椛が片手で3、2、1と指でカウントしていく。そして私は笑顔でこう言う。
「突撃!幻想の晩ごはん!レポーターは新聞でお馴染みの射命丸文がお送りします!」
事の始まりは毎週発行している新聞の事。
毎週、毎月、毎年出しているものだからネタがなくなる。だからって休むわけにもいかないし、
嘘の記事を書くのは私のポリシーに反する。そういうので信用をなくすのはご免。
そして写真では物事の真偽が分からない点である。
自分で偽装すればどんな記事でもかけるし、特ダネだって簡単に書き上げることが出来る。いや、人(妖怪?天狗?)の心理とは恐ろしい。
困った挙句に椛(私の部下、兼マスコット)に相談したところ、私もビックリの助言を言い出した。
「あの、その、ビデオカメラで取ってみるってのはどうかと・・・」
ふーん、ビデオカメラねぇ。・・・ん?ビデオカメラ?
私は聞きなれない単語について聞きなおしてみる。
「にとりさんが最近作ったっていってましたから」
私はそんなことを聞いていない。たぶん取材中の間に完成したと思う。で、そのビデオカメラってのは?
「えーと、動く写真を撮るというか、その・・・」
言い切らない返事。もじもじしながら何を言おうか悩んでいる。ああ、もう、可愛い。ホント、可愛い。
「と、とにかく試しに使ってみましょうよ!」
にとりからビデオカメラという物が入った箱を受け取る。
とりあえず椛を撮ってみる。椛が言う『動く写真』とはどういうのかって事で、もしも使えたら私のカメラの変わりに使えるかもしれない。
「えーと、どうすればいいんでしょうか?」
とりあえず動いてみてくれない?動く写真ならこれで取れるはずだから。
説明書(にとり製)にはボタンを押すと再度ボタンを押すまで撮り続けると書いてあったしね。
椛は部屋を出ていった。私はそれをカメラで撮影しながら追いかける。
追いかけていくうちに元の部屋に戻ってた。ポチッっとボタンを押す。
「じゃあ、見てみましょうよ。本当に取れているかどうかです」
それは私も気になる。ということで説明書通り再生ボタンを押す。
・・・?再生されない。それどころかカメラからの映像しか映っていない。今は畳が写されている。
「あ、文さん、それ、撮影ボタンです!」
あ、あれ、もしかしてやっちゃった?
見事に再生ボタンの隣の撮影ボタンが押さされている。あっちゃー。
「とりあえず再生してみましょうよ!何か写っているかもしれませんよ」
前向きな椛に抱きつきたくなる衝動を抑え、再生させてみる。
がちゃ、つー
『えーと、どうすればいいんでしょうか?』
『とりあえず動いてみてくれない?動く写真ならこれで取れるはずだから。』
おおっ、画面の椛が動いてる!なるほど、椛の言いたいことはこういうことか。
「これはさっき撮影してみたやつですね」
問題はその先。椛と再生されている映像を見る。
いきなり画面がふっと変わって畳みに。
『ふ、文さん、それ、撮影ボタンです!』
「・・・なるほど、これは大丈夫そうですね」
椛はふぅー、と息をつく。
つまりこれを使えば確実に裏を取れるということである。
ナイス椛!そしてもふもふしたくなる衝動を抑える。もふもふするのは撮影が終了してからである。
作戦が決行されたのは夜の7時ぐらい、ちょうど夕飯のころである。しかし寒い。なぜなら今は冬だからである。
作戦内容は、幻想郷の人々の夕飯を取材するという簡単なものである。これは単に楽をしたいからではなくテストもかねているためである。
もし撮影がうまく出来ており、なおかつ評判が良かったならビデオは協力な武器になるわけである。・・・弾幕相手には大変だけど。
なぜか大きなしゃもじを持っている。これは椛が「こういうの持ってたら分かりやすくていいじゃないんですか?」と提案してきたからだ。
そりゃあ椛の頼みならなんでもOK!
