Coolier - 新生・東方創想話

博麗と八雲

2007/12/15 07:14:09
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博麗と八雲

博麗神社はいつもと同じだった、日々この場所は変わる事はない、それはこれからも同じできっと私達も変わらないでいるのだろう。
でも・・・・・・それは妖怪の私達の考えでしかない。

紫?なにぼーっとしてるのよ、今日のあんたおかしいわよ?
!!・・・・・・あら、風邪かしら。
なにが風邪よ、妖怪のくせに
それもそうねぇ
そう言って博麗霊夢と八雲紫は茶をすすった。
いつもと何も変わらない日常が過ぎている。ゆっくりとした時間だ、どこかの妖怪や蓬莱人たちが問題を起こす訳でもない、ただゆっくりとした時間。人によっては安らぎとも退屈ともとれるだろう、しかしここで茶をすすっている二人の少女は安らぎと感じている。
しかし今日の紫は何故だかわからないが少し考え込んでしまっていた、こんなことを延々と考えていてもただの時間の浪費ということがわかっていながら。

ねぇ霊夢、あなた十年後どうなってるか考えたことある?
え?なによいきなり気持ち悪い。
ちょ、少し傷ついたわよ!
ごめんごめん。

 人間の霊夢は私達妖怪より寿命が短い、六十年とすこしばかり後にはもう霊夢達や今生きている人間達はほとんどいないのだ。実際この幻想卿には死神が死後を案内してくれたり、どこかの幽霊のお嬢様みたいなのがいるので人間の死後なんて死んだ本人次第なのかもしれないが。
だが何代も博麗の巫女達を見ていた紫は幽霊になった博麗の巫女など見た事も聞いた事がない、ましてやここまで接触した博麗の巫女などほとんどいなかったのだ。

そうね、私らしくないわね、でも思うのよ、いつかあなた達が寿命を迎えて幻想卿を去ると考えるとなんかとても寂しいというか悲しいというか・・・・・・なんかそんな気持ちになったのよ。
なによそれ、なんかあった?熱でもあるの?
ないわよ、もうっ。

しばしの沈黙を破ったのは霊夢だった。
そんな先の事なんか考えても仕方ないじゃない、今は今できることをするのよ。
・・・・・・。そうだけど、少し寝るわ、疲れてるのかもしれないし・・・、しばらく経ったら起こして頂戴。
そう、おやすみ。


お茶の葉もその命を出しつくし、お茶菓子もそろそろなくなりそうだった。そろそろ茶葉を変えようとも思ったが、少し紫のことが気にかかった。

何がそんなに不安なのよ、今までもそうだったんじゃない。そういえば紫は幻想卿ができる前から生きている妖怪なのよね。

ふと霊夢は気になった、その頃の幻想郷がどうだったのか。



博麗神社の裏には地下に作られた納屋がある、そこには代々の博麗達の記録が残っている。その数は無数な物だが割と整理されているので特に掃除が片付けが必要というものではない。ただ、日用品から何もかもここにしまっているので少々狭いというくらいだ。

初代の記録っと・・・・・・、あったあった!げほっげほっ!埃被ってるじゃない!

 霊夢は難なく初代の記録を見つけそれを読み始めた。



最近は山から物の怪が沸いてでてくる、気味が悪いのはどの物の怪も倒すと動物の姿となって山に帰り、また次の日には人の姿をし、里の人間や作物に被害を与える。山に問題があるのは間違いない近いうちに調べにいこうと思う。

当時の博霊神社の巫女は外の世界の物であった、今でこそ幻想卿と外の世界との狭間にあるようなものだが、幻想郷のないこの時代はそうだったのである。

里を襲っていた妖怪の親玉は意外にも見た目の幼い少女だった、彼女は式というのを用いて物の怪を動物から作っていたようである、食事に困ってそのような事をしていたらしい、これ以上の被害が出ると巫女としての体裁も危ういので神社で養うことにした。

これが紫ってことかしら・・・。


彼女は八雲紫というらしい、しかし名前以外は何も話そうとはしない。特に里の者に被害を与えないというのなら別にどうということではないので深くは聞かない事にした。それから永い間ずっと私は紫とずっと暮らしている。
 ある日怪我をした子狐がいたので神社に連れて帰った。紫はその狐を人間に変えてしまった、私は驚いたが彼女にとってそれは簡単な事らしい。
 いつの日か私も普通の人間らしく夫を持ち子を授かった、その時にはもう紫達は別の所に住居を構えていたが一番に私を祝福してくれたのはいつも紫だった。いつの日か紫は私のかけがえのない友人になっていた。
 ある日ふと紫は話した、妖怪も人間もみな共存できるような世の中がいつか来て欲しい、私達がこうやってお互いを大切な存在として思えるのだから、それはきっと不可能なことではないと。紫はそう言って空間を歪め隙間のような中に消えていってしまった。


 ある日里の者がある城の城主を案内して連れて来た。その城主の男は物の怪を捕らえたら報酬をよこすと言ってきた。馬鹿らしい話だ、私のすぐ後ろで私の子供と遊んでいるのがその物の怪とその式だというのに。しかし城主は紫とは関係のない物の怪達を捕らえては殺し捕らえては晒し物にするなどしていた、紫もそうなってしまってはもう黙ってはいられないのである。

どうしてそこまでして物の怪達を嫌い迫害するの?このままでは遠くの大妖怪達も黙ってはいられなくなるわ。

人間の私にはとても複雑だった、普段里で悪さをする妖怪を退治している身からすればひとつ間違えれば人間側につくか妖怪側につくかを問われる立場なのである、それは紫も同じだった。彼女もまた人間の私と一緒にいるからだ。

しばらくしたら大妖怪達が動き初めてしまった、このままでは里は愚かこの国さえも危ない、紫はただ苦しんでいた悩み悩んでいた、二人で何度も話し合った、そしてふいに過去の紫の言葉を思い出した、人間と妖怪が共存できる土地。

紫、あなたの力でここと似た土地を別の次元に作れないかしら。
可能と言えば可能よ、でもそれには多大な時間と力が必要なの、それもあなたの結界を張るのに使う力なんかとは比べ物にはならないわ。

時は一刻を争っていた。もう既に大妖怪達はこの国の近くまで山を降りてきてしまっている。
やってみましょう、二人の力なら不可能はないはずよ。あなたもすごい妖怪なんでしょ?

