やっぱりパロディは多いのです。
アレルギーな方はブラウザ戻るで速やかに非難しましょう。
暗いところでの鑑賞は目に悪いので、部屋を明るくしましょう。
PC、携帯から70cm以上離れてご覧ください。
それではどうぞ。
日も落ちてきた三時過ぎ。
永遠亭の姫の私室からは元気な声が響きます。
「!今のすごいな!神プレイなんじゃないか!?」
「えへへ~。あ、ぼさっとしてると緑甲羅が・・・」
「危なっ!!酷いぞ!鈴仙!」
今日は妹紅さんが遊びにきています。
・・・というか、姫が妹紅さん宅のガラス窓にへばり付いて呼んできました。
最初は露骨に嫌がって、目を逸らして耐えていましたが、
思い余った姫がベタベタとガラスに指紋を付け始めると「仕方ないなぁ」と折れてくれました。
「油断大敵ですよ、妹紅さ・・・ってうわ!?ギミック!?」
「油断大敵ですよ♪レイセン様。」
もちろん、いつもテレビゲームしてるわけじゃないですよ。
姫様はともかく、私とてゐは姫様の付き人で仕方なく・・・・うわ、赤甲羅撃ったの誰だこのやろー。
「なぁ、輝夜。」
「なぁに?もこたん。」
「いい加減、疲れてきたからどいてくんないかな。」
姫は、妹紅さんを後ろから抱きしめる様にして、肩に顎を乗せてコントローラーを握っています。
これじゃあ疲れるのも無理はありません。しかし・・・・
「だが断る♪」
べったりで、離れようとしません。
「・・・胸が当たってるんだけど・・・・」
「もちろん当ててんのよ。揉んでみたい?揉んでみたいでしょ?つーか揉め。」
「いや、いいよ・・・あ!やられた、また輝夜が一番か。」
「姫様、大人気無いですよ。by私」
「働けよ、このニート。byてゐ」
「な!?イナバ達がドンドン酷くなる!」
「まりをカート64も飽きたし、何する?」
「だったらこれよ!!」
姫様は棚に置いてあるトランプの様な物を持ってきました。
知らない人はいないでしょう。ずっと俺のターンよろしのアレです。
「遊○王か、やだよ。俺ルールの嵐になることの請け合いじゃないか。」
「テンションも上がるし、いいじゃない。」
「もう、しょうがないなあ。」
やれやれといった様子で懐からデッキを取り出す妹紅さん。
その姿はまるで、遊園地で我が子に振り回される父親のようです。
「それじゃあ・・・闘(や)るか。」
「ええ、いつでもどうぞ。」
妹紅さんの雰囲気が一転、眼つきが鋭くなります。双眸に明確な敵意が浮かび、ピリピリと殺気が迸る。
しかし姫様も負けてはいません。どこに隠していたのか、カリスマのオーラを纏わせます。
ヒュウと一迅の風が通り過ぎました。室内なのに。
白に煌く銀髪と暗く輝く黒髪がなびきます。
そして――――――――――――
『決闘(デュエル)!!俺のターン!!』
同時に叫んで、カードを一枚ドロー。この場合、相手に譲ったほうが不利になります。
すなわち――――――――――。
「私の先行!ワイバーソの戦士を召還!もこたんにダイレクトアタック!ターン終了!」
「グッ・・・。しまった!」
こうなります。1ターン目の先行は攻撃できないのですが、躊躇わずにそう叫ぶ姫。テュルルルルル、と妹紅さんのライフゲージが2500に減少。
あまりに天然的なリアクションに私のツッコミ魂が震度5で揺さぶられます。
「いやいや!全然しまってないですよ!?今のは明らかに姫のルール無視・・・。」
「黙りなさい、イナバ。勝負の世界は非常なのよ。」
「私のターン、黒き森のウ○ッチを守備表示。カードを2枚伏せてターン終了。」
それでも正当法な妹紅さん。少しかっこいいです。下らないけど。
「HA☆HA☆HA!私のターン!ここで私の特殊能力発動!ブルーアイズホ○イトドラゴンを3体召還!」
「なんだって!?」
「いやだから『なんだって!?』じゃないですよ!なんで軽く狼狽してるんですか!?自分でツッコミましょうよ!」
「もこたんに攻撃!粉砕☆玉砕☆大喝采!!」
「させるか!!リバースカードオープン!『割り箸』発動!ライフを全て払い、全てのモンスターを破壊する!どうだ!輝夜!」
「わ・・割り箸強!!!割り箸強!!!でもライフを全て払ったら駄目でしょ!?妹紅さん!!」
「・・・あ、しまった。私の負けだ・・・・・。」
こうして勝負はつきました。ガクリと片膝をつき、何かを語り始めます。
「このカードは慧音に貰ったんだ。『くだらない勝負になったら使え、一気にかたがつくから。』って・・・。
ごめん。私負けちゃったよ。」
・・・流石慧音さん、気が利いてますね。その使い方で合ってますよ。妹紅さん。
「さ~て!約束どうり罰ゲームよ!」
前言撤回、それでは駄目です。妹紅さん。
「罰ゲーム?何をすればいいんだ?」
「そこもスルーですか!どうすればそこまで素直な性格になるんですか!?罰ゲームの約束なんてありませんでしたよ!!」
「レイセン様、さっきから怖いですよ。」
「ああ!ごめんね、てゐ!怖がらせちゃって。」
そういいながら両腕に収まるてゐを抱きしめます。
なんてまあ可愛い、私の癒し。腕の中で「苦しいですよ、レイセン様」と微笑む姿はまさに天使。
