「熱いわねー・・・」
「熱いわ・・・」
「熱いぜ・・・」
それは8月中旬、真夏の博麗神社での出来事。
あまりにも熱く霊夢、魔理沙、アリスは神社の中でグダーっしていた。
これだけ熱ければ何もする気にはなれない。
アリスも自分の家で人形を作ってもいいのだが、これだけ熱いと人形の質に異常が出るし、さらに実験室がなんと42度と言う風呂並みの暑さのため断念し、魔理沙と博麗神社を訪れたのである。
「上海~・・・。水替えてきて頂戴ー・・・」
3人はバケツ、桶に水を張り、そこに足を突っ込み暑さをしのいでいた。
上海と蓬莱その他人形は連携しバケツを運び神社の裏へと、水を汲みに行った。
「アリスだけずるいぜ。」
「まったくだわ・・・」
ぐちをこぼしつつも上海の帰りを待つ。
霊夢と魔理沙のはさっき変えたばかりだというのにすでに温くなっていた。
「「「あ~づ~いい~~~」」」
3人そろって同じ言葉を発した。
上海たちが戻ってきて、バケツをアリスの足元へとおく。
「ありがとう。おいで・・・」
そういうと上海たちは喜んでアリスの胸へと飛び込み、それをアリスはよしよし と撫でる。
アリスの人形たちへの愛は人一倍強く、人形を壊されたり、貶したりするとかなり怖い。
ちなみに弾幕戦になって、相手が無傷だったことは一度も無いらしい。勝ち負けはどうかはしらないけど。
霊夢は麦茶をコップへとつぎ、3人へと配る。
「さんきゅ」
「ありがと」
「なぁ霊夢。」
「何」
「腹減った。」
「アーアーキコエナーイ」
「腹減った腹減った腹減った腹減った!!!」
何だこいつは。
アリスと霊夢は同時に突っ込みを入れざるを得なかった。
「はいはい。もう素麺でいいわよね?」
「食べれるなら何でも。」
「右に同じ」
霊夢は台所へとたち、残りの2人は再びねっころがった。
霊夢が素麺を作っている間にも特にやることは無くぐだーっと寝っころがり、素麺が出来たら足を拭いてあがって食べて寝る。
と言うまさにぐーたらな生活を送っていた。
そしてあまりにも暇なのでアリスが勝手に人形を使って人形劇をやり始める。
それをなんとも無く見つめる2人。
「ああ。いとしいあのお方は何処へ・・・」
「なんだ、その人形劇」
「知らないわ。今考えたから」
「・・・」
2人は黙る。そう、分かったのだ。この暑さでアリスが壊れつつある ということを。
「ねぇ。チルノでも捕まえてこようかしら?」
「それ、名案だぜ」
魔理沙は気力の無い声でいい、気力の無い体制で親指を挙げグッ。と霊夢へ示した。
つまりはこういうことだろう。
熱いから霊夢が捕まえにいけ。
やる気がうせた。
「あらあら。ずいぶんな怠けっぷりね」
前にスキマを開きその中から出てくる影が1人。
八雲 紫。
境界を操る程度の能力を持つ。
「紫・・・。だってこんなに熱いのに何をしろと」
「仕事。」
「する気になれないからここでぐだーっとしてるんでしょうが」
紫も座ると麦茶を要求。
そこで隣になにやら人形劇を1人でして居るアリスを見つける。
その人形劇をじーっと見つめ、
「はぁ。くだらない」
そういうと麦茶を飲み干し一息つく。
しかしそれでもやることが無く、ただただ1人で人形劇をしているアリスへと目が動く。
「どうしたの?あなたが人形ばっかり見て。」
「いいえ?ただ見るものがそのつまらない人形劇ぐらいしかないから」
「つまらなくて結構。今は暇つぶしで行き当たりばったりでやってるんだから。それでもなにか?人形でもほしいの?」
「はっ。まさか。あなたみたいな下等生物の作った人形なんていらないわよ」
その言葉に3人の眉毛がピクリと動く。
「今、なんていった?」
アリスは紫に問う
「下等生物って言ったのよ。魔法使いといえど元は人間。下等生物って言って何が悪いの」
「・・・。表へ出なさい。」
紫はへぇ と言う顔をした。
所詮アリス程度の弾幕では倒されるわけ無い。と思ったのだろう。
スキマを開き外へと出る。
アリスもソレへと続き外へ出る。
相変わらず日光が厳しい。
「あなた、人形を侮辱した上に、魔法使いに向かって下等生物ですって?しかも元人間だから?」
アリスの顔は笑顔だったが引きつっていた。
「ええ。何か問題でも」
「待った。その言葉聞き捨てなら無いな」
魔理沙が乱入。
「まったくだわ。ちょっと度が過ぎてるんじゃないかしら。」
霊夢と魔理沙も神社から出てくる。
巫女は何時もの棒(先端に紙のついた、魔よけのアレ)を持ち、魔理沙は箒を。
「紫。覚悟しなさいよ。」
霊夢の一言により弾幕戦争が始まる。
しかもすでに勝負は見えている。
霊夢&魔理沙&アリスVS紫
3対1
「ちょ、ちょっと!3対1ってのは無いんじゃない!?」
紫は必死に反論するが
「あなたが魔法使いと人間を侮辱したのが悪い。少し私たちの怖さを知ってもらう必要があるわね」
霊夢が札を放ち、それを紫が打ち落とす。しかし打ち落とした先には星型の弾幕が迫る。
とてもじゃなく打ち落とせる数ではないので紫はスキマを開き、他の場所へと移動。
しかしソレすら読まれていた。
移動した先にアリスの人形があり、その弾幕をもろ受ける紫。
しかし、負けじと反撃。
「しょうがないわね・・・『符の参「八雲藍」』
スキマから藍が飛び出してくる。
「・・・紫様。これはどういうことで?」
藍は紫に対峙している3人の姿を見、紫に確認を取る。
「訳はどうでも「「「よくないっ!!」」」
さかさず補正が入る。
「藍。警告しておくわ。あなたのご主人様はねぇ、私たち人間と魔法使いのことを何て言ったと思う?」
「・・・。大体予想は付きました」
「ええ。その通り。上から目線の上、さらに下等生物だそうよ。」
3人の顔には怒りが満ち溢れていた。
それは今日のことだけではない。
その前からアリスは人形を馬鹿にされたり、魔法使いは変人ばかりと侮辱されたり散々な目にあっていた。
霊夢はその発言に少しならず友を侮辱されたことに怒りを覚え始めていた。
そして今日その怒りも限界点突破。
今の状況にあたる。
「紫様・・・。全面的にあなたが悪いではありませんか・・・」
「う、煩いわねっ!いいから貴方も手伝いなさい!」
紫は必死に藍に手伝いを求める。
が、
「すみません。私は少なからずとも紫様のその性格を直してほしいと思っておりました。なので私は貴方を手伝いません。その性格を直さない限り貴方の手伝いは決してしません」
「・・!!」
その言葉を聴き顔が歪む。
「いい気味ね。貴方の今まで取っていた行動が今帰ってきてるんだから」
「藍!これは命令よ!手伝いなさいっ!」
その瞬間藍の目から生気が失われる。
