《注 これは『霊夢推理劇場 紅魔館の犯罪~誰がレミリアを殺したか?~ 《事件編》』という長いタイトルの作品の続きです。本当にいきなり続くので前作を読んでいないと意味が解りません》
「そう、それはご苦労な話ね~…」
博麗霊夢の宣言を聞いた八雲紫の反応はごく簡単なものだった。
「…以前にそこの鴉の出した推理を見事解いたんですって?その余裕かしら?」
「…なんでそんなこと知ってるの?」
霊夢は紫を横目に見る。
「魔理沙が宴会のとき話のネタにしているのを聞いたのよ」
「…ふぅん」
「…ところで、霊夢はこれから紅魔館に行くのかしら?」
「何言ってるのよ、あんたも来るのよ紫」
外出の準備をしながら、霊夢は紫を睨んだ。
「あら、どうして私まで…?私は別にそんなレミリアが誰に刺されたかーなんて興味ないわ」
「あんた今紅魔館で最有力の容疑者になってるのよ?自分の潔白ぐらい自分で証明しに行きなさいよ」
「別に私はレミリアを刺してなんていないという事実があるんだから、紅魔館の連中にどう思われようと知ったことではないわ。それに、今日はこれから香霖堂へ行こうと思のよねぇ…」
霊夢の頭のリボンを結び直していた手が、ぴたりと止まる。
「…香霖堂へ…?何でまた…?」
「何でも最近大量に外の衣服が流れてきたらしいのよ。そういう店にあったものが殆ど丸ごと幻想郷に流れてきたらしいのよ。それで一度は確認しておかないと、と思ってねぇ…」
「……ふぅん…」
ちょっと不審そうな顔をしたが、霊夢は再び準備の手を動かし始める。
「まぁ別にいいけど、それぐらいの用事なら後回しにしなさいよ。とりあえず今は付いて来なさい」
「…ふぅ、強引ねぇ…まぁ、そこまで言うなら付いて行くのも吝かじゃないけれど…?」
さきほどまで嫌がっていた割にはこれまたあっさりと妥協する。…一体何を考えているのか図りかねる態度だ。
「私も当然同行させて貰いますよ」
文もメモを片手に立ち上がる。
そうして、三人はようやく紅魔館へと向かうことになった。
*
「なぁ、もういい加減に帰ってもいいだろう?」
魔理沙は唇を尖らせながら不服そうに言った。
「駄目よ」
パチュリーがきっぱりとそれを拒否する。
「だってお前、犯人は紫で決まりだぜ。大体、それはお前自分で言い出したことじゃないか」
「そうなんだけど…腑に落ちないの」
パチュリーはしきりに考えるように腕を組む。
「紫が犯人だとすると…咲夜を閉じ込めた理由が解らなくなる…」
「どうしてですか?」
咲夜が不思議そうに尋ねる。
「レミィは最初から可能性にカウントしてなかったけれど…もし咲夜に閉じ込められていたというアリバイが無ければ、魔理沙たちは咲夜が犯人ってことでこの事件を完結させていたはずだわ。つまり、咲夜を閉じ込めさえしておけば、紫は少なくとも自分一人に注意が向くということは無くなるのよ。それなら普通、閉じ込めたりはしないはずよ」
言われてみれば正に理屈だ。しかし…
「相手はあの紫だぜ?あいつはちょっと普通じゃない…どころじゃないからな。それぐらい意味の解らんこともするさ」
暴論だが、魔理沙の言いたいことも理解出来ないではない。つまりは撹乱のつもりでの咲夜を閉じ込めるという一手…その可能性もゼロではないのだ。
しかしそうだとすれば…
「あまりに易過ぎるわ…」
八雲紫がそんなに易い相手であっていいのだろうか?
「ちょっと考えすぎなんじゃないの、パチェ」
レミリアもちょっと呆れ気味である。
…と、その時いきなり応接間の扉がバンと強烈な勢いで開かれた。
「霊夢」
入ってきた三人の中心に立つ人物の姿を見てアリスが驚いたように声を上げた。
「おいおい、パーティーは昨日だぜ」
「どう見てもまだ続いているように見えるけど?」
魔理沙の冗談を軽くいなして、霊夢は全員の正面に立った。霊夢の後ろから、八雲紫と射命丸文が付いて歩いてくる。その姿をみてアリスが思わず声を上げてしまう。
「ゆ…紫!?」
「そこの鴉が呼んできたの?」
いきなりの容疑者本人の登場に、珍しくレミリアも少し驚いているようだ。
「不必要な時は頼んでいないのに出てくるが、必要な時となるといくら探しても見つからないこいつをよく連れてこれたな」
魔理沙も感心したように言う。
「そこは記者たる私の人徳の為せるところなのです」
「ウチにいたからでしょ」
調子に乗って胸を反らす文を、霊夢がばっさりと切り捨てる。
「ウチに居たぁ?そりゃどういう意味だ?」
「どういう意味も何も…鴉が来たときに紫はウチに居たのよ」
「こんな朝からか?」
訝しげに見つめてくる魔理沙に、紫が答える。
「私は昨日の夜…嵐が来る少し前からずっとさっきまで、博麗神社にいたのよ」
「!!」
紫の言葉に、この部屋に居る全員が驚きの表情を見せた。
レミリアが刺されたのは嵐が来てから…つまり、嵐が起こる以前から博麗神社に居る以上アリバイは成立してることになる。
「いやっ!いやいや」魔理沙が掌をかざす。
「…それこそ言葉のマジックだぜ。霊夢のところに泊まったからって言っても紫ならちょっと目を離している隙にここに来ることも可能なはずだぜ!つまり、完全な不在証明にはならないってことだ」
しかし、紫は余裕の笑みを消さない。
「こう言っているけれど?霊夢…」
霊夢は一つため息を吐くと、仕方なさそうに言った。
「紫とは一晩中二人で麻雀をしていたのよ…二人とも一回も座を離れなかったし、私はイカサマを仕込まれないようにずっと紫の手元に注意を払っていたからまさか、手先だけで何かをしたってことも絶対に無いわ」
「ま…麻雀だってぇ?」
何という露骨な不在証明!普段、そんなことは一度もしたことが無いにも拘らず…紅魔館で事件が起こったその晩だけ、霊夢のところで麻雀をして一晩明かすという…とてもじゃないが、自然な産物とは思えない。
…かと言って、霊夢が紫の肩を持つとは思えないので、そのアリバイはあくまで本物なのだろう。
つまり、紫は犯人では有り得ない…ということなのだ。
しかし、紫はこの事件について確実に何らかの事実を握っているはずだ。そうでなければ狙い澄ましたかのように霊夢のところでアリバイ作りを出来るはずがない。
「悪いけれど、そういうわけだからあなた達の私が犯人という説は、却下させて戴くわ」
小首を傾げながら、微笑む紫。
完全にこういう展開になることを見越していたとしか思えないが……
結局、魔理沙達の推理は振出へと戻ってしまった。
「あーもー…正直レミリアを刺したのなんてもう誰でもいいぜ…いい加減こうしているのにも飽きてきた…」
魔理沙はソファに身体を沈めながら両手を頭の後ろに回した。
「…そうね…私ももう帰りたいわ…」
アリスも髪の毛をいじりながらうんざりしたように言う。