「じゃあ、一発芸でもしてもらおうかしら。もし下らない物だったら夜に楽しませてもらうわよ?ハァハァ。」
「ははは・・。それは防ぐよ。よいしょっと。」
懐から取り出したのはエレキギターでした。どこにしまってたんだ。そんな物。
「輝夜、適当に一曲聞かせて。」
「?かまわないけど、じゃあ今流行の『エアーマソが倒せない』で。イヤホンはつけてよ。」
ありがと、と返事を返しながら聞き始めました。
時々足でリズムを取りながら、先っぽのネジの様な物を調節しています。
私はそういった物に詳しくないのでわかりません。
私にわかるのは、抱いているてゐがひたすらに愛しい、ということだけです。
聞き終わったのか、イヤホンを外しました。そして――――――――――
「確か・・・こんなんだったよな。」
テ~ンテレッテ♪テレ~テレレレテッテーテッテーテレテテン♪
「うそおおおぉぉぉぉ!?すごおおおぉぉぉぉ!!」
思わず叫んでしまいました。しかし無問題。てゐも「もこすご~い。」と、はしゃいでいましたし、
姫に至っては口をあんぐり開けたまま微動だにしません。
・・・テテッテ♪テテッテ♪テテッテ♪テンテテ~ン♪
一通りの演奏が終わるとふぅ、と額の汗を拭いました。
「どうだった?結構がんばったと思うんだけど・・・・」
「・・・妹紅さん?それはどこで?」
「騒霊三姉妹に教えてもらったんだ。エレキは香霖堂で。」
「その曲も習ったんですか?」
「まさか、今聞いて覚えたんだよ。昔は祇園精舎とか歌って稼いでたし。」
どうだ!といった調子でニカッと笑う妹紅さん、まじですごいですよ。
なんでも売ってる香霖堂。
それは子供の玩具から大人の玩具まで。
私が買うベッコウ飴から姫が買うエロゲまで。
そこで姫がはっ、と我に返りました。そして目を><にして妹紅さんに飛びつきます。
「もこたんすごい!愛してる!」
妹紅さんの首に両手を巻きつけて頬をスリスリ。
「楽しんでもらえたのならよかったよ。つーか重い、暑い、離れてくれ。」
口ではそういいつつも全くの無抵抗。
姫のじゃれる姿はやんちゃな猫を彷彿させます。速攻捨てますけど。
「あ、四時過ぎましたね。小腹すきませんか?何か作ってきますよ。」
「まちなさいイナバ。私も行くわ。」
「え゛、姫様もですか?」
「『え゛』て何よ、まあいいわ。もこたん楽しみにしてて。」
「うん、期待せずに待ってるよ。」
「もこ、遊○王しよ?」
「あはは、仕方ないな。」
「・・・で厨房に着いたわけですが、何を企んでいるんですか?」
「ふふふ・・・実は秘密で、もこたん専用の惚れ薬を作っていたのよ!恐れ入ったか!」
「・・・ええ、心底恐れますよ。」
ちなみに師匠が全部バラして回っていたので知らない兎は居ないと思いますよ、姫様。
「見るからに妹紅さんもまんざらじゃないですよ?こんな回りくどい事しなくても、押し倒しちゃえばいいんじゃないですか?」
「え!?それはその・・あの・・・・・・・・・・・・・みぃ・・・。」
ワタワタすると、顔を赤くして俯く姫様。頭からはシュウ、と湯気が立ちます。こういうところは可愛いのに。
口では言えてもやるとなると恥ずかしい様です。
だから妹紅さんから求められるまでこんな歪んだことを何百年も続けているんですね。このチキンが。
「い、いいから早く作り始める!ほら!」
「はいはい。わかりました。」
まだ耳まで赤くしながらまくし立てます。
少し前も夜這いに行って、お茶を貰って帰ってくるというチキンぶりにイナバ達から
「チート!チート!」(チキン+ニート)と呼ばれて引き篭った事がありました。(一ヶ月目でぶちぎれて、
師匠開発のドーピングコンソメスープを用いて暴れまわりました)
後日談で延々と続いた言い訳には誰しも「この姫は駄目だ」な印象を受けたものです。
「姫はお米を炊いてください、後は私が。」
「野菜を炒める時にこれを入れなさい。」
その手にはお猪口一杯分の液体。少々粘着質で、ガムシロップ見たいな感じです。
「・・・これが例の薬ですか。なるほど、邪悪なオーラが見えますね。」
「邪悪ってなによ。私の愛情の塊に向かって。」
「これが愛情ならストーカーだって、無理心中だって、幼女監禁だって愛情ですよ。愛情と言う名の独占欲の塊でしょ。」
「まあそうとも言うわ。よーし!がんばるわよ!」
「(否定してほしかった・・・)じゃあまず炒め物から・・・・・・」
数十分後
「基本的なものは出来ましたね・・・・。」
「ふふん。なかなかのできね。さあ、張り切って盛るわよ!二重の意味で!!」
「あんまり大きい声を出すと妹紅さんに聞こえますよ・・・ってなにそれ!?その一升瓶全部惚れ薬!?まさか!!?」
「少し張り切って作りすぎちゃった。じゃあまずニンジンジュースに、それ♪どぽどぽどぽ♪」
「ちょっ!!入れすぎですよ!飽和状態でドロドロじゃないですか!!」
「大丈夫、もこたんなら飲んでくれるわよ。」
「誰が飲むかこんなもん!今すぐ捨ててください!新しいの作りますから!」
「んじゃあこっちのを多めに・・・・」
「勝手にいじるなあ!スープより薬の割合が多くなりましたよ!?」
