Coolier - 新生・東方創想話

旅の終わりは幸せの終わり

2008/02/11 22:23:03
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これは幻想郷一人ツアーの続きです。
初めての方はこのシリーズを最初から見ることをオススメします。
詳しくは作者コメントにて。
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「ップ・・・・・はしたない・・・・」
美羽は小さくゲップをした。
昼は御握りであり塩と海苔と米という非常にシンプルなものであった。
ちなみ境内の片付けはアレだけの人数がいたためかほとんど終わっていた。
そのとき霊夢に「またたのむわね」と言われたがその真意は美羽には理解できない。
「え・・・と・・・冥界があっちだからこっちか」
幽々子が示した方向に真っ直ぐ飛ぶ美羽。
「あれ~?」
しかし迷った。
「ちょっと角度が違ったのかな~?」
辺りをふらふらと徐行。
「ん?なにあれ・・・」
そこで急停止し穴から降りる。
そこにあったのは少し大きめの祠であった。
「なんだろこれ、何を崇拝してるんだろ」
お供え物はおろかかなり古びた様子の祠だ、しかし美羽はこの祠の何かに引かれた。
「中に何があるのかな?気になる気になる」
祠の扉には何枚もの御札が張ってあったが気にせず美羽は穴を開けようとする・・・。
「貴様、そこで何をしている!」
「は!はい!」
声が裏返る美羽。
「む?なんだ、美羽か」
「あ、藍さん」
美羽が振り返った正面にいたのは藍であった。
「美羽、今何をしようとしていた?」
「あーいえいえ!なんでもありませんよ!」
焦る。
「・・・まぁいい、今後ここには近づくな」
「はい・・・」
しょんぼりする。
「わかればいい」
「はい!」
立ち直る。

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「そういえば美羽、最近急に活発になっていると聞いたが」
藍が美羽に問う、ちなみに今現在マヨヒガに向けて少女飛行中。
「あー、はい・・・まぁいろいろありまして」
有耶無耶に答える美羽。
「そうか」
特に気にしないそぶりの藍。
「まだつかないんですか?」
「なに、もうすぐそこだ」
そして数分後に目的地についた。
「純和風なんですねぇ・・・」
「ああ、マヨヒガは和なんだ、しかし何故か紫様の服装は洋なんだ・・・・しかも余り違和感が無いのが不思議でしょうがない・・・・それにいい歳してあのふk」
藍が愚痴りだした。
「あはは・・・・・って!」
突然美羽が藍の口をふさいだ。
(な!何をする!)
(後ろを見ましょう)
何故か二人とも小声だ。
そして藍が言われるがままに振り返る。
「あら、藍・・・私もその話に混ぜてもらえないかしら?」
そこにいたのは言わずと知れたスキマ妖怪、八雲 紫であった。
「ゆ・・・・ゆかりさま・・・」
藍が一瞬で青ざめる。
このとき美羽はまさに藍と考えていたがこの際関係ない。
「藍にはもうちょっと式としての調教が必要みたいね・・・」
すばらしい笑顔であった、額の青筋が無ければだが。
「ゆ・・・紫さま!せめてあの地獄車の刑だけはご勘弁を!」
「じ・・・じごくぐるまって何ですか・・・・」
藍が必死で命乞いをする。
「いいえ、藍・・・今日の私は機嫌がいいの、だからせめて十地固めの最大を10分間で終わらせてあげるわ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
紫が藍の足を持って引きずっている、その後には藍の指が地面をつかんでいる跡の10本の線が残っていた。
「まぁまぁ待ってください、そんなことよりもこの飲み物でも飲みませんか?これ珍しいんですよ?」
そういい穴からとある有名かつ手に入りにくい飲み物をだした。
これでつって藍を開放させようという作戦なのかもしれない。
しかしその飲み物には重大な問題があった。
「マサイの戦士?何それ?」
「はい、外の世界の飲み物なんですがなかなか手に入らないんですよ~」
売っている場所に行けばいつも売っているが。
「お酒じゃなさそうね」
「でもこれ不思議な味がするみたいですよ、飲んだこと無いですけど」
「そうなの・・・藍~コップ用意して~」
「は、ただいま」
藍が誇りをはたき、
(美羽、感謝する!今度何かで必ず返してやる。)
(いいですよ、お互い様です。)
などとのアイコンタクトを1コンマで終わらせた。
「そういえば紫さん」
「なにかしら?」
「幽々子さんが妖夢さんの新しい弄り方を思いついたから今度こいと言っていましたけど・・・」
「あらそう、それは楽しみね・・・ふふふふふふふ」
さぞ愉快そうに笑う紫、妖夢の貞操危うし!
「用意できました」
などといろいろと考え事しているとすぐに藍がきた。
「それじゃあ気分的に乾杯でもしましょうか」
「「はい」」
そして返事とともにチラっと藍と美羽が目を合わせる。
(美羽、この液体は本当に大丈夫なのか?)
(私は嘘はついていません・・・ただ不思議な味というのが・・・)
(そうか・・・なら飲むふりだ)
(はい!)
二度目のアイコンタクト完了。
「それじゃあいただくわ」
そうして紫がガラスのコップに口をつける。
藍と美羽も口をつける・・・だけで飲まない。
「ぶふぁ!」
紫が大勢に吹いた。
(ああ、だめでしたか)
(紫様、ご愁傷様です)
紫は横になり痙攣しはじめた。
時折ビクンと動くのが怖い。
「私は紫様を寝かせてくる、美羽もくるか?」
紫を心配する様子はなし。
「いえ、伝えることは伝えたので他の場所でもいこうかなと思いまして」
「そうか、なら今の時間ならあっちの方向に真っ直ぐ行くと人間の里の近くに出られる」
そういって藍は東を指した。
「そうですか!ありがとうございます!」
「それともう一度言うがあそこには近づくな」
「はい!・・・それでは行きますね」
「ああ、また今度な」
そうして美羽は飛び去った。
「本当に活発なやつだな・・・さてと」
紫を抱えた藍はよっこいしょと持ち替えマヨヒガに消えた。


