~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~初めに。
オリキャラとかが嫌いな人は読まないほうがいいと思います。
それと孔を操る程度の能力の続きなので、まずそっちに目をとうしてもらえたほうがいいです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「・・・・・・」
まただ・・・
「・・・・・・・・」
聞こえるようで聞こえない声。
「その・・ら・・・・」
貴方はだれ?
「お・・・・が・・」
貴方は何処にいるの?
「わ・・・い・・・う・・・れ・・る」
もうちょっと大きい声で言ってくれないかな?
「・・・・・・・・・・・・」
+++++++
朝がきた、今日も清々しいいい朝だ。
しかし居間に行くと・・・
「おなかすいた・・・・」
「わは・・・・・」
四文字熟語で死屍累々と言うのかな?
それとも地獄絵図?
よくわからない言葉を使うよりもこういったほうが早いか。
二つの死体があった。
「ご愁傷様です」
「勝手に殺すな」
「人肉~」
霊夢が気力のないツッコミを入れた。
ルーミアに関しては霊夢の手を噛んでいる、
ただ霊夢が痛がらないということは甘噛みだろうか・・・
すこし赤面した。
「ていうかなんで貴方は平気なの?」
「なれてますから」
「そーなのかー・・・・」
「まるで中国ね・・・」
中国?中国は晩御飯を食べない風習があるのかな?
「適当に食べられそうなものを取ってきますのでまっててください」
「助かるわ・・・」
「むぐむぐ」
ルーミアは相変わらずくわえているようだ。
そんなことよりも食料だ!
そしてばっと居間の障子をあけ、森へ走った。
「取ってくるといっても何かいいのあるかなぁ?」
適当に探したが特には無い・・・
あったのは禍々しい色のきのこだけだった。
その辺の草にも多分食べられるのがあるんだろうけど生憎その辺の知識は無い。
・・・その時、ポトっと美羽の頭の上に木の実が落ちてきた。
「ん?」
橙色の丸い木の実だった。
「みかんだ!」
夏みかんは甘い、しかし収穫が早いと本当に酸っぱいのだ。
「夏みかんか、栄養は満点だね」
神経をちょっと集中、拳大の穴を作った。
この穴は貫通してなくて、中にものを貯蔵できる便利な穴だ。
「低い位置にある実は全部もらっちゃえ」
手当たりしだい穴に放り込んだ。
「さてと、あまり時間かけていられないよね」
そういい神経を集中させた。
そして神社に直結する穴を作り、入った。
「霊夢ー、ルーミアー、取ってきたよー」
居間にぶっ倒れている二人が頭を上げた。
「飯・・・・・」
「むぐむぐ」
ルーミアはいまだにくわえている。
そのうち殴られるよ?
「そこの方でみかんがあったからとって来ました」
「助かるわ・・・・本当に・・・今年から」
今年から・・・・みつけてなかったのか。
そう思いながら美羽は穴を開けた。
ボササササササーーー!
霊夢が大量のみかんに埋もれた。
「あ」
穴が逆さまだった、やってしまった。
ルーミアは難を逃れたのか仰向けのまま平然とみかんを皮ごと食べている、行儀が悪いしおなか壊すぞ。
・・・そうだ、霊夢が埋もれたんだった!
「大丈夫!?霊夢!」
みかんを書き分けて霊夢を探した。
そして出てきたものは幸せそうな霊夢の顔であった。
「山のように積まれた食べ物に埋もれるなんて・・・幸せ」
逞しい。
なんだかんだとあり霊夢とルーミアは本調子に戻ったようだ。
------
少し経って今はちゃぶ台の上でみかんを食べている。
「夏みかんねぇ・・・まさかうちの近くにあったなんて」
みかんの筋を懸命に取り除きながら霊夢は言った。
「まぁ見つけにくいっていったら確かに見つけにくいと思いますけど」
ちなみ自分も筋を取らないと気がすまない。
霊夢同様懸命に取り除く。
「むぐむぐ」
ルーミアは皮を剥いたら直に食べている、こだわりは無いようだ。
「夏みかんって確か4月頃にも収穫できるのよね」
「収穫はやいと物凄くすっぱいですよ?」
「食べれればかまわないわ」
「食べれればって・・・それじゃいままで何を食べていたのですか?」
そう言い霊夢は指差した。
涙が出た。
霊夢、食料調達がんばるよ!・・・と心の中で叫んだ。
「さて、今日は食料調達行ってきてもらえない?」
やはりきた。
「ルーミアも一緒にね」
「むぐ!?」
ルーミアにとっては予想外の展開であったようだ。
「当然でしょ、二食も食べたんだから」
二食と言えるのか疑問に思ったが黙っておく。
「むぐむぐ・・・」
ルーミアは食べ続けるのをやめない、相当な食いしん坊だったのか。
「霊夢はどこか行くんですか?」
ちょっと疑問に思った。
「紫を叩きにいく」
「そうですか」
深くは聞かない・・・いや、聞きたくない。
「じゃ、適当に食べたら行ってきて頂戴、私はもう行くわ」
そう言い霊夢は外に向かった。
「いってらっしゃい」
「むぐむぐ」
軽く手を振った。
そして霊夢も手を振り返すと、空高く飛んでいった。
「私も空とんでみたいなぁ・・・」
空を飛ぶのはやはり気持ちがいいのだろうか、
地面の世界しか知らない私には想像できない。
「さてルーミア、そろそろいこうか」
「むぐぐ・・・すっぱい」
はずれをひいた様だ。
渋い顔をしたルーミアとともに神社をでた。
取り合えず食料調達のためまずは森ではなく階段を下りる、
朝探したとき森にはきのこぐらいしかなかったからだ。
「ルーミア、ここから一番近い里ってどこかわかる?」
取り合えず里で畑でもやっている人に野菜分けてもらおうという筋だ。
