※この作品は全編が東方風神録のネタバレ成分で出来ています。
ある日、博麗神社に一通の手紙が届いた。
『じンじゃ、イまスぐよコせ』
それはどう見ても新聞を切り張りして作られた脅迫状でした。
― 極東封神録
花映塚と文花帖はこっぺぱん ―
黒光りする玉が太陽光を反射して綺麗な円を作る。
「はあ、まさか私に真っ向から喧嘩を売る馬鹿がいるなんて」
「私の師匠以来だな」
鉄と鉄の触れ合う音がする。
「でも困ったわね」
「ああ、困ったな」
「陰陽玉もスペルカードも忘れてきちゃったし」
「奇遇だな、私もミニ八卦炉一式忘れてしまったんだ」
鎖が風を切る音がする。
「だからトゲハンマーで妖怪を殴り倒しても緊急避難よね」
「私だって近代兵器を使ったって何も問題ないな」
「か弱い女の子だもの」
「相手は凶暴な妖怪だぜ」
『(なんか物凄く近寄りがたい人間達が来たーーー!!)』
八
百
万
の
秋 Stage 1
の
神 妖怪の山を踏み砕く音
「ハーッハー!! 逃げる奴は妖怪だ! 逃げない奴はよく訓練された妖怪だー!!」
「ほんと戦場は地獄よねー」
巻き上がる爆煙、振り回される鉄球、宙に舞う妖怪達、
信仰ポイント? 何それ美味しいの? といわんばかりに突き進む弾娘ツイン。
「スプラッシュグレネード装填!!」
「派手にやっちゃいなさい」
「発射ー!!」
ぽんっ、と小気味良い音と共に空中に大量にばら撒かれる黒い弾、
落下、着地と同時に広範囲で起こる爆発、またもや宙に舞う妖怪達。
「よっ、とっ、はぁっ!!」
ごぎゅっ、と爆発に巻き込まれなかった妖怪達には漏れなく鉄球がプレゼントされる。
「おーし、あらかた片付いたな」
「あー、待って魔理沙、何かふってきたわよ?」
上を見上げると大量に降ってくる赤紫の物体、
横にやや細長く、それでいて丸みを帯び、いい臭いを発するその物体は。
「……い、芋だぁぁぁ!!」
「何よその酸を食らった隊員みたいな叫び方は」
「だって芋好きだし」
「わふぁふぃもふふぃふぁふぇふぉへ」
「もう食ってる!?」
芋がふってきたら食う、それはすなわち自然の摂理だと思いませんか?
「うっ!!」
「どうした!?」
「ううー!!」
「パラメディックめ、毒じゃないか!」
「お、おならがしたい」
「…………」
だが実際の所、これはかなり重大な問題である、
霊夢は親友である魔理沙と二人きりだからこそこの発言が出来たが
もしこれが大量に人の集まる、例えば宴会場であればどうなるか?
発言した瞬間に笑われるのが落ちである、カリスマなど暴落に近い。
「すればいいじゃないか」
「出来るわけ無いでしょ!! あなたそれでも乙女なの!?」
「いや、そういわれても生物学上は女だが」
「女なんてどうでもいいのよ! 問題は乙女であるかどうかなのよ!!」
魔理沙にはよく分からないようだ、魔理沙が大人の女だからかもしれない。
「あー、だけど霊夢」
「何よ!!」
「そんなに力むと……出るぜ?」
「ごめん、もう出たみたい」
魔理沙が倒れた、ピクリとも動かない、どうやら屍のようだ、
音の無いおならほど臭いとはよく言ったものだ。
「……まったく失礼ね!」
「この……最臭兵器が……」
「ミコディオンハンマー!!」
「うぐはっ!!」
芋で殴っただけです、あしからず。
「ったく、こんな所で芋食ってる場合じゃないだろ」
「まあ食べてる場合ではないわね、ほら」
「あん?」
霊夢が山の上の方を指差す、見ればまたもや迫り来る赤紫の芋、
ごろんごろんではなく、ゴゴゴゴゴと地響きを迫り来るその芋は。
『でけぇ!!』
でかかった、とてつもなく。
「これを見てると巨大鉄球に押しつぶされた苦労するほうのレミリアを思い出すわね」
「おいおい霊夢、内輪ネタパラダイスにするつもりか?」
「何ぼーっとしてるのよ魔理沙ー、早くあなたも非難しなさいよー」
「何時の間に空中に!?」
しかしいくら芋がでかくとも飛べる相手には意味がないわけでして、
これが紅魔館のような空間の限られる場所であれば効果的な罠でしたけども。
「そんなわけで次のトラップといこうじゃないの!」
「ナチュラルトラップの秋姉妹と呼ばれた私達の力で追い返すのよ!」
「でもね、穣子」
「わかってるわ、静葉姉さん」
二人が空へ舞い上がる様をひっそりと物陰から紅葉迷彩で観察するこれまた二人、
しかしそのままずっと見ていれば、何処吹く風にと山の頂上へ飛んでいく紅白と白黒。
『(相手が飛んじゃったらトラップの意味がないのよね……)』
そして出番もこれっきり。
~少女飛行中~
「魔理沙」
「何だ?」
「私達さっきまで空を飛んでたのよね」
「ああ」
「何で樹海の中にいるの?」
「あー、それはあれだ、ご都合主義」
神
々
の Stage 2
疵
痕 酔怪で呪海
「もしもーし、そこの人間お二人さん」
「あら、こんな所にも妖怪が」
「ヒロポンどうですか? お安くしておきますよ?」
「縦振り下ろし!!」
「おぶっ!!」
