キャラの壊れが凄まじいです。
パロディが異常に多いです。もしや2番煎じかもしれません。
それでもいいよ・バッチコーイ!・しかたないなぁ見てやんよ!という方は是非ご覧ください。
「はぁ~・・・やっとついた・・・。」
二本の黒い尻尾をゆらゆらと揺らしながら橙はそう呟いた。
ここは紅魔館。
広い幻想郷でも知らない者はいないだろう。
時を操るメイド長とその部下のメイド隊、気を操る門番、知識の魔女
特に最強クラスの吸血鬼レミリア・スカーレットは村の人間にも、妖怪にも恐れられ
近ずく者などまず、いなかった。
当時は・・・。
今はロリコンのパッド長、パッド長マニアのメイド隊に中国、変態ヒッキー
シスコン巫女スキーのれみりゃで通るようになってしまった。(本人の前で言うと殺されます)
なんという紅魔館。
きょろきょろと回りを見ると門らしい所が見えた。
ててて・・・。と走っていくと門前に人影が見える。
近ずいてみるとどうも立ったまま寝ているようだった。
(器用な人だな・・・)
橙はそう思いながら起こそうか迷った。
寝言でムニャムニャいいながら「中国じゃない~。」と漏らしている人物こそ中・・・じゃなくて紅美鈴である。
やたらと胸がでかく、性格のよさとMっ気では幻想郷一、二を争う。
どうしようか考えていると、ものすごい勢いで門が開いた。
門の前にいた中国・・・(変換面倒だから中国でいいや)は当然直撃。「くぁwせdrftgyふじこl」と意味不明な
奇声を発しながら後方にすっ飛んでいった。
「まったく・・・。客人が来るので通しなさいと言っといたのにしょうがないわね」
そういいながら現れたのは十六夜 咲夜・・・噂のメイド長だ。
やれやれといった様子でため息をつく。
橙はびっくりしたあまり、しっぽの毛を逆立たせてしりもちをついていた。
「大丈夫?立てる?」
「・・・うん・・ありがとう・・・咲夜様」
「藍から話は聞いてるわ。中に入りましょう」
「え?さっきの人は?」
「大丈夫、死にはしないわ。さあ行くわよ」
「・・・は・・はい」
咲夜と藍は仲がいい。
藍曰く、
「趣味がとても合うんだよ・・・うん」
と万遍の笑顔。
そういえば香霖堂の主人とも仲がよかったような・・・
中に入ると永遠亭にも劣らぬほどの広さ、大きさ、豪華さ。
そこらじゅうメイドが忙しそうに走りまわっていて、活気にあふれている。
八雲家とはとても比較にならない。
忙しそうにしているのは藍だけ、紫は大抵寝ているし
橙はたまに手伝うこともあるがほとんど遊びまわっていて家にいない。
活気の『か』の字も見えない八雲家。普通にただの一軒家にも見える程度の家。何だこの差は。
橙は思わず「ふわ~」と声を出していた。
その様子に気を良くした咲夜はクスッと笑った。
今日、橙は紅魔館にお手伝いに来ていたのだ。理由は藍が
「咲夜にはいろいろ世話になっているからな。暇なら私の変わりに、少し手伝いに行ってくれ。」
とのこと。(表向きには)
橙としても式神として主人の役に立ちたいところ。
二つ返事でこれを引き受けた。
奥に行くと一際大きな扉があった。
「ここが私の部屋よ。これ以上奥はお嬢様の部屋だから行かないように。」
「わかりました。咲夜様」
橙は入館直後から雰囲気に魅せられていたようで、きょろきょろと忙しなく首を動かしている。
部屋に入ると大きなベッドにクローゼット、棚
まったく無駄なものがない。広いながらも殺風景な部屋だった。
「じゃあ早速着替えてもらうわよ。」
「はい。・・・あれ?そのメイド服ってさっきのメイドさん達が着てたのと違「気 の せ い よ。」
