雪の積もった境内を見つめ、一つ大きく息を吸う。
きんと冷えた空気が肺を満たし、直後に吐いた息は白く、本格的な冬の訪れを感じさせるには十分だった。
幻想郷に来て初めて迎える冬。
境内を彩るのは鳥居の朱、石畳の灰、落ち葉の茶、そして雪の白。
夜の間に積もったであろう雪。自分以外誰も踏み入れていない境内は言うなれば雪の白い絨毯。
さく、さく、と新雪の上に自分の足跡をつけていく。ふわふわの雪が足元でぎゅっと踏み固められる感触が何ともこそばゆく感じられる。
「うう……、寒いなぁ」
はぁー、と一息。悴んだ手のひらに白い息を吐きかけ両手を擦りあわせる。
巫女服は防寒性を考えてない為か、風通しがよくとても寒い。それに加え脇や肩が丸出しなので見た目にも寒く感じてしまう。
何故このようなデザインにしたのだろうかと常々思う。
上着を着、首はマフラー、腰は貼るカイロで暖を確保出来てはいるけれども、吹き付ける木枯らしには身を震わせてやり過ごすしかない。
貼るカイロはまだ大丈夫だけども、普通の手に持つタイプのカイロはあとどれだけ取り置きしていたっけ。
後で確認しておこう。
「早苗、おっはよー」
「おはようございます、諏訪子様」
勢いよく社務所の扉を開け、諏訪子様が飛び出してくる。
いつもと変わらない格好と思いきや、あのぎょろぎょろとした目ん玉の引っ付いた帽子がない。
お気に入りの帽子をかぶらないとは珍しい事もあるものだ。
「諏訪子様、いつもの帽子はどうしたのですか?」
「あー、あれね。洗濯したら目玉が縮んじゃってさ。一週間ほど天日干ししないと駄目なんだよ」
あの目玉縮むんだ。縮んで萎びた目玉を想像すると少し怖い。
お湯かけたらふえるワカメみたいに増えたりして。…………不気味すぎる。
「別に今の時期だと日差しも弱いし帽子なくても問題ないから、まあいいやと」
「はぁ、そうですか。早く乾くといいですね……」
「あ、そうだ。早苗」
「諏訪子様、どうかしましたか?」
「今日は里に買い物に行くんでしょ?」
「はい」
買い物は別に今日でなくてもよいのだが、日用品にしろ食料にしろ蓄えが心許なくなってきているのは事実。
態々買い物に行くのかとこちらに尋ねてくる辺り、諏訪子様も里に行きたがっているのかもしれない。
「その買い物、私もついていくね」
「わかりました。掃除が終わって少ししたら里へと出向こうと思っていますので。
その時までゆっくりと居間で寛いでいてください」
「ん、オッケー。
神奈子ーーーーーーッ!!」
ついて行く、と言うなり社務所に戻り、ドタドタと廊下をけたたましく走る音が鳴り響き、次に勢いよく襖を開けたであろう甲高い音が静まり返った境内に響き渡る。
ああもう、諏訪子様。いつも家の中では走らないでくださいと言っているのに……。
「神奈子神奈子、かーーーなーーーこーーーッ!! 『アレ』どこに閉まってたっけーーーーー?」
アレ? アレって何だろう。
「あーー? 諏訪子、あんたの箪笥の上から三段目。
コマンドは上X下BLYRAか下上左右LR!! 今日は二択!!」
「おっけーーー!!」
コマンド? 箪笥を開けるのにコマンド入力が必要なのかな?
成功すればカカカカ以下略みたいな言葉が入力した数だけ聞こえてきたり、諏訪子様が邪神の力を借りてネオ諏訪子様にパワーアップするのかもしれない。
背負っているものを考えればネオ諏訪子様よりもネオ神奈子様の方がしっくりくるのだが。
「……うーん、曲りなりにも神なんだからゴッドガンダムの方が似合ってる気がする」
諏訪子様に爆熱ゴッドフィンガーをぶちかます神奈子様ハイパーモードを想像して吹いてしまった。
駄目だ、これは幾らなんでも失礼すぎる。顔を横に振り、今しがたの考えを払いのける。
「さーあ、諏訪子。今日は勝たせてもらうよ?」
「クックック……。神奈子よ、アドリブケロちゃんの二つ名を持つこの洩矢諏訪子様の素晴らしきアドリブ力をお忘れか?
ここでアドリブが効かない神は!! 勝負に勝てなーい!!」
どこかで聞いたことのあるような台詞を叫ぶ諏訪子様。
茶髪のガルマ様が脳裏に浮かぶのは仕様でしょうか?
「うわぁーーーーッ!! か、神奈子ーーーーッ!!
コマンド入力ミスってタンスゴンが出てきたぁーーーーーッ!!」
見事に失敗。
昨日のトラップモンスターはキラークロゼットだったっけ。一昨日はきゃたつらーだったかな。
ちなみに諏訪子様は今日を含めたこの一週間で一度も二択を当てていない。
7連続で二択を外すなどそうそう無いことだと思う。
「クックック。アドリブケロちゃん敗れたり。諏訪子、今日は私の勝ちみたいね?」
「うひゃぁっ!! こいつ変な所に噛み付いて……、ひゃうっ!!
