「うーん・・・困ったなぁ、もうネタないし・・・」
『鈴仙、もう霊夢は良いから、魔理沙を攻めなさい』
「あっ、はい、わかりましたっ」
師匠から指示を出され、場所を移動。
「えーっと・・・魔理沙さん向けのトラップは・・・
冥界の人達が担当でしたっけ」
「うぅ・・・怖いぜ・・・」
霊夢が走り出したので、仕方なく足を進めてはいるものの・・・
正直な話、怖くて仕方ない。
なんで霊夢は私を置いていったんだ。友達じゃないのか。
全く、薄情だ。
「かくごぉぉぉぉぉぉっ!!!」
「うわぁっ!?」
ギンッ
突然声がしたかと思うと、私の居た場所に刃が降り注いだ。
「なっ、なっ、なんだ!?何事だっ!?」
殺気を感じて飛びのいたはいいけど、ちょっとだけ髪切れたぞ?
「流石によくかわしますねー」
見ると、見慣れた銀髪が居た。
「お前・・・妖夢じゃないか」
「こんばんは」
「いや、こんばんはじゃないだろ。何だいきなり斬り付けてきて」
普通に死んでたぞ今のは。
「いえ、なんかお化け役として幽々子様にお声がかかったんですが」
ああ、うん、まぁ、確かにそれははまり役だけどな。
「何故か私まで巻き添えで連れてこられまして」
それは不幸だな。
「とにかく驚かせろって言われたので、そのように」
「キモ試しで斬りつける馬鹿がいるかっ!!」
「え・・・だって・・・怖がらせればよかったんじゃ・・・」
キモ試しの意味が違いすぎる。
「えっと・・・」
流石に空気を読んだのか、佇まいを正し、ぴっと立つ。
「きょ、今日の所はひきさがってあげますが、
次はこうはいかないからな、覚悟しておけ、です」
「・・・は?」
「それではっ」
ぴゅーっ、と、すごい速度でいなくなっていく妖夢。
なんというか、一瞬で空気が冷めた気がする。
「うぅ・・・なんかもう、ダメかも・・・」
頭が痛くなってきた。
それは、まぁ、驚かせとは言ったけれど・・・
「あらあら?ダメなの?」
隣で待機していた西行寺さんが不思議そうに聞いてくる。
この人も空気読まないなぁ。
「だって、なんか西行寺さんが出るのネタばれされましたし・・・」
「うーん・・・それは困ったわねぇ」
そんなに困った風に見えないんですがっ
「こ、こうなったら私が直接っ」
「そう?じゃあ私は妖夢つれて屋敷に帰るわね~
あ、それともいくらか幽霊解き放ったほうが良いのかしら?」
「・・・めんどうになりそうなんで良いです」
後で紅魔館で幽霊騒動、とかなったら困るし。
「あらそう、それじゃあね~」
「は、はい。ありがとうございましたー」
ひらひらと手を振りその場からいなくなっていく西行寺さんを見送り、
姿が見えなくなってから溜息が出た。
「とにかく、やらないと・・・」
こんな時にてゐが居ないのが恨めしい。
「月よっ、私に力をっ」
※曇ってます
「ありゃ・・・?」
一瞬だけだけど、何か視界が揺らいだような気がした。
まぁ、大した事無いだろと思って、そのまま通路を進む。
「・・・りない・・・」
「ん・・・?」
どこからか、声が聞こえ、目を凝らす。
通路の先に影が見え、それが人の形だと気づいた。
「誰かいるのか・・・?」
「・・・足りないの・・・一本・・・」
「え・・・?」
どこかで聞き覚えのある声だなと思って近づく。
「ナイフが一本足りないの・・・ナイフが足りないのっ」
「うわぁぁぁぁっ」
きらりと光るナイフを持った長い銀髪のメイドが、
赤く光る眼で私を見て詰め寄ってくる。
その形相に、悲鳴を堪えられずあげてしまう。
「ねぇ、あなたは知らない?私のナイフ知らない?」
「ひぃっ、くるなっ、くるなよっ、やぁぁぁぁっ」
「えっ・・・?ちょっと、どうしたの魔理沙?なんで逃げるの?」
なんで名前を知ってるんだよっ
なんで追いかけるんだっ、くるなっ
くるなっくるなっくるなっくるなっくるなっ
