Coolier - 新生・東方創想話

霖と妖夢と魂魄さん

2008/02/04 12:38:22
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季節は夏、夕暮れ時の香霖堂、僕はたくさんの幽霊に囲まれながら一人の少女と向き合っていた。
少女の名は魂魄妖夢、以前店に人魂灯を買いに来た少女だ。

「それで、今日は何をしに来たんだい?」
「あの、またこちらに幽霊が集まっているので人魂灯が来てないか確かめに来たんです」

どうやら妖夢はまた、人魂灯を探しにきたようだ。
僕が今、幽霊に囲まれている理由は、先日再び拾った人魂灯が幽霊を集めているからにほかならない。
妖夢が人魂灯を求めてここにやった来たのは正解だろう。

「確かにうちに人魂灯はある。しかし、前にも言ったと思うけどこれは珍しい物で値段も相応だよ」
「うう、持ち合わせが無いのですがどうにか返してもらえないでしょうか……」
「またなのかい?前回も無一文だったじゃないか、無駄遣いは感心しないな」
「無駄遣い以前にお給金をもらってませんから……」

彼女の言葉に僕は驚きを隠せなかった。

「給金をもらっていないって……君は何のために働いているんだい?」
「幽々子様をお守りするのが我が家の役目ですから。それに、寝床も食事もおやつももらえます。」

一日働いて報酬は食事と寝床だけとは……
家の役目とはいえ、それではいくら働いても生活が豊かにならないのでは無いのだろうか。
一瞬頭に奴隷という言葉が浮かんだが口には出さないでおこう。
他人の家の事情に口を出す物ではない。

「そうだ!今度おやつを持ってきます。それと交換でどうでしょう。幽々子様のおやつっておいしいんですよ~」

妖夢は名案を思い付いたかの様に手を叩いた。
どうやら本気でおやつと人魂灯を交換できると考えているらしい。
まったく霊夢といい妖夢といい、幻想郷には物の価値を知らない奴等が多すぎる。

「残念だけど人魂灯とおやつじゃまったく価値が釣り合わないよ」
「そんなぁ、ほかに交換できる物なんてありませんよ」
「そうかな?君が背負っている刀と交換ではどうだい。見たところなかなかの業物のようだ」

妖夢の背負う楼観剣と白楼剣は以前から目を付けていたものだ。
妖怪の鍛えた刀に人の迷いを断つ刀、これはなかなかに珍しい。

「これは我が家の家宝と先代からの頂き物なんです。どうかこれだけは勘弁してください」

両手を広げ刀を庇う様に後ずさる妖夢、どうやら刀を手放す気は無いようだ。
これはなかば予想道理の事である。

「となると、前回みたいに体で払ってもらうことになるけど」

前回、妖夢に人魂灯を売ったときは労働力(香霖堂の雪かきと雪下ろし)を対価にしたのだ。
今回もしっかり働いてもらうことにしよう。
店内の掃除にいらない物の分別、重くて持ち帰れなかった物の運搬など仕事はいくらでもある。

「それなのですがもうすぐお盆ですので明日あたりから幽霊の誘導をしなければいけないのであまり時間が……」
「今日はもう時間が遅いから君が働ける時間がほとんど無いじゃないか。つまり君はお金も無ければ交換できる物も無く、ここで労働もできないのに商品がほしいと言いたいわけだな」
「ううぅ、そういうことになります」

どうやら物の価値を知らないところだけでは無く、商品をツケで持っていこうというところまで誰かに似てきているとは……
だが、このまま人魂灯を渡さず妖夢を追い返しては、彼女の主人である白玉楼のお嬢様を怒らせることになりかねない。
彼女の主人はかなりの力を持つ亡霊らしいので機嫌を損ねるのは得策ではないだろう。
しかし、夏を涼しくすごせる人魂灯をただで渡すのは惜しい。
……そうだ、夏を涼しくすごすための道具は、なにも人魂灯だけではない。
僕の頭に閃くものがあった。

