Coolier - 新生・東方創想話

里野球

2008/01/02 20:00:54
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※オリキャラ且男キャラ注意之事




久方ぶりに人里へと降りてみる事にした。
アホな妖精であるとかボケの妖怪であるとか変人であるだとかに囲まれる生活をしていると、真っ当な人間が恋しくなる事がある。
無論、そんな事を周りのキチガイ共に知られれば人里に降りる所ではなくなってしまうので、降りるときは何時もコソコソと行く事にしていた。
博麗神社の麓にある道のすぐ隣。森の中で身を低くし、鼠が如き体勢でくんくんと村に向かって進む。
無理な体勢を取ってくんくんしていると、腰やら肩やらが非常にじんじんと痛くなってきたが、誰にも見つかる訳にもいかぬのだ。と自分に言い聞かせ歩を進める。
特にまっくろくろすけでアホな女児になんぞ見つかった日には、頭からがぶりと齧られかねぬ。想像しただけでああ痛い。
辺りを警戒しながらそろりそろりと木々の隙間を進み、無事に村の外れまで来た所で道へと出た。
腕やら腰やらと言わず全身がいい加減にしんどかったので、ここいら辺で一度休むべぇかな。と思い小川の土手に腰掛けたところ、向こうの方からみょうちきりんなシャッポを被った女がスッタスッタと歩いてくる。
一応の友人である上白沢慧音であった。
その正体をワーハクタクだとかいう彼女は、ゾッキョが如き混ざりものの変人であり、またアホな妖怪でもあるのだがそんな事は口が裂けても言えぬ。言ってしまえば最期。本当に口が裂かれる事になりかねない。
何やら歴史を弄くれるのが特技であるだとか抜かしているのだが、園児の砂山遊びでもあるまいに、何より実際にそんな芸当なんぞいっぺんも見たことが無い。
以前満月の酒の席にて、ならば日本国が連合国に勝った事にしてみさらせ。と言った所、歴史と言うものは無闇矢鱈に改変すべきではない。なぞと言う。
なぁる。言い訳としては中々に上手い事を言うものであるな。
と思った僕の中ではそれ以来、彼女は美人で気立てが良く巨乳かつ美乳ではあるが頭の中が可哀想な者という認識である。
別段、たとい彼女が可哀想な存在であったとしても僕は気にしない。
幻想郷の住人は須らくオツムの中身までもが幻想的であるという事を、僕はちゃあんと心得ているのだ。
そんな彼女は僕に気付くとすぐ傍までやって来て、「こんな所で何をしているのだ」と問う。
里と交流のある彼女に隠し立てをする意味も理由も無く、僕は素直に「偶には人里で過ごしたいのだ」と言った。
彼女は顎に手を遣り「ふむ」と言った後、「里の子供達に妙な事を吹き込んでくれるなよ」と忠告。
元々外来の人間である僕は、今は亡き曾祖父母が若かりし頃のような、時代を逆行したかの如き生活を送っている村人に対して近代的な文化を教示しているのだが、彼女はそれが気に入らぬらしい。
それは閉塞的な村意識の現われでもあり、先程の歴史云々といった持論から生じたものでもあるが、やはり彼女が村の有力者であるという立場によるものが大きいとかなんとかよく分からん。
寺子屋などという、大昔に絶滅した珍獣のような施設で人里の童に教育を施す慧音は、村の識者であり顔役であり、村人に危険が及ばぬよう見守るなどという、労務から開放され孫と相対するのが余生の楽しみといった村年寄りのような存在で、そんな彼女は愛すべき人間共に僕が不用意な事を教えるのを危惧しているのではあるが、しかし僕としても里の人間から山の猿がやって来たと侮られるのは大変悔しくあり、よっしゃここは一つ、僕が知的な文明人である所を見してこましたろ。と思うのは当然の考えなのである。
人恋しくて里に降りるといっても、未開の蛮人が如き村民から猿扱いされるのは遺憾に思う次第。
そんな僕の思いを知ってか知らずか、慧音は「里の者と関わるのは良いが、くれぐれも悪影響を与えぬように」と言った後、こちらの返事も待たずに「それではな」と残すと、再びスッタスッタと歩き去っていった。
何の用があるのかは分からぬが、全く以ってせわしの無い女である。
暫らくの間、ぴーひょろろと間の抜けた鳴き方をする鳶が舞う空を、その鳶が空を飛ぶ大きなものから放たれた何やら分からぬ光弾によって撃墜されるまでぼさっと眺めていた僕は、やおらよっこらせと立ち上がり、背を伸ばすと村へと向かってよちよちと歩く。
村に入って暫らくの間よちよちと歩いていた僕は空腹を覚えた為、近くの飯処にて昼食をやっつける事にした。
空いた適当な席へと座ると、本当はこんな猿を客扱いするなんてとっても、心底嫌なのだけれど確りと銭を払う以上追い返す事も出来ず、追い返せば追い返したでご近所にあすこの店は銭を持っている客を追い返す店である、等という不名誉極まりないレッテルを貼られかねない故、注文を取って飯を提供せねばならぬ。ああ嫌だ嫌だ。帰ったらすぐにでも塩を撒こう、塩を。といった侮蔑感情をまるで隠す事無く注文を聞いてきた店員に「安くて腹が膨れるものを適当に」と言った。
ところがこの店員、「適当に、では分かりません」などと抜かしやがる。
こっちは安くて腹が膨れるものという条件を与えておると言うのに、分かりません。コイツは商売をする気があるのか。飯屋である事に、サービス業であることプロ意識を持っているのかと憤慨しかけるが、先程慧音に言われた事を思い出しグググッと我慢する。