「あっち」
ルーミアは指を刺した。
「そっちね、ありがとう」
分かれ道とかはルーミアの指差した方向にすすめばいいだろう。
しばらくすると森を抜けて田んぼの道にでた。
どうやら里に着いたみたいだ。
「さて、誰か野菜分けてくれるかな?」
「さあ?」
ルーミアと適当に話しながらあるいていると・・・
「おぅ!そこの嬢ちゃん達!みねぇ顔だな!」
畑にいたおじさんに話しかけられた。
「私達ですか?」
「嬢ちゃん達以外誰がいるんだ?」
笑顔でおじさんは答えた。
こうやって話しかけられたのは初めてだ。
「で、何処から来たんだい?」
「はい、そこの神社からです」
「私もおなじだよ」
指を刺した。
「お?そこというと博麗神社だな!」
博麗神社というのか。
「多分そうです」
「そうだよ」
「で、神社からどうしてここまで?」
「あ、はい、ちょっと食料不足でして野菜を分けてもらえないかと・・・」
「野菜か?よし!かわいい嬢ちゃんのために俺の自慢の野菜をやろう!」
「本当ですか!?」
「わはー」
「男に二言はねぇ、ついてきな」
「ありがとうございます!」
そういいおじさんの後ろについていった。
「ほら、大根、白菜、きゅうり、じゃが芋なんでもあるぞ」
野菜にところどころ土がついている、新鮮な証拠だ・・・うんうん。
「野菜・・・じゅるり」
「涎拭きなさい・・・」
「はっはっはっは!まぁこれだけならやるよ!」
そういいおじさんは籠に野菜を詰め始めた。
「これで5日ぐらいはもつだろう」
おじさんは私に籠を手渡した。
「はい!ありがぁ!?」
重い!さすが農家のおっちゃん!力持ちだな!
「野菜野菜わはー」
しかしルーミアはひょいっといとも簡単に持ち上げてしまった・・・
人間と妖怪の差を改めて知った。
「力持ちだな!嬢ちゃん、まぁ無くなったらまたきな!捨てるぐれぇならやったほうが後味いいからな!」
その心の器に感無量、絶対またこよう。
「はい、本当にありがとうございます!」
「いいってことよ!じゃぁな!元気でな!」
手を振りながら私とルーミアは里をでた。
まずいったんこの野菜を神社に置いて来ないと。
++++++
神社の裏には蔵があった。
蔵は冬は暖かく夏は涼しいという物の保管などに適した造りをしている、
無論食料なども保存することができる。
しかしこの野菜は無添加だからもって十日弱であろう、多分。
多分といっても本当に長い時間おいてしまうと萎びてしまうか腐ってしまう。
「さて、次は肉類を探さなくちゃ」
「人肉わh「ダメ、絶対」
反射的に某薬物ポスターと同じことを言ってしまった。
「じゃぁ鶏肉」
鶏肉ならいいか。
「鶏肉かぁ、野鳥の巣がある場所でもしってるの?」
「うん!」
自信満々だ、期待できるかも。
「ついてきて!」
「あ、ちょっと早いよルーミア」
ステテーっとルーミアは走っていく、
何で飛ばないんだろう・・・
疑問を口に出してみた。
「ねぇルーミア」
「ん?」
「なんで飛ばないの?」
「えっとねぇ美羽と一緒に行きたいから」
まるで人間の子供のような反応、
なんと愛いやつ。
たしか妖怪って見た目よりも長い時間生きてるんだよね?
精神年齢も見た目と同じ遅さで成長するのかな?
「どうしたの?」
しまった、ついつい物思いにふけってしまった。
「ああ、私もルーミアと一緒に歩けて嬉しいよ」
「本当に!?」
ルーミアははしゃぎだした、これが人間じゃないなんて嘘のようだ。
・・・あれ?
また一つ疑問ができた。
「なんでルーミアは両手広げているの?」
先を歩いていたルーミアが振り返り、
「何に見える?」
質問で返してきた。
両手を広げて・・・
「飛行機?」
「何それ?」
やはり・・・
「聖者は十字架に磔にされました、だよ」
「ほうほう」
「ちなみ人類は十進法を採用しましたじゃないよ」
なんじゃそりゃ。
「そんな発想する人がどこに・・・」
「ここにいるぜ」
「そう、こいつ」
噂をすればなんとやら、そこに現れたのは霧雨魔理沙、
・・・しかし現れたというかいつの間にかいた・・・空から降りてきたのだろうか。
「久しぶりだな、調子はどうだ?足一本くわれていないか?」
「見てのとおりですよ」
「ただの冗談だぜ、気にするな」
「・・・なんで魔理沙がここにいるんですか?」
「呼び捨てで敬語ってなんかおかしいぞ、私には普通でいい」
「わかった、それじゃ今から普通に話すね」
「それでいい・・・でだ、なんでお前らがここにいるんだ?」
「美羽と一緒に霊夢達の食料調達」
ルーミアが答えた。
「そうか、ちなみ私はきのこの採取だぜ」
「そーなのかー」
「きのこねぇ・・・」
どこか噛み合わない会話をしながらまた歩き出す。
「あ、そうだ」
「どうした?」
「んぁ?」
またしても疑問がうかんだ。
「なんでルーミアってその十字架のポーズをずっとしているの?」
「たしかに言われれば気になるな」
「うーん、それはねー・・・・」
「・・・」
「・・・」
「えっとねー・・・」
ルーミアの額に一筋の汗が。
「えっと・・・」
ルーミアの表情がすこし険しくなった。
「あぅ・・・」
目をそらされた。
「忘れたんだね」
「忘れたんだな」
「・・・ぅん」
「ぷ・・・・・あはははははははは」
思わず笑ってしまった。
「く、はははははははははは」
魔理沙も笑い出した。
「そんなに笑わないでよ!」
ルーミアがふてくされてしまった。
「ごめんごめん、いつもそのポーズしていたから何か大切なことでもあるのかと思ってて」
「しっかしそれが忘れただもんな!ははははははははは」
魔理沙は腹を抱えている・・・さすがに笑いすぎじゃ?