何々何なの? この触手は!? ちょっ!! こらっ!! そこはまずいってっ!!」
「ふーむ……。さしずめケロちゃん触手に負けずってところかしら?」
「かぁーーなぁーーこぉぉぉぉっ!! そんなエロ同人に使われそうなタイトルつけるなぁぁぁぁっ!!」
「もう使われてるかも知れないわよ?」
「そういう問題じゃないぃぃぃぃっ!!
ってか助けて!! 神奈子助けて!! 触手がっ!! 触手がぁーーッ!!」
「さて、と。諏訪子を助けなきゃならないんで今日はここまでよ、ブン屋さん?」
一体中で何が起きているだろう。触手とか聞こえたのだけれど……。
見に行こうかな。でも巻き添えは食らいたくないし。やっぱり止めておこう。
いやいや、それよりもブン屋ってもしかしてもしかする?
「いえいえ、八坂の神様。ここまででも十分です。
後もう少しすれば本にして出版できますから。
あ、本のタイトルは先ほどのものを使わせて頂く予定です!!」
「ほう。それで、こちらの取り分は?」
「神奈子ーーーーッ!! 服にっ!! 服の中に触手がーーーーッ!! ひぅっ!!」
中から算盤を弾く音が聞こえてくる。諏訪子様の悩ましい叫び声と共に……。
神奈子様、諏訪子様を助けなくてもよろしいのでしょうか?
「こんなものでどうでしょうか?」
「ふむ……。随分と羽振りが良いじゃない」
「この前出版した椛の写真集『椛~ワタシ犬じゃありません~』が予想外の売れ筋でして。
おかげさまで重版ですよ!! 重版!!」
「成る程ね、それで少しばかり余裕があるわけね」
「そういう事です。それではまた明日っ!!」
「ちょっと待てぇぇぇぇッ!! そこのパパラッチ天狗ぅぅぅぅっ!!
ひゃうっ!! うわぁぁっ!! 下着の中は洒落にならないって!! 神奈子!! 助けて神奈子っ!!」
「はいはい」
玄関から勢いよく飛び出していくのは幻想郷のブン屋こと烏天狗の射命丸文さん。
先ほどの神奈子様との会話で聞いてはいけない言葉を聞いた気がしたのだけれども、そこは華麗にスルー。
挨拶をする間もなく視界から消え去るその飛行速度はさすが幻想郷最速。
……諏訪子様大丈夫かなぁ。心配してるなら様子見に行けよとの突っ込みは却下です。
私が行けば諏訪子様2号になるのは明白。なので後は神奈子様に任せておけば大丈夫、多分。
「今のうちに掃除を終わらせてしまおうっと」
境内にまばらに散っている落ち葉を竹箒でさっと掃き、一箇所に集め、火をつける。
落ち葉、とは言うもののこの雪の多い時期にそのようなものは殆ど無く、代わりとして古新聞の束を使っている。
ぱちぱちと音を立て燃える落ち葉や古新聞の束。焚き火は掃除の後の小さな楽しみ。燃え盛る焚き火に半歩踏み出し、冷えきった身体を暖める。
落ち葉や古新聞が燃え尽きる頃には騒がしかった社務所内も静かになり、代わりに何やら諏訪子様と神奈子様の話し声が聞こえてきた。
「こりゃ少しサイズが大きいねぇ」
「これぐらいなら大丈夫よ。許容範囲内」
「諏訪子がそう言うのなら、それで良いけれど」
「よっし。ちょっと早苗に見せてくる」
「はいはい」
「早苗ーーーーッ!!」
再び勢いよく社務所の扉を開け飛び出してくる諏訪子様。
青をベースにした袴に、脇と肩が露出した改造白衣。私が来ている風祝の巫女服と全く同じもの。
違うといえばサイズぐらい。上着も着ず、マフラーもつけず。その格好は見た目からして寒そうだ。
自分も同じ服を着ているんだけど、少なからず防寒対策はしている。この寒さで巫女服だけというのはさすがにどうかと思う。
「諏訪子様……。さすがにその上に何か着ないと寒いのでは?」
「大丈夫!! 諏訪子は風の子元気な……へぷちっ!!」
矢張りと言うか何と言うか。
神様に対してこう思うのは失礼なのだろうが、かわいらしいくしゃみと仕草だと思う。
えっと、ポケットティッシュどこだっけなぁ。
「諏訪子様、これで鼻をかんでください。
鼻水垂らしっぱなしだとみっともないですよ」
「ふが、ありがと。早苗」
ずびーっと勢いよく鼻をかむ諏訪子様。
神様、というよりも手のかかる子供を相手にしているような気がします。
「ふぁ……、へぷちっ!!」
もう一回かわいらしいくしゃみ。
「諏訪子様。とりあえず中に入って居間で炬燵にでも入っていてください。
何か上に羽織るものを持ってきます」
「んー……、そうする。……へぷちっ!!」
このままだと風邪をひきかねないので、私が普段着ているグレーのダッフルコートを諏訪子様に来てもらおう。
サイズは私のものだけど、大丈夫だよね。そもそも神様が風邪をひく事ってあるのかな?
