Coolier - 新生・東方創想話

かわいいは最強?

2007/10/15 00:56:19
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「今日からあなたはこの診療所の薬師です。」


突然の事だった。

朝ご飯が終わって今日もまたいつもと同じように自分の仕事をせっせとやる。
そんな一日になると思っていた。

朝ごはんを終えた後、永琳に部屋に呼ばれて行く。
そして今日から昨日までとは違う日になるという事を言われたのだった。

鈴仙は驚いた。


「師匠、これはどういうことですか!?」

「だって、少なくともあなたは数十年間私の弟子をやってきたわけだし、
 それに真面目に勉強してきたからその成果が出ているじゃない。
 だからもう私から教える事は無いの。
 これからは私の手伝いとしてではなく、
 あなたがこの診療所の薬師になってちょうだい。」

「えぇっ!?」


突然の免許皆伝。確かに鈴仙は永琳の優秀な弟子として今までやってきていた。
永琳の薬の調合の手伝い、使う薬品の内容や調合結果の記帳、更に薬学の勉強。
鈴仙の頑張りは相当のもので、知識や経験もある。
そこで永琳は永遠亭で開いていた診療所を鈴仙に任せるという考えに至ったのだ。

しかし何故永琳は診療所を鈴仙に任せると言い出したのか。
鈴仙は気になった。


「私だけでやるということは、師匠は別の何かをするという事ですか?」

「その通り。私はこれから夢の薬の調合を始めるわ。」

「夢の薬?それは永遠の命よりも凄いものなのですか?」

「そうね。これは病を治療するための薬だからね。
 永遠の命を求めない者にとっては蓬莱薬より夢の薬ね。」


薬は基本的に治すという効果を持っているものではない。
薬は免疫機能を高めたり、病気によって引き起こされる症状を抑えるものであり、
病原体を直接攻撃することで治すことができるものはない。


「しかし師匠ならばそのような薬を完成させるのは容易いのでは?」

「ふふっ、私が作るのは風邪薬みたいなレベルじゃないわよ。
 何せ不治の病なのだから。」

「まさか・・・エイズですか!?」


AIDS(後天性免疫不全症候群)
HIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染によって引き起こされる。
免疫機能が低下し、健康時にはかからないような病気にかかり死に至る危険を伴う病気。
主に性行為や非加熱の血液製剤の点滴によって感染する。

ついに天才がこの病気に立ち向かう時が来たのか。


「違うわ。もっと私達の身近なところで発症されているものよ。
 っていうか、それ治せる自信あるし。」

「マジですか!!?い、いや、それよりなんの病気ですか?」

「私がもっとも恐れる病気であり、もっとも社会から消し去るべき病気よ。」

「わ、わかりません。私達の日常に巣くっているその病気とはなんなのですか!?」

「バカよ。」


えっ・・・・・・・・・?


「・・・流石天才!」

「あなた今、私のことバカにしたでしょ。」

「してません!」

「いいえ!バカにしたわ!私がバカに踊らされるバカだって思ったんだ!」

「思ってないです!」

「嘘吐き!どうせ私はバカなんだわ!」

「じゃあ、師匠はバカなんですね?」

「えっ・・・」

「自分から振った話の流れからそうなりますが、それでよろしいですね?」

「う、うん・・・」

「バーーーーカ!」

「ひどっ!」

「これで自他共に認めるバカになれましたね。」

「で、でも・・・」

「でも?」

「私みたいなバカ・・・嫌いじゃないわよ?」

「自分で言わないでください。」


結局弟子にバカにされてしまった。
その後バカにした弟子は部屋を出る前に「師匠のバーカ」と吐き捨てて
最後の最後までバカにしていった。
意外と言われてみて新鮮だったその言葉に、今まで感じた事の無い何かを感じた永琳。
思って高鳴る胸の鼓動・・・数分間その感情の余韻に浸ってからバカの研究が始まった。


