※風神録です。
夏の蒸し暑さも過ぎ去り、清々しい風が吹くようになった守矢神社の境内。
赤、黄、橙、茶。
石畳には色とりどりの落ち葉が降り積もっていた。
そこに黒い烏羽根が一枚、ひらひらと舞い落ちる。
羽根は風にあおられ、竹箒を抱えて掃除をしていた東風谷早苗の足元に落ちた。
彼女がそれに気づいて羽根の落ちてきた方向を見上げてみると、見覚えのある姿を見つけた。
「天狗さんですか」
「天狗だよー」
鳥居の上から手を振って返したのは、烏天狗の射命丸文だ。
つい最近妖怪の山へ越してきたばかりの早苗にとっては、一番見知っているご近所さんだ。
「また八坂様と飲み比べにきたんですか?」
「いえいえ。今日は取材に来た。何か特ダネない?」
すたっ。
軽やかな身のこなしで、天狗が境内の石畳の上に降り立った。
「どういったものが特ダネになるんですか?」
「例えば巫女の腋の処理方法とか……」
「ゴシップじゃないですか。私は巫女ではなく正確には風祝ですが、そんなところに毛なんて生えません」
「それも奇跡の力? その辺りを詳しく」
「準備『報道を規制する星の儀式』!」
「うわー言論弾圧!?」
早苗が放った奇跡の力で吹き飛ばされていく文。そのまま神社前の階段を転げ落ちて行った。
ついでに奇跡「神の国発言」も追撃で入れておいた。
何を話すのかと思ったらくだらない。
「まったくあの天狗ときたら、本当にどうしようもないわ」
この間の宴会でもセクハラ発言ばかり連発していたから、飲み過ぎで脳内に常にアルコールが回っているのかもしれない。
天狗の破廉恥な言動のせいでせっかくの爽やかな秋の気分が大なしになってしまった。
そう思い、ぷんぷんしながら箒を片付けに入る早苗。
なんだか仕事をする気が起きなくなってしまった。
これも全部天狗のせいだ、そう全部あの変態天狗が悪い。
そういや前回自分が霊夢や魔理沙に負けたのも、弾幕がへろいせいではなくて、あの天狗がちゃんと残機を削らなかったせいだし。
「気分転換でもするか……こ、こ、こ」
「こちゅん!」
箒を放り出すと盛大なくしゃみが一つ出た。
「あら、風邪?」
音を聞きつけて境内からふよふよと湧き出てきたのは八坂の神様。
胡坐をかきながら、空中に浮いている。
「うー、月並みだけど、誰か私の噂でもしているんでしょうか」
(緑の髪って中ボスの妖精っぽいとか噂しているのかしら…)
なんて思う。
早苗は鼻をむずむずさせながら、箒を納屋にしまって鍵を掛けた。
「もしかして霊夢かな。ちょっと麓の神社に行ってきます」
「あら? 遊びに行くの?」
「見回りです!」
そう言った後早苗は、守矢神社の鳥居の一つまで飛んで行って、その真ん中にまきつけた注連縄をくぐる。
実はこれは次元穴になっていて、博麗神社の鳥居に捲きつけた注連縄へつながっているのだ。
早苗も神奈子のように分社ワープを利用しようかと思っていたのだが、微妙に神社の神様ではなかったのでできなかった。
それで代替品としてこれを取り付けたのだ。
彼女は初秋に幻想郷に越してきてから、これを使って何度か博麗神社に遊びに行っていた。
同じ人間の神職同士ということもあり、霊夢が一番親しみを持てる友達なのだろう。
「よいしょっと」
というわけで注連縄をくぐったらあら不思議、そこは麓の神社、博麗神社である。
境内は相変わらずのさびれっぷりで、参拝客の姿はなかった。
「うわ……見事に無人地帯」
すたすたと歩いて寝所の方へ向かう。
霊夢が縁側でお茶していた。
「あ! またさぼってる」
