※これは『東方放浪記 ~序章~』の続編です。
↓この先博麗神社
「外から来た人だったのね。道理で変な服装をしてると思ったわ」
「変で悪かったですね。私的には気に入ってるんですよ。特に表が黒で、裏が赤という絶妙なコントラストが――」
「はいはい」
今、私はこの少女が巫女をしている神社の中にいる。
あの衝撃の出会いからなんとか自分の置かれている状況を説明し、中に入らせてもらったのである。
しかしこの神社、調度品が少なすぎる。
そういうしきたりでもあるのだろうか?
「ところで、この神社は一体何を祭っているんですか?見たところ神棚とか見当たらないんですが……」
「何って、神様を祭ってるに決まってるじゃない」
「だから、何の神様を祭っているんですか?」
「さぁ?」
「さぁ、ってあなた……」
「この神社、あんまり機能してないから。もしかしたら神様もいなくなっちゃってるかもね」
そう言って霊夢はにこやかに笑う。
巫女として絶対に笑ってはいけないところだと思うのだが……。
「そんなことはどうでもいいのよ。問題は与一さん、あなたがこれからどうするかよ」
「これから、ですか」
「そう、これは選択肢よ。危険なこの幻想郷に住むか、安全な外の世界に戻るか。私としては戻ることをお勧めするけど、決めるのはあなたよ」
「そうですね……」
暫く静寂が続く。
霊夢も黙って待ってくれている。
もしかすると霊夢はこんなこと慣れているのかもしてない。
だとすると霊夢に悪い。
なぜなら私の腹はとっくの昔に決まっていたのだから。
「決めましたよ、ここに住みます」
「早かったわね、普通の人なら何分も考え込むのに。もしかして前から決めてたの?」
「ん~、半分当たりで半分外れです。私はね、あの世界から逃げられるのならどこでもよかったんですよ」
私は大げさに腕を広げて言う。
「霊夢、あなたはさっき『安全な外の世界』と言いましたね。それはとんでもない間違いです。物事に表裏があるように、世界にも表裏があるんですよ」
服の裾をつかんでこれ見よがしと見せる。
「この服で例えてみましょう。まず、表の黒い方が安全な社会の中でただ生きているだけの世界。そして、裏の赤い方が血と暴力で塗れた、常に死と隣り合わせの世界。私はこの世界の住人。一度外れた人間が元に戻るなんて不可能に近い、それこそ幻想だ。だから、戻っても結局は同じなんですよ」
「一つ聞いてもいいかしら。与一さんはその世界で一体なんだったの?殺し屋?詐欺師?それとも殺人鬼?」
霊夢は興味本位だと言わんばかりの顔で言った。
もしかすると霊夢はこんなこと慣れているのかもしれない。
「そうですね、強いて言うならば殺人鬼もどきであり、死神のなりかけである。そんな感じですね」
「ふ~ん、要にはまだ人間なのね。だったらいいわ」
目の前に人殺しがいてこの態度、もしかすると――いや、間違いなく大物だ。
もしかすると、霊夢なら、私を――
「ねぇ、霊夢」
「ん?どうしたの」
「ちょっとしたマジックを見せようと思うのですが、いいでしょうか」
「マジック?いいわよ。でも並大抵のことじゃ驚かないからね」
「大丈夫です。必ずや驚かして見せます。それで下準備のための一室と、あなたが着ている巫女装束を貸してほしいんです。あっ、無論予備のやつで結構ですよ」
「……変なことに使わないでしょうね」
「当たり前です。私にそんな趣味はありません」
「ならいいわ」
霊夢は立ち上がると、衣装ダンスから巫女装束を取って私に渡した。
「この部屋を出て右の突き当りに部屋があるから、そこを使ってね」
「ええ、では数分待っててくださいね」
そう言って、部屋を出て右に曲がる。
また拒絶されるぞ――
そんな声が頭に響いた。
が、もう後へは戻れぬ道、だめならまた一人で何とかして見せるさ。
部屋に着き、障子を閉める。
そのまま顔に手を当て、まるで粘土細工を弄るかのごとく顔の形を崩して、そしてまた整えていった。
手、胴体、足、と上から順に崩しては整えていった。
その体のまま服を脱ぎ、霊夢から借りた巫女装束に着替える。
かかった時間は三分にも満たない。
部屋を出て、霊夢の居る部屋に戻る。
障子の前に立ったときに躊躇したが、覚悟を決め障子を開ける。
「どう?与一さん。準備は出来――」
霊夢は何か言いかけ、そのまま固まってしまった。
無理も無い。これでもまともな部類だ。
「…………」
「…………」
霊夢は目を大きく見開いたまま固まっている。
私は黙ってそれを見ている。
「嘘……」
やっと固まっていた霊夢が口を開く。
「私?……」
そこには博麗霊夢が二人いた。
↓この先博麗神社
「外から来た人だったのね。道理で変な服装をしてると思ったわ」
「変で悪かったですね。私的には気に入ってるんですよ。特に表が黒で、裏が赤という絶妙なコントラストが――」
「はいはい」
今、私はこの少女が巫女をしている神社の中にいる。
あの衝撃の出会いからなんとか自分の置かれている状況を説明し、中に入らせてもらったのである。
しかしこの神社、調度品が少なすぎる。
そういうしきたりでもあるのだろうか?
