Coolier - 新生・東方創想話

続・ゆうかりん、ファイト!

2008/02/16 04:48:55
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「世間一般では、バレンタイン、というものがあるわね」
「ああ。幻想郷の上空を覆う地磁気の」
「そうそう……って、それはバンアレン帯よ!」
「なっ……!」
 何かよくわからない会話を、縁側にて過ごす二人……いや、この場合は一人と一匹、なのだろうか。しかしながら、その『一匹』の見た目も、一人の方と同じなので、暫定的に『二人』としておこう。
「……何。その顔は」
「そんな……!
 紫……あなたが、こんなくそ寒い時期にもそもそ起き出して来るという、冬眠の熊もびっくりするような事実だけじゃ飽きたらず……」
「……熊だって目を覚ますわよ。お腹がすいたら」
「あなたがツッコミ役に回るなんて!? この博麗の巫女の専売特許だと思っていたのに!」
「……あなたね」
「これは間違いなく異変ね! さあ、紫! あなたを取り巻く異変を、この私、博麗霊夢が解決してあげるわ!」
 さあ、れっつDANMAKU! と言わんばかりに、何かよくわからないノリを展開する巫女の脳天を、彼女のチョップが襲った。びしっ、ではなく、『ずびしぃっ』という音である。
 なかなか痛かったのか、頭を押さえて涙目になる巫女に、はぁ、とため息をついて。
「……ったく。あなたはどうして、色々とアレなのかしら。本当にもう、お母さん、悲しいわ」
「誰が誰の母親なのよ」
「まぁ、ともあれ。
 はい」
 と、渡されるのは、きれいにラッピングされた正方形の箱。
 それを、遠慮なく、びりびりと破いて取り出してみれば、一口サイズの小さなチョコレートが一ダース、中に詰まっていた。巫女は、遠慮なく、それをもぐもぐと食べながら、
「気が利いてるわね。この頃、甘いものに飢えていたのよ」
「お母さんのお乳入りのチョコはいかが?」
「……は?」
「冗談よ」
 その、嫌みなくらいに素敵な笑顔に。
 巫女の全力が、冬の空に七色の虹をかけたのだった。


