Coolier - 新生・東方創想話

弐符―表と裏と

2008/02/11 11:46:14
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この作品は『壱符―恋色の悩み』の続編に当たります。
先にそちらをお読みいただくことにより、味噌だけの味噌汁にダシが加わる程度に味が変わります。鰹ダシと昆布ダシの二種類がありますが、時間帯によっては選択出来ません。ご了承ください。






 博麗の巫女の仕事といえば、庭に適当に箒を掛けて、その合間に空の賽銭箱を覗いては綺麗な涙を眼に浮かべ、それからおいしいお茶を飲む程度のものだった。
 鬱蒼と生い茂っていたはずの木々は秋の中ごろから我先にと脱皮し、今ではそのほとんどが、己が裸体を惜しげもなく見せ付けている。
 そんなこともあって、半日掛けて掃除するには狭すぎる庭を、大げさすぎるくらいゆっくりと撫でても、やはり昼下がりには一服入れていた。
 縁側に腰掛ける紅白の巫女、博麗霊夢は、無表情で空を見上げた。
 思うところは、いろいろある。
 私が何となしに言ったことに、明らかに過剰反応したあいつが、どう考えても喧嘩の発端だし、だからといって、カチンときた私が言いすぎた部分が無い訳でもない。と言うか、柄にも無く本気で怒鳴りあっていた頃には、理由なんて忘れていて、わけも分からないまま相当酷いことを言った――気もする。
 我ながら、情けない。
 今日あいつが顔を見せないということは、まだ怒っているのだろうか。あいつならもうケロっとしてそうなものだが、妙にアンニュイでナイーブなところもあったりする。
 私から会いに行ってもいいのだろうけど、普段ならあいつから会いに来る。本当に子供っぽいのは分かっているのだが、負けを認めたみたいで嫌なのだ、会いにいくのは――
 妙に達観しているとの評がある霊夢も、たまにはこんなことで悩んだりする。その悩みが常に白黒に巻かれていることに、勘のいい巫女は気づいていない。
 霊夢はその身を大きく震った。
 のんびりと吹く風は、しかし凍えるほどに冷たい。
 それでも縁側でしかお茶を飲まないのは、霊夢にとって、ある種の意地でもあった。
「ぷっは」
 お茶を啜っての一息は、ため息にも似たものだった。
 思うように働かない頭で色々と考えながら、いつの間にか鳥居を見つめていた。何故か妙に気恥ずかしくなって、ふっと目線を落とす。
「まあ……」
 気にすることでもないか。
 霊夢はそんな意味のつぶやきをもらして、利益にならない思考をぱっさりと斬った。こういう所は、やはりどこか達観している。
 もう一度湯飲みを胸元まで運ぶと、自分の情けない表情が映るお茶をにらみつける。それから淵を唇に沿わせ、少しだけ含んだ。
 直後に、眉をひそめる。
 空気が変わった。重くなった。
 嫌な予感がする。
「巫女の勘か?」
 頭上から、どこに居ても聞こえそうなほど張りのある、聞きなれた声がした。
「魔理沙」
 博麗の巫女は、なんとなく予感していた来客者に、湯飲みを口元に当てたまま、短く呼びかける。
 そして、ゆっくりと降りてくる魔理沙を待つ。箒から飛び降りたその姿に驚く。
 エプロンドレスではなく、真っ黒なマント。出会ったころの、魔理沙。
 霊夢は懐かしさを感じたが、同時に違和感も膨らんだ。
「その格好、やめたのかと思ってたわ」
「いんや。引退試合をした記憶は無いぜ」
「そう。やっぱり、うふうふ笑うのかしら」
「うふうふ」
 適当に受け流す魔理沙。彼女には到底持ち得るはずの無い、奇妙な敵意を感じ取った。
 悪い予感、半ば的中。
 たとえ当てが外れたとしても、ふっかけてはみようと思う。ちょっとした勇気を持って、霊夢は問うた。
「あなた……魔理沙じゃないわね」
「おお」
 おどけたように驚く魔理沙。「なんだそりゃ」と笑うないし訝しげりはしない。
「よくぞ気づいてくれたな。わたしは正義のヒーローの姿を借りた、正義のヒーローだぜ」
 いつもにも増して、ひん曲がった受け答え。
 予感、完全に的中。ややこしい事になりそうだ。
 眉間に指を押し当てる霊夢。
 それを見据えて、魔理沙は薄く笑った。
「さて、正義のヒーローの目的はだな、紅白のお姫様との弾幕勝負(殺し合い)だ。弾幕ごっこ(ゲーム)じゃないぜ」
「ヒーローが退治するのは、魔王か妖怪かゴリラくらいのものよ」
 軽口を叩いた霊夢だったが、弾幕勝負という魔理沙の言葉を冗談だとは思えず、どうも戦う気にはなれない。
 まあ、いざという時は、いくらでも手を抜けるのだが。
「そんな事はどうでもいいんだ」
 霊夢の心中を知ってかしらずか、無駄話はこれくらいにと、魔理沙は再び箒をまたぎ「さて」と切り出した。
「妙なことは考えるなよ、霊夢。動けば撃つ、逃げても撃つぜ」
「そうね。逃げなんてしないわ」
 ちょっとズルはするかもだけど。
 飛び上がる魔理沙に続いて、湯飲みをそっと置いてから、霊夢も地面を蹴った。
「さて、マジカル・クエスト――サブタイトル、乙女たちの沈黙。華々しくオープニングだぜ」
 不敵な笑みで、意味の無い言葉を高らかに宣言した魔理沙は、しかし動かない。
 五秒、十秒、十五秒――両者にらみ合い、無言のままの時は刻々と過ぎる。
 それからさらに三十秒後、痺れを切らして先に動いたのは、例に無く、霊夢の方だった。
 魔理沙は心中ほくそ笑んで、第一撃を難なくかわした。



