博麗神社・午前7時
「ふ……ああぁぁぁ………」
ん~……今何時かしら?
………7時か……起きるには頃合な時間ね。
まずは、戸を開けて………っと。
カラカラカラカラ…………
ん~……良い天気だわ。
絶好の日向ぼっこ日和ね。
さ、まずは顔を洗って目を覚ましてきましょう。
さてっと、目も覚めた所で今日の朝食は何にしようかしらねぇ………
ま、簡単な物で良いわね。
ご飯、味噌汁、お漬物。
実入りが少ないから少しは節約しておかないとね。
午前8時
ふぅ………食事も終えたし、お茶で一服も付けた所でそろそろ家事に取り掛からないと。
まずは、布団を干して、その後洗濯ね。
それが終わったらまずは室内の掃除をして、その後境内の掃除かしらね。
神社としては小さいけど、一人で管理するには結構広いのよね、この神社。
誰かお手伝いさんでも雇おうかしら?
………無理ね。
お給金払えないわ。
今度から暴れた妖怪とっちめたらウチで働かせようかしら…………
午前10時
ふぅ………漸く室内の掃除が終わったわ。
掃き掃除して雑巾掛けもするから結構疲れたわ。
縁側でお茶でも飲んでお昼までゆっくりしてようかしら。
………そう言えば、最近あいつ来て無かったわね………
と言う事は、今日辺り来そうね。
まぁ、騒々しい奴だけど、話してると時間が経つのを忘れられるからね~
って考えてる側からやっぱり来たわ。
「邪魔するぜ~」
「邪魔するなら帰りなさい」
「酷いぜ。お決まりの挨拶じゃないか」
「あらそう?貴女の場合本当に邪魔されそうだからね」
「そんな事は無いぜ。霊夢の邪魔なんてしたら何されるか解ったもんじゃないからな」
「貴女も大概失礼ね」
「お互い様、だぜ。それよりお茶をくれないか?」
「貴女ね、何様?」
「霧雨魔理沙様だぜ」
「問答するのも馬鹿馬鹿しくなって来たわ。少し待ってなさい」
「おう」
やれやれ、毎度毎度現れてはお茶をたかるんだから………
それを毎度のように出す私も悪いのかしらね?
「で、今日は何の用?」
「私が用があって来た事があったか?」
「数える程度ならね」
「なら解るだろう?」
「要は暇潰しって訳ね」
「ま、そんな所だ」
「暇なら他の場所でも良いでしょうに」
なんで態々ウチに来るのよ。
「偶にはまったりしたいのさ」
「だったら家で一人でまったりしてなさい」
「あそこはそんな雰囲気の場所じゃないからな」
「それについては同感だわ」
そんなこんなと私は魔理沙と他愛も無い話をしている。
これも魔理沙が来ると何時もの事だ。
別段話もせずに二人してボーっとしてる時もある。
ま、せわしなく動くだけが青春じゃないわ。
「ん?更に来客のようだぜ」
「今度は誰よ?」
魔理沙に言われて魔理沙の視線を追う。
「これはまた五月蝿いのが来たわねぇ………」
あの鴉天狗だわ。
取材に来るのは良いんだけど、話聞くなら少しはこっちの話信用しなさいっての。
異変解決の話だって全然信用しないし。
本当、失礼しちゃうわ。
「どうもこんにちわ~」
「お帰りはあちらよ」
私は鳥居を指差してそう返す。
「あやややや………歓迎されてませんね~」
「当たり前じゃない」
「まぁまぁ、そう言わずに話に付き合ってくださいよ」
「話に?貴女が私に聞くんじゃなくて?」
「いや、まぁ………最近ネタが無いって話に付き合って頂きたいんですが………」
「賽銭箱なら向こうよ?」
「有料ですか………」
「霊夢はがめついからな」
「失礼ね、情報料の提供は支払うべきでしょ」
「それが支払うに見合う情報でしたら考えましょう」
「ウチは代金前払いよ」
「解りました、解りましたよ……………もぅ、本当にがめつい巫女ですねぇ………」
聞こえてるわよ。
まぁ、聞こえるように言ってるんでしょうけど。
「さて、お賽銭を入れたわけですが、何か情報でもお有りなんですか?」
「無いわ」
「ちょっ!?人にお賽銭払わせておいてそれは無いでしょう!!」
「あら?私は貴女の「最近ネタが無いって話に付き合う」為の賽銭を入れてもらっただけよ」
「じゃあ、さっきの情報云々は何なんですか?」
「勿論、これまでの異変解決の話に決まってるじゃない。貴女は嘘って決め付けてるけど、こっちは本当の話を提供してるのよ?その情報料は貰って然るべきだわ」
「裏付けが取れてない事ばかりですし、裏付けが取れない面子ばかりじゃないですか!そんなの記事に出来ませんよ!!」
「それは残念ね。でも、こっちは本当に本当の事しか話してないの。信じないと言うのならそれ以上は知らないわ」
「むぅぅぅ…………」
あら?唸っちゃったわ。
「しかし、そんなにネタが無いのか?」
「ええ、ここ最近は特に目立った事も無くて………」
「平和って事でしょ?良い事じゃない」
面倒が無くてとても良いわ。
「ま、でも確かに少し退屈だな」
「しょっちゅう紅魔館でドンパチやってる奴が何言ってるのよ」
「いっそ私達が問題でも起こしてみるか?」
あんたね…笑いながら言ってるけど、本当にやったら笑えないわよ?
「それです!!」
「「は?」」
奇しくも私と魔理沙の声は重なった。
「それですよ!貴女達が話題となる!!これなら読んでくれる人も多いはず!!」
ちょっと待ちなさい、鴉天狗。
「私達が話題って……貴女、まさか私達に問題起こせって言ってるんじゃないでしょうね?」
「いえいえいえ、そんな犯罪教唆みたいな真似はしませんよ。ただ、貴女達が何かをする事で話題として取り上げられるな、と」
「何かって?」
「例えば………………………結婚とか?」
呆れた。
「長い間考えた結論がそれ?呆れて物も…………」
「霊夢~漸く私の愛に応えてくれるのね~」
「夢想封印」
私は突如現れた第三者へ問答無用の弾幕をお見舞いした。
「あん、霊夢のイケズ~」
「黙れスキマ」
こんな神出鬼没な現れ方が出来るのは私の知る所2人しか居ない。
一人は疎と密を操り、己を霧散させられる鬼の伊吹萃香。
そしてもう一人がこの境界を操るスキマの妖怪、八雲紫。
因みに私の夢想封印はスキマに体を引っ込められて避けられた。
「紫、お前は入り口から現れる事が出来ないのか?」
魔理沙の言うとおりだわ。
「私にとってスキマは入り口であり出口よ」
「それ自体は否定しないけど、人の領域の入り口からちゃんと入って来なさい」
「嫌よ、面倒くさい」
このスキマは………
「と言うか、それより何より八雲紫さん」
「あら?何かしら?」
鴉天狗に問われた瞬間、途端に優雅な仕草に戻ったわ。
本当、切り替え早いわね。
「貴女は同性愛者だったんですか?と言うか、霊夢さんとそんな関係に!?これは記事に出来ま……」
「夢想封印」
「ふわぁ!!!あ、危ないですね~」
ちっ、避けたか………流石、幻想郷最速を自負するだけはあるわ。
「さっきのはそこのスキマが勝手に言ってるだけよ。事実無根だわ」
「ふむふむ………で、紫さんの方はやはりそうなんですか?」
「あら?同性だの異性だのなんてくだらない事を気にするのは貴女達の様な程度の低い次元の生き物の話ですわね。私は愛する者は愛し、憎む者は憎む。それだけですわよ?」
「悪かったわね、低次元で」
「霊夢は勿論違うわよ~」
「私はどうなんだ?」
「………中の下?」
「微妙だな」
本当に微妙ね。
「それでは私は?」
「下の下」
「うわ!ひどっ!!」
「だから、それをどうにかする為にも私の式になってみない?」
「それはお断りした筈です。と言うか、その勧誘の為の振りですか?」
「さて?どうかしら…………」
「それはさて置き………霊夢さんは結婚とかの話って無いんですか?」
話戻さなくて良いのに………
「ある訳無いでしょ。大体、相手が居ないわ」
「それもそうだな」
「里に降りたりはしないんですか?」
「そりゃするけど、用が済んだら直ぐに戻るしね」
「気になるお相手とかは?」
「まったく居ないわ」
「うわ、全然記事になりませんね………」
大きなお世話よ。
「大体、相手が居たらどうするつもり?」
「それは勿論、「博麗の巫女に熱愛発覚!?」とか言う見出しで号外配りまくりですよ」
「殆どゴシップ記者だな」
「同感だわ」
「同感ですわ」
「んぐ…………」
言葉を詰まらせたって事は認めてるって事ね。
「しかし、博麗の巫女は博麗大結界の要でもあるんですよね?子孫繁栄をしなくて良いんですか?」
「そんなのまだ早すぎるんじゃない?」
「一応、この世界の者全ての命に関わる事ですから、早くても良いかと」
「それは私の幸せなんて完全無視って事?」
「最悪そうなるのでは?」
はっきり言うわね、この鴉。
「実際どうなんだ?紫。歴代の巫女でそう言うのは居たのか?」
魔理沙も余計な事聞かなくて良いのに。
「………聞きたい?」
意味ありげな含み笑い浮かべるな!
