Coolier - 新生・東方創想話

東方放浪記 ~対峙~

2007/11/19 08:33:12
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※ これは『東方放浪記 ~人食い~』の続きです。










 人里は夜でも賑わっていた。
妖怪向けの店があるくらいなのだからほとんど深夜まで賑わっているといってもいいだろう。
 私は時計くらいしか機能のなくなった携帯電話を取り出す。
十時半ジャスト。
 私が山に入った理由も夕食の確保だったので四時過ぎだった。
そこからこの幻想郷に来て、霊夢を説得して家を確保し、少し離れた里まで来たのだ、こんな時間になるのも無理は無い。
何故霊夢がこんな時間まで夕飯を食べなかったのかは不思議だが、そこは他人の事情、あまり突っ込むのもよくないだろう。
 まぁそれは置いておいて、霊夢から渡された資金で何が買えるか考える。
しかしこの金額、少なすぎやしないか?
米がギリギリ二人前じゃないか。
「……米だけでも買って帰りますか」
 米屋を探しに歩き出す。
この時間帯に開いているのかと不安にもなったが、幸い開いていた。
一体何に対して売っているのだろうか……。
「いらっしゃい」
 入り口で思考していると、店の奥から店主らしき男が出てきた。
「おっ、見ない格好だな。おまえさん、外の人間か?」
「えっ?あっ、まぁそうですけど……」
「なぁ、外の世界には『せいまいき』って言う便利な機械があるって本当なのか?教えてくれよ」
「はぁ……一応ありますけど……」
「作れる?」
「作れません」
 何を考えているんだ?この店主。
「なんだ、作れないのか。で、お客さん何買うの?」
 店主の言い方に腹が立ち、殴りたくなってきたが、これ以上関係を持つのも面倒なのでさっさと用件を済ませることにした。
「白米を二人分くらい」
「あいよ」
 物言いは雑でも仕事はしっかりやるようで、テキパキと米を袋に詰めてくれた。
私が代金を払おうとすると、店主がそれを止めた。
「いいよ、ただでやる。外から来たんだ、どうせ金もそんなに持ってないんだろ」
「でも……」
「サービスサービス。どうしても渡したいってんなら受け取るけどな」
 嗚呼……どうやら私は勘違いしていたようだ。
こんなにも男っ気あふれる人に何故殴りかかろうとしていたのだろうか。
その時の自分を殴ってやりたい。
 あちらの世界ではなかなか味わうことのできなかった感動だった。
「しかし、夜でも賑やかですよね、ここ」
 こんないい人ならもう少し仲を深めてもいい気がしてきた。
「いや、今日は少ない方さ。妖怪が入るのも制限されたし、人間もこの時間になると外に出ない」
「……やっぱり人食いですか」
「情報が早いね」
 そう言って店主は皮肉気に笑った。
「そうさ、みんなあいつの所為さ。おかげで商売上がったりだ。何とかしてくれよ――ってったってあんたに言っても無理か」
「そいつの特徴とかは?」
「身長は低くて、年は十五、六か。後はわかんないな。自衛団の奴らだって一回会ったっきりだ。それ以上の情報を俺が知ってるわけがない。おい、どうした?そんなに考え詰めたような顔をして」
「いえ……別に……」
 口ではそういったものの、内心はかなり参っていた。
予想が確信に変わろうとしている。
やはり『完全消滅』(オールクリア)か……。
情報が少なすぎるので確信はできないが、もう八割がたそう思っている。
 店主にお礼を言って店をあとにする。
 『正義病』(シック)や『女王』(クイーン)ではなく、よりによって『完全消滅』である。
人間関係を形成するにあたって最も紹介しにくい人物だと私は思っている。
以前、私は彼に『何故人を食べるのですか?』と、訊いたことがあった。
彼は即座にこう答えた。
『牛や豚や鶏の肉は食ってもいいのに、なんで人の肉は食っちゃいけないんだ?』
その言葉を聞いた時から、私は彼を矯正するのをやめた。
そのまま受け入れることにした。