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
「え・・・私何かした・・・?」
※咲夜さんです。
「ふぅ、なんか、随分落ち着いちゃったわねー」
紫がいなくなってからというもの、まぁ、一人ぼっちなのは嫌なんだけど、
そんなに怖いような事もなく、
もうちょっとでフランドールの部屋、というところまできてしまった。
図書館、思ったより退屈だったわね。
『・・・・・・た』
「え・・・何・・・?」
どこからか声が聞こえる。
通路の先から?というと・・・
「あ・・・れ・・・?」
ぐらっ
世界が揺れた。
膝に力が入らなくなったような感覚。だけど立っていられる。
地震じゃない。だけど、なんか変な力が、あったような。
「これ・・・どこかで・・・」
似たような感覚をずっと前に感じたような覚えがある。
だけれど、果たしてそれはいつだったか・・・
『それにしても騒がしい、一体何事なのだ・・・』
思い出す間もなく、声に引き寄せられていく。
ああ、進んじゃダメなのに。
そんな風に、感じていた。
「あら、霊夢じゃない。
そうか、そういえば何かやるとか輝夜が言っていたな」
「・・・・・・っっ」
その部屋のドアを開けると、背の低い誰かが居た。
唇の端から、おべべを真っ赤に染めて。
にこりと、私を迎えた。
それに感じたのは、ただならぬ恐怖感。
どうしようもない嫌悪感に、言葉を失う。
そのような状況下にあって、名前を呼ばれたことに違和感を感じる暇はなかった。
「どうかしたか?
・・・ああ、悪い、服が汚れているから少し待ってくれ、着替える」
「・・・うっ」
赤色に気分が悪くなり、口を押さえてそのまま逃げ去ってしまった。
「・・・私、何か気分悪くするような事したんだろうか・・・しょんぼり」
※お嬢様は食後です。
「はぁ・・・はぁ・・・っ・・・ぁっ・・・な、何なんだ・・・あれ・・・」
後ろも振り返れず走り続けたけど、呼吸が苦しくなり立ち止まる。
なんとかフランドールの部屋の目の前までたどり着くことができた。
恐る恐る後ろを見るけれど、さっきの変なのはもう居ない。
良かった。とりあえず、息をつける。
「それにしても・・・でも、なんで私の名前知ってたんだ・・・?」
さっきはそんな余裕なくて考えられなかったけど、
考えてみると変だ。私はお化けに知り合いは・・・いや、いるにはいるんだが。
「んー?おっかしいなー」
ナイフ、銀の長髪、メイド服、赤い目。
思い出すのも怖いけれど、冷静にその姿をもう一度思い浮かべる。
「・・・咲夜、か・・・?」
段々とぼやけていた靄が晴れていくような感覚。
私の知り合いで特徴が当てはまるのは、その名前だけだ。
「あれ・・・?なんで私咲夜が怖いなんて思ったんだ?」
変だ。さっきの光景を思い出せば思い出すだけ、
そんなに怖かったように感じられない。
だって、咲夜がナイフ数えてただけだし。
「・・・うーん、まぁいいか」
とりあえず、私が一番乗りみたいだし、
このままフランドールの部屋でお札を取ればおっけーだな。
と気楽にドアを開けてしまった。
「あーっ、魔理沙だーっ」
「うわ・・・居たのかよ・・・」
フランドールという名の今宵一番の恐怖が、今目の前に。
「ねぇねぇあそぼっ、遊ぼう魔理沙っ
私ねっ、私アレがいいなっ、弾幕ごっこっ」
「おっ、お前のはごっこじゃないだろっ
普通に殺す気ありありだろっ」
「えへへー」
「えへへー、じゃないっ」
ちょっとだけ萌えただろうがっ。
「こっ、これたわっ」
ばんっ、とドアが開き、見慣れた紅白巫女が現れる。
「・・・あら?」
「わぁ霊夢だっ、魔理沙だけじゃなく霊夢までいるっ
これが噂の3P?ねぇねぇ三人でするのっ!?」
それは、フランドールの口から出ると極めて危険な気がする。
「ちょ・・・なんでフランドールが・・・ていうかお札はどこよ?」
「えー?おふだー?
