「と言う訳でここにご厄介になるわよ」
「なにが『と言う訳』なんですか!帰ってくださいお願いします」
「まぁまぁ、そう邪険にしない。あと私の事は『お姉ちゃん』と呼んでいいわよ」
「なんですかその妙に春度の高い科白は。呼びません!全力で断らせて頂きます!」
「え、でも私『お姉様』と呼ばれるにはまだ早いし。もちろん性的な意味で。」
「ともかく!斬りつけたり撃たれちゃったりする前に!なぜ貴方が『魂魄靈夢』で『本日からここに住むことに決まった』のかを話してください。」
「養女になったのよ」
「…幼女?」
「現実から逃げ出さない、脳も処理を拒否しない。あと人を幼女呼ばわりしたのは覚えておくわ、場合によってはおとなになってもらうわね」
「えっと…後半はおいておいてですね。だれ、の?」
「マッドでガチムチな爺様からファンキーに誘われたわね」
「ごめんなさい、やっぱり聞きたくないです。それと帰って」
「ふぃ~、よこいせっ」
「…なんで座り込むんですか」
「いや、帰る場所ここだし」
「神社はどうするんですか、正月だというのに巫女さんが居ないと困るでしょう」
「それが困ったことに困らないのよね」
「微妙に言葉がおかしいですよ、つまりどういうことですか」
「いや、神の居ない神社に巫女がいてもしょうがないじゃない」
「三が日は参拝客も来るでしょう」
「来ないわよ、神が居ないもの」
「神が居ないと分かるとは里の方々も只人揃いとはいえさすが幻想郷住まいですね、その割には妹紅さんとかの気配は察せられなかったようですが」
「まぁ神社に神が居るか居ないか、居るならご利益はどの程度なのか分かる程度の能力と、竹藪の中に何が何匹いるのかを観る程度の能力はまた違ってくるわ」
「前者はオカルト、後者は狩人の能力みたいですね。じゃ私はこれで」
「妖夢ちゃ~~ん、逃げてもいいことないわよぉ」
「ああもう幽々子様みたいな話し方しないでください!あとよく分かりませんし分かりたくも無いですが逃げたほうが絶対にいいと巫女ほどでは無いカンが告げています」
「逃げる場所なんて無いわよ、もう他人じゃないんだし(性的な意味で無いのが残念だけど)」
「ああぁぁっ、お師様の馬鹿ぁ」
「だから、ね。私の事は『お姉ちゃん』と呼んでいいわよ」
「どうしてもそこにこだわるのですね。ですが私は孫で貴女は養女、すなわち貴女は『おばさん』です」
「わ、私はおばさんじゃない…わ、よ」
「はいはい現実から逃げ出さないでください、脳も処理を拒否しないで現実を見つめてください」
「現実ってなによ」
「これです」
「封書?」
「ぽち袋、というものです」
「い、いやぁぁあっ」
「もうご理解頂けたようですね、世間一般ではこれに『お年玉』を入れて…」
「あ~~やだやだやだぁ、聞こえない聞きたく無い!えぐえぐ」
「えと、そこまで本気で泣かれますと困ります。数の子が入手出来なかったと紫様に聞かされた幽々子様以来です、そんなマジ泣き見るのは」
「なんで私がお年玉を出さないといけないのよぉぉ」
「お年始に『おばさん』においでいただけたからです。伝統に基づいて頂けるものは頂戴したいので」
「正論なんて聞きたくないわ!」
「年神へのお供えされたものをくださりものとして分け合うことによって年神の霊力を頂けると聞いています。すなわちお年魂ですね」
「正論がパワーアップした!?」
「目上のものとして、そして巫女としても「年の賜物」を下さるのは当然と思います」
「…本題に入るわね」
「そうですね、やっと本題に入れますね」
「まぁウチには神が居ないのよ」
「いるじゃないですか」
「悪霊は神じゃないわ、アレが神になれるなら今すぐ紅魔館に殴り込んで500年×2をヒモノにして、千年なんちゃらとか有り難い名前で祭り上げるわよ」