そう言って早苗は鼻から息を出しながら、声を荒げる。
まったく分社を作ったというのに、この支店長ときたら全く働こうとしない。
ここまでやる気がないと、自称本部統括主任な早苗としては腹が立ってくる。
これまでも参拝客が増えるようにいろいろとアドバイスしてあげているのに、霊夢ときたらちっとも動こうとしない。
「のんびりでいいのよ、のんびりで」
霊夢が眠そうにそう答える。
「もう、そんなんだから参拝客が来ないんですよ」
「そうかなあ」
「もっと里に降りて営業活動したらどうですか?」
「そういうわざとらしいのは嫌いなんだけどなあ」
「私にもお茶ください!」
そう言って縁側の霊夢の隣に小さなお尻を下ろす早苗。
「……なんでそんなにぷりぷりしてるの?」
まったくわからない。
生来暢気な霊夢には、早苗のいらだちの理由なんか分からなかった。
が、とにかく言われたとおりお茶を湯呑みに注いであげる。
もともと楽園の素敵な巫女にはあくせく働くのなんて似合わないかもしれない。
「はい、どうぞ」
湯呑みを受け取って一すすり。横目で霊夢を観察しながら話しかける。
「……霊夢、この神社の収入はどうなってるんですか?」
「収入? 別に食べ物は山で採れるし。魚とか山菜とか」
「でも、お金は必要でしょう? お米は山で採れないでしょうし。服とか食器とか神社の維持費、その他諸々」
「それはほら、えい!」
境内にとまったカラスに護符を投げつける霊夢。
護符はカラスの体に命中してぴったりと貼り付き、その動きが停止する。
「あ!」
「こんな風に狩りで獲った獲物を里でお金に変えたりしてるのよ。後はたまに妖怪退治を引き受けて報酬もらったり。
妙なものを見つけたら霖之助さんに引き取ってもらったりね。まああとちょっと、本家からの援助とかもあるけど」
「でもカラスは食べられませんよ。……本家?」
護符を貼られて動けなくなったカラスの羽根をむしりながら、早苗がそう言う。
「まあまあ。ところで今日は何しに来たの?」
「あなたがちゃんと巫女の仕事しているかどうか、監視に来たんです」
「暇だから遊びに来たのね」
「……」
本当にのどかな場所だ。
ふと障子の隙間から社殿の中を覗く早苗。
「これは?」
部屋の隅に裁縫のセットと半纏のような小さめの服を見つける。
「ああ、針仕事。まだ途中なんだけどね」
「どてら……」
広げてみると、微妙に紅白で花柄なんか誂えてある。
よく見てみるとそこら中にほつれを縫い付けた後があった。
「センス良いでしょ? そろそろ寒くなりそうだからね、出して手入れしてたの」
「霊夢って、なんだかおばあちゃんみたいですね」
とても趣味が良いとは言えないどてらの両そでを持ちながら、早苗がそう言った。
「む……」
「ああ、決して悪い意味で言ったわけでは。ほら、家庭的ってことで」
「ううう」
縁側の柱に抱きついて涙ぐむ霊夢。
「?」
「そりゃこんなど田舎に篭っていれば嫌でも年寄り臭くなるわよ……。私だって青春したいのにさ……」
「外に出ればいいのに……」
苦笑いしながらそう言う早苗。
「あ、そうだ! これから里に行きませんか?」
「ああ、いいわよ。丁度買い出しに行こうと思ってたし」
「~♪ お出かけですね。山の近くの村に行ったことはありますけど、他の里には行ったことないんですよ」
「じゃあ今日は一番大きい里に行く?」
「はーい」
というわけで二人は里街へ降り立った。
「結構栄えてますねー」
一昔前の門前町のような街の風景を見ながら早苗がそう言う。
まだ昼前だというのに街の通りは大勢の人でにぎわっていた。