それだから胡散臭いって言われるのよ。
「結構よ。聞く気もないし聞いても意味の無い事だしね」
「つれないわね~」
「残念ね」
「私は非常に興味があるのですが………」
「あ、そう」
どうせ新聞のネタにでもするんでしょ。
「うわっ、霊夢さんが冷たいです」
「いつもの事だぜ」
それは失礼じゃない?魔理沙。
「まぁ、結婚は縁って言うから、いずれ霊夢にも良い相手が見つかりますわ。むぐむぐ………」
「そりゃどうも………って!コラ紫!!それ私のドラ焼きじゃないの!?」
間違いないわ!あれは先日妖夢から貰った物だわ!!
私が自分の所有物、特に食べ物を間違うはずは無い!!!
「硬い事言わないの………ズズズゥ…………」
「あ!?それは私のお茶だぜ!!」
「ふぅ………美味しかったわ♪」
とても素敵な笑顔で言われると余計に腹が立つわ。
「魔理沙」
「おう」
私達はそれだけで互いの行動を知らせる。
「マスター………」
「夢想封印………」
「スパーク!!!」
「集!!!」
私と魔理沙は同時にスペルカードを紫めがけてぶっ放した。
が
「どこ○もドア~♪」
ちぃ………やはり、隙間を開けてそこにスペルカードを放り込まれた。
って言うか、何よその、どこ○もドアって………
「残念でした♪」
「あったま来るわね~」
「そうカッカしないの」
「誰の所為よ」
「そこの鴉天狗」
「何、人の所為にしてるんですか。どう見たって貴女じゃないですか」
まったくね。
「しかし、紫。その隙間に放り込んだ私達のスペルカードはどうなったんだ?」
あ、そうだ。
別に隙間に放り込まれたからって消失する訳じゃないわ。
「ああ、あれ?大丈夫よ。ちゃんと何処にも影響の無い場所に放り出してるから」
「本当かしら………」
こいつは疑わしいったら無いものねぇ………
「まぁまぁ、お詫びにこれをあげるから機嫌を直して頂戴」
そう言って紫が隙間を開いて取り出したのは………
「そ、それは……!!!」
「お~……そいつは良いな」
カ、カステラ………
私の中で羊羹、煎餅と並んでお茶請け上位三位に入る一品じゃない!!
「けどね、紫……毎回毎回、私が食べ物で買収されると思ってるのかしら?」
「嬉しそうに受け取ってからそんな台詞言っても虚しいだけだぜ?」
「ですね~」
「それはそれ、これはこれよ」
貰える物は貰っておくわ。
勿論、邪魔にならない物に限るけどね。
「う~ん………しかし、ここに居てもネタは集まりそうに無いですねぇ………」
「そんな物、自分の足で探すもんじゃないの?」
「探して、無かったから聞きに来てるんですよ」
こいつの性格と足の速さを考えたら本当に既に探し済みかもしれないわね。
「あら?私には何も聞きませんの?」
「貴女の情報は信用度が限りなく低いので」
ま、普段から胡散臭いものね。
「失礼しちゃうわね」
「そう思うなら普段から人に信用されるような言動を心がけてください」
「人の顔色を伺うような行動なんて真っ平御免だわ」
「それはそれで素晴らしい心構えかと思いますが、貴女の場合はもう少し人に信用された方が良いかと」
「こいつにそんな事言ったって無駄よ」
「だな」
言って通じるならとっくにどうにかなってるでしょ。
「さて、それでは私はお暇するとしましょうか」
「じゃあ私も退散しようかしら。また来るわね、霊夢」
「二度と来るな」
「嫌よ嫌よも好きの内♪」
「勝手に言ってなさい」
まったく………
まぁ、兎も角、これで来訪者が二人減ったわ。
五月蝿いのが消えたからこれで少しはのんびり出来るわね。
正午
あれから特に来客も無く、魔理沙とまったりとしていた。
「そろそろ昼飯の時間だな」
「そうね……どうせ食べてくんでしょ?」
「ああ」
「じゃあ、お昼の用意お願いね」
「私は客だぜ?」
「食費浮くんだから我慢なさい」
ウチの食料が一人分減るんだから。
「ま、しょうがないか」
「じゃあ、出来たら呼んでね」
「任せとけ」
まぁ、魔理沙も一人暮らししてるから料理の腕は疑ってないけどね。
午後1時
魔理沙は昼を食べ終えたらやる事があると言って飛んで行った。
まぁ、どうせまた紅魔館に本を「借り」に行ってるんでしょうけどね。
さて、そろそろ境内の掃除をしようかしら?
「お邪魔するわよ、霊夢」
「来るな。帰れ。今すぐ消えろ」
「酷いわねぇ………そんなんだからこの神社に参拝客が来ないのよ」
「あんたみたいなのが来るから来ないのよ!!幽香!!」
あんた自分が何て呼ばれてるか知ってるでしょうに!
自称最強の妖怪、風見幽香………
が、実際かなりの力を持っているのでそれを否定する奴はあまり居ない。
「幻想郷縁起に人間友好度最悪・危険度極高なんて書いてある奴が訪れる神社に普通の人間が訪れると思ってんの?」
「そんなの私だけじゃないじゃない。人間の手に負えない相手なら吸血鬼だってあの隙間だってそうじゃないの?」
「言って聞くような相手ならとっくに出入り禁止にしてるわよ」
「あら?私だって言って聞かないわよ?」
「自分で言うな!!」
まったく………!!
なんだってこの神社にはこうも妖怪が集まるわけ?
