Coolier - 新生・東方創想話

アーマードこぁ Ⅸ

2008/01/13 09:50:20
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 幻想郷において、人妖の共存共栄が進みつつある時代。

 それによって幻想郷のバランスが崩れる事を危惧した八雲紫は、

 結社や妖怪達をけしかけることで共存派を抑えようとしていた。

 紫の式神たちから彼女の意図を知らされたリトルとパチュリーは、

 異変を止めるため、再びミッションに臨む。


  *   *   *


 フライトナーズの襲撃から数日後のある日、リトルはパチュリーと共に亜羽論谷の村屋敷に向かっていた。この日、対策を話し合うための会議がここで開かれる。幻想郷じゅうの主だった人妖が集まるらしい。

 人妖が仲良く暮らし、活気に満ち溢れていたはずの村。しかし今はどこか沈んだ空気を醸し出している。

 あちこちに葬列、死者を悼む人々の嗚咽。リトルはここが、自分が買い物に来たときと同じ場所である事が信じられずにいた。そんな彼女に声をかける人間が一人。


 「やあ、リトルちゃん」 八百屋の主人だった。

 「あっ、ご無事で……あの、その、この度は……」

 「うちの家族は大丈夫だったよ、でもこの辺を守ってくれた自警団の人が死んだんだ」

 「そうですか……」

 「玲治さんが妖怪に殺されて、みんなどう動いたらいいか分からなかったんだ、この前の結社の一件もあって、みんな二の轍は踏まないって用心していたのに、頭を潰されちまった」

 「あの、やっぱり、妖怪は怖いですか」

 「そりゃ怖いさ、人を襲う奴はね、でもリトルちゃんは良い子だし、悪い奴がいるのは人間も同じことだよ」

 「ありがとうございます、営業再開したらまた買い物にきます」


 お辞儀して主人と別れ、大通りに出ると、またいくつかの葬列が見えた。花束を二束買い、2人は足早に集合場所へ行く。

 この村がかつての活気を取り戻す日は来るのだろうか。木枯らしが二人に吹き付ける。見上げる空は灰色に染まっている。

 

*   *   * 


かつて叢雲玲治の家だった屋敷にはすでに人妖が集まっていた。その中には包帯姿の上白沢慧音の姿も見える。レミリアと咲夜の姿もあった、永遠亭のメンツもそろっている。

会議の前に、買った花束を霊前に添えた。すでに多くの花束が飾られていた。遺影の笑顔がまぶしい。

人間と妖怪との共生を掲げ、結社に戦いを挑んだ男。今はもういない。

後ろがつかえているわよ、とパチュリーに背中をつつかれ、あわててリトルは大広間に入る。 


 「このたびは、大変なことになってしまった、申し訳ない」 


一時人妖連合代表の代理を務めている、上白沢慧音が力なく言った。

 聞くところによると、連合所属の妖怪の一人が突然裏切り、居合わせた玲治と慧音に襲い掛かったという。玲治は死に、慧音はその妖怪を殺したが、彼女自身も怪我を負ってしまった。

 

 「まあ、あいつの苛立ちは正直分からんでもない」


 誰かがそう言って、裏切った妖怪を弁護した。その妖怪はかつて結社に家族を殺されており、復讐を誓って連合に参加したものの、玲治の旧結社メンバーに対する寛大な態度に、日ごろから不満をもらしていたのだ。


 「あの時、満月さえ出ていれば、玲治を守り、あいつも殺さず抑えられたかも知れなかった」


 慧音がうつむきながら口にした。体の傷よりも、精神的なショックが堪えているらしかった。


 「はいはい、さっさと本題に移る、あなたの悔やみを聞きに来たわけじゃないの」

 

 部屋全体に通る声。一同が振り返ると、部屋の入り口に一人の女性が立っていた。赤いチェックの入ったブラウスと、同じ柄のロングスカートを身に着け、室内だというのに日傘をくるくるとまわして立っている。

 周囲に緊張が走る、パチュリーが魔道書に手をやり、リトルが息をのんだ。八雲紫と並び、幻想郷最強妖怪といわれる女性、風見幽香がそこにいた。


 「し、ちょっと、いくらなんでもそんな言い方って」


 抗議しかけたリトルを慧音が手で止める。


 「風見殿、あなたもここに、まさか……」

 「馬鹿ね、フライトナーズなんてお遊びに付き合う気はないわ。でもね、人間が妖怪に食われるのは自然なこと、大量虐殺も歴史を彩るイベントの一つ、違って?」

 「な、何を言っているんだ」

 「安心して、私、この村を気に入っているから、今回は守ってあげる」

 「それは本当か?」

 

 慧音は彼女の善意をまだ完全には信じられずにいた。


 「それから、みんなの代表を務めるのなら、そんな暗い表情はおやめなさい。人間が大好きで、人間を守りたいんでしょ? なら悲しむよりもこれからどうするか考えるべき、違わない? おおかた親しい人間でも亡くしたんでしょうけれど、リーダーがこんなんじゃ、毛玉でもこんな村滅ぼせるわ」