「さぁて、まずはサンプルが必要よね。」


蛙と虫取り網と麦わら帽子の三種の神器を持っていざ紅魔湖へ。
もちろんサンプルとはバカでお馴染みのチルノちゃん。
永琳なら道具など使わなくとも素手で捕獲することすら容易だが、
マッチョな方法は好まなかったのだ。











「いやぁ、もう秋なのに日中は暑いわねぇ。」


久々に浴びた日の光。別に輝夜のように寝てるばかりの毎日ではないが、
室内にばかり篭っている人に日の光はあまり優しくはなかった。

紅魔湖に着いた永琳は早速チルノを探した。
湖の面積はかなり広く、妖精一匹探すのには苦労する。
ここはそこらじゅうに飛び回っている妖精から聞き出すのが得策だろう。


ぱきぴきぴきぴき・・・・


「助かったわ。どうやら探す苦労は無かったようね。」


湖が突然凍り始めた。
そして静かだった世界が終わりを告げていく。


「てやぁーーーー!!そいやぁーーーー!!」


チルノの大声が凍った世界によく響く。
あっという間に永琳がいたところの湖は完全に凍ってしまった。


「あらあら、なんかやることが凄いわね。なんの遊びかしら?」


永琳はしばらくチルノの様子を眺めることにした。
捕獲するだけでなく、自由に行動を取らせることによって
研究の参考に繋がると考えたのだ。
見つからないようにするための身を潜める場所を探した。


「あれ?永琳じゃないか。何やってるんだ?」


後ろから声が聞こえたので振り返ってみれば、そこには魔理沙がいた。
どうやら紅魔館へ向かう途中のようだ。


「ん?まぁ、人間観察ならぬ妖精観察ってやつかしら。」

「あぁ、月の住人に妖精は珍しいか。
 そして観察対象がチルノとはいい目をしているじゃないか。」

「天才だからね。」

「でもさ、今の時期のチルノはそっとしておいた方がいいぞ。」

「?」


魔理沙らしからぬことを言い出した。
しょっちゅうチルノにちょっかいを出しているのは言っている本人ではないのか。
紅魔湖を通る度にチルノに会ってはからかって遊んでいるというのは文々新聞でも
お馴染みだった。
なんとも話題性の無い新聞ではあるが。

それと時期とは一体どういうことなのか。


「何かあるのかしら?」

「まぁ他者のプライベートについてあまり語るつもりはない。
 これはネタを欲しがりな文も気をつけていることだからな。
 知りたかったら自分で調べな。その後はご自由に。」


それだけ言うと魔理沙は手を振って紅魔館へと飛んで行った。
そこまで言われては知りたくなってしまうのが人の性というもの。
永琳は遠くからじっとチルノを見た。


「ぃやぁああっ!おりゃぁあっ!!」


冷気を発し、湖を凍らせながら飛び回っているチルノ。
よく見るとそこには楽しそうな表情などなかった。
それどころか今にも泣きそうな顔ではないか。


「あの子・・・一体何をしているの?」


とりあえず湖を凍らせようとしているのはわかる。
しかし彼女は遊んでいるから忙しく動いているのではないのか。
凍っていくの世界を見るのが楽しいから冷気を飛ばしているのではないのか。
次々に疑問が浮かんでくる。


「えいっ!えっ・・い・・・」


冷気を飛ばし続けていたためか、疲れが見える。


「へっ・・・このっ・・・」


それでも湖を凍らせるためにまた冷気を出す。
しかし一度凍らせることができても、できた氷はあまり大きくはない。
張っている氷は厚さ約5センチ。
陽射しが強いため、チルノが湖全体に手をつけた時には既に溶けている氷もある。


「はあっ・・ぁ・・・」

「え!?」


とうとう体力が尽きたのか、チルノは自分の凍らせた湖の上に落下していった。


「あ、危ない!!」


もはや観察どころではなくなった。
チルノが飛んでいた高さは約15メートル程度で、頭から落下すれば大変なことになる。
更にここは凍った湖の上。
チルノが落ちる場所に丁度波が立っていたなら頭に尖端が突き刺さる可能性がある。