「そういえば君の仕事はどんな内容なんだい?」
「私の仕事は白玉楼の庭手入れと幽々子様の剣術指南とお屋敷の見回りとお使いですね。あと、お盆と彼岸には幽霊の誘導もします」
「その時、君の幽霊は何をしているんだい?」
「私の傍にいますけど」
「君の手伝いをしているわけではないんだね?」
「そうですが……って、まさか!?」

どうやら妖夢も僕が何を言いたいのか分かったらしい。
つまり

「その幽霊をしばらく貸してくれればいい。なに、ずっととは言わない。暑い間だけでかまわない。そうだな今月の終わりには過ごしやすい気温になってるんじゃないかな」

妖夢の半身である幽霊を対価に人魂灯を売るという訳だ。

「そんなぁ、この子は私の半身ですよ、それを置いていけなんて酷過ぎますよぉ」
「お盆に帰ってくる幽霊の誘導に人魂灯は必要なんだろう。それとも君にはほかに差し出せる物があるのかい?」
「ううぅ……分かりました。ちゃんと来月には返してくださいよ」
「それは約束しよう」

交渉成立だ。



「ちゃんと迎えに来るから、明日会いに来るから、毎日会いに来るから、元気でやっているんですよ」

ふよふよふよふよ

幽霊との別れを惜しみ、慰めの言葉をかける少女と、同じく少女との別れを惜しみ少女のそばでふよふよ揺れる幽霊。
今生の別れでもあるまいし、いささか大げさ過ぎるような気もする。

「さて、もう日も暮れてしまったし、そろそろ店じまいだよ」
「ううぅ、今日のところは帰りますけど、私のいない間にこの子に変なことしないでくださいよ!」

すっかり日の暮れた森へと走り去る妖夢を、僕と幽霊は見送った。



さて、僕の拾った人魂灯と妖夢の幽霊では、同じ部屋を冷やしてくれ物という点は同じだが、幽霊は貸し出し期限がある分僕のほうが損をしているのだが……
そのあたりは、毎日来ると言っている妖夢を働かせてバランスを取ることにしよう。


~☆~


妖夢も帰り静かになった店内を見回し一息ついた。
今日はいろんなことがあったものだ。
疲れたので早く休むとしよう。
僕は妖夢が出て行ったドアの近くをいつまでも漂う幽霊に声を掛けた。

「幽霊に食事などは必要なのかい?」

ふるふる

こちらを振り返り、横に揺れる幽霊
どうやら食事の必要ないようだ。

「それでは何も用意しなくていいね?」

こくこく

縦に揺れる。
彼女が食事を取らないのなら今晩の夕食は無しにしよう。
半妖である僕に食事は必ずしも必要な物ではない。
それよりもさっさと風呂に入って休みたいのだ。

「僕はこれから風呂に入るのだけど…… よく見れば君もだいぶ汚れているじゃないか、一緒に来なさい」

ふるふる

「なに子供が遠慮なんてするもんじゃない。女の子は綺麗にしておくべきだ。それとも君は一人で体を洗えるのかい?」

どうも風呂に入るのを遠慮しているようだが、早く風呂に入れてしまおう。
こんな汚れたまま家をうろつかれては困るのだ。
人間の妖夢ならともかく相手は幽霊だ、幽霊には僕に見られて困るような物は付いていないし、僕も目も無い様な相手に恥ずかしがる必要も無い。
子供、幽霊、女の子の都合のいい部分だけを押し付けているような気がしないでもないが、それが大人という物だ。
妖夢の幽霊を追い立てるように風呂場へと向かった。


/


お札などを用いてどうにか風呂場まで妖夢の幽霊を連れ込むことに成功した。
ここに来るまでは抵抗していたのだが、今は観念したのか大人しくなっている。
まな板の鯉ならぬ風呂場の幽霊といったところか……
いや、これからが本番だ。
幽霊は冷たい、手早く洗ってしまわないとこちらが凍えてしまいかねないのだ。

