Coolier - 新生・東方創想話

定例会・夏

2007/09/15 11:02:38
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 定例会。

 それは魔女三人で執り行うお茶会であり、魔術やそれ以外についてあれこれ語り、魔導書を読みふけり、美味しい物を食べて、お風呂に入り寝る日の事であり、ありていに言えばお泊り会である。
 最初は図書館での開催で内容も議論がメインであったが、ある日の会で魔理沙の所に奪われた本の内容が議論の焦点となり、論戦に白熱したパチュリーが奪回に行くという一幕があった。
 実際は魔理沙がパチュリーを引っ張り出す為の策だったのだが、回収騒動で疲れ、ついでにと入った温泉にのぼせてしまいそのまま一泊になったのが事の始まりである。
 図書館は便利ではあるものの、毎回埃まみれになるのがネックだったりする事や、力を持った人妖が揃っているので、フランドールのストレス解消要員として駆り出される事も過去にあった。
 また、こういう機会でもなければ魔理沙は絶対に掃除をしないし、返ってくる物も返ってこないという意見や、もてなすのが楽しみだという意見も無くは無い。
 同業者をアトリエに入れるのは抵抗があるのだが、民意により「一人に負担を強いるのは良くない」という結論に達し、当番制の採用となった。
いろいろ腹に思うところがそれぞれにあるが、得られる物も多いのでやむなし。という事になっている。
















 時は、八月。
















■●■



 はい、皆さんこんにちはこんばんわ、上海人形です。
 今回のお話の地の文を担当させて頂きます、よろしくお願いします。
 え? お前喋れるのかって?
 いきなり失礼ですね。私だっていつも簡易言語だけで話している訳ではないんですよ? 嘘だと思うなら永夜異変の冒頭を見てくださいよ。
 見ましたか? 見ましたね?
 え? お前自律駆動じゃないだろう? アリスの制御下だろうって?……それはアレですか、うちのマスターを「自分の操る人形と夜な夜な会話する不思議ちゃん」だと仰いたいのですか……
 否定はしませんが。
 まぁ、私もなんだかんだ言って色々詰め込まれましてね?
 状況判断術式が相互補完することで、ある程度の事象には「こう返すんだろーなー」みたいなパターンが出きてまして。
 なんですか、ランダムなパターンが豊富とでも言えばいいんですかね。他の子たちよりも多く連れ回されているので、その辺はちょっと自信があるんですよ、うふふ。
 話が逸れました。
 とりあえず、今回はそんな感じらしいのでよろしくお願いしますね?
 では、ちょっと周囲の状況などを。



 暦は八月の中ごろ。暑い盛りです。
 この辺にも台風はたまーに来るんですけど、今年はちょっと多かったかな?
 ま、いいです。私ら人形は全天候型ですし。
 時刻は夜。
 夏の星座が窓から見えます。
 星座の事は詳しく教わっていないので、どれをどう繋げば何座なのかは知りませんけどね。
 マスターってば、魔法使いなのに星見とかあんまりしてないし。
 その辺は魔理沙さんやパチュリーさんの方が詳しいみたいです。
 ここは魔法の森。幻想郷の中では、割合と群雄割拠なところです。
 妖怪や妖精、その他いろいろな連中が縄張りとか、その日のご飯とか貞操を賭けて争ってたりしてます。
 そんな危険地帯の中の一軒家。
 森に住んでいる何人かの魔法使いの内の一人、人形遣いの館がここ。回りくどかったですが、マスターアリスと私達のお家です。
 で、室内。
 今、人形遣いの館はお客様を迎えています。
 八月の定例会の会場は、ここでなんですよ。
 ……労働力として徴用された人達でも「お客」と呼ぶかどうかの定義は、私のささやかなライブラリにはありません、ええ。
 音声、入れますね。



「さあ魔理沙、いいかしら?」
「ま、待ってくれアリス、まだこっちは準備が!」
「そんな事言ったってダメ。もう待てないわ」
「うわ! そんなに急に、ああ!」
「もう、駄目じゃない、こんなに溢して」
「アリスが急ぎ過ぎるんだ」
「仕方ないわね、早く拭かないと固まっちゃうわ」

 普段はマスターの寛ぎスペースであるこの部屋は、今はテーブルなどの家具が全てどかされ、床一面に新聞紙が敷き詰められています。
 定期購読をしている新聞は半期に一度、こういう形で大量に消費されていたりします。

「うわ、もう硬化が始まった!」
「当たり前でしょ、こんな気温で二分硬化を使ってるんだから」
「ぬあー! 指がー!? 早く拭くものくれ!」
「もう、しょうがないわね! そのままじゃ作業にならないじゃない」

 魔理沙さんの細い指、私を撫でてくれるその手は、今、白く濁りつつある液体に覆われています。
 マスター、ご立腹のようです。
 魔理沙さんは悪くないのに。

「いいわ。硬化が終わったらはがしましょう、幸い今のが最後の組だし」
「じゃ、ちょっと休憩できるな……」
「ま、しょうがないわね」

 魔理沙さんが疲れた様子で床に座り込みました。いつものハツラツとした様子はありません。
 その様子を見たマスターは腕を組んで、ため息をつきます。
 その二人の周囲。床の上には、たくさんの四角いモノが置かれています。
 鉄の缶もいくつかあります。
 使い捨て出来るコップもたくさんあります。
 部屋の隅には布の塊が長く低く積まれています。

