注:本作は某作品の膨大なネタバレを含む、クロスオーバーものとなっております。
多少グロ描写もあったりします。
そういう作品に嫌悪感を感じる方、またはグロいのが苦手な方は,
今すぐブラウザの戻るボタンを押してください。
なお、初投稿なので色々とお見苦しい所があると思いますがご理解いただけると有難いです。
※※※※※※※※※※※※※※※※
グサッ、どちゃり。
私の腹が、体が引き裂かれる音がする。
不思議と痛みは感じない。
ああ、また私は死ぬのか…
これでもう何度目かわからない。
私を殺すのは、誰?
誰が一体…何の為に?
悔しいけど…もうそんな事を考える事自体、疲れてしまった。
全てがどうでも良い。
犯人がわかった所で、どうせ私には何も出来ないのだから。
ああ、そろそろ次の世界が見えてきた。
幾度となく繰り返す輪廻の果てに、私は何を見るんだろう。
きっと、そこにあるのは限界ギリギリまで擦り切れてしまった私のココロと、深い深い絶望だけだ。
他には何一つ、残らない。
【幻想郷と小さな魔女 前編】
どさっ。
「イタッ…!」
私は頭に走った痛みで目が覚める。
ぼやけたままの視界がゆっくりと広がっていく。
ふいに前の世界の事を思い出す。
あの世界では…
仲間達は疑心暗鬼に侵され、凶行に及ぶ事もなかった。
それどころか、皆で結束し助け合って…
まさかの奇跡を起こす事が出来て。
今度こそ、昭和58年の6月を越える事が出来ると思ったのに…
結局私はその日の晩、いつものように誰かに眠らされ…
そして殺されてしまったのだ。
何者かの手によって。
「はぁぁ~…」
また、一からやり直さなければいけないと思うと溜め息が出た。
あれほどの奇跡は、もう起きないかもしれないのに。
泥だらけの重たい体をゆっくりと起こし、辺りを見回す。
辺りはぼんやりと薄暗く、陽の光が入り込む隙間もないくらいたくさんの木々が
茂っている。
此処はどこだろう…?私の家の近くの、裏山だろうか。
こんなに薄暗かったっけ…?
なんだか、気味が悪い。
というか、今日は何月何日なんだろう―
あ。
思い出したと同時に、私は大声を張り上げる。
「羽入!!はにゅーう!!出てきなさい!!!今日は昭和58年の何月何日!?
綿流しまで、あとどれくらいなのっ!??」
しーん。
あれ?
いつもなら、ここでアイツが現れて―
『あぅあぅ。
梨花ぁ、今日は昭和58年の6月××日なのです…』
とか弱々しい声で言いだすのに。
そういえば沙都子や圭一達の姿も見掛けないし、どうしたんだろう?
とりあえず学校にでも行ってみようか。
「全く…アイツはまた誰かのストーキングでもしてるのかしら」
―と。
私がそう愚痴を零しつつ起き上がろうとした時、目の前に何かが。
「なによ…これ…」
それはそれはもう大きなドラゴン(?)だった、漫画で良く出て来るような。
それがドシンドシンと地響きをさせて私の方へと歩いてくる。
ああ…人間、こういう時って意外に冷静だったりするのね。
ふいに上空から声がしたと思ったら辺り一面が大きな閃光に包まれた。
「マスタースパーク!」
思わず空を見上げる。…と言っても、樹ばっかりで空なんてほとんど見えないけれど。
私の眼に映ったのは、一人の少女。
黒と白のエプロンドレスのような服を着ていて、長い金髪に、大きな三角帽を被っている。
見たところ歳は私よりも4つか5つ程上といったところか。
おそらく魅音やレナ達と同い年くらい…だと思う。
てゆうか、それ以前に―
「えぇぇぇぇっ!!?????」
思わず素で叫んでしまった…というか驚いた。
とにかくビックリした。
だって体が、箒が、浮いて―
さっきの大きな魔砲といい……この世界は一体なんだっていうの!?
ま、まさか本物の魔法使い!???
