「『ブルマ』と言うんだ」
「ぶるま?」
じりじりと暑さ近づく初夏であるにもかかわらず、毎度ながらとちっとも冷えない冷やかしにやって来た魔理沙に言ってやると、彼女は目をぱちぱちと瞬かせた。
太腿にぴっちりと張り付く材質と形状。下着としては厚く、外着にしては露出の多いソレは紺一色に染め上げられ、窓から入りこむ僅かな光に反射して艶かしく輝いていた。
「確かに女性用の穿き物だが、下着じゃない。外の世界の子供は体を動かす際、下着の上にブルマを穿いて活動するらしい。肌を保護するには向かないけど、衣服装着による運動能力の低下を最低限にする効果があるから、運動するにはもってこいの衣服だと思うよ」
「なるほど。確かに動きやすそうだぜ。下着とこの『ぶるま』だけなのか?まさか上は普段着で体を動かすわけじゃないんだろ、外の世界の連中は」
ブルマの端と端に指を引っ掛けてぐいぐいと引っ張る魔理沙に注意を呼びかけ、僕は奥に置いてある箱から厚手の真っ白な半袖のシャツを取り出した。透明な未知の素材に包まれたシャツを引っ張り出す。胸が当たる部分には服とは違う素材の布が、人間業とは思えない縫い方で貼り付けられていた。こんな芸当が出来るのは知り合いの人形遣いくらいなものだ。
「上はこの『体操服』を着るんだ。この胸の生地部分にひらがなで名前を書くのが流儀らしい」
「外の世界のセンスは分からんな」
僕も同じだ。機能性は認めるが、どうにも露出が多すぎるような気がしてならない。まあ、僕は外の人間ではないので、外の人間がどのような感覚を持っているのかなんて理解できないし、50%程ならいざ知らず、100%理解する努力をするつもりもない。
だいたい、この服について教えてくれた妖怪からも胡散臭い情報しか貰えなかったし、僕が仕入れた知識が本当なのか証明する術は無い。
「だいたい、胸の大きい女はどうするんだよ。でこぼこすぎて名前が見えないじゃないか」
「魔理沙には関係ないんじゃないか?」
しまったと思った時には遅かったが、魔理沙の頭の中にはその手の需要は無いらしい。「それもそうだな」と短い言葉で片付けられてしまった。
ごく僅かなケースではあるが、香霖堂には店主である僕が気付かないうちに商品が入荷している場合がある。例えば、どこかの気まぐれな妖怪がこっそり置いていったり、僕のいない間にゴミ屋敷と間違えて投棄、なんて失礼な場合だ。文字の読めない妖怪たちは物を形で判断するしか脳が無いし、強力な妖怪はたいがいに自分勝手なので、仮に「ポイ捨て禁止!」なんて看板を立てたとしても、そのごく僅かなケースが減る事態は起こりえない。困ったものだ。
とはいえ僕が困る以外にも、これまたごく僅かであるが、恩恵を得る事ができるような商品もある。僕の興味を引かせるには十分すぎるほど謎に満ちた外の世界の物。あるいは人間の里では希少価値が高い物。残念ながら利益となるような商品は大抵非売品となってしまうので、結局のところ実益は無いと言ってもいい。
前置きが長くなってしまったが、今回のケースもその一つであり、しかも前者である外の世界の商品が、僕が人間の里に買い出しに行っている間に店内に紛れ込んでいたのだ。もう外の世界では絶滅危惧種に指定されているそうなので、もしかしたらもう外の世界では幻想入りとなった貴重品なのかもしれない。
「ある程度の伸縮性があるから、よっぽどでない限り誰でも着れる代物だ。おまけに吸汗性も高い。人を選ばない点で見れば機能としては理想だね」
「着てみたのか?」
「……まさか」
「うへぇ」
顔に出ていたらしい。すぐに嘘だと見破られてしまった。
「上だけなら男でも着れるみたいだったからね……」
男子でも着れるのだから試しにと着てみたのが失敗だった。今では下から数えたほうが早い黒歴史となっている。もし誰かに見られでもしていたら、店をたたむ決意もやむを得ない。あるいは僕の持つ知識全てを使って口封じに挑むか。着用済みの体操服は早々と塵にして畑に撒いておいた。何らかの効果が出るといいが。ひらがなで名前を書いた記憶なんてもう残っていないと言うのに、僕も馬鹿をしたものだ。
悪夢はさっさと捨て去るに限る。気持ちを切り替え、僕は商売にならない相手に商談を持ち込む事にした。
「興味があるなら着てみるかい?」
「おっ?珍しい物を独占するのが香霖の流儀じゃなかったのか?」
そんな流儀、誰が決めたんだ。ここは商店なのだから、商売するのは当たり前だ。
「これでもかと言わんばかりに在庫が大量にあるんだよ。僕としては保管用に二,三着残っていれば十分だし、大量に残っていても邪魔になるだけだからね。もちろん気に入ったのならお代は大歓迎だ」
「結局は残すんじゃないか」
「大量とはいえ外の世界の衣服だ。素材も独特だし、珍しい代物であるには代わりが無いよ。どうだい、どうせ暇だろう?」
「暇じゃなけりゃこんな店来ないんだが……呪われてないだろうな?着た瞬間に死ぬまで腹踊りをさせるとか、チクワを咥えないと息が出来ない体になるようなら、店ごとマスタースパークで消し飛ばすぜ」
食いついた。ブルマを手に取った瞬間から興味を持っているのは目に見えて明らかだった。じゃなければブルマを床にでも放り投げて、さっさと茶を飲んで退散している。普段の魔理沙は何を考えているのか分からないが、今の彼女はおもちゃを目の前にした子供のような存在だ。新しい刺激に飢えている幻想郷の住民にとって、シンプルかつ明確な用途のある外の世界の衣服、すなわちブルマは格好のおもちゃだ。今の彼女の頭の中など、まるで実際に彼女になっているかのように分かる。
彼女はブルマを穿きたがっている。ただ珍しさとデザインに戸惑っているに過ぎない。あとは押せば時間の問題だ。
胡散臭い目で僕とブルマを右往左往する魔理沙を見て、僕は助け舟を出す事にした。
「さすがに呪術にまでは詳しくないけど、問題はないよ。もし君の言うとおりになったら、マスタースパークと言わず、ドラゴンメテオでもファイナルスパークでも近接ノンディクショナルレーザーでも、今流行の3パワレーザーでも、好きなスペルを撃ち込むといい」
止まらない腹踊りで困っている魔理沙を見るのも一興だけど、店の信用を失っては困る。これでもありとあらゆる品を扱っている身分。呪いや魔法の品なら大概の物は見ただけで判別できる。これはまったくの白だ。断言してもいい。
「僕は在庫を減らす。君は好奇心を満たす。お互いに利益があるから、こうして僕も押しの一手を図っているのさ」
魔理沙の目がブルマへと移り、動かなくなった。僕は交渉成立を確信する。やがて魔理沙は視線を僕へと戻した。
「よく言うぜ。お前はいつからそんなに商売上手になったんだ?」
「我ながら上手いと言えるのか怪しいけどね」
魔理沙はブルマを握り、僕の手から体操服をひったくると、店の奥へと体を向けた。
「奥を借りるぜ」
「毎度あり」
僕の死角へ入るや否や、衣擦れの音が聞こえてきた。首を伸ばせばすぐにでも見える位置だというのに。僕の予想以上に魔理沙はブルマと体操服を着たかったらしい。
