さあさあさあ、そこの坊ちゃん、そこなお嬢さん、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。
世にも不思議な、魔法使いの人形劇が始まるわよ。
……え? あはは、お金なんて要らないわ。ただね、私は色んな人に見て欲しいだけなのよ。
ああ、大人の人もご自由に。ええ、さっき言ったように色々な人に見てもらいたいの。
波乱万丈、今宵の話を綴るのは、人生経験豊富な魔法使い。飽きさせないだけの自信はありますわ。
……そう、見ていってくれるのね。ありがとう、感謝するわ。
じゃあ、人が集まってきたし……そろそろ始めましょうか。
タイトルは……そうね、博麗の巫女と陰気な森の魔法使いってところかしら?
むかぁし、むかし。
ある日、博麗の巫女が悪い妖怪を退治するために空を飛びまわっていました。
そこへ、魔法使いの女の子が出てきて、待ちなさい! と言いました。
巫女は、辟易したような表情で魔法使いの女の子をさっさとやっつけて、悪い親玉のところへ行きました。
そして次の日には、巫女の元に平穏が訪れました。
しかし、それと同時に昨日の魔法使いが巫女の元にやってきて、再戦を申し込みました。
そして魔法使いは、やっぱり巫女には勝てませんでした。
これでやっと懲りるか、と巫女は思いました。
しかし巫女としては珍しく勘が外れてしまいます。
そう、次の日も、魔法使いはやってきたのです。
巫女は、その魔法使いが大嫌いでした。
弱いのに自分に挑んでくる魔法使いが。
臆病なのに、それを隠して必死で強いふりをしようとする魔法使いが。
徒としかならない努力を重ねて、自分に挑んでくる魔法使いが。
巫女は、懊悩しました。
このまま勝ち続けることは簡単です。
しかし、それだときっと魔法使いは負ける度にまた巫女に挑んできて、お茶を飲む時間すら与えてくれなくなるでしょう。
巫女は、独りでした。
そして独りの時間が大好きでした。
その独りの時間が連綿と続くことを、巫女は嘱望していました。
だから、巫女はわざとに負けました。
道化のように、負けました。
きっと満足して明日には自分のことは忘れているだろう、と巫女は思いました。
ところが、魔法使いの女の子の目からは滔々と涙が流れ出します。
魔法使いは、バカ! とだけ言って神社から飛び出してしまいました。
巫女は、何がなんだか解りませんでした。
心はどこか暗澹とした気持ちのまま、夜になって、巫女は寝てしまいました。
次の日、魔法使いは来ませんでした。
巫女は、とうとう平穏な日々が戻ってきたと思いました。
思いましたが……心の中の細波が、濛々とした気持ちが全く晴れてくれません。
一日中、巫女は悄然とした面持ちでした。
お茶も美味しくありません。
その日は何時もよりずっと早く、布団に入りましたが、その日はずっと眠れませんでした。
こんなに寂寞とした夜は初めてだったからです。
眠れたのは、お日様が曇った空に顔を出した時でした。
目覚めは、夕立の訪れのように唐突でした。
誰かが神社に来たのです。
巫女は、心が跳ね上がる思いでした。
急いで外に出ると、そこには傷だらけの魔法使いが居ました。
どうしたの、と巫女が聞きます。
魔法使いは、なんでもないとだけ答えて、また、勝負しようと言いました。
巫女は、その答えにどこか溜飲が下がりませんでしたが、特に深く考えずに承諾しました。
戦い始めると、巫女は驚きました。
魔法使いの女の子は、目に見えるくらいに強くなっていたのです。
そして、気付きました。
あの傷は、きっと修行で負った傷だ、と。
巫女は、目から何か熱いものが流れてくるのを、必死で抑えました。
いつの間にか精悍な顔つきになっている魔法使いに、聞こえないようにごめんなさいと言いました。
それでも、魔法使いは巫女に勝てませんでした。
しかし、巫女も魔法使いも、その顔はどこか清清しいものになっています。
雲はいつの間にか無くなっており、蒼穹に太陽が輝いていました。
この日、二人は友達になりました。
巫女はもう、独りなんかではありません。
魔法使いと巫女は、この日を境に段々と戦うことが少なくなっていきます。
――――
さて、物語はまだまだ序章。起承転結、承の部分。これから一体どうなるのでしょうか?
……え? 何? 厠に行きたい? あはは、良いわよ、行ってらっしゃい。
貴方が居ても居なくても、物語は変わらないのだから。
――――
それから何年か経ちました。
二人は、すっかり落ち着いた、しかしどこか幼さの残る少女へと成長しました。
彼女達は、たった数年でとても貴重な体験を何度もしました。
紅い霧に覆われた異変を。
春になっても雪が解けることの無い異変を。
毎日のように続く宴会の異変を。
満月の無くなる異変を。
幻想郷中の花が咲き誇った異変を。
ああ、それに巫女の神社の営業停止命令が下されたこともありました。
魔法使いと巫女が、異変の最中に戦う事だってありました。
その度に巫女は、魔法使いとの出会ったあの日を思い出すのです。
今、彼女達は、異変を通じて魔女と、吸血鬼と、幽霊と、宇宙人と、天狗と死神と閻魔と神と――たくさんの人と知り合いました。
巫女は、とても楽しい毎日を送っています。
もう、独りになりたくはありませんでした。
巫女は、異変を通じて知り合った、魔女が、吸血鬼が、幽霊が、宇宙人が、天狗が死神が閻魔が神が――好きでした。
そしてそれ以上に、昔からの付き合いの魔法使いが、大好きでした。
巫女は、とっても欲の少ない人間です。
しかし、巫女はずっと、一つだけ、願うまでも無く願っていました。
この楽しい楽しい時間が永遠に続きますように、と。
巫女のところには、毎日毎日途絶える事無く、妖怪達が、ひっきりなしに神社を訪れます。
その度に巫女は他愛も無い話をして、その日暮しをしています。
前から何も変わっていません。
そう、巫女は、きっと永遠を手に入れたのです。
大好きな魔法使いが、妖怪となり永遠を手にするまでは。
――――
お帰りなさい。すっきりしたかしら?