「チルノ!!チルノー!!」


気を失っているようで永琳の声にピクリとも反応しない。
永琳は全力で飛んだ。
滅多に本気を出さないが、この時ばかりは余力を残す余裕はなかった。


「チルノ起きなさい!!チルノ!!」


両手を伸ばしてチルノを受け止める準備をした。
しかしチルノの落下地点に達するまでの方が早かった。
永琳の頭にチルノが指先も届かぬまま落ちるイメージが浮かんでくる。
このままでは間に合わない。


「だめっ!だめよっ!!チルノーー!!!」


ドォオオオオンっ!!!!


「チルノーーーーーー!!!!!!」


氷が割れるほどの落下。
氷が薄く張っていたのか、落下地点を中心に円柱型の水しぶきが上がる。
しかしそれでも数センチは張っていた。
頭から落ちればダメージは大きいハズ。
永琳は落下地点へと急いだ。


「え!?」


水しぶきが引くとそこにはチルノとは違う姿があった。


「いやぁ、間一髪ってやつですね。」

「射命丸文!?」


割れた氷の上で文がチルノをお姫様抱っこしている。
先ほどの妙に大きな落下音は、チルノより先に文が落下してきた時に生じた音だったのだ。


「こんにちは永琳さ・・・ちょっ!止まってくださいよ!!」

「ごめん無理!!」


ドシーーーンっ!!!!


全力で飛んでいる状態で急に止まれることはなかった。
あろうことか天才らしからぬドジっぷりである。
しかしここで永琳は衝突時に伸ばしていた手で文の胸を掴んで、
尚且つシャツを破ってブラまで取ってしまうという天才テクを見せつけた。
その行動に関して特に意味は無いが永琳は自分のプライドを守りきった。

だが明日の新聞にこの事を書かれてしまうため、自分の評判は守れなかった。


「よくチルノを助けられたわね。」

「んしょっ・・・偶然通りかかったんですよ。本当に危なかったです。」

「あなたは大分無茶したわね。」

「ボロボロになったのはあなたのせいですから。」


恥ずかしい思いをさせられ、文は怒っていた。
シャツの胸部分は破られている。
この状態でブラを着けても恥ずかしいだけなので仕方なく文は破れたシャツを
脱いで巻いて、簡単な胸当てとして着けている。


「いやいや、私が言っているのはあなたの足よ。
 いくら妖怪の足でも高速で落下したらダメージがくるでしょ。」

「別にこれくら・・・痛っ!」

「うふふ、後で治してあげるからね。ところで聞きたいことがあるんだけど。」

「な、なんですか?バストは秘密ですよ?」

「違うわよ。そんなのブラのサイズでわかってるし。」

「じゃ、じゃあなんですか!?他のサイズも秘密ですからね!」


どうやら天才テクのおかげですっかり変態扱いされてしまったようだ。
いつの時代も天才は認められないものなんだと永琳は痛感したのだった。
シャツごとブラを奪い取って認められる世界があるなら見てみたいものだ。


「ふぅ・・・チルノの事なんだけど、どうして湖を凍らせようとしてたの?
 あなた知ってるのよね?」

「・・・その事ですか。あまり言いたくはないのですが。」

「じゃあ私が予想したことを言うから、合ってたら頷いてね。」

「なんだ、見当がついてるんじゃないですか。
 多分、天才のあなたが考えてる通りですよ。」

「なるほど・・・チルノちゃんの欲求不満からくるストレスだったのね。」

「うんぅ・・・って、ちょっと天才!!?」

「違うの!?」

「どーいう頭の構造してんスかっ!」

「天才に決まってるわよ!」

「・・・そう言うとバカみたいですよ。」

「あなたまでバカにするの!?」

「既にバカにされているのですか!?」


この話もまた、明日の新聞に載ることになる。

文の話によるとチルノが湖を凍らしていたのはレティに会うためだという。
今はまだ秋らしくなったばかりで冬まではあと少し待たなければならないが、
夏の暑さがなくなるとチルノはレティに会いたい気持ちが強くなってこのような
行動を取っていた。