「我侭なイナバね。じゃあ漬物に・・・・」
「漬物は無茶ですよ!!得体の知れない粘液に漬物が浮いてるような感じに・・・・・。」
以下略
さらに数分後
「・・・・完成ですか。」
「完成ね。渾身の出来だわ。」
「これ以上露骨な事にはできませんね。スープなんて悲劇的な位トロトロですよ。」
「大丈夫よ、もこたんなら。」
「その根拠の無い自信を捨てるとこから始めましょう。」
「失敗したらあんたの耳引き千切るから覚悟しておきなさい。」
「なっ!?八つ当たりじゃないですか!!」
こうして完成。献立は
白米(姫の薬炊き)、
大根の漬物(私の愛情入り)、
野菜の炒め物(姫の愛情という名の薬炒め)、
ニンジンのスープ(スープ4、薬6の割合)、
ニンジンジュース(もちろん薬入り)
私の純粋が20%、姫のどす黒い愛情が80%のすばらしい献立。
大食い亡霊も一歩引くほどの物が出来上がりました。
ごめんなさい。妹紅さん。
ごめんなさい。慧音さん、妹紅さんのことは諦めてください。
部屋に戻れば、楽しそうに遊○王に耽る二人の姿が。
とても微笑ましいその雰囲気に、嫉妬した姫が奇声を発して飛び掛ったのは言うまでもありません。
そして、それを私が空中で撃ち落としたのも言うまでもありません。
「もこたんの為に作ったのよ。タンとお食べ。」
瞬く間に再生した姫がにこやかに話します。
さも自分が作ったかのような振舞い。いつかぶん殴りたい。
「おお、美味そう・・・・で。輝夜。」
「なぁに?もこたん」
「お前が私の為に作ったという薬は、どれに入ってるんだ?」
・・・バレとる。どうするんですか。
私の熱いハートが刺激されますが、クールに耐えます。
密かに持ってきたリンゴをそっと握る。
「それとそれと、あとは・・・それとそれ。」
「・・・漬物以外全部じゃん。」
ちょっ!!?何で言っちゃうんですか!!?
もうちょっと機転を利かせれば食べてくれたかもしんないのに!!
ほんとは今すぐツッコミたい所ですが、なんとか耐えます。
握りこんだリンゴに亀裂が走る。
「もぐもぐ。」
食っとるうううう!!なんでええええええぇぇぇぇぇ!?
私のツッコミ魂が爆竹の様に弾けました。えぇ、弾けましたとも。
リンゴもグシャァ、と潰れましたとも。
「妹紅さん!?何食べちゃってんですか!!あんた姫の話を聞いて・・・!!?」
「もぐもぐ。ん、漬物は鈴仙が作ったのか。」
「・・・え、分かるんですか?」
「うん。鈴仙のは薄味で、私好みなんだ。いつ食べても美味いよ。」
ニコ、と笑う妹紅さんに胸がときめきます。
この人は素知らぬ振りをしながら、ちゃんと私を見てくれているんだなぁ。
名前で呼んでくれるし。少し感動。
「あ・・・ありがとうございま・・・」
「イナバ、表に出ろ♪」
ぼ・・某ピエロの真似をしながら微笑む修羅が目の前におりました。なんたる理不尽。
チクショウ・・・まだ死にたくないよ。
「もぐもぐ。そういえばどんな薬を盛ったんだ?もぐもぐ。」
「・・・あ!HA☆HA☆HA!!かかったわね!?もこたん!!」
「うぁ。かかってしまった。」
妹紅さんGJ!助かった~!!
生命の危機を脱した私の体からおびただしいほどの冷汗が分泌されます。
「その薬はえーりん監修の下作り上げた『輝夜特製 もこたんラブハーツ21号』!!
効果は私のことが好きで好きで堪らなくなる!しかも今回のはかなり強烈よ!!どう!?もこたん!!」
「どうと言われても・・。それより外で弾幕合戦しよう。」
「え~寒いし暗くなってきたしやだ~。」
「まだ五時過ぎじゃないか。いいから行くぞ、ほら。」
「はぁ~、イナバも来なさい。」
「はい、姫様。てゐはお留守番しててね。」
「はい、レイセン様。」
ああ、なんと愛らしい私の癒し。
「寒いですから、早めに終わらせてくださいね、姫様。」
「わかってるわよ。」
「よーし、テンション上がってきた!いくぞ!!」
目の前が赤一色に燃え上がり、周りの雪が蒸発します。
炎が妹紅さんを中心に凝縮し鳥の形になりました。
「うおりゃあああああああああ!!」
「ぐっ・・・。」
炎を纏わせ突っ込んでくる妹紅さんをドラゴンバレッタで迎撃しますが、火の勢いは止まりません。妹紅さんに分があるようです。
寒い。熱い。早く終わんないかなぁ。
「はあ・・・はあ・・・。レイセンさんこんにちわ。いや、こんばんわかな」
聞き覚えがある声に振り向くとそこにいたのは文さんでした。かなり急いでる様子です。
「あ!文さん久しぶりです。」
「永琳さんはどちらに?」
「師匠なら実験室にいますよ。ここからあっちに真っ直ぐいけば永遠亭です。」
「ありがとうございます。それでは。」
ひゅう、と風音がして・・・もうそこにはだれもいませんでした。
相変わらずすごいスピードだなぁ。
「あははははは!どうだ輝夜!冬は私の独壇場だ。」
「自分だけ炎に包まるなんてずるいわよ!寒いからまりをカート64しよう?」
「やっとお前に勝てそうなんだ。だれがやめられるか!」
そうです。妹紅さんは夏あたりから、ずっと姫に勝ててないんです。スランプかな。