……いえ、心配しなくても良いわ。物語は一つも進展していないし、問題は一つも解決していないわ。貴方はよく知っているでしょう?
彼女はきっと、永遠を、手にしたのだから。
――――
それから幾年か経ちました。
妖怪達は、神社に来る頻度が少なくなり、来たとしてもどこか悲しげな表情で巫女を見るようになりました。
しかし魔法使いは、かつてのように毎日、朝早くから巫女の元に訪れるようになりました。
魔法使いがお話をしよう、と言うと、巫女は文句を言いながらも、夜遅くまで魔法使いと取りとめもない会話で盛り上がりました。
夜、魔法使いが家に帰ると、静寂な神社で、巫女は一人考え事をしました。
本当に自分は、永遠を手に入れたのだろうか、と。
巫女のところには、毎日毎日途絶える事無く、妖怪達が、ひっきりなしに訪れます。
もしかして、巫女は惑わされていたのでしょうか?
ずっと変わらぬ妖怪に。
ずっと変わらぬ日常に。
ずっと変わらぬ世界に。
変わらないそれらを見て、自分も永遠であると勘違いしてしまったのでしょうか?
いえ、違います。
巫女は、魔法使いの女の子と共に、成長してきました。
だから、巫女は気付いてしまったのです。
魔法使いがいつまでも変わらないことに。
自分が、いつの間にか魔法使いより背が高くなっていたことに。
そして、博麗の姓が持つ意味に。
次の日、巫女は、目が覚めて体の異変に気付きました。
お日様が顔を出した後も、起き上がることが出来なかったのです。
魔法使いが、呻くように自分の名前を呼ぶ巫女の姿を見て悲鳴を上げました。
巫女は、魔法使いに背負われて竹林の中の、とっても腕の良い、お医者様のところへ行きました。
不老不死の薬を創れるほどの、すごいお医者様です。
お医者様は、呪いのようなものが原因で、そこまで大事な病気ではないが、大事をとって入院してもらうと言いました。
魔法使いは笑って、涙を流しました。
そしてただただ、良かった、良かったと口にするばかりでした。
巫女はぎこちなく笑いました。
お医者様の言葉が、嘘だと解っていたのです。
きっと自分は死んでしまうんだろう。
体に対する当てつけのようによく働く頭で、巫女はそんなことを思いました。
巫女は、自分を育ててくれたはずのお母さん――つまり、先代の巫女を知りませんでした。
ただ、自分のように名前ではなく、博麗の巫女と呼ばれており、若くして逝ったことしか知りませんでした。
いや、きっと育ててくれてすらいないのでしょう。
巫女の一番古い記憶では、自分はもう博麗神社の巫女で、しっかりと仕事をしていました。
これは、博麗の運命なのです。
博麗の仕事は妖怪退治。
老いてしまっては力が弱ってしまいます。
だから、力の強い内に、命に換えて次代の巫女に力を引き継がせるのです。
これを呪いと呼ぶのも、あるいは、正しいのかも知れません。
巫女は、急に怖くなりました。
一体誰が、私が生きていたことを覚えてくれるのだろう。
私は何て小さな存在なのだろう。
そんな考えが、巫女の中の狭い個室を駆け廻り、やるかたなくなりました。
きっと自分が死んだらみんな、いっぱい、いっぱい涙を流してくれます。
悲しみを抑えられないために、あるいは別れを惜しむために。
それでも多分、きっと、恐らく、次の日には、巫女は「博麗の巫女」になるのでしょう。
巫女が好きだった魔女も、吸血鬼も、幽霊も、宇宙人も、天狗も死神も閻魔も神も……まるで見ず知らずの他人であったかのように――
そしてこの、魔法使いさえも……。
そう思うと巫女は、魔法使いの泣いて喜ぶ顔がまるで道化師の仮面のように見えてきました。
巫女は、泣き叫びました。
今まで誰にも見せた事の無い形相を、皮肉にも魔法使いに見せながら。
先程までの呻くように声を出していた弱弱しい巫女がが一切の空想であるかの様に、出て行って! と叫び続けました。
魔法使いは、巫女の尋常でない様子に衝撃を受けました。
自分の意思で出て行こうとしなかったのか、それとも歩くことすら叶わなかったのかは判りません。
魔法使いは、お医者様の助手に連れられて家に帰りました。
巫女は、いっそ本当に道化師の仮面が崩れてくれれば良かったのに、と床に溜まった涙を見て思いました。
お医者様は、巫女に、本当のことを、蛍の如く短さの残り時間を告げます。
さっきお医者様のついた嘘が、巫女ではなく魔法使いを救ったのなら、もしかすると美談なのかもしれません。
――――
……ああ、夜だわ。物思いに耽って夕空なんかに見惚れている間に、夜が後ろから迫ってくるの。貴方だって例外ではない。
時間は残酷ね。刹那に身を任せて死ぬ人間は勿論、永遠に身を放る妖怪も。
だって、そうでしょ? 人間には刹那すら、永遠となるのだから。
――――
お医者様の家での初めての朝が来ました。
巫女は昨日のような体の異変は起こりませんでした。
あれはもしかすると、巫女に死を知らせるためだけの合図だったのかもしれません。
きっと巫女は、瞬息をそれ以上の急激な早さで走った後に、安らかに、苦しむ事無く死ぬのでしょう。
人の記憶に残らず、死の時間が解ってその上苦しむ事無く清冽にその生を終える……。
一体どのくらいの人間が、それを渇望するでしょうか?