 巫女が牽制の札を放つ、ちょうど二時間と十二分前。
「ああ、もうっ!」
 魔理沙の怒声は、屋敷の壁を突き抜けて、森の遠くまで響き渡った。
 その声は、さらに続く。
「解けって言ってんだろこの偽者っ!」
「わたしを捕まえて偽者ってのはアレだぜ」
 椅子にきつく縛られている魔理沙の怒りは、目の前に立つ全裸の少女に向けられていた。
 その姿があまりにも自分にそっくり、というよりも自分そのもので、魔理沙は遅すぎるおはようを自分に言った直後、絶句することとなった。
 それもほんの二分ほど前の話で、手首と胴体のロープをはっきりと認識した今では、普段よりさらに語気荒くわめき散らしている。
「そんなわけのわからんことはどうでもいいからさっさと――」
「霊夢に会いに行ってくるぜ」
 この言葉に、流石の魔理沙も固まる。
 待ってくれ。謝りに行くのは、私の役目だ!
 そう言ったつもりだったが、少女の耳に届いたのは、砂漠の砂のように乾いた喘ぎ声だけだった。
 それに反応した少女は、魔理沙に近づき、膝に手をついてしゃがむ。あごを持ち上げられると、互いの鼻が触れそうなくらいの距離だった。
 何が言いたい。
 いやらしく笑う自分と同じ顔が気持ち悪くて、目線を下げる。すると、まったくなだらかな胸腺が目に付き刺さる。思わず目を閉じた。
「やめろよ。わたしまで傷つく」
「……ゴメン」
 心底申し訳なさそうに謝る魔理沙に、少女はため息をついて、あごから手を離した。
「まあ、発展途上ってやつだ」
「まったくだぜ」
 二人は同じ表情で、同じように笑った。
 乾いた笑いも尽きたところで、魔理沙は口を開く。しかし、今度は叫ばずに。あくまで冷静で、出来るだけ威圧的に。
「お前は、何なんだ?」
 質問された少女は、不敵に笑んだ。
「わたしは、本当の私自身だぜ」
「答えになってないぜ、偽者」
 ピシャリと言い放つ魔理沙に、少女――偽魔理沙は、どこと無くあきれたような表情をした。
「わたしは、私、つまりお前の、あらゆる感情の『いちばん奥底』だけを持った存在だ」
「私の、いちばん奥底?」
 雄武返す魔理沙に、偽魔理沙はうなずく。
「やっぱり、訳が分からん」
「いずれ分かるぜ」
 偽魔理沙はこれだけ言って、後の問いにはすべて答えなかった。