「ところで、この神社は一体何を祭っているんですか?見たところ神棚とか見当たらないんですが……」
「何って、神様を祭ってるに決まってるじゃない」
「だから、何の神様を祭っているんですか?」
「さぁ?」
「さぁ、ってあなた……」
「この神社、あんまり機能してないから。もしかしたら神様もいなくなっちゃってるかもね」
そう言って霊夢はにこやかに笑う。
巫女として絶対に笑ってはいけないところだと思うのだが……。
「そんなことはどうでもいいのよ。問題は与一さん、あなたがこれからどうするかよ」
「これから、ですか」
「そう、これは選択肢よ。危険なこの幻想郷に住むか、安全な外の世界に戻るか。私としては戻ることをお勧めするけど、決めるのはあなたよ」
「そうですね……」
暫く静寂が続く。
霊夢も黙って待ってくれている。
もしかすると霊夢はこんなこと慣れているのかもしてない。
だとすると霊夢に悪い。
なぜなら私の腹はとっくの昔に決まっていたのだから。
「決めましたよ、ここに住みます」
「早かったわね、普通の人なら何分も考え込むのに。もしかして前から決めてたの?」
「ん~、半分当たりで半分外れです。私はね、あの世界から逃げられるのならどこでもよかったんですよ」
私は大げさに腕を広げて言う。
「霊夢、あなたはさっき『安全な外の世界』と言いましたね。それはとんでもない間違いです。物事に表裏があるように、世界にも表裏があるんですよ」
服の裾をつかんでこれ見よがしと見せる。
「この服で例えてみましょう。まず、表の黒い方が安全な社会の中でただ生きているだけの世界。そして、裏の赤い方が血と暴力で塗れた、常に死と隣り合わせの世界。私はこの世界の住人。一度外れた人間が元に戻るなんて不可能に近い、それこそ幻想だ。だから、戻っても結局は同じなんですよ」
「一つ聞いてもいいかしら。与一さんはその世界で一体なんだったの?殺し屋?詐欺師?それとも殺人鬼?」
霊夢は興味本位だと言わんばかりの顔で言った。
もしかすると霊夢はこんなこと慣れているのかもしれない。
「そうですね、強いて言うならば殺人鬼もどきであり、死神のなりかけである。そんな感じですね」
「ふ~ん、要にはまだ人間なのね。だったらいいわ」
目の前に人殺しがいてこの態度、もしかすると――いや、間違いなく大物だ。
もしかすると、霊夢なら、私を――
「ねぇ、霊夢」
「ん?どうしたの」
「ちょっとしたマジックを見せようと思うのですが、いいでしょうか」
「マジック?いいわよ。でも並大抵のことじゃ驚かないからね」
「大丈夫です。必ずや驚かして見せます。それで下準備のための一室と、あなたが着ている巫女装束を貸してほしいんです。あっ、無論予備のやつで結構ですよ」
「……変なことに使わないでしょうね」
「当たり前です。私にそんな趣味はありません」
「ならいいわ」
霊夢は立ち上がると、衣装ダンスから巫女装束を取って私に渡した。
「この部屋を出て右の突き当りに部屋があるから、そこを使ってね」
「ええ、では数分待っててくださいね」
そう言って、部屋を出て右に曲がる。
また拒絶されるぞ――
そんな声が頭に響いた。
が、もう後へは戻れぬ道、だめならまた一人で何とかして見せるさ。
部屋に着き、障子を閉める。
そのまま顔に手を当て、まるで粘土細工を弄るかのごとく顔の形を崩して、そしてまた整えていった。
手、胴体、足、と上から順に崩しては整えていった。
その体のまま服を脱ぎ、霊夢から借りた巫女装束に着替える。
かかった時間は三分にも満たない。
部屋を出て、霊夢の居る部屋に戻る。
障子の前に立ったときに躊躇したが、覚悟を決め障子を開ける。
「どう?与一さん。準備は出来――」
霊夢は何か言いかけ、そのまま固まってしまった。
無理も無い。これでもまともな部類だ。
「…………」
「…………」
霊夢は目を大きく見開いたまま固まっている。
私は黙ってそれを見ている。
「嘘……」
やっと固まっていた霊夢が口を開く。
「私?……」
そこには博麗霊夢が二人いた。
正直短く切りすぎ。もうちっと書き溜めてから投稿しても
良いと思うんですが。という訳で評価保留。
あと、どうでもいいけど
「↓この下~」ってのは演出的に考えても
あんまり必要ないんじゃ。
書きながら随時投稿ですか。それはやめたほうが
この長さだったら七、八話纏めても良いぐらいです。
書き溜めてじっくりと推敲してから投稿すべきでしょう。
内容は十分に面白いので今度はもう少し長いのが読みたいです。
是非続きを期待しています!
あと、やはり日にちは掛かってもちゃんとした長さにしてから投稿することを推奨します。