 「そうか、そうだな、すまない、なんとかみんなが立ち直る間、この村を守っていてほしい」

 「そのつもりよ、人里が壊滅したらなんだかんだで妖怪も困る、騒動の黒幕はちょっとやり過ぎたみたい」 


 幽香は慧音に向けていた視線を、藍と橙に向けた。


「暴走した上司を持つと苦労するわね、式神さん達」

「そ、それは……」 藍が返答に苦慮する。

「まあ、ここであなた達を責めてもしょうがないわ、さあ慧音さん、さっさと対策会議を続けましょ」

「ああ、ところで、いつも異変の解決になんとなく動く博麗の巫女はどうしているのだろう」


 突如、天井から大きな音が響く、一同はあわてて外に出る、噂をすれば影。博麗霊夢だった。

 屋根瓦に頭をめり込ませて気絶していた。


「霊夢さん、しっかりしてください」 リトルが屋根に飛んで行って彼女を助け起こそうとする。

下におろし、畳の部屋で横にさせた。とりあえずパチュリーが治癒の魔法で傷を治す。 

うーんと軽くうめいて目を覚ました。

  

「よかった霊夢さん、どうしてこんな事に?」

「なんだか異変が起きたような感じがして、いつものように勘のおもむくまま飛んでったら、だんだん空気が薄くなって、それで落ちちゃったみたい。えへへ」

「空気が薄くって? いったいどこへ向かっていたんですか?」

「あっち」 霊夢が空を指差した。


「おいっ、みんなあれを見ろ!」 


村人が叫ぶ。雲がいくらか晴れ、月が顔を見せていた。

乳白色の、なんということのない昼の月。

ただ、それが二つ浮かんでいた。


「パチュリー様、あれって……」

「『ここにいるから、私を止められるものなら止めてみなさい』という意思表示ね」


村人たちがざわめき出す。紅の霧が里を包んだり、春が来なかったり、夜が何日も続いたり、というような異変を毎年経験してきた幻想郷の民にとって、この現象自体は別に恐ろしくはなかった。ただ、これが更なる惨劇の予兆なのではないか。その事が恐怖だった。


「みんな、よく聞いて」 レミリアが声を張り上げた。その覇気に、周囲が静寂に包まれる。

「異変解決は本来、あなたたち人間の仕事。私たちはそれを起こす側。数年前、私が紅霧異変を起こしたのは謝罪する。でも今回の場合、人間と妖怪共通の危機になりかねない、私の運命を観る力がそう告げている。だから、勝手かもしれないけれど、今だけはこのレミリア=スカーレットに協力してほしい」


 しばらくの沈黙、レミリアの額にかすかに冷や汗が浮かぶ。だが、やがてぽつぽつと出た声は、賛意を示すものだった。


「吸血鬼の嬢ちゃん、二度とあんな事が起こらないためだったら何でもするぜ」

「我々にできることなら協力しよう」

「もともとここは人妖連合の拠点、人と妖怪が力を合わせるなんて、いつもの事だし」

「こんな悲劇、いい加減に終わらせようや」


賛成多数で、この異変解決には人妖総出で当たることが決まった。


「ああ、お嬢様、なんという統率力、ご立派になられて」


わが子の成長を喜ぶ母親のように、咲夜が嬉し涙を流した。


「ああ、それからパチュリーとリトル」 レミリアが二人のほうを向く。

「何、レミィ?」

「というわけで、何かいいアイデアを考えなさい」

「他人任せかよっ」

 

*   *   *


一週間後、人里のはずれにロケットが運び込まれ、大規模な改修作業と発射塔の建設が始まった。

以前、レミリアが気まぐれに月に行こうと言い出して作らせたものだ。結局、技術的な難問のためそのままお蔵入りとなっていたが、異変解決のため再び日の目を見ることとなる。これで第二の月に乗り込むのだ。

改修作業には永遠亭やマヨイガ、連合の人妖のみならず、すったもんだの協議のうえ、旧結社の人間も参加することが決まった。

 作業の合間、パチュリーがロケットを見上げて感慨深げに口を開いた。


 「大勢の助力を求めて正解ね、あらゆる難題が、あんなにあっさりクリアできるなんて」

 「私たちの技術も開放したしね」 永琳がカップに紅茶を注ぎ、彼女に勧める。


 折りたたみ式のチェアに腰かけて紅茶をすすり、カップをテーブルに置き、再び考え始める。

リトルは周囲をパトロールしている。これだけの作業が八雲紫の眼につかないわけがない。だが今のところ、作業が妨害される様子はない。歯牙にもかけないのか、それとも、誰かが自分を止めてくれることを期待しているのか。彼女は昔のような、人間と妖怪が本気で殺しあっていた時代に戻したいらしい、今の時代はそんな彼女からすれば堕落そのものに見えるのかもしれない。しかし、パチュリーにすればいらぬお節介だった。このロケットのように、人妖が知識を共有し、力を出し合うことで達成できる事もあるのだ。それに……、とパチュリーは唇をかみしめる、多くの人間や妖怪を巻き込み、リトルを苦悩させた、このことについて一言言ってやりたい。幻想郷はあなたに管理されないと維持できない存在ではないと。


