Coolier - 新生・東方創想話

絶望的闇鍋式中途半端

2007/10/08 15:32:04
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春――四月(うずき)私の心は希望に満ち溢れていました。





「♪れっでっでっでれぇれれっでっでぇ
  れっでっでっでれぇれれっ
  れろれろれろれろ
  らっだっだっだらーらだららっだー
  ららだららーらららっだーららだらだーぁ
  らっだっだっだらーらだららっだー
  ららだららーらららっだらぁぁああぃぃぇ!」
 


木々たちのささやくさわやかな歌を一緒になって歌いながら、鈴仙・優曇華院・イナバは上機嫌で並木道を歩いていた。
今日も月からの脳内への電波の受信は良好。もちろん受信料は未払いである。
師匠であるところの八意永淋より命じられたお使いを無事終わらせて、後は住処である所の永遠亭に帰るのみ。
今日の晩御飯は鈴仙の大好物、ウサギ鍋らしい。自然と足取りも軽くなる。

…と、ふと数メートル先をみると、木の下に人影。
どうやらあれは、藤原妹紅。蓬莱の人の形であり、てるよの嫁であり、けーねの嫁である。
妹紅の首には縄が巻きついていて、その縄は木の枝にドッキング。
いわいる首吊り。

「いけません!」

妹紅に向かって疾走。
腰から下にテイクダウンからのタックルを敢行。
もんぺにしがみ付くと、頭上での反応を感じる。
よかった。まだ生きてる。
「○×△◇∀♀‰※!!」
首に縄がきつく締まり、もがき苦しむ妹紅。暴れた拍子に縄は切れる。
そのまま二人はもつれあって、地面に倒れこんだ。
どういう論理の帰結か、二人の体勢は次の瞬間にマウントポジションへと移行。
上になった鈴仙は、悪魔の笑みを浮かべ呟いた。
「私は…嘘つきだ。」(レオン・グラシエーロ的な意味で)
固く握った拳を繰り返し妹紅の顔面に叩きつけるッ!

一発、二発、三発…。
まっくのうちー!まっくのうちー!
後楽園ホールの大歓声が聞こえる。

十一、十二、十三…。
「小僧!!!!」
会長の声も聞こえる。

三十一、三十二、三十三…。
どこかできいた少女臭の歌も聞こえてくる。
そう、今の私鈴仙・優曇華院・イナバではなく、罪袋に罰を与えるスキマ妖怪。
私はお前が謝るまで、殴るのを止めないッ!!!!!!
すでにライフゲージは半分をきった!
勝てるッ!勝てるぞッ!あの藤原妹紅にッ!

「パゼストバイフェニックス」(トラウマ。作者的な意味で。)

ぴちゅーん。



少女回復中…



げほげほとむせ返る、元首吊り死体のもこー。
一頻り咳き込んだ後、ボコボコになった顔を鈴仙に向けて言い放った。



「死んだらどーする!」



「え?」
思わず聞き返す鈴仙。
「また、死ねなかった…。なぜ止めたりしたのよ!」
「今、『死んだらどうする』って…。」
「私なんか生きていても、何の価値もない人間なのさ…。」
「死ぬ気なかったんですよね。それにあなた、死なない筈じゃあ…。」
「死ぬ気満々だっ「ですよね!こんなに素晴らしい春の日に、自ら命を絶とうとする人いるわけありません!」
「…春の日?」
本日、暦の上では十二月。頭上ではテンションの上がりまくった氷の妖精と雪の妖怪が奇声を発しながら目でピーナッツを噛んでいる。
「春…それは始まりの季節。恋が生まれ、夢が生まれ、喜びが生まれる。何事も春から始まり、私たちを未来へと誘ってくれる。」
少し離れたところでは、雪のケーキに埋められた魔理沙を賭けて、パチュリーとアリスが百合星式クリスマス一本勝負で雌雄を決しようとしていた。(→ケーキになった魔理沙の雪部分を交互に舐め取っていき、先に先端部分にたどりついたほうが勝ち。どこの先端かは不明。)
「…春の日ねえ…。」
「こんな日に自ら命を絶つなんて、桃色ガブリエルが許しませんよ。」
「桃色ガブリエル?」
「この一番立派な桜の木のことです。私が名づけたんですけど。」
すぐ横にある木をうっとりと見つめる鈴仙。
ちなみにその木は杉の木である。
「堂々としたたたづまい。大きく伸びた枝から広がる無数の花びら。そう、まるで人類は十進法を採用しました。というポーズのような。」
「ガブリエル関係ないじゃん。」
「ちなみに、あの木が桃色右大臣。あの木が桃色大魔王。あの木が桃色スカーレットデビル。」

もこうの つっこみは ひかりのなかにきえさった!

「微妙に統一感がないな。後、最後の奴。結局どっちの色なのよ。」
「そうだ、あなたのことなんて呼びましょう。」

もこうの つっこみは かきけされた!