電灯の灯りが無い幻想郷では、人々は朝の明るい時間を有効活用するために、早い時刻から活動しているのだ。
「まあ、郷で一番栄えている街だしね」
「人どおりは諏訪の街より多いかも……そう言えば、何買いに行くんですか?」
「お米と……肉とか…お菓子とお茶っ葉とお茶受けと…」
霊夢が指を折りながら数える。
「食べ物ばっかりですね。お菓子とお茶受けは別枠なんですか?」
しばらく通りを二人で歩く霊夢と早苗。
反対側から見知っている人物が歩いてくる。
アリス・マーガトロイドだ。
「あら、アリスじゃない」
(うわ、すごい金髪。それに肌白い)
妖気と艶やかな美しさから、早苗にもアリスが妖怪であることが分かった。
「ん……」
アリスは興味なさそうに早苗を流し見る。
あんまり態度が良くない。
(む、何かとっつきにくそうな人だなあ)
「……最近の巫女はみんな二色なのかしらね」
「……神職の二つの色は、融和の精神を表しているのですよ。
ちょうど神様と人間が昔そうであったように。異なる色が互いに共存し合っているの。
もともと巫女の役目とは神様と人間の橋渡しなのですよ」
「紅白じゃない巫女なんて縁起でもないわ」
「む……。妖怪にとってはそうでしょうね。この郷では巫女は妖怪の天敵らしいですから」
「私の知ってる神様は外から来た人間は人形にしてしまえっておっしゃってるわ」
「人形にしか興味がないなんて、寂しい人生ですね」
「故郷を捨てて幻想郷に来るしかなかったなんて、寂しい人生ね」
「私のこと知ってるんですか?」
「霧雨魔理沙って頭が春な魔法使い知ってるかしら? あいつが言いふらしていたわよ。
妖怪の山に青白の地味な巫女が越して来たって」
「そうか噂していたのは魔理沙か……地味は余計です!」
「しょせん巫女は二色……っと。このセリフは禁句ね。縁起でもないわ」
「そのセリフを言った後撃墜されるからでしょ」
幻想郷の伝統、初対面での皮肉合戦を開始した二人の間に、早苗の背後にいた霊夢が口をはさむ。
「あら、秋なのに頭が春な巫女。居たの」
「さっきから隣にいたじゃない。早苗、この子は口は悪いけど性格は悪いわよ」
「良いとこないじゃない!」
「悪い人ですか」
「巫女が二人、でも三色」
「三色パンって美味しいわね」
「古いですね。あと、私は風祝です」
「さて、お昼にしましょうか。アリスのおごりで」
「何で私がおごるのよ!」
(あれ? とか言ってついてきてる……)
アリスは霊夢と早苗のあとに付いて歩いてきた。
反対方向に行く予定だったのではないのか、と思ったが二人とも言わないでおいてあげた。
霊夢の行きつけだという茶屋に入る一同。
扉を開けると、カランコロンという鳴子の音がする。
いらっしゃいませ、中から元気の良い店員の声が響く。
見渡すとこぎれいな店内には妖怪の客も多くいる。
「店の雰囲気は向こうとあんまり変わらないなあ」
和風の店ばっかりかと思っていたら、洋風の喫茶店見たいな雰囲気だったので早苗にとってはちょっと意外だった。
明治期風のカフェーといった感じだろうか。
そう言えば下着もドロワーズばっかり売ってたし、服だって和風なのか洋風なのか判断のつかない一風変わった物が多かった。
「三名様ですね? こちらへどうぞ」
店員に案内されて、椅子の席に着く。
「さあこい! 私のお腹は森羅結界!」
メニューを見てかなりはしゃぐ霊夢。
「意味分かんない、どういう状態よそれ。もう、あんまり高いもの頼まないでよ。今月は私もピンチなんだから」