橙の言葉を一蹴し、それを押し付けてきた。そしてクローゼットからカメラを取り出した。
・・・クローゼットの中はカオス空間になっていた。
「・・・それって文様が持ってた・・・でもなんで?」
「これは・・アレよ。急に新人が入ったらみんな戸惑うから、顔写真をね」
「なるほど。この服、フリフリが異常に多くないですか?」
「いや、いいわ。万事OKよ。じゃあベッドにあがって」
とりあえず言う通りにする。藍も
「いいか?咲夜の言う通りにするんだぞ、年長者の言うことに間違いはない。
フフフフ・・・やばい・・・笑いと鼻血が止まんないwww」
と意味深な笑顔で言っていた。
咲夜の指示通りにベッドの中央まで来た。
「そうそう。そこでアヒル座りに両手をひざの前に置いて上目使い。」
「こうですか・・・?」
「それよ。ハァハァ、もっと目を潤ませて・・・」
「難しいですよぅ。」
「!!その困った表情いただいたっ!!!」
「咲夜様・・・顔が怖いですよ?」
「無問題よ。無問題。今度はYシャツを・・」
「見たことない服ですね・・・?サイズが大きすぎですよ」
「そーゆーもんなのよ。そうだ!紅魔館では自称を僕にすること!」
「ええ~。それはやだ~。」
「藍に何か言われなかった?」
「えぅ~。わかりました・・」
そして完成。
ぶかぶかYシャツ、ナチュラル猫耳、僕っ娘。
薄いYシャツに透けて見える肌がなんとも色っぽい。
普段落ち着きのない橙だから、ことなおさらギャップがでる。
非の打ち所がない萌え要素の塊。どこぞのSOS団団長も真っ青。
藍が見たら鼻血を出して卒倒するだろう。
「咲夜様~。こんなの僕・・恥ずかしいですよ~。」
「やべぇwwwここが私のヘヴン・・。ここが私の幻想郷・・・。ハァハァハァ」
「(口調まで変わってる・・・)」
「私のカメラは美しか追求しないのさ!!」
ガガガガガッと狂ったようにフラッシュを連射する。咲夜様ご乱心。
まさかショタっ気もあったとは。
そして小一時間後・・・
「じゃあ仕事内容を説明するわ。まず図書館で本の整理・・まあ小悪魔の手伝い。
それから庭の掃除に窓拭き、そのくらいね」
何事もなかったかのようにそう振る舞う。
橙の服はほかのメイドたちと同一の物になっていた。
「とりあえずついて来なさい。大まかに館全体を説明するわ。」
そう言いつつ、スタスタと早足で歩く。橙はついて行くのがやっとだ。
さっきまでとは違い凛々しい横顔、隙のない身のこなし、すっかりメイド長としての貫禄が出ていた。
(かっこいいな・・)
と橙が思ってしまったのも無理はない。
しばらく説明されながら歩いていくと、地下に通じる階段があった。
周りとは明らかに雰囲気が異なっている。
「ここは?」
「その先は絶対に行ってはだめよ。」
「なんで?」
「妹様・・・フランドール様がいるからよ。捕まったりしたら大体生きては戻れないわ」
「・・・・。」
「さあもう行きましょう。もうすぐ図書館よ。」
「あ・・・置いてかないで~」
ててて・・・・。と小走りで橙は咲夜についていった。
・・・・咲夜はこの走り方が見たいがために早歩きだった。と知る者は少ない・・・
そのころ、
妹様ことフランドールは自室で中国とまりをパーティー4をしていた。
おおよそ一時間前
気晴らしに庭をふらついて見ると
門の外で気絶している中国を発見。部屋に運び込んだのだ。
腋巫女との一戦以来フランドールの隔離は大分甘いものになっていた。
「たちつたちつたつた~った♪た~たちつたちつたつた~った~♪・・・
わ!やったー!スター4個目♪」
「流石ですね。妹様。しかしコインの数とミニゲーム勝利数では私が上!