 リトルがあくびをしながら空を飛んでいた、発射場の巡回である。そろそろ交代の時間だった。パチュリーは魔道具を通じてリトルに伝えた。


 「そろそろ交代が来るから、あなたは休んでいて」

 「はい、わかりました。ちょっと幻想郷を散歩してきます」


 リトルは手を振って、のんびりした速度で東の方へ飛んで行った。



   *   *



 暇を得たリトルがきままに飛んでいると、里の一角から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。結社やフライトナーズの襲撃を乗り越えて育まれた命だった。それと競うように、家々を再建する金鎚や鋸の音も聞こえてくる。彼女はそんな人里を眺めて思いにふける。


(これが人間の強さなのだろう。ものすごく弱く、寿命だって短いはずなのに、でも私たちなんかよりずっと強い。いまはまだ時間が必要だけど、いつかきっと、こんな傷すらも笑って乗り越えてしまうに違いない)


 「しかし、同じ里に短期間で二度も襲撃って、何考えてんの、作者の奴」 


 独り言でメタレベルの疑問を出す。正直あのプロットはやらん方が良かったかも。




「こんにちは、落ちこぼれ悪魔さん」

「リトル、強くなりましたね」


よく知った二人の声がした。懐かしさと威圧感がミックスされた雰囲気。


「ぼいる君、れみるちゃん?」


 黒雲が渦を巻き、日の光を遮った。渦の中心に魔法陣が現れ、リトルの幼馴染だった二人、今は八雲紫の隠し式神となった、ぼいる、れみるが降りてくる。


「二人とも、まだ紫さんの下で人を殺しているの?」 


「人間に試練を与えるのが僕らの役目」 ぼいるはあくまで無表情を貫く。

「リトル、私のかわいい友悪魔」 


 れみるの表情は、かつて小悪魔幼稚園で、魔法に失敗して泣いていたリトルを慰めたときのままだ。しかしれみるは二人の道が遠く離れていることを悟っている。


「ゆ、紫さんの考えで、どれほど多くの、どれほど多くの人が傷ついたと思ってるの!」

「言ったはずだ、これは試練、君の望む優しい世界を掴みたければ、僕たちを倒すんだ」

「私はぼいる君も、れみるちゃんも大好きだよ、今だって。あなた達を倒すのもいや、もうやめようよ」

「リトル、きついことを言うようだけど、あなただって、闘っている時、まさに満ち足りた表情だったわ」

「生きていくために、戦いが必要なことは知っている。でも、いくら違う種族といったって、妖怪にもいろんな感情があって、仲間を思いやって、あなた達だって心を持っている、そうでしょ、せめて似た者同士だけでも仲良くできないの?」

「リトル、莫迦な悪魔失格者、もうこの手の議論には飽きた」


 ぼいるはリトルの言葉を無視して言い放つ。


「決着を付けたければ、あの月へおいでなさい」

「こいつらを退けてね」


 ぼいるが右手を振り上げる。地上に10枚ほどの異次元に通じる鏡が出現し、案の定、別次元からディソーダー御一行が湧いて出てくる。

ここは人里に近い。リトルは一つため息をつくと、雄たけびをあげて斬りかかって行った。


「他にやる事ないんかああああああっ」


 ムーンライトソードを振るい、クナイ弾や大玉を撃ち込み、多少の被弾は顧みず、敵を減らしていく。


「おりゃああああああ、今夜はディソーダー鍋だ、あっ茹でてもいいな」


あるディソーダーは真っ二つになり、あるものは全身を撃ち抜かれ、またある個体は同士討ちを誘われて仲間のラインビームで黒こげになった。


「どこまで私たちを責めればっ」


 なんだか通常の昆虫型に加え、人間型に進化した個体もいた。その個体は上下左右にすばやく動き、リトルの攻撃を巧みにかわす。リトルはわざと付近にあった洞穴に逃げ込む、追いつめられた形になるが、狭い場所では俊敏に動けない。そこをマジックロケットで粉砕した。


「ふう、作戦目標クリアっと」


 しかし、最後の生き残りがいた事に気づいてなかった。その一匹が、リトル以外の矛先を見つけた。ラインビームの砲口を里の方へ向ける。


(しまった)


駆けつけようとしたが、一瞬遅かった。そこからの光景がスローモーションと化す。


(図に乗っていた)


 痛恨のミス、砲口の先には、人々の姿。

 金属をも溶かす高熱のビームが、無慈悲に照射された。

 あの時、沙霧、護衛対象を守れなかった悪夢がフラッシュバックする。


(神様!!)