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「えっと・・・次は・・・・あの山行ってみよう!」
そうして美羽は人間の里上空から見える山に向かった。
「あの山結構大きいな」
そしてあっという間に麓の森まできたところで突然弾幕が放たれた。
「え!?あ・・・危ない!危ない!」
そういい前方に巨大な穴を出現させる。
そこに吸い込まれていく弾幕と毛玉達、まるでブラックホールである。
「あ、終わったかな?」
穴を閉じるとそこにはもう何も無い。
「何だったんだろう・・・」
念のため徐行する美羽。
「あらあら、貴女まだいたの?」
「え?だれですか?」
「さっきので追い返したつもりだったのに」
そこに現れたのは鍵山 雛であった。
「追い返したって・・・失礼じゃないですか」
「失礼でも何でもあの山には人間は行ってはいけないの、特に何も無いし危ないだけよ?だから追い返すの」
「いえ、私なら大丈夫ですから」
「それでもダメ、あそこは神々の世界よ」
「神々の世界ですか・・・それはまた素敵な場所ですね」
「ぜんぜん素敵じゃないわよ、ほら、帰りなさい・・・何なら貴女の厄災を引き受けてあげるから」
そういって帰った帰ったという素振りをする雛。
「いえ、私は幻想郷を知りたいんです、だからあの山に行きたいんですよ」
美羽はかなり幻想郷の人として染まっているようだ。
「そんなに止めてもダメなら貴女を守るためにも力ずくでも止めるわ!」
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
突然弾幕を張る雛、無論防ぐ術をしっていても返す術を知らない美羽。
「ああああ・・・どうすれば・・・・」
穴を盾にして縮こまっている美羽。
「あ・・・でも大丈夫かなぁ・・・・大丈夫か・・・妖怪だし」
何かをひらめいた。
「さぁ!これで懲りたなら帰りなさい!」
そしていきなり巨大な穴が閉じた。
「・・・?何をするつもりなの?」
「えいっ」
突然雛の上に穴が開いた。
「え?えぇ!?」
ガラガラガッシャーン
必殺ガラクタ不法投棄である。
勿論雛は下敷きになった。
「大丈夫ですかー!?」
落ちていったガラクタと雛の辺りに着地する美羽。
「きゅう・・・」
雛は気絶していた。
「ああ、やり過ぎてしまいましたか・・・まぁ片づけして行きますか」
ガラクタを一箇所にあつめ纏めて穴に落としまた飛ぶ。