「はははは・・・あーそろそろだな」
切り替え早いね。
「何が?」
「いろんなキノコが群生している秘密の場所に行きたいんでな、ここでお別れだ」
「そう、じゃあまたね」
「ばいばい」
「じゃあな」
そして魔理沙は森の深い所に消えていった。
「ルーミア、まだつかないの?」
「そろそろだよ」
かれこれもう二時間は歩いている。
「ここだよ」
「うわぁ・・・」
そこには森の中にぽっかりと穴が開いたように日が差し込むまるで広場のような場所だった。
「・・・ん?歌声?」
綺麗な、そしてどこか幼い感じのする歌声が響いている。
「ミスチー」
ルーミアは勢いよくその音源へと向かった。
ミスチー?
「ちょっと、ルーミアー」
木が引っかかってうまく進めない。
「・・・よっと」
ようやく広場に出れた・・・が。
「きゃぁぁあああああ」
さっきの歌声が消え、変わりに悲鳴が響いた。
「どうしたの!?」
すぐさま私は駆けた・・・しかしそこで目にしたのは小さめの翼が生えた少女とそれに今にも襲い掛かろうとしているルーミアであった。
「いーやー食べないでー」
「味見だけだからー」
「やめなさい」
ルーミアを抱えて止めた。
「えー鶏肉だよー」
「私は食べ物じゃない!」
半べそで少女は答えた。
「・・・えーっとあなたはミスチー?」
「正確にはミスティア・ローレライ」
ぐずったまま答えた・・・可愛い・・・。
「ミスティアね」
見た感じ妖怪であろう。
「いきなり食べられそうになるなんて今日は厄日?・・・」
「大丈夫、私がルーミアをとめるから」
「うー」
ルーミアは私の腕の中で唸っている。
「で、ルーミア」
「ん?」
「鶏肉ってミスティアのこと?」
「うん!」
「食べ物じゃない!」
ルーミア、恐ろしい娘。
「人の形している物だけは食べるのやめなさい」
「えー?」
やはり聞くわけが無いか。
「さて、あてがはずれたね・・・・」
「うー」
「あてってあんたたち何しに来たの?」
「食料調達」
「食料ね・・・それならいいとこあるよ」
「本当に!?」
「うん、捕まえられればだけど」
捕まえられそうになければ力を使えばいい。
「案内してもらえるかな?」
「構わないわついて来て」
「わはー」
ルーミアの立ち直りが早い、
そう思いながらミスティアについていく。
「ここよ」
意外に近かった。
「一見普通の森だけど?」
周りを見渡しても何も無い。
「ここは猪の通り道だからすこし待つとくるよ、じゃあ私は帰るね」
そう言ってミスティアは帰った。
そしてミスティアに教えてもらったポイントで待っていると本当に大柄な猪がのそのそと歩いてきた。
「よし、ここは慎重に・・「わはー!」
ルーミアのばか者。
当然いきなり襲い掛かられた動物は逃げるか、反撃か、どっちかの行動しか取らない。
今回は後者であった。
「あぅ」
ルーミアが急な猪の突進攻撃に反応できず跳ねられた・・・・・・ってちょっと待て待て待て待て!
そのままこっちに向かってる!?
いやいや、こんな時こそ冷静に・・・そう冷静に・・・集中!
(グワッ)
今回は本当にそう聞こえた・・・冷静に焦るって言うのはこういうことなのかな?
開いた穴に猪は突っ込み穴の世界へと堕ちていった・・・。
「に・・・肉確保・・・はぁはぁ」
予想以上に焦っていたらしく息切れまで起こしている。
軽く深呼吸しルーミアに歩み寄る。
「大丈夫?ルーミア」
「いたーい」
ルーミアは頭にたんこぶを作っていた。
「神社に戻ってお昼にしようか」
「うん!」
ご飯の話になるとすぐ立ち直るのがルーミアか・・・。
最初と印象違うなぁ。
さてと、帰りの直結通路あけるからもう一回集中!
「はい、開いた、ルーミア先入って」
「いただきまーす」
そう言いルーミアは駆けた。
「まだご飯できてないって。」
半分呆れながら私も穴に入る・・・いや、くぐると言った方が正しいかな?
まぁ取り合えず適当にきゅうりでもつかった料理つくるか、
私は叔父の元にいたとき料理もやらされていたから結構自信はある。
おいしいと言われたことは無いが・・・。
ルーミアはおいしいって言ってくれるかな?