お互い、見た目もアレ、中身もアレだが、僕は男。魔理沙は女。自然と意識が魔理沙へと向いてしまうのを回避すべく、僕は魔理沙とは正反対の方向、巨大なアレを持つ狸の置物をじっと見て気を紛らわした。ちっとも売れないし、珍しいだけで外観上もよろしくない。なぜか女性陣には人気があったのが不思議だったが、そろそろこの置物も倉庫入りにしなくては。
「おっ?」
不意に上がった声に反応して魔理沙の方向へと向いてしまう。
「おお、おおおおお!?」
何に驚いているのかさっぱり分からない。せめて霊夢でも居てくれれば説明係になってくれたのに。
「こーりん、書くやつ、書くやつ!」
やがて魔理沙が顔と手だけをこちらに見せ、何かよこせと言わんばかりに手を振った。僅かに見える白い紐と小さな肩が、上半身下着姿である事を物語っている。もはや見えているのに気付かないほどに興奮しているようだ。
「はいはい」
手元にあった、これまた外の世界で作られたペンを投げてやる。油性のインクを、折り固めた布の棒に染みこませて書く仕組みとなっていて、教えてくれた妖怪曰く、体操服はこのペンで書くのが流儀らしい。
キャッチをした魔理沙は礼も言わずに引っ込んでしまった。やがて鼻をつく油性インク独特の臭いがここまで漂ってくる。
「なんだこれ、臭うな。変なペンだぜ。まあ書ければいいや。香霖、書く時はひらがなだったな」
「ああ」
「まー、りー、さ、っと!香霖、私がいいと言うまでに鏡を用意してくれ!あー、やっぱいいや、あったぜ。そこを動かなくていい」
鏡ならその部屋にあるよ、と言う前に魔理沙は鏡の前へと走っていった。鏡は更に奥にあるので僕の目から魔理沙は見えない。が、今まさに鏡の前でポーズを取る魔理沙がいるのだ。普段の魔理沙から見れば多くの意味で微笑ましい以外の何者でもない。
「おー、おーっ、おおおおおおっ!?」
さっきから『お』しか感嘆詞が聞こえてこない。日本語としての感想くらい言えないのだろうか。あれでは野生の獣だ。五歳児だってもっとはっきりとした感想を言えるというのに。
いや、『お』しか言えないほどに魔理沙の頭がいい感じにファイナルマスタースパークしているのだ。ブルマと体操服の何が魔理沙を狂わせるのか。
「魔理沙ー。そろそろ戻ってきてくれないかー?」
自分の家で他人が好き勝手やっていると落ち着かないものだ。
「おー!」
魔理沙は返事も『お』だけで返すと、奥の扉から姿を現した。
「ほう……」
僕は意識せずに声を上げていた。
「これいいなおい。デザインはちといただけないが、確かに動きやすいぜ。しかも涼しいし、感触も最高だぜ」
いつもより黒成分の少ない魔理沙の姿は新鮮だった。普段は年中我慢大会でも開いているかのように全身真っ黒(と白いエプロン)という暑苦しい格好だったのが一転、紺のブルマー部分以外は全て白い。いつも見せない白い肌、帽子に隠れた金の髪が服の白さに違和感無く溶け込み、生地全体に書かれた『まりさ』の文字は単調な白地の服に強烈なアクセントをもたらしていた。名前が無ければ僕の口から感嘆の声が上がる事は無かった。白の体操服だけではない。太腿に食い込んだブルマーは、彼女の細いラインを強調させると同時に引き締まった足全体の艶かしさを演出しているのだ。更に彼女がアウトドア派であるせいか、より彼女らしく、まるで元から彼女の普段着のようにさえ見えてくる。
驚きだ。普段の格好からのギャップとはいえ、女らしさ皆無なあの魔理沙をここまで魅力的にさせるとは。魔理沙が興奮するのも頷ける。もっとも、魔理沙の場合は動きやすさに感動したのだろうが。魔理沙には失礼だが、馬子にも衣装という言葉しか思いつかない。
僕は教わったとおり、素直に感想を言った。
「ナイスブルマ」
「あ?」
魔理沙が何事かと僕を睨むが、意味を説明するためにあえて無視をする。
「似合っている、という意味だ。ブルマと体操服を着た女の子に似合っていると言いたい時は、『ナイスブルマ』と声をかけるらしい」
ナイスブルマという掛け声はあるのだがナイス体操服は無かった。語呂が悪いからだろうか?
「香霖、お前本気で言っているのか?お前の眼鏡は斜光板にでもなってるんじゃないのか?アレな風邪薬でも飲んだのか?」
「奇妙な心配をするね。活動的な魔理沙らしい格好だし、素直に似合っていると思うよ。僕はお世辞を言うような気遣いを持ち合わせているつもりは無いんだけどね」
客商売の身分上、似合ってないとも言わないけど。
「そ、そうか……」
珍しく魔理沙が照れている。性格を変えるマジックアイテムの類ではないはずなのだが。
僕は更に説明を続けた。
「さらにこの服装で胸をときめかせた場合、『○○たん、萌え~』と呟くのも忘れてはいけないのだそうだ」
「まるまる……なんだって?」
「仮に僕がその魔理沙の格好で胸をときめかせた場合、僕は『魔理沙たん、萌え~』と言わなくちゃいけないんだよ。『たん』の部分が『さん』で、『もえ~』は……まあ『可愛いね』、なんて意味だと思う」
「外の世界の日本語はどうなってるんだ?」
「さあ。外の世界の人間に聞いてくれ」
「……香霖、ちょっとこっち来い」
僕が何事かと立ち上がると、照れ半分、残り半分は、「香霖が何を考えているのかよく分からないぜ」と言わんばかりの複雑な表情をした魔理沙と一緒に鏡の前に立った。
その鏡は古いが、よく使う鏡なので手入れは怠っていない。一点の曇りもない鏡は、普段着の僕とブルマ姿の魔理沙を余すところ無く映し出していた。自分を食い入るように見つめ、時にはくるくると回りながら、時にはポーズを取りながら、魔理沙は始終唸っていた。
「これは、ないすぶるま、なのか?」
「ああ、ナイスブルマだね」
「魔理沙たん、もえ~、ではない?」
「確かに女性的な魅力も上がったと思うけど、魔理沙たん、もえ~、と言うには少し色気が足りないな」
「香霖、そいつはおかしいぜ」
「?」
「可愛さに女性的な魅力も色気もいらんだろ」
「……なるほど」
確かに、相手が小さい女の子でも、男の場合でも可愛いと言う場合がある。
「私の格好が似合ってるなら、お前は魔理沙たん、もえ~と言うべきなんだ」
「その方程式は納得できないな。事実、僕はときめかなかったんだから、魔理沙たん、もえ~と言う条件を満たしていない」
「じゃあ聞くが、私はいつもより可愛いと思うか?」
「いつもより、と聞かれると、まあ」
じゃなければナイスブルマなんて言わない。
「だったらお前はやっぱり言うべきなのさ。そもそもお前はもう矛盾しているんだよ。私が普段より可愛くなってるなら、香霖は気付かないうちに私にときめいているに違いないぜ」
どこからそんな根拠が出てくるのか、既に僕は魔理沙の頭の中が読めなかった。基本、僕はいつもの魔理沙にあらゆる意味で敵わない。
「決めた。香霖に『魔理沙たん、もえ~』と言わせてやる」
「別にいいじゃないか。ナイスブルマだし、実用的なんだろう?」
「それとこれとは話が別だぜ。ただ気に食わんだけだ」
気に食わないと言った割に表情の晴れ晴れしい魔理沙は僕が見ているのもお構い無しに上からいつもの白黒服を着ていく。二分とたたずに魔理沙は普通の魔法使いに戻っていた。ただし、ドロワーズが鞄の中へと収まっていく瞬間を僕は見逃さなかった。