「それでは、いくよ」

目の前の幽霊にお湯をかけ、汚れを落とすべく手を伸ばした。

「これは!」

僕の手には冷たさと共に不思議な感触が伝わってきた。
ふわふわとやらかく、すべすべしているのにしっとりともしている……
思えば僕もそれなりに長い間生きてきたが幽霊を触るのは初めてだった。
くすぐったいのか急に暴れだした幽霊を押さえつけ、僕は幽霊を撫で回し続けた。

「ふむ、幽霊の体とはなかなか興味深いものだな」






そのころ白玉楼にて

「あら、どうしたの妖夢、顔を真っ赤にして、熱でもあるの?」
「いえいえ、幽々子様熱なんてありません。ただ……」
「ただ?」
「今、すごく恥ずかしいことをされている気がして」
「誰も何もしてないわよ。変な子ね」


~☆~


夜中、寝苦しさを感じ目が覚めた。

「暑い」

夜中とはいえ今は真夏、暑いのは当たり前だ。
その暑さを解消するため、妖夢から幽霊を借り受けたのである。
今はその幽霊がこの部屋を冷やしていてくれるはずなのだが……

「逃げられたか?」

部屋を見渡してみたが肝心の幽霊は見当たらなかった。
これなら暑くて当然である。
僕が寝る前までは枕元で丸くなっていたのだが、寝ている隙に出て行ったのだろう。

「出て行くなら一声かけてくればいいのに」

居ないものは仕方が無い。
諦めて再び布団に入ろうとした時、障子に写るふよふよと揺れる影に気付いた。

「外にいるのか?」

僕は影の正体を確かめるため、部屋を出て店の裏に向かった。


/


外に出て辺りを見回したのだが問題の人影……いや、幽霊の影は見あたらない。
見間違いだったのか?
おかしなものだと思いながら、ふと空を見上げた。
そこには大きな月とそれを見上げる妖夢の幽霊がいた。
月の光に照らされる幽霊の姿はどこか儚げで、このまま放っておくと月に帰ってしまうのではないか、そんな不安に駆られ僕は彼女に声をかけた。

「こんな夜更けにどうしたんだ。暑かったから涼みにきたのかい?」

こちらの存在に気付いたのか彼女は僕のそばまで降りて来て体を震るわせた。

ふるふる

どうやら涼みに来たのではないらしい。

「じゃあ、僕と同じ部屋で寝るのが嫌だったのか?」

ふるふる

これも違うのか。
夜中に一人で月を見上げる理由となると……まさか。

「……妖夢と離れて寂しかったのか?」

…………

答えは無い。
だがこれが正解なのだろう。
彼女は自分の半身と離れて寂しがっている。
それに気付いたとき哀れみよりも先に戸惑いが生まれた。

自分とは違う自分というものをそんなにも想えるものなのだろうか?
彼女にしてみれば、少女妖夢の方が出来る事が明らかに多いのだ。
劣等感はなかったのだろうか?
どうして自分とは違う種族をそんなにも受け入れられるのだろう……

「君は妖夢と分かれて別の生き方がしたいとは思わないのかい?」

ふるふるふるふる

少しの間も無く否定される。
この幽霊妖夢は本当に少女妖夢のことを好きなのだろう。

今まで、僕と同じ半人である妖夢になにか親近感のようなものを感じていた。
だがそれは錯覚だったようだ。
僕は彼女ほど自分を好きにはなれない。
長寿であるがゆえに人からは受け入れられず、妖怪として生きるには非力すぎる。
少しばかり病気になりにくいのと、人間と妖怪どちらからも襲われにくいことくらいしかメリットも無い。

「君たちのように体が二つあれば、僕も自分の事を好きになることが出来たのだろうか……」

そんな僕の言葉に彼女は不思議そうにしている。
まったく、僕は何を口走っているのだろう。

……ふよふよふよ

彼女は僕の傍に寄り添い、微かに触れるようにして揺れている。
それはまるで僕を元気付けるかのように……

「もしかして、慰めてくれているのかい」

こくこく

ああ、やはり彼女は僕と違う物なのだ。
この子は、寂しがっている彼女を前にして自分のことを考えていた僕と違い、人を慰めることができる優しい子なのだろう。
僕はそんな子に寂しい思いをさせていることになる……