くるくる回る少女の脳天に鉄球がめりこむ音がした。
「薬! 駄目! 変態!!」
「あれ? 一個が違ってるぜー」
「いきなり殴るなんて酷い……」
「あ、生きてた」
むくりと起き上がるその妖怪は緑一色の髪を顎の下で結ぶという奇妙な髪型かつ、
服装がどう見てもゴシックロリータと呼ばれるものであった。
「すまん、違ってるどころか間違いなく変態だった」
「肉体的ダメージに精神的ダメージを重ねるなんて鬼ですね」
「人間よ、鬼は鬼で別にいるわ」
「まあそれはいいとして、お安くしておきますよ?」
「だからもうええっちゅうんじゃぁ!!」
「でた! 霊夢の踵落とし!」
アンディフグにも負けず劣らず。
「ふうううう……頭が、頭がぁぁぁぁ……」
「すげぇ、あれ食らって意識あるのか」
「ば、バ○ァリンを飲まなきゃ! 頭痛にバファリ○!」
「何か色んな意味で間違ってるぞ!?」
半分は優しさで出来ています。
「痛み止めも飲まなきゃ、胃を壊さないように胃薬も……」
「おいおい、そんなに薬飲んだらどうなっても知らないぜ?」
「疲労回復にリポビ○ン、○ンケル、養命○……」
「もう手遅れみたいよ?」
「萃香も養○酒だけは飲まないのにな」
鬼すら飲まない○命酒。
「や、厄神だもの、薬を溜め込まないと……!」
『厄を溜めろよ!!』
「あなた達になんか厄を背負って生きていく私の気持ちがわかるもんですか……、
不幸に塗れるのが嫌で誰も近寄ってくれない永遠の孤独、薬に手を出すのも当然でしょ!?」
『出すなよ!』
薬、駄目、絶対。
「厄なんか人間が溜め込んでしまえばいいのよ~、あはははは~」
「うわ、トリップしてるぜ」
「それはどうでもいいけど、厄を集めてくれないのは困るわね」
「吐かせるか?」
「どうやって?」
「うーん、吐くといったら、回すとか、酒飲ませるか……」
「あとはボディブローね」
霊夢が閃くと同時に樹海に鈍い音が響き、あまり聞きたくない声も響き渡った。
「はぁ……はぁ……あ、あれ、私は今まで一体何を?」
「どうやら治ったみたいね」
「吐くだけで治るのもおかしな話だけどな」
ほら、妖怪は人間よりタフですから。
「わ、私はまたトリップしてたの?」
「そうよ、助けてあげたんだから感謝しなさい、ま、感謝された事なんて無いけど」
「外道だからな」
「ありがとうございます!!」
『何ぃ!?』
素直に感謝されて逃げ腰になる主人公、
一体今までどれだけ外道に生きてきたのか。
「ま、まぁ薬はもう控えなさいよ」
「ああ、身体に悪いぜ」
「あ、待って! せめてお礼を!」
「おおおおお礼!?」
このうろたえっぷりはまさに外道。
「そうだ! あなた方についてる厄を取りましょう!」
「はははい! よろしくお願いします!!」
「緊張しすぎだぜ」
「それ、ぐーるぐーる……」
ゆっくりとキチンと正座した二人の前で横回転を始める雛、
しかし幾度か回転した頃、彼女の表情が曇り始めた。
「あれ? 厄が無い?」
「え? どういうこと?」
「あなた達に厄がこれっぽっちも付きまとってないの、おかしいわね」
「あー……私は厄が付く暇も無いタイプだからじゃないか?」
「巫女に厄など纏わりつかない!」
「そんな身勝手なーっ!?」
厄神様役立たず様。
~少女増殖中~
「で、何処までついてくる気なんだ?」
「何処までも、恩を返すまで!」
「いいけど、少しでも私達に厄を振り撒いたら……」
「分かってます! 二倍速でぐるぐるしておきますのでその辺は大丈夫!」
「そんな理論でいいのか……?」
むしろ回転によって起こされる風により、
厄以外のものがどんどんと集まっているようでもある。
「ぐるぐるぐるぐるー……ううっ!!」
「酔ったか?」
「酔ったみたいね」
「ち、違いま……薬! 薬ぃぃぃぃ!!」
『禁断症状だーっ!!』
瑕
疵
無
き Stage 3
要
塞 微糖の警告
「えーと、ここがこうなるからこっちがこうで……」
とある一軒家の中、一枚の細長い布を前になにやら思案する少女が一人、
青い髪に緑の帽子と背中に大きなリュックサック、何を隠そう彼女は河童、
でも頭に皿は載っていない、背中に甲羅もしょっていない。
「あーー! 駄目だ! どうしても上手くいかない!!」
叫びながら布を丁寧に机の上に置き、頭を抱えて空を仰ぐ。
「くー、こうなったら他の河童に相談するか」
そう言ってむくりと立ち上がり、細長い布をポケットにしまうと
一足飛びで玄関から飛び出がる、すぐに見えてくるのは美しき渓谷。
「無限バンダナのメビウス軌道がいまいちわからないなあ……」
無限バンダナ、これ一つさえあれば収納に困らないという伝説のバンダナ、
そんな事をぶつぶつ呟きながら渓谷に降り立つと、ぐにゃりという音がした。
「ん? うわっ!!」
ぐにゃりという音がしたから足元の川の中を確かめると河童が溺れていた。
「どうした!? おい! しっかりしろ!! 一体何が……」
辺りを見渡すと、川中で河童や魚がぷかぷかと浮かび、まさに集団どざえもん状態である。
