この作品は冒頭に少々行き過ぎた性的描写が含まれて居ます。そういったものに嫌悪感を抱かれる方はあまりお勧めできません。
むしろそーゆーオールOKの人はごゆっくりとお楽しみください。
日付が変わったばかりの暗い寝室、そのベットの上でそれは行われていた。
「はぁ、はぁ、お願い、もう……やめて、美鈴」
息を荒げ、眼に涙を浮かべ必死に願いを口にする咲夜。
「嫌です。と言うより無理です」
そして、それを即座に拒む美鈴。
「だってこんなに愛しい咲夜さんを前にして止められるはず無いじゃないですか」
「だ、だからって縛り上げて、こんな犬みたいな格好で……」
咲夜は両腕を縛られ、ベットの上に転がされていた。
「犬みたい、ですか。まさに咲夜さんにぴったりの格好じゃないですか」
「そ、そんな、ひど―――うぅん!」
咲夜が言い終わる前に美鈴がその口を塞ぐ。
咲夜の口内を己の舌で味わい、貪り、犯しつくす美鈴。
「っふあ、はぁ、はぁ、め、美鈴……」
離れた二人の唇は混ざり合った唾液で出来た糸で今だ繋がっていた。
「ふふ、昼間に見せる普段の威勢はどこに行ったんです?」
息をさらに荒げ、顔を真っ赤にしながら目を逸らす咲夜を、昼間に見せる満面の笑みとは全く別種の笑みを浮かべながら見下ろす美鈴。
「お、お願い、もうこれ以上は……」
無駄だとわかっている。それでも悲願せずにはいられなかった。
「まだ諦めてなかったんですか。でも……そこまで言うのなら止めてあげてもいいですよ?」
「ほ、本当に―――」
思いもよらぬ救いの手を必死で掴もうとする咲夜。
「ただし、その時は私と咲夜さんの関係もそれまでです」
「そ、そんな、それだけは、それだけは嫌、どんな事でもするから! お願い、一緒にいさせて!」
さっきまで真っ赤だった顔を蒼白にさせ、溜めていた涙が溢れ出る咲夜。両腕が自由なら美鈴に抱きついていただろう。それほどまでに十六夜咲夜の心には紅美鈴という存在が入り込んでいる。
そんな彼女の思いを汲み取ったのか、美鈴は咲夜をそっと抱きしめる。
「お願い、一緒に……」
「大丈夫ですよ、私が咲夜さんを捨てるはず無いじゃないですか」
悲願し続ける咲夜に美鈴は優しく声をかける。その言葉を聞き、胸を撫で下ろす咲夜。
美鈴はゆっくりと咲夜を放す。そしてベットから降り背を向ける。
「美鈴?」
「大丈夫ですよ、咲夜さん。私が咲夜さんを捨てるはず無いですから」
そう言いながらゆっくりと振り返る美鈴。
「め、美鈴、それは……」
振り返った美鈴の手にはいつの間にかムチやロウソク、首輪にクリップやこけしの様な物まで握られていた。
「そう、捨てるはずありません。咲夜さんが私の言うことを聞く限り……」
入り込んでいるのだ。紅美鈴の心にも十六夜咲夜という存在が。そう、酷く歪んだ形で。
以上、『従者と門番 第三章 ~堕ちていく二人~』より。
彼女は身体に覚える違和感で目を覚ます。
「う、ううん」
「やっと目が覚めたか?」
「あ、あれ? 魔理沙、なんでここに――って、なんで私糸で縛られてんのよ!」
彼女、アリス・マーガトロイドは自室のベットの上でなぜか縛られた状態で目を覚ます。それも普段、自分が人形を操る際に使っている糸で亀の甲羅の様な縛り方だ。
「なんでって、そりゃ私が縛ったからだ」
「私が聞いてんのはその理由! そしてさっさと解きなさい! て言うか、何時の間に縛ったのよ!」
大声で説明と要望と疑問を怒鳴り散らすアリス。
「何だ? お前、記憶無いのか?」
「記憶って……えーと、たしかあんたが急に遊びに来て……」
アリスは古い記憶を掘り返すかの様にゆっくりと思い出す。
「それで、仕方なくお茶を淹れて、それを口にしたあたりから記憶が無いような……」
そこで、アリスは一つの可能性を見つける。しかし、その可能性は彼女自身では正しいかどうかがわからなかった。
わからなかったので聞くことにした。
「ねえ、魔理沙?」
「何だ、アリス」
「盛った?」
「盛ったぜ」
アリスの見出した可能性は正しかった。
「なんで盛るのよ!」
「眠らせる為だぜ」
「なんで眠らせるのよ!」
「縛るためだぜ」
「なんで縛るのよ!」
「襲うためだぜ」
「なんで襲うのよ!」
「手に入れるためだぜ」
「なんで手に入れるのよ!」
「欲しいと思ったからだぜ」
「なんで――ってちがう! 解きなさいよこれ!」
論点がずれまくった挙句、最初の要望に戻る。
「それは出来ないぜ。なんせまだ欲しいと思ったものを手に入れてないからな」
「な、何のことよ」
「なに、直ぐにわかるぜ」
そういうと、ゆっくりとベットの上のアリスに歩み寄る魔理沙。
軽く俯き、帽子のせいで表情が読み取れない魔理沙にアリスは恐怖の様なものすら覚えた。
「ちょ、ちょっと、解く気が無いなら近寄らないでよ」
そんなアリスの言葉は耳に入らないのか、魔理沙は歩みを進める。
「聞いてるの魔理沙!」
ひときわ大声を出すが魔理沙は止まらなかった。そしてついにベットの上に身を乗り出し、帽子のつばがアリスの顔に当たりそうになったとこで動きを止める。
こんなにも近づいているのにやはり帽子のせいで魔理沙の表情はアリスにはわからなかった。
「ま、魔理沙、なにか言いなさいよ……」
その無言の重圧にアリスの声はほとんど聞き取れなくなっていた。
「アリス」
そんなアリスの心境を知ってか知らずか魔理沙はその名を呼ぶ。
「私は、手に入れたいんだ」
「な、何をよ?」
的を得ない言葉に困惑するアリス。
「この状況でわからないのか? 魔女は観察し考えるものだぜ」
「それがわからないから聞いてるのよ」
人形や本、マジックアイテムならアリスが目覚める前に持って行ってしまばいい。しかし、それをしないということは何か別の目的があるということ。
アリスにはそれがわからなかった。
「わからないか。まぁ、だから私もこんな手段を取ったんだがな」
「な、何を言って――ふぁ、ひう、な、何これ!」
ドクン、と大きく脈打つ心臓、同時に全身が火照り始める。神経が、肌が敏感になるのをアリスは感じた。
「あ、あんた、本当に何盛ったのよ!」
魔女は観察し考えるもの。ならばこの身体の異変もさっきの紅茶に盛られた薬のせいだと判断するのが普通だろう。
「やっと効いてきたか、それはな魔理沙様お手製の睡眠薬だ。ただちょっと副作用に苦しくなったり火照ったり猛烈に感じやすくなったりするけどな」
人、それを媚薬と言う。
「な、何でそんな物を……」
「さっきも言ったろ、私は手に入れたいんだ」
この時、魔理沙はやっと顔を上げる。そしてアリスが目にしたその顔は――笑顔だった。何て事の無い魔理沙がいつも見せる笑顔。
「まり……さ?」
アリスはその笑顔が好きだった。感情に素直になれないアリスにとってそれは憧れの笑顔だった。そして、その笑顔を持つ魔理沙をアリスは好きだった。
「魔理沙、私わからないわ……魔理沙が何をしようとして何を言ってるのかわから――ふぅん!」
アリスがその言葉を最後まで言い切ることは出来なかった。魔理沙の唇に塞がれたせいだ。
突然の出来事にアリスは目を見開き、驚きの声を上げようとするがやはり口を塞がれているため出来なかった。
体を捩じらせてみるも、顔はがっちり掴まれているため無駄な抵抗でしか無かった。