誰を犯人にしてみても、どういう訳か袋小路にたどり着いてしまう…唯一の解決の希望と思われた紫犯人説すらも、こうして反論のしようもないような不在証明を叩きつけられてしまったのだ。うんざりするのも無理からぬ事だろう。
「何言ってるのよ」
そんな雰囲気の中にあって、霊夢は一人だけ、両手を腰に当てて屹然として言い放った。
「私が解決させるって言ってるでしょう?勝手に終了させられたら堪らないわ」
「…とは言ってもだ霊夢…今回は勘で真犯人にたどり着くという話ではないぜ?何しろ誰に行き当たっても全員に不在証明があるからな…」
片手をひらひらと振る魔理沙。
「それよ」
霊夢はビシリと指を差した。
「それって?」
「不在証明。各人、どうして犯行が無理とされているのか…それを整理しましょう」
「整理っつってもな……」
「例えば魔理沙……あんたはどうして犯人と疑われないのかしら?」
「え?そりゃ、レミリアの死体が発見されるまで私とアリスはずっとパーティーホールに居たんだ。まぁ最終的に私とアリスしか残っていなかったが、互いにアリバイは証明出来るぜ」
「じゃあパチュリーは?」
話を振られて、パチュリーは少しだけ顔を動かす。
「私の場合はパーティー中もほとんど図書館に居たから証言してくれる人は居ないけど…廊下に立っていたメイド達は私がレミィの部屋に向かうのを目撃していないから、犯行は無理よ」
「あぁ…」
言われてみれば、パチュリーに具体的な不在証明は無かった……ただ、メイドたちの目撃証言の壁があるから、犯人ではないと推定されているだけなのだ。
「そう言えば前に読んだ事があるわ…」アリスが思い出したように言う。
「…外のミステリの本だけど…内側から鍵の掛かっている密室で殺人事件が起こるのよ。それは絶対に細工なんて出来ないような扉だったんだけど…犯人の姿は室内には無かった…」
「で?真相は?」
魔理沙が促す。
「実はその密室の中には人が居たけれど、誰も気付かなかったのよ」
「は?そりゃどういう能力だ?」
「能力じゃなくて。普段居て当たり前と思っている人だったから誰もその人が室内にいることを不自然に思わなくって、見落としてしまっていたというのが真相なの」
アリスは最後まで言わなかったが…しかしその真意は十分に全員が汲み取っていた。
「…つまるところ、アリスさんはレミリアさんの部屋に誰も行っていないという証言自体が間違いだ、と言いたいわけですね?本当はパチュリーさんがレミリアさんの部屋に行ったけれど、メイド達はその当たり前の様子に注意を払うこともなく、結果的に見過ごしてしまった…と」
文が要約する。
「ちょっと、それは聞き捨てならないわ…」
さすがにパチュリーが割り込んでくる。
「そんな突飛な話を本気にする時点でおかしいし、そもそもその理論を採用するならメイド達はレミィの姿に気付かないはずじゃない」
それは確かに言えていた。…が、魔理沙がすかさず言う。
「いや、レミリアは普段咲夜を連れて歩いているが、あのときは一人だったはず…だから印象に残ったんじゃないか?」
「変に話をこじらせないで」
そんなやりとりを止める様に、霊夢は少し大きな声で言う。
「パチュリーの話は解ったから、次は咲夜ね」
「私は…パーティーの途中でワイン庫へ行って…そのまま閉じ込められていたわ。魔理沙が見つけるまでの間ずっと身動き取れない状態だったから、一応は不在証明が成立するわね」
咲夜は淡々と答える。
「閉じ込められたのが事件以降だとすると不在証明は成立しないんだけど…やっぱり、自分を閉じ込めるのは鍵のタイプからしていくら時間を操れたとしても無理だし嘘は吐いていない…か」
霊夢はうむうむと呟く。
「他のメイド達のアリバイはどうなってるのかしら?」
咲夜が全員を代表して答える。
「メイド達の部屋は数人の相部屋だから…全員のアリバイを確認出来てるわ。…まぁそもそもあの連中にレミリア様を刺せるとは思えないけど…」
「じゃあ、レミリアの妹は?」
「ずっとお部屋ですわ」
「それに、フランが刺すだけなんて中途半端なこと絶対にするはずないでしょう?…だからこれまで話題にも上がらなかったのよ」
レミリアの言葉は、妹への信頼というにはあまりにも激しいものだが、それもまた真実だろう。
「美鈴は…?」
「「「「「無い」」」」」
以上。
粗方の全員の不在証明を聞きだした霊夢は、最後に紫へ顔を向けた。
「じゃあ次は…あんたね、紫」
びしり、と紫に指を突きつける。
「あら、さっき説明したじゃない?」
「いいからもう一度」
「…ま、良いわ。私は嵐が起こる少し前に霊夢のところへ行ったわ。それ以前は誰も証言してくれないけどね。でも、肝心のレミリアが刺された嵐以降、私はずっと霊夢と麻雀をしていた…だから犯行は不可能…これでいいかしら?」
扇で隠されて口は見えないが…その目元は笑っている。。
霊夢は一度息を吐くと言った。
「とりあえず、全員の状況は把握したわ。じゃあ次は…レミリアの部屋に行ってみましょうか」
ソファに身体を埋めていた魔理沙が、身体を起こした。
「レミリアの部屋へ?何しに行くんだ?」
「もちろん、捜査の基本は現場巡礼よ」
「現場百遍だろ。全然かすってもいないぜ」
「とにかく、行くのよ」
霊夢は、魔理沙並びに重要人物達(+文)を引き連れてレミリアの部屋へと向かった。
窓の無い、朝でも暗い部屋は、ランプで照らされてその血染めの様相を晒した。
「いくら紅魔館って名前にしたって酷いわね…これ、全部レミリアの血?」
霊夢は部屋の中を歩きながら尋ねる。
「最初はここまでじゃ無かったんだけど…魔理沙が…」
アリスがジトッとした視線で隣に立つ魔理沙を見る。
「何だ?私が何かしたか?」
「何かも何も!あんたが私の心臓に刺さったナイフを抜いたからこんなに血が出たんでしょ!こういうのは抜くと出血が酷くなるから抜かないのが鉄則でしょう!!」
レミリアが思い出して魔理沙に怒りをぶつける。
「…まぁ良いじゃないか。そのお陰でお前も目が覚めたんだから。私だって危うく返り血を浴びるところだったし、おあいこだ!」
「痛さのショックで気が付いただけよ!おあいこと言うなら、あんたの心臓にナイフ刺して引っ張り抜いてあげましょうか!?」
ぎゃーぎゃーと騒がしい後ろの連中を無視して、霊夢はレミリアが倒れていたというベッドに歩み寄る。
「…なるほど、ここが一番出血が酷いわね」
「まぁここが犯行現場なんだから当然でしょう?」と紫。
「確かにね」
霊夢はちょっとベッドに触れて、血の乾き具合を確認する。さすがに一晩経っているだけのことはあって、殆ど乾いている。
「ははは、ベッドに世界地図が出来てるぜレミリア」
「ちょっ…!語弊のある言い方するんじゃないわよ!ここのところはやってないわ!」
「……ここのところ?」
「!?」
