~~~~まえがき
これは前途多難な食料調達の続きでありオリキャラ物ですので警戒していると吉です。
~~~~~~~~
何もかもがぼやけた感じ・・・またこの夢?
「・・・・・」
相変わらず聞き取れない声、流石に飽きてきた。
「・・・あ・・・・え」
覚まそうにも夢の中じゃどうしようもない。
「・・・・・・・」
・・・。
「・・・私の元へ」
え?
* * * *
目が覚めた・・・今日も清清しい朝・・・ではない。
先ほどの夢はもちろん・・・
ザァーーーーー・・・
雨だ。
「私の元って・・・?」
美羽には何も理解できなかった。
「まぁ、また寝たら解るかな?」
だからといっても二度寝をするわけでもなく何時もどおりに居間へむかった。
「おやようございます、霊夢」
「おはよう」
まだ多少あたまに寝癖がついたままの霊夢は居間で顔をあわせた後そのまま厨房へ向かった。
美羽は霊夢が食事を運んでくるのを正座して待つ。
そして20分ほどで。
「できたわよー」
「はーい」
軽い朝食の完成。
美羽は立ち上がり朝食を運ぶ。
「今日もおいしいですね」
「そう、ありがとう」
特に変わったことは無い何時もの日常。
「・・・・ん?」
美羽は後ろを振り向いた、
しかし何も無い。
「どうしたの?美羽」
霊夢が美羽の挙動不審な動きに箸を止めた。
「あ、いやいやなんでもないです」
美羽はあわてて返事をする。
しかし、
(だれか居る?)
ずっと美羽は気配を感じていた。
ルーミアやミスティアといった妖の気配ではなかった。
(霊夢が言っていた鬼?でも霊夢が気づいていないし)
一番おかしいのは霊夢が気づいていないこと。
美羽よりも妖怪の気配などに敏感な霊夢が気づいていないのに美羽だけが気配を感じるのは美羽の気のせいなのか、それともそのような能力を持った何かなのか。
(私の気のせい?)
美羽は気のせいということでまとめた。
「あ、そうだ」
「ん?」
「今思い出したけど今日は紅魔館に用事があるの」
「レミリアさん・・・ですか?」
レミリア、紅魔館の主である。
「そうよ、美羽もくる?」
「いえ、やめておきます」
晴れだったら行くと言っただろう、
実は美羽は雨が嫌いなのである。
「そう、じゃ留守番よろしくね」
「はい」
そうして朝食を食べ終わり暫くしてから霊夢は紅魔館へと飛んでいった。
「ふぅ」
美羽はごろんと仰向けにねそべった。
「私の元へ・・・・かぁ」
あの夢の真意は何か、美羽にはまったく理解できなかった。
「私の元って言われても場所教えてくれなきゃだめだよねぇ・・・まぁ所詮夢だし」
いろいろ物思いに耽っているとどこからとも無く足音がした。
(霊夢?にしては早い・・・)
その足音の主はどうやら厨房へと向かっていったようだ。
ここは自分の部屋なので音しか聞こえない。
(霊夢じゃないよね・・・この足音は)
霊夢とは違ってどこか大胆で弱弱しい矛盾した感じ。
ずずー・・・
部屋の前で音がした。
(私の部屋の前でお茶をすすってるよ・・・チャンス?)