「ナイスブルマだったんだからブルマ姿のままでいればいいのに」
からかい半分で言ってやった。
「デザインは気に食わんって言っただろ。それに私は魔法使いだ。魔法使いは黒が相場なんだぜ、香霖よ」
じゃあ持って行くな。
「また来るぜ」
「こら、代金置いていけよ」
「気に食わんから払わないぜ。気に入ったら払うんだろ?」
魔理沙は店を出て箒にまたがった。
「それに、借りてくだけだぜ」
最後にお決まりの台詞を吐いて魔理沙は飛び去った。一人残された僕は箱から新しくブルマと体操服を取り出して煩雑な机の上に並べる。
「ふむ」
たった数十、数百グラムの衣服を身につけるだけで性格が変わるものなのか。仮に僕が褌一丁で店を切り盛りしたとしても、羞恥心があるとはいえ、僕は僕のままでいられる自信がある。試すなんてとんでもないが。
そういえば以前、ちっとも服の変わらない霊夢にデザインを変えないのか、などと聞いてみたら、あの紅白服でないと巫女をしている気分が出ないし、歴史のある衣装だから勝手に変えられないの、などと言っていた。確かに巫女服ではなく、例えばメイド服の霊夢を巫女と呼ぶには少しためらいがある。いたとしたら、誰に仕えているのか僕の知った事ではないが、それは博麗の巫女ではなく博麗のメイドだ。もしかしたら、巫女服が巫女の神聖度を、メイド服がメイドの忠誠度を上昇させているのかもしれない。黒い服を脱ぎ、魔法使いを脱ぎ捨てた魔理沙がブルマと体操服を着たから、彼女は魔法使いではなく、ただの活発的な少女になってしまったのだとしたら。僕も店主らしく前かけでもつけてみようか。もしかしたら店主度が上がるかもしれない。
勢い立って前かけを探すが、思いつきで始めた行動など長続きするはずもなく、途中で馬鹿馬鹿しくなった僕は、ブルマと体操服を店先に並べ、店の掃除に移ったのだった。
次の日。
「また来たぜ」
一週間ぶりの文々。新聞を眺めていた午後に彼女は再びやってきた。二日連続でやってくるのは珍しいが、目的さえあるなら一週間連続でやってくる事だってある。
ちなみにその時はかなり前の話になるが、どこぞの本に感化されたのか、「男に胸を揉んでもらうと大きくなるらしいから協力しろ香霖」などと言って僕に強制した挙句、現場を目撃した霊夢に「変態!」と連呼されながら夢想封印(しかも瞬)を撃たれ爆殺されかけ三日三晩生死の境を彷徨った。夢想天生で追撃されていたら僕の人生は確実に消滅していただろう。しかも、結局効果が無いと判断した魔理沙に「大きくならなかったのはきっと香霖のテクニックが足りなかったせいだぜ。まあ大きくないほうが困らないし、別にいいけどな」などと恨み言まで言われる始末だった。残念ながら胸を大きくする胸の揉み方など僕は知らない。そもそも知っててはいけないと思う。更に言えば、明らかに嘘だと思う。
「客として来たなら大歓迎なんだけどね。そうだ魔理沙───」
「奥借りるぜ」
彼女は簡潔だった。僕の了承を得る間もないまま、僕の言葉すら聞こえないままに魔理沙は奥へと引っ込んでいった。折角の新しい情報が台無しになりそうだな。まあ、僕の声を聞かないくらいに魔理沙は熱中しているのなら、今日も幻想郷が平和である証拠なのだとしておこう。
彼女が着替え始めてから三十分後。僕が文々。新聞を読み終えた直後に、彼女は芳しい香りと共に部屋から出てきた。
「うおっ!?」
柄にも無く大きな声を上げてしまった。
昨日のブルマと体操服に変わりはない。しかし今日の魔理沙は、薄手の黒い網ストッキングをはき、普段はまずしない派手な口紅やアイシャドウをつけ、そして思わず鼻をつまみたくなるような量の香水の香りを店中に放っていた。これでは香水ではなく毒ガスだ。
「とりあえず色気が足りないらしいから色気を足してみたぜ」
魔理沙の中で、色気とは口紅や香水を指すらしい。つまりは『大人の女性』がつけるアイテムである。
「よく考えればお前の好みに合わせないとダメって事に気付いたんだが、どうだ?魔理沙たん、もえ~、か?」
「今回はナイスブルマもなしだ。風呂に入るなり水を浴びるなりしてくれ。鼻が曲がりそうだ」
「む。香水をつけすぎたか。口で息をしてくれ」
「もう一つ言わせてもらうけど、その化粧も似合ってないから落としてきたほうがいい。それじゃあ暗闇で出会ったら確実に妖怪と間違われるよ」
「そいつはまずいな。私は善良な魔法使いだというのに。慣れない事はするもんじゃないぜ」
善良の部分は間違いだ。
僕の心の声が魔理沙に届くはずも無く、彼女は店先の新しく並んだブルマと体操服をひったくると、風呂場へ直行していった。
「昨日、萌え~、に関しての有力な情報が手に入ったよ」
魔理沙がタオルで頭を拭きながら僕を見上げた。
ちなみに情報をくれたのは、ブルマと体操服の情報をくれた妖怪ではなく、最近外の世界から入ってきた、やたらフランクで陽気な神様の八坂神奈子だった。外の世界からの神ならブルマと体操服について知っているかもしれないと聞いたら、代わりに萌え~、について詳しく話してくれた。ついでにブルマと体操服を二着も購入してくれたし、これからはいい商売相手となってくれるだろう。魔理沙とも気が合いそうだ。幻想郷は狭いのだから、もう二人とも知り合いなのかもしれない。
「どうやらブルマと体操服でなくとも、萌え~、という言葉が使われるらしい」
「たん、は?」
「萌え~、を使う時に使う、枕詞みたいなものだね。また、萌え~、を使わない場合もあって、例えば『○○たん、はぁはぁ』なんて興奮した時にも使うんだ。でも使う定義が曖昧だし、普段は使わないのが得策だ。間違っていたら恥をかくといけないしね」
埃のかぶった壷を磨きながら魔理沙に説明を続ける。
「萌え~、の定義は非常に広義で、一人ひとりによって意味合いが違ってくる。相手の着ている服や性格や態度、仕草、趣味、果ては食べ物の好き嫌いや得手不得手など、多くの要素のどれかが自分の好みと一致した時に、萌え~、と言う。上級者になると日常会話で自然と使うらしい。これも僕ら知識の浅い者が使うと痛い目を見るだろうね。ちなみにその要素を『属性』と言う。陰陽五行や紅魔館の魔女が使う属性になぞらえた例え言葉だね」
「まどろっこしい。具体例を言え、具体例を」
魔理沙は既にブルマ姿に戻っていた。
「……あんまり知り合いを引き合いに出したくないけど、永遠邸の兎、鈴仙・優曇華院・イナバと因幡てゐがいる。てゐが鈴仙を騙し、怒った鈴仙がてゐを追いかけるけど、最終的にてゐは捕まってお仕置きを受けるケースが多い。普通に考えたらおかしいと思わないか?罰を受けるのにどうしていたずらなんて繰り返すのか、と。
疑問に思った僕はてゐに聞いてみたんだ。すると彼女は言った。『あの子の騙された瞬間の顔が、こう、ゾクッ、っと来るのよねえ。この快感は貴方には分からないでしょうけど、一度知っちゃうと病みつきになっちゃうのよ』、と。