 だが、ビームは人には届かなかった。

 一本のエネルギー日傘が、それを遮った。

 

 「ふう、間一髪ってとこね」

 「幽香さん」

 「今回は里を守ると約束したの、忘れていたかしら」

 「助かりました、ありがとう」

 「それより、魔界につながる次元の鏡を全部破壊するわ、時間がない、急ぎましょう」 


 上空から戦いを見ていたれみるは、敵ながら天晴れというような、感心した顔を見せる。

 一方ぼいるは唇を噛んで、幽香をにらみ、こう問いかけた。


 「風見幽香、紫様に匹敵する力を持ちながら、なぜ人間に協力する?」

 「人間がいなくなったら、生きる楽しみが減るから、それだけよ」 言いながら、鏡を破壊していく。

 「力を持つ者は、世界に対して相応の義務を背負う、そう思わないのか」

 「自分の力ごときで世界を変えられるなどと、思い上がった者が何をしてきたか、歴史妖怪じゃなくてもわかるはずよ。第一、世界全体を変えようと思えば、私の力でも小さすぎるし」

 「紫さまの目的は、ただの支配とは違う」

 

 ぼいるが空中に魔法陣のサインを描き、具現化した魔法陣から一発のミサイルが地表に向けて放たれた。


 「幽香さん、あれ」 鏡を破壊し終えたリトルが指さす。のんびりした顔のペイントされたミサイルが、通常ショットよりはるかにゆっくりした速度で二人の立っている場所に近づいていく。


 「あ、あれは、四次元ポジトロンミサイル『ミミちゃん』」 


幽香が柄にもなく驚き、右手のひらを口に当てた、次の瞬間、リトルの目を意識して、務めて冷静さを保とうとする。


 「ミミちゃん!? あの『大破壊』以前の兵器。な、なんでそんなヤバいブツがこの幻想郷に?」

 「知らないわ、もしあれが炸裂したら……」


 リトルはいつか聞かされた、パチュリーの話を思い出す。かつての幻想郷は、悪霊や魔界神や並行世界からの訪問者が住む、現在とは少し違う世界だった。ある日突然そこに世界の転換が訪れ、今の幻想郷が作られたらしい。パチュリーはそれを『機種変更』とか『大破壊』と呼んだ。ちなみに大破壊以前は、魔理沙はもっと女の子っぽい性格だったという。


 二人は人里とは反対方向に飛んでよけようとするが、ミサイルは確実に追ってくる。


 「な、なんか音速は遅いのに着実に迫ってきている気が」

 「気がするじゃなくてそのとおりよ、ああもう、こんな仕事引き受けるんじゃなかった」


 あの幽香が、焦りぎみの口調でまくし立てた。よほどの威力なのだろう。

 

 「一か八か、幽香さん、しばらくおとりになっていて下さい」

 「この私におとりになれ? そこまで言うからには、何か策があるんでしょうね」

 「はい、お願いします」


 リトルが魔法で姿を消す。ミミちゃんはそのまま幽香を追いかける。幽香が後ろを振り向くと、リトルがミミちゃんに馬乗りになっていた。


 「えいっ」 翼をはばたかせ、耳の小さな羽根も動員して、ミミちゃんの軌道を強引に変えた。


 「あれ、お兄様、ミミちゃんの軌道がなんか変、と言うか、こっちに飛んできます。リトルのオマケつきで」

 「れみる、まずい、逃げるよ」


 二人が手をつないで呪文を唱え、偽の月へワープする次元の隙間を出現させる。

 そこに急いで避難した後、次元の隙間がふさがっていく。


 「忘れ物、持ってけー!」


 リトルはぎりぎりまでミミちゃんを誘導して、飛んで離れ、ミサイルは二人を追う形で隙間に突入した。

 

 「いい腕ね、また一緒に戦いたいものだわ」 幽香は日傘をくるりと回し、散歩がてらの巡回に戻る。


 空に浮かぶ偽の月が、少し光ったような気がした。


 *   *   *


 ロケット発射場に戻ると、パチュリーが紅茶をいれてくれた。少し多めの砂糖が、リトルを心をいくらかでも癒してくれる。


「パチュリー様、退治し終わりました」

「その様子だと、また何かあったみたいね。八雲紫の隠し式神かしら」

「はい、説得しようとしたけれど、ダメでした。でも信じてます、価値観が違ったって、いつか笑いあえる時が来るって」

「強いのね、その気持ち、忘れてはだめよ」

 