「ええと……、どこに閉まったかなぁ。
冬物の服は箪笥の下段だっけ」
箪笥を開ける前に仕掛けがないかどうかを注意深く調べる。先ほどの諏訪子様のこともあるし、警戒しておいて損はない。
諏訪子様は触手とか叫んでたけど、何が起きたのかはわからないし、わかりたくもない。
そもそも巫女に触手は邪道じゃないかと問い詰めたい。誰に問い詰めれば良いのかさっぱり分からないのだが。
特に何か仕掛けがあるわけでもなさそうなので一安心。もっとも何か仕掛けが施してあるのなら神奈子様が教えてくれるはず。
箪笥の中に閉まってあったコートを取り出し、居間へと向かう。
「諏訪子様、これを着てください。これなら幾分かましになるはずです」
「おー、早苗ありがとー。
でもこれでかくない? 私が着るとだぼだぼだよ?」
「私が普段着ているものですから。そこは我慢してください」
両手は伸ばしても袖の先から指先すら出ない。うーん、やっぱり大きすぎるかな。
「おやまあ、随分とちんまくてかわいらしい事で」
「むー、コートが大きすぎるんだから仕方がないじゃない。
それと、神奈子。ちんまいは余計」
「その格好見れば、100人中100人がちんまいと言うと思うけど。
早苗もそう思うわよね?」
「え? わ、私ですか?」
神奈子様、お願いですかこちらにふらないで下さい。正直に言えば諏訪子様が拗ねるじゃないですか。
いや、ちんまいと思っているわけではなくて。でも少しはそう思うわけで。
ああもう、どう答えたら良いのか。
「早苗、怒らないから正直に言ってごらん?」
諏訪子様、怒らないと言いながら頬を膨らましてるじゃないですか。もう怒ってるじゃないですか。
そんな表情で怒ってないと言われても説得力ないです。
「あー、その、ですね……」
「そう思うのね?」
「いや、あの、決してそういう訳じゃなくてですね……」
「おもうのね?」
「…………はい」
思わず俯いてしまう。怒るってことは矢張りコンプレックスなのだろうか。
「ほーら、早苗もそう思っているじゃない」
「むー……」
「まあ、此処じゃちんまいのはそんなに珍しくない事だからそれほど気にするほどでもないんじゃない?」
「……そんなにいるの?」
「吸血鬼や鬼、果ては閻魔様まで」
「ホントに?」
「こんな事で嘘をついてもしょうがないでしょうに」
閻魔様までちんまいとは。人は見かけによらないと言うが、それは鬼や閻魔様にも通じるらしい。
此処は幻想郷。つくづく外の世界の常識が通用しないものだと実感させられる。
でも、私たちも常識の範囲に収まらないんだろうなぁ。
「す、諏訪子様。もう少ししたら出かけるので、こちらにいて下さいね」
「むー……、わかった」
不機嫌そうに返事をする諏訪子様。
自分が何か悪い事をしたみたいでいたたまれなくなる。
「早苗、諏訪子は私が何とかして宥めておくから準備をして来なさい」
「は、はい。お願いします神奈子様」
出かけるまでに諏訪子様の機嫌が直ればよいのだけれども。神奈子様、頑張ってください。
……あれ? そもそも諏訪子様が不機嫌になったのって神奈子様がちんまいと言ったからじゃ?
居間からギャースカギャースカと諏訪子様の声が聞こえてくる。この二人のやり取りは何時ものことなので、態々自分が間に入って仲裁をする事もない。からかう側の神奈子様やからかわれる側の諏訪子様も何処かしら楽しんでいる節が見受けられるので見守っていくのが一番なのだ。
「神奈子様、それでは行ってきます」
「ん、気をつけて」
「神奈子っ、帰ってきたら覚えてないさいよ!!」
「はいはい」
まだご機嫌斜めの諏訪子様。ですが神奈子様に頭を撫でられているので説得力ありません。
見た目を侮る事なかれ、とはよく聞く言葉なのだけれども。諏訪子様の場合は見た目どころか中身も子供っぽい所が多々あると思う。
こういう所が神奈子様にからかわれる原因なんだろうな。らしいと言えばそれまでなのだが。
「諏訪子様、寒くないですか?」
「早苗のコート着てるから寒くないよ」
「そうですか。一応これも持っておいてください。暖かいですよ」
懐からカイロを取り出し、諏訪子様に手渡す。
喜びの声と共に頬にカイロを擦り付ける諏訪子様。
この光景を見たらまた神奈子様が諏訪子様をからかっちゃうんだろうなぁ。
空から見下ろす山は雪化粧が施され、辺り一面は白銀の世界。
雪に埋もれた木々の間を野生の兎や狐が駆け抜け、直後、木の枝先にバランスよく乗っかっていた雪がどさどさっと音を立てて根元に落ちる。
ふと諏訪子様を見てみると実に興味深そうにかつ真剣な眼差しで先の様子を見ていた。
諏訪子様は動物が好きで幻想郷に来る前は犬や猫を神社で飼おうとして神奈子様に反対されていた事もしばしばあった。
かくいう私も動物は好きだ。犬や猫を飼って見たいと何度思ったことか。
今度は私も一緒になって神奈子様に頼んでみようかな。
猫、飼ってみたいなぁ。かわいいだろうな。喉を撫でてあげると寛いだ表情でゴロゴロとないたり、猫じゃらしで遊んであげたり。
「諏訪子様、そろそろ里に着くのでここからは歩いていきましょう」
「何で? 里まで飛んでいけばいいじゃない」
「まあ……、そうなのですけれども。
里まで飛ぶと、見えちゃうじゃないですか」
「見えるって、何が?」
「その……下着が」
「見られても良いようにドロワーズはいているんじゃないの?