それは解りません。
解りませんが……確かなことは、巫女はそれを望む人間ではないということでした。
どれだけ辛苦で、不浄な生だろうとも、やはり巫女はこの一瞬を永遠にしたいのです。
そして何時ものように、所は違えど魔法使いがやってきます。
お互い、少し気まずそうに、目を合わせる事無く謝りました。
数秒の沈黙の後、魔法使いは聞きました。
昨日は一体どうしたのか。
何か隠しているのではないか。
そして、本当に大した病気ではないのかを。
巫女は、もう惰性のままに本当の事を、それと自分の今までの思いを口にしました。
ひょっとすると、魔法使いが造作も無く自分を救ってくれるのではないかという一抹の希望を胸に。
もしくは、自分の暗愚な妄想に過ぎない道化師の仮面を、今すぐ目の前で引き剥がして欲しいという多量の願望を胸に。
魔法使いは、そのどちらにも応えてくれませんでした。
伏目がちで、その目は何を映しているのかすら解らぬまま、ただただ黙しています。
少ししてパッと顔を上げると、笑顔で、お話をしようと言いました。
始めはへえ、ふうん、と生返事ばかりの巫女でしたが、段々と会話に熱が入ってきました。
特別などではない、取り留めの無い会話。
この魔法使いと居る時は、ただそれだけで、楽しいことを巫女は思い出しました。
お日様が天高く上っていきます。
二人がお昼ご飯を口にしたのは、同時にお腹が鳴って大笑いした後でした。
お昼ご飯を食べた後、お日様は段々と沈んでいきました。
二人がそれに気付いたのは、お医者様が巫女の部屋に入ってきてからです。
あたりは暗く染まっています。
それを見た魔法使いはもう帰るようです。
お医者様が泊まっていけば良い、と告げましたが、魔法使いは断りました。
魔法使いは、先に行ってる、と言って帰っていきました。
魔法使いが帰った後、巫女は心地よい孤独感に満たされました。
仮面だとか博麗の巫女だとか、そんなことを考えていたこと自体が馬鹿馬鹿しくなるほどに、瞬間全てが快かったのです。
何か、重い拘束具が外れたような気分でした。
巫女は、決意します。
巫女はお医者様に、どうしても体を直して欲しいと言いました。
お医者様は、無理なものは無理だと告げます。
それでも、巫女は引き下がりませんでした。
ならば、とお医者様は七色に輝く粒がたくさん入った、厳重に保管された瓶を持ってきました。
不老不死の薬です。
お医者様は、覚悟を見せてみろと言いました。
ひょっとすると、そう、甘く見ていたのかもしれません。
それは一瞬……そう、一瞬でした。
巫女は鬼気を迸らせながら、嬉々とした表情であっという間に薬を口へ掻っ攫ってしまいました。
そして、唖然としているお医者様を尻目に深淵の夜へ飛び出しました。
もう、何も怖いものは無いのです。
巫女は、何度も、大好きな魔法使いの名前を呼びました。
呟くように。
語りかけるように。
叫ぶように。
巫女は、ひたすら一直線に飛びました。
魔法の森の中でさえ、何も無いかのように真っ直ぐに飛びます。
やがて森にあって尚、堂々とその存在を示威している家が巫女の目に映りました。
そう、魔法使いの家です。
巫女は、零れる喜びそのままに、魔法使いの家に入っていきます。
魔法使いの名前を呼びました。
しかし誰も答えません。
家の中を進むと、魔法使いを見つけました。
どうやら眠っているようです。
巫女は魔法使いを呼びました。
しかし魔法使いは起きません。
体を大きく揺さぶりました。
それでも魔法使いは起きません。
魔法使いの名前を叫びます。
それでも魔法使いは起きません。
涙を一滴、垂らします。
それでも魔法使いは起きません。
この世の事象の一切合財は、もう魔法使いの目を開けることはしません。
魔法使いは永遠など手にしてませんでした。
しかし巫女は今しがた、永遠を手にしました。
魔法使いも今しがた、永遠を手に入れました。
巫女は永遠を用いて魔法使いと共に道を歩もうとしました。
形は一切違えども、魔法使いもまた、巫女と共に道を歩もうとしたのです。
――――
……ああ、水を差すのが好きな人ね、貴方は。物語くらい静かに聴けないのかしら?