魔理沙とレミリアたちは全く関係の無いところで盛り上がっている。…本当にこの事件についての興味を半ば失いかけているようだ。…自分が刺されたくせに…
「因みにそこに転がってるのがレミリアに刺さってたナイフよ」
アリスの指差す場所を照らし出してみると、なるほど確かにきらりと光っているものがある。拾い上げてみると、それは銀のナイフだった。
「あ!それは私のナイフですわ!」
いきなり咲夜が声を上げた。
「咲夜の?」
血のこびり付いたナイフを手渡してやると、咲夜は何度も頷いた。
「間違いないわ。これは私のナイフ」
「何だ?いきなり自白か?」
「違うわよ」と魔理沙の茶々などあっさりとかわして言う。
「でもおかしいわ。昨日…あ、もう一昨日ね。一昨日の夜に確認した時にはきちんと全部あったはずだけど…」
「一昨日というと当然パーティーの前日よね。その時までは全部あったっていうことは…」
アリスの言葉をパチュリーが引き継ぐ。
「盗まれたのはレミリアを刺す直前ってことかしら?」
「それはまた、よく動く犯人ねぇ」
紫がくすくすと笑う。
「あれ?もしかしてこれで咲夜さんを閉じ込めた理由がハッキリしたんじゃないですか?」
文が思いついたように言う…が、霊夢は納得出来ないように首を傾げた。
「咲夜のナイフを手に入れるために、咲夜を閉じ込めた…?う~ん、それはどうかしらね…」
「何か不満があるんですか?」
「別にレミリアを刺したいなら最初からナイフを持って来ればいいし…パーティーが始まってから刺すのを決心したとしても、盗むために閉じ込めるって言うのはちょっとピンとこないわねぇ…」
「そうですか?」
「まぁそのこともまとめて後で考えるとして、とりあえず次に魔理沙とアリスがレミリアの死体を見つけたって場所に行きましょう」
「だから死んでない」
霊夢たちは階段を下りて件のゲストルームに集まった。
先ほどの部屋とは違い、普通に窓があるのでランプの必要は無い。爽やかな朝の明るさが室内に満ちていた。
「で、ここが魔理沙たちが最初にレミリアを見つけた部屋ね…ふぅん…」
今度も同じように霊夢はベッドに最初にベッドに近寄った。
「こっちのベッドには血が付いていないわね」
シーツに触りながら霊夢は誰にともなく言う。
「そうだな…私達が最初にレミリアを見つけたときから血はそんなに出てなかったように思うぞ」
「そんなにって…ちょっとは出ていたってこと?それなのにシーツには一つのシミも無いの?」
う~ん、と魔理沙は腕を組む。
「確かにレミリアの服は血で紅くなってはいたんだ。…とすると、ここに運ばれた時にはもう乾いていたのかな?」
「いくらなんでもそんなに早くは乾かないわよ。第一、私が目が覚めたときまだ血はべっとりだったし」
レミリアがツッコミを入れる。
「…とするとおかしいな…何で血が付いて無いんだ?…犯人がシーツを代えたって事か?」
「どうかしら」と、パチュリーが魔理沙の意見に被せる。
「そうするといくつか疑問が残るわよ。第一に外したシーツは何処にいったのか…一体何時付け替えたのか…そして何よりそれを隠す必然性は何か……事件とこの場所を無関係に見せかけようとしたとしても、そもそも魔理沙とアリスに見られてるんだからそれこそ無意味だわ」
「う~ん……」
「…というより何より…」霊夢は床を指差しながら言う。
「シーツは取り替えられるけれど、床に付いた血が一滴も無いのはどういうことかしら?レミリアをここに運ぶまでに垂らさないように注意したの?」
「確かに」と文が頷く。
霊夢はベッドから離れ、今度は窓へと近づいた。がちゃがちゃと、窓を開けようとするが…鍵が掛かっているらしく、窓は開かない。
「この窓の鍵は昨日から掛かってる?」
「えぇ、すべての部屋の窓には鍵が掛かっているわよ。防犯のために」
霊夢の言葉に咲夜が答える。
「…まぁ、窓ぐらいはいくらでも突き破ってくる輩もいるわけだけど…」
ジッと睨まれても魔理沙はまるで意味を理解していないかのように平然としている。
「となると、昨日の夜窓から誰かが入ったというのも無しか…仮に窓が開いていたとしても、帰りに外から閉めて帰るのは無理だしね」
窓から目を離した霊夢は、今度は足元に目を止めた。
「うん?」
ちょっと首をかしげて屈み込むと、霊夢は床を触り始めた。
「どうかしたの?」
アリスの言葉に、霊夢は簡単に答える。
「ちょっと湿ってる」
「湿ってる?もしかして昨日雨が振り込んだの?…う~ん、まさか窓にガタがきて隙間でも出来ちゃってるんでしょうか…」
咲夜が困ったように頬に手を当てる。
「これはそういうことじゃないわ……なるほど。そうだったの…」
霊夢は呟いた。屈んだままなので、今一体どんな表情をしているのかは誰からも伺うことは出来ない。
「なんだよ、さっきから疑問ばっかりしか出てこないなぁ…何かもっとこう…一気に犯人の想像が付くような、大きな発見は無いのか?」
魔理沙が唇を尖らせるのを見て、霊夢は立ち上がりながらにやりと笑う。
「発見が無い?…どころか、今までの謎を一気に解決する解法を思いついたわ」
「「「え?」」」
…と、驚きの声を重ねたのは魔理沙とアリスと文だった。…それ以外の反応は薄い。
「何だよ、もったいぶるなよ霊夢。その解法って何だ?」
「言っても良いけど……このまま言うのはすごく癪なのよね…」
言いながら霊夢は紫のほうをジトッと睨むように見つめる。
「?」
どうしてそこで紫のことを睨むのかが解らない魔理沙は首を傾げる。
「あ…あの~…咲夜さ~ん……」
いきなり部屋の入り口の方からこっそりと咲夜を呼ぶ声がした。振り返ると、そこに居たのは美鈴だった。
「美鈴?門番の仕事はどうしたの」
「いえいえ!それが門の周辺を警邏中に不審な妖精を捕らえましたので報告に……」
咲夜に睨まれて美鈴は慌てて言い訳するように言う。
「妖精?そんなの悪戯したようなら適当に懲らしめて、迷い込んだようなら黙って帰してあげればいいじゃない」
「いえ~……あの、ともかく来てください」
何だかよく解らないが、手を焼いているらしい。咲夜は肩を落としてから
「解ったわよ」
と言ってゲストルームから出て行った。
「…私達も一度応接間に戻りましょうか。見るべきものは見たし」
霊夢の言葉で、全員一度応接間に戻ることになった。
「あたいったら最強ね!!」
応接間に入った瞬間に大声が聞こえた。姿を確認しなくてもその声だけで誰がそこに増えたのかが解る。
「不審な妖精ってのはチルノだったのか」
ソファにどっかりと座っているチルノを見て、魔理沙は呆れたような声を出した。
「あ、魔理沙!ここは紅魔館だったはずなのにあたいはいつの間にか魔理沙の家に来ていた!?」
「お前もうそれは馬鹿とかそういう次元の話じゃないぞ」