 ――とまぁ、幻想郷某所の博麗さんちで、何かよくわからない展開があった頃。
「……お客さんが……こない……」
「そりゃ、バレンタインデー真っ最中なのに、何のイベントもやってなければねぇ」
「何よ! うちは、味は問題ないでしょ!」
「味は、ね」
 その、極めて限定型な言葉に、うっ、とその店の店主――風見幽香女史が呻いた。
 それに、はぁ、というため息を返すのは、お店開店に当たって、色々プロデュースも担当したアリス・マーガトロイド女史。そして、日頃、実にお客さんで大にぎわいの、こちらの喫茶店に、本日訪れたお客さんの数は、わずかに三十人。
「……いつものこの時間帯なら、店内の椅子で、空いているものがないっていうのに……」
「まぁ、日々、二~三百人単位でお客さんが来てるしねぇ」
 こんなへんぴなところに、との言葉に、幽香が『うるさいわね!』と怒鳴る。その後、「私がここを気に入ってるんだからいいでしょ!」とそっぽを向いてふてくされる。
「大体、何がバレンタインデーよ。バカらしい。
 そんなちんけなイベントというかお祭りに騙されるから、人間というのは主体性のない生き物なのよ。私たち妖怪を見なさい! いつでもどこでも、自分を見失わず、自分が信じるものに向かって突き進む、気高い一族じゃない!」
「言い方を変えると、『ゴーイングマイウェイなバカ野郎』ってことになるんだけど」
「くっ……!」
 薄々、その辺りには気づいていたのか、改めて指摘されることで、幽香は言葉に詰まる。
 それはともあれ、お客さんが来ないのは問題ね、とアリス。
 その理由は、この店そのものが抱える経済的な事情に起因する。なぜかというと、お店の開店資金は、アリスが提供したのだ。この幽香、何せ、金銭などにほとんど執着しない……というか、必要のない生活を送ってきていたために、『宵越しの銭は持たない』に程近い金銭状況だったのである。これでは、あの巫女を笑えないなと思ったのだが、それでも彼女はその生活に不自由していなかったため、仕方なく、アリスはパトロンの役目も買って出たのだ。
 もちろん、未だ、借金返済はならず、別段、利子を取るつもりではないのだが、あまり返済が長引くと、今度は自分の経済状況に影響が出る。何せ、魔法に関連する物事というのは、とかく金のかかるものなのだ。面と向かって『お金を返せ』とは言わないものの、毎月どれくらいの額は稼いでね、という注文はつけている。それなのに、この状況。
「こういうイベントがきっかけで、客足が変動することはあるし」
 片手には、『賢い経営者のためのマニュアル』という名前の本がある。お店開店に当たって、懇意にしている、友人の魔女から借りてきたのだ。彼女は『頑張ってね』と応援はしてくれたものの、一切、金銭的援助はしてくれていない。あれくらい淡泊な方が、色々と面倒がなくていいのかな、と思ったりもするのだが。
「第一、何でイベントごとに参加しないのよ。
 あんたの信条はどうあれ、商売をするんだから、かき入れ時に便乗するのは当たり前じゃない」
「それはそうだけど……。
 だ、だけど、何で私が、にっこり笑顔で『チョコレートどうぞ』なんてやらなきゃいけないのよ!」
「いや、そこで何で逆ギレされなきゃならないのか、むしろ私が聞きたいんだけど……。
 あ、あのねぇ、幽香。っつか、このお店のお菓子とかお茶とか、全部、あなたの手作りじゃない」
「……はっ」
「をい」
 さすがにツッコミせざるにはいられなかったのか、アリスの意思を汲んだ人形の一つが、べしん、と大きなハリセンで幽香の頭を一発。
「ったくもー……。
 ようやく、最近になって笑顔が出来てきたっていうのに」
 それでも、未だに引きつり笑いなのはご愛敬なのだが。
 ともあれ、幽香たっての願いを叶えるために、『友達』として協力しているのがアリスの立場だ。ここで、彼女の想いが挫折するようなことがあれば、それはそれで寝覚めが悪い。ましてやこの彼女、たまに精神的にやたらもろくなることもあるのだし。
 何とかしてやらなきゃいけないわね、と気合いを入れると、
「よし! まずはバレンタインデーイベントへの参入よ! 今からでも遅くないわ!」
「遅いわよ……どう考えたって」
 なお、ただいま、バレンタインデーはすでに佳境を迎えている。具体的に言うと、すでに三時のおやつの時間が過ぎた頃だ。
 アリスは、自分で言い出して『……それもそうよね』と考えを改め直す。
「……な、なら、敵情視察ね。敵を知り、己を知れば、っていうじゃない」
「それって、身の程を知れ、と言う意味も含まれていそうね」
「あんたが言うな」
 さらに一発、べしん。
 今度の一撃は強烈だったのか、幽香はカウンターにおでこをぶつけて、しばし、沈黙する。その間に、アリスはてきぱきと店内の掃除などを終わらせ、入り口に『休憩中』の札をかけてから、
「行くわよ」
「……あんた、この私を前に、よくもまぁ、実力行使をためらわずに……」
 ぶつくさ文句を言う幽香を引き連れ、一路、幻想郷の空を舞う。向かう先は、ここと、ある意味では対をなす甘味処――と、言ってしまうのは絶対におかしいのだが――、紅魔館。
「毎年、この時期に限らず、イベントがある時期はやたらにぎわうからね……あそこ。私も、何度か利用したことがあるし」
「いつから、あそこは吸血鬼の館から一大テーマパークになったのかしら」
「主に時代をさかのぼること、二年と半年くらい前からね」
「いやに具体的ね」
「こっちの話し」
 深く追求してはいけません。
 そんな、追求することでどつぼにはまりそうな会話はさておきとして、二人がテーマパーク……もとい、紅魔館上空にたどり着いたのは、飛び始めてから、三時間ほどが経過した頃だ。
「……」
「……」
 早くも幽香がくじけてめげてしまいそうな光景が、そこにはあった。
 正門前にずらりと並ぶ女の子の列。その最後尾には、紅魔館きっての精鋭であるメイドが『最後尾、ここ』と書かれたプラカードを持って佇んでおり、その足が、どんどんと後ろへと移動していく。次から次へとやってくる女の子達は、増えることはあっても減ることはない。すでにバレンタインデーも終わりに近づいているというのにこれだ。朝方や正午などの『勝負時』はどれほどのものだったのか、想像もしたくない。