色々考えながら私は蔵からきゅうりを二本取り出し厨房へ向かった・・・。
++++++
「ルーミアーできたよー」
役10分程度でできた、作ったのは河童巻き。
念入りに厨房をあさっていると、調味料の棚の奥から海苔が見つかったので作った。
本音は楽だから。
「わはー」
ルーミアは外で遊んでいたみたいだった、障子を開け、居間に入ってきた。
「もう2時頃だしこれだけでいいよね?」
「うん」
これだけ・・・そう・・・これだけ・・・3人前が。
そう思いながらもかっぱ巻きをほうばった、
私の作るかっぱ巻きは細くて一口サイズに切るタイプだ。
「やっぱ酢飯じゃないとだめかなぁ?」
「ほんあほほあいお」
・・・多分そんなことないよと言っているのであろう。
「熱々のごはんだから何とか大丈夫なんだね」
「ほひょうゆああるはらあおひれはい」
「取り合えず飲み込んでから話そうよ」
何言ってるか分からなくなったし。
「んぐ・・・お醤油が無ければだめだったかもしれない」
「それでも構わずたべるんでしょ?」
「うん」
味は関係ないのか。
「ごちそうさまー」
早い・・・五分で全部食べられた・・・。
「ん、ルーミアこれからどうするの?」
「んーりぐるんの所でも言って来る」
「そう・・・じゃ、また今度ね」
「ばいばーい」
「ばいばい」
ルーミアが大きく手を振ってきたので、軽く振り替えした。
「暇になったなぁ・・・」
ルーミアがいないと本当に暇だ。
みーんみーんみーん
「やっぱり何処の世界でも蝉って五月蝿いなぁ・・・ん?」
ふと何かを感じたので外を見た、
すると空間に線が入り、裂けるように開いた。
中から出てきたのは私よりも少し背の高い女性・・・いや、狐の尻尾が九本もあるので妖怪か。
「あなたが美羽か?」
透き通るようであって凛々しい声が響いた。
「はい、私のことですが?」
「そうか、昨日紫様が迷惑を掛けてすまなかった」
「あ、いえいえ」
ついついこう答えてしまう・・・。
「これはほんの謝罪だ、受け取ってほしい」
紙に包まれた箱を出してきた。
「あ、ありがとうございます」
「何、むしろこっちが礼を言いたいほどだ」
よく理解できなかった。
「あの、名前は・・・」
「私か?私は八雲 藍、紫様の式だ」
「そうですか」
藍さんか、どこか頼れそうな雰囲気があるなぁ。
「では、私はまだ仕事があるから帰らせてもらう」
「はい、ではまた今度」
「・・・ああ、また今度」
藍さんは空間の裂け目に入り、裂け目は閉じて何事も無かったかのように消えた。
「藍さん・・・何処かすっきりした顔していたなぁ・・・」
正直かっこよくみえた。
「ただいまー」
入れ違いに霊夢が帰ってきた。
「おかえりなさい」
「食料調達どうだった?」
「五日ぐらいは持つと思います」
「そう、ありがとう」
万遍の笑みで霊夢はお礼を言ってきた。
「礼なんていいですよ、私は居候の身ですから」
私ってつくづく遠慮しがちな性格なんだなぁ・・・。
「そう・・・で、収穫の詳細は?」
「野菜が大漁です、それと大きい猪一頭です」
「本当によくやったわ」
本当に食料に困っているんだね、霊夢。
そして紫さんのことや、ルーミアとの食料調達の事を話しながら御茶をすすっているともう日が暮れていた。
「さてと、晩御飯の準備でもしましょ」
「手伝います」
「ありがとう、じゃあ蔵から大根あったら取ってきて」
「はい」
蔵に行き大根をもってもどる。
「もってきましたー」
「あ、美羽美羽」
霊夢が思い出したように私を呼んだ。
「はい?」
「猪はどこ?」
「はい、穴の中です、いまだします」
そうして集中し穴を開ける・・・すると。
(だっだっだっだっだ)
猪が穴から勢い良く突進してきた。
「ちょっと生きてるじゃない!」
「ごごごごめんなさい!」
すっかり忘れていた、生け捕りだったんだ・・・・。
「こっちこないでー!」
「私の所に誘導しないでくださーい!!」
猪が私の方へ走ってきた。
「夢想封印!!」
霊夢がかなり強力な攻撃を猪に与えた。
猪の食べれる場所が4割ぐらいなくなっても気にしないほどに。
しかし・・・。
「流れ弾が!流れ弾が!」
焦りつつも冷静に反射的に集中!
穴に吸い込まれた弾は同じ穴から飛び出した。
「穴開いて返さないでー!」
「すいません!つい!」
「ついって!?ぎゃぁぁぁぁぁ!」
今日も博麗神社は賑やかです。
妙な肉の塊と薄く焦げた霊夢がいるけど。
一方その頃紅魔館では・・・
「ねぇレミィ」
本からそっと目だけのぞかせ目の前のレミリアに話しかけた。
「ん、何?パチェ」
「この前面白い娘見かけたって言ってたけど具体的にどう面白かったの?」
「あぁ、聞こえていたのね」
「普通に聞こえないほうがおかしいわよ」
「それもそうね」
実は昨日の晩食堂でレミリアと咲夜がパチュリーを挟んで喋っていた為、
全部聞こえていたのであった。
「それで、質問の答えは?」
「う~んあの娘あと3日で運命が途切れてるの」
「3日後に死ぬんじゃないの?」
「死ぬなら死ぬで運命の終止符が打たれているわ」
「つまりぷつんって途切れてる感じ?」
「そうそう、私も始めて視たから驚いたのよ」
「ふぅん、それで途切れると終わるのってどう違うの?」
「終わるだとさっき言ったとおり死の運命と言う事になるわ。
途切れるとなるとその運命の主の時が止まるか主自体が別の存在や別の運命体に切り替わる事になるの」
「どうして途切れるかは視れないの?」
「2,3時間先ぐらいなら視れるわ、パチェも遠くのものはハッキリとは見えないでしょう?」
「いいたとえね、それでレミィはその3日後の途切れる瞬間何が起こるのか楽しみって所?」
「そう、最近暇だからねぇ」
「もし、その途切れが幻想郷を滅ぼす差し金だったら?」
「あの娘じゃ多分そこまで酷い事にはならないわ」
「そう」
パチュリーはまた視線を本に戻した。
こうして幻想郷の夜が更けていく・・・。
+蛇足+
「猪ってここまでおいしいなんて」
「泣くか食べるかどちらかにしませんか?」
霊夢の過去を見てみたい、本気でそう思う今日のこの頃。
続く。
オリキャラとかが嫌いな人は読まないほうがいいと思います。
それと孔を操る程度の能力の続きなので、まずそっちに目をとうしてもらえたほうがいいです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「・・・・・・」
まただ・・・
「・・・・・・・・」
聞こえるようで聞こえない声。
「その・・ら・・・・」
貴方はだれ?