「・・・背に腹は変えられないわね。永遠と須臾の力を受けなさい!」
「お前それは使わない約束・・・・」
姫の姿がブレたかと思うと、妹紅さんの体中に大小さまざまな穴が穿たれました。
「ぐはあ!!!」
ワンテンポ遅れてぐぶっと大量の鮮血を口から溢れさせ、ドサリと地面に落下。
穴から諸々の臓器がはみ出し、湯気が立ちます。
うう・・・グロイよお。
「イナバ、もこたん担いで。屋敷に戻るわよ。あー寒い寒い。」
「ラジャー、姫様。」
すでに再生が始まっている妹紅さんをおんぶ。
その体はとても軽く感じられました。この人、毎日ちゃんと食べてんのかなあ。
決して穴だらけになったから軽かった、とかじゃないですよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「妹紅さん、気がつきましたか。」
私が起きるとすでに永遠亭だった。また負けちゃったか。
「うん。輝夜は?」
「姫様は『カラオケ合戦すっぞ!はぁすっぞ!おらあ!』とかいいながら師匠の所に走っていきました。」
「・・・元気だな。最近のニートは。」
・・・いや、最古のニートだよな。頼むからもう少し大人になってほしい。
「・・・それより惚れ薬はどうです?効いてますか?」
「ん~、わかんないな。」
自分で白々しいと思いつつもそう答える。
食後からドキドキが止まらない。あいつのことを考えただけで胸が張り裂けそうだ。
弾幕戦で一遍死ねば直るかと思ったのに。
気を抜くとあいつに抱きついてしまいそうで不安。確かに今までとは比べ物にならないほど強烈な効き目だ。
「さあ、はじめるわよ!!準備しやがれ!野郎共!!」
む、来たか。
オォ~~!!という声が響いてイナバ達が一斉に準備をはじめた。
この結束力を別の部分に発揮すればいのに。輝夜は愛されているなぁ。
胸の高鳴りを抑えながら会話を開始する。あくまで自然に。違和感無く。
「・・・・で今回はカラオケ合戦だと聞いたが。」
「むふふふふ、今説明するわ。」
準備し終わったマイクをイナバに手渡された。輝夜も手渡されたようだ。
『は~い!!皆の衆聞けえ!始めんぞ~~!!まず、三名の審査員(永琳・鈴仙・てゐ)がいます!
審査員は一人三点!機械の点数+審査員で点数の多いほうが勝ちの三回勝負です!』
言い終ってチラとこちらを見る。
『なお、私が勝ったらもこたんは私の従者、つまりえーりん2号!また、もこたんが勝ったら・・・・・・・』
もう一度こちらを見て、ニヤと笑う。何を企んでいるんだ?
『もこたんが勝ったら、私はもこたんの嫁になりま~す!』
くそ、惚れ薬のことバレてるのか。弱ったな。
ワアアアアアァァァァと場内が沸く。
「ちょ!?正気ですか!?妹紅さんがそんな詐欺まがいの交渉を受け取ると・・・・・・・」
『受けよう。』
「受けちゃった!!?なんで!?」
『そしてやるからには絶対に勝つ!覚悟しろよ?輝夜。』
「妹紅さん!?あなたまさか惚れ薬が効いて・・・!?」
『うふふ・・・・狂気の沙汰ほど面白い・・・・・・!』
「姫もそんな顎とか鼻とか尖がらせなくていいですから!!その銃はどこから出した!?おもむろに口に入れないでください!!」
『ぷはっと、司会、実況、ナレーションは審査員が担当!皆今日は楽しんでいってちょうだい!』
ワアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・。
「いいんですか!?師匠!」
「これで薬の開発に専念できるわ。ふふふ。よかった。」
「頼みの綱が切れたああああああ!!・・・・そっ・・・そういえば文さんがきてましたよね、何の用でした?」
「まあいろいろとね、『朝雲暮雨』を渡しておいたわ。」
「なっ!!?あんなパチモンを!?何してんですか!!分量が過ぎれば、人格崩壊や錯乱、興奮作用、などの症状が・・・・。」
「パチモン言うな!大丈夫よ!地図はつけたし、何かあったらすぐに飛んでくるわ。」
「・・・・だといいですけど。」
「ほら、マイク。ツッコミはうどんげの専門職なんだからしっかりしてよね。四月一日氏並みのツッコミを期待するわ。」
「・・・てことは私が実況ですか。わかりました。四月一日氏に及ぶかは自信ないですけど。」
「がんばってください、レイセン様。」
「ありがとう、てゐ。(なんてかわいい私の癒し)」
『じゃあ規制はアニソン、電波ソングのみ!さあ始めるわよ!』
『上等。受けて立つ!』
こうして輝夜主催のカラオケ大会が開始された。
それより心臓がやばい。うう・・・輝夜ぁ・・・。
今回は墓穴を掘ってしまった・・・次は食べないことにしよう。
ドロドロが喉につっかえる感じがまだ残る。明らかに薬の割合が多いよなぁ。
アレルギーな方はブラウザ戻るで速やかに非難しましょう。
暗いところでの鑑賞は目に悪いので、部屋を明るくしましょう。
PC、携帯から70cm以上離れてご覧ください。
それではどうぞ。
日も落ちてきた三時過ぎ。
永遠亭の姫の私室からは元気な声が響きます。
「!今のすごいな!神プレイなんじゃないか!?」