(結局おごってくれるんだ……)
「シャンハーイ」
唐突に上海人形が早苗の懐に飛び込んできた。
「うわー、可愛い」
「あなたが気に入ったみたいよ」
「シャンハイ……」
上海は早苗の肩にちょこんと乗ってなついている。
「しゃべれる上に一人でに動くなんてすごいですね!」
「……(あれ、アリスが操ってるんじゃなかったっけ?)」
上海が、と言うよりはアリスが早苗を気に入ったのだろう。
霊夢は小さな親切をすることに決めて、黙っておいてあげた。
「角の肉屋、今日は鶏肉が特売らしいわ」
「あそこは金曜日が狙い目ね。一割引になるから」
「魚正の若店主、花嫁をもらったからって来週から大売り出しするらしいわよ」
それを聞いて霊夢は目をきらんと輝かせ、テーブルに身を乗り出す。
「ほう……要チェックね。人手が欲しいわ」
「会話が所帯じみてます……」
若い女の子が集まってする話題じゃなかったので、ちょっと悲しくなった。
霊夢もアリスもすっかり主婦だ。
「どうせなら、神社で鍋にでもする? 野菜ならうちから持ってくるわよ」
「おおー、そうかもう鍋の季節よね。ふふふ、ぞくぞくしてくるわ……」
「あんた、食べ物の話になると露骨に眼が輝くわね……」
「そう言えばアリスは早苗の歓迎会に出てなかったしねえ」
「最近、仕事が忙しくて」
そう言って頭をかくアリス。
「あれ、歓迎会だったんですか? ただ飲んだくれていただけのような」
先週招待された『宴会』ってやつの光景を思い出して、早苗は苦笑いした。
「美味しかったです。こっちの料理もなかなかですね」
満足そうに早苗がそう言う。
「デザート、デザート!」
「こら! 調子に乗るな!」
「仕事が忙しかったってことは、月末にはお金はいるんじゃないの?」
「そうだけど。って、私がおごる前提で話を進めるな!」
アリスの抗議も空しく、霊夢はデザートのチーズケーキを三人分注文してしまった。
「あのう、私あんまりお金持っていないです」
「ああ、あなたはいいわよ。好きなもの食べて。こっちのぐーたら巫女は別だけどね」
そう言ってアリスは含み笑いを霊夢に向ける。
「む、性格悪いわよ」
「なによ、たかり巫女」
「なによ、根暗人形師」
「喧嘩するほど仲が良いってこういうことですか?」
結局勘定はアリスが払った。
茶屋を出てその後、通りを歩く一行。
「先に寄って行きたいところがあるんだけど、良い?」
「いいわよ。アリスの行きつけ?」
そう言ってアリスが案内したのは洋風の瀟洒なお店。
外観は白樺の板作りで、お洒落な観葉植物が入口にたくさん置かれている。
中に入るとフリルの付いた女物の服が所狭しと陳列されていた。
「これは……ゴスロリ?」
見覚えのある商品を見て早苗が言った。
「紅魔館のメイドなんかも使ってるらしいわよ。私は人形の服の参考にしてるの」
「こういう趣味なのね。好きそうね」
服の主に値札を見ながら霊夢がそう言う。
「ふふーん」
「なによ、その気持ち悪い笑みは」
「ゴスロリ巫女ってのも楽しそうだなーと思って」
「私はそんなの着ないわよ」
「あら、可愛いじゃない」
結局着せられた。
「うひひ。なかなかいけるじゃない」
しゃらんとしたゴスロリのエプロンドレスをつけて試着室から出てきた霊夢を見て、アリスがそう言う。
「買わないんだったらよらないでよ」
霊夢はちょっと頬を赤らめながらそう返す。
アリスは霊夢の耳元に口をよせた。
「ふふーん。実はね、霊夢が試着している間にこの服もう調べたから、そっくりそのままコピーできるのよ」
「うわ、ずっこい」
