「だから私は鳥の唐揚げが食べたいっつってるでしょーが!」
丑三つ時もとうに過ぎた深夜の屋台に、突如、怒号と破壊音が響き渡る。
「そ、そんなこと言われても……うちには鳥料理はないんですよ~」
「あっそう! じゃあ、あんたを丸焼きにして食べてやるわ!」
「ひ~! お慈悲を~!」
片方は店主の夜雀、で、もう片方は……あまりにも派手に酔っ払ってるので、もはや一目では誰だか判別不可能に近い。
少なくとも普段の落ち着いた振る舞いからは想像できないほどの乱れっぷりだ。
そもそも彼女がこの場にいること自体すごく珍しい気がする。
「またんかぃーこのチキン野郎!」
「私は野郎じゃないですよぉー!」
「黙れ、この夜郎自大!」
「いみがわかりませぇーんっ!」
などと言いながら逃げ惑う夜雀に、割り箸やらコップやらをブンブン次々と投げつける酔っ払い。
「えーい! ちょこまか逃げるんじゃないわよ!」
「逃げますよー! だって当たったら痛いじゃないですかー!」
「四の五の抜かすんじゃない!」
更に逃げ惑う夜雀に業を煮やした酔っ払いは、ついにその場にあった丸いすを豪快に投げ飛ばす。
「いやぁああ!」
椅子は見事に命中し、彼女はとうとうKOしてしまった。
さて、ここで冷静に考えてみると、今のうちに帰れば勘定を払わずに済むわけなのだが、既に冷静じゃない酔っ払いがここで大人しく帰るわけも無い。
「ふっ……てこずらせるんじゃないわよ! 夜雀の分際で!」
酔っ払いは千鳥足ながらも、倒れている夜雀の所に近寄ると、おもむろに彼女の服を剥ぎ取り始める。
……というか、これそろそろ誰か止めないとやばいんじゃないだろうか。本当に食われてしまいそうな勢いだ。
いろんな意味で。
と、そのときだ。
「こらー! みすちーに何するんだよ!」
こういうときには大抵、正義のヒーローが助けに入るわけだが、生憎止めに入ったのは触覚を生やした虫の子。お世辞にも彼女は強そうに見えない。
「なーによ、虫の分際で私の邪魔するって言うわけ?」
酔っ払いは、その子のところにゆっくりと歩み寄っていくと、その子は明らかに怯えた表情を見せる。こりゃだめだ。
「来るな! このぉ! 妖怪!」
「あんたも妖怪でしょうがー!」
「ひえぇー!」
案の定、せっかく止めに入った彼女も酔っ払いの餌食となってしまった。
……というかこの子は一体何のために現れたのだろう。
「ふん、所詮は下等妖怪ね。他愛も無いわ……!」
酔っ払いは椅子に片足を挙げて勝ち誇っている。
まさに「あいあむ ざ ちゃんぴおーん!」とでも言いたげだ。
「……ちょっと! そこのあんた! 何さっきからブツブツ言ってんのよ?」
そう言いながら彼女は、隅っこで傍観していた私の方に、ゆっくりと近寄ってくる……って私!?
「そーよ! 他に誰がいるのよ!?」
いや、そこで酔いつぶれて寝てる「宵闇妖怪そーなのかー」とか……。
「今、この場で起きてるのは、あんたしかいないわけよ! わかる!?」
確かにそうなるけど……。私は今回はあくまで傍観者であってこの物語の地の文を……。
「いいいから、大人しく唐揚げになりなさい!」
まるで言う事を聞かない酔っ払い。しかし、単なる傍観者として、みすみすと巻き添えを食らうわけにはいかない。
降りかかる火の粉は払わなければならないわね。……と、私が仕方なく言うとその酔っ払いは
「いい度胸じゃない! この私に勝てるとでも思ったのかしら?」
と、のたまった。そこで私は……とりあえず、妖怪そーなのかをたたき起こす。そして、私は彼女に理由を説明
して、この先の地の文を彼女に任せる事にした。
「……と、いうわけで私もはれてセリフで喋る事ができるわけです」
「ふっ、よくわからないけど、そういうことね!」
やっほールーミアなのだー。無理やり私がこの先の状況説明をすることになったのかー?