早く会いたいために湖を凍らせ、冬が来たことをレティに伝えようとしていた。
しかしその行動は残念ながらあまり効果がなかった。

レティは冬の妖怪。
ただ気温やその場の温度が下がったから出てこれるというわけではない。
それは幻想郷という世界の季節の決まりだからだ。
しかしチルノは冬を少しでも早めようと頑張った。ただ友達と一緒にいたい一心で。


「ですが、チルノさんはこの事を誰にも知られないように頑張っていました。」

「それはどうしてかしら?」

「チルノさんは妖精です。妖精は自然と共に生きていくもの。
 だからこの世界の決まりに関しては妖怪や人間よりも本能的にわかっています。」

「なるほどね。幻想郷の決まりの大切さを本能的にはわかっている。
 ということは、季節の流れを曲げるような行いをしている事は罪
 だとわかっているのね。
 そしてこれが多くに知れ渡ればそれなりの事件になりえるのかしら。」

「私は、この事は閻魔様に伝えるべきだと思いましたね。
 言論の自由を行使する私ですが、幻想郷を変えようと考える事自体が
 いけない事と考えてますから。まぁ言いませんでしたがね。
 それに霊夢さんが動かないところを見ると、
 異変まで発展する危険性は今のところ無いから大丈夫だと思ってますし。」


魔理沙が言っていた事の意味がわかった。
この時期にチルノと関わる事はチルノに危険を及ぼす事であり、
チルノの友達を思っての行動を邪魔するという事になる。
魔理沙としてはそのどちらもしたくはなかったのだろう。


「で、どうしてあなたはこの事を閻魔様に言わなかったの?」

「う~ん・・・」


自分の腕の中にいるチルノをじっと見る。
抱かれているチルノはよだれを垂らしながら寝ている。


「ば、バカな子ほどかわいいってやつですかね。」


文は少し照れながら言った。


「ふふっ。だとすると、チルノのかわいさは幻想郷最強ってことね。」

「あははっ、違いないです。」


2人の笑い声が紅魔湖に響いた。




「あぁ、そうそう文。」

「なんですか?」

「私にもチルノちゃん抱かせてよ。」

「やっ!」

「そんなっ!」


どうやらチルノは文のお気に入りのようだ。
永琳が抱かせてと言ったらチルノを強く抱き始めた。
しかしここで諦めたりはしない。このピンチに天才の脳がフル回転を始める。
頭に思い描かれるのはサラリーマンが取引先と交渉する光景。

ビジネスは・・・断られてからが勝負だ。


「では、射命丸文さん。こういうのはどうでしょうか?」

「何があってもチルノちゃんは絶対渡しませんか・・ら・・・」


永琳があるものを取り出すと、文はそれに目が留まった。
さて、今ここで文にとって1番興味のあるものとはなんなのか。
やはり仕事人間気質な文には新聞のネタとなりえる情報なのか。
それとも弱みだったり金をチラつかせられたりしているのか。


「この哺乳瓶とおしゃぶりをあげるから、ちょっと抱かせてくれませんかね?」

「あぅぁあぅあああ、あなたは卑怯ですよぉ。
 そんなもの見せつけられたらチルノちゃんに着けたり
 ミルクをあげたくなっちゃうじゃないですかぁ。」

「今ならヨダレかけもお付けしますわ。」

「はわわわっ!!」


何故永琳がこんなものを持っていたのか。答えは皆さんお察しの通り。
弟子とベビープレイをいつでも行えるよう常に胸に収納し、持ち歩いているのだ。
ちなみに哺乳瓶は毎朝洗浄されているが、現在の容器の状態は菌が繁殖し始めて危険である。