「あとでゴスロリ巫女服作って届けてあげる」
「いらんわ!」
「あなたは?」
とアリスが早苗に向けていった。
「え? いいんですか?」
「え、ほんとに欲しいの?」
買い物を済ませた早苗と霊夢は、博麗神社に帰って宴会の準備をしていた。
一度家に帰ったアリス。荷物を持ち、魔理沙と共に戻ってくる。
「あ、野菜キター!!」
「野菜言うな」
「あ、魔理沙も来たの」
「ふふふ、霊夢。今日は私に三つ指ついて感謝することになるんだぜ」
「はあ、なに言ってんの? いよいよ頭の中までスパークしてきたの?」
「うふふふふ、聞いておののくが言い! これを見ろ!」
そういって魔理沙は風呂敷を縁側に広げる。
「そ、それはー!!」
「茸の王様、マツタケじゃないですか!」
「しかもこんなにどっさり……。マ、マツタケ様のおなりじゃー!!」
「ふふん。黒松の森を見つけて、朝から探してたんだぜ。すごいだろ! さあ、褒めるがいい、たたえるがいい」
「ささ、マツタケ様は上座にどうぞ」
畳に座布団を敷き、お誕生日席に魔理沙をご案内する霊夢。
「うむ、苦しゅうないぞ」
「扱い違う!? ひどくない?!」
台所から一人で食事の用意をさせられていたアリスが叫ぶ。
魔理沙はと言えば扇子を広げてお大尽気分を満喫。
「神様方もよんできますね」
「うう、食いぶちが増える……」
「八坂様も何か持ってきてくれるかもしれませんよ」
早苗、注連縄をくぐって守矢神社に向かう。
「アレ便利だな。うちにも一つ付けてもらおうかな」
「これ以上いりびたる気か。メニューは神奈子のお土産が届いてから決めましょうか」
しばらくして、守矢神社の一同がやってくる。
「おっはー♪」
手をひらひらさせて神奈子がそう挨拶した。
「死語です……」
「お土産持ってきたよー」
諏訪子もやってきた。
「まさか蛙の干物とかじゃないでしょうね」
「そんな可哀想なことするか! 飽きてるかもしれないけど、山で採れた栗だよ」
「私はお神酒を持ってきたわ。天狗が奉納してくれた地酒と、外の世界の銘酒」
と神奈子。早苗が外の世界の酒を受け取ってラベルをチェックする。
「鏡花水月ってこれ高いやつじゃなかったでしたっけ?」
「そんなでもないわよ」
「なかなか粋な名前じゃない。奉納物……あるんだ……」
「今、神奈子を本気で祀ろうかとちょっと考えただろ?」
「う……」
「山菜はアクが出るから、まずは茹でて水にさらす、と」
かっぽう着を着て食事の用意をするアリス。
鼻歌まじりに、魔法のように見事な手際で食材を調理していく。
「へー、上手ですねえ」
後で手伝いに来た早苗が感心しながら覗く。
早苗もひととおり家事をするが、アリスにはかないそうにない。
しばらくして食卓に色とりどりの料理が並び、ほわほわと湯気を放つ。
「栗ごはんに、鳥鍋に、マツタケの串焼き、お吸い物。どうかしら?」
「随分豪勢になったな」
焼いたマツタケの香ばしい匂いが居間から外に漏れていく。
その時ちょうど、境内の隅っこから誰かが歩いてきた。
見覚えのあるちっこい姿。
神社の近辺に住んでいる鬼の萃香だ。
「良い匂い……うわ! 神様がいっぱいいる!」
「あら、萃香」
「料理と酒の匂いにつられてきたんだな」
「神様は二人だよ。こりゃ伊吹の鬼じゃないかい、久しいね」
「あははは、蝦夷遠征以来だねー」
食事の準備ができ、みんなが座席に付いた。
机の中心には鍋。
鍋って意外と簡単だ。
調味料の配分さえ間違えなければ、誰にでも美味しく作れる。
それでも色とりどりの野菜や山菜が目を引く。