そう紫の式神、藍は主人の命令を絶対に破ることは出来ない。
なので無理やりにでも戦闘に参加させる事が出来る。
「紫・・・あなた・・・」
霊夢のこめかみには血管が浮き上がっていた。
そして何時もの笑顔も引きつっている。
「まさかそこまでやるとは思わなかったぜ。」
「まったくだわ」
3人は胸よりスペルカードを取り出す。
その行動に紫と藍は警戒態勢取る。
そこに霊夢は魔理沙とアリスにしか聞こえないように小さく言った。
(まずはあの藍を抑えましょう)
(そうだな(ね))
三人は同時に叫ぶ
「夢想封印!」
「スターダストレヴァリエ!!」
「アーティフルサクリファイス!」
魔理沙が箒で藍に突っ込む、と見せかけてその後ろに居た紫へと攻撃を仕掛ける。
2人は一直線に重なっていたため紫からは見えないのだ。
「なるほどね、考えたわね。でもその程度の攻撃は聞かないわよ?」
藍は横にサッとよけ、紫も避ける。
「いいのよそれで。夢想封印!」
霊夢の取り囲む無数の弾が藍へと向かう。
「!」
藍は一瞬驚くがあわてず後ろへと凄いスピードで回避しなおも追ってくる玉を木の陰に隠れ回避。
「藍そっちは駄目っ!!」
「チェックメイトね」
後ろからアリスの声が聞こえる。回避しようにもすでに遅い。
「くらえっ!!」
いくつもの人形が藍を取り囲み攻撃を始める。
刃物を取り出し逃げ場の無い攻撃を繰り出す。
「っ!!」
見る見るうちに服はぼろぼろになっていく。
「藍!」
「おっと。お前はここで足止めさせてもらうぜ。」
「魔理沙っ・・・!」
紫は隙間を使いアリスの後ろへと現れたがソレすら読まれていた。
「スターダストレヴァリエっ!」
出てきた所にちょうど箒で突っ込み距離をとらせる。
「アリスをやらせるわけには行かないんでね」
そして人形の攻撃が終わったころには藍はボロボロでその場に倒れこんだ
「霊夢!!」
アリスの呼びかけに頷く。
霊夢は針を投げる。お札つきの。
針が藍の体を囲むように突き刺さり結界を形成する。
「っつ!?う、動けない・・・」
藍をそのまま地面へと押し付ける。
3人の息はこれ異常ないくらいぴったりだった。
霊夢と魔理沙の死角をアリスがカバーしアリスを霊夢と魔理沙が守る。
簡単に言えば霊夢と魔理沙が前衛、アリスは後衛の関係である。
いくら幻想郷最強の大妖怪 と言えども、霊夢、魔理沙、アリスと3人で攻められれば不利なのは仕方ない。
霊夢が札を放ちその隙間を埋めるかのようなアリスの弾幕。そして後ろから襲い掛かる魔理沙のレーザー
勿論前から襲い掛かる星型の弾幕もある。
「そうねぇ。何時もなんかの実験台にされてるし実験台に仕返してみようかしら」
アリスはよく紫の組んだ式の実験台にされていた。なので実験台に仕返したらいいのかも とか思いそれを実行に移す。
何処に持っていたか分からないが上海たちより2回りほど大きい人形を紫の前へと投げる。
「何のつもり?」
「・・・・」
魔理沙と霊夢は黙って見つめる。
すると紫の前に投げられた人形が確かに立ち上がった。1人で。
「くだらない・・・」
そう言うと人形を蹴っ飛ばす。
しかしそこでニヤとアリスが笑った。
次の瞬間人形はプクーっと膨れ上がりパーン!と言う音とともに破裂。
中から小さい人形が飛び出した。
そして紫の周りへと飛び散る。
「ちょ、何よこれ!」
「ふふふ、トロイの木馬って知ってる?知ってるわよね。貴方はソレと大体同じ手に引っかかったのよ。大妖怪が聞いてあきれるわ」
食らいなさい
――パチン。
アリスが指を弾くとその人形は一斉に爆発し弾幕を放った。
この至近距離で弾幕を放たれようものなら回避できないが、紫はとっさに自分の真下にスキマをつくり下へと逃げた。
しかし何匹か服に張り付いていたためそれなりのダメージは受けていた。
「ふむ。少し爆発から散弾までの時間が大きいから改良の余地ありと。」
「なるほど。アリスらしい考え方だぜ」
「まったくだわ。紫の性格をよく知っているわねぇ」
「ちょっと、それ私がなんか卑怯みたいな言い方ねぇ。」
何とか回避したが紫はすでにボロボロ。
そして何より紫は怒っていた。
実験台にされ、コケにされた事、
その実験に見事にハマって霊夢と魔理沙の笑いものにされた事、怒りは最高潮に達していた。
「・・・。私をここまでコケにして・・・。許さないわよっ!!」
紫が弾幕を放ち霊夢たちを攻撃。
が。その弾幕は誰にもあたることは無い。
魔理沙とアリスは普通に回避しているものの霊夢にいたっては1歩も動いていない。
首などを曲げヒョイヒョイと回避するだけだった。
「止め行くぜ」
魔理沙はポケットから八卦炉を取り出すと高らかに叫んだ。
「マスタースパークッ!!!!」
圧倒的熱量、圧倒的エネルギーを誇る魔理沙の必殺技。
それをモロに紫は体で受ける。
「紫様!」
さすがの藍も叫び声を上げる。
すさまじい閃光の後には紫が寝そべっていた。
魔理沙なりの手加減だろう。
手加減されてても十分強力なのだが。
そして何とか体を持ち上げ、3人のほうを見る。
そして瞬きをする次の瞬間、霊夢が視界から消えた
「!?」
あたりを見回すが霊夢が見つからない。
「紫、貴方の負けよ。」
頭に血が上っているせいで、気が動転しているせいで後ろに居ることすら気がつかなかった。
こんな状況ではアリスにすら勝てるか分からない。
「な、なんでよっ!!なんで・・・」
「何で負けたか?そんなの簡単じゃない。貴方は1人だから。違う?」
1人と言う言葉が紫の胸に突き刺さる。
「っ!」
「貴女は1人、こっちは友達が2人。友達が居ない、援護してくれる人居ないやつに負けるはず無いじゃない
・・・。貴女は幽々子が友達とか言ってるわよね。でもそんな態度だと彼女から嫌われちゃうわよ?」
「嫌わ・・・れる。」
「ええ。だから貴女のその態度いい加減直しなさい。もっと素直になりなさいよ」
「素直・・・に。」
そういうと霊夢はきびすを返し紫を置いて神社の中へと戻っていく。
それにアリスと魔理沙も続く。
紫はしばらくそのまま座っていたが、藍が苦しそうな顔をしているのを見つけ、近くへとより針を抜く。
「紫様・・・」
「いいの。私が悪いのだもの」
そういうと紫はスキマを開いて家へと帰っていく。
それを追う藍。
「ちょっとやりすぎたかしら?」
アリスはぼやく。
「いやそんなこと無いと思うぜ。さすがにアレにはピキっと来た」
「ええ。足りないぐらいよ。」
2人は肯定し汚れ一つ付いていない服でお茶を飲み始める
ここにパチュリーなどが居たらロイヤルフレアなどで大変なことになっているだろう。
後はナイフで串刺し。