「結局、こいつはどういう用事だったの?」
レミリアはチルノの向かいに座りながら、咲夜に尋ねる。…が、振られた咲夜も困っているように肩を竦めてしまう。
「……非常に解りにくい説明でさきほどから全く要領を得ないのですが…恐らくは昨日の夜に無くしたリボンを返せと言いに来ているのだと思いますわ…」
「昨日の夜のリボン?全く心当たりが無いわね」
レミリアは念のため程度にパチュリーの方を見るが、当然のようにパチュリーも黙って首を横に振る。
「昨日の夜と言えば紅魔館はパーティーをしてたのよ?あなたパーティーに居たかしら?」
「パーティー?うんにゃ」
チルノは首をぷるぷると振る。
「じゃあどこか別の場所で無くしたのを勘違いしてるんじゃないの?」
「絶対に間違い無いってば!だってあたい、昨日この近くに居たもん!」
「「「「「「はぁ?」」」」」」
さすがにその言葉には、その場に居た全員が間の抜けた言葉を上げてしまった。
昨日の夜と言えば……
「あんなに天気荒れてたじゃない」
霊夢の言葉に、チルノは両手を腰に当てて胸を反らせる。
「あたいは最強だから平気なの!!」
「言ったでしょう、魔理沙」
パチュリーが言う。
「うん?」
「あんな天気の中、外に出るのはよほどの馬鹿だって」
「………」
確かに言っていた。
「…あぁ、返す言葉も無いぜ…」
魔理沙はやれやれと首を振った。
「いやいや、仮にこの近くに居たとしても…どうしてここでリボンを無くした事になるの?」
一瞬、呆れるあまりに状況を忘れかけた咲夜だったが、すぐに話を立て直した。チルノはじれったそうに言う。
「だからぁ!あたいは昨日この近くに居たの!そうしたら風が吹いてリボンが飛んじゃったんだけど、レミリアに引っ掛かったから返してって言ってるの!」
「お嬢様に?」
またしても難解な説明だった。どこでリボンが飛べばレミリアに引っ掛かると言うのだろうか。どう考えても何かの間違いとしか思えない。
「……レミリアに引っ掛かった?」
霊夢がチルノの言葉を復唱する。
「?おいおい霊夢…本気にしてるのか?」
呆れるように言う魔理沙に、霊夢に代わり紫が答えた。
「いい魔理沙…馬鹿っていうのは、間違いは言っても嘘は言わないものよ?」
「…はぁ?」
…とその時、いきなり霊夢が動いた。
「チルノ、そのレミリアは何処に行ったの?」
「え?解んない。暗かったしよく見えなかったけど、湖の何処かに行っちゃった。だからあたいもこうしてここにリボンを返してもらいに来たの」
「そう、暗かったから…じゃあ、もしかしたらレミリアじゃない誰かだったかもしれないのね?」
「レミリアだって言ってるじゃん!」
そう主張するチルノの肩を、霊夢がガシッと強烈に掴む。
「!?」
「…レミリアじゃないかもしれないわよね?」
「……は…はい…」
チルノはコクコクと張子の虎のように頭を上下させた。
「よしよし」
霊夢はにこりと笑うとチルノの頭を撫でた。
「じゃあ後は多少乱暴でもいいわよね………えっと、とりあえずは…」
そして霊夢は独り言をぶつぶつと呟き始める。
「おいおい!霊夢お前どうしたんだ?」
「ねぇ文」
魔理沙の呼びかけは無視して、霊夢は文に声を掛けた。
「は…はい?」
「その自慢の速さで一っ走り香霖堂へ行って来て」
「へ?香霖堂へですか?…またいきなり……というか何をしに?」
「ここ最近、売れたものを聞いてきて欲しいのよ…きっと、出所は香霖堂だと思うから」
「???何のですか?」
「いいから早く、そして速く行きなさい!」
「ひゃあ!!」
尻を蹴られるようにして文は紅魔館から追い出された。
「おいおい霊夢…お前一体どうしたんだ?」
状況に付いていけていない魔理沙に、霊夢はにやりと笑って言った。
「私もこれからちょっと出てくるから」
「出るって…さっき文を追い出したばっかりじゃないか」
「それとは別の用事があるのよ。じゃ、文が戻るまでには私もここに戻るから」
言うが早いか霊夢は部屋から出て行ってしまった。
「……なんなんだあいつ…」
魔理沙たちは黙って霊夢を見送るしかなかった。
「って!あたいのリボンは結局どうなったのよー!!」
「はっ…………っくしゅん!!」
半時間ほどもして戻ってきた霊夢は、盛大にくしゃみをすると、身体を震わせて毛布に包まった。
「嵐は昨日通り過ぎたし、泳ぐにはもう遅いぜ。一体何処で何すりゃそんなにびしょ濡れになって帰ってくるんだ?」
「ちょっとね……一度神社に戻っても良かったんだけど…時間掛かりそうだからこの格好のままで湖に飛び込んだのよ」
「湖に?何してんだお前…」
「それより、文はどうしたのよ。私がこんなに急いで戻ってきたっていうのにあいつは何やってるのかしら…幻想郷最速は返上するべきね……っくしゅん!」
「それは聞き捨てなりません!」
その瞬間、いきなり扉が開いて文が飛び込んできた。
「私をおいて最速の称号を冠するに相応しい人はいないのです!」
「その割には私より遅かったじゃない」
「いやー、帰りの道で蔦に耳を絡ませて困っている鈴仙さんを取材してなければもっと早く戻れたと思うのですが……」
「何やってんだお前は」
魔理沙がツッコミを入れる。
「生粋の記者はいかなる状況でも取材を優先させますから……というか、どうして私は頼まれごとをこなしてあげたのに労いの言葉一つ貰えず、こんな誹謗中傷を浴びなければならないのですか」
「ご苦労様」
「超今更っ!」
のけぞってから、文は大きくため息を吐いた。
「まぁいいですよ…これも事件解決の取材の一助になると言うのなら……で、調査の結果ですが…最近流れてきた物が売れたようですね」
何やらごにゃごにゃと霊夢は文からの報告を受ける。
「そう。なるほど。やっぱりね。そういう物があったんじゃないかと思っていたのよ。そうじゃないとわざわざあんな不自然なタイミングで言い出さないわよね」
霊夢はその報告に満足そうに頷いた。
「ちょっと。さっきから何をごちゃごちゃやっているの?」
レミリアは咲夜が淹れてきた紅茶を飲みながら不満そうに言った。先ほどから自分が蚊帳の外なのが気に入らないのだろう。
「これで全部カードは揃った…」
霊夢はくるりと振り向いて部屋の全員を見渡した。
「これから、私が事件を解明してあげるわ!」
《ここで無謀にも読者への挑戦!
長かった事件もついに解決の時を迎えました。
果たしてレミリアを刺した犯人は一体誰なのだろうか?
どうして犯人は刺したレミリアを何度も移動させる必要があったのか?
如何にして魔理沙に姿を見られずに気絶させられたのか?
そもそも何故レミリアは刺されなければならなかったのか?
何故咲夜が閉じ込められたのか?
チルノが見たレミリアの正体は何なのだろうか?
事件解決のヒントは以前の文中に落ちている!
