「あ、ホラ、見てみろアリス!流れ星だ」
「・・・そういわれて見てからじゃ流れ星はもう堕ちちゃってるわよ」
永夜の日は空がとても綺麗で、空を飛ぶのが気持ち良い位だった。
欲しかったグリモワールが手に入るっていう事もあったし、いつもは一人で駆ける空に相棒がいるというのが面白かった。
「知ってるか、アリス。流れ星って空の涙なんだぜ」
「初耳よ。もっと科学的なものだと思ってたわ」
「ロマンで出来てるんだぜ」
だから流れ星は短い時間しか空に現れない。
空が泣き顔を見られるのを拒否してるからだ。
「魔理沙が好きそうな言葉ね」
派手な、・・・キラキラ輝くような、星のような。そんな魔法ばかり使うあなただものね。
そう言いながら、呆れ顔でどんどん前を進んでいくから、私は道化師よろしく慌てながらアリスを追いかけた。
まもなく日常は取り返されて、私とアリスもまた日常の中にある平和な犬と猿に戻る。
平和すぎる犬と猿では相手の事を考える余裕すら出てくる。
そう、最初は可愛いとだけ思っていた。
人形遣いって言うだけあって、可愛らしい人形をたくさん持っていたし、
都会派と名乗るくらいなんだから、それなりに垢抜けていた。
だからもっと一緒にいたいと思い始めた。
それが最初のきっかけだった。
面白い奴だと思った。
負けず嫌いで強がりで臆病者で、そういう面を見せないように必死なのが見えて笑える。
柔らかい金髪も、長い睫毛も、綺麗な瞳も、自分には無いと思うから欲しいと願ってしまう。
あれ、これって恋なんじゃないのか。
何時だって一緒にいたいと思うし、
一緒にいれば楽しいし、別れるのは寂しい。
パチュリーの所の本で読んだぞ。
外の世界の、こういう恋愛小説。
「というわけなんだけれど、どう思う?」
「何が どう なのかわからないけれどね」
呆れ顔でアリスはため息を吐いた。
「同性愛なんておかしいとは思うんだけれど、この感情は恋のようにも感じられるんだ」
それとは対照的に、魔理沙は真剣な表情で続ける。
「魔理沙、落ち着きなさいよ」
紅茶を一口啜り、アリスは魔理沙を見つめながら話を続ける。
「それは恋でも何でも無いわ」
魔理沙くらいの年齢ならば、何時だって笑っていたいだろうし、
誰かと一緒にいるのが楽しいと思えるのでしょう。
残念な事にあなたの周りには男の人がいない。
だから正しい恋愛感情が育っていないだけで。
そう、よくある話よ。
男女に性格の差が現れ始める年頃になれば、
近くに男性がいなければいないほど男性に対しての憧れが薄れる。
たまに見えるものが自分たちには全く縁の無いものだから、憧れも想像もしようがないのよ。
だから、あなたは、自分が理解できる存在と共にいるのが楽しいと思い始めた。
そして決して自分がそうなれないのをわかっているから、あなたは私の側に来る。
憧れと愉快が混ざればその対象は魔理沙にとってかけがえの無いものになるでしょう。
今はその状態なだけ。
魔理沙、落ち着きなさい。
10年後になればきっとあなたは結婚をして子供が生まれているでしょう。
正しく恋愛なさい。
その時も私はあなたと笑いながらこうやってお茶くらい飲んであげるわ。
「そういうものなのか?」
「そういうものよ」
暖炉の火はもう、とうに消えていて。
アリスは一人、月明かり差し込む窓の傍の椅子に座り、膝の上の人形に話しかける。
「何が正しい恋愛なのかは私にだってわからないところでもあるけれど」
「なのにあんな話をしたの?」
「人間の事はわかるようでわからなくなってきてるわ。でも魔理沙の感情だけはわかる」
「どうして?」
「人形遣いだからよ」
身代わりという意味を持つものを扱うからこそわかる事。
「今日は流星群ね」
「ここからじゃ星なんてよく見えないわ」
人形は月が落とす影に迷い瞳を閉じる。
ただ星が指し示す方角がわかればいいと願う。
夜空に浮かぶ月を仰ぎ、魔理沙は一人、星を流す。
「・・・そういわれて見てからじゃ流れ星はもう堕ちちゃってるわよ」
永夜の日は空がとても綺麗で、空を飛ぶのが気持ち良い位だった。
欲しかったグリモワールが手に入るっていう事もあったし、いつもは一人で駆ける空に相棒がいるというのが面白かった。
「知ってるか、アリス。流れ星って空の涙なんだぜ」
「初耳よ。もっと科学的なものだと思ってたわ」
「ロマンで出来てるんだぜ」
だから流れ星は短い時間しか空に現れない。
空が泣き顔を見られるのを拒否してるからだ。