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「ん?あの池は・・・」
大蝦蟇の池である。
「綺麗だなぁ・・・」
地上に降り立って池を眺めている。
しかし美羽は気づいていないがすでに何匹もの妖怪が集まっていたのだ。
「あっちに川もあるみたいですね」
そういって歩き出す。
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・・」
美羽はやっと気づいたようだ。
見られているということに。
そうしているうちに川の岩場に着いた。
「・・・・・・・・・」
まだ誰かいる、しかし姿は見えない。
だが、
(バキ)
小枝を踏む音がした。
「そこだ!」
美羽は足元にあった石をぶん投げた。
「ぎゃ!」
そして一人の少女が姿を現した。
「あーまた光学迷彩が壊れちった」
「にとりさんでしたか、そんなのよりもダンボールで十分ですよ?」
昨日の宴会に来ていた者の一人であった、あの惨劇は光学迷彩をつかって隠れていたから大丈夫だったとか。
「まぁそんなことよりも早く引き返したほうが身のためだよ」
「え?」
そういってにとりは去っていった。
「う~ん・・・引き返せって言われると余計に行きたくなるんだよねぇ」
さっきも言ったがかなり幻想に染まっている、しかも魔理沙型である。
そうしてまた飛び立つ美羽。
が、暫くして。
「引き返せといったんだけど?」
「いえいえ~頑なに引き返せといわれると余計に行きたくなりませんか?」
「たしかあいつも同じことを言っていたな~だからさっさと帰れ」
「う~ん・・・それじゃぁ里のおっちゃんのきゅうり10本で!」
食料調達のときに出会ったおっちゃんである。
「だめ」
「20本!」
「せめてあと5本」
ああ、やっぱりほしいんだ。
「わかりました、何とか交渉してみます」
「約束だからね!・・・それじゃ後は好きにしてねぇ~」
御機嫌でまたにとりが去っていった。
「さて・・・・ってあれは・・・・」
遠くから飛来する影、それもかなりの速度のようだ。
そしてその影は美羽の方に飛んできた。
「きゃ!」
その影は美羽の前で急停止した。
「美羽さんでしたか、何でこんなところに?」
「あ、文さんでしたか・・・」
その影は射命丸 文であった。


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「成る程、つまりは幻想郷全域にいける様になりたいと」
「はい、その通りです」
うんうんと文は頷くと何かを思いついたように手を打った。
「写真でもいいんですよね?」
「はい、大丈夫ですよ」
「それならここから先には行かなくてすみますよ」
「え?」
また帰れというのか?と美羽は思った。
「これですこれ」
文の首からぶら下がっているもの、カメラであった。
「あー!」
「分かりましたか?」
「はい!」
つまりは文が頂上付近の写真を取りそれを使って移動するという考えだ。
「でもなぜ直接飛んで言ってはダメなのですか?」
「食われるからです」
「へ?」
「いえいえ、妖怪も皆が皆人間と仲良くしようとは思っていません、中には山に入った人間を見つけ次第喰らうものもいます」
美羽はそんなことを知る由も無かった。
「貴女がここまでこれたのは奇跡としか言いようがありません、現に私が来るまで数十匹の妖怪に囲まれていましたから」
「囲まれていたんですか!?」
「はい、本来ここは妖怪しか居なかったんですよ。それにこの山はよそ者の妖怪すら侵入は難しいんですよ?」
「えーっと・・・」
「まぁ一度襲われなきゃ分からないかと思いますがあともうちょっと進んでいたらあなたは間違いなく妖怪の餌食でした」
「う・・・」
青ざめる美羽。
「分かったなら次の場所にいってください」
「はい・・・ではまた今度お願いします」
「こちらこそ、それともう二度と山には近づかないことですよー」
「はーい!」
そうして美羽は里の方へと飛び去った。
「さて、私も取材にいかないと」
文もまた飛び去っていった。