「お・・・・が・・」
貴方は何処にいるの?
「わ・・・い・・・う・・・れ・・る」
もうちょっと大きい声で言ってくれないかな?
「・・・・・・・・・・・・」
+++++++
朝がきた、今日も清々しいいい朝だ。
しかし居間に行くと・・・
「おなかすいた・・・・」
「わは・・・・・」
四文字熟語で死屍累々と言うのかな?
それとも地獄絵図?
よくわからない言葉を使うよりもこういったほうが早いか。
二つの死体があった。
「ご愁傷様です」
「勝手に殺すな」
「人肉~」
霊夢が気力のないツッコミを入れた。
ルーミアに関しては霊夢の手を噛んでいる、
ただ霊夢が痛がらないということは甘噛みだろうか・・・
すこし赤面した。
「ていうかなんで貴方は平気なの?」
「なれてますから」
「そーなのかー・・・・」
「まるで中国ね・・・」
中国?中国は晩御飯を食べない風習があるのかな?
「適当に食べられそうなものを取ってきますのでまっててください」
「助かるわ・・・」
「むぐむぐ」
ルーミアは相変わらずくわえているようだ。
そんなことよりも食料だ!
そしてばっと居間の障子をあけ、森へ走った。
「取ってくるといっても何かいいのあるかなぁ?」
適当に探したが特には無い・・・
あったのは禍々しい色のきのこだけだった。
その辺の草にも多分食べられるのがあるんだろうけど生憎その辺の知識は無い。
・・・その時、ポトっと美羽の頭の上に木の実が落ちてきた。
「ん?」
橙色の丸い木の実だった。
「みかんだ!」
夏みかんは甘い、しかし収穫が早いと本当に酸っぱいのだ。
「夏みかんか、栄養は満点だね」
神経をちょっと集中、拳大の穴を作った。
この穴は貫通してなくて、中にものを貯蔵できる便利な穴だ。
「低い位置にある実は全部もらっちゃえ」
手当たりしだい穴に放り込んだ。
「さてと、あまり時間かけていられないよね」
そういい神経を集中させた。
そして神社に直結する穴を作り、入った。
「霊夢ー、ルーミアー、取ってきたよー」
居間にぶっ倒れている二人が頭を上げた。
「飯・・・・・」
「むぐむぐ」
ルーミアはいまだにくわえている。
そのうち殴られるよ?
「そこの方でみかんがあったからとって来ました」
「助かるわ・・・・本当に・・・今年から」
今年から・・・・みつけてなかったのか。
そう思いながら美羽は穴を開けた。
ボササササササーーー!
霊夢が大量のみかんに埋もれた。
「あ」
穴が逆さまだった、やってしまった。
ルーミアは難を逃れたのか仰向けのまま平然とみかんを皮ごと食べている、行儀が悪いしおなか壊すぞ。
・・・そうだ、霊夢が埋もれたんだった!
「大丈夫!?霊夢!」
みかんを書き分けて霊夢を探した。
そして出てきたものは幸せそうな霊夢の顔であった。
「山のように積まれた食べ物に埋もれるなんて・・・幸せ」
逞しい。
なんだかんだとあり霊夢とルーミアは本調子に戻ったようだ。
------
少し経って今はちゃぶ台の上でみかんを食べている。
「夏みかんねぇ・・・まさかうちの近くにあったなんて」
みかんの筋を懸命に取り除きながら霊夢は言った。
「まぁ見つけにくいっていったら確かに見つけにくいと思いますけど」
ちなみ自分も筋を取らないと気がすまない。
霊夢同様懸命に取り除く。
「むぐむぐ」
ルーミアは皮を剥いたら直に食べている、こだわりは無いようだ。
「夏みかんって確か4月頃にも収穫できるのよね」
「収穫はやいと物凄くすっぱいですよ?」
「食べれればかまわないわ」
「食べれればって・・・それじゃいままで何を食べていたのですか?」
そう言い霊夢は指差した。
涙が出た。
霊夢、食料調達がんばるよ!・・・と心の中で叫んだ。
「さて、今日は食料調達行ってきてもらえない?」
やはりきた。
「ルーミアも一緒にね」
「むぐ!?」
ルーミアにとっては予想外の展開であったようだ。
「当然でしょ、二食も食べたんだから」
二食と言えるのか疑問に思ったが黙っておく。
「むぐむぐ・・・」
ルーミアは食べ続けるのをやめない、相当な食いしん坊だったのか。
「霊夢はどこか行くんですか?」
ちょっと疑問に思った。
「紫を叩きにいく」
「そうですか」
深くは聞かない・・・いや、聞きたくない。
「じゃ、適当に食べたら行ってきて頂戴、私はもう行くわ」
そう言い霊夢は外に向かった。
「いってらっしゃい」
「むぐむぐ」
軽く手を振った。
そして霊夢も手を振り返すと、空高く飛んでいった。
「私も空とんでみたいなぁ・・・」
空を飛ぶのはやはり気持ちがいいのだろうか、
地面の世界しか知らない私には想像できない。
「さてルーミア、そろそろいこうか」
「むぐぐ・・・すっぱい」
はずれをひいた様だ。
渋い顔をしたルーミアとともに神社をでた。
取り合えず食料調達のためまずは森ではなく階段を下りる、
朝探したとき森にはきのこぐらいしかなかったからだ。
「ルーミア、ここから一番近い里ってどこかわかる?」
取り合えず里で畑でもやっている人に野菜分けてもらおうという筋だ。
「あっち」
ルーミアは指を刺した。
「そっちね、ありがとう」
分かれ道とかはルーミアの指差した方向にすすめばいいだろう。
しばらくすると森を抜けて田んぼの道にでた。
どうやら里に着いたみたいだ。
「さて、誰か野菜分けてくれるかな?」