……「彼女」の死の必然性? おかしな事を聞く人ね。
気まぐれに訪れる死に、必然性なんてあるわけ無いわ。
――――
魔法使いは、何時か言った言葉のように、巫女より先に行きました。
あの魔法使いが居なくなったことは、巫女は勿論、色々な人に影響を与えたのです。
しかしそれも所詮一過性のもので、みんなみんな、時の経過と共にあの魔法使いの記憶は薄れていきます。
たまに会話の中に出てきては、感傷に浸らせる程度になりました。
……ああ、でも、そうでした。
これは余談になりますが。
例外が、二人居ました。
一人は、言うまでも無く巫女のことです。
もう一人は、魔法の森に住んでいて、あの魔法使いの好敵手だった、別の魔法使いです。
今まで出てきませんでしたが、この魔法使いは、あの魔法使いと同じくらい、巫女との付き合いは長いのです。
この魔法使いは、巫女ほどではありませんが、あの魔法使いが大好きでしたし、巫女も同じくらいに大好きでした。
だからこそ、どこかでおかしくなったのかもしれません。
この魔法使いはあの魔法使いとの別れと、巫女の取り乱しように全く耐えられなかったのです。
だからなのです。
この魔法使いは、あの魔法使いが居なくなってから少し経つと、あの魔法使いの真似をするようになります。
一ヶ月で服装が同じになりました。
一年で性格が同じになりました。
五年で戦法が同じになりました。
十年で目の色も同じになりました。
五十年で、環境すらも同じになりました。
今では彼女は、あの魔法使いと同じ名で呼ばれています。
哀れに思った同情からの声ではなく。
努力への賞賛を表した感嘆からの声ではなく。
心から。
名を呼ぶときに何かの違和感に言葉がつかえることは無く。
この魔法使いは、みんなからあの魔法使いの名で呼ばれています。
この魔法使いはきっと、あの魔法使いになれたのです。
しかし。
この魔法使いが一番その名で呼んで欲しい、博麗の巫女は。
今も一人で待っています。
大好きな人が、生まれ変わってまた自分の前に現れることを。
……以上、博麗の巫女と陰気な森の魔法使いでした。
ご清聴ありがとうございました。
……ああ。
蛇足かもしれないけど。
一つだけ、付け加えるわね。
巫女の前にはもう、あの魔法使いの生まれ変わりが現れることは無いわ。
何故って? だって……。
あの魔法使いの魂は、この人形の中にあるもの。
――ご清聴、ありがとうございました。
世にも不思議な、魔法使いの人形劇が始まるわよ。
……え? あはは、お金なんて要らないわ。ただね、私は色んな人に見て欲しいだけなのよ。
ああ、大人の人もご自由に。ええ、さっき言ったように色々な人に見てもらいたいの。
波乱万丈、今宵の話を綴るのは、人生経験豊富な魔法使い。飽きさせないだけの自信はありますわ。
……そう、見ていってくれるのね。ありがとう、感謝するわ。
じゃあ、人が集まってきたし……そろそろ始めましょうか。
タイトルは……そうね、博麗の巫女と陰気な森の魔法使いってところかしら?
むかぁし、むかし。
ある日、博麗の巫女が悪い妖怪を退治するために空を飛びまわっていました。
そこへ、魔法使いの女の子が出てきて、待ちなさい! と言いました。
巫女は、辟易したような表情で魔法使いの女の子をさっさとやっつけて、悪い親玉のところへ行きました。
そして次の日には、巫女の元に平穏が訪れました。
しかし、それと同時に昨日の魔法使いが巫女の元にやってきて、再戦を申し込みました。
そして魔法使いは、やっぱり巫女には勝てませんでした。
これでやっと懲りるか、と巫女は思いました。
しかし巫女としては珍しく勘が外れてしまいます。
そう、次の日も、魔法使いはやってきたのです。
巫女は、その魔法使いが大嫌いでした。
弱いのに自分に挑んでくる魔法使いが。
臆病なのに、それを隠して必死で強いふりをしようとする魔法使いが。
徒としかならない努力を重ねて、自分に挑んでくる魔法使いが。
巫女は、懊悩しました。
このまま勝ち続けることは簡単です。
しかし、それだときっと魔法使いは負ける度にまた巫女に挑んできて、お茶を飲む時間すら与えてくれなくなるでしょう。
巫女は、独りでした。
そして独りの時間が大好きでした。
その独りの時間が連綿と続くことを、巫女は嘱望していました。
だから、巫女はわざとに負けました。
道化のように、負けました。
きっと満足して明日には自分のことは忘れているだろう、と巫女は思いました。
ところが、魔法使いの女の子の目からは滔々と涙が流れ出します。
魔法使いは、バカ! とだけ言って神社から飛び出してしまいました。
巫女は、何がなんだか解りませんでした。
心はどこか暗澹とした気持ちのまま、夜になって、巫女は寝てしまいました。
次の日、魔法使いは来ませんでした。
巫女は、とうとう平穏な日々が戻ってきたと思いました。
思いましたが……心の中の細波が、濛々とした気持ちが全く晴れてくれません。
一日中、巫女は悄然とした面持ちでした。
お茶も美味しくありません。
その日は何時もよりずっと早く、布団に入りましたが、その日はずっと眠れませんでした。
こんなに寂寞とした夜は初めてだったからです。
眠れたのは、お日様が曇った空に顔を出した時でした。
目覚めは、夕立の訪れのように唐突でした。
誰かが神社に来たのです。
巫女は、心が跳ね上がる思いでした。
急いで外に出ると、そこには傷だらけの魔法使いが居ました。
どうしたの、と巫女が聞きます。
魔法使いは、なんでもないとだけ答えて、また、勝負しようと言いました。
巫女は、その答えにどこか溜飲が下がりませんでしたが、特に深く考えずに承諾しました。
戦い始めると、巫女は驚きました。
魔法使いの女の子は、目に見えるくらいに強くなっていたのです。
そして、気付きました。
あの傷は、きっと修行で負った傷だ、と。
巫女は、目から何か熱いものが流れてくるのを、必死で抑えました。
いつの間にか精悍な顔つきになっている魔法使いに、聞こえないようにごめんなさいと言いました。
それでも、魔法使いは巫女に勝てませんでした。
しかし、巫女も魔法使いも、その顔はどこか清清しいものになっています。
雲はいつの間にか無くなっており、蒼穹に太陽が輝いていました。
この日、二人は友達になりました。
巫女はもう、独りなんかではありません。
魔法使いと巫女は、この日を境に段々と戦うことが少なくなっていきます。
――――
さて、物語はまだまだ序章。起承転結、承の部分。これから一体どうなるのでしょうか?