そんなっ!私だって自称百年生きた魔女だけど、羽入がいなきゃ何の力も使えな
いというかただの人間…巫女さんだし小学生だしごめんなさいごめんなさいごめ
んなさいうわああぁ※#¥…
「んん~?お前、見たところ外の世界のヤツみたいだな。
体じゅう泥だらけだけど…怪我はないか?」
まさか私…
こんな所で殺されるなんて事…ないわよね?
くわばらくわばら…
落ち着いて、私…
そう、クールになるの。
うん、そうよ。
いつも通り―
「み、みぃ…
助けてくれて、ありがとうございますです。はじめまして、ボクは古手梨花と申しますです。
××県の鹿骨市にある雛見沢という所からやってきました。
怪我は、特にしていないのです。このとおり、ピンピンしてますですよ~。」
そして、にぱー☆と笑ってお辞儀をしてみせた。
うん、大丈夫。
これでいつも通りの私。
ちょっとテンパってしまったけど、普通に挨拶は出来たはずだ。
少なくとも不審者には見えないだろう。
ふと、相手の少女を見た。
何やら惚けた顔をして、プルプルと震えている。耳まで真っ赤に染まっている。
ああ、なんかまずい事言ったかしら私―
「お、おう…そうか。とりあえずここらは危ないぜ?
そ、そうだ!私の家に来いよ!!こ、ここ…紅茶でもなんでも入れてやるぜ?
あぁ、日本人ならやっぱり緑茶が良いよな!お菓子もたくさんあるし…なっ?
うん、そうしようぜ!!」
良かった、どうやら問題はなさそうだ。
そう思って笑顔で答えようとした瞬間―
手を引っ張られてそのままフワッと…
体が、浮いた。
「よし、しっかり掴まっておけよー?飛ばすぜっ。」
「えっ…!?」
びゅーん。
・
・
・
・
・
一瞬、父と母の顔が頭に浮かんだような気がした。
「いっいっ…いやぁぁぁぁぁぁぁァァァ!!!!!!」
ああ、今回はきっとえらく呆気なくて情けない死に方をするんだろうな…
生まれてはじめて体験する、その音速とも言える風の速さを存分に肌で感じながら、
薄れゆく意識の中で私はそんな事を思っていた。
一方、その小さな少女を後ろに乗せ、箒で突っ走っている白黒の少女は―
「はぁ、一体なんなんだこいつは…
いきなり何を言い出すかと思えば、にぱー☆って…かわいいなちくしょう。私とした事が、参ったぜ」
…早くも、梨花の(作られた)その愛くるしさに心奪われていた。
目を覚ますと、真っ先に飛び込んできたのは天井。
それから、さっきの白黒少女の声が聞こえた。
「おう、やっとお目覚めか。ちっちゃなお姫様?」
そう言いながら私に温かいお茶を差し出す。紅茶だと思ったら緑茶だった。
服装とか髪の毛からして洋風志向なんだと思ったけど、そうでもないみたいね。
お茶を啜りながら彼女を見ると、楽しそうにニカッと無邪気に笑う。
フッと、私の荒んでいた心が少し洗われるような気がして少し恥ずかしかった。
「お茶…すごく美味しいのです。ありがとう…ございますです。」
「はは、私よりもっと上手に淹れられるヤツはいるんだけどな。」
彼女の笑顔に合わせるように、私もにぱー☆っと笑ってみせる。
「あっ、そういや自己紹介が遅れたなっ。
私の名前は霧雨魔理沙っていうんだ。
ここ、幻想郷で一応魔法使いやってる。
よろしくな、梨花?」
―それからしばらく、彼女と色んな話をした。
ここ…幻想郷の事、私の住んでいる雛見沢の事―
さすがに、私が何回も生と死を繰り返す魔女だって事は言えないけど。
それでも魔理沙とのお喋りは、時が経つのも忘れるほど楽しかった。
そりゃあもう「にぱー☆」とか「みぃ」とかぶりっ子するのも忘れて素に戻ってしまうくらいに。
さすが魔理沙は魔法使いというべきか、私がネコを被っている事をすぐに見破ってしまった。
そして話込む事、数刻。
「ああ、そういえばアイツの事、忘れてたわ…」
魔理沙は人間だから、羽入が見えるかどうかわからないけど…とりあえず幻想郷の
案内ついでに一緒に探してもらう事にした。
アイツ…私にこれだけ手間かけさせて、見つけたら只じゃおかないんだから。
雛見沢に帰ったらキムチ入りシュークリームでも食べさせてやろうか。
「…そうだなぁ。
神様が行きそうな所といえば、やっぱり博麗神社かな?」
箒に乗る事数十秒。
あっという間に、その博麗神社という所に着いた。
パッと見はうちの古手神社と大して変わらなさそうな広さだけど…そこらじゅうに
落ち葉が落ちてるし、あまり掃除されていないようだ。
参拝客もいなさそうだし…神主さんは怠け者なのかしら?