「……あ、小町さんがいる」
 人間向けの橋渡し役でも買って出たのだろうか。三途の川の橋渡しが、湖で船こいでいたりする。
 とりあえず、それはさておき、二人は一路、館の正門へ。
「はーい、押さないでください、押さないでくださーい。まだ商品はたくさんございまーす」
「割り込みはやめてくださーい。おけがをなされますよー」
「お帰りはこちらでーす。混雑緩和のために、ご協力をお願いしまーす」
「わたしかえる」
「待った!」
 踵を返す幽香をがっしと掴み、アリス。振り向いた幽香は、強がっている普段の顔にべそかいていた。もう、色んな意味で自分の敗北を悟ってしまったのだろう。それを、何とかかんとかなだめすかし、アリスは、門の脇で『相変わらずすごい人の列だなぁ』と、ぼんやりしている門番の元へ。
「あ、あの」
「ああ、アリスさんに幽香さん。お久しぶりです」
「は、はい。お久しぶりです、美鈴さん。
 あの……これ……」
「毎年、こんな感じで……。多分、口コミ効果もあったりするんでしょうけど、年々、人が増えているような感じがするんですよね」
 と、現在の状況をのほほんと説明してくれる。
 想像以上の強敵だったのね、な戦慄の表情を浮かべるアリスは、『あの……』と、声を上げる。
「とりあえず、まだ、商品は残ってますので。お二人は、紅魔館にとっても知らない顔ではないので、優先的に入場できますよ」
「あ、はい。ありがとうございます……」
「いえいえ。それでは、楽しんでいってください」
 彼女も、営業スマイルが板に付いてきたなぁ、と思いながら、館の中へ。
 その昔、知り合いの巫女と魔法使いが、この館で熾烈な激戦を繰り広げたという逸話が、すでに遠い伝説というか眉唾になりつつある光景が、そこに広がっていた。
 紅魔館大ホールの左右に、メイド達が小さなブースを構えている。そこに並べられた、実に品のいいチョコレートを買い求める女の子達。しかも、ブースごとに商品が違っており、恐らくは、そのメイド達のセンスが、そこに発揮されているのだろうと思える状況である。その中でも一番人気なのが、『メイド長』ブース。やたら大勢の客が列を作っている光景が、そこにある。また、ブースごとのチョコレートを、とりあえず片っ端から買いあさっている客もいて、利益率もかなりのものと思われる状況だった。ちなみに、一部の女の子達は、かなり目が殺気立っていて怖い。どうでもいいが。
「やっぱりかえる」
「だから待ちなさいっての!」
「こんな大型総合店舗に個人商店がかなうはずないじゃない!」
「……いや、確かにそれは正論なんだけど……。
 だ、だけど、商品の質に関しては、あんただって負けてないって断言できるんでしょ!? もっと自信を持ちなさいよ!」
「無理よ! だって、私だって普通の女の子なのよ!?」
「え? そうだっけ?」
「かえる」
「わーっ! ごめんなさい、ほんと、ごめんなさいっ! 今の、ちょっと普通にそう思っちゃったから、マジでごめんなさいっ!」
 そんな漫才を繰り広げている二人の元に、歩み寄る影一つ。きゃーきゃーと、女の子達の黄色い声援が上がり、何事かと振り向いた先には、
「何してるの、あなた達」
 紅魔館が誇る、鉄壁のカリスマ(主にメイド的な意味で)、十六夜咲夜女史が、かわいそうなものを見るような顔で立っていた。
「あ、さ、咲夜さん……」
「あなた達も買い物に来たの? それなら、きちんと列に並んで買ってちょうだい。時間がおしてきて、割り込みがひどくなっているの」
 はいそこ、割り込みしない! と、どこから取り出したのか、ぴぴー、と笛を吹く咲夜。その彼女の言葉に従う女の子達の中で、『きゃーっ』と黄色い声援を上げるものがいるのはどういうわけなのだろうか。
「あ、い、いや、そうじゃなくて……」
 かっこいい女性って、女の子にもモテるわよね、と思いつつも言葉には出さず。
 話を切り出すアリスへと、咲夜が振り返る。
「違うの?
 ……ああ、カフェの方かしら? あなた達はお酒も好きだったから、ホットチョコレートを用意してあるわよ」
「それも違って……」
「じゃあ、何? 冷やかしならお断りよ」
「それも……」
「……あのね。謎かけクイズじゃないんだから」
 はっきりしなさい、と言いたいらしかった。
 ここではっきりと、『敵情視察に来ました』と言うのは簡単だが、咲夜を確実に敵に回すことになる。悪ければ、この紅魔館の連中全員だ。こちらにも、一応、幽香という切り札はあるが、何だか色々へこたれている今の状況で、普段の戦闘力を期待するのは無理だろう。ずたぼろになって、湖の中に叩き込まれるのは目に見えている。
 アリスは、何とか適当な言い訳を考え出すべく、一瞬の間に思考を巡らせる。
「あ、そうそう。
 その……咲夜さんは、今年、このイベントに、どんなプロデュースをしたのかな、って」
「え?」
 咲夜の反応に『食いついた!』と、アリスは内心で声を上げた。すかさず、彼女は次の一手を繰り出す。
「聞いてますよ、パチュリーから。
 こういうイベントごとの時には、率先して指揮を執る、って」
「なっ……! そ、それを誰から……!」
「いや、だから、パチュリーから……」
「そ、そんなこと、あなた達に関係ないでしょ!? ひ、冷やかしなら帰りなさい!」
「ああ、いや、関係ないとかじゃなくて。
 その辺りのこと、やっぱり、私たちも女の身分だから気になるなー、って」
 人生の先達としてアドバイスしてくださいよ、という言葉を言外に込めるアリスに、咲夜はしどろもどろになりながら、一歩、二歩、と後ろに下がっていく。かなり狼狽しているらしく、いきなり、何もないところで後ろ向きにひっくり返り、後頭部を床に強打するというボケをかましてから、
「……と、とりあえず、ここは人が多いわ。こっちに来なさい」
 色んな意味で顔を紅くして、そそくさと、その場を立ち去っていく。
 一応、当面の脅威を乗り切ったアリスは、幽香を連れて、彼女の後を。
 そして。
「紅魔館メイド部隊、ナンバー19からマスターへ。危険分子を確認」
『マスターよりナンバー19へ。監視を続けなさい』
「はっ!」
 その様子におかしなものを覚えた、紅魔館が率いる精鋭部隊、『紅魔館メイド部隊』が活動を始めたのだが――とりあえず、それはどうでもいいので割愛する。