「えへへ~。あ、ぼさっとしてると緑甲羅が・・・」
「危なっ!!酷いぞ!鈴仙!」
今日は妹紅さんが遊びにきています。
・・・というか、姫が妹紅さん宅のガラス窓にへばり付いて呼んできました。
最初は露骨に嫌がって、目を逸らして耐えていましたが、
思い余った姫がベタベタとガラスに指紋を付け始めると「仕方ないなぁ」と折れてくれました。
「油断大敵ですよ、妹紅さ・・・ってうわ!?ギミック!?」
「油断大敵ですよ♪レイセン様。」
もちろん、いつもテレビゲームしてるわけじゃないですよ。
姫様はともかく、私とてゐは姫様の付き人で仕方なく・・・・うわ、赤甲羅撃ったの誰だこのやろー。
「なぁ、輝夜。」
「なぁに?もこたん。」
「いい加減、疲れてきたからどいてくんないかな。」
姫は、妹紅さんを後ろから抱きしめる様にして、肩に顎を乗せてコントローラーを握っています。
これじゃあ疲れるのも無理はありません。しかし・・・・
「だが断る♪」
べったりで、離れようとしません。
「・・・胸が当たってるんだけど・・・・」
「もちろん当ててんのよ。揉んでみたい?揉んでみたいでしょ?つーか揉め。」
「いや、いいよ・・・あ!やられた、また輝夜が一番か。」
「姫様、大人気無いですよ。by私」
「働けよ、このニート。byてゐ」
「な!?イナバ達がドンドン酷くなる!」
「まりをカート64も飽きたし、何する?」
「だったらこれよ!!」
姫様は棚に置いてあるトランプの様な物を持ってきました。
知らない人はいないでしょう。ずっと俺のターンよろしのアレです。
「遊○王か、やだよ。俺ルールの嵐になることの請け合いじゃないか。」
「テンションも上がるし、いいじゃない。」
「もう、しょうがないなあ。」
やれやれといった様子で懐からデッキを取り出す妹紅さん。
その姿はまるで、遊園地で我が子に振り回される父親のようです。
「それじゃあ・・・闘(や)るか。」
「ええ、いつでもどうぞ。」
妹紅さんの雰囲気が一転、眼つきが鋭くなります。双眸に明確な敵意が浮かび、ピリピリと殺気が迸る。
しかし姫様も負けてはいません。どこに隠していたのか、カリスマのオーラを纏わせます。
ヒュウと一迅の風が通り過ぎました。室内なのに。
白に煌く銀髪と暗く輝く黒髪がなびきます。
そして――――――――――――
『決闘(デュエル)!!俺のターン!!』
同時に叫んで、カードを一枚ドロー。この場合、相手に譲ったほうが不利になります。
すなわち――――――――――。
「私の先行!ワイバーソの戦士を召還!もこたんにダイレクトアタック!ターン終了!」
「グッ・・・。しまった!」
こうなります。1ターン目の先行は攻撃できないのですが、躊躇わずにそう叫ぶ姫。テュルルルルル、と妹紅さんのライフゲージが2500に減少。
あまりに天然的なリアクションに私のツッコミ魂が震度5で揺さぶられます。
「いやいや!全然しまってないですよ!?今のは明らかに姫のルール無視・・・。」
「黙りなさい、イナバ。勝負の世界は非常なのよ。」
「私のターン、黒き森のウ○ッチを守備表示。カードを2枚伏せてターン終了。」
それでも正当法な妹紅さん。少しかっこいいです。下らないけど。
「HA☆HA☆HA!私のターン!ここで私の特殊能力発動!ブルーアイズホ○イトドラゴンを3体召還!」
「なんだって!?」
「いやだから『なんだって!?』じゃないですよ!なんで軽く狼狽してるんですか!?自分でツッコミましょうよ!」
「もこたんに攻撃!粉砕☆玉砕☆大喝采!!」
「させるか!!リバースカードオープン!『割り箸』発動!ライフを全て払い、全てのモンスターを破壊する!どうだ!輝夜!」
「わ・・割り箸強!!!割り箸強!!!でもライフを全て払ったら駄目でしょ!?妹紅さん!!」
「・・・あ、しまった。私の負けだ・・・・・。」
こうして勝負はつきました。ガクリと片膝をつき、何かを語り始めます。
「このカードは慧音に貰ったんだ。『くだらない勝負になったら使え、一気にかたがつくから。』って・・・。
ごめん。私負けちゃったよ。」
・・・流石慧音さん、気が利いてますね。その使い方で合ってますよ。妹紅さん。
「さ~て!約束どうり罰ゲームよ!」
前言撤回、それでは駄目です。妹紅さん。
「罰ゲーム?何をすればいいんだ?」
「そこもスルーですか!どうすればそこまで素直な性格になるんですか!?罰ゲームの約束なんてありませんでしたよ!!」
「レイセン様、さっきから怖いですよ。」
「ああ!ごめんね、てゐ!怖がらせちゃって。」
そういいながら両腕に収まるてゐを抱きしめます。
なんてまあ可愛い、私の癒し。腕の中で「苦しいですよ、レイセン様」と微笑む姿はまさに天使。
「じゃあ、一発芸でもしてもらおうかしら。もし下らない物だったら夜に楽しませてもらうわよ?ハァハァ。」
「ははは・・。それは防ぐよ。よいしょっと。」
懐から取り出したのはエレキギターでした。どこにしまってたんだ。そんな物。
「輝夜、適当に一曲聞かせて。」
「?かまわないけど、じゃあ今流行の『エアーマソが倒せない』で。イヤホンはつけてよ。」