そして作戦は決行された。
椛が片手で3、2、1と指でカウントしていく。そして私は笑顔でこう言う。
「突撃!幻想の晩ごはん!レポーターは文々。レポーターは新聞でお馴染みの射命丸文がお送りします!
現在、背後に見えるのは八雲一家のお宅です。では、突撃してみましょう!」
私はチャイムを押す。この家は様々なものが置いており、その奇怪さは香霖堂と並ぶ。商売でもやってみればたぶん儲かると思う。
いつのまにか色々と増えていっており、このチャイムもいつの間にかあったものである。
はーいと声が聞こえてくるとドタタタタと足音が近づいてきた。ガチャっと鍵の外す音が鳴ると玄関の扉が横に開いた。
「あ、文さん。今日の夕ご飯は鍋なんですよー」
出迎えてきたのは式の式、橙である。しかし猫舌の式の事を考慮して鍋にしたのかどうか。
橙の主はたしか過保護しすぎてると幻想郷で有名なはずなのに。
「おじゃまします」
私はそういって入る。椛も入ってくる。そういえば猫と犬って相性がいいのだろうか。もし良かったら藍さんと気が合うかもしれない。
「あら、いらっしゃい」
居間にいたのは八雲家の主、八雲紫である。最近加齢集がしてきたとかおばさんとかいろいろ言われているようだが、
この人の前では禁句だと思う。言ったらルナティック以上の弾幕の雨の刑だと。
居間にはコタツ、ストーブ、鍋、テレビ(というものらしい)・・・、とにかくいろんなものが置いてある。
鍋はちょうど良く煮込まれており、おいしそうな匂いがする。
八雲家は突然の来客にも動じなく、ここでの撮影は難なく終了した。ただ鍋の中の油揚げを食べた時に藍さんの顔が青ざめていったのはちょっとしたハプニングである。まぁ、スルーしたけど。
次は白玉楼である。本当は紫さんに頼みたかったけども頼んだらへんな所に行きそうだったからやめた。それに椛と紫さんは相性が悪いっぽいのである。椛はなぜか紫さんを避けていた。
白玉楼の玄関をノックすると、はいと律儀な声が聞こえてきた。鍵はかかっていないようで、がらららと開いた。
「あ、新聞屋さん、夜分遅くご苦労様です」
新聞配達と勘違いして出てきたのは最近みょんと呼ばれている妖夢である。なぜみょんと呼ばれているかは不明である。いつのまにかなんか知れ渡っていたし。
撮影内容を話すと、困ったような反応をした。
「もう夕食は終わってしまったのですが・・・」
・・・へ?
妖夢の話によると6時ぐらいにもう食べてしまったらしい。まさかの出来事である。
ここでの取材は切り上げて、次の取材場所へ進んだ。
最後は博麗神社である。
来てみるとどんちゃん騒ぎになっていた。宴会をやっている様子である。
これではしょうがないので宴会の様子を撮影することにする。これでも立派な取材である。
そういえばこの神社には二人の神主がいるとかっていう噂があったがたぶん嘘だと思う。・・・たぶん。
この撮影は好評を得た。これならいけると思ったのだが重要なことに気づいた。
このビデオカメラは新聞のように配ることができない。つまり新聞形式ではないので皆に見せれないのである。
これは大誤算である。しかしこれは色々と便利な品物なので今度いろいろ試してみようと思う。
「いろいろと大変でしたね」
のんびりしていた所、大切な事を思い出した。まだ椛を抱きしめてない。
「椛、ちょっと目をつぶって」
椛は言われた通りに目をつぶった。私はこっそりと背後に回りこみ、
むぎゅーってしてやった。
「突撃!幻想の晩ごはん!レポーターは新聞でお馴染みの射命丸文がお送りします!」
事の始まりは毎週発行している新聞の事。
毎週、毎月、毎年出しているものだからネタがなくなる。だからって休むわけにもいかないし、
嘘の記事を書くのは私のポリシーに反する。そういうので信用をなくすのはご免。
そして写真では物事の真偽が分からない点である。
自分で偽装すればどんな記事でもかけるし、特ダネだって簡単に書き上げることが出来る。いや、人(妖怪?天狗?)の心理とは恐ろしい。
困った挙句に椛(私の部下、兼マスコット)に相談したところ、私もビックリの助言を言い出した。
「あの、その、ビデオカメラで取ってみるってのはどうかと・・・」
ふーん、ビデオカメラねぇ。・・・ん?ビデオカメラ?