「と、ところでどうして持っているのですか?」

「天才だから市場のニーズにいつでも応えられる・・・とでも言っておきましょうか。
 さ、いかがなさいますか?こんなチルノちゃんは滅多に見ることはできませんよ?」

「うっ・・・う~~~ん・・・」

「よく考えるのは良いことですが、あまり時は許してくれませんよ?
 早くしないとチルノちゃんが起きちゃいますよ?」


ちなみに時間が無いと言って焦らせるのは悪徳商法でよく見られるやり口である。


「じゃ、じゃあ、ちょっとだけですよ?」

「わ~い♪」


半ば強引に交渉成立。
今度は永琳の腕の中でチルノがすやすやと眠る。
その姿は子供そのもの。母性がくすぐられるその寝顔に胸がキュンとなる。


「スー・・・フスー・・・」

「あらあら、こんなに寝息を立てるくらい疲れちゃってたのねぇ。」

「あぁ~、うぅ~、あぁ~、うぅ~・・・・」

「ちょ、そんなヒヨコから離れた親鳥のように心配しなくてもいいじゃない。」

「も、もういいでしょ?返してくださいよ。私のチルノちゃん返してくださいよ。」

「い、いつの間にあなたのになったのよ。もうちょっと抱かせてよ。
 私だって大事なベビープレイセットをあげてるんだから。」

「あぁ~、うぅ~、あぁ~、うぅ~・・・・」

「あぁん、頬っぺたやわらか~い。」

「ううぅぅぅぅう・・・・・・」

「な、何も泣かなくてもいいじゃない。はい、返すわよ。」

「チルノちゃ~ん。」


文にチルノを渡す。顔は緩みきって凄くうれしそうだ。
さっきから知らないで寝ているチルノは大丈夫なのだろうか。
ここまでスキだらけだと寝ている間に何かされているのではないかと永琳は疑問に思った。
主に文あたりに。


「えへへ~、ママでちゅよ~。」


しかしわが子のように抱いている文を見れば特に不安に思うことはないのだろう。
それに幻想郷最速の妖怪がいれば、悪い妖怪など高速で全て追っ払ってくれる。


「ぅ~ん、やっぱりかわえぇなぁ、もう。」


冬になればレティという妖怪も一緒にいるし、この子が危険な目に合うことはないだろう。
ただ、文とレティが衝突するのではと少々気がかりだが。


「おしゃぶり着けまちょうね~。」


気がかりが増えた。

ちなみにベビープレイセットを出したあたりからも新聞のネタとして使われることになった。
そしてこれは永琳の気がかりに含まれていない。


「まったく明日にはどうなっていることやら。」


もちろん明日の自分がどうなるかなんて天才でもわからない。














「ただいまー。」

「おかえりなさい。遅かったですね。」


戻ってみると鈴仙がブレザーの上に白衣を羽織って薬の調合をしていた。
なかなかインテリに見えたが、薬師というふうには見えないのが残念だ。


「あれ?なんだか機嫌が良さそうですね。バカの研究が進みましたか?」

「ん?あぁ、バカを治す薬の研究ね。もう止めにするわ。」

「どうしたのですか?いきなり止めるなんて。」

「なんでもないわ。ただ、好きなバカを見つけることができたの。
 もうバカを治す方法はいらなくなったわ。」


チルノの様子を見て、永琳の考えは変わった。
今まではバカは不治の病で天才である自分が最も忌むべきもの思っていた。
しかしバカは考えようによって良い意味である。という結論に達したのだ。