ヒントは、やはりあくまでこれが東方世界でのみ通じるミステリであるということです。
霊夢の超推理が炸裂する解決編を待て!!》
「そう、それはご苦労な話ね~…」
博麗霊夢の宣言を聞いた八雲紫の反応はごく簡単なものだった。
「…以前にそこの鴉の出した推理を見事解いたんですって?その余裕かしら?」
「…なんでそんなこと知ってるの?」
霊夢は紫を横目に見る。
「魔理沙が宴会のとき話のネタにしているのを聞いたのよ」
「…ふぅん」
「…ところで、霊夢はこれから紅魔館に行くのかしら?」
「何言ってるのよ、あんたも来るのよ紫」
外出の準備をしながら、霊夢は紫を睨んだ。
「あら、どうして私まで…?私は別にそんなレミリアが誰に刺されたかーなんて興味ないわ」
「あんた今紅魔館で最有力の容疑者になってるのよ?自分の潔白ぐらい自分で証明しに行きなさいよ」
「別に私はレミリアを刺してなんていないという事実があるんだから、紅魔館の連中にどう思われようと知ったことではないわ。それに、今日はこれから香霖堂へ行こうと思のよねぇ…」
霊夢の頭のリボンを結び直していた手が、ぴたりと止まる。
「…香霖堂へ…?何でまた…?」
「何でも最近大量に外の衣服が流れてきたらしいのよ。そういう店にあったものが殆ど丸ごと幻想郷に流れてきたらしいのよ。それで一度は確認しておかないと、と思ってねぇ…」
「……ふぅん…」
ちょっと不審そうな顔をしたが、霊夢は再び準備の手を動かし始める。
「まぁ別にいいけど、それぐらいの用事なら後回しにしなさいよ。とりあえず今は付いて来なさい」
「…ふぅ、強引ねぇ…まぁ、そこまで言うなら付いて行くのも吝かじゃないけれど…?」
さきほどまで嫌がっていた割にはこれまたあっさりと妥協する。…一体何を考えているのか図りかねる態度だ。
「私も当然同行させて貰いますよ」
文もメモを片手に立ち上がる。
そうして、三人はようやく紅魔館へと向かうことになった。
*
「なぁ、もういい加減に帰ってもいいだろう?」
魔理沙は唇を尖らせながら不服そうに言った。
「駄目よ」
パチュリーがきっぱりとそれを拒否する。
「だってお前、犯人は紫で決まりだぜ。大体、それはお前自分で言い出したことじゃないか」
「そうなんだけど…腑に落ちないの」
パチュリーはしきりに考えるように腕を組む。
「紫が犯人だとすると…咲夜を閉じ込めた理由が解らなくなる…」
「どうしてですか?」
咲夜が不思議そうに尋ねる。
「レミィは最初から可能性にカウントしてなかったけれど…もし咲夜に閉じ込められていたというアリバイが無ければ、魔理沙たちは咲夜が犯人ってことでこの事件を完結させていたはずだわ。つまり、咲夜を閉じ込めさえしておけば、紫は少なくとも自分一人に注意が向くということは無くなるのよ。それなら普通、閉じ込めたりはしないはずよ」
言われてみれば正に理屈だ。しかし…
「相手はあの紫だぜ?あいつはちょっと普通じゃない…どころじゃないからな。それぐらい意味の解らんこともするさ」
暴論だが、魔理沙の言いたいことも理解出来ないではない。つまりは撹乱のつもりでの咲夜を閉じ込めるという一手…その可能性もゼロではないのだ。
しかしそうだとすれば…
「あまりに易過ぎるわ…」
八雲紫がそんなに易い相手であっていいのだろうか?
「ちょっと考えすぎなんじゃないの、パチェ」
レミリアもちょっと呆れ気味である。
…と、その時いきなり応接間の扉がバンと強烈な勢いで開かれた。
「霊夢」
入ってきた三人の中心に立つ人物の姿を見てアリスが驚いたように声を上げた。
「おいおい、パーティーは昨日だぜ」
「どう見てもまだ続いているように見えるけど?」
魔理沙の冗談を軽くいなして、霊夢は全員の正面に立った。霊夢の後ろから、八雲紫と射命丸文が付いて歩いてくる。その姿をみてアリスが思わず声を上げてしまう。
「ゆ…紫!?」
「そこの鴉が呼んできたの?」
いきなりの容疑者本人の登場に、珍しくレミリアも少し驚いているようだ。
「不必要な時は頼んでいないのに出てくるが、必要な時となるといくら探しても見つからないこいつをよく連れてこれたな」
魔理沙も感心したように言う。
「そこは記者たる私の人徳の為せるところなのです」
「ウチにいたからでしょ」
調子に乗って胸を反らす文を、霊夢がばっさりと切り捨てる。
「ウチに居たぁ?そりゃどういう意味だ?」
「どういう意味も何も…鴉が来たときに紫はウチに居たのよ」
「こんな朝からか?」
訝しげに見つめてくる魔理沙に、紫が答える。
「私は昨日の夜…嵐が来る少し前からずっとさっきまで、博麗神社にいたのよ」
「!!」
紫の言葉に、この部屋に居る全員が驚きの表情を見せた。
レミリアが刺されたのは嵐が来てから…つまり、嵐が起こる以前から博麗神社に居る以上アリバイは成立してることになる。
「いやっ!いやいや」魔理沙が掌をかざす。
「…それこそ言葉のマジックだぜ。霊夢のところに泊まったからって言っても紫ならちょっと目を離している隙にここに来ることも可能なはずだぜ!つまり、完全な不在証明にはならないってことだ」
しかし、紫は余裕の笑みを消さない。
「こう言っているけれど?霊夢…」
霊夢は一つため息を吐くと、仕方なさそうに言った。
「紫とは一晩中二人で麻雀をしていたのよ…二人とも一回も座を離れなかったし、私はイカサマを仕込まれないようにずっと紫の手元に注意を払っていたからまさか、手先だけで何かをしたってことも絶対に無いわ」
「ま…麻雀だってぇ?」
何という露骨な不在証明!普段、そんなことは一度もしたことが無いにも拘らず…紅魔館で事件が起こったその晩だけ、霊夢のところで麻雀をして一晩明かすという…とてもじゃないが、自然な産物とは思えない。
…かと言って、霊夢が紫の肩を持つとは思えないので、そのアリバイはあくまで本物なのだろう。
つまり、紫は犯人では有り得ない…ということなのだ。
しかし、紫はこの事件について確実に何らかの事実を握っているはずだ。そうでなければ狙い澄ましたかのように霊夢のところでアリバイ作りを出来るはずがない。
「悪いけれど、そういうわけだからあなた達の私が犯人という説は、却下させて戴くわ」
小首を傾げながら、微笑む紫。
完全にこういう展開になることを見越していたとしか思えないが……
結局、魔理沙達の推理は振出へと戻ってしまった。
「あーもー…正直レミリアを刺したのなんてもう誰でもいいぜ…いい加減こうしているのにも飽きてきた…」
魔理沙はソファに身体を沈めながら両手を頭の後ろに回した。
「…そうね…私ももう帰りたいわ…」
アリスも髪の毛をいじりながらうんざりしたように言う。
誰を犯人にしてみても、どういう訳か袋小路にたどり着いてしまう…唯一の解決の希望と思われた紫犯人説すらも、こうして反論のしようもないような不在証明を叩きつけられてしまったのだ。うんざりするのも無理からぬ事だろう。
「何言ってるのよ」
そんな雰囲気の中にあって、霊夢は一人だけ、両手を腰に当てて屹然として言い放った。
「私が解決させるって言ってるでしょう?勝手に終了させられたら堪らないわ」