「まさか川に毒が!? カリッ……これは青酸ペロ!!」
バーロー。
「一体誰がこんなことを! 許さない!!」
自らが縄張りとする渓谷を荒らされ怒りに燃える河童、
あたりに充満する甘い臭いを堪えながら上流へと走る事五分。
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」
足取りが重くなり、体が悲鳴を上げる、俗に言うスタミナ切れである、
エンジニアである彼女にとって激しい運動は死刑にも等しかった。
「おい、なんだかへろへろな奴がこっちに向かってきてるぜ」
「や、薬、私の薬ぅ~」
「そんなのどうでもいいから早く薬を捨てきるのよ」
「ああぁー……私が半年かけて集めた薬がぁぁぁー……」
どばどばと川に投げ込まれていく錠剤・カプセル・粉末・液体、
下流にすんでる生物が巨大化してもおかしくは無さそうだ。。
「自然はそんなにやわじゃないわ、大丈夫大丈夫」
「まてぇー……ぜぇはぁ……」
「あー、お疲れさん、ほれドリンク剤」
「あ、どうもありがとうございます…………って、違ぁぁぁぁぁう!!」
「うおっ、効果覿面だぜ」
タウリン30000mg配合、どんな妖怪でも元気満タン。
「お前達だな! 渓谷を荒らしたのは!!」
「違うわよ、薬を捨ててるだけ」
「それを荒らしてるっちゅうんじゃぁぁぁ!」
「二度も言わせないで、川に浮いてる妖怪達をよく見てみなさい」
「なんだって?」
「ほら、幸せそうな顔してるでしょ」
「トリップしてるんだろうがぁぁぁ!!」
「感情の起伏が激しい河童ね」
「誰のせいだぁぁぁ!!」
河童のボルテージが上昇している!
「私は河城にとり! 通称、谷カッパのにとり!! 渓谷を荒らした罪は大きいぞ人間!!」
「あら、やる気みたいね」
「超妖怪弾頭と呼ばれる私の化学兵器! その身で確かめるがいい!!」
「科学だとっ!?」
『わっ!?』
向かい合う霊夢とにとりの間にいきなり割り込んできたのは魔理沙だった、
しかし何か様子がおかしい、肩をふるふると震わせながらにとりを睨んでいる。
「ふん、お前が相手か?」
「科学と聞いちゃ黙っていられない……ていっ!!」
叫び声と共に魔理沙の帽子と黒白の衣服が宙に舞う、
その衣服の下に隠されていたのはなんと水兵服であった。
「科学の申し子! 北白河ちゆり参上!!」
一拍。
『誰だお前ーっ!!』
「ええっ!?」
誰も知りませんでした。
「姉さん!? もしかして幼い頃に生き別れた姉さんなの!?」
「確かに似てるけど違う! そもそも私は河童じゃない!!」
実際の所似てます、髪型が。
「思い出したわ!」
「おおっ!」
「あんた魔界神のちんきでしょ!!」
「違ぇよ!! ちゆりだつってんだろ!!」
むしろ名前を間違われた神様のほうが悲惨です。
「可能性空間移動船でやってきた岡崎教授の助手さんですよね?」
「そうそう……ってなんでお前が知ってるんだよ!」
「旧聞史紀で」
「聞いた事ねぇ!!」
魅魔様とかオレンジとか懐かしい思い出を綴った本だとか。
「道理で魔理沙の外道っぷりが見当たらないと思ったわ」
「おいおい、どんだけ外道なんだよあいつは」
「景観が気に入らない竹林をミニ八卦炉で焼き払って罪を妹紅に押し付けるぐらい」
まさしく外道。
「んで魔理沙はどこに行ったわけ?」
「ギアナ高地に行ってくるとか言ってた」
「相変わらず修行馬鹿ね」
「で、そろそろ始めていいか?」
『どうぞどうぞ』
「見るがいい、これが私が長年の研究の末に開発した隠密行動用迷彩装置だ!!」
そう言ってにとりが取り出したのは茶色い箱だった、
その箱を頭から被ると、全身が箱の中に隠れるようにしゃがみこむ。
「……それってただのダンボールじゃない」
「否! このダンボールは内部に存在する生物の気配、妖力を遮断するいわば超ダンボール!!」
「超って……ちゆり、とっとと片付けちゃって」
「素晴らしい!!」
「何ぃ!?」
ダンボールの中に隠れたにとり、いや、ダンボールそのものをみて眼を輝かせるちゆり、
彼女からすれば目の前にあるダンボールはまさしく最高の一品なのだ。
「あはははは! どうだ! 河童の科学力を思い知ったか!!」
「確かに素晴らしい……だが甘いぜ!」
「何だと!?」
「本当に完璧な隠密行動用迷彩装置とはこういう物だ!!」
「ぬああっ! そ、それは!!」
それは箱と呼ぶにはあまりにも大きすぎた、
大きく、縦長く、四角く、そして不安定すぎた、
それはまさしくロッカーだった。
「どうだ!!」
「素晴らしい!!」
「あほくさ」
霊夢はどこか遠くを見つめている。
「二人とも甘いですね!」
『何だと!?』
「厄神まで!?」
「真なる隠密行動用迷彩装置とはこういうものです!!」
ドラム缶。
「うああああ!」
「きゃああああ!」
「何で二人とも見ただけで吹っ飛ぶわけ!?」
吹っ飛ぶのがデフォルトなんです。
「あなた達に足りない物! それは円形流形回転運動気品優雅さ美しさ!