自分は受け入れられないくせに、他人を受け入れようとした。

もしかするとそんな矛盾が今、跳ね返ってきているのではないか?
こんな未開の地に、これからって時に、一番会いたくない知り合いがいるなんて――
「そこの男、止まれ」
 そこまで考えた時、誰かに声をかけられた。
私が立ち止まると、どんどんと集まってきて、私を中心に円を描くようになった。
見れば全員が帯刀している。
和やかな雰囲気でもない。
「なんなんですか?あなたたちは」
 そんな問いかけにリーダー格らしき男が答える。
「我々はこの里の自衛団だ。よろしくな外の者」
口調からするにしてよろしくやるつもりは毛頭にもないようだ。
「いくら外の者でもこの里に人食いが出ているのは知っているだろう。貴様は怪しいから身体検査をさせてもらう」
「ちょっ、ちょっと待ってください。人食いの特徴は小柄で十五、六のはずでしょう?」
「確かにそういう報告も入ってはいる。しかし、見たのは一回、しかも一瞬だったとしたら、これほど曖昧な情報はないだろう」
「でも、里にはその情報が――」
「我々が故意に流したのだ。人々を安心させるためにな」
「…………」
「分かったなら調べさせてもらうぞ。なに、抵抗しなければすぐに終わる」
 私は黙って両手を上げる。
三人くらいの者が私の体を軽く叩き始める。
その時、三人の中の一人が叫んだ。
「隊長!ナイフです!こいつ、ナイフを所持してます!」
 うまくやればばれないと思っていたが、残念ながらばれてしまった。
 隊長と呼ばれた男は、鬼の首でも取ったかのように笑った。
「決定的な証拠が出てきてしまったな、人食い。さぁどうする?ここで暴れて割き裂かれるか、それともおとなしく付いてきて牢屋で死期を待つか」
「…………」
「後者を選んだか。賢明な判断だよ、人食い。よしっ、こいつを牢屋に――」

「その人は人食いじゃないわ」

 突然、そんな声が聞こえた。
見れば、霊夢がそこに立っているではないか。
「霊夢……なんでここに……」
「これはこれは、巫女様じゃありませんか」
 男の態度が急に恭しくなった。
「先ほどの発言、どういった意味なのでしょうか?」
「そのままよ、与一さんは人食いじゃない」
「しかし巫女様、こやつはナイフという確実に人を殺せる決定的な証拠を持っていたのですよ」
「それならあなたたちだって刀を持ってるじゃない。それだって人を殺せるわよ」
「こ、これは自衛のためであって、そういう風には――」
「だったら与一さんが自衛のためにナイフを持ってたって不思議じゃないわ。なんせ人食いが出てるんだから」
「…………」
「分かったら与一さんを解放してあげなさい」
 霊夢がそういうと、男たちはしぶしぶ手を離していった。
「……行くぞ」
 体長格の男は隊員を引き連れて去っていった。
「大丈夫だった?」
「ええ、まぁ……。しかし、なんなんですか、あいつらは。勝手に怪しいとか言って、勝手に人食いに仕立てて」
「里の自衛団よ。やり方が粗暴だから人間にも妖怪にも嫌われてるわ」
「あんなんでよく自衛できてますね、この里」
「自衛団なんて滅多に働かないわ。青年団の方が絶対働いてると思うのよ。あっ、青年団ってのはね、ボランティアで自衛団の仕事をしてる団体のこと」
「正規よりボランティアの方が多く働いてるなんて、まさに滑稽ですね。ところで霊夢、何故にここまで?」
 霊夢はお札を取り出したかと思うと、それを私に向かって投げつけてきた。
お札は腹にクリーンヒットし、そのまま地面に倒れこんだ。
このお札、異常に威力が強い。
「なんで、って、与一さんがなかなか帰ってこないからよ!お金を渡しただけで盗まれたかと思うといてもたってもいられないのは当然じゃない!」
「そっちの心配か!」
 私の信用は皆無のようだ。
今日現われて、いきなり居候させてくれという奴など信用できないのは分かるが、せめてもっと遠まわしに言って欲しかった。
「盗みませんよ、自分から住居をなくしてどうするんですか。証拠にほら、米を買ってきましたし」
 持っていた袋を霊夢に渡す。
「米だけっていうのも興が冷めるわね」
「あの資金でどうやり繰りせよと?これが精一杯です。と言うよりもこれただで貰いましたよ」
「ナイスよ、与一さん」
 霊夢は親指を立て、会心の笑みを浮かべる。
ただって言葉と、貰うって言葉、好きそうだもんな。
「与一さん、あなたはなかなかの才能があるわ」
「あまり聞きたくないんですけど、何の才能ですか?」
「雑用」
 後悔すると知っていてもやってしまう、好奇心って罪だな……。
「さて、食料も確保できたし、帰りましょ」
「いえ、まだ一つやることが」
 私は大きく息を吸い込み、