 ひと悶着の後、偽魔理沙は台所へ向かった。
「腹が減ってはいい草刈れぬ。ってやつだ」
 何か間違っている気もしたが、おいしそうな白米の匂いと自分の腹の音に、指摘する気も削がれた。
 おおよそ二十分掛けて、朝食――もう昼間もいいところだが――にしては贅沢すぎる品を、わざわざ魔理沙の目の前で平らげた偽魔理沙は、たいそう満足そうに腹をたたいて「さて、行くかっ!」と声を張った。
「お、おいっ!」
 慌てる魔理沙に、偽魔理沙は気だるそうな視線を向けた。
「何だよ。テンションが滝のようだぜ」
「そりゃいい勢いだな」
 皮肉に皮肉を返された偽魔理沙は、何故か妙に納得したように、手のひらを拳で叩いた。
「で、何の用だ?」
「その格好で外に出るのだけはやめてくれ」
 目を伏せがちの魔理沙の懇願にも似た助言に、偽魔理沙は「ああ、そうだった」。また手のひらを叩いた。
 偽魔理沙は、縛られている魔理沙の背後にあるタンスに、大股で向かった。魔理沙は色々と恥ずかしくなり、頭を抱えたくなった。しかし、両腕の自由は利かない。
 タンスを開いた偽魔理沙は、服を無造作に漁りだした。
「同じ様なのばっかだな」
「悪かったな。気に入ってるんだよ」
 魔理沙は、ばつが悪そうに頬を赤らめ、膨らます。
 あいつが――霊夢が可愛いって言ってくれたから。なんてことは、口が裂けても言えない。
 ひとりときめきに胸を高鳴らせる魔理沙には目もくれず、偽魔理沙は服を散らかし続ける。
 程なくして、
「この服、借りてくぜ」
 ほんの少し文明度を上げた偽魔理沙が、魔理沙の前に現れた。
 驚愕。魔理沙は大きな目を更に見開く。
「ま、まてよ。その服……」
「ああ、なかなか似合ってるだろ」
 満面の笑顔でそう言って、モデルのように身体を一回転させる。
「ちょ、そうじゃなくて――」
「んじゃな、元気で居ろよ」
「お、おいっ! 待て――」
 手をひらひらと振って出て行く偽魔理沙を止めようと、魔理沙は飛び出した。そして、転ぶ。縄で縛られているのを、すっかり忘れていた。
「わ、私の人生の汚点! ってか縄を解けっ! 何しに行くんだっ! おい――」
 石畳に転がり無力の抵抗を続ける魔理沙を一瞥して、偽魔理沙は予備の箒に飛び乗り、地面を蹴った。
 空高く舞うその姿は、闇よりなお暗かった。