そして何よりもぉーーーっ!! 愛が足りない!!」
『あ、愛……』
「あんたは厄が足りない」
「くっ! 負けたぜ!」
「ああ、完敗だね……先にいきな、敗者は黙って見送るのが流儀だ」
「これにて決着ですね、さあ先を急ぎましょう霊夢さん!」
「二面ボスが主人公面するなぁ!!」
「へもっぷ!!」
やっぱり霊夢は外道でした。
~少女登山中~
妖怪の山には大きな大きな滝がある、
ある種名物とまで呼べるその滝は天狗達の縄張りとして知られている、
その滝の滝つぼを眺める人間が二人と妖怪が一人。
「まず液体窒素を詰め込んだ容器を大量に用意したいところでしたが」
「お断りよ」
「霊夢が腋に冷たいものをしまうと冷えるから嫌だというので諦めました」
「私、腋集めようかな……」
「やもくもあってない」
がっかりした偽魔理沙ことちゆりと、厄神にツッコミを入れる霊夢ら三人、
もはや従来の主人公が一人しかいないと脇役に期待がかかるところだ。
「というわけで技術の粋を結集して作ったこの究極超高圧縮液体窒素、牛乳瓶サイズで登場です」
「で、どうするのよそれ」
「いい質問だワトソン君、まずこの容器を万能口径調整機でこの銃と連結する、雛君」
「はいー、それ、くるくる~っと」
「後はこの銃口の先を滝に向けてトリガーを引くだけさ!」
ぼばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「ふーん、綺麗に滝が凍っていくわね……寒っ!」
「あれ? こんなに射出力が強いはずが……寒っ!」
要
塞 Stage 4
の
山 氷点下の滝
「あやややや…」
滝が凍っていた、完全に凍っていた。
「あややややや…」
滝にうたれて洗濯と行水を同時に行おうと考えていた文にとって
これはハプニングにもほどがあった。
「も、椛!?」
そして気づけばかわいいペットが氷付けになっていた、
行水のタイミングがもう少し早ければ自分も同じ事になっていただろう。
「…あやややや」
そんなこんなでどこぞの新聞記者がうろたえている頃、
霊夢一行は順調に滝を登っていた。
「ねえ、それ何時まで噴射を続けるの?」
「容器を間違えてたみたいでな、あと三時間は軽くいけるぜ」
「止めなさいよ」
「止まらないんだ」
「あ、前から敵が来ましたよ」
「冷凍ビーム」
ビームでも何でもない液体窒素の噴射によって妖精や妖怪達は次々と凍り落ちてゆく、
彼らの今後はチルノに凍らされた蛙たちの事を思い浮かべれば想像するのは容易い。
「歯ごたえの無い相手だな」
「そうでもないみたいよ?」
「ん?」
「ほら、噛みごたえのありそうなのが来たわ」
凍った滝に閃刃が走る、同時に凍りの壁を破壊して飛び出してくる白き者、
右手に握られし刃、日光に煌く真っ白な髪、風を切って棚引くスカート。
「奇術! エターナルミーク!」
一拍、
二拍、
三拍。
『お前咲夜だろっ!!』
「ちがうわーん!!」
「あっ! 逃げた!」
「何しに出てきたんだあいつは!!」
「ぴちゅーん!」
『雛ーっ!!』
鍵山 雛、被弾、残機一。
「はぁ……何だったんだあいつは?」
「どうせ主人公として出れなかった僻みでしょ?」
「あ、成る程」
「でももう居ないみたいだしさっさと行きましょ」
「私に切れぬ物などあんまり無いぃぃぃぃ!!」
『また何か来たぁーっ!!』
「ぴちゅちゅーん!」
『雛ぁーっ!!』
鍵山 雛、被弾、残機零。
「これはまずい事になったわね……」
「ん? どうしてだ?」
「雛があと一度でも被弾すれば残機はマイナス、つまり?」
「はっ! エンディングが危ない!」
「うう……すみません」
コンティニュー、それはバッドエンディングへの切符。
「ど、どうするんだ? 緑キノコは無いし、エクステンドも出来そうに無いぜ?」
「大丈夫、そんな時に備えての取って置きの策があるわ、私に任せなさい」
未だに0が並ぶスコアを見上げながらうろたえるちゆりと、
そんな状況を意に介さず脇に手を突っ込む霊夢、是非とも脳内に思い描いて欲しい。
「ごそごそ……筆~(はぁと」
「……筆?」
取り出されたのは何の変哲も無い筆、墨付き。
