Coolier - 新生・東方創想話

幻想がやってきた日

2007/09/14 21:41:26
最終更新
サイズ
9.96KB
ページ数
1
閲覧数
652
評価数
4/12
POINT
270
Rate
4.54
■まえがき
独自解釈、百合表現、あと変な角度のクロスオーバーを含みます。
ダメならば避けて下さい。












■序 / 天狗のメモ(殴り書き)

暮れも押し迫った今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
文々。新聞も本号にて年内最後の発行となります(無事に発行できれば、ですが)
来年もよろしくお願い致します。

さて、今回はちょっと不思議な事件をお伝えしましょう。

ここ、幻想郷でよくある揺れの震源地は三つに分けられます。

黒白の魔法使い  ◎(魔砲。本命)
紅魔の門番長   ○(震脚。押さえで狙って)
花使い      △(元祖魔砲。ごめん、言ってみただけ)

他にも他にもーーあ、三つどころじゃなかった、ハイ、書き直しイェーイ!

                     ああ、締め切りがッー!

        うああん、お願いです、時間よ止まれ!



    時を止めてと聞いてきました。どうぞ
             通りすがりのメイドより



え?
なんで、見知らぬメモと、紅茶とクッキーが
私しか居ないのに

                           あ 美味しい



ありがとう! これで文々。新聞は迫り来る締め切りまで戦えますっ

うん、間に合わせます、間に合わてみせます!



■1 / 博麗神社、お昼前
人知れず奇跡を起こして発行された新聞を読む、わけもなく当然のように放置する巫女が
一人。


人影なし、妖影なし、至って平穏そのもの。寒いけれど嗚呼、お茶が美味しい。
「霊夢、この記事、読んだ?」
そう思った矢先、瞬きする間に一名、登場。今更、驚きもしないけどね。
「何処から湧いてきた」
でも、一応、挨拶代わりに問うてみた。
「それは勿論、世界のスキマから」
「とっとと無へ還れ」
よし。玉、符、針まとめて極めてくれよう。スペ……
「お茶がなければ乾いてしまうし、ご飯がなければ飢えてしまうわ」
お茶は既に飲んでるし。しかもそれ、私の飲みかけだ。
「自分で作れ、とまでは言わないけれど。お宅の、九尾のおさんどさんは?」
「黒猫にくびったけ、主人は構ってもらえません。育てかた間違えたかしら」
「……放置上等なアンタがそれ言うか」
そちらを向けば、もう流し目だ。
次はあれが来る、パターンで理解している。けれど……
「それにね、此処にくれば、お茶とご飯と、大好きなヒトが居るの」
ほら来た。言葉の高速誘導弾!
「っっ。面と向かってフツー言えないことを言ってのけるか。そこに痺れもしないし、憧
れもしないけど」
今ならば、どこぞの不死鳥にも負けない火が吹ける、いや、いっそ燃えて灰になれれば。
おおおお、落ち着け博麗霊夢。
「あら、残念」
受け流せ。カスリ上等、直撃は回避だ。そうでなければーー
「はいはい、私の負けですよーだ。お昼の支度するから、大人しく待機、返事はー?」
返事を待たず、台所へ行く。
仕切り直そう。遠ければ、避けられる。
……なのに、既にいらっしゃいますか、そうですか。
おっと自前のエプロンまで着けてますね。珍しくやる気だ。
「ヒトの話を聞け、そして言われたことを守るといいことあるかも」
落ち着いてきた。
「どうせ暇だから手伝うわ。ついでに、話がしたかったの。新聞の話が」
材料、確認。
気温、それなりに寒い。
人数、二名。増えないでお願いだから。
よし、昼間っから鍋でいく。
当然、お酒も用意だ。
「んぅー? 魔理沙がダブルスパーク中に両手を開いてその場で回転、名付けてローリン
グスパーク開眼! 回りすぎてそれはそれは酷い事になった、ってあれかなぁ」
ありあわせの材料を二人で切る。
「あれは、弾幕ごっこの、いかなる弾幕も実は抜けれられる可能性はある、という暗黙の
ルールを壊しかねないわ。対抗できるのは属性を変えて吸収して撃ち返すしかない。しか
も見た目であれが似合う本人が当事者なんてもう笑っちゃう。ってちがーーう」
こら、大げさリアクションで包丁を振り回さないでよスキマさん。
「アンタが勝手に語ってただけ。私は悪くない」
言い放つ。
捻り込むように撃つべし、言葉の弾を。
「そう。じゃあ先に進めるわ。あれは、一昨日の夜ことよ」
「うわ、有り難みもないほどに最近」
それに頷くけれど、手は止めない。へぇ、やれば出来る女ね。
ちょっとだけ見直した、小数点以下で。
「ねぇ、霊夢。地震の震源ってふつう動かないわね」
「ええ、動いたらそれはもう地震じゃなくて、誰かの仕業。心当たりがありすぎるけど」
ざっと数えて一一。ほら、もう手じゃ足りない。
「じゃあ、もし、その心当たりをすべて回ったのに該当者がいないとしたら?」
「え? あ、新聞なんだからーー根掘り葉掘り聞いてまわったのか。また手間なことを」
記者やってるだけあって、下手な嘘はあっさり見抜くしなぁ。
やりそうな上位陣のほうも嘘は下手だから、事実なんだろう。
あれ? それじゃあ、一体誰が、あるいは何が原因?
「で、動く震源の本人と会った。というかねぇ、ある意味、私も原因かもしれない」
「……え?」
いま、なんとおっしゃいましたか、このスキマさんは。
そして、手がお留守ですよ、と何故か叱られるまで私は考え込んでしまった。
「よし、霊夢が釣れた。こうでなくちゃ面白くない」
鍋なんだから材料ぶった切って放り込めば一緒だ。
だから、耳八割、作業二割で相づちまぜて黙って聞く。