美羽は音を立てないように少しだけ障子を開いた。
そこにいたのは緑色の髪をした大人びた女性だった。
(・・・誰?危険な人じゃないよね?ここにくるのは)
実際は危険人物もかなり来ていることは知らない。
しかし美羽はそんなのお構い無しに勢いよく障子を開けた。
バン!っといういい音と共に言った。
「誰ですか?」
「ぶっ」
その女性はお茶を勢いよく吹いた。
「あんたこそだれだい・・・」
「あ、はい、わたしは佐々苗美羽、居候であり食料調達です」
「まさかあんたの様な人間に見つかるとはねぇ」
ガックリした様子で女性は答えた。
「ところで誰ですか?」
「誰でしょう(はぁと)」
女性が色っぽく言った。
「住居不法侵入者である不審者」
「違うわ・・・」
またしてもガックリしながら女性は言った。
「私の名前は魅魔、ここの祟り神よ」
「神様だったんですか!?」
美羽は心底驚いた。
「元悪霊のね」
「なんだ」
愕然とした。
「祟るわよ?」
「遠慮しときます」
即答だった。
「この幻想郷の神様ってあなたみたいな人ばかりなんですか?」
「あなたみたいなってどんな人よ」
「誰もいないと出てくる幽霊みたいな人」
「いやいや、さっきも言ったとおり元幽霊だし」
「そういえばそうでしたね、それで他の神様はどうなんですか?」
さらりと流し再び美羽は質問した。
「あぁ、アホ毛生やしたカリスマ0の魔界神しかしらないわ、
ただウワサによると説教好きの閻魔だとか妖怪に好かれている神だとかカエルだとかも居るって話よ」
「そうなんですか」
想像していた神様像は木っ端微塵だがこれはこれで面白いと思う美羽であった。
「この神社にも一応博麗の神が居るらしいけど巫女があれじゃあねぇ」
魅魔は苦笑いをしながら言った。
「そういえばここの神様のこと聞いたことないですね」
「神様は信仰によって権力が強くなるって話、ここの廃れようじゃ権力なんて限りなく0ね」
「ですよね・・・はは」
美羽反論出来るものならしようと少し考えたが、まったくその通りなので反論できる者は当本人ぐらいであろう。
もしかしたら本人ですら反論できないかもしれないが。
「そういえば魅魔さんは霊夢とどういう関係なんですか?」
「そうねぇ・・・」
魅魔は少し遠くを見るような表情をした。
「昔はライバルみたいなもの・・・だったかしら」
「ライバル・・・ですか」
そして魅魔は少し表情を歪ませた。
「今じゃ魔理沙とアリスにその席を取られちゃっているけどね」
美羽にとっては魔理沙はしっているがアリスは始めて聞いた名だった。
「魔理沙も知っているのですか?」
「知っているも何も魔理沙は私の弟子みたいなものよ」
「え?本当ですか?」
「本当よ、昔あの子うふふ、って笑っていたりちゃんと女言葉話していたのよ、ふふふふふふ」
「えぇ!あの魔理沙が!?」
想像してみた、出来なかった。
「すいません、想像できません」
「まぁ無理も無いわね、ずいぶんと変わっちゃったことだし」
「霊夢も変わったんですか?」
「もちろんよ、昔とはまるで別人ね」
「たしかにそうですな、髪型も服装もちがいますし」
「そうねぇ」
「え?誰ですか?」
美羽はキョロキョロと辺りを見渡した魅魔意外だれもいない、居るのは池から這い上がったであろう亀だけだ。
「ここですぞ、ここ」
どうしても見つける事が出来ない。
「ここよ、ふふふ」
魅魔が笑いながら亀を指差した。
「え?まさか・・・」
「そのまさかです」
亀が喋っていた。
「始めまして、私は玄爺ともうします」
「はぁ」
呆気取られた様子で美羽が答えた。
「やっぱりただの亀が喋ったらおかしいわよねぇ」
「失礼な!長生きすればいやでも話せるようになるわい!」
「それでも人の形はしていないのね」
「人の形はいりません、私は亀の姿が一番適しているのじゃ」