居なかっただけマシということである。
そして今日は4時あたりまで霊夢の神社で喋ったりお茶を飲んだりして過ごした。
魔理沙が帰り、アリスも帰ろうとしたが、霊夢に呼び止められる。
「先に帰るぜ」
と魔理沙は箒に乗り飛び去る
魔理沙が帰った博麗神社2人だけになる。
「んで?用件は?」
「ええとねぇ。今回だけど紫の発言にキレて紫をボコボコしたんだけど・・・」
またその話か・・・
アリスは紫を思い出すだけでも嫌だった。
散々侮辱されたり、初めてであったとき紫の美貌さ故、一瞬でも惚れてしまった事など。
思い出すだけでも虫唾が走る。
「多分だけど、紫は貴女と友達になりたかったんじゃない?」
「はぁ?なんで紫が私と。何時も悪口言って来て、それを見て楽しんでるようなやつがどうして」
「なんでかは知らないけど、戦っているとき少し悲しい表情が見えたわ。なんでこんな風になっちゃったんだろ・・・って感じのね」
アリスはハァとため息をつき
「何でこんな風って私たちのことを侮辱した紫のせいじゃない」
まぁそうなんだけどね、と一言返し、お茶をすする。
「でも、本当はあんなこと言う気なんてなかったんじゃない?」
「んな別けないでしょ。」
アリスは否定するも
「ま。そのうち真相は分かるわよ。」
そういうとアリスは自分の家へと向かい飛び立つ。
そして飛び立った先に魔理沙が見えた。
「魔理沙・・・」
「何はなしてたんだ?」
「紫のことよ。本当はあんなこと言う気無かったとか言ってきたわ。そんなわけ無いじゃない」
魔理沙は少し考え込み
「いや、私は霊夢の意見はもっともだと思うぜ。私も悲しそうな顔をしているのは気が付いたが、それは私に向けてでもなく霊夢に向けてでもなかった。多分お前だぜ」
「魔理沙まで・・・勘弁してよ。私はあいつのせいでどれだけ長い月日苦しい思いしてきたと思ってんのよ」
もっともである。
魔理沙は箒に乗りつつ考える。
「まぁ・・・。そうなんだけどさ・・・。あいつの気持ちも理解してやれよ」
下に霧雨邸が見えたのでお別れとなる。
「あいつの気持ちを理解って・・・なんで嫌いなやつのことを理解するのよ・・・」
適当にグチを飛ばしながら家へ帰ろうとするが、ある資料が無かったのを思い出し紅魔館の図書館へとより、家路へと付いた。
アリスはとりあえず今日暑かったので風呂へと入り汗を流す。
今日は馬鹿みたいに扱ったし弾幕合戦もしたので少し汗が多かった。
なのでとりあえず水を浴び、体を流す。
「あー・・・水が気持ちいいわ」
そうして念入りに汗を流し風呂から出て髪の毛を拭く。
髪の毛が痛まないように水を飛ばし、何時ものパジャマに着替える。
何時もだったら風呂に入るのは7時ごろなのだが今日は汗をかいたため特別だ。
まだ6時程度だったのでパチュリーより借りてきた本を読む。
人形に命令を下し紅茶を居れソレをすすりつつ・・・って。
「そうだ。アレ飲んでみようかしら」
今日、実は霊夢より帰り際に日本茶の茶葉を貰っていた。
霊夢いわく紅茶と同じ量を急須に入れ、お湯を注ぎ1分程度待つだけ、らしい。
人形への命令を撤回し、自分で台所へと立ちお湯を沸かしお茶を入れてみる。
すると紅茶とは違うなんとも和風の匂いが漂う。
急須からコップへと注ぎ一口飲んでみる。
「うーん・・・霊夢見たいに上手く入れられないけど・・・まぁまぁね」
でもそれほど悪くない。と思ったアリスである。
そして7時。
「そろそろ夕食かしら・・・」
魔法冷蔵庫の扉を空け中身を確認。
「あー・・・涼しい」
魔法なので小さいものしか作れなかったが涼しかった。
「さて・・・。何を作ろうか。」
冷蔵庫を見ると卵とライスが余っていて、さらにベーコンなどもある。
ということでオムライスを作ることにするアリス。
今日はあのスキマ妖怪に仕返しをしたので機嫌がいい。
フライパンを暖めオムライスを作る。
そして出来上がったオムライスをペロっと平らげると食器洗いをし、霊夢から貰ったお茶を入れ借りてきた本を読みにかかる。
「・・・と気が付けばこんな時間。」
何時もだったら10時には寝ているのに今日はすでに11時だ。
ランプを消しカーテンを閉めてベットへと入る。
「おやすみ」
上海達におやすみ と言ってそのまま眠りに入る。
窓は開けっ放しでも泥棒に入る人物が居ない。
・・・・。訂正魔理沙がいるか。
でも魔理沙は寝ているときに持っていくという行為は(多分)しないので安心して眠れる。
気が付いたらもうすでに夢の中だった。
それからと言うもの宴会にも神社にも紫の姿が無かった。
マヨヒガに住んでいると言うもののスキマの中にあるので場所すら分からない。
そんなある日の夕方、アリス邸。
まだまだ熱いが、夕日が沈みかけている頃。
アリス邸に来客者があった。
コンコン
「はい~?どなた?」
「藍です。八雲藍」
ドアを開けるとそこにはあの弾幕ごっこ以来の藍の姿が見えた。
「こんにちは。今大丈夫でしょうか?」
「・・・ええ。上がって」
「お邪魔します」
ちょっと待ってて と客間へと通し紅茶を持ってくる。
「ありがとうございます」
藍は紅茶をすする。
「んで?今日はどういう用件かしら?」
「あー・・・はい。」
「早く言いなさい」
藍の首にはいつの間にか人形を操るための魔法糸が結び付けられている。
「実は、紫様のことで・・・」
アリスは紫と言う言葉を聴いた瞬間顔を歪める。
「それで?紫がどうかしたのかしら?」
「えーっと、その、紫様がアリスさんに、悪いことをしてしまったので謝りたい・・・との事でして。」
「はぁ?あの紫が?」
「はい。」
アリスは信じられないという顔をし、藍の言葉に耳を傾ける。
紅茶を飲むことも忘れない。
「実は紫様はアリスさんのことを実に切実に思っております。なぜかというとですね「言わないでーっ!!」
何処からか声が聞こえる。
するとスキマが前に出来るとなかから紫が飛び出てきた。
「らららら、藍!お願いだからーっ!」
顔を見るとかなり真っ赤に火照っている。
「ちょっと黙っててください。」
藍は紫の口へと布を突っ込むとその上から更に布で縛った。
ほら。よく映画で人質とかの口をふさぐために布を巻くじゃないですか。その縛り方ですよ。
「アリスさん。紫様が動けないようにしてもらえますか」
「ええ。たっぷりと訳を聞かないとね?」
アリスは指を動かすと魔法糸、いや縄で紫の手足を縛り、大きなソファへと寝かせる。
そこでゆかりはんーんーと唸っている。
「それで?」
「はい。それで紫様はアリスさんのことを切実に思っております。それゆえ、気を引こうとしてしまうんですよ」
「・・・は?」
んーんーっ!!