あ、もしかしてはいてないとか? まー、巫女服にはノーパンが基本かもしれないけどねー」
「は、はいています!! 勝手に決め付けないで下さい!!」
幻想郷じゃ巫女も魔法使いも吸血鬼もドロワーズをはいている。
弾幕勝負を空で行うのだから当然下からは丸見えな訳で当然といえば当然なのだけど。
あれ、妙にごわごわして着心地が悪いので、普段は極力はかないようにしている。なので里に行く時などは、万が一を考えこちらに持ってきた短パンをはいていくのだけれども。
短パンをはいていても袴の中を見られるというのは矢張り恥ずかしいもので、里の近くで降りてそこからは歩いて行くことにしている。
そうすれば下から覗かれる事も殆どない。
「と、とにかくここからは歩いて行きましょう」
「じゃあさ、早苗。
普通に歩いていくってのも面白くないし、一つゲームでもやりながら行かない?」
「ゲーム、ですか?」
「そ、ゲーム。ほらジャンケンで勝ったら勝った手の分だけ進むってやつ。
あれやろうよ」
ジャンケンで……。ジャンケン……。ああ、あのゲーム。
懐かしいな。昔は学校の帰りがけによくやったっけ。
「ええ、いいですよ」
「よーし、それじゃあいくよー」
「「じゃーんけーん」」
「「ぽいっ」」
「あ」
「おっ、私の勝ちだ。
グーで勝ったから――――」
確かグーはグリコだったような。これならすぐに追いつけるかな。
ちなみにパーはパイナップル、チョキはチョコレートの文字数で進むのが私たちの間でのルールだった。
「ぐ、れ、え、と、ぶ、り、て、ん、お、よ、び、ほ、く、ぶ、あ、い、る、ら、ん、ど、れ、ん、ご、う、お、う、こ、くっと」
うわぁーい。諏訪子様それはなんですか?
ここで英国の正式名称を持ってきますか。それは想定外です。
「早苗、次やろう次!!」
「は、はい」
~~~~~~少女ジャンケン中~~~~~~
「イエー!! 私の勝ち!!」
「うう……、諏訪子様ジャンケン強すぎですよぅ」
あの後も何度か追いつけそうだったのだが肝心な所では勝てず、結局終始諏訪子様がリードしたままで里についてしまった。
しかしながら、腑に落ちない所がある。
先も書いた事だけど、要所要所では必ず諏訪子様が勝つことだ。
諏訪子様は何かイカサマまがいの事をやらかしているのだろうかと疑えるほどに。
「あの、諏訪子様」
「ん? どうしたの?」
「いや、何でそんなにジャンケンが強いのかなと思いまして」
「あー、簡単だよ。
早苗が手を出す直前に自分の手を変えているだけ。
直前、とは言っても動体視力と手の反射神経が良くないと出来ない事だけどね。
ほれ、こんな感じ」
自分の右手と左手を使い実演をする諏訪子様。一見するとさっぱり分からないのだが、スローモーションで見せてもらうとよく分かる。
実に絶妙なタイミングでジャンケンの手を変えているのだ。
さすが神様と言うべきなのか。確かにこれなら自分で勝ち負けをコントロールできるのだろうけど。
でもそれって後だしですよね?
ともあれ、諏訪子様のご機嫌もすっかり直ったようで一安心かな。
里の大通りは何時来ても人が多く賑やかで活気がある。
通りを歩くと右側から八百屋さんの威勢の良い掛け声が、左側からは対抗するように魚屋の店主が声を張り上げている。一昔前の商店街通り、と言った感じだろうか。さすがに今はもう慣れてしまったが、初めて里に来た時はこの光景に少々面食らった覚えがある。その時は案内役の霊夢に『なーにおのぼりさんみたいな反応してるのよ』と言われてしまった。きょろきょろと周りを見回すその様子はおのぼりさんそのものだったなと自分でもそう思う。
一通り店を回り、食料と生活用品を買い揃え、さてどうしたものかと考えていた所で諏訪子様が何か言いたげに服の裾を引っ張ってきた。
一体どうしたのだろう。
「早苗、こっちこっち」
「諏訪子様?」
大通りから少し狭い路地に入り、茶店の脇をすりぬけ、少しばかり歩くと看板が一つ目に入ってくる。
『駄菓子屋』とシンプルにそれだけが書かれた看板が立てかけられた少し古びた小さなお店。中に入ってみると所狭しにお菓子や玩具が並べられていた。ふがしに10円ガムにボンタン飴に他にも色々と。ここの里には買い出しによく来るのだが、今まで気がつかなかった。大通りから少し離れていると言う事もあったのだろうけれども。それにしても、この里一つにしてもまだまだ私の知らない場所があるのだと思わされ、同時に新しい発見に感心する。それはそうと何故諏訪子様はこんな場所に駄菓子屋があることを知っているのだろうか?