「死んでしまったら灰になりませんか?」
「だからヒモノにとどめておくのよ」
「…悪魔より鬼畜ですね、靈夢さん」
「住居と職場に悪霊が居座っていたくらいだしね」
「神社を職場といいますか、そういえば神亀がいませんでしたっけ」
「なにそのサイタマ銘酒みたいなの、で里の人達は玄爺を拝みに来ると思う」
「…来ないでしょうね、まだ近所の上白沢女史のほうが御利益がありそうです」
「全く、こんなに可愛い巫女さんがいるってのに、里の人達ってば目が節穴よね」
「いえ、よっく分かっていると思いますよ」
「じゃあなんで来ないのよ」
「いえ、可愛い巫女を拝めるといったことと、そうして鼻の下を伸ばしていると神隠しにあったり花の肥料になったり百鬼夜行されるリスクとを冷静に天秤に掛けた結果来ないことになったかと」
「…とりあえず幽香は埋めておくことにするわ」
「ええ、それがいいと思いますよ。彼女も花畑の一部になれるなら本望かと」
「風見幽香はこれで良し、あとは年増と幼女ね」
「ところで本題はどうなりました」
「本題?」
「ギリとはいえ姪におとしだm」
「火急的速やかに博麗に神か、それに代わるだけのご神体がいるのよ。今年こそとか思っているウチに恐れていた競争相手が本物の神二柱も併せて来ちゃったし」
「博麗結界ではダメなんですか」
「御利益無いもの、結界でいいなら貴女んところの冥界結界や三途の川や幽香の夢幻館にも参拝客が来てるわよ」
「そもそも一般人にはたどり着けない場所ばかりですが、それより貴女が『叔母』になった経緯の方を早く」
「まぁまぁ話を焦らない、落ち着きましょうね妖夢ちゃん」
「知っていますか?武家では刀を下さるのがお年玉で、刀の」
「さあ、さくさく話を進めるわよ。まぁ結論として妖忌は失敗したのね」
「どういう事ですか!」
「仏教ではどうにもならなかったという事ね、殺人剣だ活人剣だと言っているウチはよかったのだけど」
「それが良くないとでもいうのですか」
「仏教は本来剣とは相性良く無いわね、釈尊そのものだって本国の戦争や滅亡を止められなかったのだし。まぁそこらへんは仏法の守護者の映姫にでも聞いてもらうとして」
「まだ他になにかあるのですか」
「魂魄家と相性最悪なのよね、たぶん。仏教って自意識を保つのを辞めることが目的の一つだから、そうなると半分霊魂の魂魄一族は実体を保てなくなるわ」
「でもそれが無我の境地で…」
「諸法無我、まぁ自分を捨て去ると言ってしまえば格好良いのだけれどもねぇ」
「ならば私の修行は…」
「うん、たぶん『んな事できる訳無いよなぁ』で始まったんじゃないかな」
「そんな馬鹿な!」
「精神を研ぎ澄ますとか集中力が上がるとか、呼吸なんかが神経や精神には効くわよ、禅は。まぁほどほどにすべきね」
「靈夢さんはどうなんですか?」
「ん?ああ、悟り澄ますなんてまっぴらごめんよ。亀は泥の中で這いずっているのが一番幸せね」
「老子ですね」
「学があるわねぇ、無為自然とまでゆかないけど、せいぜい人間らしくジタバタするわ」
「りっぱに無重力に見えますけど」
「まだ妖夢ちゃんに『おねえちゃん』って呼ばれてないのが心残r…」
「なぜ年長者からお年玉を頂けるかというと、年長の者を年神の代理と見立てるからです。さらに巫女様ならば神の代理資格は充分…」
「さて!天地と一体になると気楽にいうけど、それじゃ花畑と一体になった幽香と同じよ。酒樽を川にひっくり返しても川は酒にならないわ」
「話は大体理解できた気がします。あともう幽香さんは「埋めよう」では無くて埋められてしまったんですね、先ほど」
「いいのよ、黒歴史だし」
「で、お師様のほうはどうなったんですか」
「実体を把握できない状態が続いていたわね、有る程度粘度があれば液体もそう混ざらないように、気力と体力と根性と執念と怨念のどれかがあればまぁ少しは保つみたい。でもあれはかなりの霊感を持たないと見ることすらできなかったわ」