ラストボーナスで一気に逆転ですよ!」
「あ!この中国! ?マーク踏みやがった!」
「これで私のスターは3個目・・これで終わりですかね。フッ。」
「くっ・・・でも最後まで諦めないわよ・・・いっけー!ダイスロール!!うわっ!赤踏んだ!!」
「あるあるwww」
・・・・とまあ。大分楽しそう。
図書館に着いた橙はそのあまりの本の多さにまた
「ふわ~」
と声を漏らしていた。
天井は高くて暗くて見えない。それなのに本がぎっしり詰まった本棚がその暗がりのなかにずらりと伸びている。
「後は小悪魔に頼んでおいたから、時間になったらまた来るわ。じゃあ任せたわよ。こぁ」
「お任せください!咲夜様。」
「ありがとう、咲夜様。」
じゃあね。といいながら咲夜は図書館から出て行った。
「橙ちゃん・・だったよね。それじゃ掃除初めよっか!」
「橙でいいよ。よろしくお願いします。小悪魔様。」
トクン・・・と小悪魔の胸がなった。
「橙ちゃん・・・今私のこと、なんて・・?」
「?小悪魔様・・・。」
ドクン・・・と、また胸がなった。
「橙ちゃん・・ものすごい惜しい気がするけど、こぁでいいよ。
このままだと目覚めてはいけない何かに目覚めてしまいそうだから・・・」
「・・・・?は~い」
紅魔館の良心、小悪魔は壊れるわけにはいかないのだ。
と、言うことで掃除開始。
幻想郷で暮らしている人(妖怪、幽霊含む)は基本的に空を飛ぶことができる。
高いところの清掃に難儀しなかった。
「・・・・・。」
パタパタと無言で埃を叩いていく。
「・・・・・飽きた。」
開始約20秒後のことだった・・・。
一方、まりをパーティーで中国に敗れたフランドールは
スマ○ラDXで再戦していた。
「れってってっててれてって♪レロレロレロレロ・・・♪・・チャンス到来!ハンマー!!」
「カー○ィを侮ってはいけませんよ。妹様。」
「なっ・・。ス○ーンでハンマーを貫通させて吹っ飛ばした!?しかも持ったままだから復帰できない!」
「あるあるwww」
「うわーん!やってられるかー!新しい玩具見つけてくる!!」
「まってください!ここを勝手に出られてはお嬢様に叱られますよ!」
「お姉さまは私を叱ったりしないもん!」
「いや・・私が・・・。ってほんとに待ってええええええ!!」
・・・・・・こうして鬼ごっこが開始された。
図書館で小悪魔は橙の様子を見ていた。
尻尾が落ち着きなく、くねくねと動いていて
いかにもつまらなそうな顔をしている。
(そろそろ限界かな・・。)
もう少しで一時間。橙にしてはよくがんばった方だろう。
(もう少しでお昼だし、休憩にするか)
「橙ちゃん。そろそろ休んでもい(ドスッ!!)ぐはう!!」
声をかけようとした小悪魔の腹に人型をした強烈な何かが直撃し本棚に叩きつけられる。
ものすごい物音に橙も気がついた。
「こぁ!?大丈夫!?」
上から本が滝のように落ちてきて小悪魔に降り注ぐ。
小悪魔は動く気配がない。気絶してしまったのだろう。
「!!」
橙ができる限りのスピードで突っ込む。
落ちていく本を追い越し、地面すれすれで左へ直角カーブ。
小悪魔と何かと引っつかみ、すごい勢いで床に転がった。
飛翔韋駄天でなれているとはいえ、自分よりも重いものを2つ移動させるのは
腕にかなりの負担がかかる。ドドドドド!と大量の本が落ちてきた。
痛たた・・・と体を起こす橙。間一髪間に合ったようだ。
そこで気がつく。
「あれ?この人って門にいた・・・」
そこにいたのは小悪魔と・・・・目を回して「きゅう~」となっている中国だった。
橙はまったく状況がつかめない。
そこへ
「魔理沙ぁぁぁぁああああああああああああ!!」
さらに混乱素材。
研究室の扉が開きパーチュリーが顔を出した。
橙はパーチュリーの紹介をされていなかったので、吃驚+困惑。どなたですか?
目を丸くして尻尾を逆立たせる。
目が血走ったパーチュリーはしばらくはぁはぁと息切れしていたが、
「なんだ、フランか、驚かせないでちょうだい。」
「ごめんね。パチェ。」
「まあ、いいけどね。実験中だから静かにしてね。」
そういうとパタンと扉を閉じた。
橙はゆっくり後ろを向く。気配はまったくなかった。
しかしそこには1人の少女がいた。
人形のように整った顔立ち、
きらきらと輝く金髪、
七色に、それぞれ一枚ずつの羽がついた綺麗な翼
吸い込まれそうな紅く、暗い瞳
圧倒的強者がまとう、独特のオーラ
本能では危険だ、とわかっていた。
今すぐにでも殺されてしまうだろう。しかし、不思議と怖くなかった。
虜になってしまった橙は指1本動かすことができなかった・・・。
フランドールも橙を見据えていた。
しつこく追ってくる中国を小悪魔に直撃させた時から橙を見ていた。
あれだけの速度で地面に叩きつけられたら無事じゃすまない。
怪我をするのも、死ぬのも怖くないのだろうか?