「何時来ても懐かしい感じがするなー、ここは。
向こうにいた時は見かけることなんて殆ど無かったからねー」
「お菓子ならコンビニでも買えるのでは?」
「わかってないなぁ、早苗は」
人差し指を立て、チッチッチッと指を左右に揺らす諏訪子様。
「駄菓子はね、こういった場所で買って食べるものなんだよ。
コンビニで買っても味気ないじゃない。
何て言うのかな……。こういう雰囲気も一緒くたに楽しむって言えばいいのかな。こういう場合は」
「うーん……、よくわかりません」
「まあ早苗には馴染み薄いだろうからしょうがないよ」
確かに馴染みが薄いと言われれば否定できない。
私が幼い頃には神社の近所に2、3件程あったみたいなのだが……。
如何せん子供の――――幼少期の曖昧な記憶を辿れば嗚呼そう言えば駄菓子屋さんがあったのかもしれない、その程度にしか思い出せない。
「ばあちゃーん、これもらうねー」
店の奥で白猫と黒猫を膝に乗せ、撫でているおばちゃんにお金を渡し、珍味と書かれたラベルの貼られた透明の筒状のプラスチック容器を手に取り、オレンジ色の蓋を開け、中から2本の串を取り出す諏訪子様。
串に付いているのは……。
「これは……烏賊、ですか?」
「お、よくわかったね。早苗。
これはのしいかって駄菓子。これは駄菓子じゃなくて珍味の方かな。
ともあれ一本食べてみ。大丈夫、毒とか入ってないから」
「はぁ……。それでは一つ頂きます」
のしいかを一本手渡され、齧ってみる。
のしいかは思っていたよりも軟らかく、甘辛い味付けが口内に強く残る。
「あ……、美味しい」
「でしょでしょでしょー?」
こちらの様子をじっと見ていた諏訪子様は、と言うと。私の一言が嬉しかったのか、ぱくっと一口でのしいかを食べてしまい、名残り惜しそうに口をもごもごさせていた。
よくもまあ串が喉に刺さらないものだと、驚きよりも先に感心してしまった。
「さー、次は何食べよう」
薄暗い店内には本当に多種多様な駄菓子が並べられている。
それらを一つ一つくまなく目をつけ、少し悩んではあちらの駄菓子、また少し悩んではこちらの駄菓子、と中々決める事が出来ないみたいだ。 うーんと声を漏らし悩む姿からは神の威厳は感じられず、愛嬌すら感じられる。
「あー!! 諏訪子ねーちゃんだー!!」
「すわちゃんだ!! おいすー!! すわちゃん!!」
子供たちが店にやって来たのだろう。静かな店内が一転して賑やかな空気に包まれた。
しかしながら、子供たちはやけに諏訪子様と仲がよろしいようで。
「おー、チビども。元気にしていたかー?」
「もっちろんだよ!! 諏訪子ねーちゃん、いつものごっつい帽子は?」
「すわちゃん、ケロちゃん帽はー?」
帽子にもあだ名的なものが名付けられているとは。
アレは見た目のインパクトは抜群なのであだ名的なものがつけられていてもおかしくはないのだが。
「あー、あれは洗濯中だ」
「洗濯中なのか!!」
「なのか!!」
「なのだ!!」
何でこんな事で意気投合しているのだろうか。しかもやたらとテンションが高い。
私にはさっぱり分かりません。まあ諏訪子様が楽しそうだから口出しする気はさらさら御座いませんが。
諏訪子様は子供たちの相手をしているので、少々手持ち無沙汰になり、折角だからと思い店の中の商品を一つ一つ覗いてみる。
あ、どんぐりガムだ。懐かしいな。幻想郷に来てからは初めて見る馴染み深いお菓子。向こうに住んでいた頃はコンビニでだが、ちょくちょくと買っていたっけ。メロンソーダ味のどんぐりガムを一つ買おうっと。
…………はて?