言わないでー とか言っているのだろうか?とりあえず唸っていて、顔から火が出そうなほど真っ赤だった。
「ほら。よく子供がとかが気になる人にちょっかい出して気にしてもらおうとしたりするじゃないですか。」
「ああ、あの子供がよくやるあれねぇ・・・」
アリスはふーんと言う目で横で唸って真っ赤になっている紫を見る。
「それで紫様曰く、アリスさんは神社で魔理沙さんとか霊夢さんと仲良くしてるじゃないですか。
それで仲良くしているのを見るとついつい自分のほうを見てほしくてちょっかいを出してしまう・・・」
「・・・。それって、私が言うのもなんだけど嫉妬?」
「そういうことになりますね。つまり・・・」
んーんー と言う声が大きくなる。
顔もいっそう赤みが増している。
「紫様はアリスさんのことが大好きなんですよ」
この言葉を聴いた瞬間紫は耳まで真っ赤になり唸るのをやめた。
「・・・ハ、ハハ。そ、そんなわけが・・・」
しかし目を合わせようとしてくれない紫を見て、
「・・・。本当なの?」
その言葉に紫はゆっくりと、だけど確かに頷く。
「・・・。」
沈黙が流れる。
「はぁ。」
そのため息に2人の顔が曇る。
アリスは立ち上がり紫の口の口に巻いていた布を取る。
そして縄を解き紫に手を差し伸べ起こす。
「まったく。そんな顔で告白なんてされたら はい としか答えられないじゃない。」
「え・・・?」
アリスはにっこり笑う。
「まぁ、今まで受けた苦痛とかは清算してもらうけど?」
「う、う・・・ご、ごめんなさい・・・」
紫は深く頭を下げた。
「アリスさん。私からも誤るので紫様を許してあげてください。すみませんでした」
2人に誤られ戸惑う。
「ちょ、ちょっと2人とも顔上げて!」
2人は顔を上げる。紫の顔は真っ赤。
「わかったから!取り合えず紫、顔を拭きなさい。綺麗な顔が台無しよ。」
上海がタオルを持ってきてそれを紫へと渡す。
「あ、ありがとう・・・」
紫はタオルを受け取り涙でくしゃくしゃになった顔を拭く。
「まったく。友達になりたいならなりたい、と言えばよかったのに・・・」
「あ・・・う・・・。」
さかさず藍がアシスト。
「ほ、ほら!今まで紫様はアリスさんたちにちょっかい出していたから恥ずかしかったんですよ!」
「ま。それもそうよね。じゃあ、今日から私達は友達よ。いいわね?」
その言葉に紫の顔が明るくなる。
「あ、ああ、ありがとうっ!!」
紫はアリスに抱きつきそのまま涙を流す。
アリスはそれを受け止めゆっくりと髪の毛を撫でてやる。
(よかったですね。紫様・・・大好きなアリスと友達になれて)
「これからいつでもいらっしゃい。歓迎するわ。まぁいつでもって言っても限度があるからね?」
「うんうん!ありがとう・・・!」
「さて。貴女たちこれからどうする?夕食ぐらい食べていくでしょう?」
「え・・・いいの?」
アリスはため息をつき、別にいいわよ。と一言。
アリスは台所へと向かう。
「藍ーあなたも手伝いなさい。私は料理できないから配膳でもやっておくわ」
「はい。」
藍はアリスを追い、台所へと入る。
~台所~
「・・・。ありがとうございます」
アリスはへ?と言う顔で藍を見る。
「あ、いえ。実は紫様はずいぶん昔から貴女のことを気に留めていて、喧嘩する度に家であんなつもりじゃなかったのに・・・とか、私は何てことを・・・と自分を責めていました
紫様と友達になっていただいたのでこれからはお邪魔することが多くなると思いますがよろしくお願いしますね」
ふふとアリスは笑うと
「ええ。お友達ですもんね。今日はうんと豪華な食事を作りましょう」
「はい!」
テキパキと食事の準備を進める。
たまに藍が悲鳴を上げたりする。
その内容とは尻尾が焦げた。という物である。
そのこげたとき私と紫はお腹を抱えて大笑いした。
涙が出るほど間抜けな姿だったからである。
「ゆ、紫様ぁ~・・・あ、アリスさんまで・・・」
まぁ結果的には簡単に直ったのだが、それでも笑いが少しの間、絶えなかった。
「さ。完成。」
テーブルの上にはものすごく豪華な食事が大量にあった。
こんなのを魔理沙に見られたら多分殆ど持っていかれるだろう。
「あー。アリスー、橙もいいかしら?置いてきちゃったから多分家で待ってると思うのよねぇ。」
「あらあら。もっと早く呼んで上げなさいよ」
紫はスキマへと顔を突っ込み、
「橙ーこっちへいらっしゃーい。アリスの家で食事よー」
結局、橙も呼び4人での食事となった。
結局その日はなぜか紫たちは帰らずアリス邸にお泊り。
一応客室はあったので藍と橙に一緒に寝てもらい、アリスと紫は同じ部屋、同じベットで寝た。
紫が寝てから
「ありがとうアリス」
と寝言で言っていたのはアリスだけの秘密である。
次の日、4人で朝食を取ると博麗神社へと出かける。
紫はスキマを使おうとするがそれをアリスが制止。
「スキマばっかに頼ってないでたまには歩いていくのもいいわよ」
ということで4人は歩いていくことにする。
橙は途中で蝶々を追ったり、藍に飛びついたりする。
「ねぇアリスーあっち行ってみない?」
紫が指した方向は小高い丘だった。
神社とはさして方向が違わないのでそっちへ行くことにする。
勿論歩いて。
現在10時ほど。
そしてその小高い丘の上へと上ると魔法の森から博麗神社まで一望できた。
何時も空を飛べば見れるのだが、地面から見る幻想郷もまた一驚である。
飛んでいる彼女らにとってこういうところは見逃していることが多いのだ。
そして陸の頂上にあった木へと3人で座る。
そこはとても風が気持ちがいい。
橙は相変わらず蝶々を追いかけ、紫は急にアリスへと寄りかかる。
そう、寝てしまったのだ。
まぁ隣に信頼できる、又は好きな人が居ると眠くなる気持ちも分からないことは無い。
「藍様・・・眠くなってきた」
「いいのだぞ寝ても。私が見ててやる」
そういうと藍の膝で眠り始めた。
「藍。紫どうしましょう」
「・・・。私には橙が居ますのでアリスさんが」
ハァとため息をつく。
最近ため息が多いな とアリスも思っていた。
しょうがないので紫をアリスが、橙を藍がおぶり、博麗神社へと飛び立った。
さすがに歩いては足が持たないのである。
そのままゆっくりと飛行を続ける。決して紫を起こさないように。
~博麗神社~
すでに先客の魔理沙が居る。
しかしアリスの姿を見て正直驚いた。
後ろに紫をおぶっているのだから。
「ア、アリス。後ろのお方は・・・?」
魔理沙が質問。
「見て分からない?紫よ。さっき丘に行ったら寝ちゃってねぇ。しょうがなくおぶってきた。」
その寝顔を見て、霊夢は一発で判断した。
「ほら見なさい。私の言った通りじゃない」
「まったくよ・・・。貴女の勘も捨てたものじゃないわね」
「勘じゃない!!」
霊夢は否定。
「しかし・・・橙はよしとして、ずいぶんと大きなお子様ね」
霊夢がため息をつくが、アリスはそれを決して嫌がっていない。
「まったくよ。これが大妖怪には見えないわ」
アリスと藍は背負っていた物を神社の中へと寝かし、毛布をかける。
そしてその横に座り霊夢からお茶を受け取る。
「ん・・・うぅん・・・アリス・・・」
「・・・」
また寝言か。
「よっぽど好かれてるのね」
霊夢はため息を通り越して飽きれた。
いつの間にか紫の頭はアリスの膝の上だった。
アリスが乗せたわけではなく紫が無意識に行ったのだろう。
「アリス・・・大好き・・・」
この言葉に全員が苦笑した。
「どれだけ好かれてるのよ」
「これは好かれているを通り越してるぜ」
「ま、別に悪い気はしないし」
「アリスさん紫様をお願いします。」
「よろしく・・・」
最後に紫が寝言とは思えないタイミングで発言し皆を笑わせた。
アリスと紫がずっと幸せであらんことを切に願う―――。
「アリスー遊びにきたわよぅー」
「貴女最近殆ど毎日じゃない」
「いいじゃない。この時間が楽しみでたまらないんだから」
「毎日すみません・・・」
余談、今後紫とアリスを見ていたレミリアもアリスと仲良くなったとか。 一体なんだったんだろう?