だとしたら久しぶりに面白い玩具を見つけた。楽しめそうだ。
そう思って近ずいたものの、なかなかこちらに気がつかない。
・・・単に死の感覚が鈍いだけか?だとしたら興醒めだ。さっさと壊して終わりにしよう。
頭に手を翳せば、それだけで頭蓋を粉砕することができるだろう。後は肉の塊が横たわるだけだ。
ギラッと目を鋭く輝かせた。それでも橙は眉一つ動かさずにこちらを見ている。
その時、フランドールは本能で橙の潜在能力の高さを感じ取った。
努力では辿り着けない。並大抵ではない莫大な妖気を。
・・・今壊すのは勿体無い。
ニヤリとフランドールは笑った。
何てことは無い。橙は死の感覚に慣れていただけだった。
紫と藍の親子?喧嘩は常軌を逸したものだ。今のところ、紫の勝率は100%だが
大妖怪VS大妖怪の殺気のぶつかり合いは半端ではない。並の妖怪や人間ならその場にいただけで正気では無くなってしまうだろう。
・・・子供の前でそんなデンジャーな喧嘩すんなよ。さらに八雲家のイメージがダウン。
それに動じない時点で橙の器の大きさがわかるような気はするのだが。
フランドールはさっきまでとは打って変わった、子供のような笑顔になった。
「私はフランドール。フランでいいわ。あなたは?」
「わた・・・僕は橙。橙だよ。」
「?女の子は『私』よ?」
「咲夜様がそう言えって・・・」
「・・・まあいいわ。一緒に遊びましょ?」
「えっ・・・。でも仕事が・・・」
「気にしない♪気にしない♪」
精神年齢が近い人には偉観なくカリスマを発揮するフランドールだった・・・。
―そしてフランドールの部屋―
「・・・で何して遊ぶ?TVゲームならソ○ックからモン○ン2まで・・・」
「TVゲームは割りと得意だよ。永遠亭でてゐちゃんや輝夜様に教わったことがあるし・・」
「へぇ・・以外。じゃあ王道でスマ○ラDXにしましょうか。」
「あ!それ輝夜様が得意だったやつだ。」
「じゃあ始めるわよ」(今度こそは・・・!)
そして十分後。
「!っだらああああ!やってられるかあああああ!!」
「えへへ~また勝っちゃった♪」
「何でそんなに強いのよ!下手したら中国より・・・!!」
「輝夜様や妹紅さんはもっと強いよ。コンボだって輝夜様に教わったやつしか知らないし・・」
「これより上があるなんて・・・!蓬莱人・・恐ろしい種族。」
「フランちゃんだって強かったよ?」
「同情はいらないわ・・・。それよりその服着替えない?」
「僕の服、咲夜様の部屋においてきちゃったし・・いいよ」
「私のを貸してあげるわ。メイド服ってなんだかイライラするのよね。」(『僕』ってなんかいいわね。)
「そんな・・・咲夜様に怒られちゃ・・・にゃう!」
「気にしない♪気にしない♪」
ばたばたと暴れる橙を押し倒しながら押さえつける。
そしてメイド服を握ったまま力を込めると服全体が破裂したようにちりじりになった。
当然橙がブラなんか付けてるはずは無く、半裸状態。わずかに膨らんだ胸が顔を覗かせている。
「あ~咲夜様に怒られちゃうよ。」
「まあいいじゃない。」
ちっともよくない。
そこへお約束。
バタンッと扉が開き、凄い剣幕で咲夜が飛び込んできた。それに続き、レミリアも。
「妹様!!その子は――――――・・・・。」
「フラン!!また勝手に外に――――――。」
・・・咲夜が一切関与していないザ・ワールドが発動した。
パロディが異常に多いです。もしや2番煎じかもしれません。
それでもいいよ・バッチコーイ!・しかたないなぁ見てやんよ!という方は是非ご覧ください。