「雛、こっち来て」
「はいー」
「まずおでこの左側に、あま、と書きます」
「ふむふむ」
「そして右側には、みかど、と書きます」
「ほほぅ」
「以上です」
「えっ!?」
本当に以上です。
「おいおい、額にあまとみかどって書いたぐらいで……ああっ!!」
「気づいたみたいね」
「二倍、四倍、八倍ー! 回転速度が上がって行きましゅぅぅぅぅ!!」
「でもなんか変な効果が出てるぜ」
「あやややややややややや!!」
「ついでになんか変な奴も来たわね」
回転が速すぎてもはや円柱状態の雛と何処からともなく飛んできた半裸の天狗、
というか飛びながら着替えるという器用な行為を難なくこなしている。
「侵入者の報告でくれば貴方らとは…」
「帰れ」
「帰れ」
「帰らないと掠ります」
「残念私は追い返しに案内すればいいの?」
『は?』
文の発した言葉に霊夢一行の顔が歪んだ。
「あぁ…十八文字、また三文字、世界を縮めたぁ…!」
「もしかして省略したのか?」
「わけがわかんないわよ……雛、もう全部省略できるようにやっちゃいなさい」
「了解ー」
「さあ、手加減して掛かってきなさい!!」
『変に略すな!!』
結果は省略されました、続きを読みたい方はあややや(ry
~少女誘拐中~
「ああっ、駄目よ神奈子、もうすぐ出番なのに……」
「その辺は早苗が時間を稼いでくれるわ、もしかしたら追い返してるかもね」
「そんなこと言ってたら……あっ」
「ふふ、身体はこんなに正直な癖に」
山頂の湖のほとりでは赤い服を着た神様が変な帽子を被った神様に覆いかぶさっていた、
濃密に展開されるラヴな雰囲気、周りでカメラを構えた天狗達もあいまって非常にエロス。
「脱がすわよ……いいわね?」
「拒否したって駄目なんでしょ? いいわ……」
そして赤い神様の手がいよいよ変な帽子の神様の服の胸元へと。
「……え、天狗?」
「カメラ?」
『ど~も~』
ようやく気づきました。
「あああああ! 貴女達ぃー!!」
「あーうー!!」
「特ダネだーっ!!」
「山の神様は毎晩ペットの蛙とくんずほぐれつ! 明日の見出しはこれだーっ!!」
「待てぇー!! 何よそのどう読んでも誤解されるような見出しはー!!」
「誇張捏造妄想暴走! それが新世代の山の文屋よー!」
「何てはた迷惑な……! ええい、全員御柱で撃墜してやるわ!!」
「駄目よ神奈子!」
天狗を撃墜せんと何処からともなくでかく細長い物体を召還した赤い神様を、
変な帽子の神様が後ろから羽交い絞めにして食い止める。
「何故止めるの諏訪子!?」
「駄目なのよ! だって……」
「だって!?」
「私の名前が売れなくなっちゃうじゃない!」
「貴女はどこかの売れない女優!? 死ね! 氏ねじゃなくて死ね!」
「あーうー!!」
御柱は全てその奇妙な帽子に激突しましたとさ。
「ふふっ、あの記事が掲載されれば信仰はがた落ち……そうなれば私が幻想郷の神となる!」
「やっぱり貴女が噛んでたのね……まあいいわ、言い訳は布団の中で聞くから」
「まだヤる気だったの!? それよりも何故私達にスポットライトがあたったか疑うべきでしょ!!」
「はっ、そういえばそうね!!」
よく考える、五秒ほど考える、神様だから五秒もあれば五年分。
『早苗ぇーーーーーーーー!!!』
あ
ゝ
風
の Stage 6
⌒
略 風神の湖
ある日、山の上の神社に一通の手紙が届いた。
『サなえハ、あズカっタ』
それはどう見ても新聞を切り張りして作られた脅迫状でした。
「博麗の巫女め……」
「信じられないわ、まさか早苗が出番も無くやられるなんて!」
「早苗も人の子なのよ、しょうがないといえばしょうがないわ」
「でも早苗はゴッド・ザ・外道と呼ばれた私の子孫よ!? 通称ビッグ・ザ・外道!!」
「早苗に変な異名つけるな!」
「私にはいいの!?」
「貴女は自他共に認める外道でしょう」
「あーうー」
何せミシャグジ様を束ねていた神様ですから。
「こうなったらこの巨大御柱に乗って神社に特攻するしか無いわ……」
「それなんてピーチツーホワイト?」
「世の中全て先手必勝なのよ!!」