「此処と古手神社なら、うちの神社の方がまだ綺麗だし賑わってる気がするわ…」
「まぁ此処の神社の巫女さんは怠け者でトコトンぐうたらだからな~。
そりゃお賽銭箱も寒くなるはずだぜ。くっくっく!」
「…誰が怠け者でトコトンぐうたらですって?」
魔理沙の背後から、すごい形相の少女がひょっこりと現れた。
こちらも魅音達と同い年くらいだろうか。
羽入と同じような、腋の開いた巫女服を来ている。
なんというか…さすが元祖腋巫女という感じだ。
頭につけたリボンがとても可愛いらしい。
「随分と好き勝手言ってくれるじゃない…まぁ~~~りぃ~~~さぁぁ!???」
「ひぃぃっ!!!れ、れれ霊夢ぅ!?落ち着け、落ち着くんだッ!」
「えーい!ごちゃごちゃ言うヒマあったらお賽銭の一つでもしていきなさい!」
「うわぁぁ~!私がお金なんて持ってるはずないだろ~!?悪かった!ゆ、許してくれ!」
「問答無用よ!……夢 想 封 印 !!」
そう言って巫女が手を振り上げたその時―
魔理沙を庇うように、私は霊夢の前に立ち塞がった。
「あんた…誰?見かけない顔ね?」
「えと…ボクは古手梨花と申しますです。
此処とは別の世界から来た、神社の巫女さんなのです。
巫女さんは弱い物イジメはしちゃいけないのですよ~、にぱー☆」
「うっ…(ドキン)」
「おぉ…霊夢まで瞬殺するとは…なかなかやるなぁ、梨花!」
「これ…細やかですがボクからのお詫び、兼お賽銭なのです。
これでどうか魔理沙を許してあげてはくれませんですか…?」
そう言って百円玉を差し出しながら目を輝かせ、悩ましげな表情を浮かべる梨花に、
霊夢は一瞬でノックアウトされてしまった。
「ちっ…!少ないけどまぁ良いわ。
今回は許してあげるけど…次はないからね?」
「みぃ~~~っ!霊夢お姉ちゃん、大好きなのです~☆」
そう言って私は霊夢に抱き付いた。
よし、大抵の人間はこれで完全に墜ちるはずだ。
「うぅ…魔理沙、なんなのこいつの異常な可愛さは…」
「さぁ?狸だぜ、狸。」
その後私は霊夢達に神社周辺を案内してもらった。
「霊夢、この神社に怪しげな角の生えた物体がやってきたりはしませんでしたか?」
「角の生えた物体?さぁね、萃香っていう鬼なら知ってるけど…」
ちっ…アイツ、何処をほっつき歩いてるんだか…
意外と妖怪に喰われてたりしてね…笑えないけど。
そして家の中で休憩させてもらおうと神社の境内を横切った時だった。
ドタッバタ…!
ガタンッ!!!
賽銭箱の方から、何やら物音が聞こえた。
誰かが暴れているような。まさか…
「梨花ぁ~!僕はココなのです~助けてください~!!」
「ちょっと!暴れないでよ~!
