薄暗い
とても薄暗い
窓ひとつない薄暗い地下室のような、いや地下室というべきだろう
そこは「彼女」の部屋
…パチ
その部屋に居る少女は眼を覚ました
そろそろ夕飯かしら、と脳裏で思いながらゆっくりと体を起こす
地下室から出してもらえない少女
フランドール・スカーレット
紅魔館の主レミリア・スカーレットの妹
いつもなら恐怖の顔をしてメイドの誰かが呼びにくるのだが
今日は違った
誰も来ない
忘れていることはないだろうし
ましてはあのメイド長が居る限りそれはない
いやそれ以外の原因もない
可能性はゼロ
「…おそいなぁ」
椅子にもたれて迎えが来るのを待つ
しかし時すぎても迎えは来ない
「…」
空腹、といっても彼女は吸血鬼、特に問題はない
ただ何か違和感を感じる
「…よぉし」
彼女は椅子から立つと扉を目指す
彼女はゆっくりとドアノブに手を差し出す
本来なら結界が施してあり触ると痛い
が
ガチャリ…
なんの変化もなく扉が開く
「…閉め忘れかしら」
フランドールはゆっくりと扉を開ける
ギィギギィィィィイイイイ
ひどく金属音がすれる音が響く
扉が開ききった
少女の視線の先には上に続く階段
階段に沿って少女は視線を上に移す
屋根がない
いや
「紅魔館」とよばれた建物が
そこにはなかった
あるのは無数の瓦礫と化した残骸
残骸の中、地下室へ続く階段がぽっかりとあるだけだった
フランドールは眼を疑った
昨日まで存在していた「家」がない
階段を登り瓦礫の中に立つ
周囲を見渡す
出る場所を間違えたのではないかと見渡す
しかし周囲の森や景色は見たことある
そして紅い残骸
「…お姉さま?咲夜?パチュリー?美鈴?」
一通り名前を呼ぶ
誰も答えない
フランドールは瓦礫の中を歩き出す
記憶を手繰り門の場所へ向かう
紅い残骸
割れた窓ガラス
木片
明らかに見覚えがあるものが眼に映る
そして
「門」が「あった」ばしょにたどり着く
そこには門はなかった
あったのは
木片で作られた十字架1つ
そして
その十字架にかけられた緑の帽子
見覚えがある帽子だった
星のアクセサリーに龍の文字
いつも優しく
いつも困り果てていた
それでも元気だった妖怪の帽子
それがいま
十字架にかけられていた
フランドールの脳裏に1つの答えが浮かぶ
むしろそれ以外の答えなど浮かび上がるはずもない
可能性は0
紅 美鈴がここに眠っている
フランドールはここで初めて動揺した
周囲を何度も見渡し同じ十字架を探した
もしかして
もしかして
もしかして
なんども脳裏を掠める言葉
フランドールは周囲を必死に見渡す
しかしあるのは紅い残骸と1人の妖怪の墓だけ
フランドールは体を宙に浮かせ夜空に飛び立った
彼女が導いた答え
『魔理沙なら何か知っているはず』
フランドールは黒白の魔法使いが住む森を目指す
静かな夜空を速度を上げて目指す
森が見えてきた
あそこの拓けた場所に魔理沙の家がある
目指した場所
記憶していた友人の家の場所に降り立つ
しかしあるのは家の残骸
友人の姿はなく
あるのは家の残骸
「…魔理沙?」
フランドールは周囲を見る
しかし映るのは森の木だけ
場所は間違っていない
確かに黒白の魔法使いの家だった
しかし誰も居ない
「…そうだ」
フランドールは再度夜空に飛び立つ
『巫女の場所にいるかもしれない』
少なからず面識がある
あの紅白の巫女がすむ神社を目指す
魔理沙もそこにいるはず
月明かりが照らす夜空を少女は駆けた
しばらくすると神社の鳥居が見える
『鳥居だ』
安心した顔をする少女
しかしすぐに絶望に変わる
鳥居はあれど社がない
あるのはさっきと同じ残骸だけ
そして敷地内にある複数の十字架