こんな感傷的な事を考るなんて、僕はいったいどうしてしまったんだろう。
これは、香霖堂では生き物を扱わない、その信念を曲げた報いだろうか。
骨が道具じゃないように、幽霊もまた道具ではない。
人魂灯の代金に彼女を要求するべきではなかったのだ。

「明日、妖夢が来たら一緒に帰るといい」

彼女は人魂灯の代金としてではなく客人として香霖堂に泊まっていった、そう思うことにしよう。
そうすればさっきのように体が二つあれば、なんて馬鹿な考えも止めることができるはずだ……
我ながら無茶な理論だと思うが、そうでもして自分を無理にでも納得させないと、落ち着いて眠ることも出来無い。

「さぁ、もう遅いし君も早く寝るといい」


~☆~


一晩明けて妖夢の幽霊はどうにも落ち着きの無い様子だった。

ふよふよふよふよふよ

「少し落ち着いたらどうだい」

僕は朝から何度目になるか分からない言葉を吐いた。
ゆっくりとした時間をすごす事が少なかった為か、人様の家が落ち着かないのか、妖夢が迎えに来るのが待ち遠しいのか、おそらくそのすべての要因で彼女は今も香霖堂の中をせわしなく飛び回っている。

「心配しなくてもそろそろ妖夢が来るころだろう、ほら蝉の声に混じって足音がきこえるだろう」



カランカラン

「妙に涼しいな、いつから香霖堂は幽霊を取り扱うようになったんだ」

入り口の方からかけられた声に僕はため息をついた。
どうやら訪問者は落ち着きの無い彼女の待ち人ではなかったようだ。
ノックも無く店に入って来たのは霧雨魔理沙、この店の常連にして商品の強奪とツケの常習犯である。

「彼女は僕の個人的な客だよ。それよりも魔理沙、いつも言ってると思うが―――」
「勝手に入ってくるな!だろ。ちゃんと覚えてるよ。」
「分かっているなら実行してほしいものだけどね」
「それとこれとは話は別だぜ。それよりもさっきその幽霊のこと彼女って言ったけど香霖の知り合いなのか?」
「君も知ってると思うが彼女は魂魄 妖夢の幽霊だよ」

僕は魔理沙に昨日起こった事について話してやった。

「じゃあ、もうすぐ妖夢もここに来るわけだな。それまでこれでも読んで待ってるか」

魔理沙は売り物の本と店内を漂っていた幽霊を掴み売り物の壷の上に腰を掛けた。

「魔理沙、何度もいってると思うが―――」
「売り物の上に座るな!だろ。香霖もいい加減学習しろよな」

まったく何度言っても聞かない奴だ。
僕は魔理沙に文句を言うのを諦め、手元の本に目を落とした。
魔理沙も本を読んでいる間はおとなしくしているだろう。
妖夢が現れるまで、束の間の平穏を堪能するとしよう。


/


魔理沙が現れてから半刻ほど過ぎた頃だろうか、騒がしいノックの音と共に一人の少女が飛び込んできた。

「お邪魔します!あの子は元気にしていますか!」

妖夢である。
人魂灯を片手にやって来たところを見ると幽霊の誘導の途中に寄ったのだろう。

「お、やっと来たなハレンチ娘」
「なっ、魔理沙! 何ですかハレンチ娘って!」
「昨日、香霖と一夜を共にしたらしいじゃないか」
「な、な、な、一夜を過ごしたのは幽霊の部分であって変な意味じゃなくってその子は私であって私じゃ無いんです!ハレンチなんかじゃありません!!」

ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべる魔理沙に妖夢は真っ赤になって反論している。
慌てているせいか、言っていることも滅茶苦茶だ。
そのような反応をするから面白がってからかわれるのだろうにその事に気づいてはいないようだ。

「落ち着きたまえ、魔理沙もあまり人をからかうもんじゃない。それに魔理沙や霊夢も何度もここに泊まってるだろ」
「そうだったぜ。妖夢だけでなく私や霊夢にまで手を出すとは、ハレンチなのは妖夢じゃなくて香霖のほうだったな」
「ええぇ!! そうだったんですか!? そんな人のところにこの子を置いては置けません。つれて帰ります」