「…とは言ってもだ霊夢…今回は勘で真犯人にたどり着くという話ではないぜ?何しろ誰に行き当たっても全員に不在証明があるからな…」
片手をひらひらと振る魔理沙。
「それよ」
霊夢はビシリと指を差した。
「それって?」
「不在証明。各人、どうして犯行が無理とされているのか…それを整理しましょう」
「整理っつってもな……」
「例えば魔理沙……あんたはどうして犯人と疑われないのかしら?」
「え?そりゃ、レミリアの死体が発見されるまで私とアリスはずっとパーティーホールに居たんだ。まぁ最終的に私とアリスしか残っていなかったが、互いにアリバイは証明出来るぜ」
「じゃあパチュリーは?」
話を振られて、パチュリーは少しだけ顔を動かす。
「私の場合はパーティー中もほとんど図書館に居たから証言してくれる人は居ないけど…廊下に立っていたメイド達は私がレミィの部屋に向かうのを目撃していないから、犯行は無理よ」
「あぁ…」
言われてみれば、パチュリーに具体的な不在証明は無かった……ただ、メイドたちの目撃証言の壁があるから、犯人ではないと推定されているだけなのだ。
「そう言えば前に読んだ事があるわ…」アリスが思い出したように言う。
「…外のミステリの本だけど…内側から鍵の掛かっている密室で殺人事件が起こるのよ。それは絶対に細工なんて出来ないような扉だったんだけど…犯人の姿は室内には無かった…」
「で?真相は?」
魔理沙が促す。
「実はその密室の中には人が居たけれど、誰も気付かなかったのよ」
「は?そりゃどういう能力だ?」
「能力じゃなくて。普段居て当たり前と思っている人だったから誰もその人が室内にいることを不自然に思わなくって、見落としてしまっていたというのが真相なの」
アリスは最後まで言わなかったが…しかしその真意は十分に全員が汲み取っていた。
「…つまるところ、アリスさんはレミリアさんの部屋に誰も行っていないという証言自体が間違いだ、と言いたいわけですね?本当はパチュリーさんがレミリアさんの部屋に行ったけれど、メイド達はその当たり前の様子に注意を払うこともなく、結果的に見過ごしてしまった…と」
文が要約する。
「ちょっと、それは聞き捨てならないわ…」
さすがにパチュリーが割り込んでくる。
「そんな突飛な話を本気にする時点でおかしいし、そもそもその理論を採用するならメイド達はレミィの姿に気付かないはずじゃない」
それは確かに言えていた。…が、魔理沙がすかさず言う。
「いや、レミリアは普段咲夜を連れて歩いているが、あのときは一人だったはず…だから印象に残ったんじゃないか?」
「変に話をこじらせないで」
そんなやりとりを止める様に、霊夢は少し大きな声で言う。
「パチュリーの話は解ったから、次は咲夜ね」
「私は…パーティーの途中でワイン庫へ行って…そのまま閉じ込められていたわ。魔理沙が見つけるまでの間ずっと身動き取れない状態だったから、一応は不在証明が成立するわね」
咲夜は淡々と答える。
「閉じ込められたのが事件以降だとすると不在証明は成立しないんだけど…やっぱり、自分を閉じ込めるのは鍵のタイプからしていくら時間を操れたとしても無理だし嘘は吐いていない…か」
霊夢はうむうむと呟く。
「他のメイド達のアリバイはどうなってるのかしら?」
咲夜が全員を代表して答える。
「メイド達の部屋は数人の相部屋だから…全員のアリバイを確認出来てるわ。…まぁそもそもあの連中にレミリア様を刺せるとは思えないけど…」
「じゃあ、レミリアの妹は?」
「ずっとお部屋ですわ」
「それに、フランが刺すだけなんて中途半端なこと絶対にするはずないでしょう?…だからこれまで話題にも上がらなかったのよ」
レミリアの言葉は、妹への信頼というにはあまりにも激しいものだが、それもまた真実だろう。
「美鈴は…?」
「「「「「無い」」」」」
以上。
粗方の全員の不在証明を聞きだした霊夢は、最後に紫へ顔を向けた。
「じゃあ次は…あんたね、紫」
びしり、と紫に指を突きつける。
「あら、さっき説明したじゃない?」
「いいからもう一度」
「…ま、良いわ。私は嵐が起こる少し前に霊夢のところへ行ったわ。それ以前は誰も証言してくれないけどね。でも、肝心のレミリアが刺された嵐以降、私はずっと霊夢と麻雀をしていた…だから犯行は不可能…これでいいかしら?」
扇で隠されて口は見えないが…その目元は笑っている。。
霊夢は一度息を吐くと言った。
「とりあえず、全員の状況は把握したわ。じゃあ次は…レミリアの部屋に行ってみましょうか」
ソファに身体を埋めていた魔理沙が、身体を起こした。
「レミリアの部屋へ?何しに行くんだ?」
「もちろん、捜査の基本は現場巡礼よ」
「現場百遍だろ。全然かすってもいないぜ」
「とにかく、行くのよ」
霊夢は、魔理沙並びに重要人物達(+文)を引き連れてレミリアの部屋へと向かった。
窓の無い、朝でも暗い部屋は、ランプで照らされてその血染めの様相を晒した。
「いくら紅魔館って名前にしたって酷いわね…これ、全部レミリアの血?」
霊夢は部屋の中を歩きながら尋ねる。
「最初はここまでじゃ無かったんだけど…魔理沙が…」
アリスがジトッとした視線で隣に立つ魔理沙を見る。
「何だ?私が何かしたか?」
「何かも何も!あんたが私の心臓に刺さったナイフを抜いたからこんなに血が出たんでしょ!こういうのは抜くと出血が酷くなるから抜かないのが鉄則でしょう!!」
レミリアが思い出して魔理沙に怒りをぶつける。
「…まぁ良いじゃないか。そのお陰でお前も目が覚めたんだから。私だって危うく返り血を浴びるところだったし、おあいこだ!」
「痛さのショックで気が付いただけよ!おあいこと言うなら、あんたの心臓にナイフ刺して引っ張り抜いてあげましょうか!?」
ぎゃーぎゃーと騒がしい後ろの連中を無視して、霊夢はレミリアが倒れていたというベッドに歩み寄る。
「…なるほど、ここが一番出血が酷いわね」
「まぁここが犯行現場なんだから当然でしょう?」と紫。
「確かにね」
霊夢はちょっとベッドに触れて、血の乾き具合を確認する。さすがに一晩経っているだけのことはあって、殆ど乾いている。
「ははは、ベッドに世界地図が出来てるぜレミリア」
「ちょっ…!語弊のある言い方するんじゃないわよ!ここのところはやってないわ!」
「……ここのところ?」
「!?」
魔理沙とレミリアたちは全く関係の無いところで盛り上がっている。…本当にこの事件についての興味を半ば失いかけているようだ。…自分が刺されたくせに…
「因みにそこに転がってるのがレミリアに刺さってたナイフよ」
アリスの指差す場所を照らし出してみると、なるほど確かにきらりと光っているものがある。拾い上げてみると、それは銀のナイフだった。
「あ!それは私のナイフですわ!」
いきなり咲夜が声を上げた。
「咲夜の?」
血のこびり付いたナイフを手渡してやると、咲夜は何度も頷いた。
「間違いないわ。これは私のナイフ」
「何だ?いきなり自白か?」
「違うわよ」と魔理沙の茶々などあっさりとかわして言う。
「でもおかしいわ。昨日…あ、もう一昨日ね。一昨日の夜に確認した時にはきちんと全部あったはずだけど…」