 ちょうどその時、作業場の片隅がざわめいた、誰かが揉めているようだ。

 ロケット改修作業に加わっているスタッフのうち、未羅吾樹の里から来たツクダさんと、暮洲都村のオカムラさんが揉めているらしい。

 どちらの人里も、良質の魔道具製作で知られている。


「未羅吾樹の里の魔道具は、高性能なのはいいが、扱いが難しすぎる、機能より、堅実な作動性を重んじるべきだ。幻想郷の命運がかかっているんだぞ」

「呉洲都村の魔法アイテムは、扱いが簡単な反面、性能面で見劣りするんですよ、ここは我が里の高度魔法技術で」「何を言う、誰にでも扱えるのが良い道具の条件だ」

「魔法の力は、選ばれた者だけが使うべきです、原作の少女たちのような」

「まあまあ、落ち着いて」 如月タウンのナベシマさんが止めに入る。

「マニアック道具は引っ込んでろオラァ」 いらだったオカムラさんが声を荒げた。

「誰がマニアック道具じゃコラァァァ」

「技術は確かかも知れませんが、射突式ブレードだの投擲銃だの、癖があり過ぎるんですよ」

「差別化を図っていると言いやがれ」


 リトルが現場に駆け付けると、ロケット計画の人里側最高責任者、総監督ことジンさんが困り顔で説明する。


「あの三人、いつもあんな調子なんですよ。それぞれ里一番の魔道具職人なんですが、ライバル意識が高じて、弾幕使いを雇って、互いの仕事を邪魔し合っているなんて噂も立ってますよ」

「そうですか、どこまでできるか分からないけれど、なんとかしてみます」


とりあえず三人の間に割って入る。


「喧嘩は止めてくださいっ、私、どの里の道具もみんな好きです。でも喧嘩ばかりするならもう買いませんよ」


彼女の活躍は彼らにも知れ渡っていたので、さすがに静かになった。


「あなたが言うんなら仕方がない」 ツクダさんが言った、他の二人も同意する。

「ありがとうございます、あと、あんまり武器ばかり作るのは控えたほうがいいと思います、魔法は本来、暮らしを豊かにするためのものです、技術だけどんどん進歩して、でも相変わらず喧嘩ばっかり、そんなんじゃいずれ滅びますよ。妖怪が襲ってこなくても」


喧嘩をなだめた後、リトルは再び巡回警備に戻る。


「悪魔に理想論を言われてもねえ」 オカムラさんが腕を組みつつ言った。

「しかし、彼女は一連の抗争に関わっていたし、血みどろの局面だって見たはずです、いろいろあった上でのあの言葉なんでしょうよ」 ツクダさんがリトルを擁護する。

「俺たちの武器も、抗争激化の原因の何パーセントか占めてるんだろうな」 暗い顔のナベシマさんだった。

「じゃあせめて、みんなで最高のロケットを作ろう、今回だけはライバル関係とかは無しの方向で」


ジンさんが三人の肩を叩いて励ます。少しだけわだかまりが解けた三人は作業に戻っていった。


「きっと、こういうのを本当の魔法って言うんでしょうね」


陰できっちり取材していた文が独り言を言った。


*   *   *


 次の日はやけに寒かった。ロケット改修作業のほうは順調にすすんでいるらしいが、こうも冷たい風が吹いたままだと発射に支障をきたすかも知れない。風がうなりをあげ、木々がざわめいていた。


 一息ついたところで、文が携帯電話(を模した魔道具)に耳を当て、深刻そうにうなずいている。


「ええ、はい、はい、ただちにみんなに伝えます」

「どうしたんですか」

「弾幕使いの皆さんに、紅魔館から緊急の依頼です」

「紅魔館、レミリア様から?」

「はい、湖でチルノさんが、大型機動冬妖怪を伴って現れ、自分を負かした小悪魔を出せとわめき、通行の邪魔をしているとのことです」

「チルノさん、根に持っていたんだ」

「またあの氷精? 溶かしておくべきだったかもね」パチュリーが頭を抱えた。

「レミリアさんは昼出られず、咲夜さんは風邪で寝込んでいるそうです」

「弱り目にたたり目とはこのことね」

「緊急の事態ですので、この場での依頼受諾を認めます、あとは皆さんの判断です」

「こあぁ、今日は厄日ですね」


*   *   *


 湖上に大型機動冬妖怪こと、レティ=ホワイトロックがその巨体を宙に浮かべている。肩に氷精が乗っている。前回の戦いで、熱暴走のため縮んでいた体は元通りになっていた。それどころか一回り大きくなった印象さえ受ける。

 リトルは氷精と同高度で対峙した。


 「やっと来たか、小悪魔リトル」

 「チルノさん、まだこんな事をするんですか」

 「あれから考えたんだ、あの時、人間たちまで凍らせようとしたのは謝る。あたいが悪かった。もう人間も蛙も凍らせたりしないと誓う」


チルノが深々と頭を下げた、以前の彼女からは信じられない言動だった。

顔を上げると、厳しい表情がそこにあった。


「だがあたいにもプライドがある、もう一度勝負よ。あんたが勝てば、二度とあんた達の邪魔はしない、ただし、あたいが勝ったら勝利の証として、人は襲わないがロケットを壊させてもらう」

 「……わかりました、お相手します。ですが、ですが……」

 