「で、何の用よ?」
「暇潰し」
「暇じゃなくてあんたを潰してあげましょうか?」
「あら?出来るの?」
「上等じゃない………」
博麗の巫女として妖怪にナメられたままじゃ居られないわ。
「ふふふ……まぁ、貴女と弾幕ごっこに興じても良いんだけど………今日は貴女とやり合うつもりは無いわ」
まぁ、確かにこちらが構えても一向に構えを取らないけど………
「じゃあ、なんだって言うのよ?」
「だから言ってるじゃない。暇つぶしよ。話くらい出来ないの?」
「話す事なんて無いわ」
「あら?私があるのよ」
「さっき用は無いって言ってなかったかしら?」
「別に用件があって話す訳じゃないわ。ただ、貴女と話したいだけ。暇潰しにね」
最後のが余計ね。
「だから、こっちは話す事なんて無いって………」
「はいはい、お茶出してくれるかしら?」
何勝手に縁側に座ってくつろいでるのよ。
「あんたねぇ………」
「気まぐれに尋ねた妖怪と気まぐれに話す。そんな一日があっても良いんじゃないの?」
「ああ、もう………お茶飲んだら帰ってよ」
「ええ、解ったわ」
力ずくで追い返しても良いけど、こいつとここで遣り合ったら神社に損害出兼ねないのよね………
まったくもう………
「で、何話す訳?」
本当に私は話す事なんて無いんだけど………
「貴女、普段何してるの?」
「別に……家事全般とお茶飲んでゆっくり。偶に妖怪退治ね。幽香は?」
「私?私は私の花畑でのんびりとしてるわ」
「終わり?」
「終わりね」
「お帰りはあちらよ?」
私は神社の鳥居を指差して言う。
「あら?お茶を飲んだら帰れと言ったのは霊夢よ?私はまだ飲みきってないわ」
「この……揚げ足取りを………」
「所で霊夢、前々から気になってたんだけど………」
「何?」
「その腋もろ出しの服、冬とか寒くないの?」
「寒いわ」
ええ、寒いわよ。
すっごくね。
「じゃあ、何で腋なんて出してるのよ?決まりか何かなの?」
「……………からよ」
「え?」
「お金が無くて布地が買えないからよ」
ったく、余計な事聞くなってのに。
「ぬ、布地を?」
「あのね、一応霊験新たかな巫女服よ?普通の布地じゃないの」
「え?そうだったの?」
「当たり前じゃないの。妖怪とも派手にドンパチするんだから、それに見合った防御能力がないとあっという間にボロボロだわ」
「それはそれで見応えがあるわね」
「黙らっしゃい」
妖怪ってのはこんなんばかりか!!
「で、霊的な儀式は勿論、服を縫う際にも色々決まりがあるのよ。それらの素材買ったらとんでもなく掛かる訳」
「なるほどねぇ………でも、普段上に羽織る物なら普通の物でも良いんじゃないの?」
「食費を取るか、暖を取るか………難しい所なのよ」
毎年それで頭を悩ませるわ。
「暖を取りなさいよ、暖を。一度買って置けば来年とかも使えるでしょうに」
「成長するかもしれないじゃない」
「一年で完全に着用不可能になるまで成長する人間は居ないわよ」
「う~ん………言われてみればそうかも」
今年は何か買っておこうかしらね…………
「ああ、そうだ幽香。折角だから昔の話聞かせてくれない?」
「昔の話?」
「長く生きてるんでしょ?何か面白い話くらいあるでしょ?」
「そうねぇ………ま、偶には昔語りも良いわね」
それから暫くの間、私は幽香の昔語りに聞き入った。
午後3時
話を聞いてたらこんな時間になっていた。
「さて、そろそろ行こうかしら」
「そう。まぁ、楽しませて貰えたわ」
本当かどうか解らない話ばかりだけど、だからこそ楽しめたのかもね。
「それは良かったわ。それじゃ、私はこれで」
「気を付けろと言う気は無いわ。大人しく帰りなさいね」
「それはどうかしらね?」
「建前でも肯定しときなさい」
「じゃあ、建前で…そうするわ」
「本当、憎たらしいわね」
「お褒めに預かり恐悦至極」
「褒めてない」
本当に、妖怪ってこんなんばっかりね………
「じゃあね、霊夢」
「出来ればもう来ないで欲しいけどね」
「残念、また来るわよ」
「だったらお土産でも持ってきなさい」
「私の笑顔をお届けするわ」
「門前払いされたい訳ね」
そんな怪しさ全開の笑顔なんて貰って喜ぶ奴いるか!
「冗談よ。今度は何か持ってくるわ」
「ま、期待しないでおくわ」
「失礼ね。まぁ、良いわ。それじゃ、これで」
そう言って幽香歩いて神社を降りていった。
それからややして、またしても来訪者が現れた。
「今日は珍しく来訪者が多いわねぇ………」
「そうか。それは良い事だな。相手が妖怪でなければ、だがな」
「残念ながら殆ど妖怪だったわよ、慧音」
来たのは人の里に住む半獣の上白沢慧音。
「まぁ、そうだろうな。先ほど風見幽香とすれ違った所だ………」
ああ、さっき出て行ったものね。
どっかで擦れ違っても不思議じゃないわ。
って、あら?
「慧音?どうしたの?ちょっと顔赤いわよ?」
「っ!!そ、そうか…?す、少し長く歩いたから体温が上昇してるんだろう」
………………嘘が下手ねぇ………
まぁ、でも下手に突っ込むのは止めてあげましょう。
数少ない本当の「お客様」だしね。
「長く歩いたんなら喉も渇いたでしょ?お茶要る?」
「そうだな……貰えると有難い」
「ん、ちょっと待ってて」
私はお茶を入れに神社の中へと入っていった。
「はい、お待たせ」
「ああ、ありがとう。賽銭は入れておいたぞ」
「ありがと」
慧音は偶に来てはこうやってお賽銭を入れてくれている。
私だってずっとグータラしてる訳じゃない。
ちゃんと妖怪退治だってやってるし、結果としてそれが人助けにもなっている。
けどまぁ、ウチの神社までの道のりは長い上に妖怪も多い。
普通の人間はウチに参拝にこれない。
で、代わりに慧音が代表してこうして賽銭を入れてくれているって訳。
「霊夢、好い加減参拝の道をどうにか出来んのか?」
「やろうと思えば出来るわよ?」
そりゃ、あそこら辺に居る妖怪を片っ端からぶっ飛ばして結界でも張れば良いんだから。
「では、何故やらない?」
「あのね、そこらの低級妖怪なら効くけど、ウチに来るのは大規模な結界なら安易にすり抜けるような奴ばかりよ?」
結界は規模が大きければ大きいほど、当然それに伴う負荷が掛かる。
その為、その結界を維持する為に膨大な力を使い続けるか、もしくは結界の力を弱めて維持出来る様にするかの二つ。
生憎、前者を選べば私は日常生活に支障をきたすくらいの力を使うわ。
加えて、最上位に居るような奴らならそれでも入ってくる。
「むぅ………」
「結界を弱い状態で張ったって何の安全保証にもならないでしょ?」
少し強い程度の妖怪が入ってこれるのだから。
少し強いって言ったって、人間からすればちゃんとした熟練者じゃない限り手に負えないような奴等。
一般人ならまず間違いなく殺されるわ。
「それに、一番厄介なのは大物がウチに来るからでしょ?」
レミリアやら紫やら幽々子やら幽香やら萃香やら…………
私からすればそこらの人間なんて歯牙に掛けない様な奴等だから、そこまで危険とは思ってないけど………
ま、力だけなら幻想郷最強級が揃ってるから、そりゃ普通の人なら怖いわね。
「で、そいつらが来るなと言って来なくなると思う?」
「いや、有り得ん」
「でしょ?だからいくら道を安全にした所で余り意味ないのよ」
なら、そんな事で力を使いたくは無いわ。
いざって時に力を出せなくなるかもしれないし。
「難しい問題だな………」
「まぁ、こうして慧音が来てくれるのと、正月の稼ぎで何とか持ってるけどね」
「正月か………流石にあの時ばかりはこの神社も大盛況だからな」
「ええ、あの日だけは全力で結界を張ってるわ。稼ぎ時だもの」
まぁ、それでも3日までだけどね。
「ん~………今回は魔理沙やアリスに巫女の仕事手伝ってもらおうかしらね~」
何気に人が多いから結構大変なのよね~
後、やっぱり妖怪も来るし。
流石に結界内で弱くなってるから暴れないけどね。
人間にしたって、そこで妖怪に手を出したら後で仕返し食うの解ってるから特に喧騒も無い。
けど、万一暴れた時用に、私以外にも人手が欲しいわ。
「そうだ、慧音。慧音も巫女やらない?」
「なんで私が………」
「結構似合いそうだし、慧音がやったらお客増えそうなのよね~……特に男の」
「最後のに凄まじく不純な動機を感じるのだが?」
「気のせいよ」
「誤魔化されんぞ」
誤魔化されて良いのに。
「大体、人を雇って給金を払えるのか?」
「お茶」
「それはタダ働きと言うんだ」
「羊羹も付けるわ」
「変わらん」
「がめついわねぇ………」
「お前がな」
う~ん……否定できない。
「ついでだから、暇そうな妖夢とかウドンゲ辺りにも巫女やってもらおうかしら?」
「いや、あいつらは恐らく相当忙しいと思うぞ?」
「そうなの?妖夢なんて幽々子と一緒に居ると思うから、幽々子を出店かなんかで神社に繋いでおけば巫女の仕事手伝わせられそうなんだけど」
「幽々子は犬か」
「でも、実際繋ぎとめられそうじゃない?」
「…………否定できんな」
でしょ?
