狂気の妹はただ狂っていただけでは無かった。
狂気の改善は毎日より良い方向へ向かっていた。
それに気付かなかったのは誰も彼女に関心を持っていなかった事。
そして彼女を恐れていた事が原因だったのではないか。
今ではそう考えるようになった。
私が紅魔館で働くようになったのは、仕事をサボり過ぎてクビになったからだった。
衣類は就職時にメイド服を二着貰った。
食事に関してはメイド長が毎日美味しい料理を作ってくれる。
寝泊りもここで可能なので、困った事は何一つ無かった。
仕事仲間にも恵まれ、仕事環境としても最適だった。
厳しいメイド長のせいで私のサボり癖が発揮されなかったのは幸いだと思う。
さて、仕事を始めて約1ヶ月がたった頃だろうか。
私は先輩のメイドにフランドールという人物の話をきいた。
この紅魔館の主であるレミリア・スカーレットの妹だという。
紅魔館の東端の地下室に住んでいるとの事。
自分の使える主の妹だというのに扱いが酷い気がする。
曰く、狂気の妹。
曰く、出会ったら死ぬ。
…好奇心というものは一度動いたら中々消えないものだ。
私は自分の力に多少の自信を持っていた。だから会っても平気だろうと思っていた。
夜、私は寮をこっそりと抜け出てその地下室に行ってみた。
強力な妖力を感じる。
私は足を休める事無く先に進んで行く。
扉があった。豪華に装飾され、高そうな金属で出来たドアノブに手を掛ける。
がちゃり
音をたてて扉が開いた。
「むー、誰?咲夜?それともお姉さま?」
そこには赤い服に体を包んだ人がいた。
虹色の羽、金色の髪。そして幼そうな顔。
想像していたものよりずっと可愛いものだった。
「あれ…?この前来たメイドよね。私に何か用?」
羽をぱたぱたさせて聞いてくる。
「いえ、フランドール様を一度見てみたかったのです」
「何それ、私って見世物じゃないのよ?」
「先輩たちが狂気の妹だと噂をしていたので」
率直に言ってしまったのは間違いだったのだろうか。
しかし、思っていた反応とは全く違ったものが返ってきた。
「狂気の妹ね…やっぱり私ってそう思われていたんだ…」
「…?」
やっぱり、という事は本人に自覚が無いという事なのだろうか。
「私だってね、練習して自分の力を使えるように練習したんだよ?たまに失敗する事だってある。
でも前に比べればコントロール力も上がってるしメイドを壊すことだって無くなった。
それなのにまだ狂気の妹だと言われてるんだ…ってね」
そういったフランドール様の顔はとても寂しそうだった。
紅魔館のメイド寮から遠く離れたこの場所。
地下で一人、狂気だと言われて暮らす五百年。
話し相手はおそらくメイド長とレミリア様だけだったのだろう。
力がコントロール出来たと言っても信じてもらえなかったのだろうか。
そう思うと何だかフランドール様が可愛そうに思える。
「…?どうしたの?涙出てるよ?」
「いえ…あまりにフランドール様が不憫でして」
「私が……?」
「そうです。私でしたら五百年も耐えられないです」
「…私のために泣いてくれたんだ……」
「あぅ…すみません」
「何で謝ってるのさ。私は凄い嬉しいよ…?」
「フランドール様…」
「もし良かったら…、良かったらだよ?私の友達になってくれないかな?」
「私なんかでいいんですか?」
「うん。私、友達いないからね」
「ありがとうございます…」
狂気の妹はただそう呼ばれているだけであって、狂ってなんかいなかった。
ただ、一人で寂しかっただけなのだろう。
ただ誰も気付いてなかっただけ。
この時からそう思っていたのかもしれない。
狂気の改善は毎日より良い方向へ向かっていた。
それに気付かなかったのは誰も彼女に関心を持っていなかった事。
そして彼女を恐れていた事が原因だったのではないか。
今ではそう考えるようになった。
私が紅魔館で働くようになったのは、仕事をサボり過ぎてクビになったからだった。
衣類は就職時にメイド服を二着貰った。
食事に関してはメイド長が毎日美味しい料理を作ってくれる。