 霊夢の額を伝う汗は、次第に量を増していった。これが冷や汗だとは、思いたくない。
「ひゅっ」
 短く息を継いだ霊夢は、滑らかな動きで、針を三本放つ。
 目にも留まらぬ速さで標的に向かうそれは、しかし空を切った。
 魔理沙は、いつの間にか降下していた。
 ――速い、速すぎる。
 戦闘が始まってすぐは鷹をくくっていた霊夢に、今は微塵の余裕も無い。
 普段から、魔理沙の動きは誰よりも速い。
 しかしいざ戦闘となると、隙無く立ち回る霊夢の方が、大雑把な魔理沙の動きよりも、相手にとって断然厄介なのだ。
 ところが、今日の魔理沙に、無駄はない。
 全ての攻撃を最低限の動作で避け、一瞬で次の攻撃を組み立てる魔理沙の戦闘パターンは、霊夢そのものだった。
 それでいて、基礎的な速さ、弾幕一発ごとの威力は、いつもと変わらない。
 ホントに、殺されるかも。
 状況を再認識した霊夢は珍しく、苛立ちに任せて舌打ちをした。
「そりゃっ!」
 針を避けた魔理沙は素早く箒を捌く。霊夢の前後左右に、星型のゆっくりとした弾幕をばら撒いた。
 焦りに隙を生んでしまった霊夢の視界と退路は、そのほとんどが絶たれた。
 じれったい。
「ああ、もうっ!」
 パワー勝負はどこ行ったのよっ!
 誰かと同じ様な叫び声をあげ、しかし今度は冷静に努める。どこから攻撃が来てもいいように、霊夢は構え直した。
 その時。
 ふっと正面の弾幕が開ける。
 中央を、流れ星のようなスピードで、何かが突っ込んでくる。
 攻撃で跳ね返すような暇は無いと判断した霊夢は、左へ身体をそらして――腕に激痛を感じた。
 まずい。私の周りだけ、星が狭まって――
 次の瞬間には、箒の先が腹をえぐっていた。
「っ――!」
 食い縛った歯の隙間から声にならない呻き声を上げ、霊夢は後方へ吹き飛ぶ――そして、終わりを悟る。
 背後には、大量の星。
 吹き飛ばされた勢いそのまま、背は星に迫る。
 巫女衣装の紅(あか)が削られ、そして――
 
「泣きっ面に、星屑のつぶて。ガンガン痛むこと請け合いだぜ」
 弾幕に突っ込んだ魔理沙自身、相当傷ついていた。ご自慢の魔女帽は、突撃の際に星屑に飲まれており、柔らかな金髪の天辺も、ほんの少しだけ焦げていた。
 それでも焦ることなく、しかし一瞬で星々の包囲網から抜け出すと、あとは高場から余裕の表情で次第に内に集まる終わりを眺めるだけだった。
「殺し合いとは言ったが、なに、死ぬことは無――」
 直後、髪の毛が柔らかに揺れる。
 木枯らしのせいじゃない。
 頭上に、気配。
 しまった、背後を取る技が――
 あわてて振り返ったのが、仇となる。
 顔面に、靴がめり込む。今まで感じたことの無い、重く鈍い衝撃。
 首から先が吹き飛ぶような感覚と共に、鮮血が鼻から噴出す。
 魔理沙は一瞬気を失い、箒から落ちた。
 かろうじて箒をつかんだ右手の先に映ったのは、ボロをまとった博麗霊夢その人だった。
「秘儀、幻想空想穴!」
 普段は秘儀でも何でもない技を、疲れきった表情で、それでいて得意げに、霊夢は言い放った。
 悔しそうな苦笑いで、魔理沙は言い返す。
「技名は先に叫ぶのが礼儀だろ。ってか、ワープは卑怯だぜ」
「ワープじゃないわ。幻想空想穴よ、げんそうくうそうけつ」
 ふわふわと浮く霊夢は、魔理沙の間違いを正すと、乱れた服装を気持ち正す。それから頭に手をやって、顔が少しこわばった。
 お気に入りのリボンだったのに――
 ささやかな、それでいて当人には中々重たい怒りをどうにか抑え、霊夢は冷ややかに言った。
「さあ、まだやるのかしら?」
 魔理沙は箒にぶら下がったまま、残った左手で鼻を撫で、力なく笑った。
「今日はこのくらいにしといてやるぜ」
「はいはい」
 霊夢は魔理沙に、みみず腫れの左手を差し出した。魔理沙は、ためらい無く受け取る。
「よっと」
 掛け声とともに引っ張り上げられた魔理沙は、ふらつく頭をかばいながら、やっとこさ箒をまたいだ。それからすぐに手を振りほどき、どこと無く寂しそうな霊夢に告げる。
「また来るぜ」
 明らかな敵意のこめられた言葉に、霊夢は無言と、静かな微笑で返す。
 しばらくそのまま見つめあうと、魔理沙は箒の先を反らし、猛スピードで飛び去っていった。
「また来るぜ、か……」
 同じ手は、使えないんだろうな。
 独りつぶやいたが、次の瞬間には、戦闘で吹き飛んだ微量の木の葉を掃除するために、箒を取りに戻っていた。