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「ん?あれ?」
美羽が里に向かう途中深い霧に包まれた場所を発見した。
「あー霧の中って湖だったんだ」
霧の湖である。
「う・・・ちょっと肌寒いな・・・」
「あたいの蛙はどこだー!」
そこで飛んでいたのはチルノであった。
道理で寒いわけである。
「あ、チルノー!」
「ん?あ、美羽だ」
チルノは美羽の前に舞い降りた。
「境内の掃除おわったの?」
「うん、だからこうして蛙を凍らせて遊んでるのよ・・・さっきのは砕けちゃったんだけどね」
「げ・・・」
軽く言っているが結構グロイ。
「それで美羽はなんでここにいるの?」
「う~ん幻想郷を一通り回っているのは知っているよね?」
「うん、じゃあ次はここを回るの?」
「そういうこと」
「ふ~ん」
チルノはつまらなそうに頷いた。
「そういえばここが霧の湖なら近くに紅魔館があるよね?」
「うん、あっちのほう」
チルノが指を刺した方向から35度ずれたところにどんよりと大きな影があった。
「わかった、ありがとう」
「感謝しなさい!」
胸を張るチルノであった。
「それじゃ、いくねー」
「うん、またね」
美羽は霧の湖の上に飛び立つ。
「以外に大きい湖だな~」
紅魔館が大きいため湖が小さく見えたのかもしれない。
「お、霧が晴れてきた・・・うぁ」
そしてそこにあったのは巨大な紅い館であった。
「目に悪いな~」
そういい紅魔館に接近していく美羽。
「まちなさい!」
「ん?」
地上から呼び止められた、門番である。
「貴女、だれかから許可もらっているの?」
「え?許可が必要なんですか?」
「皆勝手に通っていくけど本当は必要なの」
「ああ・・・」
魔理沙などのことを思い浮かべ軽く同情する。
「どうしてもだめですかー?」
「まぁ呼ばれなきゃだめってわけじゃないからちゃんとした手続きをすれば入っていいわよ」
「じゃぁ手続きします」
「それじゃあこっちに来てください」
言われるがまま門番についていく美羽。
だがそのとき。
「中国ー!何サボってるの!?」
運悪く門を離れたところに咲夜が来てしまった。
「ち、違いますよ!お客が来たから手続きをしてもらおうとしてたんですよ!」
「そんなのどこの世界にいるのよ!」
「ここですよ!ここ!」
「私です」
「あら、貴女だったの」
「咲夜さんひどいですよぉ~」
危うく誤解されて眉間にナイフという飾り物がつくところだった。
「何しに来たの?」
「はい、幻想郷を回ってきてここにたどり付きました、永遠亭や冥界にもいってきましたよ」
「それでつぎはここの中を回りたいの?」
「その通りです」
「こんな時間にねぇ」
咲夜が辺りを見渡すとすでに夕暮れであった。
「山のほうで時間食っちゃいました」
「え?貴女、山まで行ったの?」
「はい、それがどうかしましたか?」
美羽にはまだ若干理解できていなかった。
「あの山はね、妖怪の巣であって普通の人間は池を越えた辺りで妖怪に襲われて跡形もなくなるわ」
「あー・・・たしかにそうですねぇ」
「貴女はかなりの命知らずよ・・・ちょっと待ってなさい、お嬢様に報告してくるから」
「はーい・・・・消えた!?」
美羽が返事をした途端に咲夜は目の前から消え去った。
「咲夜さんは時間を操れるの、だから私たちには消えたようにみえるのよ」
「そういえば以前もティーセットが一瞬で運ばれてきたこともありましたね~・・・あ、えっと・・・・名前なんですか?」
「え?聞いてくれるの?聞いてくれるんですか!?聞いてくれるんですね!?」
「え?え?」
「紅!美鈴です!紅!美鈴です!門番中国じゃなくて紅 美鈴です!」
「何やってるのよ」
「あう」
「うわ・・・」
美鈴が一度暴走した後に咲夜がもどってきた、勿論美鈴の頭には銀の飾り物・・・紅に染まってるけど。
「お嬢様の許可が出たわ、ついてらっしゃい」
「はい!・・・それでは美鈴さん、またあとで」
「呼んでくれたー!」
「五月蝿い」
「あぅ・・・」
そして咲夜と美羽は玄関前に着いた。
「大きいですね~」
「ええ、お嬢様がどんなに飛んでも不自由が無い安全設計だもの」
「そういえば美鈴さんでしたが」
「美鈴がどうかしたの?」
あ、中国ってわざとだったんだ。
「負けた気がします、女として」
「・・・・そうよね、どうしてアレがアレだけアレになってるのかしら」
「素直に胸とか言いましょうよ」
ドガン!
後ろのほうの地面がはじけた。
「いいえ、なんでもないです」
「そう、変な子ね」
そして中に入る。
「うわぁ~中もかなり広いですねぇ~」
「私が空間を弄ってるから外見よりも広いわよ」
「すごいですね~」
思いっきり叫べば声がかなり響きそうであった。
「それじゃこっちよ」
「はい!」
咲夜についていっている間何人ものメイドに挨拶をされた。
「あの~」
「なにかしら?」
「咲夜さんってどのくらいの地位なんですか?」
「メイド長よ」
「メイド長なんですか!・・・だから皆頭を下げるわけですね」
「ウチは上下関係に厳しいからね」
「はあ」
「さ、ここよ」
二人の目の前には巨大な扉、それを開けて中に入ると長いテーブルがありその先にレミリアが座っていた。
「やっと来たのね、座りなさい」
「はい!」
こういう場所では緊張してしまう美羽。
そして座った瞬間目の前に紅茶が置かれていた、前にも見た光景であった。
「それで、ようやく私の下に働きに来たのね」
「違いますよ」
「冗談よ、館の中を歩き回りたいんでしょう?」
「はい」
「そう、それならついでに一泊していくといいわ」
「え?でも霊夢が・・・」
「大丈夫よ、咲夜に伝えに行かせたから」
やることが早い、というか多分グルだったのであろう。
「まだ泊まるなんていってないんですかどー・・・まぁいいです一泊していきます」
「なら話は早いわ、咲夜が戻ってくるまで待ちなさい、案内させるから」
「はい」
このとき咲夜は霊夢に食料くれと脅迫されていたのは言うまでも無い。