「熱いわ・・・」
「熱いぜ・・・」
それは8月中旬、真夏の博麗神社での出来事。
あまりにも熱く霊夢、魔理沙、アリスは神社の中でグダーっしていた。
これだけ熱ければ何もする気にはなれない。
アリスも自分の家で人形を作ってもいいのだが、これだけ熱いと人形の質に異常が出るし、さらに実験室がなんと42度と言う風呂並みの暑さのため断念し、魔理沙と博麗神社を訪れたのである。
「上海~・・・。水替えてきて頂戴ー・・・」
3人はバケツ、桶に水を張り、そこに足を突っ込み暑さをしのいでいた。
上海と蓬莱その他人形は連携しバケツを運び神社の裏へと、水を汲みに行った。
「アリスだけずるいぜ。」
「まったくだわ・・・」
ぐちをこぼしつつも上海の帰りを待つ。
霊夢と魔理沙のはさっき変えたばかりだというのにすでに温くなっていた。
「「「あ~づ~いい~~~」」」
3人そろって同じ言葉を発した。
上海たちが戻ってきて、バケツをアリスの足元へとおく。
「ありがとう。おいで・・・」
そういうと上海たちは喜んでアリスの胸へと飛び込み、それをアリスはよしよし と撫でる。
アリスの人形たちへの愛は人一倍強く、人形を壊されたり、貶したりするとかなり怖い。
ちなみに弾幕戦になって、相手が無傷だったことは一度も無いらしい。勝ち負けはどうかはしらないけど。
霊夢は麦茶をコップへとつぎ、3人へと配る。
「さんきゅ」
「ありがと」
「なぁ霊夢。」
「何」
「腹減った。」
「アーアーキコエナーイ」
「腹減った腹減った腹減った腹減った!!!」
何だこいつは。
アリスと霊夢は同時に突っ込みを入れざるを得なかった。
「はいはい。もう素麺でいいわよね?」
「食べれるなら何でも。」
「右に同じ」
霊夢は台所へとたち、残りの2人は再びねっころがった。
霊夢が素麺を作っている間にも特にやることは無くぐだーっと寝っころがり、素麺が出来たら足を拭いてあがって食べて寝る。
と言うまさにぐーたらな生活を送っていた。
そしてあまりにも暇なのでアリスが勝手に人形を使って人形劇をやり始める。
それをなんとも無く見つめる2人。
「ああ。いとしいあのお方は何処へ・・・」
「なんだ、その人形劇」
「知らないわ。今考えたから」
「・・・」
2人は黙る。そう、分かったのだ。この暑さでアリスが壊れつつある ということを。
「ねぇ。チルノでも捕まえてこようかしら?」
「それ、名案だぜ」
魔理沙は気力の無い声でいい、気力の無い体制で親指を挙げグッ。と霊夢へ示した。
つまりはこういうことだろう。
熱いから霊夢が捕まえにいけ。
やる気がうせた。
「あらあら。ずいぶんな怠けっぷりね」
前にスキマを開きその中から出てくる影が1人。
八雲 紫。
境界を操る程度の能力を持つ。
「紫・・・。だってこんなに熱いのに何をしろと」
「仕事。」
「する気になれないからここでぐだーっとしてるんでしょうが」
紫も座ると麦茶を要求。
そこで隣になにやら人形劇を1人でして居るアリスを見つける。
その人形劇をじーっと見つめ、
「はぁ。くだらない」
そういうと麦茶を飲み干し一息つく。
しかしそれでもやることが無く、ただただ1人で人形劇をしているアリスへと目が動く。
「どうしたの?あなたが人形ばっかり見て。」
「いいえ?ただ見るものがそのつまらない人形劇ぐらいしかないから」
「つまらなくて結構。今は暇つぶしで行き当たりばったりでやってるんだから。それでもなにか?人形でもほしいの?」
「はっ。まさか。あなたみたいな下等生物の作った人形なんていらないわよ」
その言葉に3人の眉毛がピクリと動く。
「今、なんていった?」
アリスは紫に問う
「下等生物って言ったのよ。魔法使いといえど元は人間。下等生物って言って何が悪いの」
「・・・。表へ出なさい。」
紫はへぇ と言う顔をした。
所詮アリス程度の弾幕では倒されるわけ無い。と思ったのだろう。
スキマを開き外へと出る。
アリスもソレへと続き外へ出る。
相変わらず日光が厳しい。
「あなた、人形を侮辱した上に、魔法使いに向かって下等生物ですって?しかも元人間だから?」
アリスの顔は笑顔だったが引きつっていた。
「ええ。何か問題でも」
「待った。その言葉聞き捨てなら無いな」
魔理沙が乱入。
「まったくだわ。ちょっと度が過ぎてるんじゃないかしら。」
霊夢と魔理沙も神社から出てくる。
巫女は何時もの棒(先端に紙のついた、魔よけのアレ)を持ち、魔理沙は箒を。
「紫。覚悟しなさいよ。」
霊夢の一言により弾幕戦争が始まる。
しかもすでに勝負は見えている。
霊夢&魔理沙&アリスVS紫
3対1
「ちょ、ちょっと!3対1ってのは無いんじゃない!?」
紫は必死に反論するが
「あなたが魔法使いと人間を侮辱したのが悪い。少し私たちの怖さを知ってもらう必要があるわね」
霊夢が札を放ち、それを紫が打ち落とす。しかし打ち落とした先には星型の弾幕が迫る。
とてもじゃなく打ち落とせる数ではないので紫はスキマを開き、他の場所へと移動。
しかしソレすら読まれていた。
移動した先にアリスの人形があり、その弾幕をもろ受ける紫。
しかし、負けじと反撃。
「しょうがないわね・・・『符の参「八雲藍」』
スキマから藍が飛び出してくる。
「・・・紫様。これはどういうことで?」
藍は紫に対峙している3人の姿を見、紫に確認を取る。
「訳はどうでも「「「よくないっ!!」」」
さかさず補正が入る。
「藍。警告しておくわ。あなたのご主人様はねぇ、私たち人間と魔法使いのことを何て言ったと思う?」
「・・・。大体予想は付きました」
「ええ。その通り。上から目線の上、さらに下等生物だそうよ。」
3人の顔には怒りが満ち溢れていた。
それは今日のことだけではない。
その前からアリスは人形を馬鹿にされたり、魔法使いは変人ばかりと侮辱されたり散々な目にあっていた。
霊夢はその発言に少しならず友を侮辱されたことに怒りを覚え始めていた。
そして今日その怒りも限界点突破。
今の状況にあたる。
「紫様・・・。全面的にあなたが悪いではありませんか・・・」
「う、煩いわねっ!いいから貴方も手伝いなさい!」
紫は必死に藍に手伝いを求める。
が、
「すみません。私は少なからずとも紫様のその性格を直してほしいと思っておりました。なので私は貴方を手伝いません。その性格を直さない限り貴方の手伝いは決してしません」
「・・!!」
その言葉を聴き顔が歪む。
「いい気味ね。貴方の今まで取っていた行動が今帰ってきてるんだから」
「藍!これは命令よ!手伝いなさいっ!」
その瞬間藍の目から生気が失われる。
そう紫の式神、藍は主人の命令を絶対に破ることは出来ない。
なので無理やりにでも戦闘に参加させる事が出来る。
「紫・・・あなた・・・」
霊夢のこめかみには血管が浮き上がっていた。
そして何時もの笑顔も引きつっている。
「まさかそこまでやるとは思わなかったぜ。」
「まったくだわ」
3人は胸よりスペルカードを取り出す。
その行動に紫と藍は警戒態勢取る。
そこに霊夢は魔理沙とアリスにしか聞こえないように小さく言った。
(まずはあの藍を抑えましょう)
(そうだな(ね))
三人は同時に叫ぶ
「夢想封印!」
「スターダストレヴァリエ!!」
「アーティフルサクリファイス!」
魔理沙が箒で藍に突っ込む、と見せかけてその後ろに居た紫へと攻撃を仕掛ける。
2人は一直線に重なっていたため紫からは見えないのだ。
「なるほどね、考えたわね。でもその程度の攻撃は聞かないわよ?」
藍は横にサッとよけ、紫も避ける。