「思い出すわね、貴女が御柱に乗って侵略してきた時の事、それも食事中に」
「大将の首を取るのが一番速いのよ」
何事かと立ち上がった瞬間には、神奈子の膝が右頬にめり込んでました。
「とりあえず、乗り込むならこれを持っていったほうがいいわ」
「何? この黒くて丸い物は」
「……神社を粉みじんにしてくれるお守りよ!」
「どう見ても私ごと殺る気満々です、本当に外道でした」
「ちっ!」
「ちっ、じゃないわよ! また二十四時間耐久でヒィヒィ言わされたいの!?」
「嫌ー! 足腰立たなくなって蛙のように這い蹲るのはもう嫌ー!!」
「あーもう! こんな事やってる場合じゃないのに! 今助けに行くわ早苗っ!!」
そして赤い神様は飛び立った、カタパルトの如く急発進して飛んでいった、
変な帽子の神様は見送った、不気味な笑みを浮かべながら見送った。
「ふ……甘いわね神奈子、最近の爆弾は何にでも姿を変えるのよ、それが例え御柱でも!」
「そうなの」
でも見送ったはずの相手が真後ろにいると怖いよね。
「えーと、何で私の後ろにいるんですか?」
「貴女に見えないように山をぐるりと」
「えーと、何で私を御柱に縛り付けているんですか?」
「爆弾の威力を見たいのよ」
「あぁー……」
「天火!!」
「ううううぅぅぅぅぅぅぅぅーーーー……!」
天高く飛び上がる御柱、それはやがて季節外れの花火となり、幻想郷を七色に彩ったとさ。
「やれやれ……で、そこの巫女、そろそろ早苗を返して貰えない?」
「ああ、やっぱり気づいてたのね」
「普通気づくわよ」
神が見下ろした先には、湖のほとりにずらずらと並ぶダンボールとロッカーとドラム缶、
実は神様同士がくんずほぐれつしていた頃からいたりした。
「私は山の神、八坂神奈子、はっきり言っておくけど……強いわよ」
「怪我したくなかったら素直に人質を返せって事? 自信満々ね」
「まあそういうことよ」
「だが断る」
「何ですって?」
「この博麗霊夢が生涯のライバルになりえる相手をのこのこと出演させると思うたか!」
「ふぅん、あなたも随分と外道みたいね」
「外道・オブ・ハート、人は私をそう呼ぶわ」
「……もしかして他に四人いるわけ?」
というわけで、東風谷早苗の出番は一切ございません、まさに外道!
「素敵な楽園の巫女、博麗 霊夢!」
「異世界の科学の申し子、北白川ちゆり!」
「流し雛軍団の長、鍵山げふっ!!」
「雛っ!?」
ダンボールを脱ぎ捨てる霊夢と、ロッカーから飛び出るちゆりの横で
一人ドラム缶を中途半端に背負ったまま吐血する雛。
「死んでる……」
「ドーピングに体が耐えられなかったのね、予想してたけど」
「うわぁ外道」
「ふぅん、霊夢にちゆりにげふ、ね……」
『げふは違う!』
「さあ! 回復してやろう!」
『この紳士聞いちゃいねぇ!』
霊夢とちゆりのHP/MPが回復した!
「幾百年幾千年、ありとあらゆる外道を真っ向から叩きのめしてきたこの私に
貴女の外道がどこまで通用するか……試してみるがいいわ!!」
「ちゆり、ここは私一人でやるわ、あなたは下がってなさい」
「おいおい正気か? 相手は神だぜ?」
「これは神対人間という生半可なものではないわ、この戦いはね……王道対外道の戦いなのよ!!」
「わけわかんね」
「なるほど、いい覚悟じゃない……最初から全力でいくよ! オンバシラドッキング!!」
飛んできた御柱が背中に装着されたとき、ガシャーンという音が脳内で再生されませんか。
「これが私の全力よ!」
「あ……あの姿はまさか……」
「随分と威圧的ね」
「が、ガンキャノンだぁーっ!!」
「二連装オンバシラキャノン!!」
「ぎゃー」
御柱から放たれた二筋の閃光によって吹き飛ばされるかよわき少女、
霊夢がちゆりの所に急いで駆け寄ることも無く、むしろ無視である。
「なぜかしら、昔からガンキャノンと呼ばれると無性に撃ちたくなる性分なのよ」
「私は今……最高に幸せだ……」
「まあ、喜んでるみたいだしいいんじゃない?」
むしろ恍惚のあまり身悶えている。
「(しかしなんてカリスマなのよ……並の巫女ならひれ伏しているところね)」