「しーしょー」
 永遠亭を泳ぐ間の抜けた声。なんとなく癇に障ったが、「えーりーんっ!」じゃないだけマシだ。ああ呼ばれて厄介ごとに巻き込まれなかったのは、数えるほどすらない。
 ランプひとつだけを明かりとする部屋の中、永琳は読みかけの書物をそっと戸棚に戻した。
 間もなくして、軽く戸を叩く音が三度。石造りの部屋に軽快に響き渡る。返事を待たずに入ってきたのは、案の定、鈴仙だった。
「どうしたの、ウドンゲ」
「いえ、たいした用はないのですが――」
 ならば、あんなに遠くから叫ぶな。嫌な予感にゾクゾクしちゃうから。
 永琳はそう思ったが、話を折ると色々面倒なので、何も言わないでおいた。
「――私の作った、対生物用の『分裂の薬』、どこにあるか知りませんか?」
 あの話か。永琳は胸を撫で下ろすと共に、いつからか自分に薬作りを教わり始めた弟子の処女作を頭に浮かべた。
「ああ。あれなら、譲ったわ」
 なんでもない風に言う永琳に、鈴仙は怒るでもなく、不思議そうな顔をした。
「あんな失敗作、誰にあげたんですか?」
「あら。失敗作だなんて。明確な意思を持つ分身が出来るなんて、面白いじゃない」
 鈴仙の質問には答えず、永琳は彼女なりの自然な笑顔を作った。
 その辺にいた鷹に薬を試した時、鈴仙、遠くまで追いかけられてたっけ。
 めったに見ない楽しそうな永琳――楽しそうな師匠の影には、涙目のうさぎがよく似合う――に不気味なものを感じながらも、鈴仙は「そうでしょうか」とだけ言った。
「勝手に持ち出しちゃ、拙かったかしら?」
「いえ。処分しようと思っていたので。持っていても、何の役にも立たないですから」
「あら、そう」
 感情なくつぶやいて、永琳は再び読書に戻る。
 そこでやっと、思いつく。私がわざわざ出向くことも無いじゃないか。
 永琳は慌てて「失礼します」と立ち去る鈴仙を呼び止めた。
「どうしました?」
「きっと面白いものよ」
「何がです?」
 怪訝そうな鈴仙に、永琳はくすりと笑んだ。
「お遣いよ、ウドンゲ。白黒のところへ行って頂戴」
「……へ?」
 思わぬ目的地に、鈴仙の眉間に刻まれたしわは、更に増えた。
 それでいて餌を目の前にした犬のようにぱっくりと口を開けているのが、おかしくて仕方ない。それでも魔理沙のときのように爆笑することはなく、永琳は我ここに在らずな鈴仙の額を小突いた。
「あう」と呻いた鈴仙は、恨めしそうに永琳を覗いた。
「まあ、行ってきますけど。……でも、何の用があるんですか? あんな奴に」
「行ってみれば判るわ。明日でいいから――そうね、他人を慈しむ心か愛でる心を、少しだけお土産に持っていきなさい」
 それから永琳は、「もういいわ」と言わんばかりに、三度本に視線を落とす。
 鈴仙は首を傾げかしげ、しかし「はあ」としか答えずに立ち去った。
簡易評価

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コメント



0.190簡易評価
5.無評価名前が無い程度の能力削除
>三度本に視線を落とす。
再度?