「どうやら時間が無いみたいですね、元気でしたでしょうか」
「テンションは高かったわよ、まぁ元々は寡黙な人だったらしいから相当な無理をしていたのかもね」
「いたわしい限りです、師匠。で、無理とはどのような感じだったでしょうか」
「アロハにモモヒキの組み合わせはガチムチマッチョに妙に似合うけど野戦ブーツと片メガネは無いわよねぇ」
「みょん?」
「頭には鉄帽を被り、革製の背嚢を背負って居たわ」
「革製の背嚢?ですか」
「いわゆるランドセルよ、ランドセルに丸帽が許されるのはフランドールまでだと思ったけどね」
「あ~~やだやだやだぁ、聞こえない聞きたく無い!えぐえぐ」
「その強力な生き恥が妖忌を妖忌たらしめているのよね、あふれ出る恥を押さえ込もうとすると今度は意志が必要となるから実に好循環だわ、って妖夢、泣かないでよ。でも貴女の苦悩はそのまま妖忌がのたうつ助けになってるわ」
「き、切るっ!切れば分かるし弟子として孫としてもう切らなくてはいけません」
「大丈夫、まだ恥を捨て切れて無いから、一応それぞれ意味があるわよ」
「どのようなですかぁ」
「新年早々テンション下がっているわね、まぁ仕方ないか。
過酷な状況で乱暴に扱っても六年は持つと噂のランドセル、遠近両用に対応する片メガネ、和装をもとに洋風に改良されたアロハ、ゲートルを巻かずに脚を固定する野戦ブーツ、煮炊きにもつかえる頑丈な丸鉄帽子、冬にアロハはきついから腹巻き、腹巻きの中には暇つぶしに『山田ババアに花束を』が入っているわ」
「ああ、筆者の故郷を馬鹿にしまくったあの少女小説家もついに現世より放逐され幻想入りに…って師匠ぉ」
「もちろん本を奨めたのは幽々子」
「…グレちゃおうかなぁ、私」
「妖夢はほどほどに禅でもしたほうがいいみたいね、精神修養がたりないわ」
「はぁ、そうかもしれません。誰から学べばいいのでしょう」
「普通に仏教の守護者、映姫じゃない」
「座禅よりも禅問答のほうに重点が置かれそうですね」
「閻魔愛の説教部屋ね」
「それで精神修養になるなら小町さんは今頃悟りを開いてるのでは」
「あの落ち着きといい、欲なく無理なく働かず。彼女はすでにホトケと化しているわね」
「悟りがアレなら私は別に悟りたくないです」
「ならば白玉楼の姫君なんてどう?」
「厭な冗談ですね、私もすでに悟っていることになりますよ」
「全然悟ってないじゃない、幽々子並の天衣無縫になってみなさいよ」
「もう私は今のままでいいです、これ以上世間に迷惑をかける訳には…」
「幽々子は…世間の迷惑、と。メモメモ」
「正体を現せこのカラス天狗」
「射命丸扱い!?そんな不名誉な」
「覚悟、切れば正体が明らかになります」
「これだから活人剣とか切って顧みない世迷い言を語る禅宗系武闘派は困るわね」
「いや、貴女が博麗靈夢だとすれば、カンを頼りに妖精を撃墜する貴女に言われる筋合いないです」
「カンと判断力に違いなんて無いわよ」
「うぁ、断言した」
「神道は技能よ、だから私のカンも技術!」
「神道関係ないじゃないですか」
「神なんて居た方がいいけど居なくてもいいの。たとえていうなら私なんかそうね」
「タオとどう違うんです?それって。たしか美鈴さん、妹紅さん、輝夜さん、永琳さんなんかが使い手に居ましたが」
「道教は生まれながらの才能が居るのよ、すなわち仙骨ね。ちなみに私は神道・道教
両方使えるわ」
「靈夢さんは巫女じゃなくて以後陰陽師と名乗ったほうがいいですよ、信仰集めなくて済みそうですし」
「いやよ、巫女じゃないとお賽銭集まりにくいじゃない」
「いや、集まっていませんから、お賽銭」
「だ・か・ら、新たな信仰対象が必要なのよ、急募!」
