日本と呼ばれる国の東に位置する場所に一人の少女がいました。
その少女は生まれつき特異な能力を持っていました。
これはその少女と悪鬼と幻想の国の物語…
‐孤独からの生還‐
私は佐々苗 美羽(さざなえ みわ)、生まれて来てはいけなかった人間です。
私の両親は私を残して突然居なくなりました。
「やーい化け物こっちくんなー」
…。
「あの娘さえ居なければねえ」
うるさい。
「あの娘があの二人を殺したんだ」
勝手なことを言わないで…
「あの化け物が生まれて来なければ」
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!
「…ッ!」
美羽に石が投げられた。
「化け物退治だー!」
「やっつけろ!」
「死んじゃえ!」
痛い…痛い…
なんで石を投げるの…
なんで私がこんな目にあうの…
なんで私は生まれて来たの…
なんで…お父さんとお母さんは居なくなっちゃったの…
なんで……なんで…こんな力があるの…
「こら!あれに近付いちゃだめだって言ったでしょう!」
…。
「はぁーい」
もういや…。
何度そう思ったことか。
「叔父さんの家に帰ろう…」
なるべく人目を避けるようによろよろと美羽は家へ歩み出した。
―――――
家の近くまでくると大人数人が家の前でもめて居るようだ。
「家にそんなものはいねぇ!帰れ!」
「いえ、娘さんをこちらの局に…」
「だからいねぇっつってんだろ!」
「ですが、目撃情報は…」
「いねぇもんはいねぇんだ!とっとと帰れ!二度と来るな!」
そう言うと叔父は力任せに扉を閉めた。
「…ったくよ、化け物ぐらいどうだっていいだろうによ」
「いいネタになるんすけどね」
「視聴率は跳ね上がり間違いなしだろうな」
「それよりも埋合わせどうするよ?」
「適当に殺人事件でも取り上げるか」
「しかたない、明日は張り込みだ」
「え~あれ辛いんっすよね~」
大人たちは愚痴を言いながら車に乗り込み帰って行った。
「ただい…ま…」
美羽は静かに扉を閉めて一番に見たものは鬼のような形相をした叔父だった゜
「このクソガキが!」
「ひ…」
叔父が怒鳴るとすぐさま美羽は怯えた。
「あれ程外に出るなと行っただろう!」
「ごめんなさい!」
「なんで俺があんなマスコミどもの相手をしなきゃいけないんだ!?えぇ!?その上お前は外でお遊びか!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめぉぁ…!」叔父は怒鳴りながら美羽を蹴り飛ばした。
「俺がどんな思いをしてんのか分かってるのか!?あぁ!?」
「あぐ!…ごめんな…ぁが…ごめ…んなさい…うぅ!」
叔父は抵抗しない美羽を蹴り続ける。
「そんなに外がいいならずっと外にいろ!この化け物が!」
叔父は美羽を外に投げ捨てた。
「ご…め…んな…さ…がふ!」
ドサ…っという音の後バタン!と扉が閉められた。
「うぅ…」
身体が言うこと聞かない美羽は泣くしかなかった。
―――――
時間が経ち真上にあった太陽は今は橙に輝いている。
「喉…かわいた…」
その弱々しいこえはひぐらしの鳴き声によってかき消された。
「水…」
よろよろと美羽は痛みを堪えて立ち歩きだした。
「痛…公園に行けば水があるよね…」
公園は美羽にとっては恐怖でもあった。
しかし本能は水しか求めていない。
よろよろと、時に遠回りして極力人目を避けて公園を目指した。
―――――
不幸中の幸いか誰にも見付からずにたどり着いたが…
「人が…」
小学生だろうか、5人の子供が遊んでいる。
「次なにするよー」
「あ、やべーもうこんな時間だー」
「本当だ!お母さんに怒られる!」
「あーままだーままー」
「じゃあ僕も帰るね、ばいばーい」
「俺も帰るか、んじゃまたあした」
子供達は一人、また一人と帰って行った。
「お母さんか…」
そういいつつ無人になった公園の水道水をがぶ飲みした。
「よし」
水を飲んで少し元気が出たのかさっきよりも少し言葉がはっきりして、
動きもよくなった。
そして美羽は決心した。
「もう二度と帰らない…
山の中なら見付からないよね」
美羽はまた歩みだした。
―――――
美羽は山のすぐそこで立ち止まっていた、
その目の前には…
―行方不明者続出のため立ち入り禁止―
という看板と柵があった。
「どうしよう」
美羽は帰る気はないけど死ぬ気もなかった。
「行方不明って事は生きてる場合もあるんだよね…」
誰かに聞かせる訳でもなく呟く。
しかしここ以外に行くあてなどある訳がない。
美羽は柵の壊れる場所を潜って侵入した。
―――――
柵の奥はすぐ森だった。
「綺麗な森…」
その森は古代からそのままを維持したような場所だった。
更に進むと入口と同じ様な柵があった、
違いは半壊状態なところか。
「危険地帯抜けたのかな?」
半壊した柵はもはや意味をなさない。
少し大きめに跨いで柵を越えて歩く。
―――――
「危険地帯抜けたのかな?」
半壊した柵はもはや意味をなさない。
少し大きめに跨いで柵を越えて歩く。
―――――
もう2時間以上は歩いていたのか辺りは暗く空には月がでていた。
「疲れた…」
美羽は座込んだ。
「叔父さん達いまごろ激怒してるのかな…」
無論帰るつもりはない。
「ん?あれって…」
美羽は森の奥に鳥居らしき物を見つけた。
鳥居に向うと道があった。
「反対は町につながっているのかな…?」
そう言っても何故か人は来ない気がした。
そう言っても何故か人が来ない気がした。
神社かな?泊めてもらえるかな?私を知らない人かな?