「いいのよそれで。夢想封印!」
霊夢の取り囲む無数の弾が藍へと向かう。
「!」
藍は一瞬驚くがあわてず後ろへと凄いスピードで回避しなおも追ってくる玉を木の陰に隠れ回避。
「藍そっちは駄目っ!!」
「チェックメイトね」
後ろからアリスの声が聞こえる。回避しようにもすでに遅い。
「くらえっ!!」
いくつもの人形が藍を取り囲み攻撃を始める。
刃物を取り出し逃げ場の無い攻撃を繰り出す。
「っ!!」
見る見るうちに服はぼろぼろになっていく。
「藍!」
「おっと。お前はここで足止めさせてもらうぜ。」
「魔理沙っ・・・!」
紫は隙間を使いアリスの後ろへと現れたがソレすら読まれていた。
「スターダストレヴァリエっ!」
出てきた所にちょうど箒で突っ込み距離をとらせる。
「アリスをやらせるわけには行かないんでね」
そして人形の攻撃が終わったころには藍はボロボロでその場に倒れこんだ
「霊夢!!」
アリスの呼びかけに頷く。
霊夢は針を投げる。お札つきの。
針が藍の体を囲むように突き刺さり結界を形成する。
「っつ!?う、動けない・・・」
藍をそのまま地面へと押し付ける。
3人の息はこれ異常ないくらいぴったりだった。
霊夢と魔理沙の死角をアリスがカバーしアリスを霊夢と魔理沙が守る。
簡単に言えば霊夢と魔理沙が前衛、アリスは後衛の関係である。
いくら幻想郷最強の大妖怪 と言えども、霊夢、魔理沙、アリスと3人で攻められれば不利なのは仕方ない。
霊夢が札を放ちその隙間を埋めるかのようなアリスの弾幕。そして後ろから襲い掛かる魔理沙のレーザー
勿論前から襲い掛かる星型の弾幕もある。
「そうねぇ。何時もなんかの実験台にされてるし実験台に仕返してみようかしら」
アリスはよく紫の組んだ式の実験台にされていた。なので実験台に仕返したらいいのかも とか思いそれを実行に移す。
何処に持っていたか分からないが上海たちより2回りほど大きい人形を紫の前へと投げる。
「何のつもり?」
「・・・・」
魔理沙と霊夢は黙って見つめる。
すると紫の前に投げられた人形が確かに立ち上がった。1人で。
「くだらない・・・」
そう言うと人形を蹴っ飛ばす。
しかしそこでニヤとアリスが笑った。
次の瞬間人形はプクーっと膨れ上がりパーン!と言う音とともに破裂。
中から小さい人形が飛び出した。
そして紫の周りへと飛び散る。
「ちょ、何よこれ!」
「ふふふ、トロイの木馬って知ってる?知ってるわよね。貴方はソレと大体同じ手に引っかかったのよ。大妖怪が聞いてあきれるわ」
食らいなさい
――パチン。
アリスが指を弾くとその人形は一斉に爆発し弾幕を放った。
この至近距離で弾幕を放たれようものなら回避できないが、紫はとっさに自分の真下にスキマをつくり下へと逃げた。
しかし何匹か服に張り付いていたためそれなりのダメージは受けていた。
「ふむ。少し爆発から散弾までの時間が大きいから改良の余地ありと。」
「なるほど。アリスらしい考え方だぜ」
「まったくだわ。紫の性格をよく知っているわねぇ」
「ちょっと、それ私がなんか卑怯みたいな言い方ねぇ。」
何とか回避したが紫はすでにボロボロ。
そして何より紫は怒っていた。
実験台にされ、コケにされた事、
その実験に見事にハマって霊夢と魔理沙の笑いものにされた事、怒りは最高潮に達していた。
「・・・。私をここまでコケにして・・・。許さないわよっ!!」
紫が弾幕を放ち霊夢たちを攻撃。
が。その弾幕は誰にもあたることは無い。
魔理沙とアリスは普通に回避しているものの霊夢にいたっては1歩も動いていない。
首などを曲げヒョイヒョイと回避するだけだった。
「止め行くぜ」
魔理沙はポケットから八卦炉を取り出すと高らかに叫んだ。
「マスタースパークッ!!!!」
圧倒的熱量、圧倒的エネルギーを誇る魔理沙の必殺技。
それをモロに紫は体で受ける。
「紫様!」
さすがの藍も叫び声を上げる。
すさまじい閃光の後には紫が寝そべっていた。
魔理沙なりの手加減だろう。
手加減されてても十分強力なのだが。
そして何とか体を持ち上げ、3人のほうを見る。
そして瞬きをする次の瞬間、霊夢が視界から消えた
「!?」
あたりを見回すが霊夢が見つからない。
「紫、貴方の負けよ。」
頭に血が上っているせいで、気が動転しているせいで後ろに居ることすら気がつかなかった。
こんな状況ではアリスにすら勝てるか分からない。
「な、なんでよっ!!なんで・・・」
「何で負けたか?そんなの簡単じゃない。貴方は1人だから。違う?」
1人と言う言葉が紫の胸に突き刺さる。
「っ!」
「貴女は1人、こっちは友達が2人。友達が居ない、援護してくれる人居ないやつに負けるはず無いじゃない
・・・。貴女は幽々子が友達とか言ってるわよね。でもそんな態度だと彼女から嫌われちゃうわよ?」
「嫌わ・・・れる。」
「ええ。だから貴女のその態度いい加減直しなさい。もっと素直になりなさいよ」
「素直・・・に。」
そういうと霊夢はきびすを返し紫を置いて神社の中へと戻っていく。
それにアリスと魔理沙も続く。
紫はしばらくそのまま座っていたが、藍が苦しそうな顔をしているのを見つけ、近くへとより針を抜く。
「紫様・・・」
「いいの。私が悪いのだもの」
そういうと紫はスキマを開いて家へと帰っていく。
それを追う藍。
「ちょっとやりすぎたかしら?」
アリスはぼやく。
「いやそんなこと無いと思うぜ。さすがにアレにはピキっと来た」
「ええ。足りないぐらいよ。」
2人は肯定し汚れ一つ付いていない服でお茶を飲み始める
ここにパチュリーなどが居たらロイヤルフレアなどで大変なことになっているだろう。
後はナイフで串刺し。
居なかっただけマシということである。
そして今日は4時あたりまで霊夢の神社で喋ったりお茶を飲んだりして過ごした。
魔理沙が帰り、アリスも帰ろうとしたが、霊夢に呼び止められる。
「先に帰るぜ」
と魔理沙は箒に乗り飛び去る
魔理沙が帰った博麗神社2人だけになる。
「んで?用件は?」
「ええとねぇ。今回だけど紫の発言にキレて紫をボコボコしたんだけど・・・」
またその話か・・・
アリスは紫を思い出すだけでも嫌だった。
散々侮辱されたり、初めてであったとき紫の美貌さ故、一瞬でも惚れてしまった事など。
思い出すだけでも虫唾が走る。
「多分だけど、紫は貴女と友達になりたかったんじゃない?」
「はぁ?なんで紫が私と。何時も悪口言って来て、それを見て楽しんでるようなやつがどうして」
「なんでかは知らないけど、戦っているとき少し悲しい表情が見えたわ。なんでこんな風になっちゃったんだろ・・・って感じのね」
アリスはハァとため息をつき
「何でこんな風って私たちのことを侮辱した紫のせいじゃない」
まぁそうなんだけどね、と一言返し、お茶をすする。
「でも、本当はあんなこと言う気なんてなかったんじゃない?」
「んな別けないでしょ。」
アリスは否定するも
「ま。そのうち真相は分かるわよ。」
そういうとアリスは自分の家へと向かい飛び立つ。
そして飛び立った先に魔理沙が見えた。
「魔理沙・・・」
「何はなしてたんだ?」
「紫のことよ。本当はあんなこと言う気無かったとか言ってきたわ。そんなわけ無いじゃない」
魔理沙は少し考え込み
「いや、私は霊夢の意見はもっともだと思うぜ。私も悲しそうな顔をしているのは気が付いたが、それは私に向けてでもなく霊夢に向けてでもなかった。多分お前だぜ」
「魔理沙まで・・・勘弁してよ。私はあいつのせいでどれだけ長い月日苦しい思いしてきたと思ってんのよ」