 リトルが両手のこぶしを握り締めて思い切り叫んだ。


 「そのでっかいのは何なんだー!!」

 「あんたが強いのは認める、だから、この際プライドは抜きだ」

 「どっちやねん!!」

 「ごめんね~、この子がどうしても加勢してくれっていうものだから」 済まなさそうなレティの声。

 「レティたん起動! あの小悪魔をただで帰すな」


 じゃあ行くわよ、との掛け声で、レティが吹雪を発生させた、風と雪に交えて氷の塊がリトルを襲う。

 回避しつつ、『千発マシンガン』と名付けた弾幕で反撃するが、少しリトルが不利に見える。


 「ここはセオリー通りに」


 氷塊の隙をついて接近すると、今度はチルノが弾幕を放ってきた。今までと比べて速度も濃度も違う。意表を突かれて後退する。するとまた猛吹雪が彼女に吹き付ける。


 (どうしよう、チルノさんを倒せばレティさんは退いてくれそうだ、それとも怒って攻撃してくるだろうか? 二人を相手にして勝つなんて。神様のバカ、小悪魔は本来中ボス仕様ですよ)


 もし負けて、ロケットを破壊されたらどうなるだろう。




少女想像中


里の人  :ロケットの被害総額、しめて5万紅夢。どうしてくれる!!

パチュリー:じゃあリトルを売却するわ。


その後……。


???1  :これが今回の被検体か……

???2  :負債は相当な額だったらしいですよ師匠


少女想像終了




(なんてことに……) 頭を振り、最悪の想像を消し飛ばす。


 リトルはオーバードぱたぱたを起動。翼が超高速で振動し、爆発的な加速が生まれる。そのまま頭を先頭にしてチルノに向け突進した。


 「小悪魔ヘッドバット」

 「甘い!」


 チルノは容易にそれを避けた。だが奇妙な違和感を感じた。一瞬見たリトルの表情に焦りがないのだ。

 リトルが頭突きを装って向かったのは紅魔館。門番の美鈴が驚いている。


 「美鈴さん、ちょっとごめんなさい」

 「逃がすか!」


 レティもチルノに急かされて追う。意外とスピードが速い。


 館の陰に降り立ち、スペルカードの準備を始める。霊夢のホーミングアミュレットと、魔理沙のマジックミサイルを応用したものだ。


 「ぶっつけ本番で大丈夫かなあ」 


 吹雪が紅魔館に叩きつけられ、窓ガラスが軋む。

 美鈴があわてて応戦している。

 リトルは必死で呪文の詠唱を行う。


 「お願い、間に合って、借金のカタに売り飛ばされて、いろいろ改造されるのは御免です」

 「はっはっは、出てこないんならこの屋敷を踏みつぶすよ。レティ、やっちゃって」

 「それはやりすぎじゃないの? でもここのメイド長には痛い目に合わされたしね……どうしようかしら」


 レティがどうするか迷っていると、紅魔館の裏手から、無数のマジックミサイルが垂直に打ち出されるのが見えた。それは空中で方向をかえ、二人の元に殺到する。


 「ちょっとー、身を隠して弾幕なんて卑怯よ」

 「さっきの言葉、そのままお返しします、この際プライドは抜きです」


 チルノは何とか避けつづけるが、巨体のレティは何発も被弾してしまう。


 「あいたたたたたたたたたた」

 「レティーーーーーー!」


 大ダメージを受けてしまったらしく、レティの体は半分近く縮み、足取りがふらついている。


 「……の子、中ボ……せに結構……るじゃない」


 両ひざを水底に落とし、轟音と水しぶきをあげて、大型機動冬妖怪は崩れ落ちる。水しぶきは紅魔館最上階のテラスまで届いた。

 

 「レティを撃ち落とすなんて、さすがはイレギュラー」

 「さあ、これからが勝負です」


 目の前にぶちまけられるチルノの氷弾。リトルは何発か被弾しながらも、クナイ弾や大玉を撃ち返し、チルノと張り合う。


 「いくよ、パーフェクトフリーズ!」

 

 次の氷玉がばらまかれ、リトルの周囲で制止する。

 数瞬後、 静止していた氷玉が動きだし、ランダムな方向へ飛び散った。

 動きだした氷玉に気を取られているうちに、新たに放たれた氷のシャワーを浴びる。

 ぼろ屑のようになりながら湖へ落下してゆく。

 いつものチルノなら、ここで無邪気に勝利を確信するはずである。


 「違う! これはあいつじゃない」

 「その通りです」

 

 真後ろに回り込んだリトルが、立膝の姿勢で空中に浮かんでいる、右肩に金色に光り輝く筒を構えて。


 「グレネード大玉!」 


 筒先から光球が撃ち出され、チルノは避ける間もなく湖岸まで吹き飛ばされた。

 打ち終えた後、金色の筒が別空間に格納される。

 リトルが何日かかけて、大玉数十発分の魔力を凝縮しておいたものだ。


 「まあ、作者はチェーンガンが好きなんですけどね」


 身代わり人形(アリス製インサイド装備)に礼を言いながら、チルノを探す、妖怪はこれしきの事で消滅したりはしないが、相対的に妖怪より弱い妖精は分からない。妖精は死んでもすぐ生き返るというが、それでも後味が悪い。以前チルノが人間を巻き込む戦いをした時、頭に血が昇って彼女を殺しかけた。やむを得なかったといっても、その時の感情を改めて恐ろしく感じる。