まだこんなにお酒がたくさん残ってるじゃない。
あんたもしかして、神様のくせにお酒の一杯も飲めないの~?」
「うぅ、ごめんなさいごめんなさい…」
…さっき霊夢が言ってた例の鬼だろうか。
その横に賽銭箱に鎖で縛りつけられ萃香に無理矢理酒の相手をさせられて、
泣きじゃくっている羽入がいた。
「萃香…あんたねぇ…」
「おっ。霊夢と魔理沙じゃん。2人も一緒に飲むk…」
「「博 麗 幻 影!ファイナルースパァァーック!!!」」
…ちーん。
「うぅ、お二人共本当にありがとうなのです。助かりましたのです…」
「あんたもトコトンツイてないわね…同情するわ。」
どうやら予想通り霊夢と魔理沙には羽入の姿が普通に見えるようだった。
最初は、2人が雛見沢症候群にかかったのか…なんて思ったけど、特に異常はなさそうだし。
本当にこの幻想郷という所は、なんでもアリなんだと思った。
私は、お酒を浴びるように飲まされて青白い顔をしている羽入を、キッっと睨み付ける。
「羽入…元の世界に戻ったら、わかってるわよね?」
「あぅあぅ…梨花…僕の手違いでこんな所に来させてしまって、本当に申し訳ないのです…」
「キムチ料理のフルコースね。あ~、楽しみだわ。くすくす…」
「まぁまぁ梨花、そのくらいにしといてやれよ。せっかく私たちとこうやって友達になれたんだからさっ。
あ、そうだ霊夢!今夜は久しぶりに宴会でもしようぜ?最近異変続きで、全然飲めてなかったし。」
「またそんないきなり…
あんた、誰が後片づけするのか分かって言ってんの?」
わーわーぎゃーぎゃーと口論する二人を見て、私と羽入は顔を見合わせて吹き出す。
…まぁ、もう少し此処で息抜きさせてもらうのも良いかもしれない。
雛見沢に戻ってしまえば遅かれ早かれ、私は必ず殺されてしまうのだから。
だから、今だけは-
私は歳相応の普通の女の子、古手梨花でいようと思った。
多少グロ描写もあったりします。
そういう作品に嫌悪感を感じる方、またはグロいのが苦手な方は,
今すぐブラウザの戻るボタンを押してください。
なお、初投稿なので色々とお見苦しい所があると思いますがご理解いただけると有難いです。
※※※※※※※※※※※※※※※※
グサッ、どちゃり。
私の腹が、体が引き裂かれる音がする。
不思議と痛みは感じない。
ああ、また私は死ぬのか…
これでもう何度目かわからない。
私を殺すのは、誰?
誰が一体…何の為に?
悔しいけど…もうそんな事を考える事自体、疲れてしまった。
全てがどうでも良い。
犯人がわかった所で、どうせ私には何も出来ないのだから。
ああ、そろそろ次の世界が見えてきた。
幾度となく繰り返す輪廻の果てに、私は何を見るんだろう。
きっと、そこにあるのは限界ギリギリまで擦り切れてしまった私のココロと、深い深い絶望だけだ。
他には何一つ、残らない。
【幻想郷と小さな魔女 前編】
どさっ。
「イタッ…!」
私は頭に走った痛みで目が覚める。
ぼやけたままの視界がゆっくりと広がっていく。
ふいに前の世界の事を思い出す。
あの世界では…
仲間達は疑心暗鬼に侵され、凶行に及ぶ事もなかった。
それどころか、皆で結束し助け合って…
まさかの奇跡を起こす事が出来て。
今度こそ、昭和58年の6月を越える事が出来ると思ったのに…
結局私はその日の晩、いつものように誰かに眠らされ…
そして殺されてしまったのだ。
何者かの手によって。
「はぁぁ~…」
また、一からやり直さなければいけないと思うと溜め息が出た。
あれほどの奇跡は、もう起きないかもしれないのに。
泥だらけの重たい体をゆっくりと起こし、辺りを見回す。
辺りはぼんやりと薄暗く、陽の光が入り込む隙間もないくらいたくさんの木々が
茂っている。
此処はどこだろう…?私の家の近くの、裏山だろうか。
こんなに薄暗かったっけ…?
なんだか、気味が悪い。
というか、今日は何月何日なんだろう―
あ。
思い出したと同時に、私は大声を張り上げる。
「羽入!!はにゅーう!!出てきなさい!!!今日は昭和58年の何月何日!?