まぁ、繋ぎ止める為に妖夢、ひいては白玉楼の財政が大変な事になりそうだけど。
「それに、あの二人の巫女ならお客増えそうだし。特に男の」
「だから動機が不純すぎるぞ、霊夢」
「切羽詰ってるのよ、色々と」
主にお金だけど。
「やれやれ…………っと、そろそろ帰るとするか」
「そう?気を付けて帰ってね」
「ああ」
まぁ、慧音も相当に強いから心配無用だけどね。
私は慧音の背を見送った後、漸く境内の掃除に取り掛かった。
午後8時
掃除も終え、夕食も済ませた。
後はゆっくりした後寝るだけね。
この一日の終わりが一番幸せに感じるわね~
ズズゥゥゥゥンッ…………
…………何処の馬鹿よ。
こんな時間にウチの近くでドンパチする馬鹿は。
ズズゥゥゥゥゥゥンッ…………
良い度胸じゃない………私の幸せな時間をぶち壊した罪、思いっきり償わせてあげるわ。
博麗神社・参拝道上空
着いて見れば、これまた珍しい顔の揃い踏みだわ。
幽香、幽々子、藍、妹紅、輝夜、パチュリー。
なんだってこいつらがこんな所で?
まぁ、そんなのはどうだって良いわ。
「あんたらねぇ…………」
「れ、霊夢!?」
「しまった………何時の間にこんな所まで…………」
藍も妹紅も驚いてるけど知ったこっちゃないわ。
「ここが何処で今何時だと思ってんのよ…………」
こんな夜中にドンパチしてくれて………
「貴女には関係ないわ」
「お、おい!魔女!!」
ブチンッ!!!
へ~
ほ~
関係ない?
夜中に私の家の近くで暴れて関係ない?
へ~
そ~?
「っざっけんじゃないわよ!!この馬鹿妖怪どもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
午後9時
ああ、もう………なんだって一日の最後だってのにこんな疲れなきゃいけないのよ。
あの後怒りに任せて暴れたから余り覚えてないけど、気が付いたら誰も居なくなってたわ。
ったく………一日の最後ぐらいゆっくりさせなさいよね。
それを邪魔するものには私の裁きが下るわよ。
っと、お風呂入らなくちゃ。
シュル……シュルシュル………
ん~………相変わらず大きくならないわね……胸が。
「やっぱり、紫や幽々子みたいに大きい方が魅力的なんでしょうね…………」
「貧乳はステータスだ!希少価値だ!!」
!?!?!?
な、何!?今の声は!?
何処からともなく………紫!?いえ、今の声は紫の声じゃないわ。
い、一体………?
辺りを見回しても誰も居ないわ。
ん~…………まぁ、お風呂入りましょ。
チャプン………
ふぅ……暖まるわ~
やっぱお風呂は良いわね~
それにしても………
「本当、何で成長しないのかしら?」
「病まない病まない。需要はあるさ」
!?!?!?!?
ま、また!?
何なのこの声は!?
って言うか、需要って何よ!!
やはり周りを見渡しても誰も居ない………
と言うか、覗きなんて太い真似する奴が居たらボッコボコにして鳥居に吊るし上げるわ。
ったく……本当に何なのよ?あの声は………
励まされてるんだか、馬鹿にされてるんだか………
結局、あの後は特に変な事もなかった。
あの声が何なのかは解らないけど、今は気にしてもしょうがないわ。
それに疲れたから、もう寝ましょ。
明日こそはのんびり出来ると良いんだけどね…………
霊夢Side・End
翌日
霊夢は凄まじく機嫌が悪かった。
夜中に夢の中で「ぺったんぺったん~」やら「ぺ~ちゃぱい~」やら、訳の解らない歌が頭の中でリフレインされまくってたからだ。
身体特徴を馬鹿にされたような歌の夢のお陰で霊夢はすこぶる機嫌が悪かった。
そこに追い討ちを掛けるように、とある新聞が投げ込まれた。
文々。新聞ではないが、何かと思って霊夢はその新聞を見る。
そして、その表情が固まる。
新聞にはこう書かれていた。
「博麗霊夢未亡人疑惑!?
ある筋から入手した情報によると、博麗神社の巫女、博麗霊夢氏は未亡人だと言う。
事実関係の確認は取れていないが、幻想郷の結界の維持に必要な博麗の血を残す為に、許婚などを取られていたとしても不思議ではない。
不完全な情報ではあるが、今後、本人に直撃取材を行い、事実関係の確認をしていく方針だ。」
その後、直撃取材に現れたとある天狗が夢想封印を直撃され
怒りの余りブチ切れた霊夢が天狗の居る妖怪の山に殴り込みを掛け、妖怪の山を震撼させた。
その余りの凄まじさに、後に「霊夢の乱」とまで言われる事件であったが
後に事の発端を知った慧音により、その理由のあまりの下らなさから無かった事にされた事を追記しておく。
「ふ……ああぁぁぁ………」
ん~……今何時かしら?
………7時か……起きるには頃合な時間ね。
まずは、戸を開けて………っと。
カラカラカラカラ…………
ん~……良い天気だわ。
絶好の日向ぼっこ日和ね。
さ、まずは顔を洗って目を覚ましてきましょう。
さてっと、目も覚めた所で今日の朝食は何にしようかしらねぇ………
ま、簡単な物で良いわね。
ご飯、味噌汁、お漬物。
実入りが少ないから少しは節約しておかないとね。
午前8時
ふぅ………食事も終えたし、お茶で一服も付けた所でそろそろ家事に取り掛からないと。
まずは、布団を干して、その後洗濯ね。
それが終わったらまずは室内の掃除をして、その後境内の掃除かしらね。
神社としては小さいけど、一人で管理するには結構広いのよね、この神社。
誰かお手伝いさんでも雇おうかしら?