「で、私が関係あるんですか」
「つまり、博麗は珠を使うの」
「陰陽玉だけでなく、御札から針やらしまいには座布団までもつかうじゃないですか」
「で、鏡は守矢が所持しているの」
「そういえば神奈子って神様が鏡を下げていましたね、オンバシラが目立ちすぎて忘れてましたが」
「あと足らないのは剣ね」
「いやでも、これは妖怪剣で、ご神体でも神剣でもなければご宝物ですら無いのですが」
「つまり神道勢力に【国符「三種の神器 剣」】が加われば【国体「三種の神器 郷」】ができて、ラストスペル【未来「高天原」】が完成するのっ」
「………あれ?」
「ってけーねが言ってた」
「あの豊満クライシスがぁぁ、オールドヒステリー許すまじぃぃ」
「義満クライシスとオールドヒストリーね。有る意味キモけーねよりヒドいわよ、それ」
「訂正は不要!あの昭和の雨の差し金かっ。お師様を焚き付けたのも、私が巫女に出されるのも、白玉楼を明け渡すのも!なにもかもっ」
「ちょっと落ち着きなさい。長ドスを振り回すと危な、きゃあああっ」
「え、靈夢…まさか、当たった、の?」
靈夢は緊張感がなかったところを妖夢の白楼剣によって袈裟懸けに切られてしまった。
切るほうも切られるほうもこんな終わりは想定していなかった。
博麗靈夢の話はこれで終わる。
「なにが『と言う訳』なんですか!帰ってくださいお願いします」
「まぁまぁ、そう邪険にしない。あと私の事は『お姉ちゃん』と呼んでいいわよ」
「なんですかその妙に春度の高い科白は。呼びません!全力で断らせて頂きます!」
「え、でも私『お姉様』と呼ばれるにはまだ早いし。もちろん性的な意味で。」
「ともかく!斬りつけたり撃たれちゃったりする前に!なぜ貴方が『魂魄靈夢』で『本日からここに住むことに決まった』のかを話してください。」
「養女になったのよ」
「…幼女?」
「現実から逃げ出さない、脳も処理を拒否しない。あと人を幼女呼ばわりしたのは覚えておくわ、場合によってはおとなになってもらうわね」
「えっと…後半はおいておいてですね。だれ、の?」
「マッドでガチムチな爺様からファンキーに誘われたわね」
「ごめんなさい、やっぱり聞きたくないです。それと帰って」
「ふぃ~、よこいせっ」
「…なんで座り込むんですか」
「いや、帰る場所ここだし」
「神社はどうするんですか、正月だというのに巫女さんが居ないと困るでしょう」
「それが困ったことに困らないのよね」
「微妙に言葉がおかしいですよ、つまりどういうことですか」
「いや、神の居ない神社に巫女がいてもしょうがないじゃない」
「三が日は参拝客も来るでしょう」
「来ないわよ、神が居ないもの」
「神が居ないと分かるとは里の方々も只人揃いとはいえさすが幻想郷住まいですね、その割には妹紅さんとかの気配は察せられなかったようですが」
「まぁ神社に神が居るか居ないか、居るならご利益はどの程度なのか分かる程度の能力と、竹藪の中に何が何匹いるのかを観る程度の能力はまた違ってくるわ」
「前者はオカルト、後者は狩人の能力みたいですね。じゃ私はこれで」
「妖夢ちゃ~~ん、逃げてもいいことないわよぉ」
「ああもう幽々子様みたいな話し方しないでください!あとよく分かりませんし分かりたくも無いですが逃げたほうが絶対にいいと巫女ほどでは無いカンが告げています」
「逃げる場所なんて無いわよ、もう他人じゃないんだし(性的な意味で無いのが残念だけど)」
「ああぁぁっ、お師様の馬鹿ぁ」
「だから、ね。私の事は『お姉ちゃん』と呼んでいいわよ」
「どうしてもそこにこだわるのですね。ですが私は孫で貴女は養女、すなわち貴女は『おばさん』です」
「わ、私はおばさんじゃない…わ、よ」
「はいはい現実から逃げ出さないでください、脳も処理を拒否しないで現実を見つめてください」
