さくやにっき

○月×日

すぐに止めるかと思ってた日記だけど気づけばもう１０冊目になった。
私がこの紅魔館に来てからもう何年経ったことだろう。
今では泣く子も黙る鬼メイド長なんて影で言われてるらしいけど昔の私が見たらどう思うかしら。
最近妙に年寄り染みてしまっている気がする・・・まだ１０代なのに。





○月△日

珍しく今日は何も厄介事が起きなかった。
いつもならば今頃は月の薬屋特製の錠剤を噛み砕きながら日記を書いているのだが。
珍しく美鈴が居眠り、サボりをせずに門番に勤め、
珍しく妖精メイドがまじめに働き、
珍しく魔理沙が普通に客として来館し、
珍しくパチュリー様の実験の失敗による被害が無く、
珍しく妹様の破壊活動が無かった。

これ程珍しい事ばかりとなると明日は槍どころかお嬢様のグングニルの雨でも降ってくるかもしれない。
ちょっと寝るのが怖くなった・・・





○月$日

昨日あんな事を書いたせいか今私は館の修復に追われている。
原因は魔理沙とパチュリー様の実験の失敗。
どうやら昨日魔理沙が来たのは今日の実験の打ち合わせの為だったようだ。
何でもロケットで宇宙にとかどうたらとか言っていたが・・・とりあえず両名には深く反省してもらった。
今回は紅魔館が半壊するほどの被害となった。
お嬢様は困ったような顔をしていらしたがもう少し御友人を何とかしていただきたいものである。

あぁ、錠剤が切れそうだ・・・また貰ってこないと。





○月☆日

修復率８０％
珍しい客が来た、夜雀だ。
何でも串焼き屋の新たなメニューを作る為に料理の本を借りに来たそうだ。
いくらなんでもパチュリー様の図書館に料理本は無いと思ったら数冊あった。
なんだか無性にあの図書館を調べたくなったが何日かかるかわからないので止めておくことにする。

ちなみに新メニューとして天ぷらを考えているようだ。
立場は違えど同じ料理を作る者としてアドバイスはしておいた、後はあの雀の腕次第だろう。
今度見に行ってみよう・・・お嬢様も気に入っているようだし。





○月★日

紅魔館修復完了。
経費を見ていたら錠剤が空になった、明日貰いに行こう・・・
それと妹様、お願いですから時折壁に「不乱参上！」とかスプレーで書かないでください。
消すの大変なんです、というかあなたは暴走族か何かですか・・・

幻想郷にはいないと・・・あ、空を飛んでる暴走族いたわね、二人ほど。
魔理沙が何か吹き込んだのかしら。





○月＠日

永遠亭に薬を貰いに。
相変わらず腹黒ウサギは色々と詐欺行為をしているようだ。
私のところにもふっかけてきたので、
ウサギの足って幸運を呼ぶって言うわよねぇ、と冗談で言ったら速攻でいなくなった。
あの子の人を幸運にする力も兼ね備えていそうでちょっと切ろうかと思ったのは内緒だ。


八意永琳に会って前のと同じものをと言ったら少し同情された。
そういえばあなたには困った姫君がいたのよねぇと言ったら苦笑していた。
どうやら相変わらず不死身同士の無駄な殺し合いで永遠亭に被害を及ぼしてるようだ。
どこも仕える者は大変そうね・・・


帰り際に月の兎に会った。
前に会った時よりやつれていたのでどうしたのかと聞いたら

「最近師匠の手伝いと薬品販売と永遠亭の家事であまり眠れなくて・・・」

と泣かれた。
前言撤回、苦労してるのはこの子だ、しかも相当。
今度何か差し入れしてあげようと思う、その時まで生きているだろうかこの兎は・・・

帰ったら美鈴がまた居眠りをしていた。
あの兎の話を聞いたせいか無性に腹が立ったので顔をナイフで埋めてやろうかと思ったら危険を察知してか起きた。
危険察知能力だけは褒めてあげた、居眠りには制裁をくれたけど。

紅魔館もあの兎くらい真面目に働く子がいてくれるといいんだけど・・・無理か。





○月！日

ルナサ・プリズムリバーが来た。
そういえば今度催すパーティでの打ち合わせをするんだったわね。
打ち合わせを終え、雑談がてら昨日の永遠亭の月の兎の話をしたら泣かれた。
タイミング悪く美鈴が入ってきて「咲夜さんが泣かせてるー！」とかぬかしたので黙らせた。

「妹達も家事を手伝ってくれないから困る・・・」

どうやらあの兎程じゃないけど家事で苦労してるようね・・・
しばし愚痴の言い合いをしてお互い少しスッキリした。
今日は錠剤を噛まないですむかなーとか思ってたら魔理沙がまた門と扉を破壊して入ってきた。

今日もまた錠剤を噛み砕きながら経費に頭を痛めそうだ。





○月□日

小悪魔が料理を教えて欲しいと頼んできた。
お茶の注ぎ方もお菓子作りも十分にできる様になったのになんでまた？と聞いたら

「最近パチュリー様が遅くまで調べ物やら実験やらしているのでお夜食でも作れればと思いまして・・・」

なるほどそういうことね。
まぁ別に問題は無いからいっかと教えたのはいいんだけど
考えてみれば実験失敗した時のツケを払わされるの私なのよね・・・
こっそり小悪魔の作った料理に睡眠薬でもしこんで深夜の実験をさせないようにしようかしら。
でも実験途中で寝られたら成功するものでも失敗されちゃうわよねぇ。

即効性のある睡眠薬でも八意永琳から貰ってこようかしら？





○月？日

また魔理沙が門破壊して入ってきた。
いい加減にしろという意味でメイド式バックドロップをかました。
そこを妹様に発見され、気絶した魔理沙を持っていかれた。

今日は館から魔理沙が出た形跡ないけど大丈夫かしら・・・？






○月＋日

魔理沙は妹様の部屋にいたようだ。
心底疲れた顔で出てきたのを発見した。

「お前のおかげで散々フランに付き合わされたぜ・・・」

自業自得だ。
魔理沙はフラフラと帰っていった。
パチュリー様が来たのなら教えてくれてもよかったのに、とかおっしゃってたけど聞かなかった事にする。
下手に何か言うと後が怖い。

それと中国がまたサボってたのでお仕置きした。
何時になったら学習するのかしらあのダメ門番は・・・











「読んでたらまた額が痛くなってきました・・・」

咲夜さんに用件があって咲夜さんのお部屋を訪ねたのですが留守。
不図テーブルにノートがあったのでついつい読んでしまった。
まさかあの咲夜さんが日記を書いていたなんて、しかも読んだ感じ相当長く。
日記を閉じる。

「それにしても咲夜さんが錠剤飲みまくっていたなんて知らなかったなぁ」

「そうでしょうね」

「まぁしょうがないですよねー咲夜さん色々と苦労してるみたいですし」

「そうね、誰かさんのせいで色々と苦労してるわね」

「・・・・・・・・・・・・・あれ？」

何で私しかいない部屋で他の人の声が聞こえるんでしょうか・・・？
恐る恐る振り返るとそこには・・・







「人の日記を勝手に読むのはいいとは思えないわよねぇ、め・い・り・ん？」

















○月％日

人の日記を盗み見した愚者に生きてるのが嫌というくらいのお仕置きした。
今度から日記管理には気をつけないといけないわね。

あぁ、錠剤のラムネ味が美味しい・・・

どこぞのピルイーター思い出しながら書いてたのは内緒。

追記：誤字に関して修正、ご報告感謝いたします。