「はぁ~・・・やっとついた・・・。」
二本の黒い尻尾をゆらゆらと揺らしながら橙はそう呟いた。
ここは紅魔館。
広い幻想郷でも知らない者はいないだろう。
時を操るメイド長とその部下のメイド隊、気を操る門番、知識の魔女
特に最強クラスの吸血鬼レミリア・スカーレットは村の人間にも、妖怪にも恐れられ
近ずく者などまず、いなかった。
当時は・・・。
今はロリコンのパッド長、パッド長マニアのメイド隊に中国、変態ヒッキー
シスコン巫女スキーのれみりゃで通るようになってしまった。(本人の前で言うと殺されます)
なんという紅魔館。
きょろきょろと回りを見ると門らしい所が見えた。
ててて・・・。と走っていくと門前に人影が見える。
近ずいてみるとどうも立ったまま寝ているようだった。
(器用な人だな・・・)
橙はそう思いながら起こそうか迷った。
寝言でムニャムニャいいながら「中国じゃない~。」と漏らしている人物こそ中・・・じゃなくて紅美鈴である。
やたらと胸がでかく、性格のよさとMっ気では幻想郷一、二を争う。
どうしようか考えていると、ものすごい勢いで門が開いた。
門の前にいた中国・・・(変換面倒だから中国でいいや)は当然直撃。「くぁwせdrftgyふじこl」と意味不明な
奇声を発しながら後方にすっ飛んでいった。
「まったく・・・。客人が来るので通しなさいと言っといたのにしょうがないわね」
そういいながら現れたのは十六夜 咲夜・・・噂のメイド長だ。
やれやれといった様子でため息をつく。
橙はびっくりしたあまり、しっぽの毛を逆立たせてしりもちをついていた。
「大丈夫?立てる?」
「・・・うん・・ありがとう・・・咲夜様」
「藍から話は聞いてるわ。中に入りましょう」
「え?さっきの人は?」
「大丈夫、死にはしないわ。さあ行くわよ」
「・・・は・・はい」
咲夜と藍は仲がいい。
藍曰く、
「趣味がとても合うんだよ・・・うん」
と万遍の笑顔。
そういえば香霖堂の主人とも仲がよかったような・・・
中に入ると永遠亭にも劣らぬほどの広さ、大きさ、豪華さ。
そこらじゅうメイドが忙しそうに走りまわっていて、活気にあふれている。
八雲家とはとても比較にならない。
忙しそうにしているのは藍だけ、紫は大抵寝ているし
橙はたまに手伝うこともあるがほとんど遊びまわっていて家にいない。
活気の『か』の字も見えない八雲家。普通にただの一軒家にも見える程度の家。何だこの差は。
橙は思わず「ふわ~」と声を出していた。
その様子に気を良くした咲夜はクスッと笑った。
今日、橙は紅魔館にお手伝いに来ていたのだ。理由は藍が
「咲夜にはいろいろ世話になっているからな。暇なら私の変わりに、少し手伝いに行ってくれ。」
とのこと。(表向きには)
橙としても式神として主人の役に立ちたいところ。
二つ返事でこれを引き受けた。
奥に行くと一際大きな扉があった。
「ここが私の部屋よ。これ以上奥はお嬢様の部屋だから行かないように。」
「わかりました。咲夜様」
橙は入館直後から雰囲気に魅せられていたようで、きょろきょろと忙しなく首を動かしている。
部屋に入ると大きなベッドにクローゼット、棚
まったく無駄なものがない。広いながらも殺風景な部屋だった。
「じゃあ早速着替えてもらうわよ。」
「はい。・・・あれ?そのメイド服ってさっきのメイドさん達が着てたのと違「気 の せ い よ。」
橙の言葉を一蹴し、それを押し付けてきた。そしてクローゼットからカメラを取り出した。