もっともである。
魔理沙は箒に乗りつつ考える。
「まぁ・・・。そうなんだけどさ・・・。あいつの気持ちも理解してやれよ」
下に霧雨邸が見えたのでお別れとなる。
「あいつの気持ちを理解って・・・なんで嫌いなやつのことを理解するのよ・・・」
適当にグチを飛ばしながら家へ帰ろうとするが、ある資料が無かったのを思い出し紅魔館の図書館へとより、家路へと付いた。
アリスはとりあえず今日暑かったので風呂へと入り汗を流す。
今日は馬鹿みたいに扱ったし弾幕合戦もしたので少し汗が多かった。
なのでとりあえず水を浴び、体を流す。
「あー・・・水が気持ちいいわ」
そうして念入りに汗を流し風呂から出て髪の毛を拭く。
髪の毛が痛まないように水を飛ばし、何時ものパジャマに着替える。
何時もだったら風呂に入るのは7時ごろなのだが今日は汗をかいたため特別だ。
まだ6時程度だったのでパチュリーより借りてきた本を読む。
人形に命令を下し紅茶を居れソレをすすりつつ・・・って。
「そうだ。アレ飲んでみようかしら」
今日、実は霊夢より帰り際に日本茶の茶葉を貰っていた。
霊夢いわく紅茶と同じ量を急須に入れ、お湯を注ぎ1分程度待つだけ、らしい。
人形への命令を撤回し、自分で台所へと立ちお湯を沸かしお茶を入れてみる。
すると紅茶とは違うなんとも和風の匂いが漂う。
急須からコップへと注ぎ一口飲んでみる。
「うーん・・・霊夢見たいに上手く入れられないけど・・・まぁまぁね」
でもそれほど悪くない。と思ったアリスである。
そして7時。
「そろそろ夕食かしら・・・」
魔法冷蔵庫の扉を空け中身を確認。
「あー・・・涼しい」
魔法なので小さいものしか作れなかったが涼しかった。
「さて・・・。何を作ろうか。」
冷蔵庫を見ると卵とライスが余っていて、さらにベーコンなどもある。
ということでオムライスを作ることにするアリス。
今日はあのスキマ妖怪に仕返しをしたので機嫌がいい。
フライパンを暖めオムライスを作る。
そして出来上がったオムライスをペロっと平らげると食器洗いをし、霊夢から貰ったお茶を入れ借りてきた本を読みにかかる。
「・・・と気が付けばこんな時間。」
何時もだったら10時には寝ているのに今日はすでに11時だ。
ランプを消しカーテンを閉めてベットへと入る。
「おやすみ」
上海達におやすみ と言ってそのまま眠りに入る。
窓は開けっ放しでも泥棒に入る人物が居ない。
・・・・。訂正魔理沙がいるか。
でも魔理沙は寝ているときに持っていくという行為は(多分)しないので安心して眠れる。
気が付いたらもうすでに夢の中だった。
それからと言うもの宴会にも神社にも紫の姿が無かった。
マヨヒガに住んでいると言うもののスキマの中にあるので場所すら分からない。
そんなある日の夕方、アリス邸。
まだまだ熱いが、夕日が沈みかけている頃。
アリス邸に来客者があった。
コンコン
「はい~?どなた?」
「藍です。八雲藍」
ドアを開けるとそこにはあの弾幕ごっこ以来の藍の姿が見えた。
「こんにちは。今大丈夫でしょうか?」
「・・・ええ。上がって」
「お邪魔します」
ちょっと待ってて と客間へと通し紅茶を持ってくる。
「ありがとうございます」
藍は紅茶をすする。
「んで?今日はどういう用件かしら?」
「あー・・・はい。」
「早く言いなさい」
藍の首にはいつの間にか人形を操るための魔法糸が結び付けられている。
「実は、紫様のことで・・・」
アリスは紫と言う言葉を聴いた瞬間顔を歪める。
「それで?紫がどうかしたのかしら?」
「えーっと、その、紫様がアリスさんに、悪いことをしてしまったので謝りたい・・・との事でして。」
「はぁ?あの紫が?」
「はい。」
アリスは信じられないという顔をし、藍の言葉に耳を傾ける。
紅茶を飲むことも忘れない。
「実は紫様はアリスさんのことを実に切実に思っております。なぜかというとですね「言わないでーっ!!」
何処からか声が聞こえる。
するとスキマが前に出来るとなかから紫が飛び出てきた。
「らららら、藍!お願いだからーっ!」
顔を見るとかなり真っ赤に火照っている。
「ちょっと黙っててください。」
藍は紫の口へと布を突っ込むとその上から更に布で縛った。
ほら。よく映画で人質とかの口をふさぐために布を巻くじゃないですか。その縛り方ですよ。
「アリスさん。紫様が動けないようにしてもらえますか」
「ええ。たっぷりと訳を聞かないとね?」
アリスは指を動かすと魔法糸、いや縄で紫の手足を縛り、大きなソファへと寝かせる。
そこでゆかりはんーんーと唸っている。
「それで?」
「はい。それで紫様はアリスさんのことを切実に思っております。それゆえ、気を引こうとしてしまうんですよ」
「・・・は?」
んーんーっ!!
言わないでー とか言っているのだろうか?とりあえず唸っていて、顔から火が出そうなほど真っ赤だった。
「ほら。よく子供がとかが気になる人にちょっかい出して気にしてもらおうとしたりするじゃないですか。」
「ああ、あの子供がよくやるあれねぇ・・・」
アリスはふーんと言う目で横で唸って真っ赤になっている紫を見る。
「それで紫様曰く、アリスさんは神社で魔理沙さんとか霊夢さんと仲良くしてるじゃないですか。
それで仲良くしているのを見るとついつい自分のほうを見てほしくてちょっかいを出してしまう・・・」
「・・・。それって、私が言うのもなんだけど嫉妬?」
「そういうことになりますね。つまり・・・」
んーんー と言う声が大きくなる。
顔もいっそう赤みが増している。
「紫様はアリスさんのことが大好きなんですよ」
この言葉を聴いた瞬間紫は耳まで真っ赤になり唸るのをやめた。
「・・・ハ、ハハ。そ、そんなわけが・・・」
しかし目を合わせようとしてくれない紫を見て、
「・・・。本当なの?」
その言葉に紫はゆっくりと、だけど確かに頷く。
「・・・。」
沈黙が流れる。
「はぁ。」
そのため息に2人の顔が曇る。
アリスは立ち上がり紫の口の口に巻いていた布を取る。
そして縄を解き紫に手を差し伸べ起こす。
「まったく。そんな顔で告白なんてされたら はい としか答えられないじゃない。」
「え・・・?」
アリスはにっこり笑う。
「まぁ、今まで受けた苦痛とかは清算してもらうけど?」
「う、う・・・ご、ごめんなさい・・・」
紫は深く頭を下げた。
「アリスさん。私からも誤るので紫様を許してあげてください。すみませんでした」
2人に誤られ戸惑う。
「ちょ、ちょっと2人とも顔上げて!」
2人は顔を上げる。紫の顔は真っ赤。
「わかったから!取り合えず紫、顔を拭きなさい。綺麗な顔が台無しよ。」
上海がタオルを持ってきてそれを紫へと渡す。
「あ、ありがとう・・・」
紫はタオルを受け取り涙でくしゃくしゃになった顔を拭く。
「まったく。友達になりたいならなりたい、と言えばよかったのに・・・」
「あ・・・う・・・。」
さかさず藍がアシスト。
「ほ、ほら!今まで紫様はアリスさんたちにちょっかい出していたから恥ずかしかったんですよ!」
「ま。それもそうよね。じゃあ、今日から私達は友達よ。いいわね?」
その言葉に紫の顔が明るくなる。
「あ、ああ、ありがとうっ!!」
紫はアリスに抱きつきそのまま涙を流す。
アリスはそれを受け止めゆっくりと髪の毛を撫でてやる。
(よかったですね。紫様・・・大好きなアリスと友達になれて)
「これからいつでもいらっしゃい。歓迎するわ。まぁいつでもって言っても限度があるからね?」