ありがと、と返事を返しながら聞き始めました。
時々足でリズムを取りながら、先っぽのネジの様な物を調節しています。
私はそういった物に詳しくないのでわかりません。
私にわかるのは、抱いているてゐがひたすらに愛しい、ということだけです。
聞き終わったのか、イヤホンを外しました。そして――――――――――
「確か・・・こんなんだったよな。」
テ~ンテレッテ♪テレ~テレレレテッテーテッテーテレテテン♪
「うそおおおぉぉぉぉ!?すごおおおぉぉぉぉ!!」
思わず叫んでしまいました。しかし無問題。てゐも「もこすご~い。」と、はしゃいでいましたし、
姫に至っては口をあんぐり開けたまま微動だにしません。
・・・テテッテ♪テテッテ♪テテッテ♪テンテテ~ン♪
一通りの演奏が終わるとふぅ、と額の汗を拭いました。
「どうだった?結構がんばったと思うんだけど・・・・」
「・・・妹紅さん?それはどこで?」
「騒霊三姉妹に教えてもらったんだ。エレキは香霖堂で。」
「その曲も習ったんですか?」
「まさか、今聞いて覚えたんだよ。昔は祇園精舎とか歌って稼いでたし。」
どうだ!といった調子でニカッと笑う妹紅さん、まじですごいですよ。
なんでも売ってる香霖堂。
それは子供の玩具から大人の玩具まで。
私が買うベッコウ飴から姫が買うエロゲまで。
そこで姫がはっ、と我に返りました。そして目を><にして妹紅さんに飛びつきます。
「もこたんすごい!愛してる!」
妹紅さんの首に両手を巻きつけて頬をスリスリ。
「楽しんでもらえたのならよかったよ。つーか重い、暑い、離れてくれ。」
口ではそういいつつも全くの無抵抗。
姫のじゃれる姿はやんちゃな猫を彷彿させます。速攻捨てますけど。
「あ、四時過ぎましたね。小腹すきませんか?何か作ってきますよ。」
「まちなさいイナバ。私も行くわ。」
「え゛、姫様もですか?」
「『え゛』て何よ、まあいいわ。もこたん楽しみにしてて。」
「うん、期待せずに待ってるよ。」
「もこ、遊○王しよ?」
「あはは、仕方ないな。」
「・・・で厨房に着いたわけですが、何を企んでいるんですか?」
「ふふふ・・・実は秘密で、もこたん専用の惚れ薬を作っていたのよ!恐れ入ったか!」
「・・・ええ、心底恐れますよ。」
ちなみに師匠が全部バラして回っていたので知らない兎は居ないと思いますよ、姫様。
「見るからに妹紅さんもまんざらじゃないですよ?こんな回りくどい事しなくても、押し倒しちゃえばいいんじゃないですか?」
「え!?それはその・・あの・・・・・・・・・・・・・みぃ・・・。」
ワタワタすると、顔を赤くして俯く姫様。頭からはシュウ、と湯気が立ちます。こういうところは可愛いのに。
口では言えてもやるとなると恥ずかしい様です。
だから妹紅さんから求められるまでこんな歪んだことを何百年も続けているんですね。このチキンが。
「い、いいから早く作り始める!ほら!」
「はいはい。わかりました。」
まだ耳まで赤くしながらまくし立てます。
少し前も夜這いに行って、お茶を貰って帰ってくるというチキンぶりにイナバ達から
「チート!チート!」(チキン+ニート)と呼ばれて引き篭った事がありました。(一ヶ月目でぶちぎれて、
師匠開発のドーピングコンソメスープを用いて暴れまわりました)
後日談で延々と続いた言い訳には誰しも「この姫は駄目だ」な印象を受けたものです。
「姫はお米を炊いてください、後は私が。」
「野菜を炒める時にこれを入れなさい。」
その手にはお猪口一杯分の液体。少々粘着質で、ガムシロップ見たいな感じです。
「・・・これが例の薬ですか。なるほど、邪悪なオーラが見えますね。」
「邪悪ってなによ。私の愛情の塊に向かって。」
「これが愛情ならストーカーだって、無理心中だって、幼女監禁だって愛情ですよ。愛情と言う名の独占欲の塊でしょ。」
「まあそうとも言うわ。よーし!がんばるわよ!」
「(否定してほしかった・・・)じゃあまず炒め物から・・・・・・」
数十分後
「基本的なものは出来ましたね・・・・。」
「ふふん。なかなかのできね。さあ、張り切って盛るわよ!二重の意味で!!」
「あんまり大きい声を出すと妹紅さんに聞こえますよ・・・ってなにそれ!?その一升瓶全部惚れ薬!?まさか!!?」
「少し張り切って作りすぎちゃった。じゃあまずニンジンジュースに、それ♪どぽどぽどぽ♪」
「ちょっ!!入れすぎですよ!飽和状態でドロドロじゃないですか!!」
「大丈夫、もこたんなら飲んでくれるわよ。」
「誰が飲むかこんなもん!今すぐ捨ててください!新しいの作りますから!」
「んじゃあこっちのを多めに・・・・」
「勝手にいじるなあ!スープより薬の割合が多くなりましたよ!?」
「我侭なイナバね。じゃあ漬物に・・・・」
「漬物は無茶ですよ!!得体の知れない粘液に漬物が浮いてるような感じに・・・・・。」
以下略
さらに数分後
「・・・・完成ですか。」
「完成ね。渾身の出来だわ。」
「これ以上露骨な事にはできませんね。スープなんて悲劇的な位トロトロですよ。」
「大丈夫よ、もこたんなら。」
