Coolier - 新生・東方創想話

紅いお屋敷のお話

2007/12/30 03:58:46
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 ※このSSには膨大なお子様分が含まれています。
  紅魔館のイメージを損なう恐れがあるため読み過ぎに注意しましょう。
  特にレミリア様のカリスマを減らしたくない方はご注意下さい。
  レミリアが子供仕様です。

作品集その44 ⑨とヤマネコの話 と大変微妙にリンクしております













 広いような、狭いような世界……幻想郷。
 そんな不思議な世界の一角に、紅魔館と呼ばれる大きなお屋敷があります。

 この、紅魔館。
 名前が示す通り、館も、周りのお花畑も、
 更には門番をしている女性の髪の色や、彼女の頭から流れ落ちる液体、
 ついでにお屋敷のご主人の名前までが真っ赤なお屋敷なのです。

 これは、その紅魔館の主人、レミリア=スカーレットのお話です。





 五百年という、(人にしてみれば)長い年月を過ごした彼女、
 レミリア=スカーレット。
 
 でも、彼女は子供でした。
 誰がなんと言おうと子供でした。

 まず、見た目が。
 次に行動が。
 
 少し前までもう少しカリスマにあふれた女性だった気がしないでもないですが、
 今となっては、もう、
 見た目は子供、中身も子供といった感じです。
 好奇心旺盛で飽きっぽく、気まぐれで我が儘ですし、
 子供なので朝早く、うっすら明るくなる前に寝てしまいます。
 子供なので、起きるのも夜遅くになってからですが、
 何故かお休みの日には早起きで、明るいうちに目が覚めます。
(尤も、毎日お休みなので、毎日早起きする良い子です)

 これだけでも、彼女がどんなに子供なのか分かるでしょう?




 ある日、レミリアは早くに目が覚めてしまったので、
 日傘を差して少し早めのお散歩に出かけました。

 そして、森で遊ぶ五人の子供たちと出会ったのです。
 少ぅしだけ、何をしているのかは気になりましたけど、
 もちろん加わろうなんて思いません。
 
 だって、レミリアの方がお姉さんですもの。
 お姉さんは、請われて遊んであげることはあっても、
(この場合、遊ぶという言葉の定義は人による)
 遊んでもらうことは無いのです。

 だって咲夜さんが言ってましたもの。
「お嬢様の品格が落ちますからダメ、ゼッタイ。
 特にあの悪い虫の少年はダメ、ゼッタイ」
 って、涙まで流して言ってましたもの。

 ああ、私を想って涙を流してくれる従者を持って私は幸せだ
 と考えながら、レミリアが気づかれないように通り過ぎようとしますと
 子供たちの話し声が聞こえてきてしまいました。

 あくまで、自然に聞こえてきました。
 
 レミリアはお姉さんですもの。
 盗み聞きなんてしません。
 しませんったら。

 
 子供たちの会話はこんなふうです。

「やっぱりあたいがさいきょーね」
「……一応聞いておくけど……
 今日は何で最強なの? チルノちゃん」
「ふふん。だってあたい、きのうはまっくらになるまでおきてたんだから
 だから、あたいがいちばんおとなでさいきょーなのよ」

 そう言って、無い胸をはる少女に対し咲夜さんが悪い虫と言っていた男の子が話しかけます。

「うーん、夜更かしすると大人なのかなぁ?」
「そうよ、りぐる。
 だってバカカラスがいってたもん。
 おとなになったらおそくまでおきてられるって」
「へーそーなのかー」
「ところで、よふかしってなに?」
「……あー、それはそうと、
 そう言うことなら遅くまで仕事してるミスティアが一番大人なんじゃないかなぁ」
「……鳥目だけどね……」
「大妖精……意外と毒舌だね……」
「もお! とにかく、あたいがいちばんさいきょーなんだから」
「うーん……あ、じゃあまたあの人に決めてもらおうか」
「ええ? でも、香霖堂さんに迷惑なんじゃあ……それにこの前チルノちゃんが……」
「それよ!! あたいもいまそういおうとしてたわ」
「前回……あんなひどい目に遭ったのにそれで良いの、チルノちゃんは……」


 以下省略


 そうか、みんなが私を子供扱いするのは、
 私が朝遅くまで起きていられないからかと、
 レミリアは文字通り急いで飛んで行きました。




「あ、お帰りなさ……」
「邪魔!!!」
 
 急いでいたので、門番をはじき飛ばしてお屋敷へ。
 咲夜さんに伝えます。

「咲夜、今日は少しいつもより遅くまで起きているわ」
「お嬢様、今日は何かご予定でも……?」
「いいえ、何もないわ。
 ただ、何となく起きていたい気分なの」

 腑に落ちない様子の咲夜さんを尻目に、
 レミリアは朝を越す準備を始めます。
 と、いっても何をすればいいか分からないので、
 とりあえず朝を待つことにしたんですけどね。

 お嬢様の気まぐれはいつものことと、
 咲夜さんも通常業務に戻ります。


 
 
 暖炉の前で、ほわほわ朝を待っていると、 
 だんだん目がとろんとして、眠たくなってしまいました。

(来た……今までの私ならここで眠ってしまっていたけど……
 今日の私は昨日までとは違うわ!!)