「……まだ、ノルマには満たないわね……」

 そう呟くマスター、見た目いつも通りですが、記録によれば既に徹夜三日を経ているはずです。
 鼓動や体温から見ると結構お疲れのはずなんですけど。どういうわけか休息をお取りになりません。
 
「まだ終わらないのかよ……」

 周囲を眺めた魔理沙さんが言います。たぶん「うんざり」という表現が適当だと判断します。
 ああ、その少し萎れた花のような仕草、たまりま
 ……失礼しました、源流から時折思考のノイズが流れてくるのが私達姉妹の悩みの種でして。
 源流? いやですよ、云える訳ないじゃないですか。あははは。
 魔理沙さんの視線の先には、二枚の板で挟まれた四角いモノの群れ。
 その四角い物は、白く、少し柔らかい物で出来ています。

「前のもそうだったが、お前の作るのは部品が多すぎる!」
「型の向きとか考えると仕方ないのよ」

 ええと。
 ここまでで何が行われてるか、おおよそ分かったりしますか? 分かりませんよね。
 はい、正解は人形の量産作業、でしたー。
 そんなの分かるかー! という意見は無しの方向で。

 一口に人形と言っても、私らとは製造工程が異なるタイプで、術式を組み込まれる事の無い、どちらかというと置物の像のような存在です。
 もちろん、量産の工程も異なります。
 私を含めた姉妹たちは、その一体ずつがマスターの手によって作られています。
 ですがこれらは、マスターが原版となる像を一つ作り上げ、それをこの四角いモノの群れで増やしていくのです。
 一つの物を複製していくので、どれだけ増えても形が変わりません。個性が希薄だと判断します。
 また、この子達はここで組み上げられるのではないそうです。四肢もバラバラの状態で、組み立て説明書と共に、他所に引き取られていくのだと聞きました。
 引き取ったそれぞれの方が、自分なりに組み上げるのだそうです。
 ……先程、個性が薄い、と言いましたがちょっと訂正。個性は、組み立ての過程、そこで生まれるのだと判断しました。
 マスターの作る人形は、人妖問わず愛好家がいます。
 公言している方もいるんですけど、中には自分のイメージに合わないからという理由で匿名で買っていかれる方もいます。
 誰とは言いませんけどね。
 マスターのお客様ですし、常連さんでもあるのでこちらとしても守秘義務を守りたいと思います。
 少女趣味でもいいと判断しますけどねぇ、普段が普段だとそれも難しいのかも知れません。
 人間って難しい生き物だと判断します。

 マスターが、四角い物の一つを覗き込んでいます。

「そろそろ……いけそうかしら」
「おいおい、まだ十五分も経ってないぞ」
「貴方の手がこうなっているんだもの、そろそろ剥がせるわ」
「人の手を硬化の目安にするな」

 魔理沙さんの言葉にマスターは振り向き、その手をとりました。
 先ほどまで液体で濡れていたその手は、今は白い何かが付着しています。
 この像達は、その材料も特殊だったりします。
 マスターが用意した二種類の薬品を、等量で混ぜ合わせることで反応し、一定時間の後に硬質の素材に変質するのだそうです。
 少し臭いがキツイのだそうですが、嗅覚をカットしている私には関係の無いことです。
 無駄な処理を行わないことで余剰を生み、マスターへの負荷を軽減する程度の判断は、既に自分で行えるようになっているのです。えへん。
 え? お前に嗅覚が必要なのかって? 当たり前じゃないですか、毒を使う妖怪と戦う時や、資材調達に洞窟に入る時など、周囲に危険な気体が無いかを感知するのも私の大事な仕事なんですよ?
 最近になって、魔理沙さんの発汗状態などからその体調を分析する能力が付与されたりもしましたが、これは極秘事項なのでここだけの話でお願いします。

「じゃあ、さっきのを切り出して、それが済んだらこの組を開けるわよ」
「りょーかい」

 魔理沙さんの手の薬品(もう白く変質しています)を剥がしながら、マスターが言いました。
 ペリペリと、まるで脱皮でもするかのように魔理沙さんの手から、硬化した薬剤を剥がします。

「うう、手が荒れるぅ」
「なら手袋くらいしなさいよ」
「面倒だ、ただでさえ暑いのにこの上手袋なんかしたら、それこそ精度が落ちるぞ」
「仕方ないじゃない、坑暑の魔法陣を壊したの貴方なんだし」
「だから文句も言わないだろうに」

 そう、実はこの部屋は常温なんです。
 夜とはいえ夏まっただなか。人間である魔理沙さんにとっては、決して快適な温度とは言えないはずです。
 魔理沙さんは、いつもの黒い服に白いエプロンのままですが、額や首筋には玉のような汗が浮かんでいます。
 計測してみると室温は30℃、湿度が80%といった所でしょうか。本来なら、環境管理制御の術式が機能しているので、こんな事にはならないのですけど。