数々の疑問を頭に浮かべながら神社の階段を昇る…
そして上り切るとそこには人気のない寂れた神社があった。
「誰もいないのかな…?」
美羽はとりあえず周りに人が居ないか探したが、
「いない…」
美羽は安心と共に何処か寂しさも感じた。そして体が疲れているのかすぐ眠くなった。
「あれ…?」
美羽には壁のような物が‐視えた‐。
何よりも固く、何よりも薄い、そんな壁が。
「この奥なら叔父さんも…だれも入れないよね…」
そういい眠いのをこらえ、目を閉じ、
集中した。
「固い…」
思わず口に出た。
そして空間に小さな円形の窪みができ、
風船が割れるかのように穴が開き、
等身大に広がった。
美羽はその穴に入って行った…
神社以外の風景が変わるとそこには居なかった筈の巫女らしき少女がいた。
そして
「あんた誰?」
唖然とした様子で一言。
あんた誰
この言葉で自分の敵ではない事を瞬時に悟った美羽は今まで感じたことのない安心感を感じつつ意識は深い闇に墜ちた。
つづく
その少女は生まれつき特異な能力を持っていました。
これはその少女と悪鬼と幻想の国の物語…
‐孤独からの生還‐
私は佐々苗 美羽(さざなえ みわ)、生まれて来てはいけなかった人間です。
私の両親は私を残して突然居なくなりました。
「やーい化け物こっちくんなー」
…。
「あの娘さえ居なければねえ」
うるさい。
「あの娘があの二人を殺したんだ」
勝手なことを言わないで…
「あの化け物が生まれて来なければ」
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!
「…ッ!」
美羽に石が投げられた。
「化け物退治だー!」
「やっつけろ!」
「死んじゃえ!」
痛い…痛い…
なんで石を投げるの…
なんで私がこんな目にあうの…
なんで私は生まれて来たの…
なんで…お父さんとお母さんは居なくなっちゃったの…
なんで……なんで…こんな力があるの…
「こら!あれに近付いちゃだめだって言ったでしょう!」
…。
「はぁーい」
もういや…。
何度そう思ったことか。
「叔父さんの家に帰ろう…」
なるべく人目を避けるようによろよろと美羽は家へ歩み出した。
―――――
家の近くまでくると大人数人が家の前でもめて居るようだ。
「家にそんなものはいねぇ!帰れ!」
「いえ、娘さんをこちらの局に…」
「だからいねぇっつってんだろ!」
「ですが、目撃情報は…」
「いねぇもんはいねぇんだ!とっとと帰れ!二度と来るな!」
そう言うと叔父は力任せに扉を閉めた。
「…ったくよ、化け物ぐらいどうだっていいだろうによ」
「いいネタになるんすけどね」
「視聴率は跳ね上がり間違いなしだろうな」
「それよりも埋合わせどうするよ?」
「適当に殺人事件でも取り上げるか」
「しかたない、明日は張り込みだ」
「え~あれ辛いんっすよね~」
大人たちは愚痴を言いながら車に乗り込み帰って行った。
「ただい…ま…」
美羽は静かに扉を閉めて一番に見たものは鬼のような形相をした叔父だった゜
「このクソガキが!」
「ひ…」
叔父が怒鳴るとすぐさま美羽は怯えた。
「あれ程外に出るなと行っただろう!」
「ごめんなさい!」
「なんで俺があんなマスコミどもの相手をしなきゃいけないんだ!?えぇ!?その上お前は外でお遊びか!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめぉぁ…!」叔父は怒鳴りながら美羽を蹴り飛ばした。
「俺がどんな思いをしてんのか分かってるのか!?あぁ!?」
「あぐ!…ごめんな…ぁが…ごめ…んなさい…うぅ!」
叔父は抵抗しない美羽を蹴り続ける。
「そんなに外がいいならずっと外にいろ!この化け物が!」
叔父は美羽を外に投げ捨てた。
「ご…め…んな…さ…がふ!」
ドサ…っという音の後バタン!と扉が閉められた。
「うぅ…」
身体が言うこと聞かない美羽は泣くしかなかった。
―――――
時間が経ち真上にあった太陽は今は橙に輝いている。
「喉…かわいた…」