「一昨日というと当然パーティーの前日よね。その時までは全部あったっていうことは…」
アリスの言葉をパチュリーが引き継ぐ。
「盗まれたのはレミリアを刺す直前ってことかしら?」
「それはまた、よく動く犯人ねぇ」
紫がくすくすと笑う。
「あれ?もしかしてこれで咲夜さんを閉じ込めた理由がハッキリしたんじゃないですか?」
文が思いついたように言う…が、霊夢は納得出来ないように首を傾げた。
「咲夜のナイフを手に入れるために、咲夜を閉じ込めた…?う~ん、それはどうかしらね…」
「何か不満があるんですか?」
「別にレミリアを刺したいなら最初からナイフを持って来ればいいし…パーティーが始まってから刺すのを決心したとしても、盗むために閉じ込めるって言うのはちょっとピンとこないわねぇ…」
「そうですか?」
「まぁそのこともまとめて後で考えるとして、とりあえず次に魔理沙とアリスがレミリアの死体を見つけたって場所に行きましょう」
「だから死んでない」
霊夢たちは階段を下りて件のゲストルームに集まった。
先ほどの部屋とは違い、普通に窓があるのでランプの必要は無い。爽やかな朝の明るさが室内に満ちていた。
「で、ここが魔理沙たちが最初にレミリアを見つけた部屋ね…ふぅん…」
今度も同じように霊夢はベッドに最初にベッドに近寄った。
「こっちのベッドには血が付いていないわね」
シーツに触りながら霊夢は誰にともなく言う。
「そうだな…私達が最初にレミリアを見つけたときから血はそんなに出てなかったように思うぞ」
「そんなにって…ちょっとは出ていたってこと?それなのにシーツには一つのシミも無いの?」
う~ん、と魔理沙は腕を組む。
「確かにレミリアの服は血で紅くなってはいたんだ。…とすると、ここに運ばれた時にはもう乾いていたのかな?」
「いくらなんでもそんなに早くは乾かないわよ。第一、私が目が覚めたときまだ血はべっとりだったし」
レミリアがツッコミを入れる。
「…とするとおかしいな…何で血が付いて無いんだ?…犯人がシーツを代えたって事か?」
「どうかしら」と、パチュリーが魔理沙の意見に被せる。
「そうするといくつか疑問が残るわよ。第一に外したシーツは何処にいったのか…一体何時付け替えたのか…そして何よりそれを隠す必然性は何か……事件とこの場所を無関係に見せかけようとしたとしても、そもそも魔理沙とアリスに見られてるんだからそれこそ無意味だわ」
「う~ん……」
「…というより何より…」霊夢は床を指差しながら言う。
「シーツは取り替えられるけれど、床に付いた血が一滴も無いのはどういうことかしら?レミリアをここに運ぶまでに垂らさないように注意したの?」
「確かに」と文が頷く。
霊夢はベッドから離れ、今度は窓へと近づいた。がちゃがちゃと、窓を開けようとするが…鍵が掛かっているらしく、窓は開かない。
「この窓の鍵は昨日から掛かってる?」
「えぇ、すべての部屋の窓には鍵が掛かっているわよ。防犯のために」
霊夢の言葉に咲夜が答える。
「…まぁ、窓ぐらいはいくらでも突き破ってくる輩もいるわけだけど…」
ジッと睨まれても魔理沙はまるで意味を理解していないかのように平然としている。
「となると、昨日の夜窓から誰かが入ったというのも無しか…仮に窓が開いていたとしても、帰りに外から閉めて帰るのは無理だしね」
窓から目を離した霊夢は、今度は足元に目を止めた。
「うん?」
ちょっと首をかしげて屈み込むと、霊夢は床を触り始めた。
「どうかしたの?」
アリスの言葉に、霊夢は簡単に答える。
「ちょっと湿ってる」
「湿ってる?もしかして昨日雨が振り込んだの?…う~ん、まさか窓にガタがきて隙間でも出来ちゃってるんでしょうか…」
咲夜が困ったように頬に手を当てる。
「これはそういうことじゃないわ……なるほど。そうだったの…」
霊夢は呟いた。屈んだままなので、今一体どんな表情をしているのかは誰からも伺うことは出来ない。
「なんだよ、さっきから疑問ばっかりしか出てこないなぁ…何かもっとこう…一気に犯人の想像が付くような、大きな発見は無いのか?」
魔理沙が唇を尖らせるのを見て、霊夢は立ち上がりながらにやりと笑う。
「発見が無い?…どころか、今までの謎を一気に解決する解法を思いついたわ」
「「「え?」」」
…と、驚きの声を重ねたのは魔理沙とアリスと文だった。…それ以外の反応は薄い。
「何だよ、もったいぶるなよ霊夢。その解法って何だ?」
「言っても良いけど……このまま言うのはすごく癪なのよね…」
言いながら霊夢は紫のほうをジトッと睨むように見つめる。
「?」
どうしてそこで紫のことを睨むのかが解らない魔理沙は首を傾げる。
「あ…あの~…咲夜さ~ん……」
いきなり部屋の入り口の方からこっそりと咲夜を呼ぶ声がした。振り返ると、そこに居たのは美鈴だった。
「美鈴?門番の仕事はどうしたの」
「いえいえ!それが門の周辺を警邏中に不審な妖精を捕らえましたので報告に……」
咲夜に睨まれて美鈴は慌てて言い訳するように言う。
「妖精?そんなの悪戯したようなら適当に懲らしめて、迷い込んだようなら黙って帰してあげればいいじゃない」
「いえ~……あの、ともかく来てください」
何だかよく解らないが、手を焼いているらしい。咲夜は肩を落としてから
「解ったわよ」
と言ってゲストルームから出て行った。
「…私達も一度応接間に戻りましょうか。見るべきものは見たし」
霊夢の言葉で、全員一度応接間に戻ることになった。
「あたいったら最強ね!!」
応接間に入った瞬間に大声が聞こえた。姿を確認しなくてもその声だけで誰がそこに増えたのかが解る。
「不審な妖精ってのはチルノだったのか」
ソファにどっかりと座っているチルノを見て、魔理沙は呆れたような声を出した。
「あ、魔理沙!ここは紅魔館だったはずなのにあたいはいつの間にか魔理沙の家に来ていた!?」
「お前もうそれは馬鹿とかそういう次元の話じゃないぞ」
「結局、こいつはどういう用事だったの?」
レミリアはチルノの向かいに座りながら、咲夜に尋ねる。…が、振られた咲夜も困っているように肩を竦めてしまう。
「……非常に解りにくい説明でさきほどから全く要領を得ないのですが…恐らくは昨日の夜に無くしたリボンを返せと言いに来ているのだと思いますわ…」
「昨日の夜のリボン?全く心当たりが無いわね」
レミリアは念のため程度にパチュリーの方を見るが、当然のようにパチュリーも黙って首を横に振る。
「昨日の夜と言えば紅魔館はパーティーをしてたのよ?あなたパーティーに居たかしら?」
「パーティー?うんにゃ」
チルノは首をぷるぷると振る。
「じゃあどこか別の場所で無くしたのを勘違いしてるんじゃないの?」
「絶対に間違い無いってば!だってあたい、昨日この近くに居たもん!」
「「「「「「はぁ?」」」」」」
さすがにその言葉には、その場に居た全員が間の抜けた言葉を上げてしまった。
昨日の夜と言えば……
「あんなに天気荒れてたじゃない」
霊夢の言葉に、チルノは両手を腰に当てて胸を反らせる。
「あたいは最強だから平気なの!!」
「言ったでしょう、魔理沙」