……え? 何? 厠に行きたい? あはは、良いわよ、行ってらっしゃい。
貴方が居ても居なくても、物語は変わらないのだから。
――――
それから何年か経ちました。
二人は、すっかり落ち着いた、しかしどこか幼さの残る少女へと成長しました。
彼女達は、たった数年でとても貴重な体験を何度もしました。
紅い霧に覆われた異変を。
春になっても雪が解けることの無い異変を。
毎日のように続く宴会の異変を。
満月の無くなる異変を。
幻想郷中の花が咲き誇った異変を。
ああ、それに巫女の神社の営業停止命令が下されたこともありました。
魔法使いと巫女が、異変の最中に戦う事だってありました。
その度に巫女は、魔法使いとの出会ったあの日を思い出すのです。
今、彼女達は、異変を通じて魔女と、吸血鬼と、幽霊と、宇宙人と、天狗と死神と閻魔と神と――たくさんの人と知り合いました。
巫女は、とても楽しい毎日を送っています。
もう、独りになりたくはありませんでした。
巫女は、異変を通じて知り合った、魔女が、吸血鬼が、幽霊が、宇宙人が、天狗が死神が閻魔が神が――好きでした。
そしてそれ以上に、昔からの付き合いの魔法使いが、大好きでした。
巫女は、とっても欲の少ない人間です。
しかし、巫女はずっと、一つだけ、願うまでも無く願っていました。
この楽しい楽しい時間が永遠に続きますように、と。
巫女のところには、毎日毎日途絶える事無く、妖怪達が、ひっきりなしに神社を訪れます。
その度に巫女は他愛も無い話をして、その日暮しをしています。
前から何も変わっていません。
そう、巫女は、きっと永遠を手に入れたのです。
大好きな魔法使いが、妖怪となり永遠を手にするまでは。
――――
お帰りなさい。すっきりしたかしら?
……いえ、心配しなくても良いわ。物語は一つも進展していないし、問題は一つも解決していないわ。貴方はよく知っているでしょう?
彼女はきっと、永遠を、手にしたのだから。
――――
それから幾年か経ちました。
妖怪達は、神社に来る頻度が少なくなり、来たとしてもどこか悲しげな表情で巫女を見るようになりました。
しかし魔法使いは、かつてのように毎日、朝早くから巫女の元に訪れるようになりました。
魔法使いがお話をしよう、と言うと、巫女は文句を言いながらも、夜遅くまで魔法使いと取りとめもない会話で盛り上がりました。
夜、魔法使いが家に帰ると、静寂な神社で、巫女は一人考え事をしました。
本当に自分は、永遠を手に入れたのだろうか、と。
巫女のところには、毎日毎日途絶える事無く、妖怪達が、ひっきりなしに訪れます。
もしかして、巫女は惑わされていたのでしょうか?
ずっと変わらぬ妖怪に。
ずっと変わらぬ日常に。
ずっと変わらぬ世界に。
変わらないそれらを見て、自分も永遠であると勘違いしてしまったのでしょうか?
いえ、違います。
巫女は、魔法使いの女の子と共に、成長してきました。
だから、巫女は気付いてしまったのです。
魔法使いがいつまでも変わらないことに。
自分が、いつの間にか魔法使いより背が高くなっていたことに。
そして、博麗の姓が持つ意味に。
次の日、巫女は、目が覚めて体の異変に気付きました。
お日様が顔を出した後も、起き上がることが出来なかったのです。
魔法使いが、呻くように自分の名前を呼ぶ巫女の姿を見て悲鳴を上げました。
巫女は、魔法使いに背負われて竹林の中の、とっても腕の良い、お医者様のところへ行きました。
不老不死の薬を創れるほどの、すごいお医者様です。
お医者様は、呪いのようなものが原因で、そこまで大事な病気ではないが、大事をとって入院してもらうと言いました。
魔法使いは笑って、涙を流しました。
そしてただただ、良かった、良かったと口にするばかりでした。
巫女はぎこちなく笑いました。
お医者様の言葉が、嘘だと解っていたのです。
きっと自分は死んでしまうんだろう。
体に対する当てつけのようによく働く頭で、巫女はそんなことを思いました。
巫女は、自分を育ててくれたはずのお母さん――つまり、先代の巫女を知りませんでした。
ただ、自分のように名前ではなく、博麗の巫女と呼ばれており、若くして逝ったことしか知りませんでした。
いや、きっと育ててくれてすらいないのでしょう。
巫女の一番古い記憶では、自分はもう博麗神社の巫女で、しっかりと仕事をしていました。
これは、博麗の運命なのです。
博麗の仕事は妖怪退治。
老いてしまっては力が弱ってしまいます。
だから、力の強い内に、命に換えて次代の巫女に力を引き継がせるのです。
これを呪いと呼ぶのも、あるいは、正しいのかも知れません。
巫女は、急に怖くなりました。
一体誰が、私が生きていたことを覚えてくれるのだろう。
私は何て小さな存在なのだろう。
そんな考えが、巫女の中の狭い個室を駆け廻り、やるかたなくなりました。
きっと自分が死んだらみんな、いっぱい、いっぱい涙を流してくれます。
悲しみを抑えられないために、あるいは別れを惜しむために。
それでも多分、きっと、恐らく、次の日には、巫女は「博麗の巫女」になるのでしょう。
巫女が好きだった魔女も、吸血鬼も、幽霊も、宇宙人も、天狗も死神も閻魔も神も……まるで見ず知らずの他人であったかのように――
そしてこの、魔法使いさえも……。
そう思うと巫女は、魔法使いの泣いて喜ぶ顔がまるで道化師の仮面のように見えてきました。
巫女は、泣き叫びました。
今まで誰にも見せた事の無い形相を、皮肉にも魔法使いに見せながら。
先程までの呻くように声を出していた弱弱しい巫女がが一切の空想であるかの様に、出て行って! と叫び続けました。