「はぁ、はぁ、はぅう、んん、アリ……ス」
そんなことはお構いなしにアリスの口内を貪る魔理沙。相手の唾液を飲み下し、自らの唾液を相手に流し込む、それを坦々と繰り返す。
「ん、んう、んぁ、ま、魔理沙……」
無駄だと知ったのか抵抗を止めたアリスはされるがままに自らの唾液を奪われ、相手の唾液を送り込まれる。
「んはぁ、はぁ、はぁ、アリス、お前がいけないんだぜ。お前が」
ようやくアリスの味に満足したのかその唇を離す魔理沙。
「はぅ、はぁ、わ、私がいけない……?」
「そうだ、お前が悪いんだ。自分の思いは私に押し付けてくるくせに私の思いにはまるで気づかない」
そう言いながら魔理沙は帽子を取り、自らの服に手をかける。
「とっくにお前の思いは通じてるって言うのに私の思いに気づこうとしない。だから私は手に入れようとした、強引にでも、お前を!」
徐々に声を荒げていく魔理沙を見つめるアリス。薬のせいなのか、その眼はどこか遠くを見る様な眼で虚ろだった。
「私がいけない……? 私が悪い……?」
「そうだ! 全部お前が悪いんだ!」
小さく呟き続けるアリスにシャツ一枚になった魔理沙が覆いかぶさった。
魔理沙はアリスの服に手をかけ荒っぽく脱がしにかかる。縛られているせいで脱がしにくい所は服が破れるんじゃないかというくらい強引に脱がす。
「私がいけない……」
「そうだ、全部お前が――」
「わたしがわるい……」
こうして二人の歪んだ時間が始まった。
しかし、この時魔理沙は知らなかった。アリスの飲んだ薬がどんな物かを、暴走する感情ゆえに薬の効力を強くしすぎたことを、それは人の精神を壊してしまうには十分な力を持っていたことを、魔理沙は知らない。
以上、『白黒と七色の魔法使い 第一章 ~操られる人形遣い~』より。
「時間通りね、レミィ」
「……ねぇパチェ、お願いがあるんだけれど」
真夜中の紅魔館。パチュリーの自室に呼ばれたレミリア。
ベットに腰掛けているパチュリーに対しレミリアはドアの前に立ったまま動こうとしない。
「何かしら? あなたと私の仲だし、大抵のことは聞いてあげるわよ」
「もう……終わりにしましょう、こんな関係」
レミリアは俯いているため表情は読み取れないが、体が軽く震えているのだけはわかる。
「まるで、私との関係が嫌、みたいに聞こえるわね」
「嫌も何も! こんな一方的な関係……」
「一方的? 私は同意の上だと思っていたけど?」
「どこが同意よ……」
血が出るのではと言うほど拳を強く握り締めるレミリア。
「でもいいわ、これはあくまでも同意の上で成り立つ関係。あなたが嫌だと言うのならそれまで」
「じゃ、じゃあ」
顔を上げ表情を明るくするレミリアだが、すぐに暗くなることをパチュリーは知っていた。
「ええ、終わりでいいわよ。妹様にあなたの代わりを務めてもらうだけだから」
「そ、そんな、だめよ! それだけは!」
目を見開き、必死に悲願するその姿は、普段のレミリアからは決して想像できないだろう。
「けれどあなたは嫌なんでしょう? ならしかたのないことだわ」
「わかった! わかったから、お願い……あの子だけは、フランだけは」
「なら可愛い妹のためにあなたがしてあげれることは何?」
「くっ、わかってるわよ……」
レミリアはゆっくりと服に手をかけ始める。愛する妹の為に。
しかし、レミリアは知らない。なぜパチュリーがこんな脅迫まがいの行動に出たかを。これら全てはレミリアが身を挺して守ろうとしているフランドールによって仕向けられたことを。
彼女が全てを知ったとき、一体どんな顔をするのかパチュリーには楽しみで仕方なかったが、今は目の前の彼女を可愛がる方が先決だった。
「さぁ、レミィ。今夜はどんな鳴き声を聞かせてくれるのかしら」
以上、『吸血姉妹と魔女 第二章 ~砕けたプライド~』より。
「パチュリー様、やっぱり顔見知りを題材に官能小説を書くのはどうかと、それもなんかダークなのばっかりですし」
ここ、地下の図書館で『白黒と七色の魔法使い』の第二章を執筆しているパチュリーに紅茶を差し出しながら小悪魔は言う。
「小悪魔、そういう割にはあなた欠かさず全冊読んでるじゃない」
「い、いや、それはですね、パチュリー様がどんな話を書いたか気になるって言う、いわば知的好奇心ですよ? 決して泥沼の関係の美鈴様とメイド長が見たいとか、どんどん壊れていくアリスさんと魔理沙さんが気になるとか、全てを知った時お嬢さまがどんな顔をするのか知りたいとかじゃないですよ? いやホント全然」
「熱心なファンがいて嬉しいわ」
小悪魔の言うことを聞き流し、黙々と書き続けるパチュリー。
「って、そうじゃなくて、私が言ってるのはもし本人達にばれたらどうするんですかってことです」
「別にいいんじゃないかしら? ばれても。別に隠してるわけでもないし」
「いやいや、確実に皆怒りますよ?」
「怒るかしら?」
「ええ、図書館に殴り込みに来るでしょうね」
それは困るわね、と答えながらも書く手を一向に止めないあたりがパチュリーがパチュリーである由縁だろう。つまりこれくらいの根性が無ければ紅魔館で居候などやっていられないのだ。
「でも、それはそうと既に一冊、魔理沙に持って行かれてるのよね」
「はぁ、そうなんですか、ってえぇぇぇぇぇぇ!」
パチュリーの突然のカミングアウトに思わずノリツッコミならぬノリおどろきをやってみせる小悪魔。
「も、持って行かれたって、一体どの本をですか? まさか『白黒と七色』じゃないでしょうね」
「違うわ『従者と門番』の第一章よ」
かろうじて最悪の事態だけは避けられた、が次の問題が小悪魔を襲う。
「でも、それを読んだ魔理沙さんがメイド長や美鈴様にばらしたらどうしましょう!? 私、剣山もサンドバックも嫌ですよ! こうなったら全部パチュリー様のせいにして私は何も知らなかったことに……」
「既にあなたも共犯者、死なばもろともよ」
「嫌ぁぁぁぁ! 私を巻き込まないでください!」
そう思うのなら今すぐにでもパチュリーの書く手を止めさせるべきだが、そうしないのは恐らくもっとも続きを読みたがっているのが小悪魔自身だからであろう。
「ああ~私はどうすれば~! いっそお嬢さまにでも全てを話して私だけでも? でもそれじゃきっとこれ以上続きを読むことが出来なくなる! ああ、せっかくの泥沼のメイド長と美鈴様が! 壊れていくアリスさんと魔理沙さんが! 絶望に飲まれてくお嬢さまが! でも剣山とサンドバックは! マリス砲とグングニルは嫌!」
一人激しく葛藤する小悪魔に声をかけるパチュリー。
「盛り上がってるところ悪いけどお客さんよ」
「そんな! 五人同時合体スペルだなんて――って、お客さん? 一体誰が……」
小悪魔の頭の中で一体どんな僕の考えた最強スペルが生まれたのか気になったが、それを訪ねる前に図書館の扉が開く。
「お邪魔するわよ」
そこに現れたのはたった今、小悪魔の頭の中で五人合体スペルの左翼を勤めていたアリス・マーガトロイドであった。
「ア、ア、アリスさん!」
「な、何よ? 突然大声出して」
「い、いえ、何でもないんです。それより今日はどのようなご用事で? 探してる本でもあるんですか」