「別に……特に、何かを考えていることはないわよ。お嬢様が、『イベントの時には気合いを入れなさい!』って指示をしてくるから、とりあえず、なのだし」
「何か、色々、吸血鬼の尊厳を忘れてるようなセリフですね」
「本人は、チョコレートをお腹一杯食べたいだけなのよ」
 その辺り、まだまだ、館を統べる吸血鬼もお子様なのだ、と咲夜。自分たちは、その彼女の期待にも応えないといけない、とクールに答える。
 場所を応接室に移しての、アリスの『ヒアリング』という名の敵情視察が始まっていた。幽香には、『あんまり喋らないように』と釘を刺してから、彼女は、手元のティーカップを傾けつつ、
「毎年、こんな感じでしたっけ?」
「去年は、チョコレートを使ったお菓子の展覧会をやったわね。私たちの方で。
 もちろん、来てくれた客には、それなりにそれなりの対応をしていたけれど」
「そうなんですか。やっぱり、経済規模が大きいと、出来ることも違いますね」
「毎年、ものすごい出費なの。それでも、それを上回る収入があるのが恐ろしいところよね」
 女の子達の財布は侮れないわ、と咲夜。自分自身もそうであるために、よけい、彼女たちの『意気込み』というのがわかるらしい。ラッピングは別料金、と銘打っても、それを頼んでくる客が実に多いことを語ってから、
「まぁ、いいんじゃないの? 気合いを入れたいお年頃なのだから」
「それもそうですね。
 こういうのの発案者は咲夜さんなんですか?」
「今年はね。
 毎年、メイド達の中から、どういうものをやりたいかっていうのを公募して決めているの。自分のやりたいものだから、気合いを入れる子が多くてね」
 事前派閥みたいなものが出来ているのだ、と彼女は言う。
 しかも、紅魔館の中において、上下の関係は絶対。上の『お姉さま』達が気合いを入れている姿を見れば、下のもの達は手伝わずにはいられない。そう言う関係が成り立っているから、毎年、目を引くイベントになってしまうのだとか。
「お客さんって、女の子だけ、とか?」
「単純に、うちのお菓子を気に入ってくれている人も、結構、来るわよ。
 ただ、やっぱり女性の比率が高いから、男性の場合は浮いているわね。メイド達がサポートしているけれど」
「それが目当てで来ている人も多そうですね」
「まぁ、確かに。
 けれど、そういう不埒な輩は、すべからく、湖の中に沈めるのが習わしだから」
 ほんとにやってそうで怖いな、とアリスは思った。と言うか、下手したら、自分たちもそう言う目に遭うんだろうな、と戦々恐々としてから、その気持ちを落ち着けるためにティーカップを傾ける。
「ただ、やっぱり女性向けのイベントだから、私としては女性に利用して欲しいと思うわね。年代関係なく。
 若い子達のイベントになってしまうのは、ある意味、宿命かもしれないけど」
「……まぁ、そうですねぇ」
「今年もうまい具合に人が集まったし。成功で終わりそうね」
「というか、すごいですよね」
「……ここって、元々、何の館だったかしら」
 近頃、それが本気でわからなくなっているのか、咲夜は重たいため息をついた。
 心中、お察しします、と彼女を慰めてから、アリスは顔を引きつらせつつ、『それでですね』と口を開く。
「見た感じ、商品の値段が、だいぶ安いみたいだったんですけど。普段なら、もう少し高いですよね?」
「イベントの時は、たくさん、人が来るでしょう? 値段を安くした方が、薄利多売で儲かるのよ」
「へぇ。その辺りのプロデュースは誰が?」
「やたら、経理に詳しい子がいるの。その子に任せているわ」
「へぇ……。何か、ほんとに充実してますね、ここ」
「変わっているでしょう?
 ……ほんと、変わってるわ……」
「……ま、まあまあ」
 背中に黒い縦線背負った咲夜の肩を叩いてから。
 アリスは、唐突に話を切り出す。
「今年は、誰かにチョコレートとか、あげる予定は?」
「さあ?」
 それについてはノーコメント。そんな表情を見せる咲夜だが、なるほど、とアリスに思わせるには充分な反応だった。この人も青春してるわねぇ、と内心で笑いながら、その視線を幽香へ。彼女は言われた通り、今のところ、口を開いていない。無言で、ティーカップをちびちび傾ける彼女へと、咲夜の視線が向いた。
「そう言えば、幽香。あなたのところはどうなの?」
「え?」
 ちっ、とアリスは内心で舌打ちする。
 咲夜から、幽香への質問が飛ぶことは想定済み。そして、ある意味、『同業者』な彼女へと、探りを入れてくることも。
「その……」
「あなたのところのお菓子は、うちのお嬢様達も大層気に入っていたから。お客さんも、毎日、たくさん来ているのでしょう? 今日はどうだった?」
「……えっと……」
「実を言うと、いまいちなんですよ」
「あら、そうなの?」
 そこで、アリスが横から助け船。視線を向けてくる幽香へと、ちらりと目をやって。『黙ってなさい』と、彼女をシャットアウト。
「ええ。
 ほら、幽香って、こういうこと慣れてないから。ほんとにもう、なかなか」
「それでも、毎日、たくさんのお客さんが入っていたじゃない。リピーターがついてないの?」
「ついてはいるんですけどね。
 今日は、こっちにお客が取られてるみたいで」
「それは……悪いことをしたかしら」
「ああ、いえ。お気になさらずに。
 もちろん、巻き返しのプランだってあるんですから」
 それは楽しみね、と咲夜。
 普段の彼女なら、『面白いところじゃない』と不敵な表情を浮かべるのだが、今日の表情は柔らかなものだ。恐らく、何かいいことがあったのだろう。当然、それを見越して、アリスは話題を振っているのだが。
「あそこはうちよりも交通の便が悪いから、お客も、なかなか近づきがたいのに頑張っているのだもの。尊敬するわね」
「そんなに褒めないであげてください。こいつ、調子に乗るから」
 ――と。
「話は聞いたわ」
 いきなり、どこかから響く声一つ。
 ばたん、と演出たっぷりに開いたドアの向こうに佇む声の主は、言わずとしれた、この館を統べるちみっちゃいお嬢様(口元にチョコつき)。彼女は不敵に『ふっふっふ』と笑いながら、ぺたんこな胸を張り、
「この紅魔館を相手にして、巻き返しが出来るプランがあるそうね?」
「お嬢様、お口の周りがチョコまみれです」
「……あら、いけない」
「はい、動かないでくださいね」
 う~、とむずがるお嬢様のお口の周りを、咲夜が、どこから取り出したのか、真っ白なナプキンでこしこし。レミリアは、改めて、びしぃっ、と丸っこい、小さな指を幽香に突きつけてから、
「その言葉、しかと聞いたわ! この紅魔館に挑む愚か者の末路を、わたしがきっちりと見届けてあげようじゃない!」
「はいこれ。おみやげ」
「あら、ありがと。
 ……あっ、わたしの好きなケーキ……って……こほん」
 アリスの周りを飛び交う人形が手渡す箱の中身を見て、『にぱ~』な笑顔を浮かべてから、レミリアは、無理に表情を整える。実に可愛らしい反応で、ある意味、情けないのだが、それでも彼女はその雰囲気を払拭できたと思ったらしい。ふふん、と鼻を鳴らしてから、
「風見幽香! あなたの店など敵ではないことを証明してあげるわ!
 幻想郷に残るのは、常にオンリーワンの、我が紅魔館だけでいいということをね! おほほほほほ!」
「はい、お嬢様。ケーキ切ってあげますから」
「大きめに切りなさいよ! いつも、咲夜、わたしの分を小さくするんだから!」
「はいはい」
 ちょっと待っててね、な視線を二人に向けて、咲夜の姿が部屋から消える。
「……さて。
 さすがは紅魔館。侮れないわね」
「……というか、あなた、よくもまぁ、真っ向から彼女に挑むわね。お月見の時に『強いものは避ける』って言われてなかった?」
「あそこまで言われたら、逆に闘志が湧くわ」
 言われた意味はわからないでもなかったのか、幽香は無言で、紅茶の残りを飲み干す。
 待たせたわね、と咲夜が戻ってきたのは、それから五分ほど後。お嬢様の姿は、そこにはない。
「別に争うつもりはないのに。他人の店を潰しても面白くも何ともないんだから」
「まぁ、それは確かにそうですよね」
「お嬢様は負けず嫌いだから。不愉快にさせたのなら、私の方から謝るわ」
「いいえ、気にしないでください。
 さて、それじゃ、私たちはそろそろ帰りますね。お店の方も、そろそろ終わりでしょうし」
 時計は、そろそろ、宵の頃合いを指し示す。入る時に、きっちりと、イベントの開始と終了時刻へと目を通していたアリスの言葉に、『悪いわね』と、咲夜も立ち上がった。
 彼女に案内される形でホールへと戻ると、ブースの裏側で、メイド達が撤収作業を始めている光景があった。客足は、未だ遠のかないものの、表では門も閉められ始めているようだ。「これから、集計作業、頑張ってくださいね」と、アリスは彼女たちに声をかけて。
「……さーて、一日遅れのバレンタイン勝負ね」
「……あなたって、意外と負けず嫌いだったのね」
「幻想郷の連中って、大抵、そうじゃない?」
 幻想郷の空を、元きたところへと戻りながら。
 アリスは、瞳の中に炎を燃やすのだった。