「その根拠の無い自信を捨てるとこから始めましょう。」
「失敗したらあんたの耳引き千切るから覚悟しておきなさい。」
「なっ!?八つ当たりじゃないですか!!」
こうして完成。献立は
白米(姫の薬炊き)、
大根の漬物(私の愛情入り)、
野菜の炒め物(姫の愛情という名の薬炒め)、
ニンジンのスープ(スープ4、薬6の割合)、
ニンジンジュース(もちろん薬入り)
私の純粋が20%、姫のどす黒い愛情が80%のすばらしい献立。
大食い亡霊も一歩引くほどの物が出来上がりました。
ごめんなさい。妹紅さん。
ごめんなさい。慧音さん、妹紅さんのことは諦めてください。
部屋に戻れば、楽しそうに遊○王に耽る二人の姿が。
とても微笑ましいその雰囲気に、嫉妬した姫が奇声を発して飛び掛ったのは言うまでもありません。
そして、それを私が空中で撃ち落としたのも言うまでもありません。
「もこたんの為に作ったのよ。タンとお食べ。」
瞬く間に再生した姫がにこやかに話します。
さも自分が作ったかのような振舞い。いつかぶん殴りたい。
「おお、美味そう・・・・で。輝夜。」
「なぁに?もこたん」
「お前が私の為に作ったという薬は、どれに入ってるんだ?」
・・・バレとる。どうするんですか。
私の熱いハートが刺激されますが、クールに耐えます。
密かに持ってきたリンゴをそっと握る。
「それとそれと、あとは・・・それとそれ。」
「・・・漬物以外全部じゃん。」
ちょっ!!?何で言っちゃうんですか!!?
もうちょっと機転を利かせれば食べてくれたかもしんないのに!!
ほんとは今すぐツッコミたい所ですが、なんとか耐えます。
握りこんだリンゴに亀裂が走る。
「もぐもぐ。」
食っとるうううう!!なんでええええええぇぇぇぇぇ!?
私のツッコミ魂が爆竹の様に弾けました。えぇ、弾けましたとも。
リンゴもグシャァ、と潰れましたとも。
「妹紅さん!?何食べちゃってんですか!!あんた姫の話を聞いて・・・!!?」
「もぐもぐ。ん、漬物は鈴仙が作ったのか。」
「・・・え、分かるんですか?」
「うん。鈴仙のは薄味で、私好みなんだ。いつ食べても美味いよ。」
ニコ、と笑う妹紅さんに胸がときめきます。
この人は素知らぬ振りをしながら、ちゃんと私を見てくれているんだなぁ。
名前で呼んでくれるし。少し感動。
「あ・・・ありがとうございま・・・」
「イナバ、表に出ろ♪」
ぼ・・某ピエロの真似をしながら微笑む修羅が目の前におりました。なんたる理不尽。
チクショウ・・・まだ死にたくないよ。
「もぐもぐ。そういえばどんな薬を盛ったんだ?もぐもぐ。」
「・・・あ!HA☆HA☆HA!!かかったわね!?もこたん!!」
「うぁ。かかってしまった。」
妹紅さんGJ!助かった~!!
生命の危機を脱した私の体からおびただしいほどの冷汗が分泌されます。
「その薬はえーりん監修の下作り上げた『輝夜特製 もこたんラブハーツ21号』!!
効果は私のことが好きで好きで堪らなくなる!しかも今回のはかなり強烈よ!!どう!?もこたん!!」
「どうと言われても・・。それより外で弾幕合戦しよう。」
「え~寒いし暗くなってきたしやだ~。」
「まだ五時過ぎじゃないか。いいから行くぞ、ほら。」
「はぁ~、イナバも来なさい。」
「はい、姫様。てゐはお留守番しててね。」
「はい、レイセン様。」
ああ、なんと愛らしい私の癒し。
「寒いですから、早めに終わらせてくださいね、姫様。」
「わかってるわよ。」
「よーし、テンション上がってきた!いくぞ!!」
目の前が赤一色に燃え上がり、周りの雪が蒸発します。
炎が妹紅さんを中心に凝縮し鳥の形になりました。
「うおりゃあああああああああ!!」
「ぐっ・・・。」
炎を纏わせ突っ込んでくる妹紅さんをドラゴンバレッタで迎撃しますが、火の勢いは止まりません。妹紅さんに分があるようです。
寒い。熱い。早く終わんないかなぁ。
「はあ・・・はあ・・・。レイセンさんこんにちわ。いや、こんばんわかな」
聞き覚えがある声に振り向くとそこにいたのは文さんでした。かなり急いでる様子です。
「あ!文さん久しぶりです。」
「永琳さんはどちらに?」
「師匠なら実験室にいますよ。ここからあっちに真っ直ぐいけば永遠亭です。」
「ありがとうございます。それでは。」
ひゅう、と風音がして・・・もうそこにはだれもいませんでした。
相変わらずすごいスピードだなぁ。
「あははははは!どうだ輝夜!冬は私の独壇場だ。」
「自分だけ炎に包まるなんてずるいわよ!寒いからまりをカート64しよう?」
「やっとお前に勝てそうなんだ。だれがやめられるか!」
そうです。妹紅さんは夏あたりから、ずっと姫に勝ててないんです。スランプかな。
「・・・背に腹は変えられないわね。永遠と須臾の力を受けなさい!」
「お前それは使わない約束・・・・」
姫の姿がブレたかと思うと、妹紅さんの体中に大小さまざまな穴が穿たれました。
「ぐはあ!!!」
ワンテンポ遅れてぐぶっと大量の鮮血を口から溢れさせ、ドサリと地面に落下。
穴から諸々の臓器がはみ出し、湯気が立ちます。