しかし、確かにムカムカっとしたのは空腹の所為であると認めよう。だけれどもこの客を嘗め腐った店員に対し教育的指導を施すのは村の為になるのではないのか。と思った僕は店員に言う。
「あ、そうかそうか。君に適当に。だなんて言って御免ね。店主に言われたとおりにしか動けない君に、客の欲しがるものを自発的に察するなんて高度な事が出来る訳無いよね。僕が高望みしすぎたよ、ゴメンゴメン。あ、注文はとろろ麦飯大盛りね」と笑いながら、さも何らこれっぽっちも気にしてなんか居ませんよといった風に注文。
何かしら言いたげではあったが、そのまま奥へと引っ込んで行った店員に対し、これで少しは態度が改まるのであろうか。なあんて思っていると別の店員が丼鉢を持って来た。
やっとこさ来ましたよ、おほほほほ。と鉢を覗き込むと麦飯は確かに大盛りではあるのだが、その上に乗ったとろろは申し訳程度。ほんの匙一杯分程度であった。
こりゃ店員、これはなんであるか。と店員に問い質すと、しれっと店員。この店のとろろはそんな物で御座いますよ。などと吹く。
コレが普通と言われれば仕方が無い。憤然たる思いで飯をかっ食らうと銭を払って店を出た。二度とこの店には来るものか。しかし村には此処しか飯処は在らずがっくり。
かように里の大人は僕に対して渋い顔をするのだが、それは子供達に懐かれている僕に対する嫉妬心から来るものであって、自分達の人徳無き所を僕の所為にする、いわゆる八つ当たりというべき浅ましき野蛮な感情なのである。ああ浅まっしゃ。浅まっしゃ。
そんな酷く狭量な大人とは違い、この里の子供達には大きな器の人間に育って欲しいものであるなぁ。まぁ育ったところで妖怪に喰われるやも分からんけど、バリバリ。などと思いつつふらふらと道を歩いておったら、噂をすれば影。童共の一団と遭遇した。
僕を見つけた途端、見事としか言いようの無い陣形で僕を取り囲むと、一斉にわっと僕に襲い掛かり、先日教えたプロレスリングの技を掛けられる。
複数人に、腕やら足やら背中やら首やら。本当に壊れる一歩手前の力加減で間接を極められ、僕はうぐぐぐぐ、だとか、むががががが等という唸り声を上げることしか出来ない程の痛みに苛まれ、目の前が涙でぼやける頃になってようやく開放された。
全身の筋肉が弛緩しきった状態で仰向けになっているとリーダー格の男児が今日はどういった遊びをするのだと問うて来た。
ぴくとも体を動かさぬ侭、家の手伝いは無いのかと問うと、今日はもう終わったとの事。
僕は痛む体に鞭を打ち打ち起き上がり、今日はベースボールなるヤンキーの遊戯でも教えたろかな。と答える。
とは言っても、まともに一からルールを教え込もうにも、到底今日中に遊べるようになるとは思えぬ為、投手と打者のみの簡易な遊びに興じる事にした。
そうと決まれば善は急げである。バットには薪に使う腕ほどの太さのある棒切れ。ボールにはなるたけ丸い石ころ。子供達にそれらを集めさせる。
子供達が戻ってくる間通りがかった、恐らく僕と同じくらいの、青年期に差し掛かった頃の、肥桶を担いだ少年が蔑んだ目で此方を見やりながら通り過ぎてゆく。
恐らく昼間から働きもせず、ぷらぷらと幼い子供達と共に遊んでいる人間をバカにしているのであろうが、親の仕事は自分の仕事などという、職業選択の自由も知らぬ家畜同然の馬鹿者め、お仲間である家畜共の糞便をえっちらおっちら運びつつ、このクソ侘しい山村で朽ち果ててゆくが良い。などと頭の中で呪詛を吐き散らしつつ見送っておると、子供達が戻ってきた。
簡単なルールを教えた後、二人一組となって投手と打者、順繰りに交代しながら遊び始める。
やはり子供と言うのは飲み込みが早く、数度投げる間に大方ストライクゾーンに石を投げられるようになり、棒切れを石に当てる事が出来るようになった。
真っ当なベースボールも近いうちに出来るようになる事であろう。よろしい、よろしいぞ。
そうやって数巡。さあ来い来い。と僕はバットに見立てた棒切れを構え、対する投手役の童が石を投げるが為に大きく振り被ったところで大音声。
「何をやっている!!」
突然の怒声に驚き振り向くと、怒り心頭といった様子の慧音が息を切らせて走ってくるのが見えた。
咄嗟に言い訳の一つでも言おうとした瞬間、慧音の声に驚いた童が暴投し投げ放った拳大の石が僕の後頭部へとぶつかり、目から火花の出るような衝撃と共に倒れ、地面に顔面をしこたま打ちつけ、暫らく人里に下りるのは止めようと、薄れ行く、意識の、中、決

暗転。
初夢が東方っぽい夢だったもんで暇に飽かせて書き、折角であるから投稿する事と相成った。
こうして恥の自分史が衆目の目に曝される事と成ったのは誇らしくも清々しいものである。
しかし、東方と言えるものは慧音だけであり、しかも少しだけ。申し訳ない。
これも全て小生は脳みその初夢でカットアップカットアップカットアップカットアップア!!!!
cut up. cut! pcut upc? ut up!! cut up.ウイリアム・バロウズなのである町田。
e:s
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コメント



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1.70名前が無い程度の能力削除
ああうらやまし、初夢おめっとさんです。私はだめでした。
オリキャラも面白かったです。
なんかすごいダメ人間っぽくてw
2.70名前が無い程度の能力削除
結構こういうの好きだったりします。
ああ私も幻想郷の夢が見たかった。