「人の形って妖怪のことですか?」
「そうよ、たとえ人間でも常識外れに長生きすれば妖怪になれるわ」
「たしかどこぞの白兎は健康に気を使っていただけで妖怪になったと鴉どもがさわいでおりましたな」
「健康に気を使うだけでですか?」
「左様、しかし、そこまで健康に気を使うのは容易い事ではありません」
「そうね、並の人間は健康に気を使ってもせいぜい100年かそこらしか生きられないもの。
人間でこれなら小動物はもっと大変ね」
幽霊に寿命の話をされてもなんか矛盾しているような気がするがそこは黙っておくべきである。
「はぁ・・・ではなんで玄爺さんは話せるまで長生きできたんですか?」
「なぜと聞かれましても基より亀の寿命はながいのです。
見てのとおり私ももうよぼよぼでかなり歳を食った見たいですな」
しかし実際は亀なので人には見分けがつかない。
「ほら、昔から鶴千年亀万年っていわなかったかしら?」
「そういえばそうですね」
「万年というほどは長くないですがそれなりにはやっぱり長いですな」
「そういえば玄爺っていつから博霊に居たのさ」
思いついたように魅魔が質問する。
「そうですなぁ・・・5代目ですかな?いやいや・・・4代目だったかもしれませんし」
首をひねって考え込んでいるがかなり曖昧なようだ。
「ボケが回ってきているわね」
あきれた様子でいった。
「面目ない」
ちょっと縮こまった。
しかし人間でさえ70あたりでボケが回り始めるので長生きの玄爺は普通に喋れるだけでもすごいのである。
「霊夢って何代目なんですか?」
「あぁ、13代目ですな」
「13代目なんですか!」
「驚きよね、13代もこんな調子で続いているみたいだし」
「もう何人もの御主人様を背中にのせましたなぁ」
「御主人様って霊夢も?」
「私と騒いでいたころはまだ乗っていたわね」
「そのとおりです」
「え?霊夢って自分で飛べるんじゃ?」
「今はね、霊夢も昔に飛べない頃があったのよ」
「そうなんですか」
「その時に乗り物になっていたのが私です、なんど危ない目にあったか」
「大変ね。ふふふふふ」
「他人事じゃないですぞ!」
「・・・」
「ふふふふ」
「何故・・・」
「ん?」
「どうかなされましたか?」
「何故二人は霊夢の前に現れないのですか?」
二人というところに引っかかったが続ける。
「そうきましたか」
「そうね・・・強いていえば必要なくなったからかしら」
「必要なくなった・・・ですか?」
「そのとおりかもしれません、私も御主人様が飛べるようになった時点で私の仕事は一時終わりなのです」
「私も同じような理由ね、魔理沙もアリスも一人前になったようだし」
そういう二人の顔はどこか悲しそうであった。
「でも・・・霊夢や魔理沙も二人に会いたがっているんじゃないんでしょうか」
「会いたがっているならまだ半人前ね、人はあまり過去にとらわれちゃだめなの」
「私は会ったところで何も出来る事がありませんですから・・・」
「そんな事って・・・必要無い!出来る事が無い!・・・それ以前の問題です!」
美羽は勢いよく立ち上がった。
「ほぅ」
「ふぅん」
「会いたいという事だけで十分じゃないですか!それは過去に囚われるとは言わないと思うんです!」
「でもね、美羽」
「はい」
「弟子の近くに師が居れば必ず甘えがでてくるの。
甘えが出れば油断したり闘争心が失われたりするのよ、本人に自覚が無くてもね」
「でも・・・」
「それに」
「え?」
「あの子達にはもうたくさん友達が居るのよ」
「そうですな、昔に比べたら物凄い数ですな」
「それでも・・・どんなに多くても一人でもかければ少なく見えてしまいます」
「それでもね美羽・・・
「さっきから自分の都合を押し付けているだけじゃないですか!
それじゃ霊夢達がかわいそうです!
何故会ってあげないんですか?