……つまりこれは、てゐが鈴仙の騙された瞬間の表情に興奮を感じて、萌え~、を感じていると捉えてもおかしくはない」
「なるほど」
本来なら他の客の事情を話すのはよろしくないが、特に口止めされている訳でもないので、魔理沙に萌え~を知ってもらうために犠牲になってもらおう。もしばれて怒るようだったら三割引きくらいにでもしておくか。
ずっと同じ壷を磨き続けていたせいか腕が疲れてしまった。掃除道具を雑巾からはたきに切り替えるが、順番として間違っていることに今更気付き、水撒きに変更した。外から水桶と柄杓を持っていこうと店の入り口を開ける。
「じゃあさ」
入り口が半分開いた時点で僕の手は止まった。
「香霖の萌え~、は何なんだ?それが分からないと話にならないぜ」
ごもっともな話だ。箒の本来の使い方だけを知っていても魔理沙は空を飛べない。飛べない魔法使いはただの魔法使いだ。
僕は水撒きを中止し、商品である近くの椅子に腰を下ろした。
萌え~の意味を模索する事で頭が一杯だったが、そもそも僕の萌え~、は何だろうか。萌え~、は興奮したりときめいたり、何かを可愛いと思った瞬間の気持ちを言語化した感情だ。僕にそんな経験が本当にあったのだろうか。人間、いざ思い出せと言われると困る生き物、特に長い間生きている身分ではどうしても記憶が曖昧になる。
思い返そう。要は一瞬でも萌え~、と思った瞬間と思われる場面なら決して少なくはない。
……紅魔館の主であるレミリアが見栄を張って初めてコーヒーを飲んだ瞬間はどうか。普段は高貴に振舞う彼女だが、行動は年相応に子供のままだ。彼女が従者も連れずにここに来て、苦いコーヒーを飲み、出てくる涙を我慢していた瞬間は、不覚にも愛らしいと思ってしまった。メイド長がいたのなら香霖堂の床は血の海になっていたに違いない。レミリアたん、萌え~。
……鬼である萃香が霊夢と喧嘩してここに飛び込んできた時もそうだ。長い間生き続け、人との付き合い方も十分に知っているはずなのに、食べ物が原因で霊夢と喧嘩し、年相応の人間の子供とまったく同じ、寂しさ溢れる泣き顔の鬼を見て、僕は何を思ったかと聞かれれば、少しの同情と、そして感じた可愛らしさは確かだった。そして霊夢と仲直りした瞬間の表情は今でも忘れられない。萃香たん、萌え~。
……閻魔大王がプレゼントを買いに来た時には驚いた。彼女が部下の労いにとこっそり香霖堂へやってきたとき。プレゼントを選ぶ彼女の顔は常に真っ赤に染まっていて、買い終えた後の説教は誰が聞いても照れ隠しの言い訳に過ぎなかった。あの厳格な(と言っても当時は初見だったが)閻魔大王、四季映姫・ヤマザナドゥも女の子なのだと僕は思い知らされた。映姫たん、萌え~。
……昨日来た神様、神奈子と一緒に来ていたもう一人の神様、諏訪子も相応に可愛かった。いかにも子供らしい言動だが、芯はしっかりしているので、神様の貫禄、そして大人の雰囲気も合わせ持っているのだが、神奈子にからかわれて「あーうー」と唸り声を上げていた時は彼女に後光すら差していた。後光は仏教、なんて野暮な突っ込みは置くとしても、もう一度「あーうー」の声を僕は聞きたい。諏訪子たん、萌え~。
「むう」
自分の思った以上に萌え~のあるケースがあったのは嬉しいが、考えれば考えるほどに自分が知能を持つ生物として間違っていると自覚してしまいそうになる。このまま自分の萌え~、を分析したのなら、僕は自分をロリータコンプレックス、あるいはペドフィリアだと認めなくてはならない。しかしロリータコンプレックスだったなら霊夢や魔理沙にも同じ現象が起こっているし、ペドフィリアなら既に小さいころの魔理沙に欲情している。そもそも先月の頭には、外見上子供とは呼べない(個人情報保護)との(自主規制)もあった訳だし、この説は成り立たない。成り立たせてはいけない。
では彼女達のエピソードに共通する項目……じゃなくて、属性に共通点があるのは確かだ。背伸びレミリア。泣いた萃香。部下思い四季映姫。あーうー諏訪子。ついでにブルマ魔理沙。
「あ」
あった。
「意外性だ」
「ん?」
「意外性だよ、魔理沙。どうやら僕はギャップに萌え~、を感じる体質らしい」
「ギャップ?」
「魔理沙がブルマ姿になった時、僕は普段以上に活動的だと感じた。僕が持つ魔理沙のイメージと普段以上に合っているから、魔理沙に対してナイスブルマと思ったわけだ。よく考えてくれ。この僕が、あの君にだぞ?」
店に支出しか与えない魔理沙に本気で丑の刻参りでもしてやろうと、極稀にだが、思っているこの僕が、その魔理沙に対してナイスブルマと言ったのだ。きっと正しい。外見が小さな子供だったのはたまたまの話。そうに決まっている。
「普段以上がミソな訳だな?だがそれなら魔理沙たん、もえ~が出てもいいじゃないか」
「きっと、萌え~、要素が足りなかったんだよ」
「なるほど」
魔理沙はしばし考え込むと、急に何かを思いついた顔になった。近いうちに行動を起こすのは間違いない。にやりと笑い出したのがいい証拠だ。
いそいそと普段の服に着替え、先ほど並べておいた二着目のブルマと体操服を鞄に入れると、間髪居れず外に出て箒にまたがった。
「また来るぜ」
笑顔で飛び去っていった。当然ながら代金は払われていない。計三着のブルマと体操服が犠牲になってしまった。まだ在庫はあるので困らないが、そうポンポンと持っていかれても気持ちのいいものじゃない。しかし失ってしまったものは仕方が無いので、箱から本日三着目のブルマと体操服を店先に並べ、僕は水撒きを再開した。
水撒き中、もう一度だけ、萌え~、について考えてみる事にした。今なら完全に冷静な頭で物事を考えられるし、時間を置いたので新しい発展が期待できるかもしれない。
僕は目を閉じた。爽やかな日差しが僕の瞼をじりじりと温めていく。
自分勝手なイメージのある氷精に想像以上の思いやりがあって萌え~、と感じていたのを思い浮かべた瞬間、僕は自分の頭に桶の水を全部ばら撒いていた。
次の日。
脳が鉛だ。起きた瞬間、朝一番の感想だった。
頭が重い。体がだるい。寒気がする。上半身だけ起き上がると、地面が斜めになった。完全に風邪だった。着替えて体を拭いただけでは細菌は怯んでくれなかったようだ。業務時間でもちゃんと風呂に入っておけばよかった。やれやれ、夏風邪は馬鹿にしかなんとやら、と言われるのは避けられない。この有様では客など相手に出来ないし、ブルマと体操服と萌え~、なんて論外だ。萌え~、に関しては考えたくもない。こんな日は店を閉めて一日中寝るに限る。
八意永琳特製の薬はまだ残っているのかと立ち上がると、包丁の軽快なリズムに乗って誰かの鼻歌が聞こえてきた。聞き覚えは……無いと思いたかったが、残念ながら僕には分かってしまった。声のトーンが上がっているが、間違いなく魔理沙の声だ。彼女の辞書に本来の意味での施錠の二文字は通用せず、施錠は突破と変換されているに違いない。今日ばかりは遠慮して欲しかったが、所詮叶わぬ願いだった。
壁伝いに廊下を進み、台所の扉を開け放った。
「魔理沙!」