これって何か一大事が起っていたんじゃないかなぁ、もしかして。

■2 / 獣がみている
日が昇って、眩しさで意識が戻った。
見慣れぬ景色を、歩く。
日はさらに昇って、真上で輝く。
歩く。歩く。歩く。
歩きやすかった、物足りないほどに。
日が傾きはじめた。
歩く。歩く。歩く。
足音に驚いた生き物が幾つか。だが、それだけだ。
日が暮れて、月が昇った。
もはや見慣れた景色を、歩く。
歩く。歩く。歩く。
生まれてはじめての、とても静かな一日がすぎてゆく。
嗚呼、足りない。
アア、タリナイ。
ここは何処だ?
いつからここに?
最後の記憶が確かならばーー。



ふと、気付けば、目の前に生き物が一つ。
空を飛んでいるが、あの虹色の好敵手や諦めの悪い金ピカよりも、はるかに小さい。
そもそも鳥の形をしていなかった。
人だ。
人間の、これはなんという種類だったか。
思い出す。
前へ進もうとする足下で何事かーー田舎者とかーー叫んでいた人間。踏めばよかったか。
口に熱く苦い薬をぶち込んできた人間。今でもあの時の古傷が痛む。
一目見て何故か胸の奥底が熱くなった人間。思わずぶち撒けてしまった。
嗚呼、彼等は男と呼ばれていたがーー。
もう一度、目の前の人型飛行生物を視る。
身体は、細い。
色は、髪に金、紫の衣、肌は白。
そうか。これは、女と呼ばれる種類だ。
だが、飛んでいる。
飛ぶための機械は見当たらず、そういった物が出す耳障りな音も聞こえず。
人類は独力で飛ぶことを採用しました。
……あるわけがない。
脳裏に浮かんだ考えを否定し、目の前のそれを人型の人間以外と判断した。
さて、そんなことよりも大切なことを確認しよう。
この相手と戦うべきか否か。
いつものように。
この物足りなさを、埋めて満たしてぶち撒けるために。

そして、仕掛ける寸前で、先に人間以外の何かが動いた。

■3 / 妖と獣

「ごきげんよう」
(うっかり大災害なんかになったらまた霊夢がご飯つくってくれない、それ嫌、絶対ヤダ)
だから、大妖怪は今夜も頑張ります。
他に任せて、やらかした日にはご飯抜きぐらいでは済まされないから。
何せ相手は、そうーー

……Gryyy?

小首をかしげられた。
それが人語でなくとも思いは伝わる。なによりその顔は、明らかに不思議そうな表情。
「あら、はじめて会ったらまず挨拶でしょう。
それとも、出会い頭に殴り合うのが貴方達のお好みかしら」

Gryuu

「あ。そうね。考えてみれば貴方は、そういう風に生きていたわね。むぅー」

Gryuuuu

「それはどうも。ところで、幾つかお話したいことがあるの。聞いてくれるかしら?」

Gryyy--

「あ、待って。冷えたし、喉も乾くなぁ、ちょっと失礼」
言うが早いか、手にはグラスと酒瓶。何処から出したかは乙女の秘密。まあ、スキマからだけどね。

Gryy???

「あぁ五臓六腑に染み渡るこの一口、生きててよかったぁ。
……何よ、可愛そうなヒトを見るような眼は。ヒトじゃあないけど」

Gryyyy……

「わかればよろしい。ええと、何処まで話したかしら?」

Gruuuuu!?