「さあ、どこからでもかかってきなさい」
霊夢の背にぞくりと悪寒が走る、敵を目の前にしながらこれほどの余裕、
気遅れることなく堂々と荘厳に、そして威圧的に、まさしくこれぞ神のカリスマだった。
「ならそのカリスマを発揮する前に……一撃で沈めてやるわ!!」
霊夢が右手を自らの左腋に入れ、取り出せばそこにきらめくは銀の光。
「ああ、あれはっ!」
「知っているのか雛! ってかお前生きてたのか!」
「かつて創世神を真っ二つにしたという伝説の武器!」
「あんなもので真っ二つにされたのか神様!!」
わかる人にはわかる原動機付きのこぎり。
「神殺しの武器を持ち出したかっ!!」
「縦一文字斬りぃぃぃ!!」
「だけど甘いわ!!」
一切の躊躇無く振り下ろされる伝説の武器、しかしその一撃に手ごたえは無い、
神奈子の額の寸前で静止するその刃は、神の両の手によって挟み止められていた。
「真剣白刃取りぃっ!」
「なっ!?」
「せぇいっ!!」
そのまま力ずくで霊夢を捻り投げる、さしもの霊夢も力は人並み、
勢いよく投げられ水面寸前まで落下するが、何とか体勢を立て直し着水を免れる。
「神のくせにチェーンソーを受け止めるなんて……!」
「巫女のくせに神を殺そうとするなんて……!」
『面白い!!』
笑みを浮かべながら睨み合う両者、それを見上げる人間と厄神、
その二人の後ろでは必死に演奏を続けるプリズムリバー三姉妹の姿もあった。
「この演奏じゃ駄目! この程度の音の深みでは神の余裕を表現しきれていない!」
「仕方ないわよルナサ姉さん、私達三人だけじゃ神の奥行きを奏でるなんてとても無理よ」
「あれ? 私達って楽器演奏が下手な設定だったはずじゃ……」
「くっ! せめて人手がもう少し、具体的に言うとあと三人ぐらいいてくれれば!」
「私達に匹敵する演奏家があと三人もなんてそんなの無理よ~」
「無視!? リリカはいらない子なの!?」
極東のバックグラウンドミュージックは三姉妹の必死の生演奏によって支えられています。
「どうすればいいんだ……」
「……めるぽ!」
「私はいらない子……」
「プリズムリバー三姉妹よ! 諦めてはいけません!」
『誰っ!?』
そんな彼女達が窮地に陥ったとき、救いの手を差し伸べるヒーローの姿が。
「元閻魔学園高等部吹奏楽部部長、四季映姫・ヤマザナドゥ! 助太刀いたします!!」
『閻魔学園って何だーっ!?』
主に全国の地蔵を集めて次世代の閻魔を養成する小中高一貫校。
「あと部下のサボり魔! 横笛が吹けるそうです!」
「小野塚小町ですよ! きちんと紹介してくださいよ!」
「えーと、その、いきなり現れて手伝ってくれるのはありがたいのですが……なぜ閻魔様がここに?」
「…………あなた達が困っている声が聞こえたものですから」
「素直に出番が欲「お黙りなさい!」きゃんっ!」
「あ、有難うございます!!」
極東華映塚の作成予定はありません、閻魔様も必死です。
「でもルナサ姉さん、このままじゃあと一人足りないわ」
「うーん、こうなれば私の必殺技、一人バイオリン三重演奏を……」
「ええっ!? すでに霊力と両腕で二重演奏をしてるのよ?! これ以上どうやって?」
「両足と口を使って演奏する!!」
右足で抱え、左足で押さえ、口で弾く。
「やめてーっ!! 私達三姉妹の名誉の為にも!!」
「そんな事されたら私達は幻想郷中の笑いものよ!」
「あなた達はちんどん屋の誇りを忘れたの!?」
『そんなウケ狙いの誇りなんか持ったことないわーっ!!』
「どうします四季様、何か揉めてますけど」
「ふがふが……」
呆れながら小町が振り向けば、そこには口一杯に細長い物体を咥え込んだ閻魔の姿があった。
「何でトロンボーンを両手両足で吹こうとしてるんですかっ!!」
「うう、だって二重演奏ぐらい出来なければ次回作の出番すら……」
「やめてください、閻魔と冥府の名誉の為に!」
「そんなのより出番が大事です!」
「この閻魔言い切ったよ! ああもう誰でもいいからあと一人来てくれ!!」
「ふふ、私の出番みたいね」
「本当に来た!?」
またまた小町が振り向けば、そこには日傘を持った妖怪の姿が!