予想だにしていなかった人物の登場に焦りまくる小悪魔だが、大丈夫、本を持っていったのは魔理沙さんでアリスさんは知らないはず、と自分に言い聞かせ平常心を取り戻そうとする。
「ええ、ちょっと聞きたいことがあってね。え、えと、その、こ、この本、なんだ……けれど」
が、小悪魔が平常心を取り戻すことは出来なかった。
「そ、その本は!」
アリスが取り出した本。そしてその本の表紙には『従者と門番 第一章 ~逆転する昼夜~』とはっきりがっつり書かれていた。
即座に小悪魔の頭に思い描かれる最悪の事態。
「ア、アリスさん、ひょっとして……その本読みました?」
僅かな希望をかけた小悪魔の問いに、顔を赤くし僅かに頷くアリス。
終わった、最低でも剣山とサンドバックは避けられない。
「うう、メイド長、美味しいご飯をありがとう御座いました。美鈴様、もう差し入れを持っていってあげることは出来ません。お嬢さま、こんな不束者の私を今まで雇ってくれてありがとう御座いました」
自分を取り巻く全てのものにお別れを告げている小悪魔にアリスが声をかける。
「えーと、とりあえず本人達には何も言ってないわよ?」
「最後に妹様、もうお勉強を教えてあげることは出来ません、これからはお嬢さまの言うことをちゃんと守って――って、えぇぇ! 本当ですか!」
己の主であるパチュリーには言葉を残そうとしない小悪魔に希望の光が差し込まれる。
「ええ、本当よ。て、言うかどんな顔して本人に告げればいいのよ」
「で、では一体何用でここに……はっ! ま、まさか、それをネタに私たちを脅す気ですか! でも背に腹は変えられません、ここにある本でしたらいくらでも持って行って下さい。足りなければパチュリー様の首も付けます!」
「本はともかく首はいらないわ」
「では、一体何を欲すると? はっ! か、体ですか!? 私たちの体目当てなんですね! 魔理沙さんだけでは飽き足らず、私とパチュリー様の主従丼だなんて!」
もう思考が完全にネガティブな方にしか進まない小悪魔。
「ねぇ、パチュリー、あの子どうしちゃったの?」
「一度嫌なことが起きるとどんどん嫌なことを想像してしまう。そういうものなのよ」
この間、一切ペンを止めることなく走らせ続けたパチュリーがアリスの問いに答える。
「で、その本のことで何か用かしら? あの子が使い物にならないから私が用件を聞くわ」
「え、ええ、その、つ、続きはあるのかなって、思ったんだけど」
今度はパチュリーの問いにアリスが答える。顔を真っ赤にしながらではあるが。
「あるわよ『従者と門番』の第二章ならそこら辺に」
「いや、そこら辺って……本の山を指差されても」
その山の本は全てパチュリーが書いたもの。書いた傍からそこに置いていくのでいつの間にか山になっているのだ。
「でも、そんな事を聞いてどうするつもり?」
「え? どうするって、それは、その」
「読むの? 読むのね。顔見知りを題材に書かれた官能小説をあなたは読むのね。読んでそこに書き綴られた彼女達の淫らな姿を想像するのね」
「そ、それを書いてるあなたに言われたくないわ」
赤かった顔をさらに赤くするアリス。
「ま、別にいいわ。年頃の子がこういう性的な物に興味を持つのは普通の事だし。たとえ顔見知りが題材でも」
「く、いちいち棘のある言い方ね」
「借りて行くなら勝手に探して持って行きなさい。別にここで読んでいってもいいけど」
「ひ、人前で読めるものじゃないでしょう。勝手に探させてもらうわ」
そう言って本の山へと近づいていくアリス。
「ああ、そんな、パチュリー様と魔理沙さんとアリスさんのトリプル魔女っ子丼なんて私には勿体なさすぎですよ! でも頂きます! って、ちょっと待ってくださいアリスさん!」
アリスを止めるため主従丼からトリプル魔女っ子丼へと怒涛の急展開を迎えた妄想の世界から小悪魔は抜け出し、アリスの前へと立ちふさがる。
「な、何よ?」
「い、いえ、あのですね、その本は私が探しますんでアリスさんはここで待っていてくれませんか?」
小悪魔がアリスを止めた理由。それはあの本の山にはパチュリーが書いた本が全て積まれている。つまり『従者と門番』以外にも『吸血姉妹と魔女』、そして何よりも『白黒と七色』までもが積まれているのだ。それをアリス本人に見つけられるわけには行かない。
「と、とにかく、アリスさんはここでお茶でも飲んで待っていてください!」
「まぁ、確かに私よりあなたの方が早く見つけられるでしょうけど」
「で、では待っていてくださいね。直ぐに持ってきますから」
そう言い残し、本の山へと飛んでいく小悪魔。
何なのよと、呟きながらアリスはパチュリーの向かいの椅子に据わり、置かれていたティーセットのカップとポットと手に取り紅茶を注ぐ。
「そういえばアリス、一つ聞いていいかしら?」
「何かしら?」
アリスはカップに口を付けながら答える。
「あの本は魔理沙が持っていってはずなのになぜあなたが持ってるのかしら?」
「ああ、それはね、この間、魔理沙の家に泊まりに行った時見つけたの。何の本なのか魔理沙に聞いても持ってきたはいいけど中身はまだ読んでないって言うし、それで気になってちょっと中身を覗いてみたら、その、あ、あんなんだし?」
「それでこっそり持って帰って読んだってことね」
「だ、だいたいそんな所よ」
「そう、それともう一つ聞いていいかしら?」
「まだ何かあるの?」
「魔理沙の家、よく泊まりに行くの?」
「……」
「行くの?」
「た、たまによ。たまに」
「たまにって?」
「しゅ、週一くらい?」
なぜか疑問系で答えるアリス。
「本当に週一?」
「え、えと、三日に一回くらい?」
「三日ねぇ」
「三日よ」
流れる沈黙、パチュリーのジト目がアリスに突き刺さる。
「所でアリス、もの凄く情熱的な痕が首筋に残ってるわよ」
「え、嘘? ちゃんと鏡で確認したのに! あの馬鹿魔理沙! だからあんなに強く吸っちゃだめだって……あ」
再び流れる沈黙。
「もう一度聞くわ、魔理沙の家、よく泊まりに行くの?」
「……昨日で三日連続です」
そう、呟き再びペンを走らす。なぜパチュリーがこんなことを聞くのか今のアリスには理解できない。
その後、真っ赤になりながら紅茶を飲んでるアリスの元に小悪魔が本を持って飛んで来る。
「アリスさーん、見つけましたよー」
「あら、もう? まだ十分くらいしか経ってないと思うけど。まぁ、体感時間的には一時間くらいたったけど」
「そんなに私と二人きりが居づらかった?」
「あなたと二人きりが嫌だったと言うよりあなたの質問が嫌だったわ」
「え、えーと、何の話ですか?」
「なんでもないわ」
「ええ、ただの惚気話よ」
「はぁ、それはそれは興味がありますが、とりあえず本はこちらになります」
是非とも聞きたい話ではあったが一刻も早くアリスにここを立ち去って欲しい小悪魔は手早く本を手渡す。
「はい、ありがとう。って、二冊?」
「ええ、せっかくでしたので第二章と第三章を、と思いまして」
二冊渡しておけばしばらく此処には来ないだろうと思ったのは小悪魔だけの秘密だ。
「そう、気が利くのね」
「小悪魔、どうせなら他のシリーズも一緒に渡せば――」
「パ、パ、パチュリー様! 何を言って――」
「他のシリーズって、まだ何か書いてるのあなた?」