 さて、ところ変わって、幽香のお店。
「それで、考えていたんだけど」
「早っ」
 どうやら、ここまで飛んでくる最中に『バレンタイン巻き返しプラン』を考えていたらしく、アリスが目を輝かせて、それを幽香に語り出す。とりあえず、ちょっと落ち着いて、と幽香。二人は店の一角に移動し、そこでお茶とケーキを用意してから、改めて。
「男性向けバレンタインってどうかしら?」
「……男が男にチョコをあげるの?
 アリス、あなた、意外とマニアックね」
「何で顔がにやけてるのよ」
「べ、別にそういうのに興味があるとかじゃなくて……」
「いやいいから。墓穴掘らなくていいから」
 何やら、妖しい方向に話題がシフトしそうだったので、よっこいしょ、と擬音混じりでそれを元の路線へと戻して。
 アリスは言う。
「チョコレートをもらえない男性に、あなたからチョコレートをプレゼントするのよ」
「……それって切なくない?」
「いや、案外そうでもないのよ。これが」
 と、どこから取り出したのか、一枚のA4用紙。
『これはね、上海達に集めてもらった情報なんだけど――』と、やっぱり、一体いつのまにそれを収集したのかわからないのだが、ともかく、アリスは目を輝かせながら、
「『バレンタインに、どれくらいチョコをもらいましたか? 0個:22人。バレンタインなんてぶっつぶしてやる:28人』と、アンケートを採った百人中、実に半分がチョコレートをもらえてないという事実が発覚したの」
「……ふーん」
 あまりにも切ない現実に、どう反応したらいいものかわからず、何となく気の抜けた返事をする幽香を前にしても、アリスの勢いは衰えない。ぐっ、と握り拳を作ってから、
「それで、あなたが、こうした人たちに『私から、愛を込めて』ってあげるのよ。これなら、きっと、人気も出るわ。
 紅魔館は女性向けのお店。なら、あなたは男性に向けて、愛を振りまく天使になればいいのよ!」
「愛を……ねぇ」
「はにかんだ笑顔と上目遣いがポイントね。あと、かわいいエプロンドレスがいいんだけど……何なら裸エプロンとかでも……」
「ちょっと!」
「冗談よ」
 何だろう。何かこの人、ちょっとおかしくなってないだろうか。
 そんな眼差しを向ける幽香などどこ吹く風で、『ともかく、市場の隙間を狙うのよ』とアリス。
 確かに、バレンタインデーは、基本的に女の子の行事である。そこに『男性』を狙うというのは、市場戦略の点から見て、『あり』だろう。確かに、人気が出るかもしれない。
 しかし、だ。
「……それを私がやるの?」
「そうよ」
「いやよ! 何で私が!」
「別に、普段からお店で品物渡すのと同じよ。ちょっと、雰囲気出すだけで」
「は、恥ずかしいじゃない!」
「それを乗り越えてこそよ」
「じ、冗談じゃないわ! 何だって私が! そ、そんな恥ずかしいことするくらいなら、お店たたんでランナウェイしたほうがマシよ!」
 ぜーはーぜーはーと息を荒げる幽香に。
 うーん、と悩んだアリスは、『それもそうか』とつぶやいた。
「……よくよく考えてみれば、確かに、ちょっとアレかもしれないわよね」
 自分で考えた企画ながら、ちょっぴり、狙っている市場の層がニッチ過ぎることに気が付いたのだろう。いいアイディアだと思ったんだけどなぁ、とつぶやいて。
「私がやってもいいんだけど、私より、あなたの方が人気があるのよね。単に、お店に出ている時間のせいかもしれないけど」
「……そ、それは……嬉しいけど」
「……そっか。やっぱり難しいよね」
 ふぅ、とため息をついて。
 ティーカップに軽く口を付けてから、「まぁ、バレンタインの一回や二回、逃したところでどうってことないわよね」と、アリスは笑顔になった。
「わざわざ、向こうと対決しなくても、味とか接客とかの評価は上々なんだし。それに、一ヶ月後にはホワイトデーも待ちかまえているし、その時に頑張ればいいか」
「……」
「ごめんね、幽香。ちょっと悪のりしすぎたみたい」
「……別に……それはいいんだけど。
 っていうか……色々、付き合わせて悪かったわよ。やっぱり……なかなか難しいのよね、こういうの」
 その『こういうの』が何を示すかはわからなかったが。
 そうかもしれないわね、と答えると、アリスは席を立つ。そろそろ、外も真っ暗になる頃合いだ。帰ってご飯の用意でもしようかな、という時間帯なのである。
「明日からも、経営、頑張ってちょうだい。言っておくけど、貸したお金は、必ず返してもらうからね」
「わかってるわよ。それくらい。
 まぁ、この私に出来ないことなんてないんだから。せいぜい、大船に乗ったつもりで、ゆったり揺られてなさい」
「はいはい」
 普段の幽香のノリが出てきたことに満足して、アリスは店を後にする。
 ちらりと、去り際に振り返れば、幽香が肩をすくめて店の中に消えていくところだった。その後は振り返らず、まっすぐに自分の家へと戻ってきて。暗い家の中に入って、大きく息をつく。
「……確かに、悪のりしたかなぁ」
 別にいいんじゃないの? と、人形達は言ってくれるのだが、それでも『ちょっとな』と思ってしまうところがあるらしかった。
 やはり、友人の手助けはしてやりたいものの、その『友人』が求める以上のことはやってはいけないのだ。特に、あの手の、なかなか扱いの難しい相手を前にすると。
 その辺り、私もまだまだ精進が足りないな。
 彼女は、ある意味、軽く自嘲すると、キッチンへと向かって歩いていったのだった。