私は聞きなれない単語について聞きなおしてみる。
「にとりさんが最近作ったっていってましたから」
私はそんなことを聞いていない。たぶん取材中の間に完成したと思う。で、そのビデオカメラってのは?
「えーと、動く写真を撮るというか、その・・・」
言い切らない返事。もじもじしながら何を言おうか悩んでいる。ああ、もう、可愛い。ホント、可愛い。
「と、とにかく試しに使ってみましょうよ!」
にとりからビデオカメラという物が入った箱を受け取る。
とりあえず椛を撮ってみる。椛が言う『動く写真』とはどういうのかって事で、もしも使えたら私のカメラの変わりに使えるかもしれない。
「えーと、どうすればいいんでしょうか?」
とりあえず動いてみてくれない?動く写真ならこれで取れるはずだから。
説明書(にとり製)にはボタンを押すと再度ボタンを押すまで撮り続けると書いてあったしね。
椛は部屋を出ていった。私はそれをカメラで撮影しながら追いかける。
追いかけていくうちに元の部屋に戻ってた。ポチッっとボタンを押す。
「じゃあ、見てみましょうよ。本当に取れているかどうかです」
それは私も気になる。ということで説明書通り再生ボタンを押す。
・・・?再生されない。それどころかカメラからの映像しか映っていない。今は畳が写されている。
「あ、文さん、それ、撮影ボタンです!」
あ、あれ、もしかしてやっちゃった?
見事に再生ボタンの隣の撮影ボタンが押さされている。あっちゃー。
「とりあえず再生してみましょうよ!何か写っているかもしれませんよ」
前向きな椛に抱きつきたくなる衝動を抑え、再生させてみる。
がちゃ、つー
『えーと、どうすればいいんでしょうか?』
『とりあえず動いてみてくれない?動く写真ならこれで取れるはずだから。』
おおっ、画面の椛が動いてる!なるほど、椛の言いたいことはこういうことか。
「これはさっき撮影してみたやつですね」
問題はその先。椛と再生されている映像を見る。
いきなり画面がふっと変わって畳みに。
『ふ、文さん、それ、撮影ボタンです!』
「・・・なるほど、これは大丈夫そうですね」
椛はふぅー、と息をつく。
つまりこれを使えば確実に裏を取れるということである。
ナイス椛!そしてもふもふしたくなる衝動を抑える。もふもふするのは撮影が終了してからである。
作戦が決行されたのは夜の7時ぐらい、ちょうど夕飯のころである。しかし寒い。なぜなら今は冬だからである。
作戦内容は、幻想郷の人々の夕飯を取材するという簡単なものである。これは単に楽をしたいからではなくテストもかねているためである。
もし撮影がうまく出来ており、なおかつ評判が良かったならビデオは協力な武器になるわけである。・・・弾幕相手には大変だけど。
なぜか大きなしゃもじを持っている。これは椛が「こういうの持ってたら分かりやすくていいじゃないんですか?」と提案してきたからだ。
そりゃあ椛の頼みならなんでもOK!
そして作戦は決行された。
椛が片手で3、2、1と指でカウントしていく。そして私は笑顔でこう言う。
「突撃!幻想の晩ごはん!レポーターは文々。レポーターは新聞でお馴染みの射命丸文がお送りします!