「え、ええ! そうなんですよ! 他にも『吸血姉妹と魔女』っていうシリーズを」
唐突のパチュリーの申し出に、何考えてんだこの紫モヤシはと思いながらもうまく知られてはいけない本のことは隠す小悪魔。
「タイトルだけで誰が題材かわかるのが嫌ね」
「じゃ、やめておく?」
「……それはそれ、これはこれよ」
「小悪魔、お願いね」
「……はい、探してきます」
そう言うと再び本の山に飛んでいく小悪魔。
「ねぇ、パチュリー。その本のことなんだけど」
「『吸血姉妹と魔女』がどうかした?」
「そのタイトルの魔女って、ひょっとして……」
「紅魔館に魔女は一人しか居ないわね」
「そう、やっぱりね……」
アリスの中でその本を読んだ後、パチュリーの顔を見ることが出来るか不安であったが目の前にある知的かつ性的好奇心に勝つことは出来なかった。
「お待たせしましたー」
二冊の本を持って小悪魔が戻ってくる。
「ありがと、借りていくわね」
小悪魔から本を受け取り礼を述べるアリス。
「あ、あの、アリスさん、一つお願いがあるんですけど」
「わかってるわよ。本人達には内緒にしてほしい、でしょ」
「あ、ありがとう御座います! 話が早くて助かります」
「いいわよ、内緒にしてほしい理由もわかるし。それじゃ私行くから」
「今日で四日連続でお泊りかしら?」
「今日は違うわよ! この本読むつもりだったし。べ、べつに今日の朝、喧嘩したとかじゃなんだからね? 魔理沙が三日連続で洋食は飽きたとか言ったからちょっとカチンときちゃったとかじゃないんだからね? なら霊夢の所にでも行けばいいじゃないとか言っちゃって顔が合わせづらいとかじゃなんだからね?」
「誰もそこまで聞いてないわ」
「砂を吐きそうです」
「と、とにかく、今日は帰るから。それじゃ」
と、足早に去って行くアリスだが、ドアの前で振り返りパチュリーに声をかける。
「ね、ねぇ、やっぱり私から謝った方がいいのかな?」
「心配ないわ、明日あたり魔理沙の方から会いに来るでしょうから」
「そう言ってくれると気が楽になるわ」
それじゃ、と言い残し図書館を去るアリス。
「はぁー、とりあえず危機脱出ですね」
アリスが去ったことにより肩の荷が下りた小悪魔はため息と共に開放感を感じていた。
「小悪魔、紅茶のおかわりくれるかしら?」
「あ、はい、ただいま~、砂糖はいりますか?」
「遠慮しておくわ、これ以上甘いものはいらないから」
「それもそうですね~」
小悪魔はテキパキと慣れた手つきで紅茶を準備しパチュリーの前に差し出す。
「ありがとう。それとこの本、書き終わったから」
そう言って今まで黙々と書き続けていた本を小悪魔に手渡す。
「おお~、ついに『白黒と七色の魔法使い』の第二章が!」
早速、受け取った本をめくる小悪魔。
「ふむふむ、第二章のサブタイトルは『~壊れ行く魔法使い~』ですか」
出たばかりの新刊を貪り読むその姿はまさに熱心なファンといえよう。が、熱心すぎて気が付かなかったのだろう。ドアの開く音に。
「これで淫らに壊れていくアリスさんと魔理沙さんを読めるわけですね~! これは徹夜で読破ですよ!」
「ごめんなさい、私ったら読み終わった方の本を返すの忘れて……」
空気が凍りつく。近くに氷精でもいるんじゃないかってほどに。
「えーと、どうゆことかしら?」
凄く、凄く低い声が凍りついた空気の中を響き渡る。
「ア、ア、アリスさん! いつからそこに!」
「淫らに壊れていく私、くらいから」
「い、いやですね、これにはメイド長の胸くらい深いわけがありまして!」
「つまり、言い訳は無いって事ね」
「ちょ、ちょっと待ってください! パチュリー様も何か言ってくださいよって居ないし!」
いつの間にか姿を消したパチュリー、そして変わりに置手紙が一つ。『レミィとお茶してくるわ、この場をよろしく。追伸、『庭師と兎』って言う新シリーズを思いついたんだけど、どうかしら?』
「うわ! なにが共犯だよ裏切り者! でもその新シリーズ超読みてー!」
「それがあなたの最後の言葉でOK?」
「それは嫌ぁぁぁぁ!」
その後、アリスは記憶が無くなるんじゃないかってくらい小悪魔をげんこつで殴り、本を没収しようとしたが小悪魔が『それだけは!それだけは~!』と泣いてアリスに抱きついてきた為に結局、新刊没収だけは見逃される。ちなみにアリスは『白黒と七色』の第一章も借りていった。
「ねぇ、美鈴」
「何ですか? 咲夜さん」
「今日、八時間ほどあなたのこと見つめてたんだけど、なんで門の前でアリスがあなたの顔を見たとたん顔を真っ赤にしてたのかしら?」
「知りません。って言うか咲夜さん、それ軽くストーカーですよ」
「そう、ライバルが現れたのかと思ったのだけど」
「それはありません、アリスさんは魔理沙さんにゾッコンですから。そして咲夜さんストーカーですよ」
「それもそうね、私の心配しすぎだったかしら?」
「心配しすぎです。そしてストーカーですよ。訴えて勝ちますよ」
「なんか自分が出てる小説を読むのは変な気分ね。それも内容が内容だし。そもそも魔理沙はこんな強引じゃないわよ、夜は以外と優しくしてくれるし。ああ、でもこんな強引な魔理沙も悪くないかも……」
「私がどうかしたか?」
「って、ま、ま、魔理沙! 何時からそこに!」
「いや、たった今だが?」
「そ、そう、よかった。じゃなくて、な、何か用? 霊夢の所にでも行ったんじゃなかったの?」
「ああ、行ったぜ。そこで霊夢に一喝されてな、いろいろ考えたんだ」
「そ、それでなによ?」
「私が悪かったぜ、すまないアリス。せっかく作ってくれたのにケチつける様なこと言っちまって」
「魔理沙……」
「お詫びと言っちゃ何だが、晩飯は私が作るぜ」
「そ、そう? な、なら許してあげなくもないわ。わ、私にも悪い所はあったと思うし?」
「そういうわけで台所借りるぞ」
「……睡眠薬とか入れないわよね?」
「なんか言ったか?」
「ううん、こっちの話」
むしろそーゆーオールOKの人はごゆっくりとお楽しみください。
日付が変わったばかりの暗い寝室、そのベットの上でそれは行われていた。
「はぁ、はぁ、お願い、もう……やめて、美鈴」
息を荒げ、眼に涙を浮かべ必死に願いを口にする咲夜。
「嫌です。と言うより無理です」
そして、それを即座に拒む美鈴。
「だってこんなに愛しい咲夜さんを前にして止められるはず無いじゃないですか」
「だ、だからって縛り上げて、こんな犬みたいな格好で……」
咲夜は両腕を縛られ、ベットの上に転がされていた。
「犬みたい、ですか。まさに咲夜さんにぴったりの格好じゃないですか」
「そ、そんな、ひど―――うぅん!」
咲夜が言い終わる前に美鈴がその口を塞ぐ。
咲夜の口内を己の舌で味わい、貪り、犯しつくす美鈴。
「っふあ、はぁ、はぁ、め、美鈴……」
離れた二人の唇は混ざり合った唾液で出来た糸で今だ繋がっていた。
「ふふ、昼間に見せる普段の威勢はどこに行ったんです?」
息をさらに荒げ、顔を真っ赤にしながら目を逸らす咲夜を、昼間に見せる満面の笑みとは全く別種の笑みを浮かべながら見下ろす美鈴。
「お、お願い、もうこれ以上は……」
無駄だとわかっている。それでも悲願せずにはいられなかった。