………無理ね。
お給金払えないわ。
今度から暴れた妖怪とっちめたらウチで働かせようかしら…………
午前10時
ふぅ………漸く室内の掃除が終わったわ。
掃き掃除して雑巾掛けもするから結構疲れたわ。
縁側でお茶でも飲んでお昼までゆっくりしてようかしら。
………そう言えば、最近あいつ来て無かったわね………
と言う事は、今日辺り来そうね。
まぁ、騒々しい奴だけど、話してると時間が経つのを忘れられるからね~
って考えてる側からやっぱり来たわ。
「邪魔するぜ~」
「邪魔するなら帰りなさい」
「酷いぜ。お決まりの挨拶じゃないか」
「あらそう?貴女の場合本当に邪魔されそうだからね」
「そんな事は無いぜ。霊夢の邪魔なんてしたら何されるか解ったもんじゃないからな」
「貴女も大概失礼ね」
「お互い様、だぜ。それよりお茶をくれないか?」
「貴女ね、何様?」
「霧雨魔理沙様だぜ」
「問答するのも馬鹿馬鹿しくなって来たわ。少し待ってなさい」
「おう」
やれやれ、毎度毎度現れてはお茶をたかるんだから………
それを毎度のように出す私も悪いのかしらね?
「で、今日は何の用?」
「私が用があって来た事があったか?」
「数える程度ならね」
「なら解るだろう?」
「要は暇潰しって訳ね」
「ま、そんな所だ」
「暇なら他の場所でも良いでしょうに」
なんで態々ウチに来るのよ。
「偶にはまったりしたいのさ」
「だったら家で一人でまったりしてなさい」
「あそこはそんな雰囲気の場所じゃないからな」
「それについては同感だわ」
そんなこんなと私は魔理沙と他愛も無い話をしている。
これも魔理沙が来ると何時もの事だ。
別段話もせずに二人してボーっとしてる時もある。
ま、せわしなく動くだけが青春じゃないわ。
「ん?更に来客のようだぜ」
「今度は誰よ?」
魔理沙に言われて魔理沙の視線を追う。
「これはまた五月蝿いのが来たわねぇ………」
あの鴉天狗だわ。
取材に来るのは良いんだけど、話聞くなら少しはこっちの話信用しなさいっての。
異変解決の話だって全然信用しないし。
本当、失礼しちゃうわ。
「どうもこんにちわ~」
「お帰りはあちらよ」
私は鳥居を指差してそう返す。
「あやややや………歓迎されてませんね~」
「当たり前じゃない」
「まぁまぁ、そう言わずに話に付き合ってくださいよ」
「話に?貴女が私に聞くんじゃなくて?」
「いや、まぁ………最近ネタが無いって話に付き合って頂きたいんですが………」
「賽銭箱なら向こうよ?」
「有料ですか………」
「霊夢はがめついからな」
「失礼ね、情報料の提供は支払うべきでしょ」
「それが支払うに見合う情報でしたら考えましょう」
「ウチは代金前払いよ」
「解りました、解りましたよ……………もぅ、本当にがめつい巫女ですねぇ………」
聞こえてるわよ。
まぁ、聞こえるように言ってるんでしょうけど。
「さて、お賽銭を入れたわけですが、何か情報でもお有りなんですか?」
「無いわ」
「ちょっ!?人にお賽銭払わせておいてそれは無いでしょう!!」
「あら?私は貴女の「最近ネタが無いって話に付き合う」為の賽銭を入れてもらっただけよ」
「じゃあ、さっきの情報云々は何なんですか?」
「勿論、これまでの異変解決の話に決まってるじゃない。貴女は嘘って決め付けてるけど、こっちは本当の話を提供してるのよ?その情報料は貰って然るべきだわ」
「裏付けが取れてない事ばかりですし、裏付けが取れない面子ばかりじゃないですか!そんなの記事に出来ませんよ!!」
「それは残念ね。でも、こっちは本当に本当の事しか話してないの。信じないと言うのならそれ以上は知らないわ」
「むぅぅぅ…………」
あら?唸っちゃったわ。
「しかし、そんなにネタが無いのか?」
「ええ、ここ最近は特に目立った事も無くて………」
「平和って事でしょ?良い事じゃない」
面倒が無くてとても良いわ。
「ま、でも確かに少し退屈だな」
「しょっちゅう紅魔館でドンパチやってる奴が何言ってるのよ」
「いっそ私達が問題でも起こしてみるか?」
あんたね…笑いながら言ってるけど、本当にやったら笑えないわよ?
「それです!!」
「「は?」」
奇しくも私と魔理沙の声は重なった。
「それですよ!貴女達が話題となる!!これなら読んでくれる人も多いはず!!」
ちょっと待ちなさい、鴉天狗。
「私達が話題って……貴女、まさか私達に問題起こせって言ってるんじゃないでしょうね?」
「いえいえいえ、そんな犯罪教唆みたいな真似はしませんよ。ただ、貴女達が何かをする事で話題として取り上げられるな、と」
「何かって?」
「例えば………………………結婚とか?」
呆れた。
「長い間考えた結論がそれ?呆れて物も…………」
「霊夢~漸く私の愛に応えてくれるのね~」
「夢想封印」
私は突如現れた第三者へ問答無用の弾幕をお見舞いした。
「あん、霊夢のイケズ~」
「黙れスキマ」
こんな神出鬼没な現れ方が出来るのは私の知る所2人しか居ない。
一人は疎と密を操り、己を霧散させられる鬼の伊吹萃香。
そしてもう一人がこの境界を操るスキマの妖怪、八雲紫。
因みに私の夢想封印はスキマに体を引っ込められて避けられた。
「紫、お前は入り口から現れる事が出来ないのか?」
魔理沙の言うとおりだわ。
「私にとってスキマは入り口であり出口よ」
「それ自体は否定しないけど、人の領域の入り口からちゃんと入って来なさい」
「嫌よ、面倒くさい」
このスキマは………
「と言うか、それより何より八雲紫さん」
「あら?何かしら?」
鴉天狗に問われた瞬間、途端に優雅な仕草に戻ったわ。
本当、切り替え早いわね。
「貴女は同性愛者だったんですか?と言うか、霊夢さんとそんな関係に!?これは記事に出来ま……」
「夢想封印」
「ふわぁ!!!あ、危ないですね~」
ちっ、避けたか………流石、幻想郷最速を自負するだけはあるわ。
「さっきのはそこのスキマが勝手に言ってるだけよ。事実無根だわ」
「ふむふむ………で、紫さんの方はやはりそうなんですか?」
「あら?同性だの異性だのなんてくだらない事を気にするのは貴女達の様な程度の低い次元の生き物の話ですわね。私は愛する者は愛し、憎む者は憎む。それだけですわよ?」
「悪かったわね、低次元で」
「霊夢は勿論違うわよ~」
「私はどうなんだ?」
「………中の下?」
「微妙だな」
本当に微妙ね。
「それでは私は?」
「下の下」
「うわ!ひどっ!!」
「だから、それをどうにかする為にも私の式になってみない?」
「それはお断りした筈です。と言うか、その勧誘の為の振りですか?」
「さて?どうかしら…………」
「それはさて置き………霊夢さんは結婚とかの話って無いんですか?」
話戻さなくて良いのに………
「ある訳無いでしょ。大体、相手が居ないわ」
「それもそうだな」
「里に降りたりはしないんですか?」
「そりゃするけど、用が済んだら直ぐに戻るしね」
「気になるお相手とかは?」
「まったく居ないわ」
「うわ、全然記事になりませんね………」
大きなお世話よ。
「大体、相手が居たらどうするつもり?」
「それは勿論、「博麗の巫女に熱愛発覚!?」とか言う見出しで号外配りまくりですよ」
「殆どゴシップ記者だな」
「同感だわ」
「同感ですわ」
「んぐ…………」
言葉を詰まらせたって事は認めてるって事ね。
「しかし、博麗の巫女は博麗大結界の要でもあるんですよね?子孫繁栄をしなくて良いんですか?」
「そんなのまだ早すぎるんじゃない?」
「一応、この世界の者全ての命に関わる事ですから、早くても良いかと」
「それは私の幸せなんて完全無視って事?」
「最悪そうなるのでは?」
はっきり言うわね、この鴉。
「実際どうなんだ?紫。歴代の巫女でそう言うのは居たのか?」
魔理沙も余計な事聞かなくて良いのに。
「………聞きたい?」
意味ありげな含み笑い浮かべるな!