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「ここが貴女の部屋よ」
「個室もビッグサイズですね~」
「ゆったり寛げるゆとり空間よ」
たしかに一日の疲れはこれぐらいのゆとりが無ければ取れなさそうだ。
「夕食の時間やお風呂時間はいつごろですか?」
「食事は朝夜共に七時半よ、昼は12時よ、お風呂は5時から9時までならいつでもいいわ」
「そうですか」
「それじゃ私は仕事に戻るから適当に時間をつぶしてて頂戴」
「はい!」
そして咲夜が目の前から消えた。
「いつみてもなれないなぁ・・・目の前から急に消えるのって」
しかしなれるのも時間の問題だろう。
「図書館いってみますか」
美羽は歩き出した。
しかしすぐに迷った。
「えーっとこっちで合ってるはずなのにな~・・・あの~すいませ~ん」
美羽が話しかけたのは赤い髪で頭と背中に蝙蝠のような羽が生えた少女だ。
「はい、なんでしょうか?」
「図書館ってどのへんでしょうか?」
「ああ、それなら私についてきてください、私も図書館に行くところでしたから」
「ものすごい助かります!」
「いえいえ」
笑顔で答える少女に美羽は内心かあいいとか思っていたがそんなことはどうでもいい。
「名前は何ですか?」
「佐々苗 美羽です、貴女はなんていう名前なんですか?」
「私には名前はありません、小悪魔でいいです」
「小悪魔さんですね、わかりました」
そして二人は階段を下りた。
「パチュリー様ーお客様ですよー」
そういいながら地下の扉を開ける小悪魔。
「うわあ・・・」
そして内部に広がっていたのは地面に本、壁に本、上空にも本、本、本、本であった。
「あら、以外にはやかったのね」
本から目を上げずに紫の少女は答えた。
「パチュリー様、客人が来たときだけでも顔を上げてください」
「めんどくさい」
「いいですよそんなに気を使わなくても」
「貴女、美羽よね」
「はい」
「貴女今日・・・いえ、なんでもないわ」
「え?」
パチュリーが何かを言おうとして止めた。
「適当に本を読んで行くと良いわ、だけど持ち出しは館内だけで外は厳禁、本が傷むから」
「はーい」
「それじゃあ子悪魔、適当に案内してあげて」
「わかりました、えっとどんな本を読みたいですか?」
「料理の本でも」
「そうですか、こっちですよ」
「はーい」
そうして子悪魔と美羽は去っていった。