「まだ諦めてなかったんですか。でも……そこまで言うのなら止めてあげてもいいですよ?」
「ほ、本当に―――」
思いもよらぬ救いの手を必死で掴もうとする咲夜。
「ただし、その時は私と咲夜さんの関係もそれまでです」
「そ、そんな、それだけは、それだけは嫌、どんな事でもするから! お願い、一緒にいさせて!」
さっきまで真っ赤だった顔を蒼白にさせ、溜めていた涙が溢れ出る咲夜。両腕が自由なら美鈴に抱きついていただろう。それほどまでに十六夜咲夜の心には紅美鈴という存在が入り込んでいる。
そんな彼女の思いを汲み取ったのか、美鈴は咲夜をそっと抱きしめる。
「お願い、一緒に……」
「大丈夫ですよ、私が咲夜さんを捨てるはず無いじゃないですか」
悲願し続ける咲夜に美鈴は優しく声をかける。その言葉を聞き、胸を撫で下ろす咲夜。
美鈴はゆっくりと咲夜を放す。そしてベットから降り背を向ける。
「美鈴?」
「大丈夫ですよ、咲夜さん。私が咲夜さんを捨てるはず無いですから」
そう言いながらゆっくりと振り返る美鈴。
「め、美鈴、それは……」
振り返った美鈴の手にはいつの間にかムチやロウソク、首輪にクリップやこけしの様な物まで握られていた。
「そう、捨てるはずありません。咲夜さんが私の言うことを聞く限り……」
入り込んでいるのだ。紅美鈴の心にも十六夜咲夜という存在が。そう、酷く歪んだ形で。
以上、『従者と門番 第三章 ~堕ちていく二人~』より。
彼女は身体に覚える違和感で目を覚ます。
「う、ううん」
「やっと目が覚めたか?」
「あ、あれ? 魔理沙、なんでここに――って、なんで私糸で縛られてんのよ!」
彼女、アリス・マーガトロイドは自室のベットの上でなぜか縛られた状態で目を覚ます。それも普段、自分が人形を操る際に使っている糸で亀の甲羅の様な縛り方だ。
「なんでって、そりゃ私が縛ったからだ」
「私が聞いてんのはその理由! そしてさっさと解きなさい! て言うか、何時の間に縛ったのよ!」
大声で説明と要望と疑問を怒鳴り散らすアリス。
「何だ? お前、記憶無いのか?」
「記憶って……えーと、たしかあんたが急に遊びに来て……」
アリスは古い記憶を掘り返すかの様にゆっくりと思い出す。
「それで、仕方なくお茶を淹れて、それを口にしたあたりから記憶が無いような……」
そこで、アリスは一つの可能性を見つける。しかし、その可能性は彼女自身では正しいかどうかがわからなかった。
わからなかったので聞くことにした。
「ねえ、魔理沙?」
「何だ、アリス」
「盛った?」
「盛ったぜ」
アリスの見出した可能性は正しかった。
「なんで盛るのよ!」
「眠らせる為だぜ」
「なんで眠らせるのよ!」
「縛るためだぜ」
「なんで縛るのよ!」
「襲うためだぜ」
「なんで襲うのよ!」
「手に入れるためだぜ」
「なんで手に入れるのよ!」
「欲しいと思ったからだぜ」
「なんで――ってちがう! 解きなさいよこれ!」
論点がずれまくった挙句、最初の要望に戻る。
「それは出来ないぜ。なんせまだ欲しいと思ったものを手に入れてないからな」
「な、何のことよ」
「なに、直ぐにわかるぜ」
そういうと、ゆっくりとベットの上のアリスに歩み寄る魔理沙。
軽く俯き、帽子のせいで表情が読み取れない魔理沙にアリスは恐怖の様なものすら覚えた。
「ちょ、ちょっと、解く気が無いなら近寄らないでよ」
そんなアリスの言葉は耳に入らないのか、魔理沙は歩みを進める。
「聞いてるの魔理沙!」
ひときわ大声を出すが魔理沙は止まらなかった。そしてついにベットの上に身を乗り出し、帽子のつばがアリスの顔に当たりそうになったとこで動きを止める。
こんなにも近づいているのにやはり帽子のせいで魔理沙の表情はアリスにはわからなかった。
「ま、魔理沙、なにか言いなさいよ……」
その無言の重圧にアリスの声はほとんど聞き取れなくなっていた。
「アリス」
そんなアリスの心境を知ってか知らずか魔理沙はその名を呼ぶ。
「私は、手に入れたいんだ」
「な、何をよ?」
的を得ない言葉に困惑するアリス。
「この状況でわからないのか? 魔女は観察し考えるものだぜ」
「それがわからないから聞いてるのよ」
人形や本、マジックアイテムならアリスが目覚める前に持って行ってしまばいい。しかし、それをしないということは何か別の目的があるということ。
アリスにはそれがわからなかった。
「わからないか。まぁ、だから私もこんな手段を取ったんだがな」
「な、何を言って――ふぁ、ひう、な、何これ!」
ドクン、と大きく脈打つ心臓、同時に全身が火照り始める。神経が、肌が敏感になるのをアリスは感じた。
「あ、あんた、本当に何盛ったのよ!」
魔女は観察し考えるもの。ならばこの身体の異変もさっきの紅茶に盛られた薬のせいだと判断するのが普通だろう。
「やっと効いてきたか、それはな魔理沙様お手製の睡眠薬だ。ただちょっと副作用に苦しくなったり火照ったり猛烈に感じやすくなったりするけどな」
人、それを媚薬と言う。
「な、何でそんな物を……」
「さっきも言ったろ、私は手に入れたいんだ」
この時、魔理沙はやっと顔を上げる。そしてアリスが目にしたその顔は――笑顔だった。何て事の無い魔理沙がいつも見せる笑顔。
「まり……さ?」
アリスはその笑顔が好きだった。感情に素直になれないアリスにとってそれは憧れの笑顔だった。そして、その笑顔を持つ魔理沙をアリスは好きだった。
「魔理沙、私わからないわ……魔理沙が何をしようとして何を言ってるのかわから――ふぅん!」
アリスがその言葉を最後まで言い切ることは出来なかった。魔理沙の唇に塞がれたせいだ。
突然の出来事にアリスは目を見開き、驚きの声を上げようとするがやはり口を塞がれているため出来なかった。
体を捩じらせてみるも、顔はがっちり掴まれているため無駄な抵抗でしか無かった。
「はぁ、はぁ、はぅう、んん、アリ……ス」
そんなことはお構いなしにアリスの口内を貪る魔理沙。相手の唾液を飲み下し、自らの唾液を相手に流し込む、それを坦々と繰り返す。
「ん、んう、んぁ、ま、魔理沙……」
無駄だと知ったのか抵抗を止めたアリスはされるがままに自らの唾液を奪われ、相手の唾液を送り込まれる。
「んはぁ、はぁ、はぁ、アリス、お前がいけないんだぜ。お前が」
ようやくアリスの味に満足したのかその唇を離す魔理沙。
「はぅ、はぁ、わ、私がいけない……?」
「そうだ、お前が悪いんだ。自分の思いは私に押し付けてくるくせに私の思いにはまるで気づかない」
そう言いながら魔理沙は帽子を取り、自らの服に手をかける。
「とっくにお前の思いは通じてるって言うのに私の思いに気づこうとしない。だから私は手に入れようとした、強引にでも、お前を!」
徐々に声を荒げていく魔理沙を見つめるアリス。薬のせいなのか、その眼はどこか遠くを見る様な眼で虚ろだった。
「私がいけない……? 私が悪い……?」
「そうだ! 全部お前が悪いんだ!」
小さく呟き続けるアリスにシャツ一枚になった魔理沙が覆いかぶさった。
魔理沙はアリスの服に手をかけ荒っぽく脱がしにかかる。縛られているせいで脱がしにくい所は服が破れるんじゃないかというくらい強引に脱がす。
「私がいけない……」
「そうだ、全部お前が――」