『それで、今日一日、飛び回っていた、と』
「大変だったのよ」
『こちらも、今日一日、大忙しだったわ。もっとも、仕事がなくなって、メイド達の時間はこれから始まるようだけど』
 一抱えほどの大きさの水晶玉に映る友人は、『そんなこと、私には関係ないけどね』と言わんばかりの表情で、クッキーをかじる。
「バレンタインかぁ。そう言えば、パチュリーは、こういうイベントには参加しないの?」
『退屈を紛らわすにはちょうどいいかもしれないけど、あいにく、今の私は知識欲の権化よ』
 また、何か面白い本を手に入れたということらしかった。
 今度、よかったら読ませてちょうだいね、と笑いかけてから。
「けれど、ほんと、紅魔館はすごいわね。色々道を間違ったような気もするけど」
『主のやることに口出しをするつもりはないわ。しても意味ないし』
「あ、やっぱり」
 その『間違った道』の一つを煽動しているのも、この水晶玉に映る相手ではあるのだが。
 とりあえず、それには触れないようにして、アリスは「幽香は大丈夫かしら」と首をかしげる。
『あなたにしては珍しいのね。ずいぶん、人を気にかけるような発言をして』
「やっぱり、友達って名乗りを上げたんだし。ある程度、その相手には尽くしてあげたいわよ」
『あなたはいい妻になるかもしれないわ』
 それは歓迎、と笑う。
 パチュリーは「こういうイベントにうつつを抜かすのも悪くはないけれど、あまりにも俗物的ね」と、皮肉混じりの発言をする。相変わらずの彼女の言葉を、はいはい、とアリスは軽く受け流し、大きく伸びをして。
「とりあえず、明日も、あいつの店の様子を見に行くわ」
『そう。それなら、こちらも、ある程度は情報提供をさせてもらうわ。
 商売敵を応援するという意味ではないけれど、あなたも、私にとっては大切な友人の一人だから。あなたの言葉を借りるなら、最大限のギブ&テイクはさせてもらうということ』
「ありがと」
『それに、つぶし合いはつまらないでしょ?』
 それは確かに、とうなずいてしまうことだ。
 やはり、世の中、対立するよりは互いに手を取り合って、よりいいものを造り出せる道を模索するのがベストである。そうした切磋琢磨のない、単なるぶつかり合いは不毛であり、何の利益も生み出さないのだ。その辺り、実に理解している……というか、たきつけるのが面白いだけなのかもしれないが、ともあれ、パチュリーの言葉に『その通りよね』と、言葉に出さずに笑ってしまう。
 ――と、その時、がたん、という音がした。
 ドアの向こうから響いてきた音に、彼女は肩をすくめて立ち上がる。
「それじゃ、ちょっと泥棒猫が入ってきたようだから。今日はこれで」
『また何かあったら連絡をよこしなさい。手伝ってあげるわ』
「ありがと」
 それじゃね。
 軽く手を振って、ドアの向こうへと顔を向ければ。
 閉じたままだったはずの冷蔵庫がこっそりと開いている。そして、部屋の暗がりに隠れている影一つ。気配を殺し、抜き足差し足でその背後へと忍び寄ったアリスは、大きく振りかぶった本(角)を、それの後頭部に叩きつけた。
「ついに食料まで、泥棒するようになったのかしら? 魔理沙」
「お、お前……金属加工した本でそれはないだろ……」
 とんかちなどの鈍器よりも強烈な一撃に、その侵入者――霧雨魔理沙嬢は、死ぬほど痛そうに頭を押さえながら、涙目になって振り返る。アリスは、冷たい視線を彼女へと向けて、
「そういうセリフは、泥棒をしないようになってから言いなさい」
 ぴしゃりと一言。
 それについては反論も出来ないのか、黙る魔理沙の手には、冷蔵庫から取りだしたと思われるソーセージが一本。
「ったく。
 何だって、人の家の冷蔵庫を荒らすのよ。霊夢じゃあるまいし」
 その一言に、遠く神社で、今日一日をごろごろと過ごしていた巫女が、身に覚えのない強烈な殺意の波動に目覚めかけたが、とりあえず、それは今は関係ない。
 アリスの言葉を受けて、魔理沙はやけに真面目な表情を浮かべながら答える。
「いやー……実は、この頃、魔法の研究に没頭していたら、いつの間にか蓄えが底を突いていてなー」
 はっはっは、と笑って。
 しばらくの沈黙の後、「……米粒一つ買えないんだ」と、大粒の涙を流す。同時に、彼女のお腹が切ない悲鳴を上げて、それを後押しした。やれやれ、とアリスは肩をすくめると、
「仕方ないわね。一食くらいならおごってあげるわよ」
「おおっ、マジか!?」
「あと。
 何か薄汚れてるわね。お風呂に入ってきなさい」
「風呂もか! サンキューな、アリス!」
「……ったく」
 まるで子供のように大喜びする魔理沙を見て、何とも言えない感情に、彼女の顔に浮かんだのは苦笑ではなく、小さな小さな苦笑いだった。
「ご飯食べたら、あなた、ケーキとか食べる?」
「お、いいのか?
 魔理沙さんも女の子だからな。甘いものは大好きだぜ」
「チョコレートケーキを作ったんだけど、作りすぎてね。余ったからお裾分け」
「さんきゅー」
 返事をする彼女の姿は、風呂場へと続くドアの向こうに消えていく。まさに、勝手知ったる我が家と言わんばかりだ。
 その彼女を見送ってから、疲れる友人もいたもんね、とアリス。その点、幽香は、ある意味で手がかからないから楽だなと笑って。
 そうして。
「……バレンタインね」
 変わった行事よね、ほんと。
 そう、内心でつぶやくのだった。