叫んだ拍子に頭がずきりと痛んだ。魔理沙は昨日と同じブルマと体操服に加えて自前の白いエプロンをつけ、土鍋で何かを煮込んでいた。ちょうど刻み終わった茶色い何かを投入し、土鍋に蓋をすると、包丁を持ったまま振り向いて言った。
「おはようございます、霖之助様!」
僕は今日と言う日を死ぬまで忘れない。
人間、信じられない出来事に遭遇すると現実逃避に走るのはごく当たり前の話だ。僕も例にもれないのだが、今回ばかりは現実逃避すらも許さないほどに僕を取り巻く全てが凍てついていた。まだ真冬の雪山を全裸で雪女と弾幕ごっこしたほうが暖かい。
「酷いお熱でしたよ。今あったかいお粥をお持ちいたしますから、霖之助様は寝床でお待ちくださいな」
彼女が言い終わる前に、元から風邪なんか引いてないかの様に店内に駆け込み、一心不乱で八卦路を探していた。アレを出るはずも無いマスタースパークで吹き飛ばせるなら僕の命など安いものだ。
「もう、霖之助様ったら。足がふらついてますよ。無理をなさらずに、今日は寝ていてください。めっ、ですよ」
頼むから、めっ、ってしないでくれ。日常から非日常はホラーの定番だが、これはホラーの表現すら生温い。悪夢だ、ナイトメアだ。そういえば文々。新聞に夢を操る薬を完成させたって書いてあったし、その実験台にでも選ばれてしまったのか。あの八意永琳なら寝ている間に拉致なんて容易いものだ。なんだ、気が楽になってきたじゃないか。そこの猟銃で僕の頭をぶち抜けば悪夢も終わり、悪夢なら目を覚ましていつもの香霖堂、いつもの森近霖之助、いつもの霧雨魔理沙に戻ってハッピーエンド。
……などと現実は甘くない。意識を戻すと僕は寝床に戻っていた。長い間生きてきた中でも、自然な笑顔でここまで恐怖を感じたのは初めてだった。
「もうすぐ出来上がりですから……きゃあっ、吹きこぼれてる」
1オクターブ高い魔理沙の声を聞くだけで全身に鳥肌が立つ。ダメだ、紅魔館の妹君と一日中顔を突き合わせるような悪夢ですら可愛く思えて仕方が無い。一言一言聞くたびに全身が硬直して体が思うように動かなくなる。
やがて魔理沙が土鍋を持って寝室へ入ってきた。
「あちち……お待たせしました。魔理沙特製のお粥ですよ」
自分を魔理沙と呼ぶな。頼むから熱いからって自分の耳たぶを触るのは止めてくれ。僕の知っている魔理沙は火傷した手を軽く振って、「熱いぜ」と腹いせに土鍋を彼方へぶん投げつつかまどにコールドインフェルノを至近距離で浴びせる女だ。
……いや、さすがにそこまではしないけど。
まるでトゲの代わりに目一杯の蟲が貼り付けられたアイアンメイデンに閉じ込められるような拷問のようだ。
「はい、あーん」
訂正。トゲだ。恐怖で死ねそう。
「い、いあ、自分で、食べられますよ、ははっ」
本日の二言目の言葉を久しぶりに発した僕にはもうまともな言語機能も働いていなかった。
「それはちゃんと風邪を治してから言ってくださいね。さ、あーん」
魔理沙が持つさじの中には粥と共に茶色いキノコが細かく刻まれて入っていた。狂っていてもまさか毒を盛るような真似はさすがにしないと思い、観念して僕は魔理沙に粥を口まで運ばせてもらった。一回。二回。三回。無言で咀嚼する。
「ど、どうですか?」
おずおずと上目遣いに聞いてくる魔理沙に対し、僕は頷いて答えた。ただ恐怖で味なんてまったくしないから、とりあえず頷いただけなんだけど。
「良かった……どんどん食べてくださいね。ふふっ」
機嫌をよくした彼女はさらに食べさせようとさじを動かした。食べるうちに僕の思考は冷静さを取り戻していく。
なぜ彼女はこうも狂ってしまったのか。それは昨日の僕の答えにある。
僕の萌え~と感じる属性は「ギャップ」だ。普段の魔理沙なら僕が風邪を引いたとしても、「自分で動けるだろ、それくらい一人でやれ」などと冷たく突き放し、自分は店先で茶をすするような女だ。まあ薬くらいなら飲ませてくれるかもしれないが。それがまったく逆の性格であったなら、今の彼女が答えになる。
つまりは僕に萌え~、と言わせたいがための演技をしているのだ。たかが言葉一つにここまで自分を投げ捨てられるのかと呆れたいが、魔理沙は基本負けず嫌いだ。勝つために隠れた努力を怠らない人間だ。
彼女の目を見る。彼女は僕の視線に気付くと、にっこりと微笑み返した。
「うふふっ」
気持ち悪い。だが演技と分かったなら少し怖くなくなった。なぜか懐かしささえ感じる。
機械的に運ばれてくる粥を無言で食べ続けているうちに土鍋の中は空になった。体が恐怖で長時間マヒし続けたせいだろうか、今なら十王裁判を顔パスで通り抜けて天国へ直行できそうな気分で眠れそうだ。体中が眠れ眠れと囁いている。
「それじゃあ私は代わりに店番をしておきますね。霖之助様はごゆっくりお休みくださいませ。ゆっくりと……うふふふふ」
魔理沙が三つ指突いて深々と頭を下げ、寝室の扉が閉まった瞬間、僕の意識は途切れた。
瞼に光を感じた瞬間に僕は目を開けた。開いた襖から飛び込む日の光が眩しい。
「よう。やっと起きたか」
「……濡れた手で本に触るのはよしてくれよ」
「ん?ああ、気付かなかったぜ」
魔理沙は読んでいた本に栞を挟んで閉じた。足元には見つからなかった薬箱と二百ページほどの本が二冊積み重なり、その隣に一冊置かれていたが、魔理沙は積み重なっていないほうへ読みかけの本を置いた。体を起こそうとしたが、どうにも力が上手く入らずに布団の中に戻ってしまった。額から濡れたタオルがこぼれ落ちる。熱はすっかり引いたようで、気分はいい。
やっぱりあの魔理沙は夢の中の産物で、実は元々風邪など引いてなかったのかもしれない。目が覚めてもあの魔理沙だったら舌を噛んでいてもおかしくはない。
「今何時だい?」
「朝だぜ。さっき日が昇ったばかりだ」
やっぱり夢だった。過去最悪の悪夢だ。
僕は大きく溜め息をついた。そして息を吐き終わった瞬間に、僕は再び息を呑む。
ではこの全身に起こった奇怪な現象は一体何事なんだ。ただの夢なら僕はとっくに起き上がっているはずだ。僕は朝に弱いわけではない。恐る恐る魔理沙に日付を尋ねた。
「香霖が萌え~、を盛大に語った日から2日目の朝だぜ」
夢は真であり現実だった。何が起こったのか聞かずにはいられないのは当然の成り行きだが、魔理沙の言葉は予想外から始まった。
「いやー、すまんな」
片手でポーズをしながら魔理沙は状況の説明を始めた。
「香霖がギャップに萌え~、なんて言うもんだから、私は閃いたわけだ。いっそ自分そのものを変えたら、それはものすごいギャップだろ?ちょうど1ヶ月くらい前にそんな薬を発明したから、他人の反応を見るにはちょうどいい実験の機会だったし、魔理沙たん、もえ~、って言わせられるかもしれないし、ちょっとだけ試してみたんだ」
なるほど。魔理沙の作った薬なら八意製でなくても納得がいく。魔理沙の発明品の大抵が開発意図すら掴めないものばかりだ。かくして僕が打ち立てた魔理沙演技説はただの空想となってしまった訳だ。
だが魔理沙が謝るのはおかしい。魔理沙は僕を驚かしたくらいじゃ絶対に謝らない。
「そしたら私の奴、お前を毒キノコで殺そうとしやがってな。毒殺だぜ、毒殺」
……はい?