「さあ?」
ルーミアと適当に話しながらあるいていると・・・
「おぅ!そこの嬢ちゃん達!みねぇ顔だな!」
畑にいたおじさんに話しかけられた。
「私達ですか?」
「嬢ちゃん達以外誰がいるんだ?」
笑顔でおじさんは答えた。
こうやって話しかけられたのは初めてだ。
「で、何処から来たんだい?」
「はい、そこの神社からです」
「私もおなじだよ」
指を刺した。
「お?そこというと博麗神社だな!」
博麗神社というのか。
「多分そうです」
「そうだよ」
「で、神社からどうしてここまで?」
「あ、はい、ちょっと食料不足でして野菜を分けてもらえないかと・・・」
「野菜か?よし!かわいい嬢ちゃんのために俺の自慢の野菜をやろう!」
「本当ですか!?」
「わはー」
「男に二言はねぇ、ついてきな」
「ありがとうございます!」
そういいおじさんの後ろについていった。
「ほら、大根、白菜、きゅうり、じゃが芋なんでもあるぞ」
野菜にところどころ土がついている、新鮮な証拠だ・・・うんうん。
「野菜・・・じゅるり」
「涎拭きなさい・・・」
「はっはっはっは!まぁこれだけならやるよ!」
そういいおじさんは籠に野菜を詰め始めた。
「これで5日ぐらいはもつだろう」
おじさんは私に籠を手渡した。
「はい!ありがぁ!?」
重い!さすが農家のおっちゃん!力持ちだな!
「野菜野菜わはー」
しかしルーミアはひょいっといとも簡単に持ち上げてしまった・・・
人間と妖怪の差を改めて知った。
「力持ちだな!嬢ちゃん、まぁ無くなったらまたきな!捨てるぐれぇならやったほうが後味いいからな!」
その心の器に感無量、絶対またこよう。
「はい、本当にありがとうございます!」
「いいってことよ!じゃぁな!元気でな!」
手を振りながら私とルーミアは里をでた。
まずいったんこの野菜を神社に置いて来ないと。
++++++
神社の裏には蔵があった。
蔵は冬は暖かく夏は涼しいという物の保管などに適した造りをしている、
無論食料なども保存することができる。
しかしこの野菜は無添加だからもって十日弱であろう、多分。
多分といっても本当に長い時間おいてしまうと萎びてしまうか腐ってしまう。
「さて、次は肉類を探さなくちゃ」
「人肉わh「ダメ、絶対」
反射的に某薬物ポスターと同じことを言ってしまった。
「じゃぁ鶏肉」
鶏肉ならいいか。
「鶏肉かぁ、野鳥の巣がある場所でもしってるの?」
「うん!」
自信満々だ、期待できるかも。
「ついてきて!」
「あ、ちょっと早いよルーミア」
ステテーっとルーミアは走っていく、
何で飛ばないんだろう・・・
疑問を口に出してみた。
「ねぇルーミア」
「ん?」
「なんで飛ばないの?」
「えっとねぇ美羽と一緒に行きたいから」
まるで人間の子供のような反応、
なんと愛いやつ。
たしか妖怪って見た目よりも長い時間生きてるんだよね?
精神年齢も見た目と同じ遅さで成長するのかな?
「どうしたの?」
しまった、ついつい物思いにふけってしまった。
「ああ、私もルーミアと一緒に歩けて嬉しいよ」
「本当に!?」
ルーミアははしゃぎだした、これが人間じゃないなんて嘘のようだ。
・・・あれ?
また一つ疑問ができた。
「なんでルーミアは両手広げているの?」
先を歩いていたルーミアが振り返り、
「何に見える?」
質問で返してきた。
両手を広げて・・・
「飛行機?」
「何それ?」
やはり・・・
「聖者は十字架に磔にされました、だよ」
「ほうほう」
「ちなみ人類は十進法を採用しましたじゃないよ」
なんじゃそりゃ。
「そんな発想する人がどこに・・・」
「ここにいるぜ」
「そう、こいつ」
噂をすればなんとやら、そこに現れたのは霧雨魔理沙、
・・・しかし現れたというかいつの間にかいた・・・空から降りてきたのだろうか。
「久しぶりだな、調子はどうだ?足一本くわれていないか?」
「見てのとおりですよ」
「ただの冗談だぜ、気にするな」
「・・・なんで魔理沙がここにいるんですか?」
「呼び捨てで敬語ってなんかおかしいぞ、私には普通でいい」
「わかった、それじゃ今から普通に話すね」
「それでいい・・・でだ、なんでお前らがここにいるんだ?」
「美羽と一緒に霊夢達の食料調達」
ルーミアが答えた。
「そうか、ちなみ私はきのこの採取だぜ」
「そーなのかー」
「きのこねぇ・・・」
どこか噛み合わない会話をしながらまた歩き出す。
「あ、そうだ」
「どうした?」
「んぁ?」
またしても疑問がうかんだ。
「なんでルーミアってその十字架のポーズをずっとしているの?」
「たしかに言われれば気になるな」
「うーん、それはねー・・・・」
「・・・」
「・・・」
「えっとねー・・・」
ルーミアの額に一筋の汗が。
「えっと・・・」
ルーミアの表情がすこし険しくなった。
「あぅ・・・」
目をそらされた。
「忘れたんだね」
「忘れたんだな」
「・・・ぅん」
「ぷ・・・・・あはははははははは」
思わず笑ってしまった。
「く、はははははははははは」
魔理沙も笑い出した。
「そんなに笑わないでよ!」
ルーミアがふてくされてしまった。
「ごめんごめん、いつもそのポーズしていたから何か大切なことでもあるのかと思ってて」
「しっかしそれが忘れただもんな!ははははははははは」
魔理沙は腹を抱えている・・・さすがに笑いすぎじゃ?