子供たちが興味津々な眼差しでこちらを見ているのだけれども、私何かしたかな……。
「諏訪子ねーちゃん!! あのお姉ちゃんは誰?」
「だれー?」
「ん? ああ早苗の事?」
「早苗?」
「さなえー?」
「そ、早苗。私のお姉ちゃんみたいなものかな」
「諏訪子ねーちゃんのお姉ちゃんか!!」
「おねーちゃんなのか!!」
「おねーちゃんなのだ!!」
あー、えーと……。またえらい盛り上がりようで。
いや、それよりもだ。いつの間にか諏訪子様の姉と紹介されているのだが、それで良いのだろうか。
私は諏訪子様の子孫なので、姉妹と言う表現はあながち間違ってもいない……訳ないか。
まあ諏訪子様がそう仰るのなら、と無理矢理に自身を納得させる。
店の外に添えられている椅子に腰を掛け一息。
「うにゃっ」
奥でおばあちゃんに懐き寛いでいた、首に赤いリボンをまいた黒猫が一鳴きしてこちらに寄ってきた。
ちなみに白猫の方は首に鈴の付いた首輪をつけている。
怖がられないかと恐る恐る手を差し出してみると、猫は指先をぺろぺろと舐める。どうやら怖がられてはいないようだ。
ならば、と猫を抱きかかえ膝に乗せてみる。直後、猫は身体を少し強張らせるが、すぐに身体を丸め眠たそうに欠伸をしだした。
これなら大丈夫かな。
先ほどまで止んでいた風が再び吹きつけるようになり、少し寒い。カイロを頬にあてるとほんのりとした温もりが気持ちいい。
こういう時は熱い緑茶が飲みたくなってくる。体の芯まで冷え切った身体に少し熱めの緑茶とぬくぬくの炬燵に甘酸っぱい蜜柑。
これぞ冬の楽しみ。寒さを凌ぐ三種の神器。
「諏訪子ねーちゃんまたなぁー!!」
「すわちゃんまた遊ぼうねー!!」
「おー、また今度ねー」
冬場は日が短く、夏場と比べると昼間に遊ぶ時間も少なくなる。
少ないながらも充実した時間を過ごしたであろう諏訪子様はご満悦の様子だ。
里の子供たちと接し、一緒になって遊ぶ。これも一つの信仰の形なのだろうか。
「ごめんごめん。ホントはもう少し早く切り上げようと思ったんだけどね」
そう言ってぺろっと下を出し、申し訳なさ気な表情でこちらを見る諏訪子様。
「いえ、お気になさらずに。こうしてゆったりとする時間と言うのもまた一興ですから」
「そっかそか。ありがとうね。
しかし、こうして子供たちと遊ぶと昔の事思い出すよ」
「昔、ですか?」
「そ。早苗のお母さんがさっきの子供たちぐらいの頃の事。
その頃はこの駄菓子屋みたいな店が神社の近くに何軒かあってね、神奈子と一緒にこっそりと出かけてた事があったのよね」
それは初耳だ。ってか諏訪子様も神奈子様も向こうでも結構好き勝手に出かけていたんですね。
駄菓子屋のおばちゃんもお客さんが実は神様だと知ったらどんな反応をするのやら。
「その頃の駄菓子屋ってさ、子供たちの格好の集まり場所な訳なのよ」
「そうなのですか」
「そそ、それでね……」
諏訪子様はそこまで話して何かを思い出したらしく、笑いを必死に堪えている様子だ。
何が可笑しい事でもあったのだろうか?
「神奈子ったらさ、店のおばちゃんと間違えらてやんのよ。
子供たちに『おばちゃーん、これちょーだい』って言われてさ。その時の神奈子の顔と言ったら」
ケロケロ――――もといけらけらと無邪気に笑う諏訪子様。
今この場に神奈子様がいなくて良かったと、心からそう思う。
今の諏訪子様の話を聞くと、街中でもお構いなしに弾幕ファイトをやらかしかねない。
「店のおばちゃんもおばちゃんで、『折角だし手伝っておくれよ』なんて言うもんだから神奈子も断るに断れなくなって。
結局その日一日は神奈子がおばちゃんの変わりに店番やったんだよね」
「そ、そうなんですか……」
「さすがの神奈子もおばちゃんは堪えたらしく、子供たちには神奈子お姉ちゃんって呼ばせていたんだけどね。
まー神奈子も渋っていた割には結構楽しそうに店番やっていたけどね」
「それはまた……」
申し訳ありません神奈子様。店番をする神奈子様を想像して凄く馴染んでいるとか思っちゃいました。
子供相手に楽しそうに店番をする神奈子様、か。
そんな様子の神奈子様を見てみたい衝動に駆られてしまったのだが、それは私の心の中だけに留めておこう。うん。
それは兎も角として、諏訪子様は楽しそうだと仰られていた。と、言う事は、神奈子様も子供たちの相手をするのが好きなのだろうか。
ああ、そうか。私自身も幼い頃はお母さんだけじゃなく神奈子様にもべったりと引っ付いて甘えっぱなしだったっけ。
神奈子様も実に嬉しそうに私の遊び相手をしてくれてた覚えがある。
「諏訪子様、こちらにはよく来られるのですか?」
「うん? んー、週に一回ぐらいかな?