「わたしがわるい……」
こうして二人の歪んだ時間が始まった。
しかし、この時魔理沙は知らなかった。アリスの飲んだ薬がどんな物かを、暴走する感情ゆえに薬の効力を強くしすぎたことを、それは人の精神を壊してしまうには十分な力を持っていたことを、魔理沙は知らない。
以上、『白黒と七色の魔法使い 第一章 ~操られる人形遣い~』より。
「時間通りね、レミィ」
「……ねぇパチェ、お願いがあるんだけれど」
真夜中の紅魔館。パチュリーの自室に呼ばれたレミリア。
ベットに腰掛けているパチュリーに対しレミリアはドアの前に立ったまま動こうとしない。
「何かしら? あなたと私の仲だし、大抵のことは聞いてあげるわよ」
「もう……終わりにしましょう、こんな関係」
レミリアは俯いているため表情は読み取れないが、体が軽く震えているのだけはわかる。
「まるで、私との関係が嫌、みたいに聞こえるわね」
「嫌も何も! こんな一方的な関係……」
「一方的? 私は同意の上だと思っていたけど?」
「どこが同意よ……」
血が出るのではと言うほど拳を強く握り締めるレミリア。
「でもいいわ、これはあくまでも同意の上で成り立つ関係。あなたが嫌だと言うのならそれまで」
「じゃ、じゃあ」
顔を上げ表情を明るくするレミリアだが、すぐに暗くなることをパチュリーは知っていた。
「ええ、終わりでいいわよ。妹様にあなたの代わりを務めてもらうだけだから」
「そ、そんな、だめよ! それだけは!」
目を見開き、必死に悲願するその姿は、普段のレミリアからは決して想像できないだろう。
「けれどあなたは嫌なんでしょう? ならしかたのないことだわ」
「わかった! わかったから、お願い……あの子だけは、フランだけは」
「なら可愛い妹のためにあなたがしてあげれることは何?」
「くっ、わかってるわよ……」
レミリアはゆっくりと服に手をかけ始める。愛する妹の為に。
しかし、レミリアは知らない。なぜパチュリーがこんな脅迫まがいの行動に出たかを。これら全てはレミリアが身を挺して守ろうとしているフランドールによって仕向けられたことを。
彼女が全てを知ったとき、一体どんな顔をするのかパチュリーには楽しみで仕方なかったが、今は目の前の彼女を可愛がる方が先決だった。
「さぁ、レミィ。今夜はどんな鳴き声を聞かせてくれるのかしら」
以上、『吸血姉妹と魔女 第二章 ~砕けたプライド~』より。
「パチュリー様、やっぱり顔見知りを題材に官能小説を書くのはどうかと、それもなんかダークなのばっかりですし」
ここ、地下の図書館で『白黒と七色の魔法使い』の第二章を執筆しているパチュリーに紅茶を差し出しながら小悪魔は言う。
「小悪魔、そういう割にはあなた欠かさず全冊読んでるじゃない」
「い、いや、それはですね、パチュリー様がどんな話を書いたか気になるって言う、いわば知的好奇心ですよ? 決して泥沼の関係の美鈴様とメイド長が見たいとか、どんどん壊れていくアリスさんと魔理沙さんが気になるとか、全てを知った時お嬢さまがどんな顔をするのか知りたいとかじゃないですよ? いやホント全然」
「熱心なファンがいて嬉しいわ」
小悪魔の言うことを聞き流し、黙々と書き続けるパチュリー。
「って、そうじゃなくて、私が言ってるのはもし本人達にばれたらどうするんですかってことです」
「別にいいんじゃないかしら? ばれても。別に隠してるわけでもないし」
「いやいや、確実に皆怒りますよ?」
「怒るかしら?」
「ええ、図書館に殴り込みに来るでしょうね」
それは困るわね、と答えながらも書く手を一向に止めないあたりがパチュリーがパチュリーである由縁だろう。つまりこれくらいの根性が無ければ紅魔館で居候などやっていられないのだ。
「でも、それはそうと既に一冊、魔理沙に持って行かれてるのよね」
「はぁ、そうなんですか、ってえぇぇぇぇぇぇ!」
パチュリーの突然のカミングアウトに思わずノリツッコミならぬノリおどろきをやってみせる小悪魔。
「も、持って行かれたって、一体どの本をですか? まさか『白黒と七色』じゃないでしょうね」
「違うわ『従者と門番』の第一章よ」
かろうじて最悪の事態だけは避けられた、が次の問題が小悪魔を襲う。
「でも、それを読んだ魔理沙さんがメイド長や美鈴様にばらしたらどうしましょう!? 私、剣山もサンドバックも嫌ですよ! こうなったら全部パチュリー様のせいにして私は何も知らなかったことに……」
「既にあなたも共犯者、死なばもろともよ」
「嫌ぁぁぁぁ! 私を巻き込まないでください!」
そう思うのなら今すぐにでもパチュリーの書く手を止めさせるべきだが、そうしないのは恐らくもっとも続きを読みたがっているのが小悪魔自身だからであろう。
「ああ~私はどうすれば~! いっそお嬢さまにでも全てを話して私だけでも? でもそれじゃきっとこれ以上続きを読むことが出来なくなる! ああ、せっかくの泥沼のメイド長と美鈴様が! 壊れていくアリスさんと魔理沙さんが! 絶望に飲まれてくお嬢さまが! でも剣山とサンドバックは! マリス砲とグングニルは嫌!」
一人激しく葛藤する小悪魔に声をかけるパチュリー。
「盛り上がってるところ悪いけどお客さんよ」
「そんな! 五人同時合体スペルだなんて――って、お客さん? 一体誰が……」
小悪魔の頭の中で一体どんな僕の考えた最強スペルが生まれたのか気になったが、それを訪ねる前に図書館の扉が開く。
「お邪魔するわよ」
そこに現れたのはたった今、小悪魔の頭の中で五人合体スペルの左翼を勤めていたアリス・マーガトロイドであった。
「ア、ア、アリスさん!」
「な、何よ? 突然大声出して」
「い、いえ、何でもないんです。それより今日はどのようなご用事で? 探してる本でもあるんですか」
予想だにしていなかった人物の登場に焦りまくる小悪魔だが、大丈夫、本を持っていったのは魔理沙さんでアリスさんは知らないはず、と自分に言い聞かせ平常心を取り戻そうとする。
「ええ、ちょっと聞きたいことがあってね。え、えと、その、こ、この本、なんだ……けれど」
が、小悪魔が平常心を取り戻すことは出来なかった。
「そ、その本は!」
アリスが取り出した本。そしてその本の表紙には『従者と門番 第一章 ~逆転する昼夜~』とはっきりがっつり書かれていた。
即座に小悪魔の頭に思い描かれる最悪の事態。
「ア、アリスさん、ひょっとして……その本読みました?」
僅かな希望をかけた小悪魔の問いに、顔を赤くし僅かに頷くアリス。
終わった、最低でも剣山とサンドバックは避けられない。
「うう、メイド長、美味しいご飯をありがとう御座いました。美鈴様、もう差し入れを持っていってあげることは出来ません。お嬢さま、こんな不束者の私を今まで雇ってくれてありがとう御座いました」
自分を取り巻く全てのものにお別れを告げている小悪魔にアリスが声をかける。
「えーと、とりあえず本人達には何も言ってないわよ?」
「最後に妹様、もうお勉強を教えてあげることは出来ません、これからはお嬢さまの言うことをちゃんと守って――って、えぇぇ! 本当ですか!」
己の主であるパチュリーには言葉を残そうとしない小悪魔に希望の光が差し込まれる。