パチュリーが言う。
「うん?」
「あんな天気の中、外に出るのはよほどの馬鹿だって」
「………」
確かに言っていた。
「…あぁ、返す言葉も無いぜ…」
魔理沙はやれやれと首を振った。
「いやいや、仮にこの近くに居たとしても…どうしてここでリボンを無くした事になるの?」
一瞬、呆れるあまりに状況を忘れかけた咲夜だったが、すぐに話を立て直した。チルノはじれったそうに言う。
「だからぁ!あたいは昨日この近くに居たの!そうしたら風が吹いてリボンが飛んじゃったんだけど、レミリアに引っ掛かったから返してって言ってるの!」
「お嬢様に?」
またしても難解な説明だった。どこでリボンが飛べばレミリアに引っ掛かると言うのだろうか。どう考えても何かの間違いとしか思えない。
「……レミリアに引っ掛かった?」
霊夢がチルノの言葉を復唱する。
「?おいおい霊夢…本気にしてるのか?」
呆れるように言う魔理沙に、霊夢に代わり紫が答えた。
「いい魔理沙…馬鹿っていうのは、間違いは言っても嘘は言わないものよ?」
「…はぁ?」
…とその時、いきなり霊夢が動いた。
「チルノ、そのレミリアは何処に行ったの?」
「え?解んない。暗かったしよく見えなかったけど、湖の何処かに行っちゃった。だからあたいもこうしてここにリボンを返してもらいに来たの」
「そう、暗かったから…じゃあ、もしかしたらレミリアじゃない誰かだったかもしれないのね?」
「レミリアだって言ってるじゃん!」
そう主張するチルノの肩を、霊夢がガシッと強烈に掴む。
「!?」
「…レミリアじゃないかもしれないわよね?」
「……は…はい…」
チルノはコクコクと張子の虎のように頭を上下させた。
「よしよし」
霊夢はにこりと笑うとチルノの頭を撫でた。
「じゃあ後は多少乱暴でもいいわよね………えっと、とりあえずは…」
そして霊夢は独り言をぶつぶつと呟き始める。
「おいおい!霊夢お前どうしたんだ?」
「ねぇ文」
魔理沙の呼びかけは無視して、霊夢は文に声を掛けた。
「は…はい?」
「その自慢の速さで一っ走り香霖堂へ行って来て」
「へ?香霖堂へですか?…またいきなり……というか何をしに?」
「ここ最近、売れたものを聞いてきて欲しいのよ…きっと、出所は香霖堂だと思うから」
「???何のですか?」
「いいから早く、そして速く行きなさい!」
「ひゃあ!!」
尻を蹴られるようにして文は紅魔館から追い出された。
「おいおい霊夢…お前一体どうしたんだ?」
状況に付いていけていない魔理沙に、霊夢はにやりと笑って言った。
「私もこれからちょっと出てくるから」
「出るって…さっき文を追い出したばっかりじゃないか」
「それとは別の用事があるのよ。じゃ、文が戻るまでには私もここに戻るから」
言うが早いか霊夢は部屋から出て行ってしまった。
「……なんなんだあいつ…」
魔理沙たちは黙って霊夢を見送るしかなかった。
「って!あたいのリボンは結局どうなったのよー!!」
「はっ…………っくしゅん!!」
半時間ほどもして戻ってきた霊夢は、盛大にくしゃみをすると、身体を震わせて毛布に包まった。
「嵐は昨日通り過ぎたし、泳ぐにはもう遅いぜ。一体何処で何すりゃそんなにびしょ濡れになって帰ってくるんだ?」
「ちょっとね……一度神社に戻っても良かったんだけど…時間掛かりそうだからこの格好のままで湖に飛び込んだのよ」
「湖に?何してんだお前…」
「それより、文はどうしたのよ。私がこんなに急いで戻ってきたっていうのにあいつは何やってるのかしら…幻想郷最速は返上するべきね……っくしゅん!」
「それは聞き捨てなりません!」
その瞬間、いきなり扉が開いて文が飛び込んできた。
「私をおいて最速の称号を冠するに相応しい人はいないのです!」
「その割には私より遅かったじゃない」
「いやー、帰りの道で蔦に耳を絡ませて困っている鈴仙さんを取材してなければもっと早く戻れたと思うのですが……」
「何やってんだお前は」
魔理沙がツッコミを入れる。
「生粋の記者はいかなる状況でも取材を優先させますから……というか、どうして私は頼まれごとをこなしてあげたのに労いの言葉一つ貰えず、こんな誹謗中傷を浴びなければならないのですか」
「ご苦労様」
「超今更っ!」
のけぞってから、文は大きくため息を吐いた。
「まぁいいですよ…これも事件解決の取材の一助になると言うのなら……で、調査の結果ですが…最近流れてきた物が売れたようですね」
何やらごにゃごにゃと霊夢は文からの報告を受ける。
「そう。なるほど。やっぱりね。そういう物があったんじゃないかと思っていたのよ。そうじゃないとわざわざあんな不自然なタイミングで言い出さないわよね」
霊夢はその報告に満足そうに頷いた。
「ちょっと。さっきから何をごちゃごちゃやっているの?」
レミリアは咲夜が淹れてきた紅茶を飲みながら不満そうに言った。先ほどから自分が蚊帳の外なのが気に入らないのだろう。
「これで全部カードは揃った…」
霊夢はくるりと振り向いて部屋の全員を見渡した。
「これから、私が事件を解明してあげるわ!」
《ここで無謀にも読者への挑戦!
長かった事件もついに解決の時を迎えました。
果たしてレミリアを刺した犯人は一体誰なのだろうか?
どうして犯人は刺したレミリアを何度も移動させる必要があったのか?
如何にして魔理沙に姿を見られずに気絶させられたのか?
そもそも何故レミリアは刺されなければならなかったのか?
何故咲夜が閉じ込められたのか?
チルノが見たレミリアの正体は何なのだろうか?
事件解決のヒントは以前の文中に落ちている!
ヒントは、やはりあくまでこれが東方世界でのみ通じるミステリであるということです。
霊夢の超推理が炸裂する解決編を待て!!》
湖でチルノが見たのはルナ茶で でもそんな大掛かりな事するかなぁってのがある
実行犯は3妖精だけど 計画を考えてサポートしたのは紫の気がする
おそまつ推理でした 推理小説は推理そっちのけのタイプですが面白かったです
狂気とか波長とか座薬とか便利な気がする。
吸血鬼の血が新薬研究に欲しかったのかも。
・アリスは人形は連れてきていないですか?
動機は各キャラ共通で、
香霖堂新着物資を魔理沙に強奪されない為に、魔理沙を拘束したかったとか。
解決編が楽しみです
ここに考えを書くのは自粛した方がいいのかな。
とりあえずまとめ
・侵入者はいない→出て行く人物は知らない
・チルノの証言→別室の死体は偽装の可能性
・犯人は複数犯の可能性
→別室の死体を誰かが演じていた場合犯人が咲夜、アリスのどちらかで無い限り、複数で無いといけない。
・咲夜が閉じ込められた理由
→犯人にとって邪魔、あるいは本人のアリバイ確保
・嵐→これにより紫のアリバイ成立。これを裏切るか筋とするかが問題?
・疑問→なぜそもそも死体を偽装する必要があったのか?
・なぜ咲夜のナイフをわざわざ使用したのか?
→ただ武器として都合がよかった?だが本人からの強奪など出来るのだろうか?咲夜が犯人だとしてもそれを凶器にするメリットが無い。逆に犯人に嫌疑されて潔白の照明の印象を強くするため?以前謎は残る。
訳わからんorz