「いつまで高みの見物を決め込んでいるのですか!?『完全消滅』!」

 と、言った。
「与一さん?何言ってるの?」
 霊夢が不思議そうに訊いた。
霊夢だけではない、声の聞こえる範囲に居た人間は皆こちらを見て不思議そうな顔をしている。

一人を除いて。

一人――民家の屋根に座ってこちらを見下ろしている少年は笑っていた。
可笑しいという笑い方ではなく、ただ単にうれしいというような笑い方。
奴こそが『完全消滅』。
 そいつは屋根から下りると、ゆっくりと歩きながら近づいてきた。
「いつから気づいてた?」
「自衛団の奴らに身体検査される直前ですよ。あなた、その時から笑ってましたよね」
 奴は残念そうな顔をしたが、まだ笑っているようにも見える。
「そうか、俺もなるべく気配を消したはずなんだけどな……さすがだ、と賞賛の言葉を送らざるえないよ『案内人』(スケアクロウ)」
 『案内人』――それは私に架せられた二つ名と言う名の十字架。
蔑称と呼んだっていい。
なぜなら私は――
「しかし驚いた。『案内人』までここに来てたなんて。これはもう運命のめぐり合わせとしか言いようがないね」
「これが運命のめぐり合わせだとすれば、私の運命は茨の道なんですね」
「ああ、そうだろ」
 皮肉気に言った言葉も肯定で返された。
「俺たちに茨の道以外に進むところなんて無かったはずだぜ。特に『死天』の四人にはな」
 『死天』――それは『正義病』を筆頭とする、『完全消滅』、『女王』、そして『案内人』の四人からなる組織である。
いや、四人からなる組織というのはここでは適切ではないだろう。
『死天』は一人と一人と一人と一人からなる、他人に勝手に枠組みされた団体である、と言ったほうがあっている。
己の正義を信じ、正義のために人を殺し、正義の名の下に悪を葬る――『正義病』
 自らは手を下さず、他人を操り、戦局を混乱させる――『女王』
 狙われた標的は見る影もなく、骨だけになる――『完全消滅』
 他人を地獄にしか導けない案山子――『案内人』
 こんな四人の息が合うわけが無い。
「ま、その『死天』だって、今では二分してるからな」
 そう、今『死天』はお互いに対立している。
私と『完全消滅』、『正義病』と『女王』に。
といっても、表立って対立しているのはせいぜい『完全消滅』と『女王』くらいで私と『正義病』は息が合わない程度にしか思っていないし、息が合わないのは当たり前とも思っているので、たいした問題にはならない。
「いや、しかし会ったのが『案内人』でよかったよ。『正義病』だと気まずいし、『女王』だと話にならん」
 息が合わないと思っているのは全員が思っていることだが、『完全消滅』と『女王』に関しては息が合わないどころじゃ済まされない。
あいつらを見れば犬猿の中なんて仲良しだといえるくらいにお互いいがみ合っている。
「ちょっと、与一さん」
 霊夢が小声で話しかけたことで、私の長い説明は打ち切られた。
今思えば誰に向かって説明していたのだろうか?
「あいつってもしかして……人食い?」
「そうみたいですね。人を食うなんて私の知ってる範囲ではあいつくらいしか知りませんから」
「ん~?何こそこそしゃべってんだ?俺に言えないような内容なのか?」
「一つ訊くわ」
 霊夢が間髪居れずに訊いた。
「あなたが人食い?」
「ああ、そうだけど。それがどうかしたか?」
「あなた、自分がやってること分かってるんでしょうね」
「おいおいおい、理解してるからやってるんだぜ。俺は夢遊病者じゃねーよ」
「そう、分かったわ」
「ん?何が分かったんだ?よければ俺にも教えてほしいな」