「魔理沙が好きそうな言葉ね」
派手な、・・・キラキラ輝くような、星のような。そんな魔法ばかり使うあなただものね。
そう言いながら、呆れ顔でどんどん前を進んでいくから、私は道化師よろしく慌てながらアリスを追いかけた。
まもなく日常は取り返されて、私とアリスもまた日常の中にある平和な犬と猿に戻る。
平和すぎる犬と猿では相手の事を考える余裕すら出てくる。
そう、最初は可愛いとだけ思っていた。
人形遣いって言うだけあって、可愛らしい人形をたくさん持っていたし、
都会派と名乗るくらいなんだから、それなりに垢抜けていた。
だからもっと一緒にいたいと思い始めた。
それが最初のきっかけだった。
面白い奴だと思った。
負けず嫌いで強がりで臆病者で、そういう面を見せないように必死なのが見えて笑える。
柔らかい金髪も、長い睫毛も、綺麗な瞳も、自分には無いと思うから欲しいと願ってしまう。
あれ、これって恋なんじゃないのか。
何時だって一緒にいたいと思うし、
一緒にいれば楽しいし、別れるのは寂しい。
パチュリーの所の本で読んだぞ。
外の世界の、こういう恋愛小説。
「というわけなんだけれど、どう思う?」
「何が どう なのかわからないけれどね」
呆れ顔でアリスはため息を吐いた。
「同性愛なんておかしいとは思うんだけれど、この感情は恋のようにも感じられるんだ」
それとは対照的に、魔理沙は真剣な表情で続ける。
「魔理沙、落ち着きなさいよ」
紅茶を一口啜り、アリスは魔理沙を見つめながら話を続ける。
「それは恋でも何でも無いわ」
魔理沙くらいの年齢ならば、何時だって笑っていたいだろうし、
誰かと一緒にいるのが楽しいと思えるのでしょう。
残念な事にあなたの周りには男の人がいない。
だから正しい恋愛感情が育っていないだけで。
そう、よくある話よ。
男女に性格の差が現れ始める年頃になれば、
近くに男性がいなければいないほど男性に対しての憧れが薄れる。
たまに見えるものが自分たちには全く縁の無いものだから、憧れも想像もしようがないのよ。
だから、あなたは、自分が理解できる存在と共にいるのが楽しいと思い始めた。
そして決して自分がそうなれないのをわかっているから、あなたは私の側に来る。
憧れと愉快が混ざればその対象は魔理沙にとってかけがえの無いものになるでしょう。
今はその状態なだけ。
魔理沙、落ち着きなさい。
10年後になればきっとあなたは結婚をして子供が生まれているでしょう。
正しく恋愛なさい。
その時も私はあなたと笑いながらこうやってお茶くらい飲んであげるわ。
「そういうものなのか?」
「そういうものよ」
暖炉の火はもう、とうに消えていて。
アリスは一人、月明かり差し込む窓の傍の椅子に座り、膝の上の人形に話しかける。
「何が正しい恋愛なのかは私にだってわからないところでもあるけれど」
「なのにあんな話をしたの?」
「人間の事はわかるようでわからなくなってきてるわ。でも魔理沙の感情だけはわかる」
「どうして?」
「人形遣いだからよ」
身代わりという意味を持つものを扱うからこそわかる事。
「今日は流星群ね」
「ここからじゃ星なんてよく見えないわ」
人形は月が落とす影に迷い瞳を閉じる。
ただ星が指し示す方角がわかればいいと願う。
夜空に浮かぶ月を仰ぎ、魔理沙は一人、星を流す。
作者の主観でいいじゃないか。
でも、ソレとは別に、確かにもっと長く読みたい話ではある!
次回作、期待したい。
心の機微が巧いんでこんな設定で長いのもよみたいです。
本当に二人の仲に在りそうな会話と心情だと思いました。
内面を読み取り、短い中で上手く伝えてくださったと思います。
こういうお話は好みですわー。
ラストが詩的すぎてついていけなかったかなぁ。
私も次回作に期待。
ただちょっと短すぎて、話に入り込むにまでは至れなかったと言うか。
もっと膨らませてより面白いものに出来そうだなぁ、と思いました。
次を楽しみにして待っています。
魔理沙を諭すアリスってのも新鮮でいいですね。
とても良いお話でした。
でもそのせいか肉を削ぎ落とし過ぎちゃったって感じもしました。
次はもっと長い話で見てみたいです!
文章も洗練されているように感じます。綺麗でした。
アリスのクールさがイイ!
アリスのアドバイスがまだ若い魔理沙に届いたのでしょうか。
気づくのは大人になってからです。若いうちは何だってできるって思いこんでしまう。そんなお年頃魔理沙がかわいいです。