現在、背後に見えるのは八雲一家のお宅です。では、突撃してみましょう!」
私はチャイムを押す。この家は様々なものが置いており、その奇怪さは香霖堂と並ぶ。商売でもやってみればたぶん儲かると思う。
いつのまにか色々と増えていっており、このチャイムもいつの間にかあったものである。
はーいと声が聞こえてくるとドタタタタと足音が近づいてきた。ガチャっと鍵の外す音が鳴ると玄関の扉が横に開いた。
「あ、文さん。今日の夕ご飯は鍋なんですよー」
出迎えてきたのは式の式、橙である。しかし猫舌の式の事を考慮して鍋にしたのかどうか。
橙の主はたしか過保護しすぎてると幻想郷で有名なはずなのに。
「おじゃまします」
私はそういって入る。椛も入ってくる。そういえば猫と犬って相性がいいのだろうか。もし良かったら藍さんと気が合うかもしれない。
「あら、いらっしゃい」
居間にいたのは八雲家の主、八雲紫である。最近加齢集がしてきたとかおばさんとかいろいろ言われているようだが、
この人の前では禁句だと思う。言ったらルナティック以上の弾幕の雨の刑だと。
居間にはコタツ、ストーブ、鍋、テレビ(というものらしい)・・・、とにかくいろんなものが置いてある。
鍋はちょうど良く煮込まれており、おいしそうな匂いがする。
八雲家は突然の来客にも動じなく、ここでの撮影は難なく終了した。ただ鍋の中の油揚げを食べた時に藍さんの顔が青ざめていったのはちょっとしたハプニングである。まぁ、スルーしたけど。
次は白玉楼である。本当は紫さんに頼みたかったけども頼んだらへんな所に行きそうだったからやめた。それに椛と紫さんは相性が悪いっぽいのである。椛はなぜか紫さんを避けていた。
白玉楼の玄関をノックすると、はいと律儀な声が聞こえてきた。鍵はかかっていないようで、がらららと開いた。
「あ、新聞屋さん、夜分遅くご苦労様です」
新聞配達と勘違いして出てきたのは最近みょんと呼ばれている妖夢である。なぜみょんと呼ばれているかは不明である。いつのまにかなんか知れ渡っていたし。
撮影内容を話すと、困ったような反応をした。
「もう夕食は終わってしまったのですが・・・」
・・・へ?
妖夢の話によると6時ぐらいにもう食べてしまったらしい。まさかの出来事である。
ここでの取材は切り上げて、次の取材場所へ進んだ。
最後は博麗神社である。
来てみるとどんちゃん騒ぎになっていた。宴会をやっている様子である。
これではしょうがないので宴会の様子を撮影することにする。これでも立派な取材である。
そういえばこの神社には二人の神主がいるとかっていう噂があったがたぶん嘘だと思う。・・・たぶん。
この撮影は好評を得た。これならいけると思ったのだが重要なことに気づいた。
このビデオカメラは新聞のように配ることができない。つまり新聞形式ではないので皆に見せれないのである。
これは大誤算である。しかしこれは色々と便利な品物なので今度いろいろ試してみようと思う。
「いろいろと大変でしたね」
のんびりしていた所、大切な事を思い出した。まだ椛を抱きしめてない。
「椛、ちょっと目をつぶって」
椛は言われた通りに目をつぶった。私はこっそりと背後に回りこみ、
むぎゅーってしてやった。
射命丸ふ…み……?
とりあえずキャラ名はちゃんと覚えたほうがいいと思いますよ。
あやややや、間違えた!
あやで覚えて、文という文字の呼び方をふみと呼ぶという。なんという愚行!
ご指摘有難うございます。
なお、次からはプチの方に移行します。
自分だけかも知れんけど…
プチでも頑張って下さい、期待してます。
※誤字報告です。
加齢集→加齢臭