「咲夜ぁ~」と、呼ばれて飛び出て咲夜さん。
 呼ばれてすぐにやって来ます。

「お呼びでせうか、おぜうさま」
「少々眠たくなってしまったの。
 紅茶をもらえるかしら? 」

 分かりましたと咲夜さん。
 時計を見れば、朝の5時。
 いつものお嬢様なら、とっくに寝ている時間です。
 少々濃いめにしましょうと、言ったらすでに持ってます。

 それにしても咲夜さん。
 一体いつごろ寝てるのですか?

 

 
 どうぞと出された紅茶を一口、
 飲んだらゴハッっと吹き出します。

「咲夜、この紅茶はとても苦いわ」
「眠気覚ましと言うことなので、紅茶の方を少々多めに入れたのですが」
 ……紅茶の方って何ですか。

「もう少し、薄めてくれないかしら」とお嬢様。
 夜食は太ると咲夜さん。
 
 それもそうかと紅茶は止めて、
 本でも読むかと立ち上がりました。





 紅魔館の図書館に、親友のパチュリーさんが居ます。
 レミリアを子供扱いしない人です。

「パチェ、ちょっと退屈で眠くなってしまったの。
 何か本はないかしら? 」
「じゃあ、これなんてどう?
 面白くて止められなくなるわ……」
 と、本を渡しました。
 タイトルにはこうあります。
『真・上級魔術大系とその派生』
「あんたねぇ……余計に眠くなるでしょうが」
「そうかしら? ほら、この魔法陣なんて見ただけでもう……
 ああ、使ってみたい」
 暇つぶしにはなるかなと、レミリアも話を続けます。
「ふうん……どんな魔術なの?」
「ええと……昔、ある村に対して使われた呪文みたい。
 村の名前は……えっと……ノアニー………」
「他の本は無いかしら?」
 やっぱり聞かなかったことにしました。



「じゃあ……恋物語はどうかしら?」
 と、パチュリーさんの出した本。
 なるほど、これは面白そうです。
「どんな話?」
「ええと……強力な魔力を持っているけどまだ幼いせいで、
 力をうまく制御出来なくて屋敷から出してもらえない少女と、
 普通の魔法使いの恋物語ね」
「ふぅん……えっと、タイトルは……」

 
 恋のうふふふふ………
           ロリス=アーガマロイド 著

「何か……どっかで聞いたペンネームね……」
「そう? 気のせいじゃない?
こんな無敵戦艦、私は知らないわ」
「……悪いけど……何となく止めておくわ」
「我が儘ねぇ……じゃあ、これは?
 人間の村で妖退治をした剣士をモチーフに描いた、
 活劇ものですって」
「それじゃあ、それを借りて行くわ」

 そう言って、本を持って元居た暖炉の前にちょこんと座ると、
 ぱらぱらと頁をめくりはじめました。
 しかし、だんだんと、本を読みながら、
 こっくりこっくり……

(ひとーつ、人魂おともに付けて
 ふたーつ、ふんどしなびかせて
 みー……) 

 ついには完全に寝てしまい、次に気づいたときにはベッドの中でした。
 部屋の中では、咲夜さんがレミリアの着替えの準備をしています。

「寝ちゃったのね……ふう、大人失格かしら」
 と、言うレミリアに対して
(そんなことを考えて居たのね)と思いながらも
「お嬢様は十分に大人の女性ですよ」と返します。
 咲夜さんは従者の鏡です。

 レミリアも、気を取り直して続けます。
「そう、ありがとう。
 200年位までは何時までも起きて居られたんだけど。
 100年位からきつくなって来て……
 最近は朝になると眠くて仕方がないのよね。
 その分夕方早くに目がさめるんだけど」
「え?」
「500年は吸血鬼にとっても長い年月なのかしらね」
「パチュリー様……」
無音旋律
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コメント



0.230簡易評価
1.70名前が無い程度の能力削除
まさか老化が進行してたとは……
これは意表を突かれましたね。ナイスオチ。
5.60名前が無い程度の能力削除
ノアニールの村に吹きましたw
6.90名前が無い程度の能力削除
アリス何書いてんだwww