フランドールは恐る恐る十字架に近づく
そして崩れ落ちた
1つの十字架にはお払い棒が
1つの十字架には薄紅い帽子が
1つの十字架には本が
1つの十字架には銀のナイフが
1つの十字架には黒白の魔法使いの帽子が
1つの十字架には壊れた人形が
どれもこれも少女の記憶にハッキリと焼きついているもの
どれもこれもある人物たちの象徴のもの
ここでフランドールは悟った
皆死んだ
それ以外考えられようか
それ以外の答えが出る可能性はZERO
少女は泣き崩れた
心の奥底から湧き上がる悲しみ
原因なんて考えている暇はなかった
ただ泣いた
「あら、生き残りがいたの」
背後から声がした
フランドールは顔を声が聞こえた方向に向ける
そこには傘を持ち長い金髪を靡かせ凛として立っている人物がいた
そこまで面識はないが何度か会ったことがある人物だった
そこにいたのはスキマ妖怪
八雲 紫
見間違う可能性は零
そこにいるのは
八雲 紫
フランドールは喜んだ
知っている人がいる
そして会えた
そしてすぐに疑問を投げつけた
「ねぇなんでこんなことに?」
誰もが聞きたいであろう疑問
それを聞き紫は笑みを浮かべ答えた
「私が殺した」
その言葉を聞いてフランドールは眼を丸くした
「嘘よ」
「嘘じゃないわ」
「なんで」
「なんでかしら」
「どうして」
「どうしてかしらね」
「なんでよ!」
「さぁね」
フランドールの言葉に紫は笑顔で返す
「ふざけるなぁぁぁ!!!」
フランドールはレーヴァティンを召還し紫に向けた
「あら物騒」
「本当のことを言いなさい!」
「本当よ」
「嘘!」
「わからない子ね。何度も言ってあげるわ」
「私 が 殺 し た」
答えを返した妖怪の顔は万遍な笑みだった
「あなたで最後よ、吸血鬼の妹さん」
「ふざけるな…」
「あら?本気よ」
「…もういい」
「んー?」
「消えちゃえ」
フランドールは手を握り締めた
その瞬間
目の前の妖怪は無残に飛び散った
「…あんな妖怪のいうことなんて嘘よ…どっかにみんないるはず…」
「いないわよ」
『え?』とフランドールは振り返る
そこには握りつぶしたはずの妖怪がいた
「え、え?!なんで?!」
「なんででしょー」
フランドールの能力は
「ありとあらゆるものを破壊する能力」
それが効かない
効いてない
フランドールは理解できなかった
確かに潰したし手ごたえはあった
だけど死んでいない
目の前の妖怪は死んでいない
「ま、そろそろお別れね」
紫は手を伸ばし呆然としているフランドールの首を掴んだ
「ぐっ」
フランドールは紫の手をはずそうと暴れるがビクともしない
「じゃーね」
紫はスキマを開くとフランドールをそこへ放り込んだ
「これで…生存者ゼロ」
************************************************************************************************************
「というお話だったのよ」
「……」
ベッドの上に座る少女が2人
1人は薄青い髪
1人は金色の髪
「だからねフラン、能力を無闇につかうとねこういうことに~…」
「たとえが下手糞で回りくどくて理解不能よ、お姉さま」
「うぐっ…こ、これなら理解できるってパチュ言ってたのにぃ…」
「妄想にもほどがあるわ」
「うぐぐ…」
「でも」
「?」
「みんないなくなるのは寂しい」
「…そうね」
「寝ましょう、お姉さま」
「ええ、寝ましょう」
「おやすみなさい」
「おやすみフラン」
電気を消して2人はベッドに横たわる
幻想郷がなくなる可能性はゼロ
とても薄暗い
窓ひとつない薄暗い地下室のような、いや地下室というべきだろう