・・・クローゼットの中はカオス空間になっていた。
「・・・それって文様が持ってた・・・でもなんで?」
「これは・・アレよ。急に新人が入ったらみんな戸惑うから、顔写真をね」
「なるほど。この服、フリフリが異常に多くないですか?」
「いや、いいわ。万事OKよ。じゃあベッドにあがって」
とりあえず言う通りにする。藍も
「いいか?咲夜の言う通りにするんだぞ、年長者の言うことに間違いはない。
フフフフ・・・やばい・・・笑いと鼻血が止まんないwww」
と意味深な笑顔で言っていた。
咲夜の指示通りにベッドの中央まで来た。
「そうそう。そこでアヒル座りに両手をひざの前に置いて上目使い。」
「こうですか・・・?」
「それよ。ハァハァ、もっと目を潤ませて・・・」
「難しいですよぅ。」
「!!その困った表情いただいたっ!!!」
「咲夜様・・・顔が怖いですよ?」
「無問題よ。無問題。今度はYシャツを・・」
「見たことない服ですね・・・?サイズが大きすぎですよ」
「そーゆーもんなのよ。そうだ!紅魔館では自称を僕にすること!」
「ええ~。それはやだ~。」
「藍に何か言われなかった?」
「えぅ~。わかりました・・」
そして完成。
ぶかぶかYシャツ、ナチュラル猫耳、僕っ娘。
薄いYシャツに透けて見える肌がなんとも色っぽい。
普段落ち着きのない橙だから、ことなおさらギャップがでる。
非の打ち所がない萌え要素の塊。どこぞのSOS団団長も真っ青。
藍が見たら鼻血を出して卒倒するだろう。
「咲夜様~。こんなの僕・・恥ずかしいですよ~。」
「やべぇwwwここが私のヘヴン・・。ここが私の幻想郷・・・。ハァハァハァ」
「(口調まで変わってる・・・)」
「私のカメラは美しか追求しないのさ!!」
ガガガガガッと狂ったようにフラッシュを連射する。咲夜様ご乱心。
まさかショタっ気もあったとは。
そして小一時間後・・・
「じゃあ仕事内容を説明するわ。まず図書館で本の整理・・まあ小悪魔の手伝い。
それから庭の掃除に窓拭き、そのくらいね」
何事もなかったかのようにそう振る舞う。
橙の服はほかのメイドたちと同一の物になっていた。
「とりあえずついて来なさい。大まかに館全体を説明するわ。」
そう言いつつ、スタスタと早足で歩く。橙はついて行くのがやっとだ。
さっきまでとは違い凛々しい横顔、隙のない身のこなし、すっかりメイド長としての貫禄が出ていた。
(かっこいいな・・)
と橙が思ってしまったのも無理はない。
しばらく説明されながら歩いていくと、地下に通じる階段があった。
周りとは明らかに雰囲気が異なっている。
「ここは?」
「その先は絶対に行ってはだめよ。」
「なんで?」
「妹様・・・フランドール様がいるからよ。捕まったりしたら大体生きては戻れないわ」
「・・・・。」
「さあもう行きましょう。もうすぐ図書館よ。」
「あ・・・置いてかないで~」
ててて・・・・。と小走りで橙は咲夜についていった。
・・・・咲夜はこの走り方が見たいがために早歩きだった。と知る者は少ない・・・
そのころ、
妹様ことフランドールは自室で中国とまりをパーティー4をしていた。
おおよそ一時間前
気晴らしに庭をふらついて見ると
門の外で気絶している中国を発見。部屋に運び込んだのだ。
腋巫女との一戦以来フランドールの隔離は大分甘いものになっていた。
「たちつたちつたつた~った♪た~たちつたちつたつた~った~♪・・・
わ!やったー!スター4個目♪」
「流石ですね。妹様。しかしコインの数とミニゲーム勝利数では私が上!