なぜ・・・・」
美羽は叫んだ、突然人が居なくなる悲しさを知っているから。
突然親しい人が居なくなる虚無感を知っているから。
だからこそそんな思いはさせまいと必死で叫んだ。
「・・・」
「・・・」
「すいません、ちょっと頭冷やしてきます・・・」
美羽は外に出た、
雨が降り続いているので当然ずぶ濡れになる。
「まちなさい」
「はい?」
「霊夢と魔理沙とアリスにこう伝えといて貰えないかしら?」
「え?」
「いつか、また、弾幕りましょう・・・・ってね」
「・・・はい!・・・くしゅ!」
大勢にくしゃみをした。
「ほっほっほ、美羽殿でしたかな?そのままでは本当に風邪を引いてしまいますぞ」
「お風呂にでも入っておいで、ふふふふ」
「はい・・・すいません」
神社に上がって風呂のほうへと向かう。
「ああ、そうでした」
しかし玄爺が呼び止めた。
「なんですか?」
「私の場合は弾幕ではなくお茶にしといてもらえると有難いですな」
「はい!」
そしてもう一度歩き出す・・・が、
「あ、そうそう美羽」
「はい!?」
転びそうになった。
「あなた、誰に向かってあんな口たたいたか解っているの?」
「え?・・・・あ」
魅魔は祟り神であった。
「あははは・・・祟ったり・・・しますか?」
「もちろん(はぁと)」
「やっぱり(しくしく)」
「なんだか懐かしい感じな会話ですなぁ」
「まぁ安心しなさい、美羽」
「へ?」
「祟るのは美羽が死ぬときよ」
「?」
「仲間にしてあげるってことよ、ふふふ」
「悪霊のですか!?」
「そのとおり(はぁと)」
「御主人様に退治されないように気をつけることですな」
玄爺が冗談めかして言うが、
「ひぃぃ」
美羽には冗談にはとれなかった。
「ふふふ、まぁはやくお風呂に入ってらっしゃい」
「はいぃ・・・」
美羽は再び風呂場に向かった。
「あのこ、なかなか言うわねぇ」
「そうですな、しかも魅魔殿に対して」
「ここもどんどん賑やかになっていくわね」
「ふむ・・・そろそろ私は帰ります」
「あら?もう帰るのかしら?」
「はい、人を乗せて飛ぶ練習でも再開しようと思いまして」
「そうぇ、私もスペルカードとやらを作らなきゃね」
「魅魔殿、次会うときは弾幕の中かもしれませぬが・・・」
「えぇ、よろしくね(はぁと)」
「それでは」
「そう、それじゃわたしも帰りましょ・・・」
この日から幻想郷のとある新聞で空飛ぶ亀や謎の幽霊など取り上げられたが、一人も読まなかったらしい。 続
これは前途多難な食料調達の続きでありオリキャラ物ですので警戒していると吉です。
~~~~~~~~
何もかもがぼやけた感じ・・・またこの夢?
「・・・・・」
相変わらず聞き取れない声、流石に飽きてきた。
「・・・あ・・・・え」
覚まそうにも夢の中じゃどうしようもない。
「・・・・・・・」
・・・。
「・・・私の元へ」
え?
* * * *
目が覚めた・・・今日も清清しい朝・・・ではない。
先ほどの夢はもちろん・・・
ザァーーーーー・・・
雨だ。
「私の元って・・・?」
美羽には何も理解できなかった。
「まぁ、また寝たら解るかな?」
だからといっても二度寝をするわけでもなく何時もどおりに居間へむかった。
「おやようございます、霊夢」
「おはよう」
まだ多少あたまに寝癖がついたままの霊夢は居間で顔をあわせた後そのまま厨房へ向かった。
美羽は霊夢が食事を運んでくるのを正座して待つ。
そして20分ほどで。
「できたわよー」
「はーい」
軽い朝食の完成。
美羽は立ち上がり朝食を運ぶ。
「今日もおいしいですね」
「そう、ありがとう」
特に変わったことは無い何時もの日常。
「・・・・ん?」
美羽は後ろを振り向いた、
しかし何も無い。
「どうしたの?美羽」
霊夢が美羽の挙動不審な動きに箸を止めた。
「あ、いやいやなんでもないです」
美羽はあわてて返事をする。
しかし、
(だれか居る?)
ずっと美羽は気配を感じていた。
ルーミアやミスティアといった妖の気配ではなかった。
(霊夢が言っていた鬼?でも霊夢が気づいていないし)
一番おかしいのは霊夢が気づいていないこと。
美羽よりも妖怪の気配などに敏感な霊夢が気づいていないのに美羽だけが気配を感じるのは美羽の気のせいなのか、それともそのような能力を持った何かなのか。
(私の気のせい?)