そこは「彼女」の部屋
…パチ
その部屋に居る少女は眼を覚ました
そろそろ夕飯かしら、と脳裏で思いながらゆっくりと体を起こす
地下室から出してもらえない少女
フランドール・スカーレット
紅魔館の主レミリア・スカーレットの妹
いつもなら恐怖の顔をしてメイドの誰かが呼びにくるのだが
今日は違った
誰も来ない
忘れていることはないだろうし
ましてはあのメイド長が居る限りそれはない
いやそれ以外の原因もない
可能性はゼロ
「…おそいなぁ」
椅子にもたれて迎えが来るのを待つ
しかし時すぎても迎えは来ない
「…」
空腹、といっても彼女は吸血鬼、特に問題はない
ただ何か違和感を感じる
「…よぉし」
彼女は椅子から立つと扉を目指す
彼女はゆっくりとドアノブに手を差し出す
本来なら結界が施してあり触ると痛い
が
ガチャリ…
なんの変化もなく扉が開く
「…閉め忘れかしら」
フランドールはゆっくりと扉を開ける
ギィギギィィィィイイイイ
ひどく金属音がすれる音が響く
扉が開ききった
少女の視線の先には上に続く階段
階段に沿って少女は視線を上に移す
屋根がない
いや
「紅魔館」とよばれた建物が
そこにはなかった
あるのは無数の瓦礫と化した残骸
残骸の中、地下室へ続く階段がぽっかりとあるだけだった
フランドールは眼を疑った
昨日まで存在していた「家」がない
階段を登り瓦礫の中に立つ
周囲を見渡す
出る場所を間違えたのではないかと見渡す
しかし周囲の森や景色は見たことある
そして紅い残骸
「…お姉さま?咲夜?パチュリー?美鈴?」
一通り名前を呼ぶ
誰も答えない
フランドールは瓦礫の中を歩き出す
記憶を手繰り門の場所へ向かう
紅い残骸
割れた窓ガラス
木片
明らかに見覚えがあるものが眼に映る
そして
「門」が「あった」ばしょにたどり着く
そこには門はなかった
あったのは
木片で作られた十字架1つ
そして
その十字架にかけられた緑の帽子
見覚えがある帽子だった
星のアクセサリーに龍の文字
いつも優しく
いつも困り果てていた
それでも元気だった妖怪の帽子
それがいま
十字架にかけられていた
フランドールの脳裏に1つの答えが浮かぶ
むしろそれ以外の答えなど浮かび上がるはずもない
可能性は0
紅 美鈴がここに眠っている
フランドールはここで初めて動揺した
周囲を何度も見渡し同じ十字架を探した
もしかして
もしかして
もしかして
なんども脳裏を掠める言葉
フランドールは周囲を必死に見渡す
しかしあるのは紅い残骸と1人の妖怪の墓だけ
フランドールは体を宙に浮かせ夜空に飛び立った
彼女が導いた答え
『魔理沙なら何か知っているはず』
フランドールは黒白の魔法使いが住む森を目指す
静かな夜空を速度を上げて目指す
森が見えてきた
あそこの拓けた場所に魔理沙の家がある
目指した場所
記憶していた友人の家の場所に降り立つ
しかしあるのは家の残骸
友人の姿はなく
あるのは家の残骸
「…魔理沙?」
フランドールは周囲を見る
しかし映るのは森の木だけ
場所は間違っていない
確かに黒白の魔法使いの家だった
しかし誰も居ない
「…そうだ」
フランドールは再度夜空に飛び立つ
『巫女の場所にいるかもしれない』
少なからず面識がある
あの紅白の巫女がすむ神社を目指す
魔理沙もそこにいるはず
月明かりが照らす夜空を少女は駆けた
しばらくすると神社の鳥居が見える
『鳥居だ』
安心した顔をする少女
しかしすぐに絶望に変わる
鳥居はあれど社がない
あるのはさっきと同じ残骸だけ
そして敷地内にある複数の十字架
フランドールは恐る恐る十字架に近づく
そして崩れ落ちた
1つの十字架にはお払い棒が
