「うう、寒いぜ」
そう言いながら、身体をまるで栗鼠のように縮め、
店の戸を開けたのは、霧雨魔理沙。
彼女は、良く店に来ては無償でモノを持っていくという、
商人としてはあまり有り難くない存在だ。
尤も、里では普通に買い物をしているというから、
まあ、これも彼女の親愛の表現なのかもしれない(少し自惚れ過ぎだろうか?)
僕もまた、妹のすることだと思って、多少のことは見逃している。
今日彼女が来たのは、冬の恒例行事のようなもの。
つまり、炬燵にあたりに来た、という。
「魔法使いなら冬は炬燵で決まりだぜ」
という良く分からない意見の持ち主である彼女は、よくここに来る。
以前、わざわざ此処に来るのも面倒だろうと思い、炬燵を渡そうとしたのだが、
何故か微妙な顔で「私の家に炬燵は合わない」と返されてしまった。
あの汚い家では、合うも合わないも無いと思うのだが。
第一、寒いと言いながら此処に来るよりも、冬の間だけ我慢すれば良いのだ。
時々、もしくは常に僕は魔理沙の行動が分からない。
魔理沙は、何故か奥の炬燵に直行せず、店番をしている僕のそばに座った。
まあ、ヘヤヌクメ(ストーブ)を焚いているので、そこまでは寒くも無いが。
とりあえず、暖かいお茶を出してやる。
まさか、僕が部屋に引っ込んだ隙に品物を持っていくつもりなのだろうか?
それからも魔理沙は炬燵にあたる様子を見せず、他愛もない会話が続いた。
「なあ、こーりん。どうしてこんなに寒いんだ?」
魔理沙から、そんな質問が出た。
そう言うものだ、としか答えられないのだが……さて、どう答えたものか?
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 冬妖怪のためだと言う ┃
┃ →まじめに答える ┃
┃ 酷い嘘を教える ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
幻想郷の冬は寒い。
……それは、当然の事だろう。
「紫が結界を張るとき、選りにも選って陸中っていう寒い所を選んだ所為だよ。
人気が無く、結界も張りやすい地形だった。なんて言ってたけどね。
まあ、探すのが面倒だったんじゃないかな。」
とりあえず、こんなものだろう。
尤も、さらに寒い場所はいくらでもあるのだが。
蝦夷に行ったときは酷かった。
あれは、寒い、なんてものじゃない。
痛い。そう、寒さが痛かった。
水腫病で死ぬ者まで居た位だ。
「流石、こーりんは物知りだぜ ♪(ピロリン)」
ん、今、何か音が……気のせいかな。
どうやら、やっと炬燵にあたる気になったらしい。
椅子から腰を上げ、魔理沙は奥へと向かっていった。
「何だ、霊夢も来てたのか」
「ふぁ~?なんだ、魔理沙じゃないの。所で霖之助さん、今日のお昼はなぁに~」
寝ていたのだろう。奥から間延びした声を出したのは、博霊霊夢。
里にある、神社の巫女だ。
彼女もまた、ものを持っていって代金を支払わない人間である。
……どうして、僕の店に来るのはこんなのばかりなのか……。
「ああ、味噌汁とシメジご飯だ」
とりあえず、答えだけは返しておく。
無視すれば、どうなるか。
君子ならば厄介事はできるだけ回避するものなのだ。
「また?昨日も、一昨日も……ここ最近ずっとシメジだったじゃないの」
「仕方がないだろ?魔理沙がもって来てくれた茸がまだ沢山あるんだ」
居候の身で、食事に文句を言うのはやめて欲しいものだが……
「また?お、おいこーりんどういう事だ!!」
魔理沙が、すごい剣幕で飛び出してきた。
なんだ、箒が無くてもブレイジングスターが使えるんじゃないか。
と、馬鹿なことを考えている場合じゃ無かったか
「どうして、霊夢がここ最近のこーりんの食事を知ってるんだよ!!」
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ はぐらかす ┃
┃ →きちんと答える ┃
