Coolier - 新生・東方創想話

彼女は神か悪魔か否、陽気な人だった

2008/01/07 13:08:53
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「うをぉぉおおおおおおお!!!」

博麗神社から少し離れた森の中、ものすごい形相で駆ける少女が1人

「こ、こっちくるなぁぁああああああ!!!」

少女とも言えない枯れた声で猛スピードで森の中を疾走する
少女は飛べた
しかしあまりの出来事に飛び方を度忘れしていた

「何でアンタがここにいるのよぉぉぉおおおお!!」

「何者」から逃げているのは神社の主、博麗霊夢
その霊夢を追いかけている人物
幻想郷では珍しい洋風な衣装を纏いリボンで髪を結っている少女

「おまちなさぁーい」
「そういわれて待つ奴がいるかー!!」
「いるいる」
「いないいない!」

霊夢を追いかけている人物
顔は笑顔で疲れている様子はない

「新年の挨拶くらいさせてちょうだーい」
「間に合ってます!間に合ってます!」
「減るもんじゃないでしょー」
「あとなんで挨拶が抱擁なのよー!!」
「愛よ愛」
「とっさに思いついた言葉でしょそれー!!」
「正解」
「ぬおおおおおお!!」

必死に逃げる霊夢
笑顔で追いかける人物

そうこうしているうちに博麗神社の境内に2人は出た

「お、どうしたんだ霊夢。いないと思ったら凄い形相で…」

境内にいたのは霧雨魔理沙

「そこをどけぇぇ!!魔理沙ぁぁぁぁ!!!」
「な、なんだぁ!!」
「いいからどきなさい!というか道を明けろぉぉ!!」
「なにがなんだか…む?!」

ものすごい勢いで迫ってくる霊夢の後ろに視線を移す魔理沙

「…うをぉおぉおおお!!!?!」
「わかったでしょ!どきなさぁぁぁいいいい!!」
「きゅ、きゅうにいわれても!!うわぁぁ!!」

ドッシャーン

ものの見事に2人は激突した
境内に倒れる少女2人

「いたたた…は、はやくにげないと…」
「おそーい」
「「え?!」」

霊夢と魔理沙が逃亡の体制を整えた瞬間
2本の腕が2人を包んだ

「つっかまーえた!!」
「「うぎゃああああああ」」

2人の少女を捕まえた人物
厄を集める能力の持ち主
鍵山雛だった

「うわぁ!厄が厄がぁぁ・・・・ってあれ」
「…とくになんともないよな」

霊夢と魔理沙は周囲を見渡すが変わったことはない
ただ素晴らしい笑顔の神様が1人いるだけである

「たしかアナタって厄集めてるんじゃ?」
「年末に厄落としするから年初めは何もないのよ」
「ああ、なるほど…で新年の挨拶に抱擁?」
「そ」
「そって…」
「なんだ霊夢、勘違いで逃げてたのか?」
「違うわよ、山で見かけたら急に追いかけてくるからビックリしただけよ」
「何しようか迷ってたらちょうど見つけたから…いじめようと思って」

とてつもない笑顔で両腕に霊夢・魔理沙を抱えた雛がいう

「いじめるって…」
「まぁ冗談よ、話し相手がほしかっただけよ」
「なるほど」
「まぁこのまま抱っこして散歩でもいいけどね」
「「勘弁してください」」

強くても2人は人間、相手は神
つかまってしまえば何も出来ないのである

「にしても、間近で見ると……雛って大人だよなぁ」
「胸のこと?」
「チガイマスチガイマス」
「あなたももう少しすればイイ体になると思うけど~」

雛は笑いながら魔理沙の首筋をなぞる

「うひぃ…」
「何もしないから安心して」
「なら離してください」
「もうちょとだけこのままで。なかなかこういう機会ないから」
「「……」」

霊夢と魔理沙は互いの顔を見ると『まぁいいか』と悟ったように雛の腕に体を任せた

「まぁたしかに厄集めてるから、今しかこういうことできないか」
「そういうこと」
「でもなんで私たちなの」
「前お世話になったからかな~服2着もダメになったのよー」
「雛さん腕に力がががが」
「愛よ愛」
「それはそれで困るぜ」