「よくわからないですけど、それはよかったですね。
 それで、また別の研究をするのですか?」

「しばらくは診療所の薬師をやるわ。」

「はいはい。どうせそうなるんじゃないかと思ってましたよ。」

「ウドンゲ?」

「私にこの白衣はまだ早かったようです。師匠、また弟子としてよろしくお願いします。」


鈴仙は白衣を脱いで永琳に渡した。


「さ、流石私の愛弟子!」

「あと注文リストです。」

「うんうん、任せて・・・ちょっとウドンゲ?」

「はい。」

「私がやってた時よりも注文が多いわよ、コレ。」

「い、いやぁ、急に患者が増えたんですよ。
 紅魔湖近隣に住む妖怪や妖精が急に風邪をひいたとかで。」

「ふ、ふ~~ん。なんで今日なのかしらねぇ。」

「さ、さぁ、なんででしょうねぇ?
 (言えない!若い薬師になったから普段来ない人まで来たんだなんて言えない!)」

「これは徹底的に研究する価値がありそうね。」

「そ、そうですか?」

「あなたを!!」

「わかってるじゃないですか!!」


次の日、再び薬師に戻った永琳だったが患者の数は増えるどころか全く来なかった。
定期健診を受けにくる者までも来ない。
そして更に鈴仙までも診療所の手伝いに来ない。
来るのは病気でもない数匹の「私、永琳先生にならナニされてもいいですから」という
意味不明な発言をしてくる妖怪や妖精だけ。

そんな診療所を文が遠くから見て笑っていたのだった。


初めまして、nama-haneと申します。
今まではプチで投稿させていただいていたのですが、
いつかはこちらで読んでいる方にも読んでいただきたいと思い、投稿しました。

パンチが足りなかったり、表現が甘かったり、まだまだ未熟なところもございますが
よろしくお願いします。


今回のお話は「鈴仙が薬師になったら永琳はまず何をするだろう」という考えで作りました。
私は、永琳から見てチルノは興味深い存在で、
真っ先に頭に浮かぶ研究対象ではないかと考えてしまいます。w


最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
nama-hane
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コメント



0.1450簡易評価
2.100卯月由羽削除
そりゃ来なくもなるわな……そしてチルノ萌えな文が妙に可愛かったw
4.80名前が無い程度の能力削除
て、天才ですら墜とすチルノって、   やっぱ幻想郷最強?^^
7.50削除
天才が壊れたwww
射命丸もチルノをおもちゃにするなwww
8.90名前が無い程度の能力削除
このえーりんはダメだw
11.100時空や空間を翔る程度の能力削除
かわいいは最強?
最強です!!
12.80堰碎-香霧蒼削除
馬鹿と天才は紙一重・・・
15.70名前が無い程度の能力削除
いいパンチもってるじゃないですか
18.60名前が無い程度の能力削除
>風邪薬みたいなレベル
風邪を治せる薬をつくれたら、それはすっごいことですよ?
25.90名前が無い程度の能力削除
うどんげの優しさに感動しました。それにしてもチルノ、可愛いすぎにも程があるだろ…
>イメージ浮かんでくる
脱字?
>風邪薬
単に今ある風邪薬と同じようなレベルって意味では?
26.90名前が無い程度の能力削除
>天才テク
>ベビープレイ
ちょw 何やってんですか師匠w

いや、面白かったです。
さぁ、プチも見に行こう。

ちなみに白衣のうどんげを想像して悶えたのは秘密です。
27.無評価nama-hane削除
いつも読んでくださる方、初めましての方、ひょっとしてこの作者は頭が春なんじゃないかと思った方(正解w)、私の拙い話を読んでくださりありがとうございます。
皆様に少しでも楽しいと思っていただける作品ができるようにこれからも頑張っていきたいと思います。
もう一度・・・ありがとうございました。


>風邪薬みたいなレベル
>風邪薬
この話で出てきた風邪薬は「風邪を治す薬」です。実現できたらすごいです。
ただ、「あらゆる薬を作る程度の能力」の持ち主である永琳なら簡単に作れるという意味で書きたかったのですが、私の説明不足でした。ごめんなさい。

>イメージ浮かんでくる
申し訳ありません。脱字です。ご指摘ありがとうございます。
以後気をつけます。
28.90蝦蟇口咬平削除
チルノに代わってほしいとマジ思った
33.90削除
二人目のバカ発見!w
35.80名前が無い程度の能力削除
まぁ確かに、うどんげが薬師のほうが行きやすいだろうなぁ
しかし、永琳もあれだが文もかなりよかった
43.80名前が無い程度の能力削除
かわいいは正義
44.80名前が無い程度の能力削除
ばーぶー