たまーに神奈子も一緒に来るときもあるよ。
神奈子も私も端から見ると普通の人間と同じ姿形だからね」
これで納得。
偶に神奈子様と諏訪子様が揃って二人で出かけていたのは知っていた。気にならないと言えば嘘になるのだが、いかんせん自分はそのような、詮索できるような立場ではないのと、二人の事だから大丈夫だろうという信頼から、自分から聞こうとはしなかった。
機会があれば神奈子様か諏訪子様が話してくれるだろう。
話を聞けばなんてことは無い、こういう事だったのだ。
「さて、と。早苗、そろそろ帰ろっか?」
「あ、はい」
空を見上げ山の方を見てみると、太陽は完全に落ちて山の陰に隠れてしまい、太陽とは真逆の空は既に暗くなってきている。
もうすぐあたり一面闇に覆われる事だろう。
店のおばあちゃんに『また来ますね』と一言告げ、別れの挨拶代わりに猫の喉を撫でてあげる。猫は気持ちよさそうに喉をごろごろと鳴らし、『またおいでにゃ』と声をかけてくれた。…………またおいでにゃ?
「幻想郷の猫って喋るんだ……」
荷物を持ち、店の裏手に通じる路地から飛び立つ。
夜の闇で視界も悪くなるこの時間帯ならば少し高度を上げれば、万が一空を見上げている人がいても、何かが飛んでいる程度にしかわからないので袴の中を見られてしまう心配も無く安心だ。寒いのが難点なのだけども。寒さは厚着をすればある程度防げるのが救いかな。
神社の境内に差し掛かろうとした頃、社務所の方から何やら良い匂いが鼻腔をつく。
神奈子様が料理をしているのだろうか。
「お、いい匂いが。めっずらしいなー、神奈子が料理するのは」
「矢張り神奈子様なのですか?」
「早苗は知らなかったっけ?」
「ええ。今初めて知りました」
「昔は神奈子もちょくちょくと料理を作っていたんだけどね。
早苗が生まれた辺りからはてんで料理しなくなったんだよ。だからじゃないかな。早苗が知らないのも」
「あー、そう言えば……」
幻想郷に来てからというもの家事全般は私が担当している。
二柱に仕える身としては当然だと考えているので不満などある訳でもなく、神奈子様も諏訪子様にも当然ながら何も言うつもりはない。
「おや、二人ともお帰り」
「神奈子、たっだいまー」
「ただいま戻りました、神奈子……さま?」
思わず買い物袋を落としそうになる、が何とか落とさずに耐えることが出来た。
ど根性ケロちゃんのアップリケを縫い付けたエプロンを着て、忙しそうに廊下を小走りで台所へと駆けていく神奈子様。
先ほど諏訪子様から話を聞いていなければ、きっと買い物袋を落としていたに違いない。
「どうしたの早苗?」
「え、あ、いや、神奈子様のあんな格好を見たのは初めてだったもので」
「びっくりしたと。そういう事?」
「…………はい」
幸い神奈子様は既に台所に戻っているので今の仕草を見られることは無かったが、隣にいた諏訪子様にはばっちりと見られる始末。
「二人ともどうしたのよ?」
「いえ、何でもありません。ね、諏訪子様」
「え? うん、そう、何でもないよ」
「……?
ならいつまでも玄関に突っ立ってないで居間の卓袱台周りを掃除しておいてくれない?
夕飯をそっちに持っていくから」
「あ、はい。わかりました神奈子様」
「りょうかい、りょーかい」
未だ玄関で靴も脱がずに突っ立っている私たちがおかしいと思ったのか、神奈子様は台所から顔だけ出してすぐに居間に向かい夕飯の準備をするように手を振り催促をする。
丸くこじんまりとした卓袱台に食器を並べていく。諏訪子様は神奈子様の手伝いに行かれたようだ。
自作のカエルの鍋つかみを使い味噌汁の鍋を持ってくる諏訪子様。その傍らにはおかずが入っているであろう鍋を持っている神奈子様もいた。
諏訪子様が再び台所に向かいお櫃を居間へと持ってくる。
その間に神奈子様は味噌汁をお碗に注ぎ、私はおかずをよそい、急須と湯飲みを取り出しお茶を入れる。
諏訪子様が居間に戻る頃には準備もすっかり終え、後はご飯をよそうだけとなったので、諏訪子様が戻られるとすぐにみんなの分のご飯をそれぞれの茶碗によそい夕食の準備完了。
三人で手を合わせ、いただきます。
献立は大根の味噌汁に肉じゃがに後は漬物が少々とワカメと胡瓜の酢の物。夕飯にしてはおかずが少ないように思えるが、神奈子様も諏訪子様も食に関しては人並みで、私と同じ程度しか食べない。その代わりと言うのもおかしな話ではあるのだが、無類の酒好きで酒豪。ついでに宴会のどんちゃん騒ぎも大好きで、度々麓の博麗神社で行われる宴会には必ずと言ってよいほど。諏訪子様も宴会は好きなのだが、酒を飲んでいるところを見たことが無い。ひょっとして下戸とはいかないまでも、酒に弱いのかもしれない。
ふと疑問に思ったのだが、ワカメなんて何処から調達してくるのだろうか。
「おー、神奈子の作った肉じゃがだー」
「如何せん随分と久しぶりなものだから何処かしらおかしいかも知れないわよ?