綿流しまで、あとどれくらいなのっ!??」
しーん。
あれ?
いつもなら、ここでアイツが現れて―
『あぅあぅ。
梨花ぁ、今日は昭和58年の6月××日なのです…』
とか弱々しい声で言いだすのに。
そういえば沙都子や圭一達の姿も見掛けないし、どうしたんだろう?
とりあえず学校にでも行ってみようか。
「全く…アイツはまた誰かのストーキングでもしてるのかしら」
―と。
私がそう愚痴を零しつつ起き上がろうとした時、目の前に何かが。
「なによ…これ…」
それはそれはもう大きなドラゴン(?)だった、漫画で良く出て来るような。
それがドシンドシンと地響きをさせて私の方へと歩いてくる。
ああ…人間、こういう時って意外に冷静だったりするのね。
ふいに上空から声がしたと思ったら辺り一面が大きな閃光に包まれた。
「マスタースパーク!」
思わず空を見上げる。…と言っても、樹ばっかりで空なんてほとんど見えないけれど。
私の眼に映ったのは、一人の少女。
黒と白のエプロンドレスのような服を着ていて、長い金髪に、大きな三角帽を被っている。
見たところ歳は私よりも4つか5つ程上といったところか。
おそらく魅音やレナ達と同い年くらい…だと思う。
てゆうか、それ以前に―
「えぇぇぇぇっ!!?????」
思わず素で叫んでしまった…というか驚いた。
とにかくビックリした。
だって体が、箒が、浮いて―
さっきの大きな魔砲といい……この世界は一体なんだっていうの!?
ま、まさか本物の魔法使い!???
そんなっ!私だって自称百年生きた魔女だけど、羽入がいなきゃ何の力も使えな
いというかただの人間…巫女さんだし小学生だしごめんなさいごめんなさいごめ
んなさいうわああぁ※#¥…
「んん~?お前、見たところ外の世界のヤツみたいだな。
体じゅう泥だらけだけど…怪我はないか?」
まさか私…
こんな所で殺されるなんて事…ないわよね?
くわばらくわばら…
落ち着いて、私…
そう、クールになるの。
うん、そうよ。
いつも通り―
「み、みぃ…
助けてくれて、ありがとうございますです。はじめまして、ボクは古手梨花と申しますです。
××県の鹿骨市にある雛見沢という所からやってきました。
怪我は、特にしていないのです。このとおり、ピンピンしてますですよ~。」
そして、にぱー☆と笑ってお辞儀をしてみせた。
うん、大丈夫。
これでいつも通りの私。
ちょっとテンパってしまったけど、普通に挨拶は出来たはずだ。
少なくとも不審者には見えないだろう。
ふと、相手の少女を見た。
何やら惚けた顔をして、プルプルと震えている。耳まで真っ赤に染まっている。
ああ、なんかまずい事言ったかしら私―
「お、おう…そうか。とりあえずここらは危ないぜ?
そ、そうだ!私の家に来いよ!!こ、ここ…紅茶でもなんでも入れてやるぜ?
あぁ、日本人ならやっぱり緑茶が良いよな!お菓子もたくさんあるし…なっ?