「あんたが救いようの無いところまで達してるってことよ」

 霊夢は針を構える。
「へぇ、言うじゃないか」
 『完全消滅』はベルトに差してあるカッターナイフに手をかける。
 どちらが先とも言わずに動き出す。
 そろそろ頃合かな。
「そこまで」
 両者の得物が届くことは無かった。
なぜなら二人の空いている手を私がつかんで引っ張っているのだから。
場違いではあるが、こんなときくらいしか使いようの無い私の腕の長さだ。
「ちょっと!なんで止めるのよ!」
 霊夢が怒鳴る。
当たり前だ、振り絞った勇気をずたずたに引き裂かれたのだから。
当然だ、決心した心が無残にも砕け散ったのだから。
それでも、私は止めたことを間違ったとは思ってはいない。
「霊夢、あなたなら自分が肉弾戦では勝てないことは分かっていたはずですよ」
「…………」
 霊夢は黙ったまましゃべらなくなった。
「『完全消滅』、あなたはまた、肉を貪るだけの獣に戻りたいのですか?」
 『完全消滅』はその言葉に少しだけ反応し、数秒、間をおいて静かに言った。
「分かったよ、いいからこの手を離せ」
「…………」
 言い方が気に食わなかったが、とりあえず落ち着いたようなので手を離してやる。
『完全消滅』はカッターを仕舞うと、ポケットに手を突っ込み深いため息をついた。
「どうするんだよ。そっちの巫女さんは俺を追い払いたくてしょうがないって感じなんだが」
「簡単です。勝負すればいい」
「……さっき止めただろうが」
 忌々しげにこちらを見てきた。
「誰が殺しあいで勝負しろなんていったんですか。あなたは戦闘馬鹿じゃないでしょう?例えばですね――これなんてどうでしょう」
 そう言って、私は内ポケットに入っていたコインを『完全消滅』に向かって投げる。
それを『完全消滅』は綺麗にキャッチする。
「コイン……?」
「そうです。あなただってコイントスくらいは知ってるはずです。ならばそれで賭けをしましょう」
「賭け、ねぇ……『案内人』が勝ったら俺がここを出て行くってもは分かるが、俺が勝ったらどうしてくれるんだい?」
「私が全力を持ってあなたを支援します。それでいいですか?」
「ん~……ああ、いいぜ」
 『完全消滅』は歯切れが悪そうに言った。
「霊夢も、それでいいですよね」
「…………」
 沈黙を肯定と受け取った。
「では『完全消滅』、投げてください」
「……俺が投げるのかよ」
「投げてくれなきゃ意味ないじゃないですか」
 『完全消滅』は諦めたような顔でコインをはじき、左手の甲にうまく乗せて、右手で覆った。
「heads or tails?(表か裏か)」
 本格的にしたいのか、いきなり英語でしゃべってきた。
しかし、それに対する私の答えはコインを渡した時からもう決まっていた。
「of course, it’s heads(言うまでもなく、表だ)」
 『完全消滅』は焦らすようにゆっくりと手をどける。