それだから胡散臭いって言われるのよ。
「結構よ。聞く気もないし聞いても意味の無い事だしね」
「つれないわね~」
「残念ね」
「私は非常に興味があるのですが………」
「あ、そう」
どうせ新聞のネタにでもするんでしょ。
「うわっ、霊夢さんが冷たいです」
「いつもの事だぜ」
それは失礼じゃない?魔理沙。
「まぁ、結婚は縁って言うから、いずれ霊夢にも良い相手が見つかりますわ。むぐむぐ………」
「そりゃどうも………って!コラ紫!!それ私のドラ焼きじゃないの!?」
間違いないわ!あれは先日妖夢から貰った物だわ!!
私が自分の所有物、特に食べ物を間違うはずは無い!!!
「硬い事言わないの………ズズズゥ…………」
「あ!?それは私のお茶だぜ!!」
「ふぅ………美味しかったわ♪」
とても素敵な笑顔で言われると余計に腹が立つわ。
「魔理沙」
「おう」
私達はそれだけで互いの行動を知らせる。
「マスター………」
「夢想封印………」
「スパーク!!!」
「集!!!」
私と魔理沙は同時にスペルカードを紫めがけてぶっ放した。
が
「どこ○もドア~♪」
ちぃ………やはり、隙間を開けてそこにスペルカードを放り込まれた。
って言うか、何よその、どこ○もドアって………
「残念でした♪」
「あったま来るわね~」
「そうカッカしないの」
「誰の所為よ」
「そこの鴉天狗」
「何、人の所為にしてるんですか。どう見たって貴女じゃないですか」
まったくね。
「しかし、紫。その隙間に放り込んだ私達のスペルカードはどうなったんだ?」
あ、そうだ。
別に隙間に放り込まれたからって消失する訳じゃないわ。
「ああ、あれ?大丈夫よ。ちゃんと何処にも影響の無い場所に放り出してるから」
「本当かしら………」
こいつは疑わしいったら無いものねぇ………
「まぁまぁ、お詫びにこれをあげるから機嫌を直して頂戴」
そう言って紫が隙間を開いて取り出したのは………
「そ、それは……!!!」
「お~……そいつは良いな」
カ、カステラ………
私の中で羊羹、煎餅と並んでお茶請け上位三位に入る一品じゃない!!
「けどね、紫……毎回毎回、私が食べ物で買収されると思ってるのかしら?」
「嬉しそうに受け取ってからそんな台詞言っても虚しいだけだぜ?」
「ですね~」
「それはそれ、これはこれよ」
貰える物は貰っておくわ。
勿論、邪魔にならない物に限るけどね。
「う~ん………しかし、ここに居てもネタは集まりそうに無いですねぇ………」
「そんな物、自分の足で探すもんじゃないの?」
「探して、無かったから聞きに来てるんですよ」
こいつの性格と足の速さを考えたら本当に既に探し済みかもしれないわね。
「あら?私には何も聞きませんの?」
「貴女の情報は信用度が限りなく低いので」
ま、普段から胡散臭いものね。
「失礼しちゃうわね」
「そう思うなら普段から人に信用されるような言動を心がけてください」
「人の顔色を伺うような行動なんて真っ平御免だわ」
「それはそれで素晴らしい心構えかと思いますが、貴女の場合はもう少し人に信用された方が良いかと」
「こいつにそんな事言ったって無駄よ」
「だな」
言って通じるならとっくにどうにかなってるでしょ。
「さて、それでは私はお暇するとしましょうか」
「じゃあ私も退散しようかしら。また来るわね、霊夢」
「二度と来るな」
「嫌よ嫌よも好きの内♪」
「勝手に言ってなさい」
まったく………
まぁ、兎も角、これで来訪者が二人減ったわ。
五月蝿いのが消えたからこれで少しはのんびり出来るわね。
正午
あれから特に来客も無く、魔理沙とまったりとしていた。
「そろそろ昼飯の時間だな」
「そうね……どうせ食べてくんでしょ?」
「ああ」
「じゃあ、お昼の用意お願いね」
「私は客だぜ?」
「食費浮くんだから我慢なさい」
ウチの食料が一人分減るんだから。
「ま、しょうがないか」
「じゃあ、出来たら呼んでね」
「任せとけ」
まぁ、魔理沙も一人暮らししてるから料理の腕は疑ってないけどね。
午後1時
魔理沙は昼を食べ終えたらやる事があると言って飛んで行った。
まぁ、どうせまた紅魔館に本を「借り」に行ってるんでしょうけどね。
さて、そろそろ境内の掃除をしようかしら?
「お邪魔するわよ、霊夢」
「来るな。帰れ。今すぐ消えろ」
「酷いわねぇ………そんなんだからこの神社に参拝客が来ないのよ」
「あんたみたいなのが来るから来ないのよ!!幽香!!」
あんた自分が何て呼ばれてるか知ってるでしょうに!
自称最強の妖怪、風見幽香………
が、実際かなりの力を持っているのでそれを否定する奴はあまり居ない。
「幻想郷縁起に人間友好度最悪・危険度極高なんて書いてある奴が訪れる神社に普通の人間が訪れると思ってんの?」
「そんなの私だけじゃないじゃない。人間の手に負えない相手なら吸血鬼だってあの隙間だってそうじゃないの?」
「言って聞くような相手ならとっくに出入り禁止にしてるわよ」
「あら?私だって言って聞かないわよ?」
「自分で言うな!!」
まったく………!!
なんだってこの神社にはこうも妖怪が集まるわけ?
「で、何の用よ?」
「暇潰し」
「暇じゃなくてあんたを潰してあげましょうか?」
「あら?出来るの?」
「上等じゃない………」
博麗の巫女として妖怪にナメられたままじゃ居られないわ。
「ふふふ……まぁ、貴女と弾幕ごっこに興じても良いんだけど………今日は貴女とやり合うつもりは無いわ」
まぁ、確かにこちらが構えても一向に構えを取らないけど………
「じゃあ、なんだって言うのよ?」
「だから言ってるじゃない。暇つぶしよ。話くらい出来ないの?」
「話す事なんて無いわ」
「あら?私があるのよ」
「さっき用は無いって言ってなかったかしら?」
「別に用件があって話す訳じゃないわ。ただ、貴女と話したいだけ。暇潰しにね」
最後のが余計ね。
「だから、こっちは話す事なんて無いって………」
「はいはい、お茶出してくれるかしら?」
何勝手に縁側に座ってくつろいでるのよ。
「あんたねぇ………」
「気まぐれに尋ねた妖怪と気まぐれに話す。そんな一日があっても良いんじゃないの?」
「ああ、もう………お茶飲んだら帰ってよ」
「ええ、解ったわ」
力ずくで追い返しても良いけど、こいつとここで遣り合ったら神社に損害出兼ねないのよね………
まったくもう………
「で、何話す訳?」
本当に私は話す事なんて無いんだけど………
「貴女、普段何してるの?」
「別に……家事全般とお茶飲んでゆっくり。偶に妖怪退治ね。幽香は?」
「私?私は私の花畑でのんびりとしてるわ」
「終わり?」
「終わりね」
「お帰りはあちらよ?」
私は神社の鳥居を指差して言う。
「あら?お茶を飲んだら帰れと言ったのは霊夢よ?私はまだ飲みきってないわ」
「この……揚げ足取りを………」
「所で霊夢、前々から気になってたんだけど………」
「何?」
「その腋もろ出しの服、冬とか寒くないの?」
「寒いわ」
ええ、寒いわよ。
すっごくね。
「じゃあ、何で腋なんて出してるのよ?決まりか何かなの?」
「……………からよ」
「え?」
「お金が無くて布地が買えないからよ」
ったく、余計な事聞くなってのに。
「ぬ、布地を?」
「あのね、一応霊験新たかな巫女服よ?普通の布地じゃないの」
「え?そうだったの?」
「当たり前じゃないの。妖怪とも派手にドンパチするんだから、それに見合った防御能力がないとあっという間にボロボロだわ」
「それはそれで見応えがあるわね」
「黙らっしゃい」
妖怪ってのはこんなんばかりか!!