「現実ってなによ」
「これです」
「封書?」
「ぽち袋、というものです」
「い、いやぁぁあっ」
「もうご理解頂けたようですね、世間一般ではこれに『お年玉』を入れて…」
「あ~~やだやだやだぁ、聞こえない聞きたく無い!えぐえぐ」
「えと、そこまで本気で泣かれますと困ります。数の子が入手出来なかったと紫様に聞かされた幽々子様以来です、そんなマジ泣き見るのは」
「なんで私がお年玉を出さないといけないのよぉぉ」
「お年始に『おばさん』においでいただけたからです。伝統に基づいて頂けるものは頂戴したいので」
「正論なんて聞きたくないわ!」
「年神へのお供えされたものをくださりものとして分け合うことによって年神の霊力を頂けると聞いています。すなわちお年魂ですね」
「正論がパワーアップした!?」
「目上のものとして、そして巫女としても「年の賜物」を下さるのは当然と思います」
「…本題に入るわね」
「そうですね、やっと本題に入れますね」
「まぁウチには神が居ないのよ」
「いるじゃないですか」
「悪霊は神じゃないわ、アレが神になれるなら今すぐ紅魔館に殴り込んで500年×2をヒモノにして、千年なんちゃらとか有り難い名前で祭り上げるわよ」
「死んでしまったら灰になりませんか?」
「だからヒモノにとどめておくのよ」
「…悪魔より鬼畜ですね、靈夢さん」
「住居と職場に悪霊が居座っていたくらいだしね」
「神社を職場といいますか、そういえば神亀がいませんでしたっけ」
「なにそのサイタマ銘酒みたいなの、で里の人達は玄爺を拝みに来ると思う」
「…来ないでしょうね、まだ近所の上白沢女史のほうが御利益がありそうです」
「全く、こんなに可愛い巫女さんがいるってのに、里の人達ってば目が節穴よね」
「いえ、よっく分かっていると思いますよ」
「じゃあなんで来ないのよ」
「いえ、可愛い巫女を拝めるといったことと、そうして鼻の下を伸ばしていると神隠しにあったり花の肥料になったり百鬼夜行されるリスクとを冷静に天秤に掛けた結果来ないことになったかと」
「…とりあえず幽香は埋めておくことにするわ」
「ええ、それがいいと思いますよ。彼女も花畑の一部になれるなら本望かと」
「風見幽香はこれで良し、あとは年増と幼女ね」
「ところで本題はどうなりました」
「本題?」
「ギリとはいえ姪におとしだm」
「火急的速やかに博麗に神か、それに代わるだけのご神体がいるのよ。今年こそとか思っているウチに恐れていた競争相手が本物の神二柱も併せて来ちゃったし」
「博麗結界ではダメなんですか」
「御利益無いもの、結界でいいなら貴女んところの冥界結界や三途の川や幽香の夢幻館にも参拝客が来てるわよ」
「そもそも一般人にはたどり着けない場所ばかりですが、それより貴女が『叔母』になった経緯の方を早く」
「まぁまぁ話を焦らない、落ち着きましょうね妖夢ちゃん」
「知っていますか?武家では刀を下さるのがお年玉で、刀の」
「さあ、さくさく話を進めるわよ。まぁ結論として妖忌は失敗したのね」
「どういう事ですか!」
「仏教ではどうにもならなかったという事ね、殺人剣だ活人剣だと言っているウチはよかったのだけど」
「それが良くないとでもいうのですか」
「仏教は本来剣とは相性良く無いわね、釈尊そのものだって本国の戦争や滅亡を止められなかったのだし。まぁそこらへんは仏法の守護者の映姫にでも聞いてもらうとして」
「まだ他になにかあるのですか」
「魂魄家と相性最悪なのよね、たぶん。仏教って自意識を保つのを辞めることが目的の一つだから、そうなると半分霊魂の魂魄一族は実体を保てなくなるわ」
「でもそれが無我の境地で…」
「諸法無我、まぁ自分を捨て去ると言ってしまえば格好良いのだけれどもねぇ」