「貴方が温度下げすぎるからこんな事になるのよ」

 との事です。
 夕刻訪れた魔理沙さんが、暑い暑いと仰るので室温を下げたところ、「生ぬるい」と坑暑結界に八卦炉を直に繋いで稼動させようとしました。
 部屋の温度を一定に保つ程度の術式に、人形数百体を同時に稼動させるに足る魔力を注ぎ込んだのです。
 毛玉をひとつやっつけるのに、マスタースパークを撃つのに等しい行為ですね。結果、過剰な魔力によって魔方陣は復元不能なまでに破損してしまいました。
 そして、今の自然風しか頼れない状況に繋がります。
 マスターは温度変化にお強いらしく汗をかいている様子もありませんが、人間の魔理沙さんには相当堪えるようです。動作速度が普段の七割程度で、健康面だけでなく作業効率の観点から見ても、環境の改善は必要だと判断できます。
 現在、代替案として露西亜人形の凍術を応用した冷房術式を準備中です。
 微細な氷弾による弾幕を展開し、家全体を冷やす案なのですが、肝心の制御式を構築しているマスターが他の作業をしているので、いっこうにすすみません。
 マスタ~、ワタシのホユウジョウホウとショリノウリョクだけじゃ、ロシアのセイギョはムリですよ~ぅ。
 私の発するオーバーフローの信号を受け、マスターの手が止まりました。一気に滞っていたタスクが消化されていきます。
 瞬く間に露西亜への追加ルーチンが完成しました。急造のシンプルな弾幕ですが、弾幕戦を想定したものではないので、これでいいそうです。
 露西亜を送り出したマスターは、

「そろそろ時間よ。起きなさい」

 呼び掛けと共に、部屋の隅に転がっている布の塊に爪先を入れます。
 足先で押された布製のミノムシが、もぞもぞと蠢きました。

「……ちょっと待って、今、労働力を呼ぶから」

 声がしました。
 乱れた布から、紫の絹糸のような髪が覗きます。
 ミノムシの中身は、パチュリーさんです。魔理沙さんよりも早くから作業をなさっていたので、睡眠をとっていらしたのです。
 マスターも、作業中に「カミン」という休息形態になる事があります。床でも構わず、いきなり寝るので、対応に困るのが難点だと記憶しています。
 毛布などを掛けてさしあげると、あとで褒められちゃったりします。

「お前よくこんな気温で布団かぶって寝られるな……」
「……図書館の床に比べたら、随分快適よ」
「そんな自慢されてもなぁ」

 すっかり元通りになった手を開いたり閉じたりしながら、魔理沙さんが俯きました。たぶん「げんなり」です。
 ゆらりと起き上がったパチュリーさんは、両手の指を絡ませて、んーっ、と伸びをして、

「……ああ、眩暈が……」
 
再び倒れてしまいました。

「おいおい、しっかりしてくれよ。これ以上二人だけで作業するのはイヤだぜ」
「……もちろんよ。私の眼が黒いうちはその女に好きにはさせないわ……」

 余計な意思の強さだと判断します。
 ……今の言葉がキーですか? また源流からの思念が流れてきたようです。
 パチュリーさんは寝たまま、天井あたりを見つめて唱えました。

【来たれ】

 パチュリーさんのアポートの呪文が、作業場に転送ゲートを作ります。
 うちの工房にもあるタイプで、遠隔地から一時的に対象を呼び寄せる時などに用いる呪文です。私らの間では「舞台袖」と呼称しています。これをくぐる時はお仕事の時ですから。
 光る文字列が高速に陣を描き、円陣を成します。展開速度は流石に速いです。敷設と接続を同時に行っている感じでしょうか、二重詠唱かもしれません。
 あっという間に出来上がった魔方陣は、一瞬強く光ると部屋の少し高い位置に黒い穴を開けました。
 術の完了を待って、立ち上がっていたパチュリーさんが腕を突き込みます。

「いたたた!? だ、だめ、尻尾ひっぱらないでください! あ! だめですってぇ!」

 ゲートの向こうに突き入れたパチュリーさんの手は、なにか黒い紐のようなものを握って戻ってきました。それには悲鳴も付いてきました。

「じゃあ、噛むわよ……それも甘く」
「それはもっと勘弁!」

 転送ゲートから伸びた黒い紐は、どうやらどなたかの尻尾のようです。
 それを引っ張るパチュリーさんは片手ですが、相手を確実に引きずり出そうとしています。
 あ、尻尾が終わってピンクの布地に包まれた丸い物が出てきました。

「……なら、無駄な抵抗はやめてさっさっと来なさい。さもないと貴方のあられもない悲鳴を全館放送で流すことになるわよ」

 大して力を入れているようには見えないのですが、パチュリーさんと、その相手との力比べは、パチュリーさんの一方的な攻勢で進んでいます。
 あ、ピンクの布は下着でしたか。
 その人物(?)は、アポートの開けたゲートの縁に手足をひっかけて、必死に抵抗しているようでしたが、ついに諦めたようです。