ラストボーナスで一気に逆転ですよ!」
「あ!この中国! ?マーク踏みやがった!」
「これで私のスターは3個目・・これで終わりですかね。フッ。」
「くっ・・・でも最後まで諦めないわよ・・・いっけー!ダイスロール!!うわっ!赤踏んだ!!」
「あるあるwww」
・・・・とまあ。大分楽しそう。
図書館に着いた橙はそのあまりの本の多さにまた
「ふわ~」
と声を漏らしていた。
天井は高くて暗くて見えない。それなのに本がぎっしり詰まった本棚がその暗がりのなかにずらりと伸びている。
「後は小悪魔に頼んでおいたから、時間になったらまた来るわ。じゃあ任せたわよ。こぁ」
「お任せください!咲夜様。」
「ありがとう、咲夜様。」
じゃあね。といいながら咲夜は図書館から出て行った。
「橙ちゃん・・だったよね。それじゃ掃除初めよっか!」
「橙でいいよ。よろしくお願いします。小悪魔様。」
トクン・・・と小悪魔の胸がなった。
「橙ちゃん・・・今私のこと、なんて・・?」
「?小悪魔様・・・。」
ドクン・・・と、また胸がなった。
「橙ちゃん・・ものすごい惜しい気がするけど、こぁでいいよ。
このままだと目覚めてはいけない何かに目覚めてしまいそうだから・・・」
「・・・・?は~い」
紅魔館の良心、小悪魔は壊れるわけにはいかないのだ。
と、言うことで掃除開始。
幻想郷で暮らしている人(妖怪、幽霊含む)は基本的に空を飛ぶことができる。
高いところの清掃に難儀しなかった。
「・・・・・。」
パタパタと無言で埃を叩いていく。
「・・・・・飽きた。」
開始約20秒後のことだった・・・。
一方、まりをパーティーで中国に敗れたフランドールは
スマ○ラDXで再戦していた。
「れってってっててれてって♪レロレロレロレロ・・・♪・・チャンス到来!ハンマー!!」
「カー○ィを侮ってはいけませんよ。妹様。」
「なっ・・。ス○ーンでハンマーを貫通させて吹っ飛ばした!?しかも持ったままだから復帰できない!」
「あるあるwww」
「うわーん!やってられるかー!新しい玩具見つけてくる!!」
「まってください!ここを勝手に出られてはお嬢様に叱られますよ!」
「お姉さまは私を叱ったりしないもん!」
「いや・・私が・・・。ってほんとに待ってええええええ!!」
・・・・・・こうして鬼ごっこが開始された。
図書館で小悪魔は橙の様子を見ていた。
尻尾が落ち着きなく、くねくねと動いていて
いかにもつまらなそうな顔をしている。
(そろそろ限界かな・・。)
もう少しで一時間。橙にしてはよくがんばった方だろう。
(もう少しでお昼だし、休憩にするか)
「橙ちゃん。そろそろ休んでもい(ドスッ!!)ぐはう!!」
声をかけようとした小悪魔の腹に人型をした強烈な何かが直撃し本棚に叩きつけられる。
ものすごい物音に橙も気がついた。
「こぁ!?大丈夫!?」
上から本が滝のように落ちてきて小悪魔に降り注ぐ。
小悪魔は動く気配がない。気絶してしまったのだろう。
「!!」
橙ができる限りのスピードで突っ込む。
落ちていく本を追い越し、地面すれすれで左へ直角カーブ。
小悪魔と何かと引っつかみ、すごい勢いで床に転がった。
飛翔韋駄天でなれているとはいえ、自分よりも重いものを2つ移動させるのは
腕にかなりの負担がかかる。ドドドドド!と大量の本が落ちてきた。
痛たた・・・と体を起こす橙。間一髪間に合ったようだ。
そこで気がつく。
「あれ?この人って門にいた・・・」
そこにいたのは小悪魔と・・・・目を回して「きゅう~」となっている中国だった。
橙はまったく状況がつかめない。
そこへ
「魔理沙ぁぁぁぁああああああああああああ!!」
さらに混乱素材。
研究室の扉が開きパーチュリーが顔を出した。
橙はパーチュリーの紹介をされていなかったので、吃驚+困惑。どなたですか?
目を丸くして尻尾を逆立たせる。
目が血走ったパーチュリーはしばらくはぁはぁと息切れしていたが、
「なんだ、フランか、驚かせないでちょうだい。」
「ごめんね。パチェ。」
「まあ、いいけどね。実験中だから静かにしてね。」
そういうとパタンと扉を閉じた。
橙はゆっくり後ろを向く。気配はまったくなかった。
しかしそこには1人の少女がいた。
人形のように整った顔立ち、
きらきらと輝く金髪、
七色に、それぞれ一枚ずつの羽がついた綺麗な翼
吸い込まれそうな紅く、暗い瞳
圧倒的強者がまとう、独特のオーラ
本能では危険だ、とわかっていた。
今すぐにでも殺されてしまうだろう。しかし、不思議と怖くなかった。
虜になってしまった橙は指1本動かすことができなかった・・・。
フランドールも橙を見据えていた。
しつこく追ってくる中国を小悪魔に直撃させた時から橙を見ていた。
あれだけの速度で地面に叩きつけられたら無事じゃすまない。
怪我をするのも、死ぬのも怖くないのだろうか?