「ならば私の修行は…」
「うん、たぶん『んな事できる訳無いよなぁ』で始まったんじゃないかな」
「そんな馬鹿な!」
「精神を研ぎ澄ますとか集中力が上がるとか、呼吸なんかが神経や精神には効くわよ、禅は。まぁほどほどにすべきね」
「靈夢さんはどうなんですか?」
「ん?ああ、悟り澄ますなんてまっぴらごめんよ。亀は泥の中で這いずっているのが一番幸せね」
「老子ですね」
「学があるわねぇ、無為自然とまでゆかないけど、せいぜい人間らしくジタバタするわ」
「りっぱに無重力に見えますけど」
「まだ妖夢ちゃんに『おねえちゃん』って呼ばれてないのが心残r…」
「なぜ年長者からお年玉を頂けるかというと、年長の者を年神の代理と見立てるからです。さらに巫女様ならば神の代理資格は充分…」
「さて!天地と一体になると気楽にいうけど、それじゃ花畑と一体になった幽香と同じよ。酒樽を川にひっくり返しても川は酒にならないわ」
「話は大体理解できた気がします。あともう幽香さんは「埋めよう」では無くて埋められてしまったんですね、先ほど」
「いいのよ、黒歴史だし」
「で、お師様のほうはどうなったんですか」
「実体を把握できない状態が続いていたわね、有る程度粘度があれば液体もそう混ざらないように、気力と体力と根性と執念と怨念のどれかがあればまぁ少しは保つみたい。でもあれはかなりの霊感を持たないと見ることすらできなかったわ」
「どうやら時間が無いみたいですね、元気でしたでしょうか」
「テンションは高かったわよ、まぁ元々は寡黙な人だったらしいから相当な無理をしていたのかもね」
「いたわしい限りです、師匠。で、無理とはどのような感じだったでしょうか」
「アロハにモモヒキの組み合わせはガチムチマッチョに妙に似合うけど野戦ブーツと片メガネは無いわよねぇ」
「みょん?」
「頭には鉄帽を被り、革製の背嚢を背負って居たわ」
「革製の背嚢?ですか」
「いわゆるランドセルよ、ランドセルに丸帽が許されるのはフランドールまでだと思ったけどね」
「あ~~やだやだやだぁ、聞こえない聞きたく無い!えぐえぐ」
「その強力な生き恥が妖忌を妖忌たらしめているのよね、あふれ出る恥を押さえ込もうとすると今度は意志が必要となるから実に好循環だわ、って妖夢、泣かないでよ。でも貴女の苦悩はそのまま妖忌がのたうつ助けになってるわ」
「き、切るっ!切れば分かるし弟子として孫としてもう切らなくてはいけません」
「大丈夫、まだ恥を捨て切れて無いから、一応それぞれ意味があるわよ」
「どのようなですかぁ」
「新年早々テンション下がっているわね、まぁ仕方ないか。
過酷な状況で乱暴に扱っても六年は持つと噂のランドセル、遠近両用に対応する片メガネ、和装をもとに洋風に改良されたアロハ、ゲートルを巻かずに脚を固定する野戦ブーツ、煮炊きにもつかえる頑丈な丸鉄帽子、冬にアロハはきついから腹巻き、腹巻きの中には暇つぶしに『山田ババアに花束を』が入っているわ」
「ああ、筆者の故郷を馬鹿にしまくったあの少女小説家もついに現世より放逐され幻想入りに…って師匠ぉ」
「もちろん本を奨めたのは幽々子」
「…グレちゃおうかなぁ、私」
「妖夢はほどほどに禅でもしたほうがいいみたいね、精神修養がたりないわ」
「はぁ、そうかもしれません。誰から学べばいいのでしょう」
「普通に仏教の守護者、映姫じゃない」
「座禅よりも禅問答のほうに重点が置かれそうですね」
「閻魔愛の説教部屋ね」
「それで精神修養になるなら小町さんは今頃悟りを開いてるのでは」
「あの落ち着きといい、欲なく無理なく働かず。彼女はすでにホトケと化しているわね」
「悟りがアレなら私は別に悟りたくないです」
「ならば白玉楼の姫君なんてどう?」
「厭な冗談ですね、私もすでに悟っていることになりますよ」