┃ 酷い嘘を教える ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
「ん?ああ……ついに、炭を買うお金すらも無くなったらしくてね。
死にかけの状態で泣きついて来たから住み込みで働いてもらってるんだ。
給料は現物支給で、当面暮らしていけるだけの食料と炭が貯まるまで、
っていう条件でね」
霊夢は文句を言っていたが、これまでの品代だってもらってないんだ。
現物支給でも給金を渡しているだけ褒めてもらいたい。
「な……… ▼(ピチューン)」
答えると、魔理沙はかなり驚いた様な顔になり、少ししてから、肩をわなわなと震わせ始めた。
顔を真っ赤にし、目にはうっすらと涙を浮かべ、怒りを露わにする。
一体、何を怒っているのか……。
まあ、きっと友達を取られた様な気分にでも成っているんだろうが……。
「こーりん!!」
急に、魔理沙が大声で呼ぶ。
こんなに近くにいるのだから、大声を出す必要は無い。
冷静さを失った人間が、良く取る行動である。
「なんだい?」
「私も此処に住むぜ!!」
何を言い出すかと思えば……。
魔理沙を泊めてやる場所くらい、僕の家にはある。
が、霊夢一人でも騒がしいのだ。
二人で騒がれた日には……しかも、許せばそれが毎日、寝るまで続く。
僕の安息のためにも、ここは帰ってもらわねば。
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ →たしなめる ┃
┃ まごまごする ┃
┃ 怒る ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
「おいおい、魔理沙。
霊夢と一緒に居たいのは分からなくも無いが……別に遊びに来れば良いだけだろう?
大体、僕は君の友達を取る気なんか……」
そう言い終わる前に、魔理沙は八卦炉を取り出し、
この部屋唯一の、部屋を暖めることの出来る暖房に向けた。
「こーりん、暖房を壊されたいか、否か。二つに一つだぜ」
こうして、三人での生活が始まったのだった。
╋━━━━━━━━━━━━╋
東方香霖堂~彼女の居た生活~
╋━━━━━━━━━━━━╋
冬も終わり、春が近づいてきた。
もう、暖房が無くても寒いと言うことも無い。
さて……そろそろ二人を家に帰しても良いだろうか?
「くすっ、これで、静かな日常に戻れるわね」
「そうなることを願うよ」
隙間から、顔だけを出した、趣味が覗き妖怪に返事を返し、店の中に入った。
暖房を付けずとも、僕を暖かく迎えてくれる家。
嗚呼、春はすぐそこだ
Normal End 『そして変わらない日常』
永遠亭、箱形の機器の前にて
「う~、またこれか……霊夢があそこで『霊夢の方が似合ってる』とか選ぶからだぜ」
「何よ、魔理沙だって『人形を魔理沙に』とか選んでたじゃないの」
「や、やっぱり前の選択で『妖夢に雪かきを手伝わせる』を選んでれば……」
「いや、里をぶらついたときに『寺子屋に行く』を選ぶべきだったと思うが……」
「そうかしら?『永遠亭にまで足を伸ばす』を選択するべきだったと思うけど」
「違います!『新聞のネタ集めを手伝う』を選ぶべきでした」
「あらあら、大人気ね。
外の世界の人に頼んで作ってもらったのだけれど……暇つぶしにはもってこいね~」
そう言って、隙間からエンディングリスト、と書かれた紙を取り出すと、ちらっと見てまた隙間に戻した。
「他のエンディングにたどり着いたら、みんなどんな顔をするのかしら」
そう言って、紫はくすっと笑った。
そう言いながら、身体をまるで栗鼠のように縮め、
店の戸を開けたのは、霧雨魔理沙。
彼女は、良く店に来ては無償でモノを持っていくという、
商人としてはあまり有り難くない存在だ。
尤も、里では普通に買い物をしているというから、
まあ、これも彼女の親愛の表現なのかもしれない(少し自惚れ過ぎだろうか?)