「うんうん!ありがとう・・・!」
「さて。貴女たちこれからどうする?夕食ぐらい食べていくでしょう?」
「え・・・いいの?」
アリスはため息をつき、別にいいわよ。と一言。
アリスは台所へと向かう。
「藍ーあなたも手伝いなさい。私は料理できないから配膳でもやっておくわ」
「はい。」
藍はアリスを追い、台所へと入る。
~台所~
「・・・。ありがとうございます」
アリスはへ?と言う顔で藍を見る。
「あ、いえ。実は紫様はずいぶん昔から貴女のことを気に留めていて、喧嘩する度に家であんなつもりじゃなかったのに・・・とか、私は何てことを・・・と自分を責めていました
紫様と友達になっていただいたのでこれからはお邪魔することが多くなると思いますがよろしくお願いしますね」
ふふとアリスは笑うと
「ええ。お友達ですもんね。今日はうんと豪華な食事を作りましょう」
「はい!」
テキパキと食事の準備を進める。
たまに藍が悲鳴を上げたりする。
その内容とは尻尾が焦げた。という物である。
そのこげたとき私と紫はお腹を抱えて大笑いした。
涙が出るほど間抜けな姿だったからである。
「ゆ、紫様ぁ~・・・あ、アリスさんまで・・・」
まぁ結果的には簡単に直ったのだが、それでも笑いが少しの間、絶えなかった。
「さ。完成。」
テーブルの上にはものすごく豪華な食事が大量にあった。
こんなのを魔理沙に見られたら多分殆ど持っていかれるだろう。
「あー。アリスー、橙もいいかしら?置いてきちゃったから多分家で待ってると思うのよねぇ。」
「あらあら。もっと早く呼んで上げなさいよ」
紫はスキマへと顔を突っ込み、
「橙ーこっちへいらっしゃーい。アリスの家で食事よー」
結局、橙も呼び4人での食事となった。
結局その日はなぜか紫たちは帰らずアリス邸にお泊り。
一応客室はあったので藍と橙に一緒に寝てもらい、アリスと紫は同じ部屋、同じベットで寝た。
紫が寝てから
「ありがとうアリス」
と寝言で言っていたのはアリスだけの秘密である。
次の日、4人で朝食を取ると博麗神社へと出かける。
紫はスキマを使おうとするがそれをアリスが制止。
「スキマばっかに頼ってないでたまには歩いていくのもいいわよ」
ということで4人は歩いていくことにする。
橙は途中で蝶々を追ったり、藍に飛びついたりする。
「ねぇアリスーあっち行ってみない?」
紫が指した方向は小高い丘だった。
神社とはさして方向が違わないのでそっちへ行くことにする。
勿論歩いて。
現在10時ほど。
そしてその小高い丘の上へと上ると魔法の森から博麗神社まで一望できた。
何時も空を飛べば見れるのだが、地面から見る幻想郷もまた一驚である。
飛んでいる彼女らにとってこういうところは見逃していることが多いのだ。
そして陸の頂上にあった木へと3人で座る。
そこはとても風が気持ちがいい。
橙は相変わらず蝶々を追いかけ、紫は急にアリスへと寄りかかる。
そう、寝てしまったのだ。
まぁ隣に信頼できる、又は好きな人が居ると眠くなる気持ちも分からないことは無い。
「藍様・・・眠くなってきた」
「いいのだぞ寝ても。私が見ててやる」
そういうと藍の膝で眠り始めた。
「藍。紫どうしましょう」
「・・・。私には橙が居ますのでアリスさんが」
ハァとため息をつく。
最近ため息が多いな とアリスも思っていた。
しょうがないので紫をアリスが、橙を藍がおぶり、博麗神社へと飛び立った。
さすがに歩いては足が持たないのである。
そのままゆっくりと飛行を続ける。決して紫を起こさないように。
~博麗神社~
すでに先客の魔理沙が居る。
しかしアリスの姿を見て正直驚いた。
後ろに紫をおぶっているのだから。
「ア、アリス。後ろのお方は・・・?」
魔理沙が質問。
「見て分からない?紫よ。さっき丘に行ったら寝ちゃってねぇ。しょうがなくおぶってきた。」
その寝顔を見て、霊夢は一発で判断した。
「ほら見なさい。私の言った通りじゃない」
「まったくよ・・・。貴女の勘も捨てたものじゃないわね」
「勘じゃない!!」
霊夢は否定。
「しかし・・・橙はよしとして、ずいぶんと大きなお子様ね」
霊夢がため息をつくが、アリスはそれを決して嫌がっていない。
「まったくよ。これが大妖怪には見えないわ」
アリスと藍は背負っていた物を神社の中へと寝かし、毛布をかける。
そしてその横に座り霊夢からお茶を受け取る。
「ん・・・うぅん・・・アリス・・・」
「・・・」
また寝言か。
「よっぽど好かれてるのね」
霊夢はため息を通り越して飽きれた。
いつの間にか紫の頭はアリスの膝の上だった。
アリスが乗せたわけではなく紫が無意識に行ったのだろう。
「アリス・・・大好き・・・」
この言葉に全員が苦笑した。
「どれだけ好かれてるのよ」
「これは好かれているを通り越してるぜ」
「ま、別に悪い気はしないし」
「アリスさん紫様をお願いします。」
「よろしく・・・」
最後に紫が寝言とは思えないタイミングで発言し皆を笑わせた。
アリスと紫がずっと幸せであらんことを切に願う―――。
「アリスー遊びにきたわよぅー」
「貴女最近殆ど毎日じゃない」
「いいじゃない。この時間が楽しみでたまらないんだから」
「毎日すみません・・・」
余談、今後紫とアリスを見ていたレミリアもアリスと仲良くなったとか。 一体なんだったんだろう?
後半は独自性が感じられてます。
またかぶってましたか・・・ この発想は結構少ないと思ったのですが・・・
どうやら「不愉快な旅行」は読み落としていたようです・・・。申し訳ない。
今読んでみたのですが、かなり。カブってますねorz
精進します・・・
私がするのもかなりアレですが、ここからアドヴァイス。
文章の個性は、内容もそうですが、テンポや間(緩急ある文章は、しばし人の心を引きますと英語の例文で……w)により引き立つ部分が大きいです。次回はそこに気を配ってみてはいかがでしょうか。
「不愉快な旅行」を読んで無ければ何も感じることなく読めたでしょうが、
既読でしたのでどうしてもそちらと比べつつ読んでしまいました。
あとは文が単調で、正直ちょっとつまらなかったかなと……
いい機会ですので、あちらの方を参考にしてみてはどうでしょうか。
続きどーぞw ふむふむ。貴重なアドバイスありがとうですw
■2008-02-12 23:07:01書き込み様
誰かに言われると思っていました^^; 読み直してみましたが自分でも分かりました・・・orz 次はもう少し文に変化と特徴のある文にしてみたいと思います^^ ありがとうございました♪
「不愉快な旅行」をアレンジして再うpされた作品なのかなと思いました。
ですがそっちの作者さんとは別人で、また作品も読んでいなかったとのことで…
次作品(続き)頑張ってください。
それと誤字ですかね?
>アリスさんに、悪いことをしてしまったので誤りたい…
「謝りたい」だと思います。
私はアドバイスできる立場ではありませんが、かなり個人的な意見として後半の展開をもったいつけて欲しかったなと思います。
紫が真っ赤になってあわあわしているところが、かわいくて好きだったので。ww
→暑い
さかさず藍がアシスト
→すかさず(又は透かさず)
ニヤニヤが止まらないwww
趣味嗜好の問題はあるとおもうんですが、こういう話しにするならもうちょい紫の言動を柔からにしてもよかったんじゃないかな。
「下等生物」という言葉はあまりにも酷い。
紫のとげとげしさを柔からに表現できたら、後半もっとニヤニヤできたんじゃないかな。