「あー、ほんとならとっくに寝てる時期だから、ちょっと調子がね。頑張れわたし」

……Gry

「ご声援ありがとう、わたしという妖怪の半分は優しさで出来ています」

これぞまさに酔いどれか、と言いたげな無言で刺さる大きな視線をしれっと無視。
さあさあ、舌も身体も暖まって参りました。
大妖怪は語る。
酒と風と勢いにノッて。
確かな声に伝える意志を込めて。

■4 / 獣から王へ
空飛ぶ酔いどれ、否、空飛ぶ妖怪の女が語る。

「私は知っている。
空飛ぶ人の意思、生きた怪樹、時さえ越える金の獣、地と人を守護する翼、
銀鎧を纏う人の決意、彼方から来たもう一人の貴方、赤黒き破壊の落とし子。
それ等と闘って倒し倒され、そして、その果てに燃え尽きたことを、
此処では誰も知らなくても、この私が知っているわ」

ここで酒を一口、上機嫌。
種族も何もかも一切合切ちがうというのに、その姿、その仕草、見惚れるほど。

「此処は、現と幻が住まう処、幻想郷。
そして、貴方は、人の憧れと怖れを一身に受けて、その身はまさに幻想そのもの。
そんな貴方を受け入れられなくて、何が幻想郷か!」

そうして、それまでの酔いなど何処へやら。

「ようこそ幻想郷へ。博麗の巫女に代わってこの大妖怪、八雲紫が歓迎するわ」

姿勢を正し、優雅にスカートを抓んで一礼。

その手には青く輝く札一つ。

それはスペルカードというモノ
それは、力の塊。
それは、弾幕ごっこをするために
それは 境界をいじって姿を隠した者を解き放つために

そんなことは知るわけなく また知ったことではない!
熱い 熱い 熱い!
満たされる 気付かぬうちに 欠けていた 歓喜と 狂気と 意志 存在 が萃まって

大妖怪が 声高らかに宣言

「東の宝が生み出せし 億の夢を背負って立つ 不屈の王さま 怪獣王 汝、その名を!」

GrUUUUUAAAAAA----!!

咆哮一発

月夜の晩にとっても大きな幻想がやってきた

■5 / 博麗神社、お昼すぎ

「ーーというお話、それだけのことよ。
お茶のおかわり頂戴。ん、どうしたの、霊夢。そんな顔して」
食後だった。
鍋は空っぽ。酒瓶だって空っぽ、数も増えてた。不思議じゃないけど。
お腹は程よく八分目。
どうやら食べて飲んでいたらしい、記憶にないが。
聞き入るなんて不覚。
「はい、どうぞ。ってアンタ、一歩間違えたら上へ下へ大騒ぎじゃないの!?」
問い詰めた。
「そうね、それはそれで面白そうだけど。じゃあ、実際そんなことになった?」
これは。
「う。なってません。私の知る限り」
マズい。
「他でもない、異変ならば最中に飛び込む貴女がそう言うのだから、大丈夫」
嗚呼、とっくに安地なし。
「そーなのかー」
この流れ、気合い避けもかなわない。
「あらあら、宵闇のまねも可愛いわねぇ。これは、食べていい霊夢?」
いま、起死回生のボムを。
「断る。いっぺん逝っとけ、むそー……あ」

妖怪と巫女が重なって。

幻想郷は今日も平和です。



■追 / 同時刻。紅魔の湖上空にて
「こんにちはー、お届けものでーす。お返事ないけれど、いっきまーす。そォーれ!」

勢いよく放ったそれが、眼下に広がる湖に沈む。

見届けて、首を傾げ、鈴仙は思う。

(んー、師匠にいわれて何度も持ってきてるけど。
あれの中味って結局、何なんだろう? お日さまと同じってはぐらかされちゃったし、
そういえば、渡す相手も見たことないなぁ)

しばらく唸って旋回、きりもみ追加、大乱舞。
そのうち諦めて、帰路につく。

そして、ある妖怪曰く、最近なんだか湖のカエルがおっきくなってもう大変、と。

それでも幻想郷は今日も平和です。

(了)
はじめまして、異月(ことづき)です。
SS書いたのは何年ぶりか、いっそはじめてと言ってもいいかもしれません。
長くなると余計なことしか言わなくなりそうなので、この一言に込めて、

読んでくださった方、本当にありがとうございます。

それでは、批判や感想など震えてお待ちします。
いや、ほんとに震えて投稿ボタンがなかなか押せない程なので。

■追記
書き込み、ありがとうございます。
思いつくまま、勢いだけで書き上げてそのまま出してました。うわー、冷や汗が。
調子に乗りすぎました。これからは気をつけます。
異月
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.110簡易評価
5.20名前が無い程度の能力削除
少し読みにくかった。1まで楽しんで読めたんだけど。
7.40名前が無い程度の能力削除
ちょっと起伏が足りないかもとか思った
しかしこれで色々といいのかも、とも思った
9.60deso削除
東宝幻想郷。もう少し絡みが見たかった気もしますが、これはこれで東方らしいかな。
10.無評価名前が無い程度の能力削除
む、むむむむ?
全部読んだけど話が分からない(汗)
そこかしこに散りばめられたネタや会話には東方の匂いを感じるんですけど、いかんせんクロスオーバーした作品に見当がつきません。

書き方としてはありだと思いますが、なんかこうおいてけぼりにされた気分でした。
クロスオーバーを書くからには自分みたいに元ネタを知らない人の事を忘れないで下さいませ。

点数は無知ゆえに評価できないのでフリーレスで。
11.40名前が無い程度の能力削除
そうか。彼らも等々幻想入りだなぁ……。
今までに何度か終了宣言してたから、きっと忘れた頃に復活するさ。