「全然悟ってないじゃない、幽々子並の天衣無縫になってみなさいよ」
「もう私は今のままでいいです、これ以上世間に迷惑をかける訳には…」
「幽々子は…世間の迷惑、と。メモメモ」
「正体を現せこのカラス天狗」
「射命丸扱い!?そんな不名誉な」
「覚悟、切れば正体が明らかになります」
「これだから活人剣とか切って顧みない世迷い言を語る禅宗系武闘派は困るわね」
「いや、貴女が博麗靈夢だとすれば、カンを頼りに妖精を撃墜する貴女に言われる筋合いないです」
「カンと判断力に違いなんて無いわよ」
「うぁ、断言した」
「神道は技能よ、だから私のカンも技術!」
「神道関係ないじゃないですか」
「神なんて居た方がいいけど居なくてもいいの。たとえていうなら私なんかそうね」
「タオとどう違うんです?それって。たしか美鈴さん、妹紅さん、輝夜さん、永琳さんなんかが使い手に居ましたが」
「道教は生まれながらの才能が居るのよ、すなわち仙骨ね。ちなみに私は神道・道教
両方使えるわ」
「靈夢さんは巫女じゃなくて以後陰陽師と名乗ったほうがいいですよ、信仰集めなくて済みそうですし」
「いやよ、巫女じゃないとお賽銭集まりにくいじゃない」
「いや、集まっていませんから、お賽銭」
「だ・か・ら、新たな信仰対象が必要なのよ、急募!」
「で、私が関係あるんですか」
「つまり、博麗は珠を使うの」
「陰陽玉だけでなく、御札から針やらしまいには座布団までもつかうじゃないですか」
「で、鏡は守矢が所持しているの」
「そういえば神奈子って神様が鏡を下げていましたね、オンバシラが目立ちすぎて忘れてましたが」
「あと足らないのは剣ね」
「いやでも、これは妖怪剣で、ご神体でも神剣でもなければご宝物ですら無いのですが」
「つまり神道勢力に【国符「三種の神器 剣」】が加われば【国体「三種の神器 郷」】ができて、ラストスペル【未来「高天原」】が完成するのっ」
「………あれ?」
「ってけーねが言ってた」
「あの豊満クライシスがぁぁ、オールドヒステリー許すまじぃぃ」
「義満クライシスとオールドヒストリーね。有る意味キモけーねよりヒドいわよ、それ」
「訂正は不要!あの昭和の雨の差し金かっ。お師様を焚き付けたのも、私が巫女に出されるのも、白玉楼を明け渡すのも!なにもかもっ」
「ちょっと落ち着きなさい。長ドスを振り回すと危な、きゃあああっ」
「え、靈夢…まさか、当たった、の?」
靈夢は緊張感がなかったところを妖夢の白楼剣によって袈裟懸けに切られてしまった。
切るほうも切られるほうもこんな終わりは想定していなかった。
博麗靈夢の話はこれで終わる。
妖忌さんのランドセルには爆笑しましたw
こんな話の運びに成るとは夢にも思わなかったぜ!
名無しお一人目>ランドセルは今回の目玉っす
あとキャラ名を登録するとき昔の名前で登録してしまったので靈夢となっております。
字面がかっこいいのと魅魔・幽香・玄爺が好きなのでそのままでしたが、次回からは普通に霊夢といたします。
名無しお二人目>いや続きはあるのですが(なお犠牲者は早苗さん)どうも発表するにはなにかが足らないのですよ。
Noxious>精進が必要ですね。情景描写を廃してしまった分いろいろ突っ込んでみたのですが…しかしこれはこれ以上触ると逆効果だし・・・読みづらいとい言われても正直ピンと来てない。うーーん
名無し三人目さん>ありがとうございます。今回はテンポ重視で書きましたが、テンポが良ければ読みやすいって訳でないらしいと今回身につまされました。しかし改善策が見つからないのが…
皆様明日の私のために意見求む
それとセリフの中に本筋と無関係な雑学を含ませすぎているのもちょっと引っかかります。
内容そのものは悪くないので、文体の工夫次第でより良い物になると思います。