美羽は気のせいということでまとめた。
「あ、そうだ」
「ん?」
「今思い出したけど今日は紅魔館に用事があるの」
「レミリアさん・・・ですか?」
レミリア、紅魔館の主である。
「そうよ、美羽もくる?」
「いえ、やめておきます」
晴れだったら行くと言っただろう、
実は美羽は雨が嫌いなのである。
「そう、じゃ留守番よろしくね」
「はい」
そうして朝食を食べ終わり暫くしてから霊夢は紅魔館へと飛んでいった。
「ふぅ」
美羽はごろんと仰向けにねそべった。
「私の元へ・・・・かぁ」
あの夢の真意は何か、美羽にはまったく理解できなかった。
「私の元って言われても場所教えてくれなきゃだめだよねぇ・・・まぁ所詮夢だし」
いろいろ物思いに耽っているとどこからとも無く足音がした。
(霊夢?にしては早い・・・)
その足音の主はどうやら厨房へと向かっていったようだ。
ここは自分の部屋なので音しか聞こえない。
(霊夢じゃないよね・・・この足音は)
霊夢とは違ってどこか大胆で弱弱しい矛盾した感じ。
ずずー・・・
部屋の前で音がした。
(私の部屋の前でお茶をすすってるよ・・・チャンス?)
美羽は音を立てないように少しだけ障子を開いた。
そこにいたのは緑色の髪をした大人びた女性だった。
(・・・誰?危険な人じゃないよね?ここにくるのは)
実際は危険人物もかなり来ていることは知らない。
しかし美羽はそんなのお構い無しに勢いよく障子を開けた。
バン!っといういい音と共に言った。
「誰ですか?」
「ぶっ」
その女性はお茶を勢いよく吹いた。
「あんたこそだれだい・・・」
「あ、はい、わたしは佐々苗美羽、居候であり食料調達です」
「まさかあんたの様な人間に見つかるとはねぇ」
ガックリした様子で女性は答えた。
「ところで誰ですか?」
「誰でしょう(はぁと)」
女性が色っぽく言った。
「住居不法侵入者である不審者」
「違うわ・・・」
またしてもガックリしながら女性は言った。
「私の名前は魅魔、ここの祟り神よ」
「神様だったんですか!?」
美羽は心底驚いた。
「元悪霊のね」
「なんだ」
愕然とした。
「祟るわよ?」
「遠慮しときます」
即答だった。
「この幻想郷の神様ってあなたみたいな人ばかりなんですか?」
「あなたみたいなってどんな人よ」
「誰もいないと出てくる幽霊みたいな人」
「いやいや、さっきも言ったとおり元幽霊だし」
「そういえばそうでしたね、それで他の神様はどうなんですか?」
さらりと流し再び美羽は質問した。
「あぁ、アホ毛生やしたカリスマ0の魔界神しかしらないわ、
ただウワサによると説教好きの閻魔だとか妖怪に好かれている神だとかカエルだとかも居るって話よ」
「そうなんですか」
想像していた神様像は木っ端微塵だがこれはこれで面白いと思う美羽であった。
「この神社にも一応博麗の神が居るらしいけど巫女があれじゃあねぇ」
魅魔は苦笑いをしながら言った。
「そういえばここの神様のこと聞いたことないですね」
「神様は信仰によって権力が強くなるって話、ここの廃れようじゃ権力なんて限りなく0ね」
「ですよね・・・はは」
美羽反論出来るものならしようと少し考えたが、まったくその通りなので反論できる者は当本人ぐらいであろう。
もしかしたら本人ですら反論できないかもしれないが。
「そういえば魅魔さんは霊夢とどういう関係なんですか?」
「そうねぇ・・・」
魅魔は少し遠くを見るような表情をした。
「昔はライバルみたいなもの・・・だったかしら」
「ライバル・・・ですか」
そして魅魔は少し表情を歪ませた。
「今じゃ魔理沙とアリスにその席を取られちゃっているけどね」
美羽にとっては魔理沙はしっているがアリスは始めて聞いた名だった。
「魔理沙も知っているのですか?」
「知っているも何も魔理沙は私の弟子みたいなものよ」
「え?本当ですか?」
「本当よ、昔あの子うふふ、って笑っていたりちゃんと女言葉話していたのよ、ふふふふふふ」
「えぇ!あの魔理沙が!?」
想像してみた、出来なかった。
「すいません、想像できません」
「まぁ無理も無いわね、ずいぶんと変わっちゃったことだし」
「霊夢も変わったんですか?」
「もちろんよ、昔とはまるで別人ね」
「たしかにそうですな、髪型も服装もちがいますし」
「そうねぇ」
「え?誰ですか?」