そこにあったコインは――表だった。

周りから「おぉー」と言う声が沸く。
……周りから?
見回してみると、周りには沢山の人だかりができていた。
いつの間に……。
「俺も負けだな。約束どおり、ここから出て行ってやるよ。まっ、ちょうどいい引き際だったしな」
「おいおい、負け惜しみかよ」
「みっともないなぁ、人食い」
 あたりから野次が飛ぶ。
皆、集団の中だと安心感が生まれるのであろう。
「負け惜しみじゃないっての。そもそもこれは勝負じゃねぇ。

両方表のコインを渡した奴が裏なんて言うわけ無いだろ」

 一気にしんとなる。
って言うか全員が私のほうを見ている。
なんていうのかな……視線が痛い。
「いつ、分かったんですか?」
 私はよく分からない痛みに耐えながら訊いてみた。
「渡された時からだよ。感覚で分かっちまった。ここを出るいい口実になるからあえて乗ったんだがな」
 そう言って奴は踵を返す。
「じゃあな、『案内人』。次にあう時はもっと地獄になるかも知んないが、仲良くやっていこうぜ。あっ、あとこれ面白いから貰っとくわ」
 こうして里を恐怖に陥れた人食いは去っていった。
同時に私はヒーローになり損ねた。
まぁ、なりたかったわけでもないんだが、いい印象を与えておきたかったのは確かだ。
だが、結果的に里に名前が広まったのでよしとする。





 ~後日談~
 昨日(零時を過ぎていたので今日となる)はいろいろと有りすぎて疲れたので午後まで惰眠を貪っている。
霊夢も忘れているのか、はたまた気配りでそうしているのかは分からないが何も言ってはこない。
 そんなこんなで午後四時。
寝ようにも腹が減るを通り越して、腹が痛くなってきたので起きる。
上半身を起こして暫く眠気を取る。
すると、いきなり目の前の空間が割れて一人の女が顔を出した。

「はぁい♪」

「…………」
 はっきり言って眠気なんて吹き飛んだ。
どころか三秒程度思考が停止した。
「反応がないとお姉さん困っちゃうかも」
「……反応が欲しければ普通に登場してください」
 心から切実なる思いだった。
「元気そうで何よりだわ、『案内人』。さすが『死天』の一員ね」
「知ってるんですね、『死天』のこと」
「ええ、そっちの方の知り合いに聞いたことがあるわ。『奇人揃いの四人組』ってね」
「誰ですか?そんなこと言いふらした奴は」
「まぁそんなことは置いといて、今日はお礼に来たのよ」
「お礼?私、お礼を言われるようなことをしましたっけ?」
「人食い退治よ。アレには私もほとほと困ってたところだったから」
「ああ、アレですか。いいですよ、お礼なんか。私が気まぐれでやったことなんだから」
「たとえそれが故意でなくてもきっちり返すって言うのが私の主義なのよ。何がいい?」
 ここで断るほど私は人間をやめてはいない。
「そうですね……じゃあ私の部屋に在るもの全部こっちに出してください。出来ますか?」
「お安い御用よ」
 そう言って紫は指をパチンッと鳴らす。
すると、またもや空間が割け、そこから物が落ちてくる。
ガチャガチャと音を立てながら。
「……乱暴ですね」
「私はもってこいと言われただけよ。それじゃあ、お礼も済ましたし、またね」
 スキマの中へと戻っていく。
 部屋には私と、積まれた物体だけが残った。
「あの妖怪……お礼する気あったのか?」
 愚痴を呟きながらも、積まれた山へと向き合った。
そこからあるものを引っ張り出す。
「自分の得物くらいはきちんと管理しないとね」
 私の手には大鎌が握られていた。
黒光りし、片方に小振りの刃、もう片方に大振りの刃が付いている。
明らかに型破りなものだった。
「どんなものでも使っていくうちに愛着が沸く――誰も言葉だったっけな?まぁいいや」
 大鎌を山から少し離れたところに置いて、部屋を出る。
紫の登場によって本来の目的を忘れていた。
今にも空腹で倒れそうだ。
 居間に入ってみると、案の定霊夢がいた。
私はそのまま「昨日の米はどこですか?」と聞きたかったのだが、霊夢の一言によってその言葉は口から出ることは無かった。