「薬の効果が切れるのが早かったし、私の処置が早かったから大した事態にはならなかったがな」
即死級のキノコじゃなくて本当によかった。
「どうして僕を殺そうと思ったんだい?」
「私が知るもんか。あの薬、効果中は使った奴の意識がなくなるからな。気がついたら香霖が泡吹いて倒れてた」
あっはっは、とあっけらかんに笑う魔理沙の顔にとりあえず横に置いてあった湯飲みでも投げたかったが、残念ながらまだ手がうまく動かない。もし薬の効果がもっと長く続いていたらと思うと背筋が凍る。
なぜ、どうしてと聞くにはこれ以上の進展は望めない。なぜなら最も真実を知っている魔理沙が知らないと言っているなら知らないのだろう。嘘という可能性もあるが、生憎多少の嘘と本当なら見分けられる。伊達に長い付き合いをしていない。
「まあいいじゃないか。助かったんだから。後遺症も出ないし、明日か明後日にゃバク転できるぐらいに回復してるさ」
「……そうかい」
暗い人生を歩かなかっただけでも幸運と思えば笑い事で済ませられるし、あと数日もすれば笑い話の一つとして思い出に出来るとはいえ、残念ながら僕は裕福な心など持ち合わせていない。無償で許すには少し事が大きすぎる。僕は罰を与えることにした。
「今日から三日間、店番をしてくれ。店内清掃、倉庫の整理込み込みで」
「ん?」
「それで許してやる。萌え~、はもうこりごりだ。もうこの検証は止めにしよう。身が持たない」
魔理沙は立ち上がって全身を伸ばし、首をごきごきと回した。
「まあ、仕方ないな。でも今日から三日間はダメだ。明日から三日間なら構わんぜ」
「どうしてだい?」
「今日はたっぷり寝るからだ。香霖、客間を借りるぜ」
魔理沙はどこまでも魔理沙だった。寝室の扉を開けた魔理沙は振り向いて僕に聞いた。
「なあ香霖。昨日の私は、魔理沙たん、もえ~、だったか?」
僕は気の効いた言葉も思いつかず、思ったままに答える。
「魔理沙たん、もうええ、だね」
我ながら捻りの無い、寒い回答だ。夏にはちょうどいい涼になるから構わないか。
「じゃあ今はどうだ?」
「ナイスブルマ」
即答した。紺のブルマーに大きくひらがなで『まりさ』と書かれた白い体操服。そして初めて見る魔理沙のツーテール(ツインテール)の髪型と真っ黒なニーソックス。理屈は思いつかないが、いたずらに成功したように笑った彼女の姿は、今まで見たブルマ姿の中でも一番ナイスブルマだった。
昼を回る頃になると体はすっかり回復してしまい、寝室で寝ていても暇を持て余すだけなので、軽く昼食を取ってから店でのんびりと過ごす事にした。珍しく二日続けて文々。新聞が発行されているかと思えば、枚数はたったの一枚で、表だけの一面印刷となっており、白と黒の対比が逆転した魔法使いが写っていた。どうやらあの烏天狗は号外の意味をようやく理解したらしい。もっとも見出しが『幻想郷に吹き荒れる新たなファッション旋風~』などと書かれれば見る気だって失せるのだが、安静にしているとやる事も少なくなるので、結局僕は号外を二回ほど繰り返して眺めてから、魔理沙が寝室に置きっぱなしにしていった本を読んで時間を潰していた。
「ごめんください。あら、もう寝てなくてもいいのね」
顔を上げると、薬箱を両手で抱えた八意永琳が笑顔で店の扉を開けていた。彼女の来店は予め魔理沙から聞いていたので特に驚く事でもないのだが、助手として兎耳の少女さえも連れず一人でやってきたあたり、僕は少しだけだが嫌な予感を覚えた。彼女の笑顔はいつ見ても胡散臭い。常時悪巧みを考えているような八雲紫と同種の笑顔だ。
「貴方の薬がよく効いたんじゃないですか?」
「私が作った薬なんだから効いて当然なの。元気そうだし、ちょうど日も差してるから、診察はここで済ませてもいいかしら」
「どうぞ」
僕は自分の目の前に椅子をセットした。診てもらう立場としては最高級の椅子を用意したかったが、まだ僕の体力は本調子でないので、申し訳程度に背もたれのついている簡素な椅子で我慢してもらう。永琳は特に気にする様子も無く用意された椅子に座ると、上半身を脱ぐように指示をした。
「───とまあ、魔理沙には明日から三日間店番の刑にしておきました」
「へぇ……」
診察を終えた僕は永琳にこの四日間で起こった一連のいきさつを説明した。
永遠邸に急患が運ばれる事は滅多にない。元々竹林の奥にある病院に人間は近寄らないし、傷ついた妖怪もわざわざ危険を冒してまで永遠邸に出かけるより自分の持つ治癒能力に任せたほうが手間がかからない。それに、大抵のケガや病気は八意印の薬箱で治ってしまうし、顔見知りにでもならない限り回診サービスも行わない。要するに、今日一日非番な僕と予定の無い八意永琳はお互い暇なのだった。
「殺されかかった割には軽い罰じゃない」
「殺し合いなんて幻想郷じゃ珍しくないでしょう?いちいち腹を立てても仕方ありませんよ」
「それもそうね」
まあ、スペルカードルールは殺し合いと言う名の遊びなので、僕の場合本当に殺されそうになったわけだが。
「それに魔理沙が本当に考えなしに行動してたら僕は何年も前に土の中で骨になってますよ。魔理沙はああ見えて賢い奴だ」
「賢いに二文字抜けているわ」
ずる賢いか。確かに。
「ところで、貴方に話しておきたい事がいくつかあるんだけど」
「それは悪い話ですか?」
「貴方の捉え方次第」
嫌な言い回しだ。だからこの笑みは好きになれない。
「魔理沙の使った性格が変わる薬があるでしょう。あれは性格が変わるんじゃなくて、性格が正反対になる薬なの」
「どうして分かるんだい?」
「だって、その効果のあるキノコを乾燥させてすりつぶして砂糖を混ぜて飲みやすくしただけなんだもの」
「貴方が作ったんですか?」
「材料は私が用意して、調合したのは彼女。ええと名前は……セイガクニクビッタケ、だったかしら。どうでもいいから忘れちゃった。そんな感じの名前のキノコよ。青と白の独特な模様をしたキノコだから見分けがつきやすいけど、見つけても好奇心なんかで食べないようにしてね」
見ただけで百発百中なキノコなんて頼まれても食べたくない。魔理沙と一緒にしないでほしい。
「それと、魔理沙が貴方に食べさせた毒キノコなんだけど、毒性の少ないキノコだから中毒症状は起こりにくい種類なの。とても毒殺には向いていないわ。だから魔理沙はただ貴方を全身マヒにさせたかっただけなのよ」
全身マヒでも十分脅威だ。それでは死ぬのと大差はない。
「食用のキノコと見分けがつきにくいから、常套手段だけど、怪しいキノコは端っこをかじってすぐ吐き出すといいわよ。こっちとしてもあんまり食べて欲しくないキノコなの、これ。解毒が面倒なのよねぇ」
さすが天才。話を聞いただけでキノコの種類を判別できるとは。