美羽はキョロキョロと辺りを見渡した魅魔意外だれもいない、居るのは池から這い上がったであろう亀だけだ。
「ここですぞ、ここ」
どうしても見つける事が出来ない。
「ここよ、ふふふ」
魅魔が笑いながら亀を指差した。
「え?まさか・・・」
「そのまさかです」
亀が喋っていた。
「始めまして、私は玄爺ともうします」
「はぁ」
呆気取られた様子で美羽が答えた。
「やっぱりただの亀が喋ったらおかしいわよねぇ」
「失礼な!長生きすればいやでも話せるようになるわい!」
「それでも人の形はしていないのね」
「人の形はいりません、私は亀の姿が一番適しているのじゃ」
「人の形って妖怪のことですか?」
「そうよ、たとえ人間でも常識外れに長生きすれば妖怪になれるわ」
「たしかどこぞの白兎は健康に気を使っていただけで妖怪になったと鴉どもがさわいでおりましたな」
「健康に気を使うだけでですか?」
「左様、しかし、そこまで健康に気を使うのは容易い事ではありません」
「そうね、並の人間は健康に気を使ってもせいぜい100年かそこらしか生きられないもの。
人間でこれなら小動物はもっと大変ね」
幽霊に寿命の話をされてもなんか矛盾しているような気がするがそこは黙っておくべきである。
「はぁ・・・ではなんで玄爺さんは話せるまで長生きできたんですか?」
「なぜと聞かれましても基より亀の寿命はながいのです。
見てのとおり私ももうよぼよぼでかなり歳を食った見たいですな」
しかし実際は亀なので人には見分けがつかない。
「ほら、昔から鶴千年亀万年っていわなかったかしら?」
「そういえばそうですね」
「万年というほどは長くないですがそれなりにはやっぱり長いですな」
「そういえば玄爺っていつから博霊に居たのさ」
思いついたように魅魔が質問する。
「そうですなぁ・・・5代目ですかな?いやいや・・・4代目だったかもしれませんし」
首をひねって考え込んでいるがかなり曖昧なようだ。
「ボケが回ってきているわね」
あきれた様子でいった。
「面目ない」
ちょっと縮こまった。
しかし人間でさえ70あたりでボケが回り始めるので長生きの玄爺は普通に喋れるだけでもすごいのである。
「霊夢って何代目なんですか?」
「あぁ、13代目ですな」
「13代目なんですか!」
「驚きよね、13代もこんな調子で続いているみたいだし」
「もう何人もの御主人様を背中にのせましたなぁ」
「御主人様って霊夢も?」
「私と騒いでいたころはまだ乗っていたわね」
「そのとおりです」
「え?霊夢って自分で飛べるんじゃ?」
「今はね、霊夢も昔に飛べない頃があったのよ」
「そうなんですか」
「その時に乗り物になっていたのが私です、なんど危ない目にあったか」
「大変ね。ふふふふふ」
「他人事じゃないですぞ!」
「・・・」
「ふふふふ」
「何故・・・」
「ん?」
「どうかなされましたか?」
「何故二人は霊夢の前に現れないのですか?」
二人というところに引っかかったが続ける。
「そうきましたか」
「そうね・・・強いていえば必要なくなったからかしら」
「必要なくなった・・・ですか?」
「そのとおりかもしれません、私も御主人様が飛べるようになった時点で私の仕事は一時終わりなのです」
「私も同じような理由ね、魔理沙もアリスも一人前になったようだし」
そういう二人の顔はどこか悲しそうであった。
「でも・・・霊夢や魔理沙も二人に会いたがっているんじゃないんでしょうか」
「会いたがっているならまだ半人前ね、人はあまり過去にとらわれちゃだめなの」
「私は会ったところで何も出来る事がありませんですから・・・」
「そんな事って・・・必要無い!出来る事が無い!・・・それ以前の問題です!」
美羽は勢いよく立ち上がった。
「ほぅ」
「ふぅん」
「会いたいという事だけで十分じゃないですか!それは過去に囚われるとは言わないと思うんです!」
「でもね、美羽」
「はい」
「弟子の近くに師が居れば必ず甘えがでてくるの。
甘えが出れば油断したり闘争心が失われたりするのよ、本人に自覚が無くてもね」
「でも・・・」
「それに」
「え?」
「あの子達にはもうたくさん友達が居るのよ」
「そうですな、昔に比べたら物凄い数ですな」
「それでも・・・どんなに多くても一人でもかければ少なく見えてしまいます」
「それでもね美羽・・・
「さっきから自分の都合を押し付けているだけじゃないですか!