その弱々しいこえはひぐらしの鳴き声によってかき消された。
「水…」
よろよろと美羽は痛みを堪えて立ち歩きだした。
「痛…公園に行けば水があるよね…」
公園は美羽にとっては恐怖でもあった。
しかし本能は水しか求めていない。
よろよろと、時に遠回りして極力人目を避けて公園を目指した。
―――――
不幸中の幸いか誰にも見付からずにたどり着いたが…
「人が…」
小学生だろうか、5人の子供が遊んでいる。
「次なにするよー」
「あ、やべーもうこんな時間だー」
「本当だ!お母さんに怒られる!」
「あーままだーままー」
「じゃあ僕も帰るね、ばいばーい」
「俺も帰るか、んじゃまたあした」
子供達は一人、また一人と帰って行った。
「お母さんか…」
そういいつつ無人になった公園の水道水をがぶ飲みした。
「よし」
水を飲んで少し元気が出たのかさっきよりも少し言葉がはっきりして、
動きもよくなった。
そして美羽は決心した。
「もう二度と帰らない…
山の中なら見付からないよね」
美羽はまた歩みだした。
―――――
美羽は山のすぐそこで立ち止まっていた、
その目の前には…
―行方不明者続出のため立ち入り禁止―
という看板と柵があった。
「どうしよう」
美羽は帰る気はないけど死ぬ気もなかった。
「行方不明って事は生きてる場合もあるんだよね…」
誰かに聞かせる訳でもなく呟く。
しかしここ以外に行くあてなどある訳がない。
美羽は柵の壊れる場所を潜って侵入した。
―――――
柵の奥はすぐ森だった。
「綺麗な森…」
その森は古代からそのままを維持したような場所だった。
更に進むと入口と同じ様な柵があった、
違いは半壊状態なところか。
「危険地帯抜けたのかな?」
半壊した柵はもはや意味をなさない。
少し大きめに跨いで柵を越えて歩く。
―――――
「危険地帯抜けたのかな?」
半壊した柵はもはや意味をなさない。
少し大きめに跨いで柵を越えて歩く。
―――――
もう2時間以上は歩いていたのか辺りは暗く空には月がでていた。
「疲れた…」
美羽は座込んだ。
「叔父さん達いまごろ激怒してるのかな…」
無論帰るつもりはない。
「ん?あれって…」
美羽は森の奥に鳥居らしき物を見つけた。
鳥居に向うと道があった。
「反対は町につながっているのかな…?」
そう言っても何故か人は来ない気がした。
そう言っても何故か人が来ない気がした。
神社かな?泊めてもらえるかな?私を知らない人かな?
数々の疑問を頭に浮かべながら神社の階段を昇る…
そして上り切るとそこには人気のない寂れた神社があった。
「誰もいないのかな…?」
美羽はとりあえず周りに人が居ないか探したが、
「いない…」
美羽は安心と共に何処か寂しさも感じた。そして体が疲れているのかすぐ眠くなった。
「あれ…?」
美羽には壁のような物が‐視えた‐。
何よりも固く、何よりも薄い、そんな壁が。
「この奥なら叔父さんも…だれも入れないよね…」
そういい眠いのをこらえ、目を閉じ、
集中した。
「固い…」
思わず口に出た。
そして空間に小さな円形の窪みができ、
風船が割れるかのように穴が開き、
等身大に広がった。
美羽はその穴に入って行った…
神社以外の風景が変わるとそこには居なかった筈の巫女らしき少女がいた。
そして
「あんた誰?」
唖然とした様子で一言。
あんた誰
この言葉で自分の敵ではない事を瞬時に悟った美羽は今まで感じたことのない安心感を感じつつ意識は深い闇に墜ちた。
つづく
とりあえず中途半端で終わらないように願います。
続きに期待して敢えてフリーレスで。
続きに期待
まだ始まりだけなのでフリーレスで
できた端から投稿すると辛口アドバイスに凹んでぶん投げる可能性が高いから。
あまり期待出来ないかも・・・
オリキャラ物ですって文頭に書いたほうがいいですね
でも、いくらオリキャラ物と言っても
オリキャラを前に出しすぎると批判を受けますので
次はそこらへんも考慮したほうが良いかと思います
次回作に期待します
内容自体は大変良いものでした。