うん、そうしようぜ!!」
良かった、どうやら問題はなさそうだ。
そう思って笑顔で答えようとした瞬間―
手を引っ張られてそのままフワッと…
体が、浮いた。
「よし、しっかり掴まっておけよー?飛ばすぜっ。」
「えっ…!?」
びゅーん。
・
・
・
・
・
一瞬、父と母の顔が頭に浮かんだような気がした。
「いっいっ…いやぁぁぁぁぁぁぁァァァ!!!!!!」
ああ、今回はきっとえらく呆気なくて情けない死に方をするんだろうな…
生まれてはじめて体験する、その音速とも言える風の速さを存分に肌で感じながら、
薄れゆく意識の中で私はそんな事を思っていた。
一方、その小さな少女を後ろに乗せ、箒で突っ走っている白黒の少女は―
「はぁ、一体なんなんだこいつは…
いきなり何を言い出すかと思えば、にぱー☆って…かわいいなちくしょう。私とした事が、参ったぜ」
…早くも、梨花の(作られた)その愛くるしさに心奪われていた。
目を覚ますと、真っ先に飛び込んできたのは天井。
それから、さっきの白黒少女の声が聞こえた。
「おう、やっとお目覚めか。ちっちゃなお姫様?」
そう言いながら私に温かいお茶を差し出す。紅茶だと思ったら緑茶だった。
服装とか髪の毛からして洋風志向なんだと思ったけど、そうでもないみたいね。
お茶を啜りながら彼女を見ると、楽しそうにニカッと無邪気に笑う。
フッと、私の荒んでいた心が少し洗われるような気がして少し恥ずかしかった。
「お茶…すごく美味しいのです。ありがとう…ございますです。」
「はは、私よりもっと上手に淹れられるヤツはいるんだけどな。」
彼女の笑顔に合わせるように、私もにぱー☆っと笑ってみせる。
「あっ、そういや自己紹介が遅れたなっ。
私の名前は霧雨魔理沙っていうんだ。
ここ、幻想郷で一応魔法使いやってる。
よろしくな、梨花?」
―それからしばらく、彼女と色んな話をした。
ここ…幻想郷の事、私の住んでいる雛見沢の事―
さすがに、私が何回も生と死を繰り返す魔女だって事は言えないけど。
それでも魔理沙とのお喋りは、時が経つのも忘れるほど楽しかった。
そりゃあもう「にぱー☆」とか「みぃ」とかぶりっ子するのも忘れて素に戻ってしまうくらいに。
さすが魔理沙は魔法使いというべきか、私がネコを被っている事をすぐに見破ってしまった。
そして話込む事、数刻。
「ああ、そういえばアイツの事、忘れてたわ…」
魔理沙は人間だから、羽入が見えるかどうかわからないけど…とりあえず幻想郷の
案内ついでに一緒に探してもらう事にした。
アイツ…私にこれだけ手間かけさせて、見つけたら只じゃおかないんだから。
雛見沢に帰ったらキムチ入りシュークリームでも食べさせてやろうか。
「…そうだなぁ。
神様が行きそうな所といえば、やっぱり博麗神社かな?」
箒に乗る事数十秒。
あっという間に、その博麗神社という所に着いた。
パッと見はうちの古手神社と大して変わらなさそうな広さだけど…そこらじゅうに
落ち葉が落ちてるし、あまり掃除されていないようだ。
参拝客もいなさそうだし…神主さんは怠け者なのかしら?
「此処と古手神社なら、うちの神社の方がまだ綺麗だし賑わってる気がするわ…」
「まぁ此処の神社の巫女さんは怠け者でトコトンぐうたらだからな~。
そりゃお賽銭箱も寒くなるはずだぜ。くっくっく!」
「…誰が怠け者でトコトンぐうたらですって?」
魔理沙の背後から、すごい形相の少女がひょっこりと現れた。
こちらも魅音達と同い年くらいだろうか。
羽入と同じような、腋の開いた巫女服を来ている。
なんというか…さすが元祖腋巫女という感じだ。
頭につけたリボンがとても可愛いらしい。
「随分と好き勝手言ってくれるじゃない…まぁ~~~りぃ~~~さぁぁ!???」
「ひぃぃっ!!!れ、れれ霊夢ぅ!?落ち着け、落ち着くんだッ!」
「えーい!ごちゃごちゃ言うヒマあったらお賽銭の一つでもしていきなさい!」
「うわぁぁ~!私がお金なんて持ってるはずないだろ~!?悪かった!ゆ、許してくれ!」
「問答無用よ!……夢 想 封 印 !!」
そう言って巫女が手を振り上げたその時―
魔理沙を庇うように、私は霊夢の前に立ち塞がった。
「あんた…誰?見かけない顔ね?」
「えと…ボクは古手梨花と申しますです。
此処とは別の世界から来た、神社の巫女さんなのです。
巫女さんは弱い物イジメはしちゃいけないのですよ~、にぱー☆」
「うっ…(ドキン)」
「おぉ…霊夢まで瞬殺するとは…なかなかやるなぁ、梨花!」
「これ…細やかですがボクからのお詫び、兼お賽銭なのです。
これでどうか魔理沙を許してあげてはくれませんですか…?」
そう言って百円玉を差し出しながら目を輝かせ、悩ましげな表情を浮かべる梨花に、
霊夢は一瞬でノックアウトされてしまった。
「ちっ…!少ないけどまぁ良いわ。
今回は許してあげるけど…次はないからね?」
「みぃ~~~っ!霊夢お姉ちゃん、大好きなのです~☆」
そう言って私は霊夢に抱き付いた。
よし、大抵の人間はこれで完全に墜ちるはずだ。
「うぅ…魔理沙、なんなのこいつの異常な可愛さは…」
「さぁ?狸だぜ、狸。」
その後私は霊夢達に神社周辺を案内してもらった。
「霊夢、この神社に怪しげな角の生えた物体がやってきたりはしませんでしたか?」
「角の生えた物体?さぁね、萃香っていう鬼なら知ってるけど…」
ちっ…アイツ、何処をほっつき歩いてるんだか…
意外と妖怪に喰われてたりしてね…笑えないけど。
そして家の中で休憩させてもらおうと神社の境内を横切った時だった。
ドタッバタ…!