それじゃ霊夢達がかわいそうです!
何故会ってあげないんですか?
なぜ・・・・」
美羽は叫んだ、突然人が居なくなる悲しさを知っているから。
突然親しい人が居なくなる虚無感を知っているから。
だからこそそんな思いはさせまいと必死で叫んだ。
「・・・」
「・・・」
「すいません、ちょっと頭冷やしてきます・・・」
美羽は外に出た、
雨が降り続いているので当然ずぶ濡れになる。
「まちなさい」
「はい?」
「霊夢と魔理沙とアリスにこう伝えといて貰えないかしら?」
「え?」
「いつか、また、弾幕りましょう・・・・ってね」
「・・・はい!・・・くしゅ!」
大勢にくしゃみをした。
「ほっほっほ、美羽殿でしたかな?そのままでは本当に風邪を引いてしまいますぞ」
「お風呂にでも入っておいで、ふふふふ」
「はい・・・すいません」
神社に上がって風呂のほうへと向かう。
「ああ、そうでした」
しかし玄爺が呼び止めた。
「なんですか?」
「私の場合は弾幕ではなくお茶にしといてもらえると有難いですな」
「はい!」
そしてもう一度歩き出す・・・が、
「あ、そうそう美羽」
「はい!?」
転びそうになった。
「あなた、誰に向かってあんな口たたいたか解っているの?」
「え?・・・・あ」
魅魔は祟り神であった。
「あははは・・・祟ったり・・・しますか?」
「もちろん(はぁと)」
「やっぱり(しくしく)」
「なんだか懐かしい感じな会話ですなぁ」
「まぁ安心しなさい、美羽」
「へ?」
「祟るのは美羽が死ぬときよ」
「?」
「仲間にしてあげるってことよ、ふふふ」
「悪霊のですか!?」
「そのとおり(はぁと)」
「御主人様に退治されないように気をつけることですな」
玄爺が冗談めかして言うが、
「ひぃぃ」
美羽には冗談にはとれなかった。
「ふふふ、まぁはやくお風呂に入ってらっしゃい」
「はいぃ・・・」
美羽は再び風呂場に向かった。
「あのこ、なかなか言うわねぇ」
「そうですな、しかも魅魔殿に対して」
「ここもどんどん賑やかになっていくわね」
「ふむ・・・そろそろ私は帰ります」
「あら?もう帰るのかしら?」
「はい、人を乗せて飛ぶ練習でも再開しようと思いまして」
「そうぇ、私もスペルカードとやらを作らなきゃね」
「魅魔殿、次会うときは弾幕の中かもしれませぬが・・・」
「えぇ、よろしくね(はぁと)」
「それでは」
「そう、それじゃわたしも帰りましょ・・・」
この日から幻想郷のとある新聞で空飛ぶ亀や謎の幽霊など取り上げられたが、一人も読まなかったらしい。 続
ありがとうございます。「」の文章が多いですが、それでもなお
情景が想像できる書き方で、秀逸だと思います。
次も楽しみにしております。