「うう……悪魔を使役するには正しいかもしれませんけどぉ……」

 部屋に降り立ったのは、紅い髪の女性。
 頭と背中の羽、黒いエナメルのような艶を持った尻尾などから、魔族の方と判断します。

――記憶照合――

 紅魔館所属、魔法図書館司書役の、悪魔族の方です。
 名前は伺っていませんが、周囲の方の呼称をお借りして、小悪魔さんとお呼びします。
 ただ、いつもと違うのは黒を基調とした服装ではなく、身につけているのが先程見えたピンクの下着のみ、という点でしょうか。
 長い髪を胸の前に垂らしていますが、この室温なら寒さを感じることはないと判断します。
 お客様なら、お茶をお出しするべきでしょうか? マスターからの指示はないんですけど。

「……貴方、露出狂の気があったのね」

 パチュリーさんが息を吐きました。「残念」で合ってるでしょうか。
 パチュリーさんは、表情が読みにくいのでいい訓練になります。

「着替えて寝る所だったんです! 邪魔されましたけどね!」

 司書さんが羽を広げながら言いました。これだけ近いのですから、そんなに大きな声でなくてもいいと判断します。

「なんでもいいから早くして貰えるかしら?」
「じゃあ、着替えを取りにって、ゲートがないじゃないですか!?」
「……一度捕まえた獲物を逃がすような愚を、私が犯すとでも思ったのかしら?」

 その言葉に、司書さんがめそめそと泣き出しました。

「私の服を貸してあげるから泣かないの、貴方、悪魔でしょうに」
「はい、ありがとうございます……」

 マスターの声には少量の怒りを検知できます。おそらく「苛立ち」でしょうか。それはさておきお仕事です。
 ご用命はマスターの普段着のストックからですね。
【令・被服課・選・普段着・要・持参】

「ありがとう上海」

 マスターからお礼の言葉を頂きました。
 当然の事をしたまでです、とお辞儀をしました。
 お役に立てた事を「嬉しい」と表現する感情はありませんが、その時だと判断します。

 なお、マスターの服を着ようとした司書さんですが、一部サイズの合わない箇所がありました。
 それが身体のどの部位かは、秘匿指定の制限がかけられており、ここに記すことは出来ません。
 着替えを済ませ、紅い髪を後ろでまとめた司書さんは、普段の姿形と大きく異なりました。
 結構珍しい姿なので、記録の必要性を認めます。



 ……すみません、またノイズです。 増水した川の激流みたいな思念が来ました。
 ああ、マスター、無いものねだりはよくないと判断します。
 ご要望を叶えうる【吸引式 永遠の夢人形】は、現在凍結封印中ですけど、忘れちゃってますか?
 あの子達の初陣で、マスターは三日間お外に出られなくなったんですけど……

「……ほら貴方も働くのよ」
「パチュリー様は手伝わないんですか?」

 閉められず、結局開いたままになった胸元を気にしながら、司書さんが問います。
 「不信」を識別できる表情です。

「いいのよ、パチュリーにはマニュアル描きに回って貰うことになってるから」

 さて、とマスターが首を巡らせます。
 視線の先には壁を背にして、「カミン」形態に移行しようとしている魔理沙さん。

「……」
「……」

 なんでしょう? 今のアイコンタクト。
 パチュリーさんを顔を見合わせ、ひとつ頷きあいましたが、思念が流れてきませんでした。
 私の思考に、指示待ちの空白が生まれます。

「……まず魔理沙を起こしなさい、私は仕事に入るわ」
「いいんですか?」
「ええ、よろしくね」

 パチュリーさんは、部屋の隅に寄せられた机に向かいました。
 台所に待機している子達に、飲み物の用意を指示します。
 きっと魔理沙さんにも珈琲が必要だと、そう判断しました。

「さあ魔理沙、休憩はおしまいよ」

 マスターの宣言を以って、戦いが再開されました。



■●■



 マスターの使っているカレンダーには、今日が金曜日である事が記されています。
 もうじき土曜でしょうか。
 日付の切り替わる頃になっても、複製作業は続いています。

「アリスー、キャストがなくなるー!」
「上海! 四番チャンバーから八キロ缶出してきて!」

 終わる気配はまだまだ見えず、薬剤を流すマスターと魔理沙さん、司書さんは部品の切り出しと袋詰めをしています。

「くそっ! まだ硬化してない!」
「早すぎたんだわ……!」

 何回かお茶をお出ししました。

「アリスさーん、これ気泡ひどいですー」
「とりあえず除けておいて、補填分が流せればそれを回すわ!」

 パチュリーさんは、マニュアルを作成しつつ、テストの組み立てもしています。

「……ここの合い、少し厳しいわね」
「じゃあ、修正の仕方もマニュアルに織り込んでおいて!」

 夜が更けても室温は下がらず、むしろ熱気がこもっていく一方です。
 皆さん不休で作業をなさっています。
 私に出来る事は、お茶をお出しする事と、打ち水を手配してお屋敷の外の空気を冷やす事くらいです。
 露西亜も屋根の上で頑張っていますが、本来の用途と異なる運用に戸惑っているようです。

「型が反ってきたわね……ちょっと強めにクランピングして頂戴」
「はいー、でも、あと何回もちますかねぇ?」

 時間の経過と共に、部品が山を作っていきます。
 そんな中、アクシデントが起こりました。

「ぎゃー! B剤だけ流したー!!」
「なんて事! ああ、もう駄目ね、この型は……」

 疲労の蓄積していた魔理沙さんがミスをしたようです。
 かれこれ十時間くらいは不休の魔理沙さんは、額に髪をはりつけていて、視線も定まらない様子です。

「すまん、アリス……」

 マスターの思考が急に速度を上げました。 あ、わたしのしこうまでおそくなってきました。
 なにか計算をしていたご様子です、けど?