「はははは・・・あーそろそろだな」
切り替え早いね。
「何が?」
「いろんなキノコが群生している秘密の場所に行きたいんでな、ここでお別れだ」
「そう、じゃあまたね」
「ばいばい」
「じゃあな」
そして魔理沙は森の深い所に消えていった。
「ルーミア、まだつかないの?」
「そろそろだよ」
かれこれもう二時間は歩いている。
「ここだよ」
「うわぁ・・・」
そこには森の中にぽっかりと穴が開いたように日が差し込むまるで広場のような場所だった。
「・・・ん?歌声?」
綺麗な、そしてどこか幼い感じのする歌声が響いている。
「ミスチー」
ルーミアは勢いよくその音源へと向かった。
ミスチー?
「ちょっと、ルーミアー」
木が引っかかってうまく進めない。
「・・・よっと」
ようやく広場に出れた・・・が。
「きゃぁぁあああああ」
さっきの歌声が消え、変わりに悲鳴が響いた。
「どうしたの!?」
すぐさま私は駆けた・・・しかしそこで目にしたのは小さめの翼が生えた少女とそれに今にも襲い掛かろうとしているルーミアであった。
「いーやー食べないでー」
「味見だけだからー」
「やめなさい」
ルーミアを抱えて止めた。
「えー鶏肉だよー」
「私は食べ物じゃない!」
半べそで少女は答えた。
「・・・えーっとあなたはミスチー?」
「正確にはミスティア・ローレライ」
ぐずったまま答えた・・・可愛い・・・。
「ミスティアね」
見た感じ妖怪であろう。
「いきなり食べられそうになるなんて今日は厄日?・・・」
「大丈夫、私がルーミアをとめるから」
「うー」
ルーミアは私の腕の中で唸っている。
「で、ルーミア」
「ん?」
「鶏肉ってミスティアのこと?」
「うん!」
「食べ物じゃない!」
ルーミア、恐ろしい娘。
「人の形している物だけは食べるのやめなさい」
「えー?」
やはり聞くわけが無いか。
「さて、あてがはずれたね・・・・」
「うー」
「あてってあんたたち何しに来たの?」
「食料調達」
「食料ね・・・それならいいとこあるよ」
「本当に!?」
「うん、捕まえられればだけど」
捕まえられそうになければ力を使えばいい。
「案内してもらえるかな?」
「構わないわついて来て」
「わはー」
ルーミアの立ち直りが早い、
そう思いながらミスティアについていく。
「ここよ」
意外に近かった。
「一見普通の森だけど?」
周りを見渡しても何も無い。
「ここは猪の通り道だからすこし待つとくるよ、じゃあ私は帰るね」
そう言ってミスティアは帰った。
そしてミスティアに教えてもらったポイントで待っていると本当に大柄な猪がのそのそと歩いてきた。
「よし、ここは慎重に・・「わはー!」
ルーミアのばか者。
当然いきなり襲い掛かられた動物は逃げるか、反撃か、どっちかの行動しか取らない。
今回は後者であった。
「あぅ」
ルーミアが急な猪の突進攻撃に反応できず跳ねられた・・・・・・ってちょっと待て待て待て待て!
そのままこっちに向かってる!?
いやいや、こんな時こそ冷静に・・・そう冷静に・・・集中!
(グワッ)
今回は本当にそう聞こえた・・・冷静に焦るって言うのはこういうことなのかな?
開いた穴に猪は突っ込み穴の世界へと堕ちていった・・・。
「に・・・肉確保・・・はぁはぁ」
予想以上に焦っていたらしく息切れまで起こしている。
軽く深呼吸しルーミアに歩み寄る。
「大丈夫?ルーミア」
「いたーい」
ルーミアは頭にたんこぶを作っていた。
「神社に戻ってお昼にしようか」
「うん!」
ご飯の話になるとすぐ立ち直るのがルーミアか・・・。
最初と印象違うなぁ。
さてと、帰りの直結通路あけるからもう一回集中!
「はい、開いた、ルーミア先入って」
「いただきまーす」
そう言いルーミアは駆けた。
「まだご飯できてないって。」
半分呆れながら私も穴に入る・・・いや、くぐると言った方が正しいかな?
まぁ取り合えず適当にきゅうりでもつかった料理つくるか、
私は叔父の元にいたとき料理もやらされていたから結構自信はある。
おいしいと言われたことは無いが・・・。
ルーミアはおいしいって言ってくれるかな?