うう・・・グロイよお。
「イナバ、もこたん担いで。屋敷に戻るわよ。あー寒い寒い。」
「ラジャー、姫様。」
すでに再生が始まっている妹紅さんをおんぶ。
その体はとても軽く感じられました。この人、毎日ちゃんと食べてんのかなあ。
決して穴だらけになったから軽かった、とかじゃないですよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「妹紅さん、気がつきましたか。」
私が起きるとすでに永遠亭だった。また負けちゃったか。
「うん。輝夜は?」
「姫様は『カラオケ合戦すっぞ!はぁすっぞ!おらあ!』とかいいながら師匠の所に走っていきました。」
「・・・元気だな。最近のニートは。」
・・・いや、最古のニートだよな。頼むからもう少し大人になってほしい。
「・・・それより惚れ薬はどうです?効いてますか?」
「ん~、わかんないな。」
自分で白々しいと思いつつもそう答える。
食後からドキドキが止まらない。あいつのことを考えただけで胸が張り裂けそうだ。
弾幕戦で一遍死ねば直るかと思ったのに。
気を抜くとあいつに抱きついてしまいそうで不安。確かに今までとは比べ物にならないほど強烈な効き目だ。
「さあ、はじめるわよ!!準備しやがれ!野郎共!!」
む、来たか。
オォ~~!!という声が響いてイナバ達が一斉に準備をはじめた。
この結束力を別の部分に発揮すればいのに。輝夜は愛されているなぁ。
胸の高鳴りを抑えながら会話を開始する。あくまで自然に。違和感無く。
「・・・・で今回はカラオケ合戦だと聞いたが。」
「むふふふふ、今説明するわ。」
準備し終わったマイクをイナバに手渡された。輝夜も手渡されたようだ。
『は~い!!皆の衆聞けえ!始めんぞ~~!!まず、三名の審査員(永琳・鈴仙・てゐ)がいます!
審査員は一人三点!機械の点数+審査員で点数の多いほうが勝ちの三回勝負です!』
言い終ってチラとこちらを見る。
『なお、私が勝ったらもこたんは私の従者、つまりえーりん2号!また、もこたんが勝ったら・・・・・・・』
もう一度こちらを見て、ニヤと笑う。何を企んでいるんだ?
『もこたんが勝ったら、私はもこたんの嫁になりま~す!』
くそ、惚れ薬のことバレてるのか。弱ったな。
ワアアアアアァァァァと場内が沸く。
「ちょ!?正気ですか!?妹紅さんがそんな詐欺まがいの交渉を受け取ると・・・・・・・」
『受けよう。』
「受けちゃった!!?なんで!?」
『そしてやるからには絶対に勝つ!覚悟しろよ?輝夜。』
「妹紅さん!?あなたまさか惚れ薬が効いて・・・!?」
『うふふ・・・・狂気の沙汰ほど面白い・・・・・・!』
「姫もそんな顎とか鼻とか尖がらせなくていいですから!!その銃はどこから出した!?おもむろに口に入れないでください!!」
『ぷはっと、司会、実況、ナレーションは審査員が担当!皆今日は楽しんでいってちょうだい!』
ワアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・。
「いいんですか!?師匠!」
「これで薬の開発に専念できるわ。ふふふ。よかった。」
「頼みの綱が切れたああああああ!!・・・・そっ・・・そういえば文さんがきてましたよね、何の用でした?」
「まあいろいろとね、『朝雲暮雨』を渡しておいたわ。」
「なっ!!?あんなパチモンを!?何してんですか!!分量が過ぎれば、人格崩壊や錯乱、興奮作用、などの症状が・・・・。」
「パチモン言うな!大丈夫よ!地図はつけたし、何かあったらすぐに飛んでくるわ。」
「・・・・だといいですけど。」
「ほら、マイク。ツッコミはうどんげの専門職なんだからしっかりしてよね。四月一日氏並みのツッコミを期待するわ。」
「・・・てことは私が実況ですか。わかりました。四月一日氏に及ぶかは自信ないですけど。」
「がんばってください、レイセン様。」
「ありがとう、てゐ。(なんてかわいい私の癒し)」
『じゃあ規制はアニソン、電波ソングのみ!さあ始めるわよ!』
『上等。受けて立つ!』
こうして輝夜主催のカラオケ大会が開始された。
それより心臓がやばい。うう・・・輝夜ぁ・・・。
今回は墓穴を掘ってしまった・・・次は食べないことにしよう。
ドロドロが喉につっかえる感じがまだ残る。明らかに薬の割合が多いよなぁ。
もう、新年です。
そろそろ、冬も終わり春。
春といえば、妖々夢、そしてニコニコ。
今年も、あの天才的な笛で桜が響き渡ります。
それにしても、動くニートですね、もうあれだ。
GKから遂にDFになった的なかぐやです。
なぜかえーりんのほうが強い気がするかぐやです。
殺しあうほど仲がいい二人が血なまぐさいことしてないなんて!!
……中々にラブ度合いが伺えます、いや、もうアレだ!
ラブじゃなくって、ラヴみたいな!
はい、すいません。
それではよいお年を~!
だけどニコニコネタは嫌いな人もいるからやりすぎないほうがいいかもしれませぬ。
凄くたのしめましたよ
面白かった
こんなに素直なもこは珍しい
後、「」の最後は。はいらないかと