「レミリア・スカーレット参上! カスタネットが得意よ!」
「お呼びで無い!」
「八雲紫、タンバリンならお手の物ですわ」
「お前も帰れ!」
「風見幽香、チェロを持ってきたわ」
「お待ちしてました、どうぞこちらへ!」
『何この扱いの差っ!!』
カスタネットとタンバリン、なんとも微妙なものである。
「こらー! 私の十六連打ビートを聞いてから判断しなさいよ!!」
「ワンセット二百五十万円の純金製のタンバリンなのに……」
「あーはいはい、二人とも邪魔にならないように隅っこで打ち鳴らしてね」
レミリアがスペインの踊り子のようにポーズを決めながらもその手にあるのはカスタネット、
しかし一切合財の違和感が無いのは外見が幼いからだろうか、非常に似合っている、
紫は紫で自らのもつタンバリンをこれでもかと見せ付けていた、趣味悪いよ隙間さん。
「皆の配置はいい?」
「完璧だよルナサ姉さん」
結局二人を隅っこに追いやって扇形に並ぶ六人、演奏の準備は整った。
「それでは始めるわ、3,2,1……」
ルナサがバイオリンの弓で合図を送り、その弓が弦にかかると同時に演奏は始まった、
バイオリン、トランペット、鍵盤、トロンボーン、横笛、チェロ、
それらは優雅にして完璧なハーモニーを奏で、この戦いを見事に彩る……筈だった。
「だ、駄目だ、この六人でも神の余裕は表現しきれないというのか!」
神、八坂神奈子、その威圧とカリスマは高く遠く深い、この演奏でも表現しきれぬほどに、
やがてルナサの顔に焦りの表情が浮かぶ、そしてそれは他の演奏者達も同様だった。
「この演奏じゃ届かない、これが神のカリスマってわけなの?」
「これじゃプリズムリバー三姉妹の名折れだよ……」
プリズムリバー三姉妹の会心の演奏、しかしそれでも尚届かない。
「吹奏楽部部長程度では無力なのですか……」
「(四季様どうやって喋ってるんですか?!)」
主に気合によるものです。
「だけど足りないのは質ではないわ、多分それは……っ!?」
そして幽香がその足りない物に気づいた時、彼女達は立っていた、
左に一人、右に一人、それぞれの手に赤と青の楽器と三角の黄金楽器を持って。
「つまりはこういう事、カリスマを表現するには演奏者にもまたカリスマが必要!」
「だからカリスマを奏でるためには演奏者もカリスマを持つ必要があるのよ!」
『(言ってる事同じだ!)』
「さあとくと感じるがいい!」
「これこそがカリスマを伴った演奏よ!」
リズムに合わせて叩く、二人が行ったのはただそれだけの動作、
たったそれだけの事なのに演奏の重みと深みが増していく。
「こ、これがカリスマの力!」
「すばらしい! ワンダフル! だけど……」
「うん、だけどねぇ……」
二人のおかげで確かに演奏は素晴らしい物になった、しかし三姉妹の顔は優れないままだ。
『カスタネットとタンバリンじゃ肝心の音が……』
「やっぱり?」
「でしょうねぇ」
もっともである。
「万事休すか……」
「めるぽ!」
「ソロ活動始めようかな~」
「ふふふふふ、もう諦めちゃうの?」
「神の領域に到達するのは不可能」
「そう思っていた時期が私達にもありました」
「な、何者っ!?」
しかし真のヒーローは本当の窮地に現れる物、
それがたとえ物陰に隠れて登場する機会を伺っていたものだととしても。
「この西行寺家当主をお忘れ?」
「微力ながらお手伝いさせていただきます!」
「幽々子様! 妖夢殿!」
「お嬢様! 紅魔館顔役一同集めてきましたわ!」
「咲夜! それにパチュリーと美鈴も!」
「紫様、私を置いていくなんて酷いですね」
「藍!」
「永夜組も忘れてもらっては困るわ!」
「…………」
「誰か反応してよ!!」
ある者は切り立った崖の上から、またある者は地面に突き刺さったオンバシラの影に、
深い深い森の中からも、果ては地面の下から勢いよくおいすーしながら。
「ルナサ・プリズムリバーよ、もう私達に足りない物はありません! 存分に奏でましょう!」
「わかりました幽々子様、皆、準備は出来た?」
『応っ!』
それぞれの手に楽器を持ち、幻想郷中の弾娘達が居並ぶ、
今この瞬間、彼女達の心は完全にひとつとなったのだ。
「博麗霊夢、そして山の神よ! 私達の演奏でその戦いを今彩らん!!」
「あ、もう終わったわよ」
Stage Clear !!
のちに博麗 霊夢は語った、
楽器を構え、血の涙を流し続けながら迫り来る人と妖怪の群れは
今までに生き抜いてきたどの戦いよりも激しく、辛いものだったわ、と、
神社の縁側で出涸らし茶をすすり、満足げに笑いながら、ぽつりぽつり。
>わかる人にはわかる原動機付きのこぎり
確かにあれって原典ではノコギリだけど…w
楽しませていただきました。(@@
チェ○○○○って、もう何年前なのだろう。(==lll
>あ、もう終わったわよ
霊夢ひでぇwwww
霊夢がボケにまわると殺伐とするのはなんでだろう
笑わせていただきましたw
ただ途中、誰が喋ってるのかわからなくなる部分があったので、そこらを気に掛けてもらえるともっと読みやすくなるかなと思います。
それすらも打ち消す勢いがありましたがw
6面タイトルが略されてるところで舌噛んじゃいましたよw
>旧聞史紀
これめっさ読んでみてぇわw
極東シリーズ面白いwww
それはそうと、もしかして紫様が持っているのはタンバリンではなく
トライアングルでは?
三角の黄金楽器ってあるし・・・
この作品を見るの二、三回目なのに今更気付いた・・・