だとしたら久しぶりに面白い玩具を見つけた。楽しめそうだ。
そう思って近ずいたものの、なかなかこちらに気がつかない。
・・・単に死の感覚が鈍いだけか?だとしたら興醒めだ。さっさと壊して終わりにしよう。
頭に手を翳せば、それだけで頭蓋を粉砕することができるだろう。後は肉の塊が横たわるだけだ。
ギラッと目を鋭く輝かせた。それでも橙は眉一つ動かさずにこちらを見ている。
その時、フランドールは本能で橙の潜在能力の高さを感じ取った。
努力では辿り着けない。並大抵ではない莫大な妖気を。
・・・今壊すのは勿体無い。
ニヤリとフランドールは笑った。
何てことは無い。橙は死の感覚に慣れていただけだった。
紫と藍の親子?喧嘩は常軌を逸したものだ。今のところ、紫の勝率は100%だが
大妖怪VS大妖怪の殺気のぶつかり合いは半端ではない。並の妖怪や人間ならその場にいただけで正気では無くなってしまうだろう。
・・・子供の前でそんなデンジャーな喧嘩すんなよ。さらに八雲家のイメージがダウン。
それに動じない時点で橙の器の大きさがわかるような気はするのだが。
フランドールはさっきまでとは打って変わった、子供のような笑顔になった。
「私はフランドール。フランでいいわ。あなたは?」
「わた・・・僕は橙。橙だよ。」
「?女の子は『私』よ?」
「咲夜様がそう言えって・・・」
「・・・まあいいわ。一緒に遊びましょ?」
「えっ・・・。でも仕事が・・・」
「気にしない♪気にしない♪」
精神年齢が近い人には偉観なくカリスマを発揮するフランドールだった・・・。
―そしてフランドールの部屋―
「・・・で何して遊ぶ?TVゲームならソ○ックからモン○ン2まで・・・」
「TVゲームは割りと得意だよ。永遠亭でてゐちゃんや輝夜様に教わったことがあるし・・」
「へぇ・・以外。じゃあ王道でスマ○ラDXにしましょうか。」
「あ!それ輝夜様が得意だったやつだ。」
「じゃあ始めるわよ」(今度こそは・・・!)
そして十分後。
「!っだらああああ!やってられるかあああああ!!」
「えへへ~また勝っちゃった♪」
「何でそんなに強いのよ!下手したら中国より・・・!!」
「輝夜様や妹紅さんはもっと強いよ。コンボだって輝夜様に教わったやつしか知らないし・・」
「これより上があるなんて・・・!蓬莱人・・恐ろしい種族。」
「フランちゃんだって強かったよ?」
「同情はいらないわ・・・。それよりその服着替えない?」
「僕の服、咲夜様の部屋においてきちゃったし・・いいよ」
「私のを貸してあげるわ。メイド服ってなんだかイライラするのよね。」(『僕』ってなんかいいわね。)
「そんな・・・咲夜様に怒られちゃ・・・にゃう!」
「気にしない♪気にしない♪」
ばたばたと暴れる橙を押し倒しながら押さえつける。
そしてメイド服を握ったまま力を込めると服全体が破裂したようにちりじりになった。
当然橙がブラなんか付けてるはずは無く、半裸状態。わずかに膨らんだ胸が顔を覗かせている。
「あ~咲夜様に怒られちゃうよ。」
「まあいいじゃない。」
ちっともよくない。
そこへお約束。
バタンッと扉が開き、凄い剣幕で咲夜が飛び込んできた。それに続き、レミリアも。
「妹様!!その子は――――――・・・・。」
「フラン!!また勝手に外に――――――。」
・・・咲夜が一切関与していないザ・ワールドが発動した。
流石ニート、ゲームに関しては神がかっている……
唯一の良心、って、中国も一応良心ではないのですか?
とりあえず、午後に更なる期待
藍=こーりん…テンコー繋がり
そしてなんという藍様…間違いなく写真は現像されて手渡される
酷いとまでは行かなくとも、このくらいはきちんと理解した上で書いていただきたい