1つの十字架には薄紅い帽子が
1つの十字架には本が
1つの十字架には銀のナイフが
1つの十字架には黒白の魔法使いの帽子が
1つの十字架には壊れた人形が
どれもこれも少女の記憶にハッキリと焼きついているもの
どれもこれもある人物たちの象徴のもの
ここでフランドールは悟った
皆死んだ
それ以外考えられようか
それ以外の答えが出る可能性はZERO
少女は泣き崩れた
心の奥底から湧き上がる悲しみ
原因なんて考えている暇はなかった
ただ泣いた
「あら、生き残りがいたの」
背後から声がした
フランドールは顔を声が聞こえた方向に向ける
そこには傘を持ち長い金髪を靡かせ凛として立っている人物がいた
そこまで面識はないが何度か会ったことがある人物だった
そこにいたのはスキマ妖怪
八雲 紫
見間違う可能性は零
そこにいるのは
八雲 紫
フランドールは喜んだ
知っている人がいる
そして会えた
そしてすぐに疑問を投げつけた
「ねぇなんでこんなことに?」
誰もが聞きたいであろう疑問
それを聞き紫は笑みを浮かべ答えた
「私が殺した」
その言葉を聞いてフランドールは眼を丸くした
「嘘よ」
「嘘じゃないわ」
「なんで」
「なんでかしら」
「どうして」
「どうしてかしらね」
「なんでよ!」
「さぁね」
フランドールの言葉に紫は笑顔で返す
「ふざけるなぁぁぁ!!!」
フランドールはレーヴァティンを召還し紫に向けた
「あら物騒」
「本当のことを言いなさい!」
「本当よ」
「嘘!」
「わからない子ね。何度も言ってあげるわ」
「私 が 殺 し た」
答えを返した妖怪の顔は万遍な笑みだった
「あなたで最後よ、吸血鬼の妹さん」
「ふざけるな…」
「あら?本気よ」
「…もういい」
「んー?」
「消えちゃえ」
フランドールは手を握り締めた
その瞬間
目の前の妖怪は無残に飛び散った
「…あんな妖怪のいうことなんて嘘よ…どっかにみんないるはず…」
「いないわよ」
『え?』とフランドールは振り返る
そこには握りつぶしたはずの妖怪がいた
「え、え?!なんで?!」
「なんででしょー」
フランドールの能力は
「ありとあらゆるものを破壊する能力」
それが効かない
効いてない
フランドールは理解できなかった
確かに潰したし手ごたえはあった
だけど死んでいない
目の前の妖怪は死んでいない
「ま、そろそろお別れね」
紫は手を伸ばし呆然としているフランドールの首を掴んだ
「ぐっ」
フランドールは紫の手をはずそうと暴れるがビクともしない
「じゃーね」
紫はスキマを開くとフランドールをそこへ放り込んだ
「これで…生存者ゼロ」
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「というお話だったのよ」
「……」
ベッドの上に座る少女が2人
1人は薄青い髪
1人は金色の髪
「だからねフラン、能力を無闇につかうとねこういうことに~…」
「たとえが下手糞で回りくどくて理解不能よ、お姉さま」
「うぐっ…こ、これなら理解できるってパチュ言ってたのにぃ…」
「妄想にもほどがあるわ」
「うぐぐ…」
「でも」
「?」
「みんないなくなるのは寂しい」
「…そうね」
「寝ましょう、お姉さま」
「ええ、寝ましょう」
「おやすみなさい」
「おやすみフラン」
電気を消して2人はベッドに横たわる
幻想郷がなくなる可能性はゼロ
しているという・・・・正直ホッとしたような感じが。(苦笑)
なかなか驚かせてくれる・・・w
次回にも期待しましょう。
いずれにせよ作り話で良かったw
そして私の不安もゼロになった。
紫がつくったということだとして、十字架にするかな~