「いつも呼んでいる呼び方でいいと思うんだが…」
「そうね、桃色ガブリエルにぶら下がっていたから…」
 
 …。
 
 ……。
 
 ………。

「…………もこたん。」
「ガブリエル関係ないし!あともこたんって言うな!」
「私これからあなたの事もこたんって呼びます。」
「呼ぶな!だいたい今は勝手に名前を着けてはいけない世の中なんだよ。」
「はあ。」
「命名権といって、球場や競技場、キャラクターに名前を着けるのにはお金がいるのよ。」

・味の素→東京スタジアム(味の素スタジアム)
・ヤフー、ソフトバンクBB→神戸グリーンスタジアム(Yahoo BB!スタジアム)
・SEGA→西行寺幽々子(ドリームキャスト)
・呉羽化学→藤原妹紅(ニュークレラップ)
・中華人民共和国→紅美鈴(中国)
・腋→博麗霊夢(腋)

「…そういう所にもお金が発生していたんですね。私、あなたの事もこたんって呼ぶ為なら50円ぐらい払います。」
「だから呼ぶなって!なんでも金、金、金…。ウサギまで金で物事を解決しようとする。嫌な世の中だ、本当に嫌な世の中だ。」

ざんっ!
ざんっ!
ざんっ!

「絶望した!!金ぎたない世の中に絶望した!!」

うわああああと、泣きながら走り去っていく妹紅。
しばらくその後姿を見つめてから、鈴仙はつぶやいた。
「変わった人ね。」


話も場面も変わって。
近頃の幻想郷では、弾幕ごっこよりも学校ごっこが大流行。
人間妖怪式神吸血鬼亡霊妖精神様魔法使い等々種族を問わず、上白沢慧音の開いている寺小屋に連日押しかける。
まさか里の子供達と一緒にするわけにもいかず、困り果てた慧音はとりあえず特別クラス「495のへ組」を開講して、怪しい生き物は全員そのクラスにぶち込むことにした。

んで、とある日の495のへ組教室内。

ざわ…。ざわ…。
「はい。静かに。」
希望の船か、絶望の城か。はたまた欲望の沼か。
そんな雰囲気の教室を手を叩いて静めるけーね先生。
逆らう生徒には愛の頭突きをお見舞いするらしい。それってどこの栗頭先生?
「今日はお前らに、新しい先生を紹介する。その先生が今日からお前らを受け持つから、言うことを聞くように。」
「「「「はーい」」」」
新しいおもちゃ、じゃなかった新しい先生への期待につるぺったんな胸が一杯の生徒達。そうでない生徒も一部いるが。
「それじゃあ、入ってきてくれ。」
慧音に呼ばれて、教室に入ってきたのは藤原妹紅。
全員こけた。

「あ、もこたん!」
一人だけ嬉しそうに手をふり叫ぶ鈴仙。
「もこたんって言うな!」

「けーね!なんでこいつが先生なのよ!」
いの一番に不満の声を上げるのはアリス。
「それはむしろ私の台詞だ。そもそも何でお前らが生徒なんだ。」
「…それは…。」
まさか、魔理沙に「別にあんたのために作ってきたんじゃないんだからね!」とか言ってお弁当を渡したかったからとは言えない。
その魔理沙は隣の席で爆睡中。なんのために来ているのか、まったく持って意味不明である。
「とにかく、私は里の子供たちの授業をしなければいけない。場所は貸してやるから、お前たちはここで妹紅に授業らしきものをしてもらえ。くれぐれもここの物を壊したり、子供たちの授業の邪魔をするな。わかったかこのダラズ。」
それだけ言い残すと、慧音は出て行った。
「えーと、おはようございます。今宵の授業は、お譲ちゃんのトラウマになるよ。」
とりあえず挨拶をする妹紅。
静まりかえる教室内。
「それで、今日は何をするのですか?」
重たい空気に耐えられなくなった魂魄妖夢が手を上げて発言する。
「そうね、慧音がわざわざ先生として呼んだぐらいだから、もちろん素晴らしい授業をしてくれるのよね。」
牡丹と薔薇の香世のような悪意たっぷり笑みのを浮かべて、スキマ妖怪が妖夢の発言に続く。
「楽しみだわー。」
他人にプレッシャーをかけることにおいては、スキマと同等の能力を持つレミリアも動き出す。
絶対学園ものだったらいじめっ子キャラだよな。この二人。

全員が注目する中、妹紅の口から驚くべき発言がッ!


「授業はしないわ。」
全員こけた。

「…あのね、ここは寺小屋なの。今日は皆、宴会をしにきているんじゃなくて、授業を受けにきてるの。生徒の気分を味わいたいのよ。」
体勢を立て直した霊夢が、やっとのことで発言する。
「そんなことは知っているさ。」
胸を張って答える妹紅。
「じゃあ、何で…。」
「話は最後まで聞いて。これから、進路調査を行うわ。」
「進路調査?」
ざわ…。ざわ…。

「進路調査ってなんだー?」
窓際の席のルーミアが、隣の幽々子に尋ねる。
「自分が将来何になりたいかを書く調査のことよ。」
「そーなのかー。」
「ふうん。妹紅の割には面白いことを考えるじゃない。進路希望調査か。たしかに生徒っぽいわね。」
少し嬉しそうなレミリア。幻想郷の中でもトップクラスの暇人の内の一人で、今回の学校ごっこにはかなり気合が入っているようだ。
「誰が進路希望調査だと言ったの?」
「?」