 服がぼろぼろになったアフロヘアーの氷精が岸辺に倒れていた。そっと近づいて声をかける。


 「あのー、大丈夫ですかぁ~」

 「かろうじて……ね。ははは、やっぱあんた強いわ」

 

小さく笑顔を浮かべた。そこに悔しさや恨みはみじんも含まれていない。

  

 「約束、守ってくださいね」

 「うん、もう誰も襲わない、これを使いな、きっと役に立つと思う」 


 チルノは水色のリボンをほどくと、リトルの前に差し出した。おそるおそる手に取るとひんやりと冷たい。


 「補助ラジエーター。火照った体の強制冷却が可能」

 「受け取っておきます」

 「あたしとレティはこの程度じゃ死なないから、しばらくそっとしておいて」


 どことなく一皮むけたような氷精に手を振って、紅魔館に戻って事情を説明したのち、里へ向かった。

 リトルが去ったのち、妖精たちが湖に戻ってきた。そのうちの何匹かが、倒れていたチルノをあざ笑い、大妖精がそんな妖精たちをたしなめている。その光景をチルノはただ見つめるのみ。自然と言葉を漏らす。


 あたいはただひたすらに最強であろうとした。

 そこにあたいの生きる意味があると信じていた。

 ようやくその片鱗が見えた気がする。

 最強、その称号は、あんたにこそふさわしい。礼を言うわ、あたいのライバル。


 その顔はさわやかだった、遠くでレティがやれやれといって起き上った。


*   *   *


さらに一週間後、ロケットはほぼ飛べる状態になり、寄り合いの場で乗組員を選ぶことになった。乗れるのは4人が限度だった。

今回の異変の主犯とみられる八雲紫は、前回の幽々子の襲撃からして、リトルとパチュリーに興味を抱いているらしい。

そして、主の真意を直接確かめたいという藍と橙のたっての願いにより、この4人が乗り込むこととなった。この試みにはまだまだ未知の要素が多く、人間を乗せるのは危険であるという藍の提案で、霊夢や魔理沙には留守番してもらう事となった。

魔理沙は残念がっていたが、霊夢はあっさりそれを受け入れた。

ロケット発射は明日、寄り合いが終わった後、リトルや妖怪たちは、霊夢の誘いで神社へ宴会へ行く。


「明日は大事な日だから、みんなお酒は一杯だけね」


おつまみは少し多めに出た。


「本来、妖怪の起こす異変は人間が解決するものなんだけど、もしロケットが爆発でもしたら、人間はあっさり死んでしまう。これが博麗の巫女だったりした日には……ということだ」

「藍の言うとおりね、悔しいけれど、今回は自重させてもらうわ」

「魔法使いを甘く見るもんじゃないぜ」 魔理沙がまだ口をとがらせていた。

「馬鹿言わないで、魔理沙がもし死んだら、その、あの」 アリスが身を乗り出す。

「もし死んだら?」

「その、弾幕ごっこの相手が一人減って寂しいわ」

「魔理沙、恋人を泣かせちゃだめよ」

「馬鹿なこと言わないで!」


アリスが霊夢を拳でぱんぱん叩く。


「話は変わって、リトル、どうかしら? あなたが望むなら、ドラゴンの姿や、ベヒーモスの姿に変身して戦えるようにしてあげることもできる。もしかしたらその人間型のスタイルでは、今回の戦いはきついかも知れない」


リトルは笑顔でその申し出を断った。


「お心遣いありがとうございます、でも、私は死ぬまで中量二脚こぁですよ」

「そう、やっぱり慣れたスタイルが一番かもね」 パチュリーは少し残念そうだった。

「それにしても」 藍が呟いた。「紫さまは、狂っておられるのだろうか」

「狂っていたら、あんた達がヤキ入れてやりなさい、大事な主でしょ」 と霊夢のコメント。

「ははっ、霊夢は強いな」

「当然よ、博麗の巫女だもの」


 藍は盃を傾けながら物思いにふける。紫様が狂っているのなら、困難だがそれを正せばいい。問題は、これが狂気に突き動かされてではなく、自分たちのはかり知れぬ、冷静かつ遠大な構想で行われている場合だ、その時、式である自分と橙はどうしたらいいのだろう。だが藍は深く考えるのをあえて止めた。たとえ紫様から見てわがままに思われたとしても、日常を取り戻したかった、紫様と橙と自分、幻想郷の人妖が織りなす、騒がしくも穏やかな日々に戻りたいのだ。紫様が信念を貫くのなら、私もそうするまでだ。そう決意を固めた。