「あの子、今日でお別れなのかしら?」


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「お嬢様、なぜお泊めになられたのですか?」
「いいじゃない、気まぐれよ」
「いいえ、私はただの気まぐれには見えませんでした」
ちょっと不愉快そうな顔をしたレミリア。
「こういう時ばっかり鋭いのね、咲夜は」
「四六時中お嬢様と居るんですもの」
「はぁ・・・まぁ明日になれば分かるはずよ」
「はあ」
「それよりももう夕食の時間じゃない、食堂に行きましょう」
「え?食堂にいかれるんですか!?」
「ええ、あの娘のことちょっとばかし知りたいし」
「はあ・・・」
(美羽、あなたが羨ましいわ・・・)


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「ん?そろそろ夕飯の時間か」
美羽のお腹が鳴り出す。
「結構遠くにきちゃったなー・・・えいっ」
目の前に穴を出現させた、その先は図書館の入り口付近である。
「っと」
「うわあ!」
穴から出たすぐ横に小悪魔がいた。
「美羽さん、そんなことができたんですか?」
「はい、一度行った場所や見た場所までしかいけないんですけど」
「すごいですね~」
「えへへ~、それでそろそろ夕食の時間ですよね?」
「はい、私の後についてきてください」
迷うことを読まれたようだ。
「お言葉に甘えて」
そして二人は歩き出す。









「ここです」
「ここですか」
「では私は」
「え?食べていかないの?」
「パチュリー様が動こうとしませんから図書館で食事を取るのです」
「ああ」
つまりは配達である。
「それでは、あとその本はちゃんと返してくださいね」
後ろを歩いているときにずっと読んでいた本だった。
本の題名はそして誰もいなくなったである。
「はーい」
そして美羽が食堂にはいると異様な雰囲気に包まれていた。
「あれ?・・・あ、美鈴さん・・・皆どうしたんですか?」
夕食を食べに来ていた美鈴に聞いてみた。
「あ、美羽ねお嬢様が貴女を呼んでいるわよ」
「え?あ、はい」
そして食堂の真ん中のほうまで行くと案の定咲夜とレミリアがいた。
「えっと、呼びましたか?」
「ええ、呼んだわ、ここに座りなさい」
レミリアが指差したのは反対側の席、ロングテーブルなのでグルっと大回りしなければいけない。
「はい・・・」
回ってきた美羽、そして座る。
「咲夜ー貴女の分と三人分運んできてー」
「お待たせしました、お嬢様」
また三人分の食事がおかれていた。
「それで、美羽・・・あなた最近特に変わったことは無いかしら?」
「変わったことですか・・・?何も無いですね・・・」
「そんなはず無いわ、何かしらあるはずよ」
「えー・・・・・・・・っと」
唸り込む美羽、本気で分からないようだ。
「まあいいわいただきましょう」
「え?あ、はい・・・」
良く理解できないまま夕食を食べ部屋に戻った。
「まったくなんだったんだろう・・・続き読もうっと」
美羽はベッドの上で読書を開始した。


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「っと、もうこんな時間か」
部屋に一個しかない窓から見える時計台は八時半をさしていた。
「お風呂はいろうっと」
そうして部屋から出る。
紅魔館の大浴場は比較的個室に近い場所にある。
そのため美羽も迷わずにこれた。
「ん?だれか入っているのかな?」
浴場からシャワーの音が響いている。
そして美羽は衣服を脱ぎ去り適当なロッカーにいれ浴場に入る。
「咲夜さんでしたか」
「あら、美羽じゃない」
そこで頭を洗っていたのは咲夜であった。
「隣失礼しますね」
「良いわよ」
そして自分のシャワーをつける、最初は冷たいが徐々に暖かくなる。
しかしこれは湖の水なのだろうか、何かしらの魔法で浄化していればいいのだが・・・。
「・・・・」
頭からシャワーを浴びているときに横目にはいる咲夜の身体。
ちょっとばかし物足りないかもしれない胸、引き締まった腰、そして白くすべるような足。
正直美しいといえるだろうその身体に美羽は魅せられた。
「なにじろじろ見てるのよ」
「あ!いえ!すいません」
顔が真っ赤になる美羽。
「そう、そういうことね」
ばれた様だ。
「大丈夫よ、貴女も綺麗な身体をしているわよ・・・肌も白くて綺麗だし」
「ありがとうございます」
外の世界でインドアだった美羽は比較的色白だ。
「それと胸のほうは・・・みせなさいよ」
「えぇぇ!?」
以外に大胆な発言に困惑する美羽。
「だ、だめですよー!」
「私のを見といてそれは無いんじゃない?」
「ひえぇ」
そして覗き込まれてしまった美羽、みるみる真顔になる咲夜。
「そうよね、やっぱり、ふふふふふふふふふ」
あえて言おう、若干美羽のほうが大きい。
「今日の汗でもながしますかー」
そこに来たのは美鈴であった。
肩を叩き合う美羽と咲夜。
さっきまでの雰囲気は何処へ?
「どうしたんですか?」
かという美鈴は非の打ち様が無いパーフェクトボディであった。
「咲夜さん、美鈴さんは何を食べたらあそこまで?」
「分からないわ・・・私と同じものを食べているはずなのに・・・」
「美羽ー?咲夜さーん?」
「「はぁ」」