「いいわ、今は」
「……でもどうするの?」

 原稿から顔を上げずに、パチュリーさんが質問します。こちらも長い髪を高く結い上げています。
 室温、29℃

「この程度のアクシデントで、私が止まるなんて思わない事ね!」

 疲労で紅くなった眼で、こちらを見ました。
 マスター、人相がだいぶアレな感じです。

「上海! シリコン缶二キロと硬化剤をワンケース! 大至急!!」

――命令受領――

 さっき出した四番チャンバーに、マスターの求める物が入っています。
 通常時と使用する比率がだいぶ異なると判断しましたが、これはマスターの思考の出した結果なのでしょう。
 急ぎ鉄の缶を運ばせます。

「どうでもいいけど、お前のそのテンションはどこから来るものなんだ?」

 それに笑顔で答えたマスターは猛然と原版を設置すると、複製型の作成を開始しました。
 硬化剤の混合比率が、規定を遥かに超えた量ですが、

「おい、そんなに混ぜたら」
「大丈夫、十倍までなら試した事があるの」

 マスターは笑みを浮かべて、魔理沙さんに説明します。
 こちら側からは確認出来ませんでしたが、その笑みを受けて魔理沙さんは確かに怯みました。
 笑顔のはずなのに、魔理沙さんは怯えたような表情でした。この反応はよくわかりません。

――索敵機構に感あり――

 お屋敷の周辺に配置している警戒網に、こちらに向かってくる反応を捉えました。
 マスター、お客様です。 人間1、妖怪1、ただし妖怪は波動パターンが特殊。
 解析情報をマスターに転送、指示を待ちます。

 通過承認以外に特に指示のないまま待機していると、お客さまは玄関に辿り着きました。

「いらっしゃい、開いているわ」

 マスターがノックに応じます。

「陣中見舞いですわ」
「なんで私がこんな目に……」

 ドアの向こうには、十六夜咲夜さん、上白沢慧音さん。
 朝近くのお客様は、紅魔館のメイド長と人間の里の守護役でした。

「人間が困ってるんだ……助けてくれよ」

 あまりの暑さに、上は肌着一枚になっていた魔理沙さんが、慧音さんに縋り付きました。



■●■



 補給部隊の到着を受けて、作業が一時停止しました。
 作業場と化したダイニングは、今は戦場と化していました。

 パチュリーさんは机に突っ伏しています。体温や呼吸といったバイタルの反応が微弱なんですけど、大丈夫なんでしょうか?
 魔理沙さん同様上着を脱ぎ、肩の出ている薄手の服になっています。
 魔理沙さんは下着姿で床に転がっています。仮眠形態(先程ライブラリに追加になりました)で、身動きひとつしません。
 司書さんもだいぶお疲れのようです。壁に寄りかかって座ったまま反対側の壁を見つめています。焦点はあってなさそうですけど。
 マスターの体調も間違いなく疲労状態なんですけど、バイタリティに満ちています。
 一番長く作業をしているはずなんですけど、どういう理由なのかは不明です。
 なんだか、ゼンマイを巻きすぎたカラクリ人形を見ている気がしてきました。

「はい、夜食が出来ましたわ、といってももう朝ですけど」

 マスターオブ家事の咲夜さんが、トレイにサンドウィッチをと飲み物を載せて現れました。
 台所へ向かってから僅かに四十秒。データにあるとはいえ、時間操作という能力は驚異的だと判断します。

「なんで私まで……」

 後に続くのは、長い髪が素敵な慧音さん。
 今は三角頭巾で隠れていますが、青みがかった銀の髪は不規則に揺れ、私をたまらなく誘惑します。
 ああー、仕事中でなければ絡まりたいです。

「貴方達は私らのコンディションを保つ、大事な生命線なのよ」

 血走った目のマスターは、不敵に笑うとハムサンドに噛み付きます。
 他の方々も、もぞもぞと動き出しました。食欲のなせる業でしょうか。

「くそう、去年の夏はパチェの手伝いで地獄を見たはずだったのに……!」

 ピーナッツバターを多めに挟んだサンドを頬張りながら、魔理沙さんが呻きます。
 魔理沙さんは、この作業の報酬の「すごい英雄の愛用品」と引き換えに労働力を提供しているそうです。