 さて。

「しんぶーん!」
 取ってもいないのに、勝手に窓から投げ込まれる新聞が、アリスの最近の目覚ましである。その新聞というのは、彼女の知り合いの、とある烏天狗が発行しているゴシップ……もとい、ジャーナリズムの塊(本人談)である。最近は、とある犬っ娘が『これはなぁ……』というものを検閲削除しているという噂だが、それは噂の領域を出ないので、ここでは割愛しよう。
 眠い目をこすりながら起き上がったアリスは、とりあえず、その新聞の一面の見出し記事だけに目を通す。それが、彼女の日課である。大抵、そこにはろくでもないことか、あるいは、眉唾な記事しか書かれていないため、苦笑した後、薪に火をつけるための燃料にするのが、この新聞の末路なのだが。
「ん!?」
 今回は、そうでもなかったらしい。

 季節が巡れば、ひまわりの咲き乱れる、ここは通称、太陽の畑。
 そこに佇む一件のお店の前に、長い長い長蛇の列が出来ていた。その列を刺激しないよう、こっそりと、店の裏手側へと回り込んだアリスは、鍵のかかってない勝手口の戸を開いて、そろりそろりと店の中へと足を運ぶ。
 そして、厨房から続く店舗へと、そっと顔を覗かせてみれば。
「い、一日遅れのバレンタインですけれど……あ、あなたに、そ、その……わ、私の精一杯を込めて……こ、このチョコレートを……お、贈りますっ!」
 顔を真っ赤に染めて、所々、セリフに詰まりながらも、やってくる客をあしらっている店主の姿が、そこにあった。
 すでにショーウィンドーに用意された品物は半分以上にも減っており、大盛況なのが見て取れる。また、やってくる客も、それだけでは悪いと思ったのか、はたまた、店主の心意気に応えるためなのか、店の品物を、他にもいくつか購入して、ドアをくぐって去っていく。
「あ、あの……」
 よほど恥ずかしいのか、もじもじとした仕草を伴って、また一人の客あしらいへ。
 そんな彼女の後ろ姿を見ながら、つぶやく。
「……やるじゃない」

 なるほど。
 人間、変われば変わるものなんだな。
 ――その評価は、ある意味、間違ってはいるのだろうが、しかし、ある意味では間違っていないだろう。これもまた、一人の人物の心変わりと言うことで納得してもよさそうだった。
 とりあえず、昨日の苦労が報われたからよかったかな。
 口元に漏れる笑みは、やはり、苦笑だった。





『太陽の畑に店舗を構える、喫茶店『かざみ』にて、ただいまバレンタインチョコのセール中!
 なんと、お店の店主が、あなたにチョコレートを手渡ししてくれます! 朝早くから早起きして、精一杯の愛情を込めて作った手作りチョコは、味も見た目もお値段も、まさにあなたのハートをストライク! 加えて、店主のはにかんだ笑顔、いじらしい仕草など、トッピングも盛りだくさん!
 一日百個限定、『風見幽香の手作りチョコ』は、朝八時から販売中! セール期間は今週いっぱい! さあ、あなたもお店に足を運んでみませんか?

 なお、売り切れ時にはご容赦ください』
タイトルは、某肉体言語魔法少女を参考に。
作中の「二年半前」に何が起こったのかを知りたい方は、様々なヒントを頼りに答えを導き出してみましょう。正解しても賞品は何にもありません。

投稿ペースが落ちてきて、2作品集に一作という形になりつつあります。そろそろ、私もネタ切れでしょうか。いや、そんなことはない、そんなことはないはずだ、って文ちゃんが言っていたので、多分、そんなことはないと思いたいです。
つまり何が言いたいかというと、チョコレートが欲しかったら前日深夜から並んでね♪ ということです。