「ここに今日魔理沙に持たせた薬の内容と二つのキノコの対処法と判別方法を書いておくから見ておいてね」
「お世話になります。お代はどうしましょうか?」
「それなんだけど……」
永琳は後ろを振り向き、店頭に並んでいるブルマと体操服を指差した。
「あれ、五十着ほどくれるかしら」
「……は?五十?」
「そ。五十着」
オウム返しに問い直しても五十着が五着に変化する事はなかった。
「在庫が無いのなら別だけど」
「ありますけど……そんな大量のブルマをどうするんですか?」
実は彼女が提示した枚数のざっと三倍ほどの数が倉庫に眠っていたりする。
「今の兎の格好に飽きてきたから、ちょうどいいイメージチェンジになると思って」
想像する。瀕死の重傷を負った人間。彼は急遽永遠邸に運ばれるが、そこで待っていたのは全員ブルマと体操服を来た女の子兎たちの熱烈な看護であった、と。
……まあ彼女達の診療行為はサービスみたいなものだし、経営方針に口を出す立場でもないから放っておこう。しかし、薬代としては少し高価すぎる。そもそも八意永琳は金銭にあまり関心が無いので有名だ。
「昨日と一昨日の薬の費用と壊れた屋根の修理代。どうしてか慌ててた魔理沙が全速力で突っ込んでくるものだから、ウチに穴が空いちゃってねぇ」
……なるほど。ブルマと体操服五十着なら安い値段だ。ほぼ魔理沙が悪いのだけど、魔理沙が大人しく弁償するはずもないし、こちらにまったく非がないわけでもない。妙ないざこざの起こらないよう、手が打てる時に打った方が得策か。代わりに魔理沙には追加分としてもう二日ばかり働いてもらう事にしよう。
「ちょっとそこで待っていてください。すぐ済みます」
僕は立ち上がると、後ろの箪笥の中身を掻き分け、ブルマと同じく未知の素材で包装された、とある新品の服を一着取り出した。全体は紺色で染められ、上半身は厚手の生地で作られたタンクトップのような形状で、下の端がスカート状になっており、胸の部分には体操服と同じように名前を書くための白い生地が縫い付けられていた。下半身はブルマと同じ形状だが、生地が上半身と同じ素材で作られていた。
「これは『スク水』という女性用の水着です。正式名称はスクール水着ですが、スク水を称するのが決まりなのだそうで。
この店にはこの一点しか置いていませんが、慰謝料として追加で差し上げましょう。どうせ持っていても役に立ちませんし」
「なぜ女性用の水着があるのかしら?」
「さあ。ここは道具屋だからとしか言い様がありませんね。これもいつの間にか店に置いてあった物ですから」
「いい加減な管理の道具屋だこと。でも素敵なデザインね。いただくわ」
素敵とは思わないが、奇抜なデザインではある。兎耳の少女が彼女の命令でいやいや着させられるに違いない。風の噂では河童の普段着とか言っていたが、正直眉唾ものだ。
「それと、ブルマ五十着は貴方の手に余るでしょうから、後日魔理沙に届けさせます」
「勢い余ってまた永遠邸を壊さなきゃいいけど。さしずめ魔女の宅急便かしら」
「さすがに後の責任までは取れませんよ。その時はそっちで思う存分こき使うといいでしょう」
互いに軽く笑い合う。もう話は終わったので普通なら向こうがお暇となる流れのはずなのだが、永琳は一向に動く気配は無かった。
「……まだ何か?」
特別突き放したいわけじゃないが、どうにも嫌な予感が拭いきれず、僕の口調は自然と尖ってしまった。彼女は組んでいた両手の上に自分の手を重ねると、笑顔を崩さないまま、見る物を狂気へと誘うかのように僕の目を真っ直ぐに見つめた。
「もっと元気になるお薬があるのだけど、いかがかしら?」
時が止まったように感じたのは僕だけだったようで、時計の針の音は凍てついた空気とは関係なく無表情に刻み続けていた。僕は彼女から視線を逸らし、狸の置物に視線を置く。しかし選択がまずかったのですぐに酒の並んだ棚の方へと視線をずらした。組まれていた僕の手はすでに解けていた。だんだんと彼女の指と僕の指が絡まってゆく。
「ウチにはまだ眠り姫がいますので」
「眠り姫は王子様のキス無しじゃ起きられないのがお決まりよ。貴方はここ。彼女は部屋の外」
しまった。五分寝太郎にしておけばよかった。
などと後悔している間に彼女は僕の膝の上に座り、首に腕を回していた。俗に言うお姫様抱っこのスタイル。彼女の程よい重みが僕の太腿を圧迫し、椅子がぎしりと軋む。僕は慌てて彼女の腰と背中を支えた。彼女の顔が更に笑顔で歪んだ。
「貴方は医者でしょう?医者が患者を無理させちゃ失格じゃないですか」
「医者じゃなくて薬師。しかも無免許」
「ヤブですね」
もしくはマッドサイエンティスト。
「大丈夫。元気が無くても元気になるから」
彼女が大丈夫と言うなら本当に大丈夫になってしまうのだから彼女は怖い。とうとう顔の接近が始まった。吐息が耳や唇に吹きかかるたびに、僕の体がゾクゾクと唸りをあげる。もう観念するしかないと目を閉じた瞬間、僕は閃いた。
「何に使うんですか?」
彼女の動きがぴたりと止んだ。僕の瞳と彼女の瞳がぶつかり合う。やがて彼女はつまらなそうに膨れると、僕の肩をぽんぽんと叩た。腰を支える手を離すと、彼女は僕から離れて身だしなみを整えた。
「ほら、貴方ってレアだから、研究にちょっと」
何の研究だ。
「別に血でも良かったんだけど、どうせなら両方得したほうがいいじゃない。私、中間管理職だし、貴方も魔理沙に振り回されたし、お互いにストレス発散の名目で」
「一番ストレス発散が必要なのは兎耳の彼女だと思うけどね」
永琳以上の典型的な中間管理職だし。
「とにかく、これ以上の貸し借りは無しですよ」
これ以上ややこしくなるのは勘弁願いたい。
「一度起きた眠り姫は王子様と幸せに暮らすの。二度目は無いのよ」
「は?」
「眠り姫の結末。このままじゃ魔理沙もうちの姫みたいになっちゃうから、特別ヒント。童話は童話らしくハッピーエンドで飾りましょうよ」
僕が意味を問いただそうとすると、彼女は既に薬箱とスク水を持って入り口に立っていた。
「では、またいずれ。件(くだん)の物、頼んだわよ」
引き止める間もなく、彼女は流れる水のように香霖堂から去っていった。一人取り残された僕は特に何を考えるでもなくぼんやりと室内を眺めた後に、魔理沙の様子を見に客間へ足を運んだ。
魔理沙は先ほどの格好のまま勝手に布団を引いて横たわっていた。体中が汗にまみれ、体操服が体にべっとりと張り付いている。息は荒く、顔は赤い。誰がどう見ても風邪だった。
かけ布団をかぶせ、台所に行き桶に冷たい水を入れ、タオルに浸して固く絞り、魔理沙の額に当てると、魔理沙は目を覚ました。
「夏風邪は馬鹿しかなんとやら、だね」
「黙れ馬鹿」