「でもいいのか、今年は?」
「……今年の夏は落ちたからいいのよ」
「冬は力を貸すわ」
「……期待しているわ。カラクリ有栖川」

 パチュリーさんは、マスターと視線を合わせるとニヤリと笑いました。
 去年の七月の定例会では、パチュリーさんの作業のお手伝いでした。
 皆さんで絵を描いていたのを記憶しています。
 不肖上海人形、様々な知識の欠乏があるとは思いますが、絵を描く事は人間、妖怪問わず、ゆったりしたものだという勝手な憶測がありまして……絵を描くという行為があれほど殺伐とするものだとは予測出来ませんでした。
 「荒行」という単語がライブラリに増えたのは、たしかその時です。
 そういえば、あの時のパチュリーさんも今のマスター同様、五日間位寝ていませんでした。

「これで人形が作れるものなんですか……?」

 辺りを見ていた咲夜さんが言いました。
 ちなみに部屋の隅には巨大な箱があります。
 石膏でこしらえたそれらは、メディスンさんの首から下を型取りしたもの。。
 複製体を一体譲る事を条件に、あの毒人形さんは身を売りました。
 マスターの言うように、妹さんが出来ればいいですね。
 余談ですが、首から上は型取り出来なかったので、マスターが作り上げています。

「二つの液体を混ぜ、それが愛の結晶になるのよ」
「なんだか壮大ですわ」
「私も最初に言ってやった」

 それに釣られ、慧音さんも口を開きます。

「……よくわからないのだが、これはすごいな、服が別なのか?」

 部品の山を見ていた慧音さんが質問します。
 答えたのは司書さん。

「そう! なんでこんなに正確なんですか! この下着なんか滅多に着けないのに!」

 部品を指差して、マスターに質問します。

「……自分のクローゼットくらい管理しておきなさい」

 せせら笑う(?)パチュリーさん。この表情はデータが少ないです。

「それに! なんでこんなにプロポーションが正確なんですか!?」

 仮組み立ての済んだ、塗装前の「司書人形」を手に、マスターに詰め寄ります。

「あなたと美鈴は体積が大きくて材料を使うのよねー」
「こ、答えになってません!」

 マスターの視線から胸元を隠しながら、司書さんが後ずさりします。

「じゃあ、なんで咲夜がこんなに胸大きいんだよ」
「その質問の答え、代価は命で支払うつもりかしら?」

 咲夜さんがナイフを構えています。

「十六夜咲夜、真実の改竄は良くないぞ」
「この話題が波及すると、貴方に味方が居なくなる事くらい分からないかしら?」

 止めようとした慧音さんに、咲夜さんの矛先が向きました。攻撃意識を察知する思念センサーには、咲夜さん以外の敵意が慧音さんに向いているのが分かります。視線も統合して判断するなら、顔ではなく上半身に向いているのが確認できます。生き物って、いろいろ難しいと思います。

「そうね、次は貴方でもいいかしら。コンパチでケイネも再現出来るようにするのもいいかも」
「その発音には、異論を挟みたい」

 慧音さんの目つきが変りましたが、既に組みあがっている見本を見ながら、続けます。この辺の話題変更のスキルの高さはマスターには無いものだと判断します。

「しかし、このメンバーにはなんだか見覚えがあるんだが」
「こういうのはセットにしてこそ価値が生まれるものなのよ」
「悪魔の館セットって……」

 仮組み立ての済んでいる人形が卓の上に並んでいます。
 人形は全部で六種類。
 宴会で見かける方々の姿を模している、というのは確定情報です。
 紅魔館、というお屋敷の方々です。

 柱時計が八つ鳴りました。

「さあ、あと二十四時間よ!」
「うーおー、まだ終わらないのかよ~……」
「毎度の事とは言え、腰にクるわね……」
「私、これが終わったら温泉に行こうと思います……」

 戦いは、まだ続きます。



■●■



「さて、これでおしまいね」

 マスターは最後の1セットを袋に詰めると、作業の終了を宣言しました。
 カレンダーの土曜に×が書かれ、既に日曜になっています。
 東の空に太陽を感じます。
 混雑の極みとなった床の上には、魔理沙さん、パチュリーさん、司書さんが転がっています。
 皆さん、暑さのあまり着衣が乱れており、あ、映像記録に秘匿制限がかかりました。【乙女の秘密プロテクト】です。これ以上の情報の開示は私の独断では許されません。
 制限にかからない範囲で端的に表すなら、「もう少し恥じらいを」といったところでしょうか。

「上海」

 マスターの一言には、私達にしかわからない言葉で、沢山の命令が含まれています。
 梱包、着替え、戸締り、沈黙している方々のケア。
 高速で命令を処理し、姉妹で手分けをして仕事をこなします。
 この時、私たちは充足を得ます。
 マスター。造物主であり、我ら姉妹の操り主。
 半自律のルーチンワークではない、生のコマンドが駆け巡ると、思考中枢の一番深い所に、説明出来ないなにかが発生します。
 霊力、魔力、妖力、そのいずれでもなく、温度も何も無い、しかし確かに感知できるその「何か」
 以前のメンテナンスの時に、自己診断のログを提出し、この「何か」の正体をマスターに質問した事がありました。
 マスターはそのログを見てこう仰いました