味見はちゃんとしたけれども、どうにも心配だわ」
「神奈子、心配なら守矢の大いなる海原と言われた諏訪子様が味の鑑定をしてあげようぞ」
「誰よそれ……」
「諏訪子様、それを言うならば果てしなき大海原じゃないでしょうか」
「う、うるさいなぁ。ちょっとした冗談だよ冗談。
兎に角まずは一口」
諏訪子様は素で間違えていたようで頬を真っ赤にして肉じゃがを頬張る。
折角だし私も頂こうかな。神奈子様の作る肉じゃがは見た目もよく、食欲をそそる匂いを醸し出している。
じゃがいもは見た目とは裏腹に簡単にほぐせたので、一口大に分け、口に運ぶ。
「……あれ、この味は」
「どしたの早苗?」
何だろう、とても懐かしい味だ。神奈子様の料理は初めて食べたはずなのに。
少し癖のある味のつけ方は忘れるはずも無い。
そう、この味は――――
「お母さんの肉じゃがと同じ味だ……」
「そりゃそうだ」
「諏訪子様、それはどういう事なのですか?」
「いやさ、早苗が言ったじゃない。
神奈子の作った肉じゃがの味が早苗のお母さんのそれと同じものだって」
「確かにそう言いましたが」
「早苗のお母さんはね、神奈子から料理を教わってたんだよ」
「……本当ですか?」
「その味が何よりの動かぬ証拠じゃない。
んー、それよりも腕は落ちてないみたいだねー。いやはや美味しい美味しい」
「あーもー、五月蝿い五月蝿い。恥ずかしいからとっとと食べなさい」
神奈子様は諏訪子様の言葉に照れているのか、顔を真っ赤にしてそっぽを向き、早く食べろと言いたげに手を振る。
このような仕草を見せる神奈子様は見ていてとても新鮮だ。
肉じゃがを一口一口ゆっくりとかみ締めながら久しく味わっていなかった懐かしき母の味を楽しむ。
「神奈子様」
「ん? もしかして口に合わなかった?」
美味しくなかったと言われると思ったのだろうか。少々不安げにこちらを見つめる神奈子様。
全く……。そんな事を言うつもりは微塵も無いのに。
「今度私に料理を教えてもらってもよろしいでしょうか?」
「ん? あ、ああ。そっちの事か。お安い御用よ。
早苗にもこの味はきっちりと受け継いでもらわないといけないからねぇ」
「ありがとうございます、神奈子様。
私、がんばりますね。料理も、もちろん信仰を集めることも」
「早苗。がんばるのは良いけど、あんまり無茶したら駄目よ?」
「そうそう、早苗は少し真面目君過ぎるから、適度に息抜きしないとね」
「はいっ」
「さて、話し込んでいたら折角の夕飯も冷めちゃうから先に片付けてしまいましょう」
「早苗、ご飯と肉じゃがおかわり!!」
ふと居間から境内を見てみると、昼間は止んでいた雪が再び降り出していた。
雪ははらはらと石畳の上に落ちては溶け、すぐさま新しい雪が石畳の上に降り積もる。
明日は今日以上に雪が深く積もることだろう。
雪掻きが大変だが、焦る事は無い。自分のペースでやればよいのだから。
降り頻る雪の中、一羽の白兎が境内を駆け抜け林の中へと戻っていった。
「ところで諏訪子」
「ん? 何?」
「誰がお・ば・ちゃ・んなのかな? だ・れ・が」
「あ~、いや~、その~。ほら、言葉のあやっていうか何と言うか……。
ってか何で知ってるのさ!!」
「企業秘密よ。
で、誰がおばちゃんなのかなぁ~? す、わ、ちゃん?」
「か、神奈子っ!! 目が笑ってないってっ!! 怖いってっ!!
何でこっちに来るの!? 神奈子ごめん!! ごめんってばっ!!」
プライベートでは神奈子様>>激しく同意いたします!!
ところで、神奈子様の前でおばちゃんなんてセリフ出たっけ?もしかして駄菓子屋の猫に神奈子様が乗り移ってたとか?
と言っておこう
あと触手に吹きました
キャタツラーとタンスゴンってまた懐かしいモノを…
あと駄菓子屋…懐かしいね
ただ、その駄菓子屋も今は駐車場になってしまいましたが…
あの頃の思い出は、人生の宝物だと思います。もっとも、この話を読むまですっかり忘れていましたがw
>イギリスの正式名称
諏訪子様、それは禁じ手ですww
でも子供の頃知ってたら、すごい有利だっただろうなぁ。
あと、シロとクロ!主人の方向音痴は幻想郷に迷い込むまでに…
個人的にも、早苗はこの二人といるときは、こんな感じだと思ってます。
この三人って、妙に家族っぽい気がするですよね。(’’
この話のおかげで、とても和めました。<(_ _)>
また懐かしいネタを……
駄菓子屋、そういや実家の近くのアレはまだしぶとく続いてたなぁ。
今度帰ったら行ってみようかな。
テラ懐かしい、武道伝2はハマッタノゥ
八坂一家ののほほんとした日常を楽しめますた
堪え切れずに吹いちまったw
やさかけ。おかえり。
神奈子様はどう見てもお姉さんです。ありがとうございました。
クロネコがお燐か橙かと思いましたが、まさか幻想郷ではしゃべる猫が珍しくないとは。
良いお話、ありがとうございました。