僕がかけてやった布団を暑そうに跳ね除けると、体力が尽きたのかぐったりと寝込んだままになってしまった。僕は寝室に置いてあった薬箱を取り、湯飲みに冷たく新鮮な水を汲んで魔理沙に渡した。魔理沙が無言で薬を漁って飲んでいる間に、僕は新品のブルマと体操服を持って行き、魔理沙の足元に置いた後、隣に別の布団を引きなおしてやった。
「着替えてそっちの布団に移って寝るんだ。暑いからって布団を跳ね除けるなよ?これ以上酷くなったら明日から店番を任せられないからね」
「香霖、何か食わせろ」
「今すぐになんて出来ないよ。起きるまでに何か用意してやるから」
魔理沙はひとしきり唸った。観念して彼女が着替え始めるのを耳で確認してから、僕は部屋を出て台所に立った。
念入りに土鍋を洗い、米を研ぎ、水をいれてかまどに置き、火を起こす。粥を作るのは時間がかかるが、手間をかけては間に合わないかもしれないので、味は漬物などでカバーさせてもらおう。
一度かまどに火を焚いてしまったので迂闊に持ち場からは離れられない。出来上がりまで暇なので、僕は先ほど永琳から貰ったキノコの処方箋を見ることにした。もちろんかまどの前で。
「ん?」
ふと僕の頭の中に疑問が沸き起こった。あの永琳がわざわざ処方箋を用意した理由だ。
彼女がキノコの判別法や対処法を書き起こす必要などまったく無い。むしろ僕が当たったほうが摂取する理由付けにはちょうどいいのだから書かないほうが自然なのだ。
店に行き、机の上に乗ったままの処方箋を開き、中身を上からじっくりと読んでいく。処方箋は精密なイラストつきで丁寧に書き込まれていた。そして僕の目はある二点を往復した。性格の変化するキノコの詳しい効能、例の毒キノコの解毒法である。
「……………」
確かにこの解毒法は厄介だ。八意永琳が敬遠するのも納得出来る。更に言えば、性格が反対になってしまった魔理沙が僕を毒殺しようとした理由も、永遠邸に穴が空いた理由も、魔理沙が僕に取って代わるように夏風邪を引いてしまった原因も、最後に永琳が残した言葉の意味もようやく理解した。永琳はこの紙を見せるためだけに一人で来たと言っても言い過ぎてはいない。
以下は僕の想像である。
前日に永遠邸に寄って性格の反転する薬を用意した魔理沙は、僕を驚かせるために早朝から僕の店に忍び込んだ。そこには風邪を引いて横たわっている僕の姿があった。だが彼女の計画の障害にはならなかったので、彼女は予定通りに性格の変わる薬を飲んだ。正確な効果も知らずに。
もし彼女の性格が反対のままでなかったら、魔理沙は看護などしない。当然だ。薬を飲んで寝ていればいずれ治るのだから、それは時間の無駄なのだ。だがさすがの魔理沙もずっと治らなくていいとは思うまい。本心はどうであれ、自作の風邪薬の実験と称して怪しげな薬を飲ませるくらいの心遣いはある。
ではそれらが反対になってしまったのなら。魔理沙は看護したくないのだから、反対になった魔理沙は僕に対して熱心な看護をする。そして治って欲しいの反対は絶対に治って欲しくない。故の痺れキノコである。
さて、性格の反転から開放された魔理沙が見たのは、魔理沙たん、萌え~と喜ぶ僕ではなく、泡を吹いて気絶した僕である。当然予想外の出来事だ。彼女は焦り、罪悪感を感じてしまう。彼女は再び永遠邸に駆け込んだ。解毒は一分一秒が勝負。結果永遠邸には手綱の切れた暴走馬車が突っ込んだ。
そして解毒剤を手に取って帰り、魔理沙は例の解毒方法を実行する。そして僕が目を覚ますまで魔理沙は寝ずの看病を続けるのだ。
古来、風邪を治すには他人に移すのが最も有効な手段の一つとされていた。最も風邪が移りやすい方法であった痺れキノコの解毒をし、無理をして夜通し看病した魔理沙が風邪を引くのはある意味当然の成り行きだった。
眠り姫の物語はもう終わっていたのだ。ただし王子も姫も、本物の物語のような結末を迎えていないのだが、もし迎えてしまったのなら霊夢に顎が外れそうなほどに大笑いされる事間違いなしだ。
常にマイペースな魔理沙が慌てふためく姿。自分が一番の魔理沙が他人のために精一杯になる姿。
それはまさしく『ギャップ』の姿そのものではないか。
だから僕は言わなくてはいけない。未だ見ぬ魔理沙への気持ちは確かなのだから。
「魔理沙たん、萌え~」
僕の呟きが彼女に届くことはない。なぜなら彼女が必死になる姿を僕は見ていない。彼女が見せていないなら、僕も見せないのが礼儀だ。
魔女の呪いが移って眠ってしまった王子様を、一度目覚めたお姫様がもう一度キスで起こす、などと言う追加のストーリーは野暮な蛇足に他ならない。なぜならこの眠り姫の物語は既にハッピーエンドで締めくくられているのだから。
ついでに言えば俺はブルマーよりスパッツ派なんだ…すまない…
良い話なのに、良い話のはずなのにセリフが気になって気になってしょうがない。
まあ、取りあえずこーりん殺す。
まあ何だ、ナイスブルマ!
何て言っていいのか良くわかりませんが、
とりあえずGJ(褒めてます)
香霖堂の載ってる雑誌は飛び飛びでしか持ってない…
早く発売しないかなー
でも正直ちょっと引きました。10点分くらい。
ブルマだけで一本SSが書けてしまうとは…面白かったです。
アリスにはGJ!と言わざるを得ない。
ただ、なんとなく分かりにくい言い回しが多く感じられた。もっとストレートな表現でも良いのではないでしょうか。
最後に、神奈子さま。まさか自分で着る気じゃないでしょうねwww
ハイルブルマ!
ブルマ党、万歳!
◆誤字一点程
「萌え~、の定義は非常に広義で、一人ひとりによって意味合いが違ってくる。相手の『来ている』服や性格…
『来ている』→『着ている』
それはそうとして、こーりん殺す。
これは・・・好い!
ちなみに、私はブルマとスパッツと両方好きです。それぞれがよい
うぉのれぇええ早苗えええ!!
ブルマ萌えっぷりもほどよく染みていて、ごちそうさまでした。
誰と何をやった霖之助
正直に白状しなさい
この説は成り立たない。成り立たせてはいけない。
>「もっと元気になるお薬があるのだけど、いかがかしら?」
こーりん!貴様……まさか永琳とぉおおおおおおおおおおおおおおおおッm!!!
うわあああああああああああああああああああああああああああああッ!!!
>彼は急遽永遠邸に運ばれるが、そこで待っていたのは全員ブルマと体操服を来た女の子兎たちの熱烈な看護であった、と。
ちょっと軽く死にかかって、永遠亭に行って来ます。
真面目に馬鹿をやる作品は大好きです。香霖の考察が非常に「らしい」のもGJ。
文章もよかったですよ。霖之助が絡むssはやはりこういった
考察系が多いのがしっくりくる。
あぁ、一部少女じゃないのも居たk(スキマ
読んでる側と登場人物の価値観の違いを上手く使った良い作品でした。ゆかりんとオンバシラーは間違いなく確信犯だろうけどなw
ありがとうございました