こうして少しの間、3人の少女は境内の中心で寝転んでいた





********************************************************


「はいどうぞ」

霊夢は入れたてのお茶を魔理沙と雛に出すと自分も座った

「いただきます」
「そういえば雛って普段何してるんだ?」
「普段?」
「そ、厄を逃がさないようにしてるのはわかるけど。それ以外でさ」
「ん~…そうねぇ」

雛は少し考え込み口を開いた

「河童のにとりちゃんイジめたり~」
「うん」
「秋姉妹をイジめたり~」
「うんうん」
「白狼天狗さんをイジったり~」
「イジってばかりかよ!」

魔理沙のツッコミがはいる

「一応神様なのにいじめってどうなのよ」
「神様でも妖怪でも人間でも、触れ合いがほしいのよ」
「…そうかぁ」

魔理沙はなにか言おうとしたが言葉を変えた
考えてみれば雛は年始以外触れ合いというのは無いはず
だからそういう「いじり」が唯一の触れ合いなのだろうと感じたのだ

「ちなみに今度からあなたたちも入るからよろしくね☆」
「そ、そうですか」
「お手柔らかにたのむぜ…」

霊夢は今日のことで諦めてるようで魔理沙はツッコム気力すら残っていないようだ

「ちなみにいつごろから厄集まり始めるの?」

霊夢が不思議そうに尋ねた

「じつはもう集まり始めているんだけど年始は全然集まらないし
 集まっても微々たる物だからほとんど周りに影響ないわ。
 本格的に集まり始めるのは5日あたりかなぁ」

お茶をすすりながら的確に答える雛
そういう口調を聞くとやはり神様なんだなぁと再認識する霊夢と魔理沙

「でも大変だよなぁ集めてる最中は宴会でも騒げないみたいだしな」
「毎回離れて飲んでいるわよね」
「まぁ以前あんなことあったしね、いい音だったけど」
「アレかなり痛いぜ?」
「あの後ヤカンまで降ってくると思わなかったわ」
「ふふふ」

雛は2人と話しているとき終始笑顔だった
久々にゆっくりと間近に座り人間と話す
これ以上の喜びは彼女にはないだろう

「宴会のたびに思うんだけど雛さんってあんまり飲まないほうよね」
「そういえばそうだよなぁ」
「もしかして…」
「下戸とか?」

霊夢と魔理沙が雛の顔を見る

「いや全然まったく持ってそんなこと絶対ないですよ」
「そこまで否定するか」
「で、実際はどうなのよ?」
「ん~…」

また雛が考え込む

「そこまで飲んだことないからわからないわ~」
「そっか」
「まぁでも下戸じゃないならいいんじゃないか」
「健康が1番よ」

白い歯を見せながら笑顔で言い放つ雛

「うをっまぶし」
「あ、そうだ。どうせなら今から宴会やらないか?」
「あら楽しそう」
「えーまたここでやるの?」
「そういうなよ霊夢。せっかくの機会だ厄神様の飲みっぷりってのも見てみたいしな」
「それもそうね」
「あんまり期待しちゃだめよ」
「んじゃちょっと人集めしてくるぜー」

魔理沙はそういうとホウキに跨り空へあがった

「元気いいわね」
「いつもあんな調子よ」
「結構結構」
「…ねぇ雛さん」
「ん~?なに?」
「お賽銭が増えない厄ってあるのかしら」
「…それ厄なのかしら」
「うぅ…やっぱり?」
「あっても回収不可能かもねー」
「そんなー」
「泣かない泣かない」

雛は笑顔で霊夢の頭をなでる



しばらくたつと魔理沙が声をかけた人達が集まり始め
年初めの宴会に突入した
全員が1箇所に集まり大いに騒いだ

その間、厄神様はいつも以上に笑顔だった








































「ぐぉ…も、もうだめですぅ」
「あら~天狗さんギブアップ?鬼さんは?」
「わ、わたしももう…だ、だめ」

厄神様は酒豪といわれた人物を次々に撃墜
周囲は死体累々だったとさ
真に強い者は常に笑顔なのさ
幻想郷の牛乳
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コメント



0.770簡易評価
5.60名前が無い程度の能力削除
>2本の腕が1人を包んだ
>2人の少女を捕まえた人物
一人?二人?

ちょっとオチ前が長かったかな
9.70名前が無い程度の能力削除
牛乳さんの雛好きっぷりはいいな。
雛の色っぽさとか気さくさとかSっぽさとかが良かった。
14.60名前が無い程度の能力削除
よいよい^^
16.80名前が無い程度の能力削除
こういう話好きです