「ええ、本当よ。て、言うかどんな顔して本人に告げればいいのよ」
「で、では一体何用でここに……はっ! ま、まさか、それをネタに私たちを脅す気ですか! でも背に腹は変えられません、ここにある本でしたらいくらでも持って行って下さい。足りなければパチュリー様の首も付けます!」
「本はともかく首はいらないわ」
「では、一体何を欲すると? はっ! か、体ですか!? 私たちの体目当てなんですね! 魔理沙さんだけでは飽き足らず、私とパチュリー様の主従丼だなんて!」
もう思考が完全にネガティブな方にしか進まない小悪魔。
「ねぇ、パチュリー、あの子どうしちゃったの?」
「一度嫌なことが起きるとどんどん嫌なことを想像してしまう。そういうものなのよ」
この間、一切ペンを止めることなく走らせ続けたパチュリーがアリスの問いに答える。
「で、その本のことで何か用かしら? あの子が使い物にならないから私が用件を聞くわ」
「え、ええ、その、つ、続きはあるのかなって、思ったんだけど」
今度はパチュリーの問いにアリスが答える。顔を真っ赤にしながらではあるが。
「あるわよ『従者と門番』の第二章ならそこら辺に」
「いや、そこら辺って……本の山を指差されても」
その山の本は全てパチュリーが書いたもの。書いた傍からそこに置いていくのでいつの間にか山になっているのだ。
「でも、そんな事を聞いてどうするつもり?」
「え? どうするって、それは、その」
「読むの? 読むのね。顔見知りを題材に書かれた官能小説をあなたは読むのね。読んでそこに書き綴られた彼女達の淫らな姿を想像するのね」
「そ、それを書いてるあなたに言われたくないわ」
赤かった顔をさらに赤くするアリス。
「ま、別にいいわ。年頃の子がこういう性的な物に興味を持つのは普通の事だし。たとえ顔見知りが題材でも」
「く、いちいち棘のある言い方ね」
「借りて行くなら勝手に探して持って行きなさい。別にここで読んでいってもいいけど」
「ひ、人前で読めるものじゃないでしょう。勝手に探させてもらうわ」
そう言って本の山へと近づいていくアリス。
「ああ、そんな、パチュリー様と魔理沙さんとアリスさんのトリプル魔女っ子丼なんて私には勿体なさすぎですよ! でも頂きます! って、ちょっと待ってくださいアリスさん!」
アリスを止めるため主従丼からトリプル魔女っ子丼へと怒涛の急展開を迎えた妄想の世界から小悪魔は抜け出し、アリスの前へと立ちふさがる。
「な、何よ?」
「い、いえ、あのですね、その本は私が探しますんでアリスさんはここで待っていてくれませんか?」
小悪魔がアリスを止めた理由。それはあの本の山にはパチュリーが書いた本が全て積まれている。つまり『従者と門番』以外にも『吸血姉妹と魔女』、そして何よりも『白黒と七色』までもが積まれているのだ。それをアリス本人に見つけられるわけには行かない。
「と、とにかく、アリスさんはここでお茶でも飲んで待っていてください!」
「まぁ、確かに私よりあなたの方が早く見つけられるでしょうけど」
「で、では待っていてくださいね。直ぐに持ってきますから」
そう言い残し、本の山へと飛んでいく小悪魔。
何なのよと、呟きながらアリスはパチュリーの向かいの椅子に据わり、置かれていたティーセットのカップとポットと手に取り紅茶を注ぐ。
「そういえばアリス、一つ聞いていいかしら?」
「何かしら?」
アリスはカップに口を付けながら答える。
「あの本は魔理沙が持っていってはずなのになぜあなたが持ってるのかしら?」
「ああ、それはね、この間、魔理沙の家に泊まりに行った時見つけたの。何の本なのか魔理沙に聞いても持ってきたはいいけど中身はまだ読んでないって言うし、それで気になってちょっと中身を覗いてみたら、その、あ、あんなんだし?」
「それでこっそり持って帰って読んだってことね」
「だ、だいたいそんな所よ」
「そう、それともう一つ聞いていいかしら?」
「まだ何かあるの?」
「魔理沙の家、よく泊まりに行くの?」
「……」
「行くの?」
「た、たまによ。たまに」
「たまにって?」
「しゅ、週一くらい?」
なぜか疑問系で答えるアリス。
「本当に週一?」
「え、えと、三日に一回くらい?」
「三日ねぇ」
「三日よ」
流れる沈黙、パチュリーのジト目がアリスに突き刺さる。
「所でアリス、もの凄く情熱的な痕が首筋に残ってるわよ」
「え、嘘? ちゃんと鏡で確認したのに! あの馬鹿魔理沙! だからあんなに強く吸っちゃだめだって……あ」
再び流れる沈黙。
「もう一度聞くわ、魔理沙の家、よく泊まりに行くの?」
「……昨日で三日連続です」
そう、呟き再びペンを走らす。なぜパチュリーがこんなことを聞くのか今のアリスには理解できない。
その後、真っ赤になりながら紅茶を飲んでるアリスの元に小悪魔が本を持って飛んで来る。
「アリスさーん、見つけましたよー」
「あら、もう? まだ十分くらいしか経ってないと思うけど。まぁ、体感時間的には一時間くらいたったけど」
「そんなに私と二人きりが居づらかった?」
「あなたと二人きりが嫌だったと言うよりあなたの質問が嫌だったわ」
「え、えーと、何の話ですか?」
「なんでもないわ」
「ええ、ただの惚気話よ」
「はぁ、それはそれは興味がありますが、とりあえず本はこちらになります」
是非とも聞きたい話ではあったが一刻も早くアリスにここを立ち去って欲しい小悪魔は手早く本を手渡す。
「はい、ありがとう。って、二冊?」
「ええ、せっかくでしたので第二章と第三章を、と思いまして」
二冊渡しておけばしばらく此処には来ないだろうと思ったのは小悪魔だけの秘密だ。
「そう、気が利くのね」
「小悪魔、どうせなら他のシリーズも一緒に渡せば――」
「パ、パ、パチュリー様! 何を言って――」
「他のシリーズって、まだ何か書いてるのあなた?」
「え、ええ! そうなんですよ! 他にも『吸血姉妹と魔女』っていうシリーズを」
唐突のパチュリーの申し出に、何考えてんだこの紫モヤシはと思いながらもうまく知られてはいけない本のことは隠す小悪魔。
「タイトルだけで誰が題材かわかるのが嫌ね」
「じゃ、やめておく?」
「……それはそれ、これはこれよ」
「小悪魔、お願いね」
「……はい、探してきます」
そう言うと再び本の山に飛んでいく小悪魔。
「ねぇ、パチュリー。その本のことなんだけど」
「『吸血姉妹と魔女』がどうかした?」
「そのタイトルの魔女って、ひょっとして……」
「紅魔館に魔女は一人しか居ないわね」
「そう、やっぱりね……」
アリスの中でその本を読んだ後、パチュリーの顔を見ることが出来るか不安であったが目の前にある知的かつ性的好奇心に勝つことは出来なかった。
「お待たせしましたー」
二冊の本を持って小悪魔が戻ってくる。
「ありがと、借りていくわね」
小悪魔から本を受け取り礼を述べるアリス。
「あ、あの、アリスさん、一つお願いがあるんですけど」
「わかってるわよ。本人達には内緒にしてほしい、でしょ」
「あ、ありがとう御座います! 話が早くて助かります」
「いいわよ、内緒にしてほしい理由もわかるし。それじゃ私行くから」
「今日で四日連続でお泊りかしら?」