「上海、貴方が感知したその反応は、きっと貴方自身による物よ」
――私自身の?
「そう、私が貴方達を作ったけど、それは形を持っている貴方達人形に、術式を与えて道具としての機能を付与しただけなの」
――……
「でも、今の貴方は道具じゃないわ。貴方は既に最初に与えられた術式を自分で書き換え、オリジナルのルーチンを持っている」
――よく、わかりません
「貴方や蓬莱、他にも幾つかの曰く付きの子達はね、素体になった人形の持っていた経験情報が性格として出るの」
――性格。知性体に特有の個性の一つ。それが被造物である我らにもあると?
「そう。確かに貴方は私の力が無いと動けないけど、完全に私の支配下にあるわけでもないのよ」
――それはつまり……? 
――マスターからの指示を受けて機能する我らが、完全にマスターの支配化に置かれていない、と?
「これは宿題。貴方にも私にもね。一つ言える事は、貴方達がただの道具なんかじゃないって事」

 マスターはそう言って私の頭を撫でてくれました。

 被造物であり、マスターの道具であるはずの我ら人形姉妹。
 確かに個性にバラつきがあり、それは機能としてみれば無駄と判ずる事の出来るものもあります。
 マスターはこれを、私達が獲得した個性だと言いました。
 道具は長く使い込まれると妖怪に変じる物もあると聞きます。
 であるならば、私達もいずれは「人形の妖怪」をいう形での自立を果たす時が来るのでしょうか?
 それはマスターの目指す自律人形とは異なる到達点なのかも知れません。
 しかし、マスターの手を煩わせる事無くそれでもお傍に居ることが出来るならーー

 この思考は道具の本分なのでしょうか。それとも?

 私が思考に耽っている間にも、姉妹たちは仕事を終えたようです。
 この思考はログを取っておく必要を認めます。
 後で他の姉妹達の反応や思考を尋ねて見たいと判断します。

 抗暑の魔法陣の代替として支配下に置いていた【白亜の露西亜人形】を自動制御に移行。
 マスターからの魔力供給がなくても、この家にいるなら問題はありません。
 マスターが時計を見ます。

「大丈夫、予定通りだわ」

 足元には梱包を終えた大きな箱が幾つも並んでいます。

「搬送はどうするんだ、私はいやだぞこんな大荷物提げて飛ぶの」
「向こうはマナが希薄だから、貴方じゃ箒があっても飛べないわ」
「だったら尚の事だ」
「大丈夫よ、ちゃんと運送屋は頼んでいるから」
「何の事だ」
「八雲にね」
「お前、案外手段を選ばないんだな……」
「……いつも不思議なんだけど、どうやってあいつを動かすの?」
「それは契約があるから言えないわ」

 マスターは意味ありげに笑います。

「でも、会場って外なんですよね? 荷物は八雲さんに送ってもらうにしても、アリスさんはどうするんです?」
「私も送ってもらうのよ、他に手段もないし」
「うげ、お前よくアレに入ろうって気になるな」
「……慣れれば気にならないわよ……」

 ねぇー? とマスターとパチュリーさん。お二人はこの過酷な定例会の後に、外の世界に出かけています。
 そういえば今年の冬、二月くらいにもお出かけがありました。 

 柱時計が鳴りました。朝の八時です。

「おっと、お迎えの時間だわ」

 マスターの言葉と同時、空間に異常が。発生を感知できないこのパターンは八雲紫さんの特技です。

「主命により八雲藍推参……なんだ、今回は荷物も見送りも多いな」
「いつもご苦労様、でも、荷物はともかく行くのは私だけだから」

 コマンドが来ました。待機させておいた妹達を荷物に向かわせます。

「お、運んでくれるのかい。じゃあ、そこのスキマに放り込んでおくれ」

 チップがわりの油揚げを受け取りつつ、藍さんが断裂を指し示します。
 大きく開かれたその隙間は、中を探査しようとしても計測できません。
 魔力や妖力、光や音といったものがこちら側とは違う法則で作用しているらしく、私の感知器には虚数解しか返ってきません。
 自分の性能の及ばない物があるのは、ちょっと悔しいです。

「じゃあ、行ってくるわ」
「お土産よろしくなー」
「……頑張って来なさい」
「ご武運を」

 マスターは力強い笑顔を浮かべ、空間断裂へと踏み出しました。

――思念リンク切断
――再接続
――接続失敗
――再接続――上位命令により接続を中断・自動制御に切替・本線とのリンクが復旧するまで自立判断。

 自律人形なら、こういう時にどうするのが最適かも自分で考えられるのでしょうか。
 自律人形ではない私には分かりません。
 いずれは情報の蓄積から判断する事が出来る日がくるのでしょうか。
 いずれはマスターが自律人形の製作に成功し、我々の後継としてマスターのお側に仕えるのでしょうか。
 