 その日の夜も普通に更けていった。ただ、月がもう一つ余分に浮かんでいた。


*   *   *


 出発日の最終作業は意外なほど滞りなく進んだ。先日いがみ合っていた三人も、整然と各エンジンや計器、誘導装置などの点検を行っている。

リトルたちは霊夢たちにあいさつした後、宇宙服代りの強力な遮断結界のスペルカードと、予備の酸素タンクを腰に付け、タラップを上り、天を向いた座席に体を預けた。

 その後、スタッフに連絡が来るまで待つように言われた。


「緊張します」 リトルがそわそわしている。

「あれ以来、妨害工作はなかったわね」 とパチュリー。

「おそらく、決着をつけてやるからさっさと来い、という事なのだろう」 藍が重々しく言った。

「話の腰を折るけど、このロケットの名前は何って村の人に聞いたら、すっごい変なんだよ『椅子飛ぶオデン号』て言うんだって」


 橙が場を明るくしようとしている。


「そりゃあ、変な趣味だな、何考えてんだろう」

「人間って面白い生き物だよね、藍さま、だから絶滅して欲しくない」

「ああ、頑張ろうな橙」

「そうです、今回の異変、これで終わりにしましょう」 リトルが声を張り上げる。

 

 ベルが鳴り、ジンさんからカウントダウンを始めるとの通信が入った。一同、かたずを飲んでその時を待つ。


「……3、2、1、ゼロ。イーストオブエデン、リフトオフ」


 ロケットが轟音とオレンジの炎をあげ、偽の月目指して飛び立った。その後1段、2段のエンジンを予定通りの高度で分離し、着陸船を包むフェアリングを捨て、偽の月への進路を進む。その知らせに歓声が上がる。


「今回はお前たちに任せたぜ」

「おいしいお酒用意して待ってるわ」

「私も行きたかったわ」

「太陽光線がダイレクトに降り注ぐ空間に、お嬢様を行かせられません」


 

 *   *   *


「紫様、この肉は僕のものです」

「お兄様、もっと野菜も摂るべきよ」

「ぼいる、そこの卵とって」


 偽の月、その中枢でこたつに入りながら、紫とぼいる、れみるの三人はすき焼きの鍋を囲んでいた。


「所で紫様、ロケットの発射を今日確認しました、3日もすればここに到達するかと」

「ぼいる、れみる、ここに彼女たちが到達したら、相手して差し上げなさい、もし力が敵わないのなら、素直に負けを認めて通してあげなさい、負けたら死ね、などと野暮なことは言いません」

「はい、でもまるで、あなたは阻止されたがっておられるかのようだ」

 

 ひょいと箸が伸び、ぼいるの肉を奪う。 


「あっ、れみる、肉をとるなとあれほど」

「私はまだ食べていませんもの」

「……まあ、そうかもね」 紫が遠い眼をして答えた。


「ところで二人とも、あなた達の働きには感謝してるけど……」


三人は、お互いのすすだらけの服を見つめた。よく見ると、周囲の部屋も焼け焦げている。


「まさかお土産にミミちゃんを持ってくるとは思わなかったわ」 満面の作り笑いだった。

「えらいドジこきました、紫様」

「すんません」 平謝りするしかない兄妹であった。


最近、仲良くする人間と妖怪が増えている。紫は最初それをイレギュラー要素と考えたが、考えが揺らぎつつあるのを感じていた。

もしかしたらそれはイレギュラーではなく、人妖共生体とでも言うべき新たな種なのかも知れない。

小悪魔リトルはそれを、『人間と妖怪の領域を行き来するワタリガラス』と表現した。

自分のしてきたことは、その芽を摘む行為だったのだろうか。しかし……、紫は思考する。


(レイヴン達、あなた達がイレギュラーなのか、それとも新たな地平をひらく新種なのか、見極めさせてもらうわ)


そう思い、視線を鍋に戻すと、肉という肉があらかた食われ、かわりにうどんが入れられていた。さすがは小悪魔だなと紫は感じた。



 前回の作品集43「アーマードこぁⅧ」で、今回が最後と書きましたが、いろいろ書きたい部分があって、最終回は次回になると思います。ここまで読んでくださってありがとうございました。



 小悪魔とチルノは作品集35のⅣ、および作品集40のⅦ、そして今回の話で3回交戦しています。

 紫様や紫者実動部隊のオリキャラ二人より、チルノのほうがリトルのライバルっぽいかも。



 このシリーズを書き始めた当初、原作のゲームは初代PS三部作と2しかプレイしてませんでしたが、途中で3とSLを買って加えたいネタが増えたため、迷走気味の展開になってしまった感じがします。



 ACのゲーム中にはない要素も多いですが、それで原作を知らない方にも楽しんでいただければ幸いです。

原作を知っている方も楽しめるかは未知数ですが。



 橙と藍さまも次回は戦闘シーンがあると思います。藍さまの前口上はやっぱり、某面倒が嫌いな人風で。

とらねこ
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コメント



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まさに点数のままです。
待っていました、レイヴン。

しかし、まさかあそこでジナイーダが来るとは。各所のネタでニヤニヤしてしまいました。