ガタンッ!!!
賽銭箱の方から、何やら物音が聞こえた。
誰かが暴れているような。まさか…
「梨花ぁ~!僕はココなのです~助けてください~!!」
「ちょっと!暴れないでよ~!
まだこんなにお酒がたくさん残ってるじゃない。
あんたもしかして、神様のくせにお酒の一杯も飲めないの~?」
「うぅ、ごめんなさいごめんなさい…」
…さっき霊夢が言ってた例の鬼だろうか。
その横に賽銭箱に鎖で縛りつけられ萃香に無理矢理酒の相手をさせられて、
泣きじゃくっている羽入がいた。
「萃香…あんたねぇ…」
「おっ。霊夢と魔理沙じゃん。2人も一緒に飲むk…」
「「博 麗 幻 影!ファイナルースパァァーック!!!」」
…ちーん。
「うぅ、お二人共本当にありがとうなのです。助かりましたのです…」
「あんたもトコトンツイてないわね…同情するわ。」
どうやら予想通り霊夢と魔理沙には羽入の姿が普通に見えるようだった。
最初は、2人が雛見沢症候群にかかったのか…なんて思ったけど、特に異常はなさそうだし。
本当にこの幻想郷という所は、なんでもアリなんだと思った。
私は、お酒を浴びるように飲まされて青白い顔をしている羽入を、キッっと睨み付ける。
「羽入…元の世界に戻ったら、わかってるわよね?」
「あぅあぅ…梨花…僕の手違いでこんな所に来させてしまって、本当に申し訳ないのです…」
「キムチ料理のフルコースね。あ~、楽しみだわ。くすくす…」
「まぁまぁ梨花、そのくらいにしといてやれよ。せっかく私たちとこうやって友達になれたんだからさっ。
あ、そうだ霊夢!今夜は久しぶりに宴会でもしようぜ?最近異変続きで、全然飲めてなかったし。」
「またそんないきなり…
あんた、誰が後片づけするのか分かって言ってんの?」
わーわーぎゃーぎゃーと口論する二人を見て、私と羽入は顔を見合わせて吹き出す。
…まぁ、もう少し此処で息抜きさせてもらうのも良いかもしれない。
雛見沢に戻ってしまえば遅かれ早かれ、私は必ず殺されてしまうのだから。
だから、今だけは-
私は歳相応の普通の女の子、古手梨花でいようと思った。
混ぜたいから混ぜた、だけではそこで終わってしまいます。
次に期待しています。
お話にならない、他所でやってくれ
東方想想話でやる必要性を感じませんでした。
きつい感想をごめんなさい。
ここの住人はクロスやオリキャラには厳しいからね。
それと気になったことを幾つか。
一つ目、梨花に対する魔理沙と霊夢の反応はないんじゃないかと
ものすごく違和感が残りますよ。
二つ目、ギャグなのかシリアスなのかどっちなんだ?