魔法使いは、巫女の尋常でない様子に衝撃を受けました。
自分の意思で出て行こうとしなかったのか、それとも歩くことすら叶わなかったのかは判りません。
魔法使いは、お医者様の助手に連れられて家に帰りました。
巫女は、いっそ本当に道化師の仮面が崩れてくれれば良かったのに、と床に溜まった涙を見て思いました。
お医者様は、巫女に、本当のことを、蛍の如く短さの残り時間を告げます。
さっきお医者様のついた嘘が、巫女ではなく魔法使いを救ったのなら、もしかすると美談なのかもしれません。
――――
……ああ、夜だわ。物思いに耽って夕空なんかに見惚れている間に、夜が後ろから迫ってくるの。貴方だって例外ではない。
時間は残酷ね。刹那に身を任せて死ぬ人間は勿論、永遠に身を放る妖怪も。
だって、そうでしょ? 人間には刹那すら、永遠となるのだから。
――――
お医者様の家での初めての朝が来ました。
巫女は昨日のような体の異変は起こりませんでした。
あれはもしかすると、巫女に死を知らせるためだけの合図だったのかもしれません。
きっと巫女は、瞬息をそれ以上の急激な早さで走った後に、安らかに、苦しむ事無く死ぬのでしょう。
人の記憶に残らず、死の時間が解ってその上苦しむ事無く清冽にその生を終える……。
一体どのくらいの人間が、それを渇望するでしょうか?
それは解りません。
解りませんが……確かなことは、巫女はそれを望む人間ではないということでした。
どれだけ辛苦で、不浄な生だろうとも、やはり巫女はこの一瞬を永遠にしたいのです。
そして何時ものように、所は違えど魔法使いがやってきます。
お互い、少し気まずそうに、目を合わせる事無く謝りました。
数秒の沈黙の後、魔法使いは聞きました。
昨日は一体どうしたのか。
何か隠しているのではないか。
そして、本当に大した病気ではないのかを。
巫女は、もう惰性のままに本当の事を、それと自分の今までの思いを口にしました。
ひょっとすると、魔法使いが造作も無く自分を救ってくれるのではないかという一抹の希望を胸に。
もしくは、自分の暗愚な妄想に過ぎない道化師の仮面を、今すぐ目の前で引き剥がして欲しいという多量の願望を胸に。
魔法使いは、そのどちらにも応えてくれませんでした。
伏目がちで、その目は何を映しているのかすら解らぬまま、ただただ黙しています。
少ししてパッと顔を上げると、笑顔で、お話をしようと言いました。
始めはへえ、ふうん、と生返事ばかりの巫女でしたが、段々と会話に熱が入ってきました。
特別などではない、取り留めの無い会話。
この魔法使いと居る時は、ただそれだけで、楽しいことを巫女は思い出しました。
お日様が天高く上っていきます。
二人がお昼ご飯を口にしたのは、同時にお腹が鳴って大笑いした後でした。
お昼ご飯を食べた後、お日様は段々と沈んでいきました。
二人がそれに気付いたのは、お医者様が巫女の部屋に入ってきてからです。
あたりは暗く染まっています。
それを見た魔法使いはもう帰るようです。
お医者様が泊まっていけば良い、と告げましたが、魔法使いは断りました。
魔法使いは、先に行ってる、と言って帰っていきました。
魔法使いが帰った後、巫女は心地よい孤独感に満たされました。
仮面だとか博麗の巫女だとか、そんなことを考えていたこと自体が馬鹿馬鹿しくなるほどに、瞬間全てが快かったのです。
何か、重い拘束具が外れたような気分でした。
巫女は、決意します。
巫女はお医者様に、どうしても体を直して欲しいと言いました。
お医者様は、無理なものは無理だと告げます。
それでも、巫女は引き下がりませんでした。
ならば、とお医者様は七色に輝く粒がたくさん入った、厳重に保管された瓶を持ってきました。
不老不死の薬です。
お医者様は、覚悟を見せてみろと言いました。
ひょっとすると、そう、甘く見ていたのかもしれません。
それは一瞬……そう、一瞬でした。
巫女は鬼気を迸らせながら、嬉々とした表情であっという間に薬を口へ掻っ攫ってしまいました。
そして、唖然としているお医者様を尻目に深淵の夜へ飛び出しました。
もう、何も怖いものは無いのです。
巫女は、何度も、大好きな魔法使いの名前を呼びました。
呟くように。
語りかけるように。
叫ぶように。
巫女は、ひたすら一直線に飛びました。
魔法の森の中でさえ、何も無いかのように真っ直ぐに飛びます。
やがて森にあって尚、堂々とその存在を示威している家が巫女の目に映りました。
そう、魔法使いの家です。
巫女は、零れる喜びそのままに、魔法使いの家に入っていきます。
魔法使いの名前を呼びました。
しかし誰も答えません。
家の中を進むと、魔法使いを見つけました。
どうやら眠っているようです。
巫女は魔法使いを呼びました。
しかし魔法使いは起きません。
体を大きく揺さぶりました。
それでも魔法使いは起きません。
魔法使いの名前を叫びます。
それでも魔法使いは起きません。
涙を一滴、垂らします。
それでも魔法使いは起きません。
この世の事象の一切合財は、もう魔法使いの目を開けることはしません。
魔法使いは永遠など手にしてませんでした。
しかし巫女は今しがた、永遠を手にしました。
魔法使いも今しがた、永遠を手に入れました。
巫女は永遠を用いて魔法使いと共に道を歩もうとしました。
形は一切違えども、魔法使いもまた、巫女と共に道を歩もうとしたのです。
――――
……ああ、水を差すのが好きな人ね、貴方は。物語くらい静かに聴けないのかしら?