僕もまた、妹のすることだと思って、多少のことは見逃している。
今日彼女が来たのは、冬の恒例行事のようなもの。
つまり、炬燵にあたりに来た、という。
「魔法使いなら冬は炬燵で決まりだぜ」
という良く分からない意見の持ち主である彼女は、よくここに来る。
以前、わざわざ此処に来るのも面倒だろうと思い、炬燵を渡そうとしたのだが、
何故か微妙な顔で「私の家に炬燵は合わない」と返されてしまった。
あの汚い家では、合うも合わないも無いと思うのだが。
第一、寒いと言いながら此処に来るよりも、冬の間だけ我慢すれば良いのだ。
時々、もしくは常に僕は魔理沙の行動が分からない。
魔理沙は、何故か奥の炬燵に直行せず、店番をしている僕のそばに座った。
まあ、ヘヤヌクメ(ストーブ)を焚いているので、そこまでは寒くも無いが。
とりあえず、暖かいお茶を出してやる。
まさか、僕が部屋に引っ込んだ隙に品物を持っていくつもりなのだろうか?
それからも魔理沙は炬燵にあたる様子を見せず、他愛もない会話が続いた。
「なあ、こーりん。どうしてこんなに寒いんだ?」
魔理沙から、そんな質問が出た。
そう言うものだ、としか答えられないのだが……さて、どう答えたものか?
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 冬妖怪のためだと言う ┃
┃ →まじめに答える ┃
┃ 酷い嘘を教える ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
幻想郷の冬は寒い。
……それは、当然の事だろう。
「紫が結界を張るとき、選りにも選って陸中っていう寒い所を選んだ所為だよ。
人気が無く、結界も張りやすい地形だった。なんて言ってたけどね。
まあ、探すのが面倒だったんじゃないかな。」
とりあえず、こんなものだろう。
尤も、さらに寒い場所はいくらでもあるのだが。
蝦夷に行ったときは酷かった。
あれは、寒い、なんてものじゃない。
痛い。そう、寒さが痛かった。
水腫病で死ぬ者まで居た位だ。
「流石、こーりんは物知りだぜ ♪(ピロリン)」
ん、今、何か音が……気のせいかな。
どうやら、やっと炬燵にあたる気になったらしい。
椅子から腰を上げ、魔理沙は奥へと向かっていった。
「何だ、霊夢も来てたのか」
「ふぁ~?なんだ、魔理沙じゃないの。所で霖之助さん、今日のお昼はなぁに~」
寝ていたのだろう。奥から間延びした声を出したのは、博霊霊夢。
里にある、神社の巫女だ。
彼女もまた、ものを持っていって代金を支払わない人間である。
……どうして、僕の店に来るのはこんなのばかりなのか……。
「ああ、味噌汁とシメジご飯だ」
とりあえず、答えだけは返しておく。
無視すれば、どうなるか。
君子ならば厄介事はできるだけ回避するものなのだ。
「また?昨日も、一昨日も……ここ最近ずっとシメジだったじゃないの」
「仕方がないだろ?魔理沙がもって来てくれた茸がまだ沢山あるんだ」
居候の身で、食事に文句を言うのはやめて欲しいものだが……
「また?お、おいこーりんどういう事だ!!」
魔理沙が、すごい剣幕で飛び出してきた。
なんだ、箒が無くてもブレイジングスターが使えるんじゃないか。
と、馬鹿なことを考えている場合じゃ無かったか
「どうして、霊夢がここ最近のこーりんの食事を知ってるんだよ!!」
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ はぐらかす ┃
┃ →きちんと答える ┃
┃ 酷い嘘を教える ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
「ん?ああ……ついに、炭を買うお金すらも無くなったらしくてね。
死にかけの状態で泣きついて来たから住み込みで働いてもらってるんだ。
給料は現物支給で、当面暮らしていけるだけの食料と炭が貯まるまで、
っていう条件でね」
霊夢は文句を言っていたが、これまでの品代だってもらってないんだ。
現物支給でも給金を渡しているだけ褒めてもらいたい。
「な……… ▼(ピチューン)」
答えると、魔理沙はかなり驚いた様な顔になり、少ししてから、肩をわなわなと震わせ始めた。
顔を真っ赤にし、目にはうっすらと涙を浮かべ、怒りを露わにする。
一体、何を怒っているのか……。
まあ、きっと友達を取られた様な気分にでも成っているんだろうが……。
「こーりん!!」
急に、魔理沙が大声で呼ぶ。
こんなに近くにいるのだから、大声を出す必要は無い。
冷静さを失った人間が、良く取る行動である。
「なんだい?」
「私も此処に住むぜ!!」
何を言い出すかと思えば……。
魔理沙を泊めてやる場所くらい、僕の家にはある。
が、霊夢一人でも騒がしいのだ。
二人で騒がれた日には……しかも、許せばそれが毎日、寝るまで続く。
僕の安息のためにも、ここは帰ってもらわねば。
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ →たしなめる ┃
┃ まごまごする ┃
┃ 怒る ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
「おいおい、魔理沙。
霊夢と一緒に居たいのは分からなくも無いが……別に遊びに来れば良いだけだろう?