妖夢はいつの間にか魔理沙の手から逃れていた幽霊をしっかりと抱きしめ、こちらをにらんでいる。
その表情は真剣で、徹底抗戦も辞さないといったところだろう。
まったく、人のことをそんな目で見ないでほしいものだ。

「あまり魔理沙の冗談を真に受けるんじゃない。君がハレンチ娘じゃ無い様に僕もそんなものではないよ」
「でも、魔理沙や霊夢も泊まったって、男の人の家に女の子が泊まるのはそういう意味なんじゃ……」

まだまだ子供にしか見えないのだが、こういった知識はいったい何処から仕入れてきているのだろう。

「魔理沙と霊夢が家に泊まったのは流星群を見るためであって、君が思っているようなことは一切無いから安心したまえ」
「そうなのですか?」
「それに魔理沙と霊夢は一緒に泊まっていたんだ。手なんて出せるはず無いじゃないか」
「……3ぴ……いえ、分かりました、信用します」

どうにか納得をしてくれたようだ、これでやっと本題に入れる。

「それと君の幽霊だけど連れて帰ってかまわないよ」
「え、良いんですか、でもどうして急に?」

昨日の今日で返すなど急な心変わりを不思議に思うのも仕方が無い。
だからといって昨日の夜に頭をよぎった馬鹿な考えを説明する気も無い。

「人魂灯を落としたのは君の幽霊じゃなくて君自身だろう?君の失敗を彼女が償うのはおかしいと思っただけだよ」
「ううぅ、その通りなんですが」
「御代はツケにしておく、そのうち払いに来てくれればいいよ」

いまさらツケの一つや二つ増えたところで変わりは無い。
それに妖夢なら魔理沙と違ってツケを踏み倒すことも無いだろう。

「ありがとうございます。近いうちに必ず払いに来ます」
「それとこれをもっていくといい」

僕は幽霊に近づき、彼女の尻尾に黒い布を結んでやった。

「このリボンは?」
「成り行きとはいえ一日働いてもらったのは事実だからね、それは給料の代わりだよ」

この布は幽霊に触れることが出来る特別製だ。
本来はありがたい言葉などを書いて幽霊や亡霊に貼り付け懲らしめるためのものだが、黒い物は文字も書き難いため人気も無い。
それを細く加工しておいたのだ。
一日の日当としては安いのだが、お互いのリボンを触ってはしゃいでる妖夢達を見たところ喜んでもらえたようだ。

「ありがとうございます、えへへ、お揃いですよ」

「お揃いだな」

その声に後ろを振り返るとニヤニヤと笑う魔理沙、そしてトレードマークである頭の帽子にはいつの間にか黒いリボンが結んであった。
私もお揃いだぜとでも言いたいのであろう。

「せっかくの感動を台無しにされた感じが……」
「仲間はずれはよくないぜ」

静かだと思っていたのだがろくな事をしない。

「ところで、その幽霊今度は私に貸してくれよ」
「絶対にいやですよ。そ、それでは近いうちにまた来ます」

魔理沙に幽霊を連れていかれてはかなわないとばかりに妖夢はそそくさと店を出て行った。
魔理沙に物を貸すと帰ってくることはまず無いと考えていい。
この反応を見ると何度か被害にあっているのかもしれないな。

「せわしないやつだな」
「君も負けていないと思うけどね」


/


気が付けば辺りに響いていた蝉の声をもすっかり消え、窓の外を夕闇が包んでいた。

「そろそろ店を閉めるよ」
「ずいぶん遅くなったことだし今日はここで飯を食べていくか。何か食べたいものはあるか?」

どうやら今日は魔理沙が夕飯を作ってくれるようだ。
人の返事を聞かないのはいつものことなので気にしてはいけない。

「そうだな……おや?」
「どうした?」
「夕飯は手早く食べられるものを三人前頼むよ」
「三人前?」

僕の言葉に不思議がる魔理沙に店の一角を指差してやった。

「あははは、分かった早めに仕上げてやることにするか」

僕の指差した先、入り口近くの棚の上には妖夢の持って来た人魂灯があった。
ずいぶんと早い近いうちになりそうだな。
再びやって来る客のため、店を閉めるのはもう少し遅くなりそうだ。
地球のみんなオラに(タイトルの)ネーミングセンスを分けてくれ。