・・・これ?」
と、二枚の紙切れをふりふりと振りながら握るフランドール。
「うぇっ・・・なんでお前が持ってるんだ・・・」
「なんか、ほーれんそーっていう人から渡されたの。
せんてー方法は任せるから勝ったほうにあげなさいって」
ほうれん草って・・・緑黄色野菜かよ。きっと輝夜の事なんだと思うけど。
「なんていい加減な・・・」
「だからあそぼっ、私とあそんでー、勝ったほうにあげるーっ」
「・・・結局」
「やるしかないようだな、霊夢」
隣の霊夢を見、向こうもこちらを見ていたので視線が交わり、ふ、と笑ってしまう。
「邪魔にならないように気をつけてよ魔理沙」
「お前こそ、マスタースパークの巻き添えくらうなよっ」
私は箒を、霊夢はどこから取り出したのか陰陽球を手に、
一人部屋にしては異常に広いフランドールの部屋で戦いに挑んだ。
(数刻後)
「はぁ・・・はぁ・・・」
「う・・・私もう残機1しかないわ・・・」
「わ、私もだ・・・」
「きゅ~」
二人がかりでもフランドールはやっぱり強かった。
というか、弾幕はかわせたけど互いのボムで互いが倒されるとか。
協力モードじゃなかったのが予想外で。
「と、とにかく倒したわ・・・後は・・・」
「よしっ、お札げっとぉっ」
倒されてくったりとしているフランドールの手から、
いち早くお札をもぎ取り、走り出す魔理沙。
「あっ、ちょっ、わ、私だってげっとよっ」
「ははっ、競争だぜ霊夢っ」
ばぁんっ、と勢い良くドアを開け、部屋から出て行ってしまう。
「あっ、もうっ・・・」
急がないと賞品がっ
今まで怖がっていたのが嘘の様に、私も全力で走り出した。
「うーん、なんというか、変な結末になったわねー」
間を置いて、こちらはモニターで二人の様子を眺める輝夜と永琳。
なんとも言えない複雑な表情になっている。
「こちらで用意したお化け役より、
元から居た屋敷の人間の方が怖がられるなんて。
ちょっと予想外でしたね」
「ねぇ永琳、これどうなのよ。キモ試しとして」
「とりあえず次回以降はもう少し人選考えましょうね」
次回があるのかも微妙なのは、誰も口にしない。
考えても居ないのかもしれない。
「うぅ・・・そうね。あ、鈴仙、もう戻って良いわ。
入り口にきなさい」
『・・・・・・っ』
「どうしたの?鈴仙イナバ?応答しなさい」
『・・・さいっ、たすけっ、わぁぁぁっ』
「え・・・?ちょ・・・永琳、なんか鈴仙がっ」
『いやっ、こないでっ、いやぁぁぁぁぁぁぁっ』
「うどんげっ、うどんげどうしたのっ?何があったのっ?うど」
ブツン―――
鈴仙のただならぬ声に異常を感じてか、
永琳が立ち上がり声を大にするも、切断音と共に無線は切られてしまう。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
無言。
汗がひた、と流れ、二人、徐々に顔が青く染まっていく。
「「い・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!」」
主催者、逃亡。
「いやーたすけてーっ、兎鍋はいやーっ」
「うふふ・・・良い汁が取れそうだわ」
「汁っていうなーっ、うわーっうわーっ」
「月の兎を材料にすると何か特殊な効果を発揮する薬が?
・・・とても楽しそうね」
「だっ、誰かーっ、誰かたすけてーっ」
※パチュリー様ご乱心。
(完)
と、言いたいところなのですが。
幻想郷の住人を使っての肝試しという発想は良いと思いますし、殺伐とさせずほんわりのどかに進む世界観も良いのですけど、如何せんそれぞれのネタにパンチ力がなさすぎます。永遠亭に紅魔館、おまけに白玉楼から妖夢、どころか紫まで引っ張り出しているというのに、ただそれぞれがちょっと出てきて帰るだけ。これではあまりにも消化不良です。
視点の切り替えが激しい点など、技術的な不備も多々ありますが、まずはしっかりとネタを練るところから始めるべきかと。
苦言を呈して申し訳ありません。
今後のご活躍を期待しております。
登場人物の数の割にそれぞれが活かせてない、という事ですね。
思いつきで書いたー、というわけではなかったですが、
まだまだ練りの甘さというのがあったようですね。
次からはもう少し考えて書く事にします。
ご指摘ありがとうございました。