「お米、なくなっちゃったから買いに行ってきて」

 眩暈がしてきた。
どうも、鏡面世界です。
やっと一日目が終了。
今思えば前の三つを一つにして出せばよかったと後悔。
一日目にしてオリジナル要素が多すぎました。(『死天』だとか、『案内人』だとか)
ちなみにタイトルの~対峙~は退治とかけてます。
『』内はルビの方で読んでいただけると幸いです。(無ければそのまま)
鏡面世界
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コメント



0.150簡易評価
3.無評価名前が無い程度の能力削除
東方成分が二割八分六厘にも満たない、としか…
ここが何のサイトだか忘れるほどに
5.-30名前が無い程度の能力削除
話は悪くないと思いますが、余りにも東方分が少なすぎます。
ここまでオリジナルのキャラクターが出るならば、別の場所に投稿して頂いた方がいいと思います。
幻想郷の住人の存在理由が希薄であり、此処の主旨に沿わないと思ったためこのような点数とさせていただきました。
6.50名前が無い程度の能力削除
話自体は悪くないんですが・・・
トリップしましたね。別の場所やご自分のホームページに掲載したらいかがでしょう。
随分長くて大変だったでしょうけれど、書き直されたほうがいいかもです。今までの流れから、惜しい・・・
るーみゃやれみりゃくらいにしておいたほうが、まだ無難だったかも。
7.無評価名前が無い程度の能力削除
ライトノベルに霊夢がゲストキャラクターとして出て来たようにしか感じられませんでした
8.40堰碎-鋼霧蒼削除
毎回面白く見させて頂いておりますが今回は他と重複する様ですがオリジナルが強すぎな気がします。もう少し長くして、他の東方キャラを補充したところで終わらせた方が良かったかもしれません。話を読む上で、他の東方キャラが出現できる場所はまだ有ります。例えば「人里に来たのですから慧音を出したり」、「帰りの道中で誰か出してみたり」等、十分可能です。

点数は『次回への期待と改善』と『今回の反省』の二点でつけさせていただきました。(ちょっと偉そうにしてしまった・・・すみません)
9.50名前が無い程度の能力削除
フランドールや紫、妹紅といった連中は骨さえ残さない殺し方が出来るのに、
『完全消滅』とは名前負けもいいところ。
他の『死天』とやら達も、レミリアや幽々子などの下位互換としか…
彼等が調子に乗ったところで、幻想郷では軽々と潰されてしまうのでは?
話そのものは面白いと感じただけに、上記の点が気になってしまいました。

10.30名前が無い程度の能力削除
もう皆様が言っていることなのですが、敢えて。
ここに来る読者は「東方」が読みたいんですよ。「幻想郷」が見たいんですよ。
オリジナル設定とキャラが出るなら、それと東方が絡み合うケミストリーをこそ、まず期待しているのです。
そこが決定的に足りない。もどかしい。

あと、東方キャラに関しては誰もが把握していますが、
あなたのオリジナルキャラに関しては誰も予備知識を持っていません。
その紹介も曖昧なため、知っているキャラと知らないキャラが絡み合うという
作者と読者の微妙な齟齬が生まれてしまいます。
完全オリジナルですべき手法を二次でも同じように使うと、どうしてもそのギャップは埋められないと思うのですが。

長々と上から見たような物言いで申し訳ないです。
でもそれは、この作品にはまだ「東方二次創作」としての可能性がまだまだ
残されている思う故です。
面白いか否か、と単純に問われれば、面白い作品であるとは思います。
しかし創想話投稿作品となると、いささか評価をためらってしまうのですよ。
12.60名前がない程度の能力削除
もっと東方キャラが絡んでくれば評価もよくなるんじゃないかな。
創想話を読みに来てる人にはつまらないかもしれない。
俺はいい作品だと思うけどね。
次に期待します。