「希望なんてない!世の中にあるのは絶望だけだ!!」

妹紅の剣幕に押される一同。
またしても静まり返る教室内。
「あんたたちも、自分の限界をいい加減知ったほうがいい。進路希望調査の代わりに、進路絶望調査を行うわ。これから渡す用紙に、第一絶望から第三絶望まで書くように。」
「ど、どうやって書けばいいんですか?」
予想の斜め上を行く展開に、完全に困惑している妖夢が質問する。
「将来絶望的だと思える進路を上から順に3つかいていけばいいよ。」
「わ、わかりました。」


少女回答中…。


「そろそろいい時間だな。できた者から順番に発表して。」
「はい。できました。」
最初に立ち上がったのは完全で瀟洒な例のメイド。
「べネ(よし)。発表して。」

名前:十六夜 咲夜
第一希望 ヘルシングの元ゴミ処理係
第二希望 澄百合学園の闇突
第三希望 三千院家のあのメイド

「うん。確かに絶望的だね。良い。第一希望にいたってはメイドじゃなくて執事だし。」
「ちょっ!突っ込みそれだけ?!ちょっと待って!!おかしいわよ!その回答!!!」
レミリアの突っ込みを全く無視して続ける妹紅。
「次は…。よし、発表して。」

名前:紅 美鈴
第一希望 YM○のメンバー
第二希望 趙公明
第三希望 美しい魔闘家鈴木

「第一希望が伏字になってないぜ。」
「絶望的ね…。」
二人して頭を抱える魔理沙と霊夢。
「ディモールト!ディモールト!良いぞ!。確かに宝貝は手に入らないだろうし。絶望的だ。」
益々上機嫌の妹紅。

名前:八意 永淋
第一希望 バナナフィッシュを作ってぼろ儲け
第二希望 シャブな白いアレを作ってぼろ儲け
第三希望 バイア何とかグラを作ってぼろ儲け

「だから全然名前隠れてないってば…。それに何なのよ、第一希望は…。ディノ・ゴルツィネにでも売るの?」
さすがのスキマ妖怪もショックを隠し得ない。
「永淋あんた、もう既に三つともやっているじゃない。…まあ、考え方自体が絶望的なので良しとするか。」
「やってるのかよ!!!」

注)東方シリーズは、良い子のためのSTGです。まかり間違ってもそんな事はありません。

数刻後。
突っ込むのに疲れ果てた教室内。

唯一人立っているのは鈴仙。真っ向から妹紅と対峙する。
「世の中に絶望的な事なんてありません!努力さえすれば夢は必ず叶います!」
「またお前か…。じゃあ、お前は澄百合学園に入れるの?」
「ゆらぁりぃ。頑張れば可能です。なんとなく。」
「テクノポリスを演奏できるの?」
「ときおー!ときおー!」

あんね、右腕をこう、振り上げるの、最初。
「とき」のときにで右腕を「ん゛」って上げて、「おー」のとこを下げるの。ちょっとやってみて。

閑話休題。
いい加減キレてきた妹紅。
「じゃあ、あんたには将来なるのに不可能なものはないの?」
不死鳥を背中に浮かべ、鈴仙を問いただす。
「うーん…。いやだなあ。さすがに私もなるの不可能なものありますよ。」




「んで、これか。」
場所も時間も変わり変わって、ここは慧音の自宅。
妹紅と慧音。二人して難しい顔。
「どう解釈していいものか…。まあ、もともとアレな奴らばかりだと思うが…。」
一枚の紙を前にして考え込む慧音。
「慧音、あいつはやばいよ。絶対…。」
「とりあえず、今後の動向に注意が必要だな。」


名前:鈴仙・優曇華院・イナバ
第一希望 ウサギ
第二希望 (解読不能)
第三希望 (解読不能)


お初にお目にかかります。
初めてなのを嵩にかけ、好き放題やってしまいました。ごめんなさい。
最初のあのセリフをもこたんに言わせたかっただけなんです。残りはおまけのようなです。
後悔はしていない。が、反省はしている。

あれやこれやのわからない人は、完全に置いてけぼりですね。申し訳ございません。

でも、書いてる間はおもいっきり楽しかったです。ありがとうございました!

ああああああ
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コメント



0.430簡易評価
1.無評価名前が無い程度の能力削除
>今日の晩御飯は鈴仙の大好物、ウサギ鍋らしい。

この時点で吹いたのですが・・・・
2.70道端から覗く程度の能力削除
ウドンゲがいい感じに電波で笑えました。
5.70卯月由羽削除
>てるよの嫁であり、けーねの嫁である。
どっちだよ!w
7.80名前が無い程度の能力削除
のっけから最終鬼畜フイタwww
そうか、校歌か! 校歌に違いない!!
いや、元ネタともども大好きですよ。
9.70テト削除
ダラズって言葉使い悪いよ慧音さんw
それにしてもこの鈴仙ノリノリだな…