2/16:微細変更
haruka
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コメント



0.3810簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
いや、このゆうかりん、やばいわ、色々と。
ちょっと色々なものが噴出しそうなので太陽の畑まで行ってきます。
3.100名前が無い程度の能力削除
ゆうかりんのチョコが食えるなら俺、死んでもいいよ
というか幻想郷に行くためのチケットを手に入れねば!
4.100名前が無い程度の能力削除
これは並ばざるを得ない!
私もチョコゲットしに逝ってきますよ
6.100名前が無い程度の能力削除
ゆうかりんがかぁいすぐる
さて、早速太陽の畑に行ってくるか
7.100名前が無い程度の能力削除
これは本当にストライクな幽香^^素晴らしすぎる^^
ただ最後の最後で引っかかったのですが、「半分以上にも減っており」って「半分以下にも…」か「半分以上減って…」のほうが自然なきがしませんか?そんなに国語ができるわけではないのでなんとも言えませんし、「半分以上にも減っており」のほうが自然だったら申し訳ございません。
さてさて、そろそろ並びに逝きますか…。
10.90名前が無い程度の能力削除
<「しんぶーん!」
ずっとにやにやしっぱなしでしたがここで吹きました。
これってあの"新聞"ですよね? 確かに幻想入りしてそうですけどw
11.100名前が無い程度の能力削除
ゆうかりんに会えるなら前日どころか3日前からでも並べるね!
さて、近くの古ぼけた神社へ往って来るか…
13.100ぶちうさ削除
俺がいつかSSを書こうと決めてからもう二年半経つのか……
そしてメイド長は彼女にチョコを渡したんだろうか? 渡したんだろうなぁ
14.100削除
バレンタインなんてぶっつぶ……と言いたいところだったが、その台詞は少しの間寝かせておこう。さてと、太陽の畑行ってくるかな。

それはそうとこのアリス、本当に誰にもこまめでいい奥さんだなあw
17.100時空や空間を翔る程度の能力削除
はっはっはぁ~!
このイベントに参加しないで
何に参加しろと!!
ひとっ走り行ってくら~~、
19.90名前が無い程度の能力削除
>すでに三時のおやつの時間が過ぎた頃
三時を回ってから
>着いたのは、飛び始めてから、三時間ほどが経過した頃
三時間ほどかけて紅魔館まで行って、
>時計は、そろそろ、五時を指し示す
咲夜と話してたら七時とかになってると思うのですが……。
20.70三文字削除
あああああああああああ幽香ぁああああああああ!!
・・・駄目だ、最近自分のコメントが変態にしか見えないや
それにしても紅魔館の未来はどうなるんだろ・・・
21.100さねかずら削除
ガフッ!(吐血)あ……甘い……
くっ今年はちゃんとチョコを(ニホンザルから)受け取ったというのに……
なんだろう、この虚しさは……
太陽の畑に行ってきます!
22.100名前が無い程度の能力削除
アリスの言葉運びは狙ってたとしか思えないんだがw
頑張っちゃう幽香のチョコを買いに徹夜で並びたい。
相変わらずお嬢様は可愛いなぁ。お子様っぷりが最高。
咲夜さんはちゃんと渡せたんだろうか。渡せたっぽいけど。
23.100コマ削除
彼女の愛(チョコ)を得るために 川越え山越え谷越えて 目指すは一路 太陽の畑。

いっぱいいっぱいなゆうかりんに手渡しでチョコを貰えるのなら、
それだけで今年一年戦える!ってなわけで、これから行ってくるぜぃ。
25.100司馬貴海削除
全てが懐かしい……二年半の意味は分かりますとも。ええそれはもう!!
相変わらず氏の書くゆうかりんに悶えてしまいます。俺も幻想郷に行きてー!
27.100名前が無い程度の能力削除
おおおおおーーーーーまさかまたharuka氏のゆうかりんが見れるとはーーーーー!!感動の涙でモニターが霞んで見えません!!
33.100名前が無い程度の能力削除
これはいい、ゆうかりんですね
37.100SAM削除
ゆうかりんの可愛らしさと、アリスの甲斐甲斐しさにもう限界です。
にやにやが止まりません。
38.100#15削除
なんかねもうね…、ゆうかりんlove
41.90名前が無い程度の能力削除
お菓子作りの実力はあるのに、不器用でいっぱいいっぱいな幽香に対して、「私がリードする」ではなく「尽くしてあげたい」と言うアリス、本当に良い奥様になりそうですね。
幽香がアリスに甘えられるようになった時、2人の関係はまた一歩前進するのかな、と思います。(^-^)
ただ、「紅魔館メイド部隊ナンバー19」のくだりが意味不明だったので、-10点(次回作の伏線だったら、ごめんなさい)。
そういえば、
>紅魔館が率いる精鋭部隊、『紅魔館メイド部隊』が~
というのは、「紅魔館が誇る~」という意味でしょうか?
45.100名前が無い程度の能力削除
あ、よく見たらセール期間がもう終わってる。がーんorz

harukaさんの書くゆうかりんは、可愛らしくて素敵です。今回も楽しく読ませていただきました。なかなかなさそうな、アリスとの絡みもGOOD!!
50.100名前が無い程度の能力削除
これはいいバレンタイン。ゆうかりん、いい味出してますね。
二年半前……作品集22のことですね。
ゆうかりんがくれたチョコ、美味しかった。GJ
51.100蝦蟇口咬平削除
ゆうかりん、の文字につられて読み始めました。畜生おれもいきてえ

しかし紅魔館の何処までいくんだ?
54.80名前が無い程度の能力削除
ゆうかりんにチョコもらいてええええ
67.100名前が無い程度の能力削除
これは良いアリスとゆうかりん
68.80やまびこ削除
紅魔館・・・・すっかり周囲の住民に親しまれ切っておりますな(苦笑)
本当にテーマパークにしか見えないよ
では、ゆうかりんのチョコを貰いに行ってきます。
69.100名前が無い程度の能力削除
最後のゆうかりんにはやられた…
アリスと幽香のコンビが思いのほかツボってしまった
責任とってくれww
70.100名前が無い程度の能力削除
よし今から並んでおけばきっと・・・

【太陽の畑】λ≡
81.100名前が無い程度の能力削除
なんじゃこりゃぁぁあああ
89.100名前が無い程度の能力削除
うをををををををををををを!!
俺にチョコを下さぁぁぁぁぁぁぁぁい!!
100.100名前が無い程度の能力削除
ベネ