……「彼女」の死の必然性? おかしな事を聞く人ね。
気まぐれに訪れる死に、必然性なんてあるわけ無いわ。
――――
魔法使いは、何時か言った言葉のように、巫女より先に行きました。
あの魔法使いが居なくなったことは、巫女は勿論、色々な人に影響を与えたのです。
しかしそれも所詮一過性のもので、みんなみんな、時の経過と共にあの魔法使いの記憶は薄れていきます。
たまに会話の中に出てきては、感傷に浸らせる程度になりました。
……ああ、でも、そうでした。
これは余談になりますが。
例外が、二人居ました。
一人は、言うまでも無く巫女のことです。
もう一人は、魔法の森に住んでいて、あの魔法使いの好敵手だった、別の魔法使いです。
今まで出てきませんでしたが、この魔法使いは、あの魔法使いと同じくらい、巫女との付き合いは長いのです。
この魔法使いは、巫女ほどではありませんが、あの魔法使いが大好きでしたし、巫女も同じくらいに大好きでした。
だからこそ、どこかでおかしくなったのかもしれません。
この魔法使いはあの魔法使いとの別れと、巫女の取り乱しように全く耐えられなかったのです。
だからなのです。
この魔法使いは、あの魔法使いが居なくなってから少し経つと、あの魔法使いの真似をするようになります。
一ヶ月で服装が同じになりました。
一年で性格が同じになりました。
五年で戦法が同じになりました。
十年で目の色も同じになりました。
五十年で、環境すらも同じになりました。
今では彼女は、あの魔法使いと同じ名で呼ばれています。
哀れに思った同情からの声ではなく。
努力への賞賛を表した感嘆からの声ではなく。
心から。
名を呼ぶときに何かの違和感に言葉がつかえることは無く。
この魔法使いは、みんなからあの魔法使いの名で呼ばれています。
この魔法使いはきっと、あの魔法使いになれたのです。
しかし。
この魔法使いが一番その名で呼んで欲しい、博麗の巫女は。
今も一人で待っています。
大好きな人が、生まれ変わってまた自分の前に現れることを。
……以上、博麗の巫女と陰気な森の魔法使いでした。
ご清聴ありがとうございました。
……ああ。
蛇足かもしれないけど。
一つだけ、付け加えるわね。
巫女の前にはもう、あの魔法使いの生まれ変わりが現れることは無いわ。
何故って? だって……。
あの魔法使いの魂は、この人形の中にあるもの。
――ご清聴、ありがとうございました。
某曲のネタだと思い、軽い気持ちで開いたらこのザマです。
私は泣いていいのか笑っていいのか理解できていない人間のようです。
永遠のもつ悲劇性とは永遠のテーマですね。
あと気になったのは、これが人形劇として表現されていたのか?と思わずにいられないほど文章で語りすぎていたこと。もはやドラマにしか見えず、「人形劇」としての面白み(ここでは愉悦ではなく感動の意味)に欠けてしまったととれました。
現実の人形劇では精巧な話の作りよりも視覚情報である人形の動きを重視する(実際に観客もそちらに目がいく)ため、商売としての本格的なのはともかく流しでやる場合は短いものを複数行うことが基本です。ご存知の通り、流しの劇は通行人の足を止める形になるので長編だと途中から見る人は入れなくなるので。
重箱の隅をつついて指摘する形になってしまいましたが、工夫すればもっと面白い文章になるはずです。この感想で気を悪くさせてしまうことは危惧しますが、それでも自分が正直に思った言葉ということで。
ロミオとジュリエットのクライマックスシーンみたい。片方は死ねないけど。
SSとしてはこのくらいのボリューム感でちょうどよいのかもと思いつつ、
人形遣いの登場がいきなりすぎて若干違和感を感じました。
せめて前半で伏線があれば・・・
テーマや文章が魅力的なだけによけいに気になりました。
ただ、終わり方があっさりしすぎな気がしました。
あっさりとした、終わり方が逆に心に残ります。
ところで、最後に名前を呼ばれたのいったい誰なんだろう・・・
バッドエンドっぽい終わり方だけどあっさりしているのでドロドロしたものになってないのが良かったです。
他の方も言っておられてますが、七色は出番少し早くてもよかったかなと思います。
あとがきで彼女の努力は報われたと思っていいんでしょうか?
