカーレット家の娘が食べ物で泣かされた、なんて冗談じゃないわ。
一緒に食べましょ?ね? 」
「うぅぅぅ・・・咲夜のいじわるぅ」
恨みがましい目で見る妹様。
心が痛むがこれもあなた様達の為、お許しください。
お二人はちょびちょび食べ始めた。
長い時間のように思えたが食べ終わったのは10分後だった。
「お二人とも、以後少しですがお二人の嫌いなものを出させて頂きます。
それについていくら言おうと私は変える気はありませんのであしからず。
ですがこれだけはわかってください、
お二人の事を決して嫌いだからこういうことをしているのでありません。
それだけは御理解の程よろしくお願いします」
そして食器を片付けて私は部屋を出た。
後に残ったのは苦々しさと後悔と、そして決意だった。
書き終えた日記を再び見る。
こんな事を私は書いて私は懺悔でもしたいのかしら・・・
でも、でも私は・・・・・・
今日はもう寝よう・・・・・・明日、お嬢様達に何を言われても私は平然としないといけないんだから。
十六夜咲夜が寝静まった頃、その部屋を訪問する者がいたが彼女は気づかなかった。
ノックも無く入ってきた2人の者はテーブルの上に置いてあった日記を見つけ、
今日の彼女の行動理由と、そしてその結末に対する後悔、決意を改めて知った。
彼女達の目尻には心なしか涙が浮かんでいるようにも見える。
「許すしかないでしょうに・・・こんなの見たら。
フラン、あなたもそうよね? 」
「う・・・うん、咲夜は私達の事を本当に見ていてくれてるんだね」
「えぇ、それじゃあ明日から頑張って直していきましょうか? 」
「うん! 」
2人の者は寝ている従者を起こさぬよう、静かに、しかし嬉しそうに出て行った。
□月%日
お嬢様と妹様が文句一つ言わずに自分の嫌いなものを食べてくださった。
全く嫌われた様子も無く、嬉しくて涙が出かけた。
心配していた自分が馬鹿みたいだった。
そういえば日記の保管場所とは違う場所にこの日記帖が置いてあった。
うっかり隠し忘れたようだ、前みたく読まれないように注意しなくては。
それとまた美鈴がサボってたが今日は機嫌がよかったから見逃した。
次は無いと思え。
パチュリー様がなんともいえないことに!
それから咲夜さんがもう素晴らしいことに!
あと霊夢がすっごい酷いことに!
こんな笑ってはいけない深夜に笑わせていただきました。楽しかったです♪
咲夜はいいメイドだなぁー。
メイドの鏡だわ。
お嬢様と妹様のお口から、ゆかりんの弱点が幻想郷中に広まるのを。
克服が先か、噂が戸を抜けるのが先か。
というか、日記が恨み帳になるのも時間の問題?
それにしても、おぜうさまと妹様が良い子だわぁ。
なんてヤな職場…
頑張れ咲夜~A_;)
ところで藍との会話の最後に、巨大サボテン暴走責任擦り合いの一部が混じっているのでは…?
藍との会話は普通に終わってますね。
>「私が失敗するわけないじゃないました、と言って巨大サボテンに向かう。
ここがちょっと間違いかなと。
修正した後にどうやら被さってしまっていたようで。
読みづらくなっていたりして申し訳ありませんでした。
とくに霊夢にエルボーはなをグッド!!
お嬢様たちには嫌いなものを克服させるべく辛かろうとも実行するとは。
そしてそんな思いに応えるお二人も可愛い・・・。
内職・・・してるんですか。しかも増やすと。
実際どこから資金が出てくるのかわかりませんからね東方って。
いっそのこと咲夜さん、お嬢様たちに発言して一度ぐらい家出(でいいのか?)
してみて皆の反応を見るとかしたらとか思ったり思わなかったり・・・。
とても面白い作品でした。次回も楽しみにしていますよ。
某暗殺帳にクラスチェンジする日も近いか?
頑張れ幻想郷のピルイーターw
ありがとうございました
咲夜さんは、やっぱりラムネ味にはこだわりが有るんでしょうねw
裸胸味だけn(殺人ドール
なんだか本当にこれ日記か?みたいな感じになってしまいましたが
面白いと思っていただけたならば幸いです。
>裸胸味
その発想は無かったwww
>次回は妖夢か
3はもう出しましたがその内違うキャラでやるかもしれません。
その辺はまだ白紙の段階です。
面白さの中にもほのぼのとしたものがあり、楽しませていただきました。
そして、咲夜さんに幸あれ……( ´Д⊂ヽ
とりあえず、過酷な職場で錠剤ラムネのプラシーボ効果だけで頑張る咲夜さんに最大限のエールをw
お嬢様も妹様もお子様だし、好き嫌いあっても仕方ないのかなぁ。
咲夜さん頑張れ。
でも題名が日記だけに、日記の内容としてはどうなんだろうと思わざるを得ない。
どちらかといえば、日記というよりさくやのある1日、そんな感じ。
なんて異常事態も東方という舞台にかかれば日常の一風景に過ぎないんですね(苦笑)
パチュリー様・・・咲夜さんを思うなら少しは自重してください(汗)