「今日は違うわよ! この本読むつもりだったし。べ、べつに今日の朝、喧嘩したとかじゃなんだからね? 魔理沙が三日連続で洋食は飽きたとか言ったからちょっとカチンときちゃったとかじゃないんだからね? なら霊夢の所にでも行けばいいじゃないとか言っちゃって顔が合わせづらいとかじゃなんだからね?」
「誰もそこまで聞いてないわ」
「砂を吐きそうです」
「と、とにかく、今日は帰るから。それじゃ」
と、足早に去って行くアリスだが、ドアの前で振り返りパチュリーに声をかける。
「ね、ねぇ、やっぱり私から謝った方がいいのかな?」
「心配ないわ、明日あたり魔理沙の方から会いに来るでしょうから」
「そう言ってくれると気が楽になるわ」
それじゃ、と言い残し図書館を去るアリス。
「はぁー、とりあえず危機脱出ですね」
アリスが去ったことにより肩の荷が下りた小悪魔はため息と共に開放感を感じていた。
「小悪魔、紅茶のおかわりくれるかしら?」
「あ、はい、ただいま~、砂糖はいりますか?」
「遠慮しておくわ、これ以上甘いものはいらないから」
「それもそうですね~」
小悪魔はテキパキと慣れた手つきで紅茶を準備しパチュリーの前に差し出す。
「ありがとう。それとこの本、書き終わったから」
そう言って今まで黙々と書き続けていた本を小悪魔に手渡す。
「おお~、ついに『白黒と七色の魔法使い』の第二章が!」
早速、受け取った本をめくる小悪魔。
「ふむふむ、第二章のサブタイトルは『~壊れ行く魔法使い~』ですか」
出たばかりの新刊を貪り読むその姿はまさに熱心なファンといえよう。が、熱心すぎて気が付かなかったのだろう。ドアの開く音に。
「これで淫らに壊れていくアリスさんと魔理沙さんを読めるわけですね~! これは徹夜で読破ですよ!」
「ごめんなさい、私ったら読み終わった方の本を返すの忘れて……」
空気が凍りつく。近くに氷精でもいるんじゃないかってほどに。
「えーと、どうゆことかしら?」
凄く、凄く低い声が凍りついた空気の中を響き渡る。
「ア、ア、アリスさん! いつからそこに!」
「淫らに壊れていく私、くらいから」
「い、いやですね、これにはメイド長の胸くらい深いわけがありまして!」
「つまり、言い訳は無いって事ね」
「ちょ、ちょっと待ってください! パチュリー様も何か言ってくださいよって居ないし!」
いつの間にか姿を消したパチュリー、そして変わりに置手紙が一つ。『レミィとお茶してくるわ、この場をよろしく。追伸、『庭師と兎』って言う新シリーズを思いついたんだけど、どうかしら?』
「うわ! なにが共犯だよ裏切り者! でもその新シリーズ超読みてー!」
「それがあなたの最後の言葉でOK?」
「それは嫌ぁぁぁぁ!」
その後、アリスは記憶が無くなるんじゃないかってくらい小悪魔をげんこつで殴り、本を没収しようとしたが小悪魔が『それだけは!それだけは~!』と泣いてアリスに抱きついてきた為に結局、新刊没収だけは見逃される。ちなみにアリスは『白黒と七色』の第一章も借りていった。
「ねぇ、美鈴」
「何ですか? 咲夜さん」
「今日、八時間ほどあなたのこと見つめてたんだけど、なんで門の前でアリスがあなたの顔を見たとたん顔を真っ赤にしてたのかしら?」
「知りません。って言うか咲夜さん、それ軽くストーカーですよ」
「そう、ライバルが現れたのかと思ったのだけど」
「それはありません、アリスさんは魔理沙さんにゾッコンですから。そして咲夜さんストーカーですよ」
「それもそうね、私の心配しすぎだったかしら?」
「心配しすぎです。そしてストーカーですよ。訴えて勝ちますよ」
「なんか自分が出てる小説を読むのは変な気分ね。それも内容が内容だし。そもそも魔理沙はこんな強引じゃないわよ、夜は以外と優しくしてくれるし。ああ、でもこんな強引な魔理沙も悪くないかも……」
「私がどうかしたか?」
「って、ま、ま、魔理沙! 何時からそこに!」
「いや、たった今だが?」
「そ、そう、よかった。じゃなくて、な、何か用? 霊夢の所にでも行ったんじゃなかったの?」
「ああ、行ったぜ。そこで霊夢に一喝されてな、いろいろ考えたんだ」
「そ、それでなによ?」
「私が悪かったぜ、すまないアリス。せっかく作ってくれたのにケチつける様なこと言っちまって」
「魔理沙……」
「お詫びと言っちゃ何だが、晩飯は私が作るぜ」
「そ、そう? な、なら許してあげなくもないわ。わ、私にも悪い所はあったと思うし?」
「そういうわけで台所借りるぞ」
「……睡眠薬とか入れないわよね?」
「なんか言ったか?」
「ううん、こっちの話」
話のテンポがすばらしかったですね。
というわけですので、本の続きを是非あちらのほうへ・・・
作品を全部、しかも新作をすぐに読める小悪魔が羨ましい
庭師と兎読みてぇw月兎なら最高! 是非続きを!
あとパチェが書いた官能小説とするならばそこだけでも会話主体のライトノベルのような軽い文体ではなく、淫靡な香り漂う重厚な文章にした方が良かったって麻生さんが言ってた
個人的には兎はハイブリッドだと思うんだ
ん~………ぎりぎりアウトかも(笑)
後半のオチが良かったところに40点。前半の小説部分に-20点ということで。
その想像というか妄想をぜひ本に!
パッチェさん……は書いた張本人か。
ネタとしては面白かったんですが、まさに得点のコメントの通り。
アリスさん、ちょっと期待してる?
でも確かにどっちが攻めでどっちが受けなのか分からんwww
今回は点数保留の形で・・・(内容が内容ですので。
私個人的面白かった内容です。
それにしても一番人気は『庭師と兎』なのか
ちなみに『庭師と兎』のサブタイトルは『第一章 ~狩る者、狩られる者~』に今決めました
それにしてもサブタイトル考えるのって大変だなぁ
後、このパチェ先生が書いたシリーズは皆の支持が高まって人気が出れば香霖堂に委託販売するかもしれない
ていうか、他の人物でも同じく怒りながら熱心に読むだろうけど
続きは是非あっちで。
グレイズギリギリどころか被弾してる気がしないでもないですが、面白かったので
っていうか続きは?続きはどこじゃ!?
アリス、パチェのファンになるフラグ立ったなww
あと『吸血姉妹と魔女 第三章』を首長くして待ってるんですがいつ出来上がりますか?
アウトとセーフの境界は難しいですが…ここばかりは管理人さん次第だと思います。
えーとその、最後に、やっぱりマリアリはアリスの一方的な片思いより、
魔理沙にも恋する乙女な部分があるべきで…
何が言いたいかと言うと、パチェさんともぶちうささんとも美味い酒が飲めそうだと…w
でもまあ、消されてないから多分大丈夫なのでしょう。きっと。
ところで、庭師と兎の後はぜひ紅白と青白の巫女とかをお願(ここから先はかすれていて読めない
会話文のセンスに脱帽。
続きを!
個人的にはアウトっぽいのでこの点数です。
面白かったという意味なら80~100点なんですが
こんなパチェとは良いさk(ry
題名通りですな。
鼻血がががががが・・・
表現的にもセーフだと思います。
#実用には至らないと思いますので。w
きちんと冒頭に注意書きもあるし全く問題ないですよぅ。
ユーモア溢れてて楽しかったです。
って思ったらあー!続き発見!
面白かったです。