どうも、ここまで読んでいただきありがとうございます。
4度目の投稿になる久我&金井です。
執筆中にほかにも霖之助×妖夢の半霊の話がある事に気づき頭を抱えてしまいました。
この話は以前に投稿した「霖と映姫と人魂灯」の後の話になります。
読まなければ話が繋がらないということは無かったので、冒頭に注意書きは入れませんでしたが前作も読んでいただければうれしいです。
今回のはハートフルなお話を目標にしたのですがどうだったでしょうか?
目指したジャンルの端っこにでも引っかかっていれば幸いです。


あと、風呂場の部分は幽霊が相手なら多少無茶しても「こーりん殺す」って言われないんじゃないかと思いついやってしまった。

たくさんの評価、感想ありがとうございます。
本当に読者の皆さんの声とはうれしい物で、読者の皆さんが創想話を支えているのだと分かりました。
最後になりましたが誤字修正しました。ご指摘ありがとうございます。
金井
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コメント



0.2810簡易評価
1.90ふぁるこ削除
半霊かわいいよ半霊
なんという人魂エロス

ところで全然関係ないですがその昔、この国の妖怪作品の御大であるところの水木しげる大先生の作品のひとつに「おばけレストラン」という漫画がありまして、そこにヒトダマ料理なるものが登場するのですが…

…… あの絵…漫画で見た時ですね あの『人魂』が丸ごとフライにされてしまう「ひとだまフライ」… あれ…初めて見た時…… なんていうか……その… 下品なんですが…フフ…(以下自粛
5.90三文字削除
お互いのリボンを触ってる妖夢と半霊を妄想したら、物凄く和んだ・・・
半霊可愛いよ半霊
9.80名前が無い程度の能力削除
3ぴw
香霖が良い味出してますね。心温まる話でした。
10.100名前が無い程度の能力削除
どこから知識をえるんだろうwww
それはともかくこれは良いコーリン
11.90名前が無い程度の能力削除
俺もみょんの半霊触りたい…
こーりん羨ましい
13.90名前が無い程度の能力削除
妖夢なんというおませさんww
きっと知識は紫経由なんだろうなと勝手に想像
14.40名乗ることが出来ない程度の能力削除
( b゚w゚)b
16.70名前が無い程度の能力削除
半霊と感覚がリンクしてると考えると……
香霖がいい味出てました。
追記
>でも、魔理沙や靈夢も泊まったって
旦那旦那、旧作の靈夢になってますぜ。
18.90削除
こーりん慰めてる半霊が可愛いw
ところで妖夢。「3ぴ」って………

貴様。知っているな?
20.100時空や空間を翔る程度の能力削除
満足な読み応えでした。

半霊をモチーフとした話って初めて読みました。
妖夢と半霊
仲の良い双子に見えましたよ。
23.80名前が無い程度の能力削除
うむ、これは良い森近霖之助。
27.70名前が無い程度の能力削除
実に良い香霖と半霊をごちそうさまでした。
半霊に萌えた文章は初めてな気がします。
是非とも、この後もこの調子で突っ走って欲しいものです。
32.80上海削除
最後のオチはお見事。
いい流れのお話でした。
38.100名前が無い程度の能力削除
ほのぼのしました~

短いが面白い要素の詰まった話でした。
50.90名前が無い程度の能力削除
相変わらずの良い香霖を拝めました。
61.100名前が無い程度の能力削除
いいね!妖夢も霖之助も!
66.100名前が無い程度の能力削除
うん。良い話だった。妖夢も半霊もかわいい。

でもこーりんは殺す。
73.90名前が無い程度の能力削除
こーりんに死を