出来るだけ統一したほうがいいよ。今後の展開を考えたらね。
三つ目、自分でチラシの裏とか言ったら叩かれるのは必至だ。
このあとがきは今すぐ訂正することを薦める。
以上です。クロス物を書くならもっと練習したほうがよろしいかと。
氏の次回作に期待してます。
構成はわかりやすかったのですが
他の方が既に述べている通り、二つの作品をクロスオーバーさせた理由のようなものが読み取れませんでした。
『東方』と『ひぐらし』というベクトルが違う二つの作品をあえて一緒にした理由というか作者の思惑ですね。この二つの作品を合わせて、どういう方向に持っていくつもりなのか、クロスオーバーを書く上ではまずそこを明確にしていかないと読み手はついてきません。
やはり練りが足りないと言われても仕方ないと思います。
文章は読みやすかったです。
しかしやはりキャラの描写が足りない所があるように思います。
最後にこういう作品は小出しにするより、まとめて書き上げて投稿したほうがいいと思われます。
ただでさえクロスオーバーという類の作品はリスクが高いので。
ではでは長々と結構きつい事書いてしまいましたが
是非これを糧にして前進して下さい。次作に期待してますよ。
文章は読みやすかったです。ただ、描写が足りない。その人物の情況をもう少しは書けたのではないかと。
折角、他作品のキャラを混ぜて書くのでしたら、そのキャラの魅力を分かってもらうようにすべきです。皆が皆、その作品を知っているわけではないので。
まあ、ここが創想話でなかったら50点くらいかな。これにめげずにSSを書いて下さる事を望みます。
偉そうな物言いをしてすいませんでした。
本当にただひぐらしを混ぜただけな印象がしますす。
なにを伝えたいのかを まず決めたほうがいいと思います。
投稿前に仕上がった作品を読み返して貴方が読者に何を感じて欲しいのかもう一度考えて下さい。
特に今回の自分みたいにクロスした作品が嫌いな場合、感情的に走ってしまうこともあるのでどんな作品を混ぜたか、最初に分かるだけのヒントがほしかったです。
さらに言ってしまえば、知らない作品であるが故にキャラの描写を「こういうことありき」で語ってしまえば知らない人には「?」となってしまう場面があります。
クロスオーバーの作品のキャラは、メインで扱っている作品からすれば初登場の人物である、ということを努々忘れないでください。
読み手皆が著者のように好きな作品が一緒であるわけではないことも分かってください。
点数は感情的になってしまっているのでフリーレスで。
主題も伝えたいことも伝わりませんが、別にそれでいいように思います。多くの作家さんは、ただ書きたいものを書かれているので、しっかりとしたメッセージがこめられた二次小説の方が逆に珍しいくらいですし。
ただ場所が悪かったのでしょう。次回からは投稿される場所を考えられた方がいいかもしれません。クロスが許せない方にとっては、それだけで最低評価に繋がります。
ひぐらし系列のサイトなら80点付けますよ。
ただこの程度の話は創想話にいくらでも転がってるわけで、マイナス評価をつけるほどではないかと。ストーリーはともかく、文章自体は悪くないし。
今度出会ったときは、もう一度読み返したくなるような物語を書いてくれることを期待しています。
具体的には、例えば冒頭ですね。
「梨花が殺されるシーン」、これは演出としてOKでしょう。
しかし次の回想についてはどうでしょう?
>ふいに前の世界の事を思い出す。
この1行だけで、ループ設定を表現してますね。
ひぐらしを知ってる方なら分かります。
でも、知らない人が読んだら「あー、そういう設定なのかな」程度で、梨花というキャラクターを消化しきれないと思いませんか。
これは私的な意見ですが、魔理沙と梨花が語り合うシーンがありますね。
あのシーンを濃密に描き、こういった”東方の視点から見ると分からない部分”を消化するという手があったんじゃないかなと思います。
個人的には、この話結構好きです。
なので続き楽しみにしてます&自粛の意味でフリーレスにします。
もしくは引き立て役っぽい扱いを受ける場合が多いので、
両作品の良い所を上手く表現して頂きたい所ですね。
難しいかもしれませんが、期待しています。