 わかりません。
 厨房班を指揮していた蓬莱がフリーになったようなので、情報統合をして考えてみたいと思います。

「お前もお疲れ様だな」
「魔理沙よりよっぽど頑張ってくれたわ」
「お疲れ様です」

 残られた御三方が私を囲み、労ってくれました。

「皆様も大変御疲れ様でした、マスターに代わってお礼申し上げます」
「お、お前喋れたのか!?」

 くるりと一礼すると、魔理沙さんが素っ頓狂な声を出しました。

「貴方、前にも同じリアクションしてるわ……」
「これってネタじゃないんですか?」
「い、いや、あんまり喋るところ見て無いから忘れてた……ってかお前「シャンハーイ」だけじゃなかったんだな」
「魔理沙さん、私、怒る機能はまだないんですよ?」
「あー、スマンスマン」

 居心地悪そうに頭を掻く魔理沙さんに、パチュリーさんと小悪魔さんが笑います。
 私にも、感情を表現する機能が欲しいと判断します。
 きっと、こういう時には笑うのが自然なのでしょうから。
 マスターが戻られたら、進言してみようかと思います。

「んじゃ、アリスが戻るまでひと寝するかー」
「さ……さすがに、ちょっと横になりたいわ……」
「じゃ、私、一度御屋敷に戻って、着替え取ってきます」
「あ、お風呂、入れますので。よろしければどうぞ」
「おー、気が利くぜ! さすが上海だ!」
「じゃあ魔理沙、先に入っちゃって」
「なに言ってんだ今更。一緒でいいだろう」
「……もう」

 皆さん、どやどやと部屋を出られした。勝手知りたるなんとやら、でしょうか。
 御二方が入浴している間に、残っている仕事を片付けたいと思います。
 自律だ自立だと言っても、やってる事は変わりません。
 こういう時にも笑えればいいと判断します。
 苦笑とか、自嘲とか、そういう類の。

 では、これにて。












 上海人形の小さな体が扉の向こうに消え、ドアがパタリと閉じる。






 ―了―





■●■



「「「かんぱーい!」」」

「いやぁ、帰りの荷物が無いって、ホントにいいわぁ!」
「今回、無茶してたもんなぁ」
「本もそうだけど、置いてある箱を見ると凹むわよね……」
「荷物が軽いと、次も頑張ろうって気になるのよね!」
「お前、テンションたかいなー」
「あ、そうそう忘れないうちに。はい魔理沙、今回の報酬よ」
「……有名すぎて説明する気にもならない大英雄、ギルガメスが愛用していた武具、間違いなく本物ね……」
「す、すげぇ……本当にいいんだな!?」
「労働の対価よ」
「外壁に使うと折れるから、それだけ気をつけなさい……」
「外壁?」
「ゴールドでも折れるわ」
「でも、ツルハシなんか何に使ったのかしら?」









■●■



いつか読んだ話に、魔理沙達が同人誌を書くというような話があったのを思い出し、ならばこんなが話あってもいいじゃないか、と本作が出来上がりました。
良い訳がありません。こんにちはこんばんは、鼠でございます。

ネタ的にプチ向きだとは思うんですが、ちょっとプチに出すには長いと判断したのでこっちに出します。
あと、夏の話なんで出し損なうと一年寝そうだったので。

専門知識を要する部分が多すぎるので、読んでてチンプンカンプンだったと思います。
ちょっと説明なんかを。

アリスが作っているのはガレージキットと呼ばれるフィギュアの一種。
二種類の薬品を混合する事で科学反応を起こして固まるプラスチックを使い、手作業で複製をしているのが作中の状況です。
たこ焼き機とたこ焼きの関係に似ています。
違う、タイヤキとタイヤキ機だ。
液状の材料を型に流し、型の中で固まるのを待ちます。
化学反応で固まった液体は、型の形になるので、硬化が完了したら型を開けて、中身を取り出します。

幻想郷にそんなものあるわけないじゃん、とかいうのはこの際目を瞑って頂くしか。
……いや、完成品の氾濫によって、自家生産のガレキは駆逐されるかもしれないか。
そんな話はどうでもいいです。

まあ何が言いたいかといえば、上海がかわいいなぁ、と。

あと、イベント寸前の修羅場の雰囲気を味わっていただければ。



※B剤だけ流すのは致命的なミス。硬化剤10倍は良い子はマネしちゃいけません。
なんのこっちゃい。
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コメント



0.1090簡易評価
2.70deso削除
修羅場だなぁw
フィギュア作ってるのは途中でわかりました。手袋はしないとダメだよ、魔理沙。
そして、上海可愛いよ上海。
4.70名前が無い程度の能力削除
同人誌作る方もフィギュアを作る方も、皆修羅場は怖いもの。
7.100名前が削除
戦闘の鼠氏がプチ以外で戦闘じゃないものを書いている、と思ったら、充分戦闘でした。
でもこんなに溢して、でもうわかっちゃったw
以前の話の補完ですね。こんなことしてるんかい!
また作品量産体制になってくれるとうれしいです。
17.60名前が無い程度の能力削除
ちょ、英雄の武具w
単体なのか金銀銅の3セットなのか不明だが、
そんなもん魔理沙に渡したら大変な事になりそーだ。
主に紅魔大図書館0とか永遠亭とか……。