--------------------------------------------------------------


風呂から出た美羽、美鈴の最強の武器を見せられて心も身体も上せてしまった。
そしてそのままベッドに倒れこんだ。
「はぁ・・・いろいろあるなぁ・・・ここ」
そのままうとうとし始める。
「そういえば最近聞こえないなぁ・・・・声」
そして美羽は眠りについた。











「・・・・・・」
あれ?また聞こえるようになったのかな?
「・・・・・・・」
ん?あれはだれ?あの人が私に語りかけているのかな?
「少し借りるぞ」
え?



そしてそのおぼろげに見える人から手が伸びてきて・・・・意識は途絶えた。






------------------------------------------------------------


「・・・・」
美羽が起き上がり部屋を出た。
「・・・・・」
「貴方、どこに行くつもり?」
「!」
後ろから呼びかけたのはレミリアであった。
「いえいえ、トイレですよ」
「残念、トイレはあっちよ」
「そうでしたか」
美羽がトイレにむかって歩き出す。
「もう一度聞くわ、貴方、どこに行くつもり?」
「ですからトイレと・・・」
「白々しいわよ、下手な芝居は止めなさい、美羽の形をしただれかさん」
レミリアから殺気が放たれる。
「くくく・・・おみとうしか・・・さすが、吸血鬼だ・・・その目は節穴じゃないな」
「貴方の隠し方があまいのよ、雰囲気が全く違うもの」
「それは失礼、しかし今は暇ではないのでな・・・しつれいする」
美羽だったものは振り返り通り過ぎようとする。
「あら、誰が許可したのかしら?」
「誰だっていい、私は今急いでいるのだよ」
「そう、なら強行突破してみせなさい」
「く、吸血鬼のガキが」
「言ってくれるわね」
レミリアが高くジャンプし壁につく。
「そういうのは私を倒してから言いなさい!」
そして壁をけり一直線に疾走する!
「生憎さっきも言ったとおり相手をしている暇は無いのねこれで勘弁してもらおうか」
そしてレミリアの目の前に巨大な黒い壁が現れた。
「な!?これは!?」
それは館を断裂させるほどの巨大な空間の穴であった。
「くくく・・・また後でな、吸血鬼よ」
「まちなさい!」
そして巨大な穴が閉じるとそこにはもう誰もいなかった。
「咲夜!」
「は!」
「探すわよ!」
「は!」
そしてその場所からは誰もいなくなった・・・。





つづく。


作品集その46
前途多難な食料調達
孔を操る程度の能力
孤独からの生還

作品集その47
雨の日の憂鬱

作品集その48
今宵の宴会、酒の恐怖
店先の黒き希望

作品集その49
幻想郷一人ツアー



前作で要望があったのでまとめてみました。
一度全部読み返すと最初がヒドイことが良くわかりますね。
さて、こんかいの話で最後にちょろっとでてきたあの方は何か。
そうやって気にしていただけると幸いです。
ではまた次回もよろしくお願いします。
ハチ
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漢字変換がちゃんとされていない所為か、
ちょっと読みにくい感じはしましたが面白かったです。

今後の展開が非常に気になるところですね、期待してます。