それからの事は覚えていない、ただ必死だった、力は殆ど使い果たしてしまったので私の代ではもう博麗の力は行使できないだろう、でも、いいのだ、この土地は穏やかで皆ゆっくりと生きている、里ごとこっちに持ってきたから人間も多少いる、多くの妖怪、妖精、そんなものが沢山この世界にはいた、どこから聞きつけたのかなんてわからないが世界中の物の怪達がこの土地を求めてたどり着いた、人間だろうと妖怪であろうと皆ここでは平等だ、個々での争いではどう考えても妖怪達に分がある、暴力沙汰になるほどの争いがあってはどうしようもないので私はこの土地に訪れるもの達は皆力に制限がかかるように、結界に施した、自分の力を形容したもので戦う「スペルカード」というものだ、これで力の差を最小限にまで縮めることに私達は成功した、実質紫の理想は形になろうとしていた。

 しかし私は人間だ、この先もう永くないということを私は知っている、もう私の子供に次の博霊の巫女を任せたし、最近はあまり体の具合も良くない、昔の無茶が祟ったのであろう。
しかし紫は毎日私の所へ訪れ、いつもと同じように話をして、お茶を一緒に飲んでくれる、惜しむべきは彼女とももうすぐ別れということだ、この世界を去ればそれは彼女との別れにもなる。でも私にはこの世に成仏せずに残る怨念も未練もない、天寿を全うしたのだ・・・・・・巫女としての人生を。・・・・・・紫は私をどう思っているのだろうか。

記録はここで終わっていた。



これは記録というよりも日記なのかしら、それはいいとして・・・・・・紫と初代は大切な友達だったってことね・・・・・・。
 ふと霊夢の頭に紫の顔が浮かんだ。
本当に長い時間生きてきたのね、なんかさっきは悪いことをしちゃったかもしれないわ・・・・・・。

ゆかりー起きて!
そう言って霊夢は紫を起こした
なによぉ、まだ朝じゃないわよぉ~。
なに寝ぼけてるのよ、それよりも今日は宴会じゃない、少しは手伝ってよね?

霊夢は少し黙り込んだあと口を開いた。
紫・・・・・・。
なぁに?
さっきの事なんだけど・・・・・・。
あぁ、あんまり気にしないで、少し疲れていただけよ。

 言葉が出なかった、霊夢はただ立ち尽くした。
どうしたのよ、あんたも疲れてるんじゃないの?宴会の準備なら今日は私がやってあげるわよ、どうせ藍も橙も呼べばすぐ来るし簡単なことだわ。
・・・・・・。もう霊夢はよくわからなくなっていた、その眼には涙が溜まってきていた、紫の気持ちをわが身にして考えてみたら自分には耐えられなかったのである。
なんだっていうのよ霊夢?黙り込んじゃって・・・・・・。


ぎゅっ

 霊夢はただ紫に抱きつくしかなかった。ただその胸に顔を押し付け涙を隠した、そんな自分がまた情けなくてもっと涙がでてくる、もう嗚咽がまわらない。

うぅっ・・・ゆっ・・・かり・・ぃ・・・うぅ・・・ひくっ・・・・・・うぅ・・・・・・!
あらあら、困った子ね・・・・・・。
紫はただ霊夢を優しく抱きしめなだめた。

いつの間にか大きくなった子狐とまだ割合小さい子猫の式が宴会の支度を始めていた。


今日もいつも通り宴会が開かれる、人間も妖怪も妖精もみんなで騒ぐ、気に入らないことがあれば弾幕で決着を着け、また一緒に笑う。人間と妖怪達が共存するその土地を人は幻想郷と呼ぶ。
どうも、連続投稿ですいません、Xenoでぜのです。

少し暗い話になってしまったかと思います。しかもまた過去話、こういうことを妄想するのが好きなんです。

次は明るく楽しいものを書けたらいいと思います(´・ω・`)

あと、コメントくれた方に感謝の言葉を・・・、すごく書く気が起きました、意見を参考にして頑張りたいと思います。

誤字指摘ありがとうございました、修正しておきました。
Xeno
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コメント



0.220簡易評価
1.無評価名前が無い程度の能力削除
せめて誤字だけはなんとかして頂きたいです。博霊ではなく博麗です。幻想卿ではなく幻想郷です。辞書登録などするとベンリですよ。
7.70名前が無い程度の能力削除
文章について詳しくないんですが
。を使うところで、を使ってるところが何箇所かあるような・・・
8.無評価名前が無い程度の能力削除
スペカルール作ったのって霊夢じゃなかったですっけ。
記憶違いだったらすみません。

出来れば会話の部分には「」が使ってあると読みやすいですね。
・・・こういう書き方の文章もあるので一概には言えないところじゃありますけど。
9.70名前が無い程度の能力削除
ぜのさん・・・はじめ、キセノン(元素)に見えました