寝泊りもここで可能なので、困った事は何一つ無かった。
仕事仲間にも恵まれ、仕事環境としても最適だった。
厳しいメイド長のせいで私のサボり癖が発揮されなかったのは幸いだと思う。
さて、仕事を始めて約1ヶ月がたった頃だろうか。
私は先輩のメイドにフランドールという人物の話をきいた。
この紅魔館の主であるレミリア・スカーレットの妹だという。
紅魔館の東端の地下室に住んでいるとの事。
自分の使える主の妹だというのに扱いが酷い気がする。
曰く、狂気の妹。
曰く、出会ったら死ぬ。
…好奇心というものは一度動いたら中々消えないものだ。
私は自分の力に多少の自信を持っていた。だから会っても平気だろうと思っていた。
夜、私は寮をこっそりと抜け出てその地下室に行ってみた。
強力な妖力を感じる。
私は足を休める事無く先に進んで行く。
扉があった。豪華に装飾され、高そうな金属で出来たドアノブに手を掛ける。
がちゃり
音をたてて扉が開いた。
「むー、誰?咲夜?それともお姉さま?」
そこには赤い服に体を包んだ人がいた。
虹色の羽、金色の髪。そして幼そうな顔。
想像していたものよりずっと可愛いものだった。
「あれ…?この前来たメイドよね。私に何か用?」
羽をぱたぱたさせて聞いてくる。
「いえ、フランドール様を一度見てみたかったのです」
「何それ、私って見世物じゃないのよ?」
「先輩たちが狂気の妹だと噂をしていたので」
率直に言ってしまったのは間違いだったのだろうか。
しかし、思っていた反応とは全く違ったものが返ってきた。
「狂気の妹ね…やっぱり私ってそう思われていたんだ…」
「…?」
やっぱり、という事は本人に自覚が無いという事なのだろうか。
「私だってね、練習して自分の力を使えるように練習したんだよ?たまに失敗する事だってある。
でも前に比べればコントロール力も上がってるしメイドを壊すことだって無くなった。
それなのにまだ狂気の妹だと言われてるんだ…ってね」
そういったフランドール様の顔はとても寂しそうだった。
紅魔館のメイド寮から遠く離れたこの場所。
地下で一人、狂気だと言われて暮らす五百年。
話し相手はおそらくメイド長とレミリア様だけだったのだろう。
力がコントロール出来たと言っても信じてもらえなかったのだろうか。
そう思うと何だかフランドール様が可愛そうに思える。
「…?どうしたの?涙出てるよ?」
「いえ…あまりにフランドール様が不憫でして」
「私が……?」
「そうです。私でしたら五百年も耐えられないです」
「…私のために泣いてくれたんだ……」
「あぅ…すみません」
「何で謝ってるのさ。私は凄い嬉しいよ…?」
「フランドール様…」
「もし良かったら…、良かったらだよ?私の友達になってくれないかな?」
「私なんかでいいんですか?」
「うん。私、友達いないからね」
「ありがとうございます…」
狂気の妹はただそう呼ばれているだけであって、狂ってなんかいなかった。
ただ、一人で寂しかっただけなのだろう。
ただ誰も気付いてなかっただけ。
この時からそう思っていたのかもしれない。
彼女は本当に狂っているのか?というのは大切な問いかけです。
ところで、後で私のオフィスに来るように。
この内容なら、素晴らしい長編が出来るのではないかと思いつつも、短いからこそ印象深いものもあるのかなぁと思ったり。
>>エヴァンズマン様
頭の中にアイデアが浮かんだので書いてみました。
もう少し内容を完成させるべきだと今になって反省しています。
>>浜村ゆのつ様
長編…を書こうとしたらグダグダになってしまったのでこうなってしまいました。
独りというのはとても悲しいものだと思います。
と、友達のいない自分がいってみます。
コメントありがとうございました。
もっと長い話も読んでみたいですね。
>>名無し様
長編を書くとグダグダになってしまうのです…
>>Admiral
フラン可愛いよフラン…
長編…ちょっと頑張ってみようと思います。