「で、霊的な儀式は勿論、服を縫う際にも色々決まりがあるのよ。それらの素材買ったらとんでもなく掛かる訳」
「なるほどねぇ………でも、普段上に羽織る物なら普通の物でも良いんじゃないの?」
「食費を取るか、暖を取るか………難しい所なのよ」
毎年それで頭を悩ませるわ。
「暖を取りなさいよ、暖を。一度買って置けば来年とかも使えるでしょうに」
「成長するかもしれないじゃない」
「一年で完全に着用不可能になるまで成長する人間は居ないわよ」
「う~ん………言われてみればそうかも」
今年は何か買っておこうかしらね…………
「ああ、そうだ幽香。折角だから昔の話聞かせてくれない?」
「昔の話?」
「長く生きてるんでしょ?何か面白い話くらいあるでしょ?」
「そうねぇ………ま、偶には昔語りも良いわね」
それから暫くの間、私は幽香の昔語りに聞き入った。
午後3時
話を聞いてたらこんな時間になっていた。
「さて、そろそろ行こうかしら」
「そう。まぁ、楽しませて貰えたわ」
本当かどうか解らない話ばかりだけど、だからこそ楽しめたのかもね。
「それは良かったわ。それじゃ、私はこれで」
「気を付けろと言う気は無いわ。大人しく帰りなさいね」
「それはどうかしらね?」
「建前でも肯定しときなさい」
「じゃあ、建前で…そうするわ」
「本当、憎たらしいわね」
「お褒めに預かり恐悦至極」
「褒めてない」
本当に、妖怪ってこんなんばっかりね………
「じゃあね、霊夢」
「出来ればもう来ないで欲しいけどね」
「残念、また来るわよ」
「だったらお土産でも持ってきなさい」
「私の笑顔をお届けするわ」
「門前払いされたい訳ね」
そんな怪しさ全開の笑顔なんて貰って喜ぶ奴いるか!
「冗談よ。今度は何か持ってくるわ」
「ま、期待しないでおくわ」
「失礼ね。まぁ、良いわ。それじゃ、これで」
そう言って幽香歩いて神社を降りていった。
それからややして、またしても来訪者が現れた。
「今日は珍しく来訪者が多いわねぇ………」
「そうか。それは良い事だな。相手が妖怪でなければ、だがな」
「残念ながら殆ど妖怪だったわよ、慧音」
来たのは人の里に住む半獣の上白沢慧音。
「まぁ、そうだろうな。先ほど風見幽香とすれ違った所だ………」
ああ、さっき出て行ったものね。
どっかで擦れ違っても不思議じゃないわ。
って、あら?
「慧音?どうしたの?ちょっと顔赤いわよ?」
「っ!!そ、そうか…?す、少し長く歩いたから体温が上昇してるんだろう」
………………嘘が下手ねぇ………
まぁ、でも下手に突っ込むのは止めてあげましょう。
数少ない本当の「お客様」だしね。
「長く歩いたんなら喉も渇いたでしょ?お茶要る?」
「そうだな……貰えると有難い」
「ん、ちょっと待ってて」
私はお茶を入れに神社の中へと入っていった。
「はい、お待たせ」
「ああ、ありがとう。賽銭は入れておいたぞ」
「ありがと」
慧音は偶に来てはこうやってお賽銭を入れてくれている。
私だってずっとグータラしてる訳じゃない。
ちゃんと妖怪退治だってやってるし、結果としてそれが人助けにもなっている。
けどまぁ、ウチの神社までの道のりは長い上に妖怪も多い。
普通の人間はウチに参拝にこれない。
で、代わりに慧音が代表してこうして賽銭を入れてくれているって訳。
「霊夢、好い加減参拝の道をどうにか出来んのか?」
「やろうと思えば出来るわよ?」
そりゃ、あそこら辺に居る妖怪を片っ端からぶっ飛ばして結界でも張れば良いんだから。
「では、何故やらない?」
「あのね、そこらの低級妖怪なら効くけど、ウチに来るのは大規模な結界なら安易にすり抜けるような奴ばかりよ?」
結界は規模が大きければ大きいほど、当然それに伴う負荷が掛かる。
その為、その結界を維持する為に膨大な力を使い続けるか、もしくは結界の力を弱めて維持出来る様にするかの二つ。
生憎、前者を選べば私は日常生活に支障をきたすくらいの力を使うわ。
加えて、最上位に居るような奴らならそれでも入ってくる。
「むぅ………」
「結界を弱い状態で張ったって何の安全保証にもならないでしょ?」
少し強い程度の妖怪が入ってこれるのだから。
少し強いって言ったって、人間からすればちゃんとした熟練者じゃない限り手に負えないような奴等。
一般人ならまず間違いなく殺されるわ。
「それに、一番厄介なのは大物がウチに来るからでしょ?」
レミリアやら紫やら幽々子やら幽香やら萃香やら…………
私からすればそこらの人間なんて歯牙に掛けない様な奴等だから、そこまで危険とは思ってないけど………
ま、力だけなら幻想郷最強級が揃ってるから、そりゃ普通の人なら怖いわね。
「で、そいつらが来るなと言って来なくなると思う?」
「いや、有り得ん」
「でしょ?だからいくら道を安全にした所で余り意味ないのよ」
なら、そんな事で力を使いたくは無いわ。
いざって時に力を出せなくなるかもしれないし。
「難しい問題だな………」
「まぁ、こうして慧音が来てくれるのと、正月の稼ぎで何とか持ってるけどね」
「正月か………流石にあの時ばかりはこの神社も大盛況だからな」
「ええ、あの日だけは全力で結界を張ってるわ。稼ぎ時だもの」
まぁ、それでも3日までだけどね。
「ん~………今回は魔理沙やアリスに巫女の仕事手伝ってもらおうかしらね~」
何気に人が多いから結構大変なのよね~
後、やっぱり妖怪も来るし。
流石に結界内で弱くなってるから暴れないけどね。
人間にしたって、そこで妖怪に手を出したら後で仕返し食うの解ってるから特に喧騒も無い。
けど、万一暴れた時用に、私以外にも人手が欲しいわ。
「そうだ、慧音。慧音も巫女やらない?」
「なんで私が………」
「結構似合いそうだし、慧音がやったらお客増えそうなのよね~……特に男の」
「最後のに凄まじく不純な動機を感じるのだが?」
「気のせいよ」
「誤魔化されんぞ」
誤魔化されて良いのに。
「大体、人を雇って給金を払えるのか?」
「お茶」
「それはタダ働きと言うんだ」
「羊羹も付けるわ」
「変わらん」
「がめついわねぇ………」
「お前がな」
う~ん……否定できない。
「ついでだから、暇そうな妖夢とかウドンゲ辺りにも巫女やってもらおうかしら?」
「いや、あいつらは恐らく相当忙しいと思うぞ?」
「そうなの?妖夢なんて幽々子と一緒に居ると思うから、幽々子を出店かなんかで神社に繋いでおけば巫女の仕事手伝わせられそうなんだけど」
「幽々子は犬か」
「でも、実際繋ぎとめられそうじゃない?」
「…………否定できんな」
でしょ?