「……酔っ払っているとは言え、普段のあなたの強さは既によく理解しているつもりです。私もある程度、本気出させてもらいますよ!」
よくわからないけど、天狗はそう言うと、びしっと構えたのかー。
「あら、意地悪ね。そう言っておいて、実はあなたのほうが実力上なんじゃないの?」
と、酔っ払いさんは言ってズベシっと身構えたのかー。二人ともまさに一石二鳥の様相だ。わはー。
「とぅ!」
と、雄たけび声を上げると天狗は宇宙へ飛んでいった。
「はっ!」
同じく酔っ払いさんも宇宙へ。おぉ! 幻想郷は青かったのかー。
二人はお空の上で蜂の真似して飛び回っているみたい。平和だなー。おぉー二人の弾幕が綺麗だー。季節はずれの花火だー。……あれ? 今季節なんだっけ。ま、いいかー。
「くっやるわね。流石は天狗……」
「そういうあなただってなかなかのものですよ」
おぉ! ポンデリングが夜空一杯に広がったー。そういえばお腹空いたなー。
あ、酔っ払いさんが逃げ回っている。ポンデリングは嫌いなのかー?
「ちっ、厄介な弾幕ね! しからば!」
おぉ! すごい! 細かい火花が空一杯にチカチカなってポンデリングを打ち消し始めた。わはー。
これ見てると、霊夢たちと初めて弾幕ごっこしたときの事思い出すなぁ。あの時は確か瞬殺された……のかー?
「ふっ……あなたは移動速度が遅いのが弱点です。この動きについて来れますか?」
あれ? 天狗がいなくなった。けど弾幕は消えないし。わかった! これは……バグなのかー。
「バグって何よ!?」
二人同時に突っ込まれたー。わはー。
「わはーじゃ、ありません! 私達がせっかく真面目にバトルをしてるというのに……」
「そもそも、こんな子に任せたのが失敗だったのよ!」
「ええ、そうですね。私が迂闊でした」
「そーなのかー」
「うるさい!!」
「わはぁー……」
こうして、妖怪そーなのかは酔っ払いの一撃で星になった。
めでたしめでたし。
「って、こら! まだ、私との勝負終わってないでしょうが!」
「おっと、そうでしたね。これは失礼!」
「もう、地の文なんてどうでもいいじゃない! 眠いし、とっととケリつけましょう!」
「望む所です! それではこの先は効果音のみでお送りしましょう! とりゃ!」
ドゴーン! ドゴーン! ドゴーン!
「はっ!」
バシューン! バシューン! バシューン!
「やぁー!」
シュワァー! シュワァー!
「なんの! とぉ!」
キュルルーン! キュルルーン! ドゥウン!
「これでどうですか?」
ブワワワワァー! ズビシューン! ズビシューン! ズビシューン!
「甘いわ! はっ!」
ギュイーン! ギュイーン! ギュイーン! ウボアー!
*
*
*
「……で、結局、二人とも疲れて帰っちゃったわけ?」
呆れた様子で霊夢さんは私の話を聞いている。
私だって途中からしか見てないので全部はわからないけど、どうやら二人の弾幕合戦は明け方まで続き、途中でルーミア達までもが巻き添え食らったらしい。私がその事を言うと、霊夢さんは大きくため息をつく。
「本当、災難ね……」
「まったくですよー。彼女達、結局お代も払っていかなかっですし……」
「そんなのツケにしておけばいいじゃない。今度来たときに倍の倍にして払ってもらったら?」
「それ、いいアイデアです! 是非そうしてみます」
「ま、せいぜい踏み倒されないようにね」
「あははは……頑張ります……」
……こんな目に遭っても私は屋台稼業をやめるつもりはない。
屋台に訪れる客に笑顔と、そしてふれあいの場を提供するため、これからも私は頑張っていきたいと思う。
――所変わって屋台の中
「……うぇーん、みんな、私を忘れないでよぉ……」
すっかり皆に忘れられてしまった虫の子が、八目うなぎをかっ食らっていながら一人、たそがれていたという……。
風見 幽香かな?
構想が面白かったです
別に何にも根拠はないけど、咲夜さんかなとか思った。いったい誰なのか
なんだかよく分からないまま結末を迎えるのは嫌だな。
あと直球で申し訳ないのですが、面白くなかったです。
ノリについていけないというか、会話地の文そろって楽しめないというか……すいません。
誰?
正直、ルーミアの地の文はいらなかったかなぁ