大体、僕は君の友達を取る気なんか……」
そう言い終わる前に、魔理沙は八卦炉を取り出し、
この部屋唯一の、部屋を暖めることの出来る暖房に向けた。
「こーりん、暖房を壊されたいか、否か。二つに一つだぜ」
こうして、三人での生活が始まったのだった。
╋━━━━━━━━━━━━╋
東方香霖堂~彼女の居た生活~
╋━━━━━━━━━━━━╋
冬も終わり、春が近づいてきた。
もう、暖房が無くても寒いと言うことも無い。
さて……そろそろ二人を家に帰しても良いだろうか?
「くすっ、これで、静かな日常に戻れるわね」
「そうなることを願うよ」
隙間から、顔だけを出した、趣味が覗き妖怪に返事を返し、店の中に入った。
暖房を付けずとも、僕を暖かく迎えてくれる家。
嗚呼、春はすぐそこだ
Normal End 『そして変わらない日常』
永遠亭、箱形の機器の前にて
「う~、またこれか……霊夢があそこで『霊夢の方が似合ってる』とか選ぶからだぜ」
「何よ、魔理沙だって『人形を魔理沙に』とか選んでたじゃないの」
「や、やっぱり前の選択で『妖夢に雪かきを手伝わせる』を選んでれば……」
「いや、里をぶらついたときに『寺子屋に行く』を選ぶべきだったと思うが……」
「そうかしら?『永遠亭にまで足を伸ばす』を選択するべきだったと思うけど」
「違います!『新聞のネタ集めを手伝う』を選ぶべきでした」
「あらあら、大人気ね。
外の世界の人に頼んで作ってもらったのだけれど……暇つぶしにはもってこいね~」
そう言って、隙間からエンディングリスト、と書かれた紙を取り出すと、ちらっと見てまた隙間に戻した。
「他のエンディングにたどり着いたら、みんなどんな顔をするのかしら」
そう言って、紫はくすっと笑った。
さすがゆかりん、策士だぜ。
とりあえずこーりんころs
他のエンディングに行ったら、参加者全員で紫に殴り込みかけそうだw
HarlemEnd羨まし過ぎ!!
キチンとキャラクターの特徴を把握出来ているからなのでしょうね。
キャラ崩壊していない霖之助と紫が好印象でした。
無音旋律さんさすがです。
誤字と脱字が多かったですが次に期待です。
それにしてもこーりん・・・一体何人を手篭めにすrゲフンゲフン
他のエンディングの話も見たいです
次回作期待してます。
やはり紫が一枚上手ですな。少女達のかしましい感じにニヤニヤしてしまった。
すごい見幕 → すごい剣幕
いきなり終わってしまったのが残念です。
でもSSっぽくない気もするなぁ…そもそもSSの定義があやふやな気もするけど。
それにしてもエンディングひでえwww
個人的には直球な魔理沙エンドが是非見たい
こういう作品ばかりになると困るが、挑戦作としては評価できる。
少なくともこれは小説としては少しずれていますが
SSとしては大丈夫だと思います
とりあえずこーりんBADENDへ…
うん?他に誰か居たっけ(BadEnd
SSの定義というか意味は人それぞれで、どれかとは決まってないのよ。
できれば各人のHappyEndを見たいなあ
ゲーム形式の物語ですが、
あくまで物語として描かれていますし、
そもそも文章であれば何でも小説にはなりえます。
文章が破綻していようと、一文であろうと、です。
っていうかなぜか『幸せへと続く隙間』がツボって笑いじにかけた なぜだろう
っていうか先生なにやってんすかwきっともこが寂しがってますよ
にしても紫、アンタってヒトは……