まぁ、繋ぎ止める為に妖夢、ひいては白玉楼の財政が大変な事になりそうだけど。
「それに、あの二人の巫女ならお客増えそうだし。特に男の」
「だから動機が不純すぎるぞ、霊夢」
「切羽詰ってるのよ、色々と」
主にお金だけど。
「やれやれ…………っと、そろそろ帰るとするか」
「そう?気を付けて帰ってね」
「ああ」
まぁ、慧音も相当に強いから心配無用だけどね。
私は慧音の背を見送った後、漸く境内の掃除に取り掛かった。
午後8時
掃除も終え、夕食も済ませた。
後はゆっくりした後寝るだけね。
この一日の終わりが一番幸せに感じるわね~
ズズゥゥゥゥンッ…………
…………何処の馬鹿よ。
こんな時間にウチの近くでドンパチする馬鹿は。
ズズゥゥゥゥゥゥンッ…………
良い度胸じゃない………私の幸せな時間をぶち壊した罪、思いっきり償わせてあげるわ。
博麗神社・参拝道上空
着いて見れば、これまた珍しい顔の揃い踏みだわ。
幽香、幽々子、藍、妹紅、輝夜、パチュリー。
なんだってこいつらがこんな所で?
まぁ、そんなのはどうだって良いわ。
「あんたらねぇ…………」
「れ、霊夢!?」
「しまった………何時の間にこんな所まで…………」
藍も妹紅も驚いてるけど知ったこっちゃないわ。
「ここが何処で今何時だと思ってんのよ…………」
こんな夜中にドンパチしてくれて………
「貴女には関係ないわ」
「お、おい!魔女!!」
ブチンッ!!!
へ~
ほ~
関係ない?
夜中に私の家の近くで暴れて関係ない?
へ~
そ~?
「っざっけんじゃないわよ!!この馬鹿妖怪どもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
午後9時
ああ、もう………なんだって一日の最後だってのにこんな疲れなきゃいけないのよ。
あの後怒りに任せて暴れたから余り覚えてないけど、気が付いたら誰も居なくなってたわ。
ったく………一日の最後ぐらいゆっくりさせなさいよね。
それを邪魔するものには私の裁きが下るわよ。
っと、お風呂入らなくちゃ。
シュル……シュルシュル………
ん~………相変わらず大きくならないわね……胸が。
「やっぱり、紫や幽々子みたいに大きい方が魅力的なんでしょうね…………」
「貧乳はステータスだ!希少価値だ!!」
!?!?!?
な、何!?今の声は!?
何処からともなく………紫!?いえ、今の声は紫の声じゃないわ。
い、一体………?
辺りを見回しても誰も居ないわ。
ん~…………まぁ、お風呂入りましょ。
チャプン………
ふぅ……暖まるわ~
やっぱお風呂は良いわね~
それにしても………
「本当、何で成長しないのかしら?」
「病まない病まない。需要はあるさ」
!?!?!?!?
ま、また!?
何なのこの声は!?
って言うか、需要って何よ!!
やはり周りを見渡しても誰も居ない………
と言うか、覗きなんて太い真似する奴が居たらボッコボコにして鳥居に吊るし上げるわ。
ったく……本当に何なのよ?あの声は………
励まされてるんだか、馬鹿にされてるんだか………
結局、あの後は特に変な事もなかった。
あの声が何なのかは解らないけど、今は気にしてもしょうがないわ。
それに疲れたから、もう寝ましょ。
明日こそはのんびり出来ると良いんだけどね…………
霊夢Side・End
翌日
霊夢は凄まじく機嫌が悪かった。
夜中に夢の中で「ぺったんぺったん~」やら「ぺ~ちゃぱい~」やら、訳の解らない歌が頭の中でリフレインされまくってたからだ。
身体特徴を馬鹿にされたような歌の夢のお陰で霊夢はすこぶる機嫌が悪かった。
そこに追い討ちを掛けるように、とある新聞が投げ込まれた。
文々。新聞ではないが、何かと思って霊夢はその新聞を見る。
そして、その表情が固まる。
新聞にはこう書かれていた。
「博麗霊夢未亡人疑惑!?
ある筋から入手した情報によると、博麗神社の巫女、博麗霊夢氏は未亡人だと言う。
事実関係の確認は取れていないが、幻想郷の結界の維持に必要な博麗の血を残す為に、許婚などを取られていたとしても不思議ではない。
不完全な情報ではあるが、今後、本人に直撃取材を行い、事実関係の確認をしていく方針だ。」
その後、直撃取材に現れたとある天狗が夢想封印を直撃され
怒りの余りブチ切れた霊夢が天狗の居る妖怪の山に殴り込みを掛け、妖怪の山を震撼させた。
その余りの凄まじさに、後に「霊夢の乱」とまで言われる事件であったが
後に事の発端を知った慧音により、その理由のあまりの下らなさから無かった事にされた事を追記しておく。
最後に出てきたメンバーからして何かありそう。慧音の件も気になるし。
待ち遠しい・・・・・・
でもらきすたネタ(萃香?)は見なかったことに……(笑)
もとネタ間違ってたらすみません;
すんません。うまく伝えられないもどかしさ。
まあ、私の気のせいだということもありえますが。
話は面白かったです。
どうも読みにくくてその場所でどうしてもつっかかってしまう…。
話運びは、霊夢らしくて楽しかったです。
だが純粋に妖怪と呼べるのは2人、譲歩しても3人くらいしかいない点(幽香と藍は妖怪だが、パチェは種族としての魔法使いなので、他の皆と合わせて妖怪かと言われると微妙)
>その理由のあまりの下らなさから無かった事にされた
そして歴史が繰り返されてはかないませんよ!慧音先生!!
続きを楽しみにしています。
続きで解消されそうなんで期待してます。
コメントへコメント
惜しい!パチュリーは魔女。魔法使いはアリス。
色々と伏線があるようなので続きが楽しみ。
>「病まない病まない。需要はあるさ」
テラ吹いたwwwww
心に木霊するほど霊夢は思っていたとは・・・・
続きも楽しみにしてますぜ。
>それに見合った防御能力がないとあっという間にボロボロだわ
自分もぼろぼろになった霊夢は見てみたいかも…アッー!(ムソーフィーン)
…あれー?求聞史記ではパチュリーも魔法使いだったもんで…間違ったかなー?
読んでいただいた事、そして高評価共にありがとうございます^^
因みに後4人と書きましたが後6人でした……ってちゃんと書けるのか?俺………
>「貧乳はステータスだ!希少価値だ!!」
>「病まない病まない。需要はあるさ」
この台詞は幻聴の類ではありませんw
>っざっけんじゃないわよ!!この馬鹿妖怪どもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
え~……この台詞を言っている霊夢はぶち切れてます^^;
怒ってる人間に冷静に言葉を選ぶ理性はあまり無いと言うことで、どうか一つ・・・・・・
>つるぺったんとブリトラ自重www
ごめんなさい、どこかで一度使いたかったんです^^;
>この作品で以前の作品にあった伏線が回収されるんですかね?
うお……伏線結構引いてるから、自分でも忘れているものが…(マテ
>インパクトというか,もりあがりが足りなかったきがします
>何か物足りなった。
残りの話で不明瞭な点が解って来れば、少しはお楽しみいただけると思います^^;
巫女の周りにわらわら溢れてくる様子が面白かったです。
神社の周りに来ても気づかないほどの諍いとは、何なのかが気になる所です。
>同姓だの異性だの
同性では。