色々考えながら私は蔵からきゅうりを二本取り出し厨房へ向かった・・・。
++++++
「ルーミアーできたよー」
役10分程度でできた、作ったのは河童巻き。
念入りに厨房をあさっていると、調味料の棚の奥から海苔が見つかったので作った。
本音は楽だから。
「わはー」
ルーミアは外で遊んでいたみたいだった、障子を開け、居間に入ってきた。
「もう2時頃だしこれだけでいいよね?」
「うん」
これだけ・・・そう・・・これだけ・・・3人前が。
そう思いながらもかっぱ巻きをほうばった、
私の作るかっぱ巻きは細くて一口サイズに切るタイプだ。
「やっぱ酢飯じゃないとだめかなぁ?」
「ほんあほほあいお」
・・・多分そんなことないよと言っているのであろう。
「熱々のごはんだから何とか大丈夫なんだね」
「ほひょうゆああるはらあおひれはい」
「取り合えず飲み込んでから話そうよ」
何言ってるか分からなくなったし。
「んぐ・・・お醤油が無ければだめだったかもしれない」
「それでも構わずたべるんでしょ?」
「うん」
味は関係ないのか。
「ごちそうさまー」
早い・・・五分で全部食べられた・・・。
「ん、ルーミアこれからどうするの?」
「んーりぐるんの所でも言って来る」
「そう・・・じゃ、また今度ね」
「ばいばーい」
「ばいばい」
ルーミアが大きく手を振ってきたので、軽く振り替えした。
「暇になったなぁ・・・」
ルーミアがいないと本当に暇だ。
みーんみーんみーん
「やっぱり何処の世界でも蝉って五月蝿いなぁ・・・ん?」
ふと何かを感じたので外を見た、
すると空間に線が入り、裂けるように開いた。
中から出てきたのは私よりも少し背の高い女性・・・いや、狐の尻尾が九本もあるので妖怪か。
「あなたが美羽か?」
透き通るようであって凛々しい声が響いた。
「はい、私のことですが?」
「そうか、昨日紫様が迷惑を掛けてすまなかった」
「あ、いえいえ」
ついついこう答えてしまう・・・。
「これはほんの謝罪だ、受け取ってほしい」
紙に包まれた箱を出してきた。
「あ、ありがとうございます」
「何、むしろこっちが礼を言いたいほどだ」
よく理解できなかった。
「あの、名前は・・・」
「私か?私は八雲 藍、紫様の式だ」
「そうですか」
藍さんか、どこか頼れそうな雰囲気があるなぁ。
「では、私はまだ仕事があるから帰らせてもらう」
「はい、ではまた今度」
「・・・ああ、また今度」
藍さんは空間の裂け目に入り、裂け目は閉じて何事も無かったかのように消えた。
「藍さん・・・何処かすっきりした顔していたなぁ・・・」
正直かっこよくみえた。
「ただいまー」
入れ違いに霊夢が帰ってきた。
「おかえりなさい」
「食料調達どうだった?」
「五日ぐらいは持つと思います」
「そう、ありがとう」
万遍の笑みで霊夢はお礼を言ってきた。
「礼なんていいですよ、私は居候の身ですから」
私ってつくづく遠慮しがちな性格なんだなぁ・・・。
「そう・・・で、収穫の詳細は?」
「野菜が大漁です、それと大きい猪一頭です」
「本当によくやったわ」
本当に食料に困っているんだね、霊夢。
そして紫さんのことや、ルーミアとの食料調達の事を話しながら御茶をすすっているともう日が暮れていた。
「さてと、晩御飯の準備でもしましょ」
「手伝います」
「ありがとう、じゃあ蔵から大根あったら取ってきて」
「はい」
蔵に行き大根をもってもどる。
「もってきましたー」
「あ、美羽美羽」
霊夢が思い出したように私を呼んだ。
「はい?」
「猪はどこ?」
「はい、穴の中です、いまだします」
そうして集中し穴を開ける・・・すると。
(だっだっだっだっだ)
猪が穴から勢い良く突進してきた。
「ちょっと生きてるじゃない!」
「ごごごごめんなさい!」
すっかり忘れていた、生け捕りだったんだ・・・・。
「こっちこないでー!」
「私の所に誘導しないでくださーい!!」
猪が私の方へ走ってきた。
「夢想封印!!」
霊夢がかなり強力な攻撃を猪に与えた。
猪の食べれる場所が4割ぐらいなくなっても気にしないほどに。
しかし・・・。
「流れ弾が!流れ弾が!」
焦りつつも冷静に反射的に集中!
穴に吸い込まれた弾は同じ穴から飛び出した。
「穴開いて返さないでー!」
「すいません!つい!」
「ついって!?ぎゃぁぁぁぁぁ!」
今日も博麗神社は賑やかです。
妙な肉の塊と薄く焦げた霊夢がいるけど。
一方その頃紅魔館では・・・
「ねぇレミィ」
本からそっと目だけのぞかせ目の前のレミリアに話しかけた。
「ん、何?パチェ」
「この前面白い娘見かけたって言ってたけど具体的にどう面白かったの?」
「あぁ、聞こえていたのね」
「普通に聞こえないほうがおかしいわよ」
「それもそうね」
実は昨日の晩食堂でレミリアと咲夜がパチュリーを挟んで喋っていた為、
全部聞こえていたのであった。
「それで、質問の答えは?」
「う~んあの娘あと3日で運命が途切れてるの」
「3日後に死ぬんじゃないの?」
「死ぬなら死ぬで運命の終止符が打たれているわ」
「つまりぷつんって途切れてる感じ?」
「そうそう、私も始めて視たから驚いたのよ」
「ふぅん、それで途切れると終わるのってどう違うの?」
「終わるだとさっき言ったとおり死の運命と言う事になるわ。
途切れるとなるとその運命の主の時が止まるか主自体が別の存在や別の運命体に切り替わる事になるの」
「どうして途切れるかは視れないの?」
「2,3時間先ぐらいなら視れるわ、パチェも遠くのものはハッキリとは見えないでしょう?」
「いいたとえね、それでレミィはその3日後の途切れる瞬間何が起こるのか楽しみって所?」
「そう、最近暇だからねぇ」
「もし、その途切れが幻想郷を滅ぼす差し金だったら?」
「あの娘じゃ多分そこまで酷い事にはならないわ」
「そう」
パチュリーはまた視線を本に戻した。
こうして幻想郷の夜が更けていく・・・。
+蛇足+
「猪ってここまでおいしいなんて」
「泣くか食べるかどちらかにしませんか?」
霊夢の過去を見てみたい、本気でそう思う今日のこの頃。
続く。
前半でキャラが薄くなっていて不安だったので、よかったです。