ありがとうございました。
そこを想像するのが読み手の自由なんでしょうけれども
また読んで見たいです。
とゆうか賢者の贈り物みたいなすれ違いなのかそうでないのか。
力不足で、自分の表現したいことが伝えられなかったようなので、見苦しいかも知れませんが一応自分の中でのストーリーを書かせていただきます。
この話の語り部及び終盤にひょっこり出てきた魔法使いは魔理沙で、巫女と仲良くなった魔法使いというのがアリスのつもりです。で、魔理沙は見事にアリスになることができたけれど、最後の最後まで巫女(霊夢)だけはアリスではなく魔理沙として見ていた、と。
何人かの方に多少不愉快な思いをさせてしまったら申し訳ありません。全て自分の表現力の稚拙さによるものです。
>名前が無い程度の能力さん
当初は、「あるいは喜劇なのかしら?」というタイトルにしようかと思いましたが、それだと歌詞をミスしたようで失礼かな、と思いこのタイトルにしました。そういえば雛様も一応人形に関係ありますね。
その言葉で思い出しましたが、永遠の証明は永遠に出来ないというのがありましたねえ。不老不死不死身の人間は地球すら滅びるとどうなるのでしょうか?
>司馬貴海さん
……いや、凄いですね。全く以ってその通りです。最初に結論を思いつきました。人形劇のことに関しては一応自分でも同じように思ったのですが、表現が上手く出来そうにないのでこういう形式になりました。それに加えて語り部がアリスであるという印象を持っていただきたかったので、人形劇という名を借りたドラマにしてしまいました。気を悪くするなんてとんでもありません。至らない点を指摘していただけるのは、非常にありがたいことです。
>名前が無い程度の能力さん
確かに終盤のあの場面で登場させたのは無理矢理さが残ってこじつけがましいかもしれません。ある意味物語の一番重要な人物でもあるのに伏線も何もなくいきなり登場というのは……。テーマや文章が魅力的というのは非常に嬉しいです。ありがとうございます。
>名前が無い程度の能力さん
あっさりですか……。最後だけ思いっきり濃厚にすればよかったかもしれません。
>三文字さん
心に残るというのはありがたいです。ずっと心に残って離れない作品にはあこがれますから。
>bobuさん
そう言っていただけるとありがたいです。
ドロドロな結末を書いたら苦しくなりそうなんですよねぇ……。
最もそれ以上に魅力的なドロドロにさせるだけの技量が無いんですがw
>名前が無い程度の能力さん
その通りです。もちろん、自分の考えを書いてしまいましたが想像するのも自由です。
>名前が無い程度の能力さん
また読んでみたい、ですか。何年後かに霊夢視点で作ったりしたら面白いかもしれません。……他の人にやってもらって一読者になってみたいという願望もありますがw
>名前が無い程度の能力さん
賢者の贈り物を検索してみてざっと読んできました。確かにこういった感じのすれ違いです。あのお話と違うのは、もう戻ってこないということと、不幸に終わったというところでしょうか。
読んでいただき、ありがとうございました。
終わりを読んでも気が付きませんでした。
ネタバレしてもらって、初めて分かりました。
だってこれ魔理沙と思って読んで全く違和感ないから。
確かに最後が訳が判らないとは思っていましたが。
ネタバレしてもらえなかったら、今でも魔理沙だと思っていたでしょう。
とりあえず魔法使いが魔理沙かアリスかで大分評価が変わってくると思います。
魔理沙だと思って読めば、最後が意味不明だけど少し寂しげでいい話。
魔法使いがアリスだと、サプライズを組むにしては伏線が弱い、というより全くない。最後で名前を呼ばれた人物が魔理沙だということで、全てを判らせようとしたのでしょうが、たいていの人は気づけないような・・・・。
ネタバレがなければ、多分これを読む大多数の人が「巫女と仲良しの魔法使い=魔理沙」で終わってしまうでしょう。
文章的には嫌いではありません。精進してください。
魔理沙と思ってもらえるように文章を書きましたが、今となって思い返してみればアリスと思ってもらえる要素がありませんでした。効果的な伏線をはれるようにしたいですね。どうにも独りよがりな文章になってしまいました。踏み込んだ意見を言っていただけるのは大変ありがたいです。ありがとうございました。
これ悲劇ですね……確かに。
人形に魂が宿った理由を書こうかと思ったのですが、蛇足になりそうでしたし、何より思いつかなかったので省きました。読んでいただき、ありがとうございました。
一年以上経過しておりますれば、イセンさんも来られますまい。
好きにコメント致しましょう(←つまりいつもと変わり無し)
>>「あの魔法使いの魂は、この人形の中にあるもの。」
……この時点でアリっさんが御愁傷って気付いてよ自分……!
コメント欄のネタバレにて漸く「あぁ、にゃるほにょ」と思いガチリと合点が…………いくっ!らめぇ!そんな捩じ込んじゃr(ry
終幕近くの巫女さんにずきんと来ました。
ぺこり。
点数はもしかしたら昔入れたかも知れませんのでふりぃれす。
いやはやお見事です。
ところでこのお話、あるいはレイアリなのかしら?