にんじん、牛蒡、白菜、しらたき。
ネギ、春菊、豆腐。
つみれに鶏がらスープがからまって、なんとも食欲をそそる。
『いただきまーす』
元気よく挨拶をして、アリスが主に作った料理をみんなで楽しむ。
「はむはむ、うまいよー」
喜色満面で栗ごはんをほおばる萃香。ごはん粒がほっぺにくっついている。
「あんたって、本当に幸せそうねえ」
そう言って、隣の霊夢がごはん粒を取ってあげる。
「ふぐむぐ、おいしいよー」
とこっちは諏訪子。同じくごはん粒が付いているので、早苗が取ってあげる。
「こっちもあんまりレベルかわらないな」
「神様とか昔からいる妖怪とか。みんなこんなのばっかなのかしら?」
呆れた様子でみつめる魔理沙とアリス。
「日本の神様はみんな陽気なのさ。なんてったってこんなに平和なんだからねえ。食べ物も酒もうまいし」
神奈子がそう言う。晩酌しているので顔がちょっと上気している。
「あーうー、ちょっと酔ってきちゃったなあ」
赤い顔で諏訪子が舌を出す。
「あーうー」
霊夢が言った。
「あーうー」
魔理沙も言った。
「!?」
眉をしかめる諏訪子。
「諏訪子さま、いじられてる……」
「いじりたいオーラ出まくってるからね」
「あーうー」
「あーうー」
アリスも萃香も流れに乗ってみた。
「あ、う……まねすんなあ! かみさまだぞー、祟るぞ、このやろう!」
「Ah、OOH!」
奇声を発する魔理沙。
「なんだおまえは」
意味がわからない。
「うぎー!! 祟符・発狂ミシャグジさま!」
「ちょ、米粒飛ばすな。交差弾幕、間狭い、避けられない」
居間が米粒まみれになった。
そのころ主が留守にしている守矢神社では
「あややや」
文がスキャンティを被っていた。
「息がしづらいですー。前が見えませんー。これが文明の利器ですか、なるほど……」
「文さん、何やってるんですか。人の家の箪笥なんてあさって」
「ああ、椛。見てください、特ダネです」
「どこがどう特ダネなんですか!? それ、絶対頭にかぶるものじゃないですよ。わかっててやってるんでしょ?」
「椛もやってごらんなさい、何事も体験。現地取材は記者の寄って立つところです」
「ダメだこのカラス、早くなんとかしないと」
読んで楽になれるSSってのも、考えると難しいものです。
つまり何がいいたいかと言えば早苗は高校生だけど体型は中学生派。
そして早苗→中学生は全力で同意w
それはそうと何やってるのかね天狗さん。
ちなみに松茸が生えるのは黒松じゃなくて赤松ですよ。
確かに早苗は神社によく遊びに行きそうだ
私も早く新キャラクターの特徴を覚えないと。
奇跡「神の国発言」でいきなり吹いてしまいましたw
次は神様二人に是非スポットを。
早苗は霊夢と同年代(だから高校くらい?)で、真面目巫女と不真面目巫女って感じかな。
霊夢、食事をたらふく食べてなおチーズケーキ三人前はどう考えてもカロリーオーバー。腹に肉が……ひょっとして女性がデフォルトで兼ね備えるスペルカード、食符「甘いものは別腹」でも発動させたかな。
みんなにいじられてる諏訪子が某ちびっ子天才教師みたいでかわいかったです。
あと自分は早苗は高校生派です。
鍋を囲んでる少女達の暖かい雰囲気が伝わってくるようで…
11月になった途端炬燵を出してしまうほどの冷え性なので、
これからの時期はこういうあったかいお話が嬉しいです。
風神録キャラより、アリスのツンデレっぷりに噴いた。
それにしても、加減を弁えた見事なツンデレアリスだ。
のんびりまったり、なごみな幻想郷。
あーうー。